議会の動き

石井 健一郎議員が一般質問を実施

質 問 日:令和4年9月29日(木)

質 問 者:石井 健一郎 議員

質問方式:分割答弁方式

1 地域活性化に向けたデジタル化の取組について

現在、国においては東京一極集中の是正や地方活性化の取り組みである「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、5G、光ファイバ、データセンターなど、デジタルインフラの整備を進めようとされている。デジタルインフラは国が主導し、民間活力も活用して、例えば5Gは、2023年度末までに人口カバー率を95%まで引き上げ、光ファイバは2027年度末までに世帯カバー率99.9%を目指すとされている。現在、多くの県民が、スマートフォンやウェブ会議システムを容易に活用できる環境が整いつつある。

コロナ禍が続く中、都市部から地方へ移住する若年層も多くなっている状況を鑑みると、こうしたハード整備を中心とした環境づくりに加えて、今暮らしているその場所で生活していくために必要となる医療や交通、教育、公共サービスなどを十分に受けられる環境づくり、いわば県民の暮らしを支えるデジタル化がより重要になっている。そういった施策を今後しっかりと展開していくことが、地域の活性化にもつながっていくと考える。

長期的な姿である最先端のデジタル社会を見据えつつも、暮らしの質向上と地域の活性化のためのデジタル化に県として今後どのように取り組んでいこうとしているのか、見解を伺う。

2 ふるさと納税について

ふるさと納税は2008年の開始以来、全国において拡大を続けている。

改めて申し上げると、ふるさと納税については地方と大都市の格差是正、人口減少地域における税減収対応、地域創生を目的とした寄附金税制である。地方の税収による医療や教育等のサービスを受けて育ちながらも、進学や就職を機会に都市部へ移住することにより、税収の恩恵が都市部に偏ってしまうことから、寄附先を納税者自らが選択できるようにし、各自治体から寄附者に返礼品となる地場産品や独自の取り組みをアピールすることにより、地方自治体間の競争が進むことで選ばれる地域、自治体を目指す仕組みである。この寄附金の獲得は自治体にとって貴重な収入源であるが、最近では返礼品競争による弊害も多く報道されるようになった。

全国の地方自治体でも、人口や産業の少ない地域で税収の減少や慢性的な赤字に苦しむ地域では歓迎する意見がある一方で、税収が減る都道府県や政令市等では反対や慎重な意見が多い。

また、地場産品の定義や、その有無。返礼品は地場産品、仲介サイトへの手数料を含んだ諸経費と返礼品の金額合計が5割以下に限定されているが、その解釈や、そもそも本来、税収であるべきものが広告費や仲介するポータルサイトに支払われていることに対する疑問。また、単なる安いお得な通販制度になっている感も否めないし、高額納税者程有利な制度であることも事実である。

ふるさと納税の「ふるさととの絆を大切にしたい」という本来趣旨から考えると少し雑な制度になっているように感じることとあわせ、地方交付税で対応すべきであるという意見もある。その一方で地域の地場産品のアピールということについての一定の効果や、兵庫県では先日多くの企業版ふるさと納税があったということについてはふるさと納税の効果の一つでもあると思う。

その一方で、県では新たに地域の特産品をふるさと納税の返礼品に加えた。このことは県内市町のふるさと納税額に影響があるのではないか。県としての立場からは地域の県産品というよりはもう少し広い立場で公共の利益に資するふるさと納税に徹し、市町のふるさと納税をサポートする側に徹するということも考えられる。

ふるさと納税については良いところもあるが、制度としてはまだまだ未熟であるように感じる。これまでの経緯を含めてふるさと納税についてどのような意見をもっているのか。また、今後どのように運用していこうと考えているのか見解を伺う。

3 ロングトレイルの取組について

コロナ禍3密回避により、アウトドアレジャーが注目されている。中でも、ロングトレイルは国内各地で地域資源を活用した地域活性化のツールとして期待されている。

『トレイル』とは、登山道、自然歩道など『自然に親しみながら歩く』ことを楽しむことができる道の事で、なかでもロングトレイルは、発祥地の英米では1,000キロメートル規模のルートが整備されている。国内においては1970年代から環境省が国立公園の活性化等を目的に長距離自然歩道にはじまり、現在では都道府県や市町村、地域住民が主体となり整備されつつある。自然の中を歩きながらゆっくりとした時間を楽しむ「ロングトレイル」は、手軽に楽しめることもあり、人気が高まっており、地域ごとに特色を凝らしたものや、利用者が30万人を越えるような人気のトレイルもあると言うことである。

県内でも山陰海岸ジオパークトレイルやフォレストステーション波賀を発着とした波賀トレイル、また、関西を代表するロングトレイルの一つである六甲全山縦走路など、各地域で開催されている。

エリア内における自然や歴史、ロングトレイルの楽しみ発信の他、交流人口の増加による地域振興等も今後期待したいところである。山陰海岸ジオパークについては県域を越えたものであるが、市町を超えることも当然考えられる。

現在、国においても長距離自然歩道の利活用のあり方を有識者会議において検討中である。また、アメリカのボストントレイルのように市内観光地を巡る人気トレイルもある。地域活性化のツールの一つとして、各市町が地域資源を活用しながらこういった事業を推進しやすいように、県としてより積極的な取り組みをお願いしたいと思うが見解を伺う。

4 若年女性の雇用の受け皿確保に向けて

兵庫県では特に生産年齢人口の流出が目立つ。

個人税収は生産年齢人口、就業者数と連動するが、行政サービスは年齢に関わらず、住民数に比例することから、就業者数が減れば、税源と行政サービスのバランスが崩れ、国への財政依存度が高くなる。このことから、県内でも高齢化が進む中、就業者の確保の取り組みが喫緊の課題である。若者の流出は将来の税源の流出であり、特に女性の流出が問題である。

女性の雇用については、一般的に、保険医療や介護サービス職、なかでも事務職が主なものであり、その一方で技能・労務系の職種は女性の割合が少ない。県においては、全国平均と比較し、女性の雇用受け皿となる事務職の割合は低く、製造現場等男性が主に働く仕事が多いように思われる。その一方、大阪や東京などの都市部では、女性の雇用においても、技術職や文理系専門職等の大卒人材の割合が高いように思われる。これは、都市部では製造業の比率は高くないが、本社や研究所が集積することにより、事務職や営業職だけでなく、大卒の技術職、専門職等も女性就労者の受け皿になっているからであると考えられる。

このことから女性若年層流出に向けては、大学を卒業した女性が求める仕事と企業側の職種等受け入れのミスマッチの解消のためにも、県内企業において、大卒の事務職や営業職の他、専門職・技術職の受け皿を確保することは大切であり、女性大卒者の増加に伴い、人材の高度化、専門化に応じた職場が求められる。

企業の事務所や、本社機能を置く企業を誘致すれば様々な職種において雇用の受け皿も多くなるが、地元発のビジネスを増やし新たな企業を育成するということも考えられる。また、男性中心と思われている建設や製造現場での人手不足は現在深刻であり、技能継承という意味においても、女性の役割は大切であると考える。県下各市町に委ねることなく、連携を強化しながら、若年女性の雇用の受け皿確保に向け、県としてしっかり取り組む必要があると考えるが、見解を伺う。

5 アンテナショップの考え方について

(1)首都圏でのアンテナショップ機能について

コロナ禍の中で東京の「兵庫わくわく館」が閉店した。首都圏における販路拡大も大切であり、PRする仕組みづくりの必要がある。現在、「兵庫、日本と暮らす」として大阪・関西万博を見据えた上質かつ本物志向のHYOGOブランドの確立を目指し、首都圏在住の本物の文化・体験等を好む層をターゲットに、兵庫デスティネーションキャンペーンのプレキャンペーンと連動したプロモーションを行い、県特産品の購入を契機とした「兵庫テロワール旅」の認知度向上や県内への誘客促進につなげるとして、東京ミッドタウンガレリアや帝国ホテル等でイベントを開催している。ブランド価値を上げる、新しい兵庫の特産品を育てていくという意味において、兵庫県の製品を全国の製品とともに並べ手に取って頂くといった新しい手法も挑戦すべきであるし、期間限定の事業は首都圏に限らず今後とも様々な視点で必要な事業と考えるが、開催場所がその都度変わるため、また、今回のように実施場所によっては他県の物産品も販売されているため、事業としての継続性や効果は今後の調査を待ちたい。11月からは商品を入れ替え、第2弾が開催される予定とのことだが、現在までの状況や評価について伺う。

その一方、「兵庫わくわく館」はコロナ禍における売り上げ減や行革の視点とで撤退したものと理解しているが、首都圏の方や国内外観光客にアピールする、兵庫県の立ち位置を確認するという意味においては首都圏でのアンテナショップとしての役割は残されており、今後のアンテナショップについてはそのあり方をしっかりと検討すべきではないかと考えるが、見解を伺う。

(2)県内アンテナショップ機能の充実について

五国の国と言われる兵庫県には、五つ星ひょうご選定商品をはじめ多くの特色ある特産品がある。ひょうごの豊かな自然の恵みを受けた海の幸や山の幸、伝統に培われた匠の技等、あげると切りがないとは言え、それらの中には地元以外の人に十分認知されていない物も多い。例えば兵庫の特産品と言っても都市部住民へ商品の魅力をつたえきれていない県内特産品も多くある。

三宮の阪急神戸店内には常設店舗として「ひょうごふるさと館」があり、そこでは、海産物をはじめ、県内のさまざまな特産品がそろっており、いつでも誰でも購入できる。しかし、正直なところ、県民のみならず、県外、国内外の観光客にとっても場所は少しわかりづらい。

展示販売だけでなく、地元生産者によるイベントや地域情報コーナーとしてのPRなど、積極的に取り組まれているが、場所が5階にあることからも、多くの県民に周知いただき、訪問・購入につなげていくための工夫等も大切となる一方、根本的な問題として誰でもリーチしやすい場所に設置するといったことを考える必要もあると思う。

現在、コロナの感染者数の落ち着きからか、三宮駅周辺や観光地は地元の買い物客や観光客が戻りつつあり、週末ともなると多くの人で賑わいを見せている。コロナ禍の終息を見据え、例えば神戸を訪れる国内外観光客や県民向けに、交流人口も多い神戸で、アンテナショップの機能を充実させることは、地元の人々や観光客の認知度を高めることにつながると同時に、今後の県産特品の県内消費の拡大、さらには全国展開に向けて大変有意義であると思うが、見解を伺う。