議会の動き

予算特別委員会14年2月定例会

●財政状況

1 投資事業の進め方について
(1)緊急防災・減災事業等の追加実施による県財政への影響について
(2)投資事業に充当する県債発行の考え方について
2 部局横断的な視点に立った予算編成について
3 財政健全化への道筋の基本的な考え方について

全文

予算特別委員会質問(財政状況) 平成26年3月4日(火)

国債と借入金いわゆる「国の借金」は、昨年末現在でとうとう1018兆円になりました。国民一人当たりに換算すると、およそ800万円であり、とんでもない額であります。今年の予算審議の時、安倍首相は「増税を行うので、無駄を徹底的に排除した。」と胸を張っていました。しかし、補正予算では、行政改革推進会議の委員全員が無駄とした事業を含め、削除した8割が復活しているのを知ってア然となりました。

今年度の国税の収入は約44兆円で、借金は実に23年分の収入の前借りという財政状況にもかかわらず、不要不急な事業も見受けられ、旧態依然の体質から抜け出していないと言わざるを得ません。

一方、県財政に目を向けると、平成24年度決算において実質公債費比率は17.3%で全国ワースト9位、将来負担比率は345.0%でワースト1位という状況です。

このような厳しい財政状況の下、本県の予算審議をしっかり尽くさなくてはならないとの観点から、以下3項目4問にわたり質問します。

1 投資事業の進め方について

 (1)緊急防災・減災事業等の追加事業による県財政への影響について

予算編成の方針では、事業の投資規模として、「当初予算では、第3次行革プランに沿った規模とする。また、消費税率引き上げによる景気の腰倒れを回避しつつ、「ひょうごの元気」に繋げるための事業規模を確保すること」とされています。

さらに、歳出では、「通常事業は、前年度当初予算に地方財政計画の投資的経費の水準との乖離率を乗じた事業費を基本額に、緊急防災・減災事業、地域の元気臨時交付金事業等を加算」とされています。地域の元気臨時交付金事業は、全額国庫ですが、緊急防災・減災事業は県負担が30%あります。事業の必要性は十分理解できますが、通常分に単純に加算するのはいかがでしょうか?

「投資的経費に充当する県債の総額は、前年度を27億円上回る827億円」とのことですが、交付税算入を考慮すれば、このたびの緊急防災・減債事業等の追加実施によって実質公債費比率や将来負担比率に、どのような影響を及ぼすのかお尋ねします。

(2)投資事業に充当する県債発行の考え方について

財政健全化の観点から、投資事業に充当する県債の発行についての基本的な考え方について、県民に分かりやすい答弁を求めます。

2.部局横断的な視点に立った予算編成について

昨今、福祉予算が増え続ける傾向にあります。将来的にも、大きな重要な問題だと思っています。私は、これらは財政全般的な広い視野から捉え、将来的な展望を含めた検証が必要だと思っています。

分かりやすい例として生活保護について考えてみましょう。一昔前は、苦しい生活をしている人達が「お上のお世話にだけは、なりたくない」と言って、歯を食いしばって頑張る人がいたように思います。しかし、最近では、これは権利だからとか、もらわなければ損だというような考え方で、中には申請を偽ったり、ごまかしてまでして受給している人もいるように聞きます。

一方、ニューヨークのホームレスについてのテレビ放映がありました。タイムズスクウェアーでは、市当局が、ホームレスの為に空きホテルを買収したそうです。ニューヨークでは住所不定では、なかなか仕事に着くことが難しいのですが、このホテルを拠点にして、かつてのホームレスが働き始めたそうです。入居した330人のうち325人が就労、現在、収入の3分の1を家賃として納めるようになったそうです。

これまで、その日暮らしの生活をしていた人達が、家賃や税金を納め、自信を取り戻し、明日の事を考え、生きる展望を見つけた人がいると聞きます。

その結果、窃盗は80%、殺人が100%減ったそうです。もちろん、ホームレス対策だけの結果ではありません。「割れ窓理論」など、市の福祉に対する基本的な姿勢、考え方で、ニューヨークは大きく変身したと思われます。

かつて犯罪の坩堝で、犯罪と警察官の増員の“イタチごっこ”だったニューヨークが、今や世界の主要都市の中で一番安全な都市になったそうです。実際、落書きだらけで救急車が絶えず行き交い、すさんでいた1980年代のニューヨークと、今とでは大違いである様子を、私は、しっかりこの目で確かめて来ました。

もちろん、ホテル買収の収支の面からだけで見れば、赤字だと思います。しかし、犯罪が減り、警察官の増員が止まり、観光客が増え、街が安全できれいなったことは、費用対効果は十分あった事業であると言えます。

そして、何よりも自立につながる活きた福祉予算の執行であると痛感しました。もちろん、どうしても必要で削ってはならない福祉予算は、あると思います。しかし、自立に繋がる福祉予算になっているかどうかの検証が必要な部分もあるように思われます。

福祉事業を例にとりましたが、事業の効果は限定的なものでなく、相乗効果が期待できるものも多いと思います。健康増進やスポーツ振興は医療費削減の効果が、農林業振興は中山間地域の災害防止や過疎化対策の効果が期待されると思います。

そこで、財政全般的な視野から将来的な展望を持った事業効果の検証が必要だと思います。各部局からの予算要望は、縦割りで出て来ますが、財政当局は、費用対効果を考慮し、波及効果・2次効果も含めた幅広い視点、つまり部局横断的な観点や長期的な視点も考慮した予算編成が大事な視点になると思いますが、当局の考え方をお尋ねします。

3 財政健全化への道筋の基本的な考え方について

次に、具体的な予算に対する質問をします。国が掲げた公共投資の補正に引き続き、本格的な兵庫の景気回復に繋げるためにも、当初予算へ連続性を持つ必要があります。回復基調で県税が、前年度を373億円上回ることが予想出来ますが、収支はなお、572億円の不足が生じると聞きます。

景気回復基調を支えるのは、個人消費と公共支出と思われます。円安で原材料やエネルギー等の輸入価格の高騰、また消費税率の引き上げで個人消費の意欲は極めて厳しい状況が広がってきていると思われます。このような状況を乗り越えるためにも、適切な公共事業の推進で、労務単価の引き上げや賃金引き上げに結びつける必要があります。また、地元企業が受注できるような配慮も必要です。

更に、一時的な景気浮揚・経済波及に限られる公共事業依存を脱却し、持続的な社会保障充実財源の確保が必要だと思われます。また、緊急防災・減災事業債等を活用した県有施設の耐震化等で「元気なひょうご」を目指していく必要性も理解できます。

そこで、厳しい財政状況の下、優先順位を明確にして、増大する社会保障ニーズ等、多様な行政ニーズへの対応と財政健全化の両立についての基本的な考え方と行革目標達成に向けた決意について、今一度お尋ねします。

●企画県民部①

1 県立大学環境防災学科創設について

全文

予算特別委員会質問(企画県民部①)

平成26年3月5日(水)

1 県立大学環境防災学科創設について

井戸知事は、4期目の立候補の公約に防災・減災への取り組みを挙げられておられます。また、南海トラフ地震が30年以内に発生する確率は70%、50年以内なら90%程度と言われる中、県民の防災・減災に対する関心は、最近ますます高まっていると言えます。

そして、私は、阪神・淡路大震災の教訓から、8年前から県立大学の環境防災学部・学科の創設を訴え続けてきました。その結果、昨年から、県立大学の全学部生対象にユニット制で、防災教育科目の履修を可能にする制度が創設され、知事からは県立大学に環境防災の大学院を創設する方向で検討に入いるという回答がありました。環境防災に対する取り組む姿勢が、一歩ずつですが前進していることにまず感謝を申し上げます。

最近、地球温暖化が進み、特に過去の記録で最大級という自然災害が頻発しており、伊豆大島等の山津波や相次ぐ風水害への備えが必要となっています。もはや、いつまでも想定外とか異常とか言っている場合ではなく、現実の肥大化している自然災害を、まさにNew Normarl として位置付け、防災・減災対策を講じていく時期が来ております。

今では、大学生以下の若者には、阪神淡路大震災の記憶はなく、関東大震災と同列の過去の歴史上の大災害と認識されています。また、被災地でも阪神淡路大震災を経験していない住民が約4割に達しているそうです。このように、社会からも記憶が薄れかけた時に、東日本大震災が起こりました。また、近い将来には、南海トラフ地震が予想されています。

そこで、私たちは甚大な犠牲を払った大震災を風化させることなく、防災・減災の取り組みを積極的に進めることが、被災県・兵庫としての役割があると思っています。今、防災に対する県民ニーズの高まりに応え、肥大化している自然災害に備えるためにも、環境防災学の研究をしっかりと進め、兵庫から全国に減災に向けた情報を発信する責務が、兵庫県にはあると認識しています。

また、経営面を先行せざるを得ない私学と違って、公立大学だからこそ出来ることがあります。一般的な学部・学科は私立大学に任せるにしても、特色を持った公立大学を推進する上でも、防災という特殊な学科の研究を進め、環境防災の知識を持った人材を社会に送り込む任務が、設立団体である兵庫県にはあると思います。12年前に、県立舞子高校に環境防災科を作り、防災教育を生徒の“生きる力”を育む教育として位置付け、生徒たちは自ら考え、行動に結び付け、同校は大変元気になり大きな成果を上げています。

しかし、残念ながら卒業後の進路を見た時、未だに出口がないという状況が続いてきました。中学・高校で防災・減災に興味を持つ生徒を生み出しているにもかかわらず、更に大学で本格的に学び研究する学部・学科の創設が必要だと言えます。

昨年9月に実施した当初予算編成に対する重要政策提言の場に於いて、県立大学に防災の大学院を作るという知事答弁は、以上の観点から大いに評価したいと思います。人と防災未来センターを附置研究所と位置づけ、連携を強化し、学部・学科の先行として環境防災の独立大学院を創設するということで私は理解したいと思います。そして、県立大学の環境防災が全国の大学をリードし、環境防災学が進展して減災に向けた取り組みが推進されることを期待します。

是非、従来の理系のハード面、文系のソフト面という枠を超え、学際系の環境防災研究科として、社会人入学にも広げ幅広く門戸が開かれることを期待します。そして、県立大学大学院環境防災研究科の創設が、学部・学科に先行する形で、環境防災学の研究を大きく前進させ減災対策に取り組み、社会のニーズに応えることに繋がることを大いに期待するものです。

そこで、県立大学大学院環境防災研究科創設に向けての進捗状況と、環境防災学の研究体制の将来的な展望をお伺いします。

健康福祉部

1 児童養護施設入所者の18歳を超える場合の支援について
(1)措置延長の適用状況について
(2)未成年者等に対する入所支援について

全文

予算特別委員会質問(健康福祉部)

平成26年3月6日(木)

1 児童養護施設入所者の18歳を超える場合の支援について

(1)措置延長の適用状況について

最近、日本の親の保育放棄に対し、専門家はネグレクトという言葉を使用しています。ネグレクトとは、無視する・軽視するという意味で、マザーテレサは、愛情の反対は無関心と言っています。そこで社会的ネグレクトを受けていると言えるかもしれない児童養護施設の子供たちの将来について質問します。

親がいない児童や、虐待とかネグレクトで親と切り離す必要がある児童・生徒は、児童養護施設で生活し学校に通っています。しかし、原則的に18歳になると同施設を出なくてはなりません。仮に大学に行きたいと思っても、その後の住居や生活費等の社会的支援はなくなり、自立しなくてはなりません。大学には奨学金制度がありますが、入学金・授業料だけで奨学金は消えてしまいます。その他に、生活費・住居費が必要となることを考えると、大学進学を諦めてしまう生徒が多いというのが現状です。

子供は親を選べませんし、子供に罪はありません。教育の機会均等という意味からも、進学したいという子供は、社会全体で支援すべきだと思います。そして大学進学希望者には、児童養護施設の入所を卒業まで可能にして頂きたいと思います。

一方、高校を卒業したのち就職した子供が、仕事とのミスマッチが原因で3カ月以内に職を辞める場合が非常に多いと聞いています。しかも、彼らには親や相談相手がおらず、注意をしてくれる人もいなければ、話を聞いてもらえる人もいません。児童養護施設から切れた子供たちは、住む場所の支援もなくなり、まさに社会からもネグレクトされるという現実になります。そして、仕事を辞めれば崩れていく場合が多く、犯罪に手を染めることに進行していくこともあります。

20歳以上の成人の場合は、本人の責任と言えます。しかし、未成年のうちは、親・社会にも責任があります。特に、児童養護施設を18歳で退所してから成人までの支援が必要だと考えます。児童福祉法の適用は18歳迄で、まさに18~20歳のこの時期が、法の狭間となっています。この対策として、児童養護施設の入所年齢を2年延長し、せめて未成年の間は、住宅の心配をする必要がない状態にすべきだと考えます。さらに大学進学を目指す若者には大学卒業までの入所を認めるべきだと思います。

そこでお尋ねします。確かに児童福祉法第31条では、措置延長することが出来るとなっています。しかし、この「申し込みがあった場合は措置延長出来る」という表現は、いかにも“面倒を見てやっても良い”という上から目線であるため、使い勝手が悪いと思います。現実に、この措置延長を適用している子供は、県全体で何人いるのでしょうか?またどのような場合に、この規定が適用されているのでしょうか、まずお尋ねします。

(2)未成年者等に対する入所支援について

措置延長の適用が1割強という現状では、十分活かされているとは到底言えません。本当に子供たちの立場からの措置延長ではないことに大きな問題があると思います。児童・その親から申込みがあってから、措置延長をするという待ちの姿勢ではなく、行政から積極的に働きかけることが必要だと思います。更に、原則として全ての児童を延長対象として捉え、意向確認を行った上で、児童が自立して生活を希望する場合であっても、社会人や大学生となって困った時には、いつでも施設に相談が出来る等の見守りの体制を築いて頂きたいと願うものです。

子供には責任がない中で、親がいないから勉強する機会が奪われるとか、住む所がないというのは、何としても避けなくてはなりません。施設で育ち、懸命に生きようとしている若者から、将来の夢や希望を奪うことにならないよう、是非、18歳を超える場合にあっても、せめて未成年には大学進学を含めて入所支援を求めるものですが、基本的な考え方をお尋ねします。

●病院局

1 こども病院の移転整備について
(1)神戸市立医療センター中央市民病院との連携について
(2)小児がん拠点病院としての機能充実について
2 小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設について
(1)対象患者の想定について
(2)医療スタッフの確保について

全文

予算特別委員会質問(病院局)

平成26年3月6日(木)

1 こども病院の移転整備について

(1)神戸市立医療センター中央市民病院との連携について

現在、県立こども病院はポートアイランドⅡ期において、平成28年度の開院を目指した建設工事が進められています。

こども病院が、小児・周産期医療の全県拠点病院としての役割をこれまで以上に果たしていくためには、単なる建て替えにとどまらず、施設面に加えて診療面での充実が不可欠であると考えます。

この診療機能の充実には、こども病院そのものの機能充実と合わせ、移転整備地に隣接し高度で総合的な医療機能を有する神戸市立医療センター中央市民病院との連携が何より重要であると考えます。

そこで、中央市民病院とどのような連携を行おうとされているのか、更に、連携によって、どのように機能充実が可能になるのか、また、連携に向けどのように協議を進めているのかお伺いします。

(2)小児がん拠点病院としての機能充実について

小児がん患者に質の高い医療及び支援を提供するためには、一定程度の医療資源の集約化が必要なことから、国は、昨年2月に、県立こども病院を含めた15の小児がん拠点病院を指定しました。県立こども病院も、全国で5番目の指定を受け、今後さらに質の高い小児がん治療を提供していくことが求められています。

小児がん対策の充実は、平成24年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」で重点的に取り組むべき課題として示され、本県においても平成25年4月に、「兵庫県がん対策推進計画」で、小児がん対策の推進が掲げられています。

そこで、県立こども病院が、小児がん拠点病院として現在どのような取り組みを行っているのか、また移転後の新病院で小児がん医療の機能充実をどのように図ろうとしているのか、ご所見をお伺いします。

2 小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設について

(1)対象患者の想定について

小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設の整備にあたり、まずは提供する医療、対象とする患者についてお尋ねします。

小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設の整備事業費が当初予算案に平成26年度実施する基本設計、実施設計及び用地取得等に係る経費として約6億7千5百万円が計上されています。

がん細胞に対してピンポイントで照射できる粒子線治療は、発育・発達障害など小児がんの治療に伴う晩期合併症の発症リスクの抑制に極めて有効と聞いています。現在、小児がんは、小児の死亡原因の上位を占めており、小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設の整備は、小児がんに苦しむ患者、家族にとって極めて朗報であると思います。しかしながらその一方で、粒子線治療は、必ずしも全てのがんに有効な訳ではないとも聞きます。

そこで、新粒子線治療施設においては、どのような患者が対象となるのか、またどれくらいの患者を受け入れようとしておられるのか、現時点の想定をお伺いします。

(2)医療スタッフの確保について

新粒子線治療施設が、その能力を十分に発揮するためには、粒子線治療施設を使いこなせる専門医や医学物理士などの医療スタッフの確保が不可欠であります。

しかし、岡山県や大阪府など他府県でも粒子線治療施設の整備が進められており、粒子線治療に対応できる専門的な医療スタッフの全国的な不足が懸念されています。

そこで、新粒子線治療施設の運営が上手くいくのかどうかのポイントは、専門的な医療スタッフの確保と考えますが、今後、新施設の開設に向け医療スタッフの確保をどのように取り組んでいこうとされているのか、ご所見をお伺いします。

●公安委員会

1 小さな犯罪を見逃さない安全な地域社会づくりについて
2 県下における犯罪情勢と取り調べ技術の向上と伝承について
(1)県下における犯罪情勢について
(2)取り調べ技術の向上と伝承について

全文

予算特別委員会質問(公安委員会)

平成25年3月8日(金)

1 小さな犯罪を見逃さない安全な地域社会づくりについて

昔の親父、学校の先生、警察官は、恐い存在でした。私は、今、その恐い存在の人の影が薄れてきているのが問題だと思っていますし、そのことが犯罪にも大きく影響しているように思えてなりません。

“三つ子の魂百まで”という諺がありますように、小さい時に、悪いことは悪いとしっかり教える必要があると思います。そして、悪いことは、小さいうちにしっかり芽を摘む必要があります。大きくなってからの修正は、極めて困難になると思います。

先日、某所で、赤信号を無視して横断していく若者を見ても注意しないお巡りさんがいました。

確かに、その時、車は来ていなかったので危険性は低く、その警察官も注意するのをためらったのかも知れません。

しかし、このようなことを野放しにすれば、赤信号で躊躇しながら横断していた人の“躊躇”が、慣れて来ると罪意識が無くなり、次第にエスカレートし、やがて悪質な違反へと発展して行くと考えられます。

更に、それを見ている人達にも影響を与えます。信号無視をする人を注意できない警察官を、果たして尊敬するでしょうか?また、そのような警察に安全を守ってもらえると期待するでしょうか!

同時に、小さな犯罪を見落とせば、やがて大きな犯罪の発生を招くという、いわゆる「割れ窓理論」に繋がり、大変重要な局面をはらんでいると思われます。

私は、警察官がその人に、ちょっと声を掛ける、或いは警笛を鳴らすだけで良いと思います。違反した人は、声を掛けられると「しまった」と感じるだろうし、また周囲にいる人も「やっぱり警察官は、悪いことを見逃さないんだ!」と思うでしょう。

そのような小さな抑止力の積み重ねが、犯罪を減らし、安全・安心なまちづくりに繋がると確信します。制服を着た警察官が、街中を歩くだけで存在感が示され、犯罪抑止に繋がるでしょう。更にもう一歩踏み込んで、声を掛けながらパトロールをする、或いは赤色ランプを点滅させながらパトカーが巡回することで、大いに犯罪抑止に繋がると考えます。

1980年代、ニューヨーク市は、落書きだらけのすさんだ犯罪の坩堝の都市でした。しかし、ここで割れ窓理論が採用され、小さな犯罪を見逃さないという姿勢から、市警察・行政は、まず落書き消しから取り組み始め、徹底した落書き(犯罪)を取り締まりました。その結果、すさんだ街が見事に変身し、今では世界の主要都市で一番安全な都市となっています。こうなるには、まず警察官が強い誇りと高い使命感を持って小さな犯罪を見落とさないという確固たる信念が、ニューヨークを安全な都市に変えたと思っています。

県民に安心感を与え、かつ県民の期待に応える警察活動を推進するために、小さな犯罪を見逃さないことが、犯罪抑止力の向上に繋がると考えられますが、警察当局のお考えを伺います。

2 県下における犯罪情勢と取り調べ技術の向上と伝承について

本当は、取り調べの可視化について質問をしたかったのですが、国の方針を見守るとして、今回は県下における犯罪情勢の現状と取り調べの技術の向上と伝承について質問をします。

(1)県下における犯罪情勢について

県下における刑法犯の認知件数は、最悪だった平成14年の16万件から毎年減少し、今ではピーク時の半減で約7万件という状態となっています。しかし、依然として街頭犯罪・侵入犯罪は多く、高齢者を狙った振り込め詐欺等は過去最高となっており、体感治安は良くなっているとは思われません。

更に、検挙率もピーク時からは、一定の回復をしたものの22年以降30%弱で低迷しています。

そこで、まず県下の犯罪情勢に関して、この30%弱と低迷した検挙率を、警察はどのように捉えておられているのか、また、検挙率を高めるために、どのような取り組みをされているのかお伺いします。

(2)取り調べ技術の向上と伝承について

現在、ベテラン刑事が大量退職し、技術継承が上手くいかず、捜査能力が未熟である警察官が増えているのが大きな問題で、検挙率低迷の一因であるとお伺いしたことがあります。

先般、一連の大阪府警の誤認逮捕に関する新聞記事を見ました。いずれも被害者の証言に頼り過ぎ、アリバイ等客観的な証拠の精査をおろそかにしたのが原因で、「捜査能力が問われている」という記事でした。兵庫県警にも同様の事がないことを祈るばかりです。

このような団塊の世代の大量退職問題は、警察以外の様々な業種でも同様に発生しており、その打開策を見い出すことは県警の喫緊の課題でもあると思います。

刑事訴訟法の目的には「事案の真相を明らかにする」ということが掲げられておりますが、そのためにも「取り調べ」という容疑者からの聞き取りは、大変重要な捜査活動だと思います。

テレビドラマで放映されている取調室のシーンでは、刑事と容疑者との間で、心理戦というか壮絶な駆け引きが繰り広げられるのが感じ取れます。

この取調べについて、実際に個々の刑事がどのような取り調べをしているのか、取り調べの録音、録画が全面的に行われていないし、たとえ行われていたとしても一般に公開されることは困難であろう事から、その取調べの優劣、適否について評価をすることが難しいように思われます。

先日、警察庁が取り調べの教本を発行し、全国の警察に配布するという記事を見ました。内容についてはインターネットでも検索することが出来ますが、犯人を自供に導くための取り調べのノウハウが記載されています。

このような教本が活用され、しっかりした後継者の育成が出来れば、取り調べ技術が向上され、検挙件数の向上はもとより、全国警察で散見される誤認逮捕や冤罪事件の防止にも繋がると期待しています。

そこで、警察当局として取り調べ技術の向上と伝承について、どのように取り組んでいるのかお伺いします。

●県土整備部

1 三宮駅周辺の再開発推進について
(1)三宮駅周辺の課題について
(2)今後の県の取組について
2 自転車道の整備による生活道路や通学路の安全確保について

全文

予算特別委員会質問(県土整備部)

平成26年3月11日(火)

1 三宮駅周辺の再開発推進について

(1)三宮駅周辺の課題について

 近年実施しているJR博多・金沢・京都駅の改築は、都市の新たな魅力づくりと大いに関係しています。また、2011年春の大阪駅改築では、周辺の再開発と合わさり、大いに賑わいを取り戻し、大変身を遂げています。

同じく大阪阿倍野地区の再開発でも、先週オープンした日本一の高層ビルとなった“あべのハルカス”を中心に、街の魅力アップで経済効果は絶大になると評価されています。

私達、兵庫県民は、京都・大阪に次ぎ、今度は、三宮駅と胸を膨らませ、隣接広場を合わせた総合的な再開発が、元気な神戸を取り戻す起爆剤になることを期待するものです。

三宮駅周辺は、JR・阪急・阪神・市営地下鉄・ポートライナー・路線バス等の交通結節点で、鉄道だけで1日延べ65万人の乗降客が利用しており、交通拠点の要となっています。そこで、観光・ビジネスの中心地域である三宮駅周辺の再開発に大いに期待するものですが、県として三宮駅周辺における現在の課題と再開発の必要性をどのように認識しておられるのか所見をお伺いします。

(2)今後の県の取組について

現在、阪神・淡路大震災の復興から取り残されているJR三ノ宮駅と阪急三宮駅を中心とし、周辺を含めた再開発は、まちづくりや観光の視点からも極めて重要なことであります。特に、この玄関口・三宮は、未来の神戸の顔で、兵庫県の顔としても重要な役割を果たす拠点として、将来像を見据えた幅広い観点からの取り組みが必要だと考えます。

そこで、県と神戸市が協調し、JR西日本・阪急と連携した取り組みが必要と思われますが、県としてどのように取り組んでいこうとしておられるのか、ご所見をお尋ねします。

2 自転車道の整備による生活道路や通学路の安全確保について

自転車道の整備を訴えたところ、北播磨・加古川・姫路~明石間のサイクリング道路の回答が返って来ました。

自転車好きの私にとっては、サイクリング道路の充実は大変嬉しいことです。しかし、ここでは都市部の通勤・通学・ショッピング等、都市機能の集約としての自転車生活圏を支える地域づくり・まちづくりの観点から、安全に自転車を利用しやすい道路ネットワークの整備を訴えるものです。

ここ10年で、自転車の事故が、4.5倍に増加し、自転車と歩行者の接触事故は8倍に急増していると聞きます。この数値だけを見ても、生活道路や通学路の安全確保が喫緊の課題であると考えます。

昭和45年、今から44年前に自転車道整備法が制定されています。皆さんもご存知のように、この法の骨子は「交通事故を考慮して、自転車道を整備しなくてはならない」となっています。実に44年前に施行された法律が、未だに遵守されているとは、とても言えない現状です。

更に、道路交通法では、本来自転車は車道を走るべきとなっていますが、車との接触事故を考慮して、これまで走行場所を主に歩道上に整備してきました。その結果、昨今の歩行者との接触事故が急増していると言えます。これは、自転車道整備の遅れが原因であることは明白です。

化石燃料を使いたいだけ使う時代は終わりました。兵庫県が、通勤・通学・ショッピングを自動車から自転車へのシフトを誘導し、安全に自転車が利用出来る街づくりの施策を率先して遂行していくべき“時”であると考えます。

地球温暖化の最大の原因であるCO2の問題でも、産業部門では京都議定書の基準年数値から13.1%減っていますが、逆に運輸部門では5.9%増え、特に自家用車は28.8%と大幅に増えています。自転車の奨励はCO2の削減でも大きな成果を上げることは間違いありません。また、自転車は心肺機能を高め、心身共に健康づくりに役立ち、排気ガス・騒音も出さず、環境に優しく、交通渋滞もありません。通勤以外でも、休日に親子で安全に自転車に乗れる環境になれば、親子関係に素晴らしい影響を与えるものと確信しています。

パリでは、道路の真ん中に対面通行出来る自転車道が整備され、美術館・博物館巡りが出来ます。コペンハーゲンでは、自転車通勤者が5割になることを目指し、街づくり政策が進められています。

私は、兵庫県の中心地である神戸を、是非自転車に優しい街にして頂きたいと願っています。先ほど述べましたように、政令指定都市であるからと言って,全て神戸にお任せではいけません。

先進国の大都市の多くが、幹線道路には自転車道を併設し、中心地には観光客や住民の為に、ディポジット制で乗り捨て自由の貸自転車と自転車ステーションを設け、自転車での観光地巡りや、身軽な自転車移動を奨励しています。今や先進国だけでなく、発展途上国の観光地にまで自転車利用が広がっているのを、世界の常識として理解すれば、兵庫県が自転車奨励の街づくり政策を積極的に推進すべき“時”であると考えます。

まちづくりの施策の中に自転車道の整備を位置付け、マナー向上への啓発を行うと同時に、歩道と自転車道の分離した整備を積極的に取り組むことが必要であると考えます。都市中心部の自転車道の整備による生活道路や通学路の安全確保を推進し、自転車を奨励する兵庫県になって頂きたいと考えますが、当局の基本的な考え方をお尋ねします。

小池 ひろのり
中央区

●健康福祉部

1 助産師の活用について
(1)産科医確保に向けた取組状況について
(2)院外への助産所の開設支援について
(3)助産師確保のための各種事業について
2 生活困窮者の自立促進について
(1)これまでの生活困窮者への自立支援の状況について
(2)生活困窮者自立支援モデル事業における就労支援について

全文

予算特別委員会質問(健康福祉部)

平成26年3月6日(木)

1 助産師の活用について

(1)産科医確保に向けた取組状況について

産科医の処遇改善を通じて産科医療体制を確保するために、「産科医等育成・確保支援事業」として分娩手当等の一部に対しての助成を予算額108,266千円として従来から実施してきているが、これが主要事業として記載されるだけでは、産科医確保に対する県の姿勢が消極的な印象を受けるが、具体にどのように取り組んでいるのか、その状況について伺う。

(2)院外への助産所の開設支援について

次に、「院外への助産所の開設支援」について伺う。

平成25年4月改訂された「兵庫県保健医療計画」の周産期医療の項には、その課題として「晩婚化の影響による高齢妊娠や各種合併症妊娠等のリスクの高い出産が増加傾向にありそれに対する医療需要が高まっている。地域における周産期医療体制の見直しが必要。」とあるが、皆さんご存じのように産科医が疲弊してしまうような現状となっている。

そのような産科の現状を踏まえて、産科医療体制を確保するために、県としてはいろいろと手を打っていただいており、感謝しているところである。

例えば、西播磨においては、新たな周産期医療センターではなく、赤穂市民病院、公立宍粟総合病院の産科を充実・拡充し、産科医の負担軽減を図ることで産科医療が機能するようにしているとともに、院内助産所・助産師外来の設置を促進することで産科医の負担軽減を図っている。

しかしながら、院内助産所・助産師外来の設置では空白域は埋まらないので、それに伴う空白域における正常分娩には、どのように対処していくのか、所見を伺う。また、空白域の解消のためには、助産所の開設を支援していくことだと考えるが、併せてご所見を伺う。

(3)助産師確保のための各種事業について

また、「兵庫県保健医療計画」第2部第1章の助産師の項には、助産師の確保と資質の向上を図る必要があることなどが課題とされており、その推進方策として一つに、「助産師確保及び質の向上のための事業及び支援を行う」こと。二つに「院内助産所・助産師外来を設置しようとする産科病院及び診療所に対し、体制整備に必要な経費の一部を補助し、院内助産所・助産師外来の設置を促進する。」とある。

具体の県事業としては、『院内助産所等施設設備整備費補助5,080千円(昨年まで2,540千円)』『院内助産所・助産師外来開設のための助産師等研修事業費1,801千円』を計上しているが、両事業について、院内助産所に限定している理由について伺う。

2 生活困窮者の自立促進について

(1)これまでの生活困窮者への自立支援の状況について

平成27年度施行予定の生活困窮者自立支援法に係る事業のノウハウを蓄積するため、このたび生活困窮者自立促進支援モデル事業を新たに実施することとなる。昨年12月の我が会派の掛水議員からの一般質問において、「『貧困・困窮者サポート事業』の実施などを取り組んできた」との答弁があったが、これまでの生活困窮者に対する自立支援の状況について伺う。

また、今回の生活困窮者自立促進支援モデル事業において、これまでの取組みと異なる点や特徴についても併せて伺う。

(2)生活困窮者自立支援モデル事業における就労支援について

生活困窮者自立支援モデル事業では、直ちに一般就労が困難なものに対する「中間的就労」の場が設けられたことは評価しているが、自立の最終形である就労支援に繋いでいく部分が見えないように思う。この点について、どのように取り組んでいこうとされているのか、ご所見を伺う。

●産業労働部

1 「戦力」としての障碍者雇用への転換について
2 地場産業の支援のあり方について

全文

予算特別委員会質問(産業労働部)

平成26年3月7日(金)

1 「戦力」としての障碍者雇用への転換について

最初に、「戦力」としての障碍者雇用への転換について、伺う。

障碍者の雇用促進に向けては、昨年4月からの法定雇用率2.0%への引き上げに加え、平成28年度から施行される「改正障害者雇用促進法」や「障害者差別解消法」などの法整備も進められているが、障碍者の多くは、自身の生活に必要な収入を得ることが出来ないのが実情である。

私は、その要因として障碍者を社会のお荷物と見る偏見や思い込みが根強いからであると思っている。企業においては、効率や品質、費用対効果が問われることもあり、特に偏見が根強いと思われる。そのせいもあってか、多くの障碍者が一般就労に至らず、福祉的就労という名のもと、月1万円程度しか支払われないお手伝い的な作業への従事に留まっている。また、雇用をしている場合でも、法定雇用率を達成するため、戦力としてではなく社会貢献的要素の強い雇用となっている。

このような状況ではあるが、最近では、障碍者を戦力として雇用する企業が、幾つも現れている。例えば、障碍者雇用をきっかけに、職場環境が改善され、作業効率が上がったケースや障碍者雇用によって社内の雰囲気が良くなり、意思疎通が十分に取れるようになった結果、業績が上がったケースなどの各種事例が報告されています。

成功しているケースでは、障碍者が担っている状況をその人の個性と捉え、個性に合った仕事を任せているのが特徴であり、適材適所の配置が行われている。もちろん、その適材適所に向けては経営者や指導者も努力しており、その結果、健常である従業員にとっても仕事がしやすい環境となり、結果として業績増につながる好循環が生み出されている。

障碍者の能力が発揮されている職場では、健常者社員の精神健康度も仕事満足度も高くなっているとの研究成果も報告されています。そこで、県において障碍者雇用を進めていくにあたり、障碍者を社会貢献として雇用するのではなく、戦力としての障碍者雇用へ転換させていく視点を持つことが必要だと考えるが、当局の所見を伺う。

また、この点について、企業に対する啓発をどのようにおこなっているのか併せて伺う。

2 地場産業の支援のあり方について

続いて、地場産業の支援のあり方について、お伺いする。

地場産業の定義については、諸説があり解釈は一様でないが、中小企業庁が地場産業の実態調査を実施するために定めた要領では、①地元資本をベースとする中小企業が一定の地域(概ね県内)に集積していること、②地域内に産出する物産等を主原料とし、または蓄積された経営資源(技術、労働力、資本等)を活用し、他地域から原材料を移入して加工を行っていること、③その製品の販路として、地域内需要のみならず地域外需要をも指向していること、と定義されている。

地場産業は、他地域からの誘致企業とは異なり、地元に一定期間密着していることもあり、地場産業の活性化によって、地域の活性化へ繋がることが大いに期待できることから、地場産業を構成する多くの企業がそのようになってもらいたいと思っている。

新年度予算では、清酒、ケミカルシューズ、豊岡かばんなど主要な7産地に対しては、ブランド力強化や、海外展開への支援などマーケット対応力の強化に取り組まれようとしている。しかしながら県内には、先ほどの7産地を含め、40を越える地場産業があり、これら全てについて、一律に支援していくわけにかない。

各産地の状況は具に把握していないが、県が支援していくからには、それなりの成果を見据えたものでなければならないと考える。既存の地場産業支援に加え、新たな地場産業を生み出していくためには、地域に元々ある資源を改めて見つめ直し、産業化を図っていく必要もあると考えるが、そのような視点を持っているのか。また、どのような支援を行っているのか、所見を伺う。

●教育委員会

1 幼児期・児童期における情操教育について
2 小学校における「ことばの力」の育成について
3 幼児期における教育の充実について
4 小学校におけるキャリア形成について
5 いじめを許さない集団づくりについて
(1)今年度の成果について

全文

予算特別委員会質問(教育委員会)

平成26年3月12日(木)

1 幼児期・児童期における情操教育について

はじめに、「幼児期・児童期における情操教育」について伺う。

情操教育については、明確な定義はなされていないようであるが、美しいものを素直に美しいと感じる心や優れたものに触れて感動する心、創造力や知的好奇心、思いやりの“心を育む”教育だと理解しており、すべての教育における基本となるものだと考えている。

来年度の重要施策体系表を見ると、「『確かな学力』の育成」の次に「『豊かな心』の育成」が掲げられており、私はこの順番が逆ではないかと感じている。「豊かな心」を育むことができないと、「確かな学力」もついてこないし、情報教育を施すにしても、思いやりのある「豊かな心」が育まれていないなかでは、活用の仕方を誤ってしてしまうのではないかと思っている。

情操教育の成否は、子どもを取り巻く環境にかかっており、大切なのは、情報を言語で処理できない早い段階から心に響くような体験をたくさん重ねることにより、いかに感性を磨いていくことができるかに懸かっている。

『豊かな心』の育成の項の最初に掲げられている「兵庫型『体験教育』」では、小学生向けには、「環境体験事業」、「自然学校」を行うこととなっている。

体験教育は、知識として身に付けるのではなく、疑似体験も含めた体験を通して心に感性を培っていく事につなげていくものであり、「豊かな心」を育む観点から、特に幼児期・児童期においては自然と触れ合うことに加えて、音楽・美術・文芸など、芸術部門で行う情操教育が重要と考えるが、この点についてどのように認識しているのか、所見を伺う。また、育むべき「豊かな心」についてどのように考えているのか、併せて伺う。

2 小学校における「ことばの力」の育成について

次に、「小学校における『ことばの力』の育成」について伺う。

平成23年度より、小学校において新学習指導要領が全面実施され、5、6年生を対象に、年間35単位時間の「外国語活動」が必修化された。文部科学省のホームページには、「外国語活動においては、音声を中心に外国語に慣れ親しませる活動を通じて、言語や文化について体験的に理解を深めるとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、コミュニケーション能力の素地を養うことを目標として様々な活動を行います。」とされている。

「生きる力」の基礎になるのは、「コミュニケーション能力」であり、その土台の上で初めていろいろな能力が効果を発揮する。その「コミュニケーション能力」を支えるのは、母国語である「日本語力」であり、それを「ことばの力」(言語活動)と表現していると私は理解している。

さらに、小学校5、6年生において必須としていた「外国語活動」を、正式に教科とし、小学校3年生から英語教育を開始する方針が文部科学省より発表された。その狙いは初等教育の段階からグローバル化に対応した教育を充実することで、国際社会の中で活躍できる人材を育成することといわれている。

母国語である日本語でのコミュニケーションが出来なければ、英語をはじめ他の言語で伝えたいことを伝えられるはずもなく、特に小学生の間においては、「日本語力」を身に付けていくことを優先させるべきではないかと思う。

しかしながら来年度の当初予算案を見ると、「『ことばの力』の育成のところで、昨年度まで実施していた小学生を対象にした事業が姿を消している。

例えば、今年度までは、教員、保護者、県民等を対象としてひょうご「ことばの力」ステップアップフォーラムを開催し、児童生徒による発表会を実施していたが、学校における言語活動が浸透したのか来年度は姿を消している。

発達段階を問わず、家庭に任せる部分があるのは当然であるが、幼稚園・小学校における教育が基礎にあってこそ、中学・高校での教育が意味を持つことは、教師の方々もいつも言っておられることであるが、来年度、小学校において「ことばの力」をどのように育成しようとされているのか伺う。

3 幼児期における教育の充実について 

次に、幼児期の教育の充実に向けた取り組みについて伺う。

先ほどより、「豊かな心」、「ことばの力」の育成について、質問したが、いずれも、幼児期における教育をしっかり行うことにより、その充実が見込めるものである。

本県における幼児期の教育は、記者発表資料を見る限りでは、文部科学省の委託事業を、受託実施しているのみの状況が続いている。ちなみに、今年度は、いわゆる「小1プロブレム」への対応として「幼児期と小学校の『学び』の接続充実事業」を実施しており、来年度は、「幼児教育質の向上支援事業」として、幼児期の教育において、体験を通して言葉の豊かな成長を支える教育を推進する実践研究を行うとのことである。

幼児教育は、遊びの中から、体験として、自然・人・物との関わり、「ことば」「表現」を通した「伝え合う力」を育む、ということから「ことば」で表現する力等を育成する方向に変わってきているのではないかと感じている。

しかしながら、幼児期から小学校低学年までは、「ことば」だけではなく、音や絵などでの表現や身体を使った表現も「心」の形成に大きく寄与するものである。

幼児期の教育は、基本的に市町が担う部分が大きいのは理解しているが、基本的な生活習慣の欠如やコミュニケーション能力の不足、小学校生活への不適応など、県としても積極的に幼児教育に取り組んでいく必要があると考えるが、幼児期の教育における県教育委員会の役割についてどのように認識しているのか、また、今後幼児期の教育をどのように充実させていくのか併せて伺う。

4 小学校におけるキャリア形成について

次に、「小学校におけるキャリア形成」について伺う。

来年度の当初予算(案)を見ると、①キャリアプランニング能力、②コミュニケーション能力、③課題対応能力等を社会的自立に必要な能力として育成するとしている。

また、小学校の教員用に「キャリア教育指導資料」を新たに作成するとしている。先ほど質問したとおり、「コミュニケーション能力」は日本語力を高めていくことで身につくと考えている。また、「課題対応能力」は、状況を読み解く力、例えば、理科の実験に代表されるように「なぜ?」から始まり、実験結果から新たな課題を見つけ解決していくことで身につくものである。

小学生・中学生の間は、このような「コミュニケーション能力」や「課題対応能力」の育成に重点を置く段階であって、将来のあり方や生き方について考えるキャリア教育は高校生になってから十分であり、早くてもせいぜい中学生くらいからだと考える。

そこで、ここで言う「キャリア」とは何か、また、小学校におけるキャリア形成の考え方とともに伺う。

5 いじめを許さない集団づくりについて

最後に、いじめを許さない集団づくりについて伺う。

いじめや問題行動に対して、いろいろな施策を行っていただいていることには感謝申し上げる。

いじめへの対応を行っていくにあたり、まずは、目の前で現に起きているいじめへの対応が優先され、対処療法的になってしまう部分があるのは、一定やむを得ないと思っている。

来年度予算でも、いじめの未然防止について対策を講じられているが、その中で、「いじめを許さない集団づくりの推進」について、以下2点お伺いする。

(1)今年度の成果について

今年度、高等学校においては「いじめを許さないという意識を徹底させるため、人間関係を築き、協力をして問題を解決する力や、思いやりの心を育てる実践的な取組を推進する」とされている。また、新年度から「いじめを許さない集団づくりの推進」として、各学校において、児童生徒が児童会、生徒会活動を通して、いじめ防止や命の大切さを呼びかけるなど主体的な活動に取り組むなどによっていじめを許さない集団づくりを推進するとしている。

今後は高等学校における取り組みを踏まえ、小・中学校へ拡げるものと理解しているが、今年度の高等学校での取り組みについて、どのような成果があったのか伺う。

(2)いじめの原因・背景に対する分析・研究の状況について

昨年2月議会の一般質問において、私は、同学年の児童や生徒の間で共有されている地位の差としての「スクールカースト」について取り上げた。スクールカーストについて、生徒側と教師側の捉え方に差があることを指摘したうえで、「スクールカースト」がいじめを生み出す温床となっているとし、これまであまり重要視されてこなかったクラス内における生徒間の人間関係について平時からその現状について把握する必要性があることを質問した。

その答弁では、「今年度、心の教育総合センターを核として、兵庫教育大学を初めとする専門機関の様々な知見を得ながら、現在の子供社会の変化やその背景を踏まえ、集団行動、集団心理も視野にいれつつ、いじめの原因・背景について、しっかり分析・研究を進め、今後の施策に反映できるように検討する」とのことであった。

そこで、今回、「いじめを許さない集団づくりの推進」を新たに取り組むにあたって、先の答弁にあった、いじめの原因・背景についてどのように分析したのか、その状況について伺う。

●総括審査

1 平成26年度県政の推進について
2 県有環境林の取得について
3 安全の兵庫づくりに向けた防災・減災対策について
4 安心の兵庫づくりに向けた医療体制の構築について
(1)診療科目の医師の偏在について
(2)医師を目指すためのキャリア形成支援について
5 人が活きる産業の確立について
(1)新たな産業を創造する起業家の育成について
(2)世界と戦える農業の確立について
6 家庭及び地域の教育力の向上について

全文

予算特別委員会質問(総括)

平成26年3月14日(金)

1 平成26年度県政の推進について

平成26年度一般会計の当初予算は、厳しい財政環境の中で、第3次行革プランを基本方針として、ゼロベースによる事務事業の見直しや選択と集中を進めることなどにより、前年度とほぼ同程度の予算規模を確保していますが、複雑・多様化する県民ニーズに的確に応えていくためには、減り張りのある施策を推進していく必要があります。

本定例会に上程された第3次行革プランでは、平成30年度に収支不足を解消するとしていますが、依然として、来年度予算において572億円の一般財源の収支不足が生じており、本県は財政の健全化が急務の課題となっています。

県行政は、「民間及び市町の補完である。」というのが基本的な考え方です。県は、施策の狭間に落ち込んでいる県民への支援を含めて、民間や市町による住民サービスが行き届ききれないところを補完し、より広域的に施策を展開しなければならない分野について重点的に推進していくべきであると考えます。

例えば、年齢、性別、障害などの違いに関係なく、誰もが地域社会の一員として、安心して暮らし、元気に活動できる社会を目指すユニバーサル社会づくりは、県内市町の取組において、その達成について共通する課題となっていることから、県が率先して取り組むべき施策だと考えます。

このたびの部局別審査においても、我が会派から、市町が主体的に取り組んでいる地域に根づいた事業に対しては、二重行政とならないよう県の役割を十分に認識すべきであると申し上げたところです。その一方で、より広域的な観点から県全体として調和のとれた取組を推進していくためには、市町が実施主体であっても県が積極的に関与していくべきであると提言いたしました。

知事の提案説明にもありましたが“安全で元気なふるさと兵庫の実現”を目指していくためには、まず何よりも地域が元気でなければなりません。これまでも、県下では、NPOや地元自治体などによる地域の元気づくりに向けた様々な取組みが行われていますが、県としては、これらの取組みを補完し下支えするとともに、防災・減災対策や社会保障関係など、より広域的な観点から県下で共通する課題の解決に向けた取り組みを進めていただきたいと考えます。

そこで、来年度県政を推進していくにあたり、以上の基本的な考え方がどのような形で反映されたのか、知事のご所見をお伺いします。

2 県有環境林の取得について

県では、第3次行革プランにおいて、先行取得用地など公共目的のために、これまでに取得した長期保有土地の処理に係る基本方針を定め、今後、この基本方針に基づいて、長期保有土地については、庁内での利活用のほか、地元市町への売却・譲渡や民間売却、さらには、直ちに利活用が見込めない山林は、県有環境林として管理するなどの処理を進めていくこととしています。

今年度末における県全体の利活用や処分の検討を要する長期保有土地は、面積約2,962ha、金額にして約2,094億円に上ると見込まれており、今後の財政運営に大きな影響を与えかねません。

このような状況のなかで、平成25年度2月補正予算において、過去に公共用地先行取得等事業債を発行して取得した用地のうち、今年度末に事業債の償還期限が到来するものについて、県有環境林として所管替するための経費に約413億円が計上されています。

乱開発の抑制等のために取得した先行取得用地について、その後の社会情勢の変化による影響があったとはいえ、先行取得に要した事業債の償還期限が到来する理由で県有環境林として取得し直すために先行取得用地から環境林へと管理区分を変えただけの処理であるため、県民にとって非常に分かりにくいのではないかと思います。

また、これらの用地は、これまで具体的な活用がなかったことから、今後、環境林として管理されたとしても、実質的には、そのままの状態で維持管理が継続されることに変わりはないのでしょうが、交付税措置のある地域活性化事業債を発行して取得するものの、償還終了までの金利負担は、今後考慮する必要があります。

県有環境林等特別会計は、県土や自然環境の保全等の公益的機能を有する森林を保全するために設けられていますが、これら先行用地がこの特別会計で管理されることになるのです。

県では、第3次行革プランに基づいて、平成30年度までに先行取得等事業債の償還期限が順次到来する用地について、このたびの処理と同じく、事業債を償還するために県有環境林として取得することとしています。

そこで、これら県有環境林として取得する用地について、その取得目的を含め、環境林として取得するに至った経緯や、今後、どのような利活用を検討しているのかなど、県民へ分かりやすく説明していく必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3 安全の兵庫づくりに向けた防災・減災対策について

来年1月17日には、阪神・淡路大震災から20年を迎えます。あの震災の記憶を風化させることなく、しっかりと後生に伝え、そして教訓として来るべき南海トラフ巨大地震等の大規模自然災害に備えなければなりません。

来年度の当初予算では、「伝える」、「備える」、「活かす」を基本コンセプトとして、県民参加による多彩な事業が予定されており、県民の防災・減災意識の向上に向けた取り組みに大いに期待したいところです。

一方で、県民意識の醸成とともに、いかにして災害を未然に防いで、災害を減らすかという取り組みも欠かせません。特に、今後30年以内に70%程度、50年以内では90%と高い確率で将来発生が予測されている南海トラフ地震に対する対応が急がれます。

このため来年度では、津波防災インフラ整備5箇年計画に基づいて、南海トラフ巨大地震による津波に備えるための防潮堤や防潮水門の整備等を重点的に進めることとしており、今後10年間で完了することとしています。

本年2月に、県は、国の南海トラフ巨大地震による津波被害想定を踏まえた、独自の津波浸水想定図を発表しました。これによると、神戸・阪神地域を始め、播磨、淡路地域を含めた県全体の浸水面積は、国の想定の3.2倍の面積に広がることが分かりました。このことは新聞等でも大きく報道され、自分達の住んでいる地域がどうなるのか、多くの県民の方が関心を持ったと思っています。

県では、昨年2月に策定された津波防災インフラ5箇年計画において、甚大な浸水被害が想定される地区を重点整備地区として指定していますが、このたびの津波浸水想定図を踏まえ、重点整備地区を追加するなど、この計画を見直すこととしています。ぜひとも、県民の安全・安心を守るためにも、優先順位を上げて取り組んでいただきたいと思います。

そこで、この津波浸水想定図に基づいて、間もなく策定される被害想定では、被害額、被害量ともに甚大になることも考えられることから、住民の避難対策や避難ビルの耐震化対策など、更なる防災・減災対策全般の向上が必要であると考えますが、この点について、当局のご所見をお伺いします。

4 安心の兵庫づくりに向けた医療体制の構築について

(1)診療科目の医師の偏在について

知事は提案説明の中で、地域や診療科目毎の医師の偏在は依然として大きな課題であると述べておられます。

県では、一定の条件のもと試算すれば、平成38年頃には医師数は充足すると予測されていますが、それは全体数であります。故に、地域や診療科の偏在が改まるかというとそうではなく、人気がある都市部のような地域や総合病院あるいは診療科へ集まってしまうのは、自然の成り行きであると考えます。

医師確保について、大変な思いでご尽力いただいているのは承知をしておりますが、地域偏在や診療科偏在のいずれも、希望者が少ないというところに尽きると考えております。診療科目で言えば、産科、小児科、麻酔科等の医師不足は特に深刻ですが、これらの希望者が少ないと言うことは、魅力が感じられなくなったと言うことではないでしょうか。

つまり、診療科目の偏在については、医療訴訟に対する不安や、職務内容に応じた報酬が得られないことなど、また、地域の偏在については、都会志向や、地域になじみがない等々であると推測されますが、その他にも、人の命を守るという使命感などが医師を目指す昨今の若者達にとって希薄になってきているのではないかと推測します。

そこで、まず、診療科目の医師の偏在という課題について、要因や解決に向けた取組の考え方をお伺いします。

(2)医師を目指すためのキャリア形成支援について

医師という職業がいかにすばらしいかについて、次代を担う子供たちの心の中に、訴える教育を進めることも必要であると考えます。

「命の大切さ」であるとか、自分たちは「生きている」のではなく、「生かされている」のだから、その命を救うことや守るという行為は崇高なことである、というような倫理観を育むことが必要であります。しかし、それは道徳の時間などの座学で育成するだけでは足りないと考えます。

山本周五郎原作、黒澤明監督の映画「赤ひげ」や、山田貴敏原作、吉田紀子脚本のテレビドラマ「Dr.コトー診療所」などが、見た者の心を捉えたというのは、なぜでしょうか。

そこで、例えば、教育委員会では社会的自立に向けたキャリア形成の支援に取り組むとしていますが、子どもが将来に具体的な目標が持てるように、例えば、医師や看護師による“生の声”を聞く時間を設けることも、長い目で見た一つの方策だと考えますが、ご所見をお伺いします。

5 人が活きる産業の確立について

これからの兵庫県を支えていくためには、若者の力が必要です。しかしながら、兵庫県の人口は既に減少傾向にあり、2040年には469万人とピーク時から約90万人減少することが予測されています。特に、将来を担う20代~30代の若い世代の割合がピーク時の24.5%から19.2%と減少が著しく、反対に高齢者が急増する社会へ一変します。将来の兵庫県を支えていく上で、若者の存在が貴重であり重要になってくるのです。

かつて日本の高度経済成長期を支えた原動力となったのが、「団塊の世代」と呼ばれた若者たちでした。圧倒的な労働力を誇る日本のモノづくり産業は、瞬く間に海外市場を席捲し、家電産業や自動車産業などにおいて確固たる地位を築き上げました。もちろん、そこには豊富な労働力だけでなく、熾烈な競争社会の中で鍛え上げられた若者達の勤勉さ・探求心が生み出した高い技術力があってこそだと考えるのです。

団塊の世代と比べるとこれからの若者たちは、労働力人口ではかないませんが、それを補って余りある創造力やグローバルな視点を持った人材が一人でも多く兵庫県から育つことを願うものです。

そのためには、これからの日本の産業を支えるリーダーの育成が重要になってきます。これについては、民間や市町だけに任せるのではなく、県が率先してより広域的・多角的な視点から人材を育成しなくてはならないと思います。

この質問では「人が活きる産業の確立について」として、農林水産業も含めた産業全般に通じる課題を取り上げ、本県として“世界で戦える人材”の育成について、今後どのようなビジョンを持って推進しようとするのか、以下、2点お伺いします。

(1)新たな産業を創造する起業家の育成について

このたび策定された「ひょうご経済・雇用活性化プラン」では、平成26年度から30年度までの5年間を計画期間として、中長期的な視点から兵庫経済の持続的成長につながる、活力あるしなやかな産業構造を構築していくとしており、今後5年間で先端医療、次世代エネルギー・環境、高度技術関連をはじめ成長が見込まれる先端分野などに力を入れていくとしています。

このプランでは、課題認識として、少子高齢化による社会構造の変化や経済のグローバル化などにより、本県の産業構造も変革しなくてはいけないとしています。つまり、労働力人口が減少していく中で、今後とも兵庫県の産業が海外市場で優位性を保つためには、労働集約型産業から脱皮をして知識集約型産業にシフトしなくてはなりません。その意味では、本県は早くから、播磨科学公園都市のスプリング8をはじめとする科学技術分野や、ポートアイランドの医療産業の集積など全国をリードする産業が育っています。今後は、このプランに基づいて、更なる成長に向けて取り組みを進めていただきたいと思います。

その一方で、いささか気になる点としては、経済の活性化にとって起業はますます重要になってくるとしながらも、全国同様に本県においても起業家はなかなか思うように育っておらず、廃業率が開業率を上回る状況にあるということです。特に、29歳以下の若い世代の起業が減少しており、若者の能力を発揮する場の創出が課題となっています。

若者のチャレンジ精神をくみ取り、やりたいことが仕事にできる可能性を広げていくことも兵庫の成長につながっていくと考えます。

今回のプランでは、新たな産業を創造する高度人材の育成について、県、神戸大学、計算科学振興財団が取り組んでいる企業におけるシミュレーション技術者の養成や、兵庫県立大学の生命理学研究の分野での「博士課程教育リーディングプログラム」の採択、地域資源マネジメント研究科の開設などを紹介していますが、県としても世界で活躍する人材を育てるために、ここで学んだ学生が次なる人材育成の先導者として活躍できるよう卒業後の支援などの取り組みが必要であると考えます。

第二の“ビル・ゲイツ”や“スティーブ・ジョブズ”を兵庫県から輩出するという意気込みを持って、創造力と経営的センスに優れたリーダーの育成を推進していただきたいと思います。

そこで、県として、将来を担う人材、特に新たな産業を創造する起業家の育成について、どのように取り組んでいこうとされているのか、ご所見をお伺いします。

(2)世界と戦える農業の確立について

農林水産業についても、「ひょうご経済・雇用活性化プラン」に位置づけられているとおり、本県の経済を支える重要な産業として、世界と戦える成長産業に向けた支援を積極的に講じるべきではないかと考えています。

「ひょうご農林水産ビジョン2020」においても指摘されているように、本県の農林水産業は、担い手の減少と高齢化が進んでいます。特に、本県の農業構造を見ると、販売農家の農業就業人口の7割が65歳以上で平均年齢は67歳を超えており、また、販売農家1戸当たりの経営耕地面積も0.86haと、高齢者による小規模経営が主体となっています。

しかしながら、海外ではTPP交渉の動向、国内では減反制度が廃止される方向など、今や農業を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。今のままの構造体系では、日本の農業は立ち行かなくなるのは時間の問題です。魅力ある産業へと変貌を遂げるためには、まず何より意欲ある若い担い手を確保しなければなりません。機械化・大規模化により効率化が図られる部分はあるでしょうが、やはり、生産者の手作業が必要になるといった点においては、人が資本であり担い手の確保は欠かすことができません。

農業を守り育てていくには、単に担い手を確保するだけではなく、より発展的に捉えて世界のマーケットで勝つ成長産業を目指した優れた経営センスを持った人材の確保が必要です。

今、農業分野においては、農産品のブランド化により、日本の農産品がアジアをはじめ海外市場で高い評価を得るとともに、農産品をそのまま売るのではなく、加工するなどの付加価値を付けた6次産業化の取り組みも進み、成長産業へ向けた動きが加速しつつあります。これらの取り組みを実践して成功している担い手は、常に消費者の動向や世界に目を向け、生産者としてだけでなく経営者となって、ニーズをいち早くキャッチし、そのニーズに的確に対応しているからです。

確かに、ブランド化や6次産業化などは、農業を支える大きな流れであるといえますが、日本の農産品は既に十分に安全で、ブランド化や加工などしなくても世界に通用する高品質のものがたくさんあります。要するに、潜在的な需要を掘り起こし、新たな販路を開拓することのできる経営的なセンスを持った農業者が必要だと考えるのです。

せっかく良いものを作っても販路開拓ができない、ニーズ把握が十分にできていないようでは、国際化の進展により、生き残りをかけた競争がますます激しさを増すなか、作った農産品を地域の直売所などに卸しているだけでは、自立した農業者としてやっていくことに限界があります。

今こそ、世界に目を向けて世界をマーケットとして戦えるグローバルな視点を持った若い担い手を発掘し、経営者として育てていくことが重要であると考えます。

そこで、現在取り組んでおられる支援に加えて、世界と戦える経営力を持った人材の発掘と育成が重要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

6 家庭及び地域の教育力の向上について

知事は提案説明の中で、次代を担う青少年の育成に当たっては、ふるさとを愛する心や豊かな人間性を培うことにより、自立できる人材を育てていくと述べておられます。

一方、「第2期ひょうご教育創造プラン」では、子どもたちの学びを支えるためには、「学校・家庭・地域は、それぞれが子供たちの成長に関わる当事者として、責任と役割を果たし、互いに連携・協力して、子供たちの教育に取り組む必要がある。」と述べています。

このように、子どもたちがふるさとを愛する心を培うためには、生まれ育った地域での体験や地域の人たちとの交流など、まさに地域から学ぶことが重要となってくるのです。また、家庭は全ての教育の出発点であり、豊かな人間性を育むうえで、最も重要な教育の場であると言えます。

しかしながら、「家庭の教育力」が落ちてきたと言われるようになってから久しく、既に、25年ほど前に、幼稚園の先生方から、「親の教育をして欲しい」という声が寄せられるようになってきました。その頃に幼稚園児だった子供たちが、今まさに親として子育てをする年代になっています。

この間、「親学」という言葉が使われるなど、親が親としてどうあれば良いのかが問われることもありましたが、家庭の教育力が改善するどころか、ますます学校への依存度が高くなっていることは、最近のいじめや不登校などの問題行動の増加などから見ても明らかです。

親を教育するという点について、議論は様々あるのでしょうが、例えば、ジャーナリストの細川珠生氏は、過去、新聞への寄稿の中で、子どもが小学校を卒業するまでは、月1回親に対する道徳教育を必須とする制度を国が作り、欠席などがあれば子どもの成績に加味すべきことを提案しています。正直、ここまでしなくてもと思うのですが、結局、親自身が変わらなければ、家庭での子どもの教育は成り立たないのではないかと考えるのです。

そこで、「第2期ひょうご教育創造プラン」では、『家庭は教育の原点である』として、親が親として成長するための学びの機会を提供するとありますが、家庭の教育力を向上するために、具体的にどのような取組が必要であると考えるのでしょうか。

また、近年、近所づきあいや地域住民とふれあう機会が減少して、地域との関わりが希薄化しており、地域の教育力が低下していることについても、非常に懸念しています。地域社会も人と人のつながり、つまり絆を築いていくことが重要であると考えますが、このプランでは、地域が家庭を支える体制をつくり、家庭教育を支援していくとあります。

このように、人と人のつながりの大切さを考えると、地域の教育力が向上するためには、知事が提案説明で述べられているように自分たちの地域への関心と思いを寄せる「ふるさと意識」を育まねばならないと考えます。

そこで、教育委員会において地域が家庭を支える体制づくりとは、具体にどのようなことを思い描いておられるのでしょうか、併せてご所見をお伺いします。

盛 耕三
相生市

● 財政状況

1 財政フレーム上のリスクについて
(1)税収見込みについて
(2)税収見込みが下回った時の対応について
2 財政運営における目標について
3 財源対策債の評価と将来への影響について
4 「借金」の内容を分かりやすく県民に伝えることについて
5 通年予算と補正予算の関連について
6 サンセット型の行革の推進について
7 県と市町の共同事務について

全文

予算特別委員会質問(財政状況)

平成26年3月4日(月)

3年目の総点検の中で私も委員の一人として議論をしてきたなかで、前進した手ごたえを感じていたのですが、俯瞰してみると、あまりもの厳しい財政状況に無力感のようなものを感じざるを得ません。ただ、厳しい課題だからこそ、しっかりと取り組んでいくことが必要だと決意を新たにし、質問を行います。

さて、財源不足を解消するためには、歳入の増加、歳出の削減、将来世代への負担の転嫁という三択があるわけです。本県に限った話ではありませんが、負担増を求めれば、反対の声が起き、場合によっては政権が倒れる。歳出の削減を求めれば、それはそれで反対の声が上がり、前に進まない。結局は、声を上げることができない将来世代に対する負担の転嫁が往々にして行われがちです。経済学者のコトリフはこの状況を「財政的な幼児虐待」という表現で、現代の財政民主主義の問題点を指摘しています。

持続可能性とは、将来世代の選択肢を奪うことなく、現世代の利益をいかに最大化していくかということであり、そのような観点からすると、依然として「持続可能な行財政体質の構築」という点まで至っていません。

従来から言われているように、行財政改革には県民の理解と協力、納得と支援が必要なのは言うまでもありませんが、その前提となるのは、「わかりやすく」県民に財政状況を開示していくことであり、誠実に財政状況に向き合うことです。そのような視点で、今回の質問の中では、県の財政状況を明らかにし、今まで以上にわかりやすく明らかにしていくのをどうすればいいのかということも意識しながら議論をすすめていきたいと思います。

1.財政フレーム上のリスクについて

(1)    税収見込みについて(財政課)

今回の財政フレームの中で、最も気になったのはこの5年間で経済成長し続け、税収が増加し続けるという見込みをしていることであります。本県では、財政フレームの前提として、内閣府のシナリオ「中長期の経済財政に関する試算」における「経済再生ケース」を採用されていますが、平成30年度の税収見込みは、消費税増収部分を除き7,815億円となっており、人口が減少していく中で果たしてそれだけの税収が確保できるのか不安になります。

もちろん、県が自ら景気動向を算定するわけにもいかず、一定の基準に基づいて算定しなければならないのは理解しますが、人口減少社会を迎え、今後納税義務者が減少していくことを考えると、国の「経済再生ケース」を信じるのはあまりにもリスクが高いと考えます。

たとえば、岡山県では「中長期の経済財政に関する試算(H26.1.20内閣府)」の名目経済成長率(参考ケース)の2分の1の成長率で試算しています。

岡山県の資料によると「国の試算は、積極的な成長を見込む「経済再生ケース」と、それよりも穏やかな成長を見込む「参考ケース」の2つのシナリオが提示されましたが、近年の名目経済成長率は直近の国の見通し(複数示されている場合はより慎重なシナリオのもの)を下回っており、より慎重な財政運営を図る観点から、「参考ケース」の2分の1に設定している」とのことであります。

従来の本県の財政フレームも、緩やかな経済成長を前提にしていたと認識していますが本県で税収見込みをあえて「経済再生ケース」を採用するに至った経緯、基本的な考え方について当局のお考えをお聞かせ下さい。

(2)税収見込みが下回ったときの対応について(財政課)

国が示している将来人口推計では、2015年から2020年の5年間で、人口は2%の減少にとどまっていますが、15歳から64歳の人口は約4%減少する見込みです。

このような状況の中、全国で最も財政状況の悪い本県が、他府県より楽観的なシナリオを用意するということには違和感を持ちます。

将来推計は難しく何らかの基準が必要であったとしても、平成20年度の「新行革プラン」で当初示された平成20年度-25年度の県税等は6年間で、5兆3,440億円の見込みでしたが、リーマンショック等の影響もあり、4兆0225億円と大幅に減少したという現実があります。それだけ、経済という私たちの力では制御しきれないものに依拠する税収見込みは非常に困難だということです。
仮に、財政調整基金が十分にあれば、税収等の変動にも対応できると考えますが、本県ではそれも現時点では臨むこともできません。

そこで、税収見込みが下回ったときの対応について、当局のお考えをお聞かせください。

2.財政運営における目標について(財政課)

県債管理基金の活用は、本年度予算で170億円、今後3年間で350億円を取り崩す予定となっています。ただ、平成30年度には収支均衡になる見込みであり、県債管理基金の活用は平成29年度以降行われない予定となっており、このフレームを何とか維持していただきたいと思っています。

さて、そこで改めて第3次行革プランの中で示された目標を見てみると、県債管理基金の活用は平成30年度時点で、年間のルール積立額の1/3となっています。ただ、平成30年度に収支均衡を果たすという大目標を忠実に守るのであれば、そもそも、平成30年度の県債管理基金活用額を1/3以下と想定していることには意味はなく、当然「0」でなければなりませんし、平成29年度にはそもそも県債管理基金を活用する予定がないのであれば、実質的に目標を上方修正することも検討するべきです。

また、平成30年度積立不足率の目標39%に関しても同様で、このフレームで行けば、平成29年度に達成する見込みとなっています。

私がなぜこのようなことを指摘するかというと、財政運営における県債管理基金の不足額について、39%以下という目標さえ達成すればよいという考え方に立つと、現在の財源対策に加え、さらに約750億円の取り崩しが可能と判断されかねず、財政規律のタガが緩んでしまうことを懸念しているからです。もちろん、将来負担比率や実質公債費比率等に影響があるので、全額そのまま活用できるという計算にはならないと思いますが、そもそも、このような基金の活用は財政運営上問題であることを踏まえると、現時点の見込みを下回ることがあってはなりません。

これは、将来負担比率をはじめ他の指標にも言えます。財政フレームの範囲内、目標はあくまで議会も議決した最低限守るべき目標であって、それを上回る思いが必要です。

そこで、県債管理基金の活用に関する当局のお考えと今後の方針を含め、財政運営の目標達成に向けた、決意をお聞かせください。

3.財源対策債の評価と将来への影響について(財政課)

退職手当債、ならびに行革推進債はともに、定数の削減、人件費の削減、その他行政改革によって償還財源が生み出された場合のみ同意される地方債です。

行革特別委員会の議論の中でも、厳しい財政状況の中、人件費総額の抑制はやむを得ないものの、平成19年度比30%削減という定数や給与抑制措置の見直し、会派を問わず一定の見直しを提起する声もありましたが、定数に関しては退職手当債の償還財源、人件費の削減や各種行革の取り組みは、行革債の償還財源となっています。

ただ、本来短期的な取り組みであるべき財源手当債が長期化してきたことにより、本来の財源効果が失われているのではないかと危惧しています。実際に行革債を制度当初から発行し続けているのは都道府県では本県を含め12道府県しかなく、このような長期的な財源対策はより後年度の財政負担を大きくしたのではないでしょうか? たとえば、退職手当債に関してみると、今年度も、約170億円の元金を返還する一方で200億円発行しており過去の財政運営のツケがまさに利子を含めて後年度の財政負担を強いている状況だと言えます。

もちろん、阪神淡路大震災からの復興経費という本県独自の問題を抱え、やむを得なかった部分もありますが、平成27年度を最後に退職手当債の10年間の特例措置も終わり、財政フレーム上行革債の発行も29年度を最後に終えるわけですから、先が見えてきた今まさにその評価をするべきだと考えます。

具体的には、財源対策債発行により将来負担と歳出削減の効果についてどのように把握をされていますでしょうか?

退職手当債、行革債発行総額ならびに、利払いを含めた影響、行革における将来の影響について、当局のお考えをお聞かせください。

4.「借金」の内容を分かりやすく県民に伝えることについて(財政課)

今年度、一般会計における公債費、元利償還金は2897億円となっています。しかし、この数字だけでは、何のためのために使ったものなか。全く分かりません。

私は、この元利償還に対して、「もう過去のことだから仕方がない」とするのではなく、より詳しく説明責任を果たすべきだと考えます。

たとえば、クレジットカードの明細を思い出していただきたいのですが、いつ、どこで、どんな買い物をしているのかということについて、明細が発行され、それに対して納得したうえで、所定の口座から引き落とされるわけです。

そこで、公債費の内訳を具体的に「いつ、どのような内容であったのか」を県民に分かりやすく広報する。また、県債を発行する際には利子も含めてどのくらいの期間で総額どのくらいの事業になるという見込みを広報するということが必要だと考えますが、いかがですか?

また、現在ある県債残高の中には、後年度100%交付税措置される臨時財政対策債のようなものから、退職手当債や行革債のように全く交付税措置をされないものまで様々です。

同じ県債として表示するのではなく、それぞれの内訳も明らかにするべきだと考えますがいかがでしょうか?

5.通年予算と補正予算の関連について(財政課)

この議会で本予算案と同時に提出された平成25年度補正予算(案)は3月3日可決成立をしました。本県の財政運営の基本は「通年予算」という形をとっており、2月の緊急経済対策などの大型補正予算以外は、仮に当初予算と現状がかい離したり、新たな事業が必要であったとしても、2月定例会で一括して補正予算(案)として上程するという方針とお聞きしました。実際、本定例会でも9月に井戸知事が記者会見で「緊急的に措置するべき事業」として、警察署に女性用シャワールームを設置することやレディースサポート交番の女性用の仮眠室の設置することを明らかにし、既定予算の範囲で行い、2月議会の補正予算で対応する旨を表明され、すでに多くの警察署では設置済みであります。

事業内容に関して異議はなく大変ありがたいことなのですが、補正予算案を審議する前に、すでに工事が進んでいるという状況は、法律的にはたとえ執行権の範囲であったとしても、民主主義のプロセスとしては問題を感じざるを得ません。

一方、県有環境林特別会計に関しては、先行取得した際に発行した債務が満期を迎えるため、当初予算段階から計画的に土地を購入しなければならないことは明らかだと思いますが、2月議会の補正に出てきており、当初予算には出てきていない。このあたりについて、どのような整理をされているのでしょうかお伺いいたします。

6.サンセット型の行革の推進について(財政課)

今回の見直しにあたっては、開始後3年の事業を特に見直すなど事務事業の見直しが行われました。平成25年度の事務事業評価によると、県の事業の多くが依然として昭和63年以前から行われており、本来ゼロベースで見直すというのであれば、長い間行われている事業こそ、しっかりと見直すべきだということを指摘させていただきました。

今年度予算においては、スクラップ&ビルドの観点から、205事業が見直されています。

しかし、なお厳しい財政状況を考えるならば、今後行う新規事業には、目標と終期を明確に設定していくことが必要ですが、いかがでしょうか?

7.県と市町の共同事務について(新行政課・財政課)

効率的な行政を行うという観点からは、いかに県と市町が共同事務を行うかが一つの大きな要素といえます。

たとえば、道路管理、特に除雪作業等は国道・県道・市道・町道で取り組みが異なると大きな弊害が生まれることは、先だって東日本を襲った大雪で生じたとも聞いている。

そこで、県と市町において協同事務を行うことが有用だと考えますが、どの事業がどのように取り組まれ、今後どのような取り組みを推進していくのか、当局のお考えをお聞かせください。

●企画県民部①

1 県民ボランタリー活動助成について
2 孤立無援者(SNEP)対策について
3 総合的な若者政策について
(1)若者政策担当部署について
(2)若者の社会参画について

全文

予算特別委員会質問(企画県民部①)

平成26年3月5日(水)

1.県民ボランタリー活動助成について

平成23年度決算委員会の場ででも指摘させていただきましたが、私はボランタリー活動の助成を県として継続していく意義は薄れていると感じています。

地域でボランタリー活動を行って頂いている各種団体の皆さんの思いは非常に尊く、ありがたく感じておりますが、その活動内容を精査すると、必ずしも広域的な影響や効果が期待できる活動ではなく、むしろ地域に根差した活動が多い印象を受けています。

そのような団体の皆様の活動支援そのものを否定するつもりはありませんが、活動やその影響が地域に限られている団体等への補助をどうするかは、地元の市町の自治の問題であり、県が一律3万円を上限に各種団体に助成を行うという制度の在り方に対しては疑問があります。あくまでも、県と市町の役割分担において、県が果たすべき役割ではないという趣旨です。

そのような議論を行う中、決算委員会の中で「役割分担については引き続き、こういった市町や助成団体の意見、有識者による施策の評価などを踏まえて、適時、多角的な検証を加えながら、県民ボランタリー活動が量的にも、また質的にも充実していくよう、県の役割を果たしていきながら、適宜、点検・見直しをしていきたい」と答弁されております。

そこで、その後第2次行革プランの見直しでは、どのような見直しを行ったのでしょうか?県と市町の役割分担という観点からお聞かせ下さい。たとえば、県が直接、このような団体助成をするのではなく、具体的な支援方法は、それぞれの自治体の自治に任せ、県は一括で交付するという手法もあると思いますが、いかがでしょうか?

2.孤立無業者(SNEP)対策について

孤立無業者(SNEP)とは、20歳以上59歳以下の中で学生を除き、未婚で無業者であり、普段一人でいるか、もしくは一緒にいるのが家族だけの人々を指す言葉で、平成24年頃から東京大学の玄田有史教授が提唱されてきた概念です。

昨年1月に公表された報告書によると、孤立無業者は、全国で約162万3000人いると推計されています。そのうち、40代・50代が占める割合はそれぞれ21.7%、13.6%で全体の3割強と多くを占めておりますが、このことは従来の若者政策としての「ひきこもり対策」や「ニート対策」では対応できなくなっているということです。

さて、新年度予算において、4月にも「兵庫ひきこもり相談支援センター」が設置され、運営費用として1,300万円の予算が計上されています。「ひきこもり支援センター」は、すでに本県を除く28道府県で設置されております。

孤立無業者の対策で困難なのは、対象者へのコミットメントです。特に、アウトリーチ活動が重要なのは言うまでもありません。

そこで、「兵庫ひきこもり相談支援センター」の設置を契機に、県は孤立無業者についてどのような体制で臨まれようとしているのか、県の取り組み姿勢をお伺いします。

3.総合的な若者政策について

(1)若者政策担当部署について

子ども・若者の健やかな成長は、兵庫県の進める「ふるさと兵庫づくり」において重要なテーマです。現在、ニートやひきこもり、不登校等、社会生活を円滑に営む上で困難を有する子ども・若者に関する課題が顕在化しています。

そのような課題に対応するため、国においては、「子ども・若者育成支援推進法」が平成22年4月に施行されました。また、本県においては、それに先だって22年3月に「子ども・若者育成支援推進法」第9条第1項の規定に基づく計画として「新ひょうご子ども未来プラン」が策定されました。

実際に、従来は「青少年」の枠組みであれば、高校卒業後に何らかの課題を抱えたとしても行政サービスが受けられない状況であったのが、「引きこもり対策」や「若者への就労支援」など、従来なかなか光の当たらなかった分野に対して政策が拡充をされてまいりました。

しかし、県の対応を見ると、あくまで部署は「青少年課」、実施主体の多くは公益財団法人「兵庫県青少年本部」、事業名は「青少年育成事業」と、法の趣旨である39歳以下の若者の課題に対する総合的な対応が薄い印象を受けます。

たとえば、私の現在の年齢は「若者政策」の対象年齢ではありますが、「青少年課」には相談にはいけない気がします。

そこで、本県の若者政策を今後さらに充実させていくために、若者政策を行う担当部署を、新たに「若者支援課」のようにより幅広い間口として設置し、総合的な調整などを行うべきだと考えますが、いかがでしょうか?

(2)若者の社会参画について

必要なのは若者を社会的な支援の対象とするだけではなく、あわせて、いかに若者世代の社会参画を促すか、とりわけ、意思形成過程における参画を促し、意見を県政に反映させていく仕組み作りが必要です。

そこで、まず現在の各種審議会の中に、若者枠を一定設定する、また、公募を行う際に、年齢の上限を設けた枠を確保するなどの取組が必要だと考えますがいかがでしょうか?

●企画県民部②

1 私立高校授業料軽減補助について
(1)事業目的について
(2)第3次行革プランにおける見直し理由について
(3)第3次行革プラン見直しにより影響を受ける対象者について
2 権限移譲に向けた市町の受け皿づくりについて

全文

予算特別委員会質問(企画県民部②)

平成26年3月5日(水)

1 私立高校授業料軽減補助について

今回の第3次行革プラン(案)では、いくつかの大きな論点がありました。一つは県民局の在り方、もう一つは福祉や医療・教育に係る事務事業の見直しをどうするのかという点であったかと思います。

私は限られた財源の中で「集中と選択」が強いられている以上、これらの分野に関しても何らかの検討が必要だという事は否定しませんし、仮に優先順位が高い政策・効果がある政策であったとしても、財源以上の行政サービスはあり得ないと考えていますので、見直しの結果、場合によっては削減されることもあるということは理解しています。

したがって何でも削減は反対というスタンスはとりませんが、それぞれに見直しを行う上では、当然のことながらそこに十分な説明責任が果たされなければなりません。

そして、その際に必要なのは論理的に整合性があるのか?社会正義の観点からフェアであるのか?ということです。

そのような観点から、私立高校等授業料軽減補助について、以下3点お聞きします。

(1)事業目的について

私立高校生徒授業料軽減補助事業の概要及びその目的についてお伺いします。

(2)第3次行革プランにおける見直し理由について

第3次行革プランにおいて、授業料軽減補助単価及び隣接府県の私立高校への通学生の取扱いについて見直しが行われました。このうち、隣接府県の私立高校への通学生の取扱いについて、通学先の隣接府県に助成制度がない場合は、ある場合の2分の1としましたが、このような相互主義的な内容に見直した理由はどこにあるのかお伺いします。

(3)第3次行革プラン見直しにより影響を受ける対象者について

県外の私立高校に通学する生徒の多くは、居住地の地理的要因によるところが大きく、この措置によって影響がある地域は、私の住む旧伊丹学区をはじめ県境に近い地域に限定されるものと考えますが、この度の見直しにより影響を受ける対象者について、どのように見込んでおられるのか、お伺いします。

2 権限移譲に向けた市町の受け皿づくりについて

地方分権の推進、身近な問題は身近な行政で行うという権限移譲、事務移譲は、現在の政権になりややインパクトは薄くなったものの、基本的には党派を問わず、地方政治家が強く求めてきたものだと認識しています。地域主権改革推進一括法施行後、その趣旨を生かし、県営住宅の入居基準の緩和など独自の取り組みも進められるなど、国から都道府県の権限移譲は十分でないにしても、地方分権は一定の推進が見られます。

一方で、県から市町への権限移譲について、本県でも先進的な取り組みとして行ってきたわけではありますが、一度権限移譲された社会福祉法人の監査業務を県が受託することとなり、議会でも議論になりました。県内各市町においても大幅な定数の削減を現在進めているなか、市町が理想として権限を求める部分はあるが、現実として必ずしも十分に対応できないという難しい局面を迎えているのだと考えます。

しかしながら、地方分権による権限等の移譲は避けることのできない流れであり、県としても権限移譲に向けた具体的な取り組みがさらに必要です。

そのような中、活路を見出す可能性があるのは、市町の広域連携による事務の共同処理を進めていくことだと感じています。

例えば、大阪府の豊能地域では、府内市町村への特例市並みの権限移譲を受け、平成23年1月と平成23年10月の2回に分けて、府から全70事務の権限移譲について一部を除き移譲を受けたうえで、池田市、箕面市、豊能町、能勢町の豊能地域の2市2町が連携して事務を処理しています。

また、同4市町は、平成22年12月24日には、事務の共同処理に関する協定書を締結し、翌平成23年8月1日に施行された改正地方自治法に基づく、新たな仕組みである「内部組織の共同設置」を活用した「共同処理センター」を平成23年10月1日に全国で初めて設置しました。

もちろん、市町の意思に基づくものでなければならないのは言うまでもありませんが、県としても真剣に、権限移譲を行うにあたって、市町の受け皿づくりについて、検討するべきだと考えていますが、ご所見をお伺いします。

●産業労働部

1 商店街活性化における県の役割について
2 異業種交流活性化支援事業について
3 若年者雇用対策について

全文

予算特別委員会質問(産業労働部)

平成26年3月7日(金)

1 商店街活性化における県の役割について

 本年も当初予算には、様々な商店街の活性化に向けた予算が計上されています。来年度予算(案)では「商店街新規出店・開業等支援事業」に約2,271万円、「多様な需要に対応できる商店街づくり」に1億800万円が計上されています。

私は、商店街の意義、商店街が持つ社会的価値を否定するものではなく、頑張ろうとする商店街が、活性化に向けた新しい取り組みを行う際に、それを応援する枠組みがあること、そのものを否定するつもりはありません。

ただ、今回議論をさせて頂くうえで、仮にその必要性があったとしても、県の厳しい財政状況で行うべきかどうかということは、しっかりと議論をしなければならないと考えています。そして、このような財政状況下で必要なのは、「地域の商店街の活性化に対する施策を、そもそも、兵庫県が担うべきであるか」という議論です。

たとえば、阪神淡路大震災のような大災害からの復興を行う際には、必ずしも一つの自治体の枠組みでできるとは限らず、県が支援を行うことは意味があります。また、リーマンショック後のような世界的な経済不況の中であれば、緊急措置として何らかの対策が必要になることも否定しません。

ただ、現在県内の商店街が置かれている状況は、大型店舗や大手チェーン店等との競合による売り上げの減少や、高齢化等による後継者不足といった、いわば構造的な問題です。商店街の地域における貢献度を否定するつもりはありませんが、それはあくまで便益が地域にとどまる課題であり、自治の問題です。つまり、役割分担として県が行う必然性はないと言わざるを得ません。

実際に、多くの自治体では市独自の補助金等で同様の事業を行っており、二重行政と言わざるを得ません。私は、兵庫県として商店街活性化は、人材の育成や情報の提供といった広域自治体としかできないことに特化するべきだと考えますがいかがでしょうか。

2 異業種交流活性化支援事業について

このたびの「ひょうご経済・雇用活性化プラン」の中では、「産官学の連携や異業種交流、IT技術の活用、マーケットインの視点による商品・サービスの高付加価値化等により、本県の強みであるものづくり企業をはじめとする企業の経営革新を促し、競争を勝ち抜く中小企業を生み出す産業構造」を兵庫経済の目指す姿として掲げています。それに基づき、来年度予算(案)では、ビジネスパートナーや事業連携の可能性を発掘する場を提供するため、(公財)ひょうご産業活性化センターを中核に、県内中小企業が実施する異業種交流を支援し、中小企業の連携による新分野進出や新商品開発等を促進するため「異業種交流活性化支援事業」として、5,500万円が計上されています。

事業目的自体は否定しませんが、様々な民間団体が立ち上がり、また金融機関も積極的にビジネスマッチングを行っている中で、あえて兵庫県がこの時期に開催するのかという理由が見えにくい状況です。

そこで、民間団体等が行っている異業種交流、金融機関が行うビジネスマッチング等との違いについてお聞きします。

3 若年者雇用対策について

過酷な働かせ方で若者らを使い捨てるとして問題になっている、いわゆる「ブラック企業」対策は、昨年9月に厚生労働省が調査を行って以降、急速に社会的な注目を浴びています。本県においても、兵庫労働局が昨年9月、労働者らからの情報を基に県内208の企業や事業所を調べた結果、82.7%に当たる172社・事業所で長時間労働や賃金不払いなどの法令違反があったところを公表、違反企業に対し同労働局は是正勧告した。従来、若者の離職率が高い理由を、学生側の職業観やミスマッチといった点ばかりが注目されていましたが、ここにきてようやく企業側の問題点も明らかになってきたことは評価できます。

ただ、このような法令違反を犯している「ブラック企業」であれば、法令に基づき対策が打てるわけでありますが、世間で耳にするいわゆる「ブラック企業」は、ノルマが厳しいとか、離職率が異常に高いとかいう現状ではありますが、必ずしも法令違反を犯しているわけではなく、現在の枠組みの中では県の関与が非常に難しく、社会的な課題でありながらもどかしい思いをいたします。

さて、日本の雇用形態においては、新卒の価値は高く求職活動では有利であるものの、新卒の時期に就職できなかった若者や、3年以内で離職したような若者の求職市場における評価は厳しく、いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる企業を離職しても、再就職の結果、再び別の「ブラック企業」に再就職するという笑えない状況や、とりあえず非正規として短期の仕事を行うというのも現実です。本来、職業人としてのキャリアを積むときに、その機会に恵まれない若者に対して支援することは、単なる救済措置ではなく、社会的な投資という観点から必要です。

現在も、国の関係機関や民間の支援機関等とも連携をしながら取り組んでいただいておりますが、若年者支援に対する取り組みについてお伺いします。

●農政環境部

1 暮らしの中の温暖化対策の推進について
2 フラワーセンターにおける受贈品の展示について
3 県内のごみ処理施設の現状と今後の対応について

全文

予算特別委員会質問(農政環境部)

平成26年3月10日(月)

1 暮らしの中の温暖化対策の推進について

最初に、「暮らしの中の温暖化対策の推進」についてお伺いします。

より良い環境を次世代に残していきたいという思いは、今の時代を生きるすべての人の共通する願いだと思います。本県においても、今月3日に「第4次環境基本計画」が可決され、平成35年度までの概ね10年を計画期間として県の施策の方向性が示されました。なかでも、地球環境問題、地球温暖化対策は、大きな政策課題の一つであると考えています。

「第4次環境基本計画」で示された数値によると、平成22年度の県の温室効果ガス排出量は、基準年である平成2年度比で8.2%削減と目標は達成しており、行政はもとより産業界の貢献などもあり、大きな成果が出たものと考えています。しかしながらその一方、民生家庭部門に関しては、県内全体の排出量の10%程度しか占めていませんが、平成2年度比で約15%も増加しており、家庭を含めた民生部門の排出効果ガスの削減は、今後対応すべき大きな課題のひとつであると認識しています。

このような課題を抱えながらも、着実に進みつつあった地球温暖化対策は、東日本大震災を契機として、火力発電所等への依存度が高まり必然的に温室効果ガスの排出量は、産業界でも増加し、大きな転換点を迎えており、温暖化対策に対する世論の動向、県民の意識に変化があるのではないか懸念しています。平成24年9月に県の広報課広聴室が実施した「第18回県民意識調査」によると、地球温暖化に対する関心は71.8%と高い水準を保っているものの、平成19年度調査と比べて約9ポイント減少しています。

第4次環境基本計画でも、地球温暖化の防止を進めるためには、日常生活や経済活動に「低炭素」の仕組みが組み込まれた社会が必要であるとしていますが、家電の省エネ化や住まいの断熱化など家庭での取り組みについては、意識の上で必要性を感じても、実際に行動するまでは至っていないのが現状です。

そこで、本県でも、来年度予算においても「うちエコ診断」など様々な施策が進められていますが、現状を鑑みますと家庭部門に対して温暖化対策の推進を働きかけていくには、自動車の低燃費指標や住宅の断熱性の指標(エネルギーパス等)など、県民にとってわかりやすい形で普及していく必要があると考えますが、この点について、来年度以降どのように取り組んでいくのかお伺いします。

2 フラワーセンターにおける受贈品の展示について

次に、「フラワーセンターにおける受贈品の展示」についてお伺いします。

「県に寄贈“世界一のコレクション”古代中国鏡 加西で公開」。これは2月21日の神戸新聞朝刊社会面の記事の見出しです。ある県民のご厚意により、非常に文化的価値の高い古代中国鏡を寄贈いただけるとのことで、非常にありがたいことです。

ただ、この報道紙面を見た際に「なんて素晴らしいことだ」ということと同時に、違和感を覚えたのは私だけでしょうか。その理由は、展示先が考古博物館であれば、理解できるのですが、「県立フラワーセンター」をわざわざ改修して新たに整備する展示施設だからです。

先日の農政環境常任委員会の中でも、わが会派に所属する委員よりこの点について質疑したところ、当局より「寄贈者の方が加西市出身で、地元のフラワーセンターでの展示を希望されたこと、一方でフラワーセンター本館の耐震工事が必要となっていたことから、同施設の改修と併せ展示スペースを作ることとなった。」という内容の答弁でした。

今回、私が危惧しているのは、寄贈者の意向があれば、設置目的とは異なる寄贈物を展示するだけではなく、そのための施設の新築・改築が可能にとなってしまうのではないかという点です。

フラワーセンターは、「県民の花に関する知識の普及及び栽培技術の向上を図るとともに、県民に憩いの広場を提供するため」に設置されたものであり、今回の展示は明らかに目的外の使用であり、将来にわたって県民の共有財産となるものを県が保存・管理し続けるのに、果たして「県立フラワーセンター」が適切なのか疑問を感じざるを得ません。

そこで、この度の受贈品について、なぜ、フラワーセンターへ展示することとなったのかお伺いします。

3 県内のごみ処理施設の現状と今後の対応について

最後に、「県内のごみ処理施設の現状と今後の対応」についてお伺いします。

ごみ処理施設は、ダイオキシン問題が大きく取り上げられて以降、国の通達に基づき、広域化が進められてきました。通達には、「今後新たに建設されるごみ焼却施設は、原則として、ダイオキシン類の排出の少ない全連続炉とし、安定的な燃焼状態のもとに焼却を行うことが適当であり、そのために必要な焼却施設の規模を確保することが必要である」とされており、本県でも、平成10年度に策定した兵庫県ごみ処理広域化計画に基づき、これまで県内市町のごみ処理施設の広域化を進められてきました。

川西市でも、猪名川町・大阪府豊能町・能勢町と1市3町で一部事務組合を結成し、広域ごみ処理施設の運営を行っていますが、今では、地域において環境問題を考えたり学んだりする拠点となっています。

ただ、広域化をする中で、気づかなかったのか、それとも気づかないふりをしたのかは分かりませんが、後世に対して大きな課題が残っています。

それは、川西市で2か所、猪名川町で1か所ある広域化する前に整備されたごみ処理施設が活用されることも取り壊されることもなく放置をされていることです。来年度から当分の間、公共施設の除却に対して地方債の特例措置が認められるようになりました。この問題を放置することは、間違いなく後世への負担の先送りとなり、その対応については非常に困難な問題であります。

そこで、先ほども触れましたように、川西市と猪名川町という私の選挙区には放置されたごみ処理施設が3箇所ありますが、県内の他地域でも同様の事例があるのではないかと思っていますが、県として現下の状況をどのように認識し、今後どのように対応していくのか、お伺いします。

●企業庁

1 水道用水供給事業について
(1)危機管理対策について
(2)技術職員の確保と技術の継承について
(3)供給単価の今後の方向性について

全文

予算特別委員会質問(企業庁)

平成26年3月11日(火)

1 水道用水供給事業について

(1)危機管理対策について

水道用水供給事業について、3点お伺いします。

はじめに、危機管理対策についてお伺いします。

水道事業は、地震などの自然災害やテロ等の非常事態においても、生命や生活を維持していくために水の確保が求められています。そのため、水道事業者には、基幹的な水道施設の安全性や重要施設等への給水を確保、さらには、被災した場合でも速やかに復旧できる体制を確保していくこと等が求められます。

東日本大震災の発生により浄水場、配水池、取水場、水管橋など多くの水道施設においても甚大な被害が生じました。本県においても東日本大震災の経験を踏まえ、広域的災害や大規模災害に対しても万全の体制を整えておく必要があります。

特に、南海トラフ地震への備えが求められている現在、災害時においても、水道用水供給事業を安全かつ安定的に行っていく必要があると考えますが、水道用水供給事業における危機管理対策をどのように進めているのか、その現状についてお伺いします。

また、大規模災害で基幹的水道施設が被害を受けた場合への対応についてどのような対策をとっているのか併せてお伺いします。

(2) 技術職員の確保と技術の継承について

次に、「技術職員の確保と技術の継承」についてお伺いします。先ほど、危機管理対策の質問をしましたが、技術職員や技術の継承についても危機管理対策の一環とも言えるのではないかと思いますが、行革による定数削減やベテラン職員の退職により、技術職員の確保や技術の承継が課題となっていますが、県の現状及び対応の状況についてお伺いします。

(3)供給単価の今後の方向性について

 最後に、水道用水の供給単価の今後の方向性についてお伺いします。

私の地元、川西市上下水道局のホームページには、「よくある質問」のコーナーに「水道料金が他市に比べて高いのはなぜですか?」という質問が掲載されています。その答えとして、少し長くなりますが、読み上げますと「水道事業は、水道料金をいただくことによりその経営を維持しています。その料金は、水源や地理的条件、人口・産業の集積度、その歴史的経緯など、様々な要因により地域間で格差があります。概ね、歴史が古く、淀川の水を水源とする大阪市など阪神臨海部の各都市では、すでに投資した原価の回収が進んでおり料金が安いです。逆に、川西市のように内陸部の川やダムを水源として、水道の歴史が浅い都市では、投資した原価が十分に回収できていないため高い状況にあります。なお、本市の1か月当たり20立方メートルの料金は3,045円で、全国平均とほぼ同じ水準です。」と掲載されています。

 市の上下水道局のホームページにわざわざこのような記述があるように、生活に密着する水道料金に関する市民の関心は高く、市議会では水道料金に関する値上げの議案が上がるたびに激しい議論が巻き起こります。

 水道料金に対する川西市の公式な答えは先ほど紹介したとおりですが、川西市内で巷間耳にするのは、川西市の水道料金が高いのは、県水の単価が高いからだという話です。川西市の配水量における県水の割合は5割程度に上っており、県水の単価が川西市民の水道料金の設定に大きく影響しています。また、県水の受水とは別に3割程度は、市が取水した水を多田浄水場に処理委託を行っており、川西市の水道事業においては、県の関わりが非常に大きくなっています。

企業庁の皆さんのご努力により、平成23年度から当初の予定より1年前倒しして値下げを行っていただいた結果、川西市では1立方メートルあたり146円から130円に引き下げられ、市の水道局の財政状況が改善されています。しかしながら、その一方で、浄水処理の委託単価が上がっており、市側の立場に立つと、将来、県水の単価が値上げされるのではないか不安を感じているところです。

今後は、給水人口の減少、少子高齢化、節水意識の定着や節水機器の普及などにより水需要の伸びを見込むことはできません。加えて老朽施設の計画的更新や先ほど質問しました各種危機管理への対策など、安全かつ安定的な給水を継続していくための費用も必要となるなか、水道用水の供給単価を削減していくことは難しい状況であることは理解していますが、今後の供給単価の動向について、どのように見込んでおられるのかお伺いします。

越田 謙治郎
川西市・川辺郡