令和元年度決算特別委員会【県土整備部】
質問日: 令和2年10月13日(火)
質問者: 栗山 雅史 委員
1 鉄道路線の早期復旧支援と事前防災・減災支援について
(1)被害を受けた鉄道路線の復旧などの支援について
平成29年7月九州北部豪雨や平成30年7月豪雨など、近年、頻発化・激甚化する豪雨災害により、鉄道に隣接する傾斜地が崩壊して土砂が流入して線路を塞いだり、河川に架かる橋梁が流失するなどの事案が発生しています。平成30年豪雨では、全国で32の鉄道事業者、115路線で運転休止が生じ、広島県などの路線によっては数か月間運行ができなくなるなど、県民の足に大きな影響を与えるものとなりました。兵庫県内においても姫新線、山陽本線、播但線等で運行休止となりました。その他、我が会派の向山議員も以前予算委員会で取り上げましたが、台風による被害として県内では神戸電鉄での被害もありました。
長い場合、数か月に及ぶ復旧期間中には、鉄道の代替手段としてバスを走らせていますが、これにかかる費用は多い場合何十億円という単位になるようです。それらはすべて鉄道事業者負担だったようで、国や地方自治体からの支援は全くなかったようです。これには大変驚きました。また、線路の復旧費用についても、当時は国や自治体からの支援が無く、こちらも全額鉄道事業者負担ということでした。その後、「鉄道軌道整備法の一部を改正する法律」ができ、赤字事業者だけが対象であったものが、黒字事業者の赤字路線も対象と改正されましたが、これでは黒字路線であれば支援を受けられない、復旧が進まないという面があります。
先週末にも台風がこの兵庫県にも接近しましたが、最近はいつ何時台風や集中豪雨によって、同じような被害が引き起こされるかわかりません。鉄道が止まって一番困るのはその路線を利用されている県民・市民です。鉄道路線が被害を受けた時に、県として何ができるのかを問い合わせましたが、「国の補助もないので黒字路線では復旧費用は支援できない」とのことでした。目の前で県民が日々の生活に困っているのに、国の補助がないからと言って、その代替手段の支援や復旧にかかる支援について、ご当地の県や市町が支援しないというのはいかがなものでしょうか。
被害の規模には大小あり、大きいものだと多額の復旧費用になるかもしれませんが、県民の普段通りの円滑な生活を送るための早期の足の確保に向けて、県独自でも支援ができるようにして欲しいと思いますが、当局のご所見をお伺いします。
(2)防災・減災支援について
台風や集中豪雨があった際に、被害を受けないように事前に対策を施しておく「事前予防」という観点も重要です。
中山間地域の中を走る路線は、山裾だったり、山中の谷筋のようなところに線路を敷いていることが多いです。また、河川を渡る橋梁についても、川の増水等によっては橋梁が流される可能性があります。斜面の法面崩落、そして土砂流入、盛土流出、橋桁流出、変電所沈没などの被害が起こる前に、危険性のある場所についての対策・強化を施す減災対策をするべきだと思いますが、これについても国の補助対象事業者は、「鉄道施設総合安全対策事業(豪雨対策事業)」では、JR西日本等の事業者を除くとされ、兵庫県の「豪雨対策費補助」では、JR西日本を除くとされています。
災害に備えるため、すべての事業者に対して兵庫県では独自の支援ができないのか、当局のご所見をお聞きします。
2 県道の保全、改良、整備について
(1)無料化した西宮北有料道路のその後について
私が県議会議員に当選した2011年、初めての一般質問で取り上げました「西宮北有料道路の早期無料化」については、私を含む西宮市選出の県会議員と一緒になって早期の無料化を強く訴えた結果、予定よりも3年前倒しで無料化を実現することができました。無料化されたのは平成30年の4月1日でありました。私は喜び勇んで、通行料金を取らなくなったこのトンネルを、用事も無いのにわざわざ通過しに行ったものです。
さて、無料化してから2年半が経過しました。市民、県民からはこの間、本当に多くの喜びの声をいただいているところでして、嬉しいですし、誇らしく感じています。しかしながら、無料化してからは想像していた通り、トンネルの交通量が増えているとの調査結果も出ているところです。交通量の増加による船坂交差点の渋滞が土日祝日を中心に発生していることもありますし、周辺の地域が交通量増加をどのように感じておられるのか気になるところです。県当局としてはそのあたりどのように感じているでしょうか。
また、無料化をする前に、トンネル壁面修繕や道路舗装、消火栓、火災検知器等の設備機器の更新など大規模修繕を行っていただきました。今では一般のトンネル、県道となった訳ですが、そのメンテナンスにかかる費用などについてはどのようになっているのか、現在の状況について併せてお答えください。
(2)大沢西宮線と阪急甲陽線の交差部について
この交差点は、本当に長い間対策が進まずにいた問題交差点でありまして、県道大沢西宮線と阪急甲陽線が交差するところに踏切があり、加えてその甲陽線に並行する市道も走っておりまして、信号機もなく、4方向から来る車両、バイク、自転車、歩行者が、いったい誰が先に通行するのか、直進するのか、左折するのか、右折するのかお互いにわからない状況で、お互いに顔を見合わせてソロソロと通行するという極めて通行に気を遣う、面倒で危険な交差点であります。この交差部の踏切は、県の「踏切すっきり安心プラン」にも位置付けられています。
阪急甲陽線が開業したのが1924年、大正13年のことで、1948年の航空写真では道路と鉄道が交差していることが確認できることから、今年は2020年ですので少なくとも70年間、この状態が続いてきたわけであります。過去には問題の解消のため、甲陽線の地下化を検討されたこともありましたが、夙川の沿道にある桜を伐採しなければならないなどの理由で沿線住民の反対運動があったことで、結局交差点の問題は解決しませんでした。しかし!ようやく、県や市の優秀な職員が改良策を考えていただいて、今年度から事業に着手し、令和5年には交差点改良工事が完了する予定となっています。
改良の内容を口頭でご紹介するのは難しいのですが、簡単に申し上げますと、県道に中央分離帯を設置すること、右折レーンを設置すること、周辺の市道の一方通行道路を双方向通行にするという複合的な改良工事になります。今回の事業により、車両やバイクがスムーズに通行でき、周辺の小学校、中学校の通学生の安全が確保できる歩道の拡幅も可能になります。
そこでお尋ねしますが、本事業を予定通り、あるいは予定よりも早く完遂していただきたいと思いますが、現在の課題や今後の見通しについてご答弁いただければと思います。
(3)生瀬門戸荘線の拡幅について
次は県道生瀬門戸荘線の拡幅です。西宮市宝生ケ丘の東にある一部分220mでは、車道幅員が狭小なため、車両の双方通行が困難な状態にあり、また、小学生の通学をはじめ、歩行者が多いにもかかわらず、歩道幅員も狭く、支障を来たしている部分の拡幅工事です。
この事業は平成29年度に事業を開始され、本年で4年目を迎えております。拡幅のための用地買収は順調に推移していると聞いておりますが、現在の進捗状況と今後の工事の見込みについてご答弁ください。