議会の動き

迎山 志保議員が質問(予算審査・産業労働部)

予算特別委員会(部局審査・産業労働部)

質 問 者   迎山 志保 委員(ひょうご県民連合)

1 ターゲットを明確にした観光施策について

(1)ひょうごツーリズムガイドについて

先日、16年の外国人の延べ宿泊者数の推計が8%増、7000万人に上るという新聞報道があった。近畿府県では和歌山県が22.4%の増加とめざましい伸びとのことで、最近の観光情報の収集のメインツールであるスマホでWAKAYAMAを検索すると、The Official Wakayama Travel Guideというサイトがヒットし、外国人観光客ニーズに特化した、かなり洗練されたデザインのものが構築されていた。京都、大阪はもちろんであるが、奈良、滋賀のサイトについてもスマホ専用サイトで外国語対応がされている。

一方、兵庫県は先の報道によると昨年は10.6%外国人のべ宿泊数が減ったということだが、同じようにローマ字で検索してみた。すると県の観光ポータルサイトであるひょうごツーリズムガイドについては英語版での対応はなく、トップ画面は開催中の直近イベント、「中播磨地域 越知川名水街道春物語」というサイクリングイベントはじめ一覧で並んでおり、その内容をよく見てみると、姫路城の案内があると思えば、プレミアムフライデーの神戸市内でのワークショップ開催のお知らせなど生活情報的なものも掲載されているなど、正直、誰を対象にしているのか分からないHPとなっている。オールインワンの情報発信を目指されているのかもしれないが、かえって利用者にとって知りたい情報を入手しにくいものになっているのではないかと危惧している。また多言語対応出来ているのはPC版のみで、それをスマホで見ようとするとこの上なく見づらい。そこで、現在の兵庫県の観光サイトに対する認識について伺う。

(2)ひょうごの魅力の発信について

ひょうごの魅力として、県行政においてはさまざまな場面で「五国の多様性」がアピールされている。ひょうごツーリズム戦略においても、策定にあたっての基本的な考え方となっている。ただ、私が住民の方に「ごこくって何を思い浮かべますか?」と聞くと、一番多いのは五穀米。ついで神社。ひょうごの五国といってもピンとこない人の多さに、行政の中で慣れ親しんでいる言葉が巷間そうとも限らないことを思い知る。折しも県政150周年が近づく中、今回の予算特別委員会においても、兵庫県の成り立ちに関わる議論も出たところである。

「五国」について、県民に知ってもらうことは必要で意義あることだと思う。しかしながら、ターゲットを絞らずに、県外、海外へ五国の兵庫をベースにPRを行っても効果的な観光施策とは言えないのではないか。その点、このたび五国から絞り込んだゴールデンルートの設定により、インバウンド客を誘致するという施策を打ち出されていることについて、明確なターゲットを設定している点を、私は大変評価している。インバウンド客とともに、国内観光客、県内交流人口の増加も大きな課題だ。ひょうごの魅力をより効果的にそれぞれターゲットへ届ける取り組みの必要性について、当局の所見を伺う。

2 ひょうごの酒のブランド化について

先日、ウグイス色のラベルに、35.037,135.024という数字が刻印された日本酒をいただいた。この数字は緯度経度を示しており、航空写真を選んでネット入力すると、そこに広がるのは黒田庄町の田んぼである。名古屋の萬乗醸造「醸し人九平治 黒田庄に生まれて」という海外でも名が通っているというお酒である。九平治は兵庫の山田錦を高く評価しており、契約農家の高齢化を機に農業法人アグリ九平治を設立し今は約4ヘクタールの土地で若い醸造家が酒米作りに従事している。彼らは半年をこの黒田庄で過ごし、半年は名古屋で酒づくりをしているという。

兵庫は全国の醸造家が所望する酒米の王様山田錦の一大産地であり、水にも恵まれ、高い技術をもった丹波、但馬杜氏もいる。まさにワインで言うところのブルゴーニュ地方のような価値があると思う。ところが酒造りの環境としてこれほど恵まれながら、ブランド化、価値の最大化が出来ているとはいえず、清酒消費に関する資料を見ると、全国に占める出荷量が33%なのに対して出荷額の割合は26%と低い。

現在県では日本酒の振興のため酒造組合に対して補助金を支出しており、その多くが、国内、国外への見本市出展などに使われている。しかしながら比較優位のある地域固有の産業としてひょうごの酒の価値を改めて定義づけし、さらに価値を高めて多くの人に選ばれる取組が必要であると思う。日本酒は国酒と呼ばれる割には、平成26年度の調査では全国で酒類全体に占めるシェアは6.7%にとどまっており、本県の場合も同様である。酒所としては寂しい数字である。そこで様々な機会を通じ地元の酒を知ってもらい、県内消費の拡大につなげていくべきではないか。当局の所見を伺う。

3 女性起業家支援事業について

兵庫県では女性が県内での起業や第二創業を行おうとする際に、事務所開設費や初度備品費、広告宣伝費等の必要経費への補助を行う「女性起業家支援事業」を行っている。

この事業は平成25年度に始まり、4年で申請は579件に上り、補助対象として採択された件数は123件と、大変人気を博している。

私も女性起業家の方と話す機会があるが、生きがいを持って活動され、バイタリティを感じさせる方が多い。しかしながら経営上の知識が不足し、自転車操業に陥っている場合が多い上、シニアの起業に比べ、人脈が限られている場合が多いことから、そのときどきの課題を相談できる相手がおらず、問題解決が進まないケースも見受けられる。

そこで、県としては、起業を持続可能なものとするため、研修の機会や相談窓口への円滑な案内、人脈づくりのためのシニア起業家や企業関係者との情報交換の場づくりなどにより、さらに支援していく必要があると思うが、当局の所見を伺う。