質 問 日:令和2年9月30日(水)
質 問 者:石井 秀武 議員
質問方式:分割 方式
1 広域連携の今後のあり方について
関西広域連合は、分権型社会の実現、関西全体の広域行政を担う責任主体づくり、国の出先機関の事務の受け皿づくりといったねらいを掲げ、平成22年12月に設立され、この12月で10年が経過しようとしている。今回の新型コロナウイルス感染症拡大という設立以来最大といっても過言でない危機、脅威に対し、広域連携の必要性が浮き彫りになったのではないか。
例えば、3月の3連休直前に、大阪府の吉村知事が急きょ打ち出した3連休中の本県と大阪府の間の往来自粛要請は同じ経済圏である本県との事前調整もなく、住民の移動に大きな制約を課すことになりかねないものであり、まさしく自府ファーストともとれる対応であったのではないだろうか。その他にも、協議はしているものの結果として連携がとれていないような印象を与えることとなった事例も散見された。
一方で、関西広域連合として、7月には広域での医療体制の協力など、より連携を深めていく方針が確認されるなど一定の成果も見られた。
今回のコロナ禍において、広域連合長として改めてその舵取りの難しさを感じた部分もあったのではないか。
こうしたウイルス対策に関し、経済圏が一体である地域は、同様の政策が必要であるということが改めて明白となった。このことを踏まえると、同一の社会・経済圏において、強力に一体的な施策を展開する方策として道州制の導入に向けた議論が再燃することも考えられる。
以前、関西広域連合議会において、私は、橋下徹元大阪市長に道州制の導入について質問をしたことがある。その際、橋下元市長は「国にぶら下がっているような地方の構造のままだと、仕送りをもらっている大学生のようなもので、ちゃんと成長できない。道州制は自立というところに視点を置いて、ヨーロッパの中堅国並みの範囲でいけば、自立できる。道州制はこれからの時代の最後の日本再生の切り札。企業活動を見ても、都道府県単位の本部を設けている企業なんていうのはもうなくて、大体道州単位の範囲で、企業も本部というものを設けているので、広域行政体というものが経済活動の成長という面を支えていく」と答弁された。
今回の新型コロナウイルス感染症対策では、関西の各府県は、広域連携はもちろん行なっていたが、国から自立した行政体としてそれぞれの自治体が躍動している部分も多分にあった。
そこで、こうした動きを捉まえ、道州制の議論が再燃する可能性も考えられる中、設立10年を迎える関西広域連合の取組を今後どのように深化させていくのか、当局の所見を伺う。
2 地方の意見の国政への反映のあり方について
県はこれまで国に対し数多くの要望を行ない、期待通りとはいかないが、成果を挙げているものもある。また、全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体と言われる全国組織を通じた要望も可能となっている。
ただ、今回のコロナ対応では、法令上は、知事は緊急事態宣言下で特措法45条2項をもとに、事業者に対し、いわゆる休業要請を行なうことができるとなっているが、国は特措法第20条第1項を根拠に、基本的対処方針に協議を要するとの文言を追加し、東京都と国で意見にズレが生じる事例が発生した。
また、休業要請と休業補償はセットで行なうべきであり国の交付金を充当できるようにしてほしいという地方の要望に対し、国はなかなか首を縦に振らず、最終的に世論に押し切られ、協力金への交付金の充当という形で要望を飲むこととなった。
以前から、地方自治体の首長が国会議員の兼職を出来るようにならないか、という問題提起がある。現在、地方自治法141条では、普通地方公共団体の長は、衆議院議員又は参議院議員と兼ねることができないと規定されている。
国と地方自治体の狭間に入って利益相反になるという問題はあるものの、例えば、ハードルは高いが、両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織するという憲法を改正し、都道府県知事は自動的に参議院議員を兼ねるということにすれば、国政の場での地方の意見がより重くなり、また、地方が国をチェックする場として、参議院は良識の府として、存在意義も高まるという声すらある。
鳥取県の平井知事が政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員になったということであるが、これも地方の意見を国政に反映する一つの方法であると考える。
本県議会も含め全国の地方議会から国に対し、地域の課題解決に向け、毎年数多くの意見書が提出されているが、これまで政策などに十分に反映されていないことを喫緊の課題と捉え、全国都道府県議会議長会では7月の決議で、国に対し意見書の積極的な活用や活用結果の公表を求めている。
そもそも、国と地方の歳出規模は概ね4対6であり、事務量は地方が更に分担が多いと言われていることを踏まえれば、多くの事業で実施主体となっている地方自治体の声をもっと国政に反映させていく必然性は本来自ずと認められるべきではないだろうか。
当局もまた、今回のコロナ禍を機に地方の意見をより国政に反映させる必要性を改めて、より強く認識したのではないだろうか。
そこで、今回の新型コロナウイルス感染症対策、危機対応を踏まえ、今後の地方の意見を国政に反映するためにどのような方法が適切であると考えるか、当局の所見を伺う。
3 ポストコロナにおける健康増進に寄与する提案について
(1)播磨中央公園リノベーションについて
近年の健康志向の高まりと相まってサイクリストが増加する中で、新たな観光資源としてもサイクルツーリズムが注目され、全国各地でさまざまなイベントが実施されている。
私も一般質問において、サイクルツーリズムによる地域振興、ツール・ド・ひょうごの実施、サイクルスポーツを活用した六甲山の活性化、国際的なサイクルイベントの実施などを取り上げてきた。神戸県民センターにおいては、再来年度の六甲山ヒルクライム大会(仮称)開催に向けた調査・検討に着手するなど一定の前進も見られる。
主に公道を活用しての大規模イベントの開催誘致には、県警や開催市町をはじめとした関係諸団体への理解や、なによりも県民への機運醸成など、これから誘致に向けた下地づくりのため地道な努力を要するが、その前提として必要なことを次のとおり、提案したい。
特に最近、公道を土日祝日には早朝より走るサイクリストの姿をよく見かけるようになった。そうした中、県下で県民が身近に安全に自転車を走行できる場所の必要性が増大している。県下でも河川敷などを活用すれば、それなりの距離は確保できるが、私が今回特に注目したいのが県の中心部に位置する県立播磨中央公園である。
播磨中央公園では2004年から2011年までほぼ毎年全日本実業団のサイクルロードレースが園内の1周7.8キロの臨時コースで開催されていた実績がある。残念ながら、わずか2日間であるが、終日一般来園者の利用を規制することについて、近隣住民から苦情が多く寄せられたため、2012年以降は開催されていない。
現在、園路は散策・ジョギングのコースとして近隣住民の憩いの場となっており、一方、公園内は自転車の乗り入れが原則全面禁止となっているが、せめて、園路の一部でも、常に自転車走行可能なコースがあればと思う。また、園内のふじいでんこうさいくるらんどにある3キロの自転車専用コースは老朽化が著しく、なによりも自分の自転車を持ち込んで走行することができない現状は、近年の自転車ブームを考えると、とても残念である。
さまざまな経緯のなかで現在の活用に至っているとは思うが、現状の活用では大変もの足りないものを感じる。特に、ジャパン・カップが開催されてはいるもののコースの大半を公道を利用せざるを得ない宇都宮森林公園と比べても、その優位性は高く、仮に、播磨中央公園にかつての7.8キロコースと同等のコースがすべて公園内で確保できれば、全日本実業団のサイクルロードレースをはじめ、国体のロードの選考会、近畿高等学校自転車競技大会ロードレースなどの大会を誘致することもでき、兵庫県におけるサイクルスポーツの聖地として多くの人が集まる場所になれば、さらなる大規模イベント誘致に向けた県民の機運も高まるのではないだろうか。
折しもこの7月に、平成30年度の包括外部監査において指摘のあった老朽化したテニスコートの一部を活用して園内にサイクルステーションが完成した。
そこで、自転車のまちとして自転車を通じた交流人口の拡大に取り組む地元加東市とも連携していきながら、既存のウォーキングやジョギングをしている方々と自転車が共存できるコースとして園路を再生することにより、本県におけるサイクルスポーツの聖地として播磨中央公園の健全な発達、また、県民へのサイクルスポーツの機運醸成にもつながるものと考えるが、当局の所見を伺う。
(2)里山の登山道・遊歩道整備について
今年はコロナ禍の影響で県外への不要不急の行動が制限されたことを機に県内の山を登ることにしており、日帰り登山を楽しむ中で、ポストコロナの新しい生活様式の場の提供として、緑豊かな県土の身近な里山の登山道・遊歩道を整備することにより、県民の健康増進につながるような施策を展開できないかと考えている。
ポストコロナ社会では、健康志向も相まって県内の身近かつ安全な里山への行楽需要が高まるものと予想される。一方、兵庫県は、里山林を環境の保全はもとより、自然とのふれあいや体験学習の場として再生する、里山再生を掲げ、各種事業に取り組んではいるものの、今後、ポストコロナで里山の利活用が一層期待される中、その入り口となる登山道・遊歩道の整備が充足しているとはいえない状況であると考える。
登山道整備という面で、県外の事例を挙げると、里山ではないが、北海道の大雪山国立公園では、相互研鑽のための研修会の実施や地域横断的な相互協力の保全修復活動が進みつつある。具体的には、年に数回、山岳関係者を対象とした、整備技術の共有とレベルアップを目的に登山道整備技術講習会が各地で行われている。
私の地元の神戸市西区の高塚山のハイキング道は、以前は人通りも少なかったこともあり、人の手も入らず、危険個所も増え、雑草は茂り、山は荒れていた。今は神戸学園都市高塚山を愛する会のメンバーにより県の住民参加型里山ふれあい森づくり事業を活用し、地元の方のご尽力もありかなり整備され、地域住民の憩いの場となっている。
ポストコロナ社会を見据え、こうした県内の里山をさらに活用できるしかけづくりをしていく必要があるのではないだろうか。
本県は、国の森林・山村多面的機能発揮対策交付金に市町とともに上乗せ補助を実施する住民参画型里山林再生事業を展開している。
ふるさとの森公園では、県民の参画と協働により、森林の保全と創造を進めるとともに、地元住民と都市住民、世代間交流の場、親子・家族のふれあいの場を提供し、四季折々に森の大切さを考えることができるいろいろな里山体験プログラムを実施している。折しも神戸市ではURから無償譲渡された29ヘクタールを体験農園やハイキングコース、ビオトープなどを備えた都市型里山のモデル地区として整備し、過密を避けるコロナ禍の中、里山が身近な生活を街の魅力強化につなげていこうとしている。
このような大掛かりな取り組みではなく、住民の参画と協働のもとに、まずは道に迷わないような案内板の整備などから里山の登山道・遊歩道の整備を含めた里山再生を進められないかと考えるが、当局の所見を伺う。
(3)企業誘致における自転車利用について
ヨーロッパでは以前から自転車通勤をする人が多い。日本でも、緊急事態宣言によって在宅で働く人が増えた一方、出勤が必要な人の間では、感染予防のために公共交通機関を避け、自転車通勤をしている人が増えているとみられている。ただ、自転車通勤の安全性の観点から、しようとおもっても断念する、また会社が就業規則で認めていないケースがある。
現に、交通事故死者数は近年減少傾向である一方、自転車乗車中の死者数の占める割合は増加傾向にある。また、自転車乗車中における人口10万人当たりの交通事故死傷者数は、全年齢平均に対し、中学生が約3倍、高校生が約5倍と非常に高く、そのうち、約半数以上を通学中の事故が占めている。過去10年間では、自転車関連事故の件数が5割減少したことに対し、自転車対歩行者の事故は約1割の減少となっている。
こうしたことを背景に、昨年には、道路構造令が改正され、新たに、自転車通行帯が規定された。
アメリカの調査によれば、自転車通勤率が継続的に増加している場所のほとんどでは、歩道と自転車専用レーンを備えた道路など、自転車インフラへの投資が行われているとの結果も出ている。
また、6月定例会でサプライチェーンの国内回帰支援強化のため産業立地条例が改正され、産業団地への工場誘致促進が図られており、3箇所に現在分譲中の産業用地を抱える企業庁においては、ポストコロナ社会において、企業誘致・定着における他事業体との差別化をはかり、健康増進やエコの観点も踏まえ、産業団地に自転車で通勤できることをセールスポイントにした先導的な施策を展開していくことはできないだろうか。
例えば、自宅からの全行程を自転車通勤というわけではなくとも、最寄り駅からの自転車通勤という方法も考えられる。
企業庁が分譲している産業用地において、この取組がうまくいけば、県内の他の産業用地にも波及させることができるのではないか。
そこで、企業庁分譲の産業用地において、自転車通勤ができることをPRすること、さらに自転車通勤の環境整備について、当局の所見を伺う。
4 ポストコロナ社会を見据えた兵庫づくりについて
この地方分権時代には、地方自治体は自己責任のもと、自らの創意工夫で地域をマネジメントすることが求められており、首長の役割、責任は増加している。
これに伴い、第28次地方制度調査会の答申において、「組織運営面における自主性・自律性の一層の拡大を図りながら、そのマネジメント機能の強化を図ることが必要である」とあるように、補佐役である副知事への期待、役割は大きい。
首長は住民の直接選挙により選出されるが、副知事は議会の同意人事で選任され、首長と職員との橋渡し役としての機能のみならず、政策立案や議会での答弁の場などにおいて、首長の補佐役として、アメリカのシティマネージャーやイギリスのチーフエグゼクティブのような職責を果たすことも求められるようになると考えられる。
自治体のトップに就く者が分権時代を背景にして強力なリーダであればあるほど、ナンバー2には、ますます実務にたけ、自治体内外の関係者とも太いパイプを持つ、いわば真の意味での自治体のプロが就いた方が望ましいという考え方もある。
金澤副知事は、10年前の副知事就任までの本県での職務経験、国での地方分権改革や地方財政対策関連の業務経験などを活かし、現在は、30年後のあるべき県政の将来像を描く新たなビジョンづくりも担当され、県民と語る会を先頭に立って進めるなど、県政運営の大きな方向性を定めるべく尽力されている。
こうした中で、新型コロナウイルス感染症対策においても、対策本部長の知事の下、事務総長兼副本部長として、最前線で取組を進めておられる。また、今般の新型コロナウイルス感染症対策の分析・検証を行うとともに、各分野の第一線で活躍をしている現場の方から、直接意見も聞き、今後の本県のあるべき姿に向けて知事を支え、緊密な連携のもと、その取組を進めておられる。
そこで、これまで、金澤副知事はどのように県政に携わり、今般のコロナ対策を、事務総長兼副本部長としてどのように取り組み、今後、ポストコロナを見据えた兵庫づくりを副知事としてどのように進めていくのか、所見を伺う。