意見書 第80号
地震保険料の控除対象拡大を求める意見書
我が国においては、台風や局地的大雨、土砂災害などによる大規模な自然災害が頻発している。中でも、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震等の地震は、国民の生命・財産に甚大な被害をもたらすものであるため、今後、発生が予想される南海トラフ巨大地震をはじめとした地震への対策として、国民の自助・共助に資する備えの必要性が高まっている。
そのような中、平成18年度税制改正では、地震保険料や共済の掛け金を所得税や住民税から控除できる制度が新設された。しかし、平成27年度の地震保険の加入率は29.5パーセントと低迷し、控除制度開始後の10年間でも加入率は、わずか9パーセントの上昇にとどまっている。そのため、さきの東日本大震災では、保険による損失カバー率が17パーセントであったが、我が国と同じ地震国であるニュージーランドのクライストチャーチ地震では75パーセントだったと指摘されており、国民の地震リスクに対する備えの遅れは顕著と言える。
その遅れの原因の一つとして考えられるのは、既に、農協や漁協などで取り扱う全国規模の共済制度の共済掛金のうち地震保険料控除対象掛金が所得税等の控除対象となっているのに対し、地域限定型の兵庫県住宅再建共済制度「フェニックス共済」などは対象外となっていることである。地震そのものを防ぐことができない以上、減災対策の一環として地震保険等の加入を促進すべきであり、そのためには、現在の所得税等控除対象となる保険契約の範囲を拡大し、選択の幅を広げることが必要と考える。
よって、国におかれては、地震保険料控除制度について、地方自治体条例等に基づき実施する自然災害に対する住宅再建共済についてもその対象とするよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年12月14日
兵庫県議会議長 黒 川 治