1.事業継続への支援
① 休業要請の要件である100㎡以上という面積要件は小規模事業者を救済から排除するものとなっており、休業要請支援金等、事業の継続を支援する制度においては零細・小規模事業者を排除しない制度に見直しを行うこと。
② 休業要請事業者のみならず、経営が悪化している休業要請対象でない事業者に対しても経営継続支援金を支給すること。
③ 家賃や労務費をはじめ固定費に対する助成など独自の施策を実施すること。
④ 直近1年以内に新規創業し、経営状況が悪化している事業者に対しても経営継続支援金を支給すること。
⑤ 持続化給付金について、対象の拡大や支給額の増額を行うよう国に要請すること。
⑥ 低利かつ貸付期間及び据置期間が長期の制度融資を拡充すること。
⑦ 県下経済が受けたダメージは計り知れない。収束後の経済対策にあたっては、事業者の行動に対し幅広く迅速かつ柔軟に対応できる制度とすること。
また、緊急事態が5月6日以降も続くようであれば、休業要請等に協力した中小零細企業および個人事業主に対して追加の支援を、国へ要望するとともに適切に実施すること。
⑧ 官民を問わず、工事休止となる場合、下請けで働く労働者・一人親方等すべての現場従業者への補償を同時に行なうよう受注者に強く要請すること。とりわけ、県発注の工事については、労務費も含めた追加費用の支払いと受注者への指導を責任を持って行なうこと。
⑨ 建設工事の請負代金の支払いや作業員への賃金支払いが順調に実施されるよう、指導や勧告の実施等により指導体制を強化すること。
⑩ 雇用調整助成金の窓口状況の改善について、兵庫労働局をはじめ国の関係機関に要請すること。
⑪ 各種助成金や融資などの手続き簡素・オンライン化を進めるとともに、不正受給対策からも申請書類や疎明資料が複雑で個人事業主は社労士やコンサルの活用しなければ申請できないことから、不正受給は原則刑事告訴などの措置で不正に対する抑止を実施すること。
2.医療・福祉現場への支援
① 医療・福祉現場では、感染症患者に直に向き合い、命の危険と隣り合わせの懸命な対応が続いている。マスク・ガウン・フェイスシールド・消毒液・防護服・人工呼吸器等必要な資機材の手配に万全を期すこと。
特に消毒用アルコールについては、現場の需要を的確に把握するとともに、県内酒類製造・販売メーカー等と連携を図り、必要な機関・施設に行き渡るよう、緊急的・時限的な諸制度の規制緩和等を研究し実施すること。
② 医療従事者等の健康・安全を確保するため、長時間労働の防止、休息時間の確保については人材の確保を含め、早急に対応すること。
③ 医療従事者等の士気を保つため、感染症防疫作業手当の増額を遡及措置も含め早急に図ること。
④ 福祉現場では、日頃から人材確保等の課題があり、厳しい運営を余儀なくされている。新型コロナウイルス感染症対策による消毒作業等の業務負担増加、デイサービス・ショートステイサービス等の自粛要請によって、より一層厳しさを増している。現状を的確に把握し、必要な支援を講じること。
⑤ 感染症指定医療機関の従事者等が、同居の家族(高齢の親や子ども)に感染を広げないため等の理由で自宅に帰れず、ホテルや旅館は他の利用者への配慮から宿泊を断られるため、車等で仮眠し出勤している現状があることから、医療従事者の宿泊施設の確保(公共の宿泊施設、ホテルの借上げ等)を実施すること。
⑥ 軽症者等の宿泊・療養施設を早期に確保し、重症者への医療に重点を置く体制が早期に確立されるよう支援すること。
3.感染拡大防止対策
① PCR拡充・迅速化を図り、不安を抱えた症状が出た本人・家族等への的確な対応と情報提供を行うこと。
また、濃厚接触者と通告され不安となっている県民に対しても原則としてPCR検査を実施すること。
② PCR拡充に合わせて、通院や検査時にも感染拡大をさせないために関係機関、医療施設と連携し、ドライブスルー方式によるPCR検査導入と発熱外来等の開設・設置を積極的に進めること。
③ 新型コロナウイルスの抗体検査を、国による検査キットの性能の確認や、検査対象などの検討が終わり次第、速やかに実施すること。
④ 諸外国では可能な外出・店舗営業に対する罰則・強制措置が要請しかできない日本は徹底的な機運醸成と啓発が必要である。
⑤ 交通機関は景気減速と乗車減少により、広告の空きスペースが目立つため協力を得やすいと考えられることから、わかりやすい(中学生レベル)具体的なコロナ対策を公共施設、交通機関、建設現場等における啓発ポスターの街頭での掲示やウェブ等あらゆる手段を通じて目に触れさせ啓発を図ること。
⑥ 警察官による街頭外出者への呼びかけに加えて、3密の恐れがある店舗等への営業時間短縮への要請を強力に実施すること。
⑦ エンジン開発者の方から、「エンジンのエアクリーナー技術を参考にして、ガーゼマスクや布マスクにワセリンをアルコールで希釈したものやグリセリン溶液をスプレーしたら、吸着型フィルターとして効果を高めることが可能ではないか」とご提案をいただいたため、提案の方法について、効果の有無を確認し、効果がある場合は広い告知を検討すること。
4.労働環境の整備
① 緊急事態宣言下における、社会の維持のために従事するすべての労働者への労
働安全衛生の確保と、休業要請業種へのきめ細かい支援を行うこと。
② 妊娠中の女性労働者への配慮について広く周知し、必要な支援を行うこと。
5.人権擁護
① 歴史的に見ても、ハンセン病、エイズなど、これまでいくつもの病気が偏見や差別の対象になってきた。既に、県内の感染症指定医療機関職員からは「勤め先を理由に、子どもがいじめられる」との悲痛な声が寄せられている。医療関係者や患者関係者等への差別やデマは許されない。人権尊重・人権擁護の立場から、効果的な啓発を積極的に展開すること。
また、知事が記者会見等において、人権擁護・差別事象防止の発信を行うこと。
② 差別や貧困、不就学によって文字の読み書きを奪われてきた人たちが存在する。補償や給付金などの施策がすべての人に行き届くよう、非識字者・情報弱者への申請手続きの支援を行うこと。
6.DVや虐待の防止
① 外出自粛要請を受けての自宅勤務、テレワークが進むなかでDⅤや虐待の増加が懸念されている。加害者である家族が常に隣にいるために被害者が相談に行けない、電話をかけられない状況がある。感染防止を念頭に置きながら、相談窓口を広く周知し相談を促すとともに、家庭訪問などのアウトリーチの方法を追求すること。
7.生活支援
① 生活福祉資金について、市町や社会福祉協議会と連携し、窓口の混雑状況の改善支援等により、貸付実行までの期間を短縮すること。
8.保育・教育環境の整備
① 休校が長引くなか、子どもたちの学びの機会や、友達や先生たちとのつながりの機会が喪失されている。教職員の児童生徒への電話連絡・相談活動の強化が必要である。オンライン授業の導入など、新たな取り組みが少しずつ広がってきているが格差が大きい。家庭事情によって取り残される児童生徒が出ないよう、環境整備を積極的に行うこと。
② 学童保育および保育所の利用自粛や受け入れを制限する自治体があり、その影響で、子供の預け先がないため仕事を休まざるを得なくなり、マンパワー不足となっている介護事業所が発生している。
すべての市町に対し、警察・医療関係者と同様に介護・福祉従事者・生活インフラ従事者等についても優先的に受け入れる対象とするよう働きかけること。
また、保護者が新型コロナウイルスに感染した場合の子供について必要な支援を行うこと。
③ 県内中学2年生の職業等体験「トライやる・ウイーク」について、現場の教員から今年度の実施は厳しいとの声が上がっている。今後の状況が見通せない事、生徒が事前学習を重ねる時間が乏しい事、教員に事前準備する余裕がない事、受け入れ先の多数をしめる福祉・教育施設(高齢者施設・保育所・幼稚園・小学校)が受け入れ態勢にないであろう事などが理由であるため、「トライやる・ウイーク」について、感染拡大防止を最優先とした上で、教師の負担、受け入れ施設の負担を十分に考慮し、今年度の実施は慎重に検討すること。
④ 令和2年5月7日以降の学校の臨時休業期間の延長の有無について、令和2年4月末までに周知すること。
⑤ 自粛要請が長引く中、運動不足やストレス過多による心身の健康への不安の声があがっている。感染症拡大防止策を講じたうえで、学校教育施設・社会教育施設等を県民の健康維持のために活用することを検討・実施すること。
9.広報活動、情報公開の充実
① 外国籍県民には「言葉の壁」から情報に取り残されている人たちがいる。新型コロナウイルス感染症の予防方法や症状、病院へのアクセス、行政の対策など、さまざまな情報を多言語で発信すること。
② 広報活動や相談業務においては、視覚や聴覚に障害のある県民に十分に配慮し、多様な手段を用いた丁寧な対応に努めること。
③ 患者の発生状況の公表について、現在は健康福祉事務所ごとに発表し、ご本人やご家族等の了承が得られた場合に、実際の居住市町を公表している状況である。
この状況に対し、特に阪神北地域から「実際の居住市町を公表してほしい」との声が多く挙げられている。阪神北地域は伊丹健康福祉事務所(伊丹市・川西市・猪名川町)・宝塚健康福祉事務所(宝塚市・三田市)と、健康福祉事務所が複数の市町を管轄している事、感染者が多い事などから、不安や懸念の念を抱かれる県民が多いところであることから、個人情報保護の観点に十分配慮をしつつ、実際の居住市町の公表を望む声が多いことを把握し、出来る限りの詳細な情報公開に取り組むこと。
10.県・市町職員の健康管理・士気保持
① 多くの県職員が新型コロナウイルス感染症拡大防止のために日夜奮闘している。職員自身の心身の健康に十分留意し、必要な人員確保等に努めること。
② 市町がコロナ対策感染症対策に、限られた人的資源を集中できるよう、県から市町への不要不急の一般依頼業務についての取扱いは特段の配慮に努めること。
③ 公共工事の積算をはじめテレワークにより対応できていない業務については、テレワークが可能となるようにシステム構築等の方策を検討すること。
④ 今後も警察官のコロナ感染と自宅待機増加により警察官不足は一層深刻化することから、本部人員は、人員不足の警察署への応援に回ること。
⑤ 健康福祉部等の繁忙部局の業務負担軽減のため、他部局からの一時的な人員派遣や他部局への業務委託を検討すること。
令和2年4月28日
兵庫県知事
井 戸 敏 三 様
兵庫県議会ひょうご県民連合議員団
幹 事 長 上 野 英 一
政務調査会長 竹 内 英 明