議会の動き

黒田 一美議員が一般質問を実施

質 問 日:令和2年2月28日(金)

質 問 者:黒田 一美 議員

質問方式:一括方式

1 関西広域連合の情報発信の強化について

関西広域連合は関西から新時代をつくるため、平成22年12月に府県を越える全国初の広域連合として設立され、設立後10年目という区切りの年となりました。構成府県も設立時から奈良県と域内の4政令市全てが加わり、8府県4政令市となるなど、関西圏が一体となって様々な課題への議論や対策を検討する体制が整ったのではないかと感じております。

設立にあたっては、①「分権型社会の実現」、②「関西全体の広域行政を担う責任主体づくり」、③「国の地方支分部局の事務の受け皿づくり」の3つを掲げ、これまで広域防災や広域観光・文化・スポーツ振興、広域医療をはじめとする7分野の取組を進めてこられました。

結果として、期待された国の出先機関の地方移管については、ほとんど進まず非常に残念な状況ではありますが、一方で「関西防災・減災プラン」をはじめとする各種計画、ビジョンの作成やカウンターパート方式による迅速な被災地支援、熊本地震の際には3府県・兵庫・徳島のドクターヘリ3機が現地に派遣され、京滋・大阪など残りの3機で圏域全域をカバーしたと伺いましたが、その後、ドクターヘリ7機体制となり、一体的な運航体制の構築、また、琵琶湖・淀川流域対策など着実に成果を上げています。

今後も、今問題となっている新型コロナウイルスへの早急な対策をはじめ、関西圏においては東京一極集中による首都圏への人口流出への歯止めや経済の停滞による影響などの課題に対する対応、プラスチックごみ対策をはじめとする「関西広域環境保全計画」の取り組みが必要です。さらに、今後、関西で開催されるワールドマスターズゲームズ2021関西や2025年大阪・関西万博などのビッグイベントを成功させ、関西圏が一体となって取り組み、国内外に情報発信ができる関西広域連合の役割が非常に重要となります。

しかしながら、どれぐらいの県民の方がこの関西広域連合の取り組みを知っておられるのでしょうか。私は昨年6月に関西広域連合議会の議員に選出されたこともあり、地元の方へ関西広域連合の取り組みについて話をすることがありますが、例えば、自分達の生活にも身近なドクターヘリの運航に関する取り組みですら、ほとんどの方が内容を知りません。取組内容を説明すると、「初めて聞いた。勉強になった。」といった声を耳にします。

分権型社会の実現に向けて、国出先機関の地方移管等を粘り強く働きかけることももちろん重要ですが、関西圏域が一丸となって取り組みを進めるためには、まず県民の方々にいかに身近で重要な取り組みを進めているのかを十分周知する必要があります。

そこで、関西広域連合議会議員として、我々も積極的に情報発信等を行う必要性を感じておりますが、連合長を擁する構成県として、どのように県民が求める要望に応え、またその取り組みや成果に関する周知をどのように強化されようとしているのか、ご所見をお伺いします。

2 淡路と神戸・阪神との生活エリアの形成について

先日、今年1月1日時点の推計人口について発表がありましたが、546万482人と約30年前と同水準にまで減少したとの内容でありました。出生数が過去最少、また近年の転出超過についても歯止めがかかっていない状況に非常に危機感を感じます。

根本的な解決には、少子高齢化や東京一極などに対する国の積極的な対策が必要と考えますが、兵庫県の活力を維持し続けるためには、社会増対策の取り組みを積極的に進めて行く必要があると考えています。

社会増の対策として、移住の促進がありますが、最近では若い子育て世代が都会の喧騒から離れて、自然豊かな場所で暮らしたいという声を聞くようになりました。実際、私の息子も一時は都市部で住んでいたものの、やはり海が見える場所が癒やされるということで、地元に戻ってきましたし、ライフステージの変化や自分が望む生き方を理由に地方へ引っ越すということも増えてきているのではないかと思います。

兵庫県は、瀬戸内海沿いに阪神工業地帯があるなど、産業も発達しております。淡路地域は都市部にも近く、豊かな自然にも恵まれております。そのため、淡路島に住み、子育てはのびのびと淡路で、仕事は橋を渡って神戸等に通勤する生活をおくるといった、淡路地域と神戸・阪神を目的意識的に1つの生活圏として位置づけが可能だと考えます。子育て世代の移住が進めば、淡路地域の人口減を抑えることになりますし、都市部の人口過密の緩和にもつながるのではないでしょうか。

そこで、県では兵庫の中長期の県政の指針ともなっている「21世紀兵庫長期ビジョン」の想定年次がまもなく到来し、令和3年度末の策定に向けて新しい将来ビジョンを検討されようとしています。この新しい将来ビジョンを検討する中で、将来構想等において未来に希望の持てる兵庫づくりのためにも淡路地域と神戸・阪神とを1つの生活エリアとしての形成づくりを進めてはどうかと思いますが、ご所見をお伺いします。

3 インターネットの悪用による人権侵害対策について

インターネットは、情報の入手やコミュニケーションツールとして日常生活に欠かせないものとなっています。

実際、総務省の令和元年版情報通信白書によりますと、2018年における個人のインターネット利用率は79.8%となり、子どもから大人まで幅広く利用され、さらにスマートフォンで簡単にアクセスできることから、若者層でも気楽に利用されています。

このように、非常に便利であり、普及していますが、インターネットは発信者に匿名性があり、情報発信が容易にできるといったことから、他人への中傷や侮蔑、特定の個人のプライバシーの侵害、またヘイトスピーチ、部落差別等の差別的な書き込みなど、インターネットを悪用した行為も増えてきております。法務省の平成30年における「人権侵犯事件」の状況では、インターネット上の人権侵害情報に関する事件数が1,910件と前年に次いで過去2番目に多い件数を記録しました。

県では、平成28年3月に「兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針」を改定し、インターネットによる人権侵害を新たに「身近な人権課題」と位置づけ、インターネット・モニタリング事業やインターネット人権侵害相談などを実施されておりますが、悪質な書き込みを抑止するためには、モニタリングによる監視を強化し、人権侵害情報の積極的な削除が重要です。

国においても、総務省が平成28年10月及び平成29年1月に国内のプロバイダー大手4団体に対して、「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」を踏まえ、差別投稿への対策を要請し、法務省でも平成30年12月の通達によりインターネット上にある被差別部落に関する情報について対応強化を行っていますが、強制力はありません。そのため、抑止としてはモニタリングによるチェック及び人権侵害に関する情報の積極的かつ早期の削除が、効果的であると考えています。

このモニタリングは県だけでなく県内の約半数の市町でも実施されていると聞いておりますが、県だけ、市町だけで取り組むのではなく、相互に連携し、それぞれのモニタリング結果を集約してネット上の実態把握を進めたり、県と市町で役割分担を行うなどにより効率的な抑止に努めることも必要であると考えています。加えて、県みずから法務局等関係機関との連携により早期に人権侵害に関する情報の削除要請を強化する取り組みが必要ではないでしょうか。さらに、モニタリング未実施の市町での実施についても進める必要があります。

そこで、インターネットを悪用した人権侵害について、県内市町や関係機関と連携し、今後どのように抑止効果を高めようとされているのか、ご所見をお伺いします。

4 プラスチックごみ対策について

私は毎年地元の川や海でボランティア清掃に参加させていただくのですが、プラスチックごみの多さが非常に目につきます。以前はレジ袋をはじめ、ペットボトルや発泡スチロールが多かったのですが、ペットボトルや発泡スチロールはリサイクルの流れができているからか、以前ほどは目立たなくなりました。

一方、レジ袋については、これまでマイバッグの持参を推奨したり、一部のスーパーでは有料化を導入するなど取り組まれていますが、無料で配布され、廃棄されやすく、清掃の際にごみとしてよく見受けられます。実際、地元垂水の山田川を清掃されている方々からは、「特にコンビニのレジ袋の投棄が目立つ」と指摘されています。

国では、地球規模の課題である海洋プラスチックごみなどの対策の一環として、今年7月1日からレジ袋の有料化を義務づけることになりました。スーパーでは既に他の業界に先駆けてレジ袋の削減に取り組まれており、この有料化によりマイバッグの持参などが進み、レジ袋の削減につながるのではないかと考えますが、コンビニなどでは、スーパーと異なり、急にふらりと立ち寄る客も多いことから、有料化したとしても十分に効果があるのかと疑問に感じています。

また、7月からのレジ袋有料化の内容を確認すると、プラスチックのレジ袋であっても、厚さが50マイクロメートル以上のものであれば、繰り返し使用することができるということで有料化の対象になっておりません。使用する側の意識が高くなければ、これまでと同じように道端や川に廃棄され、結局ごみとなる可能性もあるのではないかと思います。

そのため、国が行うある程度強制力を持った対策だけでなく、使う側の意識やモラルの改革を同時に進めていく必要があるのではないでしょうか。特に、国が行う7月からのレジ袋有料化は近年にない大きな動きであり、県においてもこの機を捉えてレジ袋の削減の周知に加え、環境を守るための積極的な意識啓発やキャンペーンの打ちだしが必要ではないかと考えます。

そこで、プラスチックごみを削減し、瀬戸内海を含め兵庫の豊かな自然環境を守るためにも、県民への積極的な周知や意識啓発等を進めるべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

5 駅のバリアフリー化の推進について

障害者や高齢者などが公共交通機関や建築物などを快適に利用できるように定めたバリアフリー新法が施行されて10年以上が経ち、大きな駅ではエレベーターや視覚障害者を誘導する点字ブロック、多機能トイレなどの設置について普通に目にするようになりました。

兵庫県では、平成4年10月に全国に先駆けて制定した「福祉のまちづくり条例」に基づき「福祉のまちづくり基本方針」を策定し、県、市町、県民及び事業者がそれぞれの責務を自覚し、一体となって福祉のまちづくりを推進しておりますが、基本方針の中では、鉄道駅舎について、1日の平均乗降客数3千人以上5千人未満の駅舎のバリアフリー化率を来年度100%にする目標が掲げられています。是非、達成に向けて取り組んでもらいたいと思います。

このように、かなり進んできた駅舎のバリアフリー化ではありますが、まだ課題は残っていると考えています。例えば大規模駅であっても、1箇所しかないエレベーターの位置によっては2箇所目の設置が求められているものや、3千人未満の利用者しかいない小規模駅でも高齢者や障害者、子どもなどの利用が多い場合には、エレベーター等のバリアフリー化が求められる駅も県内にはまだ残っているのではないでしょうか。

国の「移動等円滑化の促進に関する基本方針」では、1日あたりの平均的な利用者数が3千人未満であっても、「基本構想及び移動等円滑化促進方針の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、移動等円滑化を可能な限り実施する。」となっています。県ではバリアフリー化の目標年次である令和2年度を待たずに、事業者がさらなる整備を進められるよう兵庫県独自の基準を拡充されたところです。

そこで、今後も地域の実情を踏まえて柔軟な支援を要望したいと考えますが、エレベーターの設置等の駅舎のバリアフリー化の状況と今後の方針について、ご所見をお伺いします。

6 ラウンドアバウトの導入促進について

ラウンドアバウトは、交通量が一日あたり総流入交通量1万台未満など一定の条件下において、安全で円滑な道路交通を確保することができる環状交差点です。

日本においても交通事故削減のための取り組みとして、その導入が期待されることから、国交省では有識者等から構成される「ラウンドアバウト検討委員会」が設置され、平成26年8月には望ましい構造について全国の道路管理者に通知されています。

全国では平成31年3月末時点で87箇所が設置されており、兵庫県においても平成29年12月にポートアイランド(第2期)において、県内初となるラウンドアバウトの供用が開始され、既に3箇所設置されております。

私も昨年3月に供用された神戸流通センターにある弥栄台1丁目南交差点を実際に使ってみたことがあります。信号制御による交差点からラウンドアバウトに変更された交差点でありますが、トラックもスムーズに流れており、赤信号によるイライラ感もなく、非常に使いやすい交差点であると感じました。

このラウンドアバウト導入により期待できる効果は、まずは事故の削減です。交差点における交錯箇所の減少により交通事故に遭遇する機会の減少や交差点内速度の低下により重大事故の減少が期待されます。2つ目は交通の円滑化です。信号待ちや右折時の対向車両の通過待ちがなくなることで、一定の条件下では交差点通過に要する時間の削減が期待できます。3つ目はライフサイクルコストの節減及び環境負荷の低減です。ラウンドアバウトでは信号機が必要ありませんので、信号機の削減やアイドリングの減少により、環境負荷の低減が期待できます。4つ目は災害時の対応力向上です。信号機が不要のため、近年発生している災害による停電時でも混乱なく交通処理が可能となります。

一方で、交通需要の多い交差点では自然とスピードが落ちる構造であることから、逆に効率が悪くなり渋滞発生の要因になってしまうこと、無信号であるため歩行者や自転車に対しての安全確保に十分注意する必要があることなど課題点もありますが、例えば、高速道路ICにおける一般道路との接続部などへの積極的な活用を図ることで、県がその効果を示し、市町等も含めた県内への設置を誘導してはいかがでしょうか。

そこで、交通事故の削減などラウンドアバウトがもたらす効果を踏まえた導入検討が必要ではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。