第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (企業庁)
2010年10月19日(火)
1 宝塚新都市計画について
(1) これまでの取り組み状況について
この件を取り上げますのは、昨年の9月定例会一般質問、3月の平成22年度予算特別委員会に続いて3回目であります。よろしくお願いします。
宝塚新都市計画については、乱開発防止と秩序ある開発をするため、地元からの要請を受け、県で新都市計画に取り組むことになりました。それを受け、平成4年度には基本計画が策定され、用地の先行取得に着手し、約1,100億円の予算を投じ、1,140ha余りの用地を購入しましたが、社会経済環境の大きな変化を踏まえ、平成12年度に基本計画が見直されました。そして、平成13年度から企業庁が所管することとなりました。
同計画は、他の関連する計画の進捗、すなわち新名神高速道路整備計画の進捗に合わせ、優先度や緊急性の高い事業に財源を重点的に配分するため、当面新たな着手を見合わせる「進度調整」の状態と聞きますが、3月の予算特別委員会では、「開発の可能性を慎重に見極め、見極めが可能となった段階において検討チーム等の設置も検討したい」との答弁がありました。
進度調整の要因となっていた高槻~神戸間の新名神高速道路についても、平成28年度開通をめざして鋭意工事が進められています。サービスエリアについても宝塚設置の協議がされています。さらに、高速道路と連携する川西インター線等の県道整備などの関連工事も平成28年度に向け進んできています。
まさに、見極めが可能となった段階ではと考えますが、3月の予算特別委員会で答弁のあった検討チーム設置の検討状況を含め、これまでの取り組みについて伺います。
(2) 今後について
宝塚新都市計画の関連で先行取得している用地については、県土整備部所管の用地となっています。また、新行革プランにおいて、同用地は、環境林として計画的に取得・管理することとなっているほか、さらに企業庁は原則新たな事業に着手しないことにもなっており、企業庁にとっては、なかなか一歩が踏み出せない状況にあることは一定理解します。
しかし、例えば、県有環境林については、特別会計により昨年度までに2箇所約80haを環境林として取得していますが、宝塚新都市用地は環境林特会としてはまだ取得しておらず、県としても、近年の間に利活用の可能性があると判断して、あえて宝塚新都市用地はこの特別会計ではまだ取得していないものと認識しています。
また、3月の予算特別委員会での質問後、地権者を含む地元の方々からの意見を聞くため、何度も現地を訪れました。地元でも、賛否両論あるようでございますが、何も示されずに放置しているような状態になっていることには、不安、もったいないとの声が多く聞こえてきます。
現在の社会経済情勢や今後の先行き見込み等を踏まえると、必ずしも企業庁として従来のような大規模な産業用地や住宅地の開発の再検討をすべきとは思いません。このような地元の方々の声を踏まえ、新名神の開通時期に向け、宝塚新都市計画を現在の情勢に見合った計画に見直していくための検討を開始すべきではないかと考えます。
また、企業庁として実施できることは限られることも認識しております。しかし、新都市計画を所管する立場として、宝塚市等の地元や、阪神北県民局とも連携して、計画見直しの検討を行い、その検討結果が企業庁所管に相応しいものでなければ、県各部局に提案していくことなども考えていくべきではないかと思います。
そこで、計画の見直しに向けた検討を含め、計画の今後の展望をどう考えているか伺います。
2 電気事業について
(1) 廃止の経緯について
昭和28年に引原ダムを水源とする事業に着手し、昭和33年から運転を開始した発電事業については、昭和41年の企業庁発足と同時に土木部から移管され、水力発電によるクリーンなエネルギーの供給を行い、地域のエネルギーの安定供給に貢献してきましたが、昨年度末、44年間続いた事業を廃止しました。
過去数年間でも、約3億の収益と約2千万円程度の純利益を上げていましたし、電気事業法改正による買取り保証がされる卸電気事業者とみなされる期間が昨年度末までとのことですが、買取り保証がされない卸供給業者としては事業継続可能と聞きます。実際に他の都道府県では公営電気事業を継続している府県もあると聞きます。
ただ、老朽化している施設の補修経費や、買取り保証されないことによる収益の減少等、事業継続した場合のマイナス要因も多いと考えます。いずれにしてもそういう点も含めて、総合的に判断されたものと理解します。
そこで、まず、事業廃止に至った経緯について、他の都道府県の公営電気事業との比較に関する見解も含めて、お伺います。
(2) 電気事業の評価について
今後生じると思われる損失を回避したことだけでも、企業庁にとって評価ができる判断だったと思います。
いずれにしても、兵庫県の公営電気事業については、旧土木部で所管していた時期も含めて、計52年間、半世紀以上にわたって事業を継続的に実施してきました。
事業廃止に当たっては、発電所施設を関西電力に約5億円で譲渡し、約3億円あった企業債を全額償還した結果、約16億円の預金残高を企業資産運用事業会計に引き継ぐ形で精算しています。
そこで、今回の最終的な精算結果を含め、半世紀以上にわたって継続してきた電気事業に対して、企業庁としてどう評価するかお伺いします。
電気事業のように、一定の利益を生んでいるにもかかわらず、果たすべき役割や社会経済情勢の変化等、あらゆる要因を分析した上で、今後の展望を的確に推測し、素早く存廃の判断を下すことは、行革を進める本県にとって、他の事業でも参考にして取り組むべき視点であると考えます。
一方、宝塚新都市計画のように、今後の展望の見極めが極めて困難な事業もありますが、購入した用地を放置したままで、かつ、利活用を検討する姿も見えないのでは、県民の県政への信頼低下にもつながるのではないかと危惧します。
新都市計画を所管する企業庁として、早急に一定の見極めをして、何らかの検討に入られることを要望します。