3月24日 請願第36号 賛成討論
相崎 佐和子 議員
請願第36号「選択的夫婦別姓の導入へ、一日も早い民法改正を求める意見書提出の件」について、ひょうご県民連合を代表して賛成の立場から討論いたします。
本請願は、夫婦の姓について、現行は民法750条にて同姓が強制されているものを、同姓と別姓を選択可能とする改正を求めるものです。
今なぜ、選択的夫婦別姓が求められているのか。夫婦同姓の強制によって問題が生じているからです。
まず、「キャリアのリセット」という問題です。積み上げた業績は姓の変更により同一人物と認識されにくくなります。女性が姓を変更する場合が96%と圧倒的に多いことから、女性活躍の妨げになっています。
次に、「結婚の障壁」という問題です。実家の姓を残したい者同士が結婚を望んだ場合、どちらかが姓を放棄せねばならず、破談の原因になる場合があります。少子化で今後さらに増加するでしょう。
そして、「アイデンティティの揺らぎ」という問題です。これまでの自分の名前が戸籍上から消えることに、喪失感や寂寥感を抱く人も少なくありません。
さらに、「通称使用の限界」という問題です。旧姓を通称として使用するのはあくまで暫定措置です。銀行口座、パスポート、国家資格、賃貸借契約では通称を使用できず、また、世界的には本名と通称という2つの名前は理解されません。
一方で、夫婦別姓に懸念の声があることも承知しています。
「別姓では家族の一体感が弱まる」との懸念がありますが、夫婦同姓でも離婚率が3割を超える一方で、夫婦別姓の事実婚でも円満なご家庭もあります。夫婦同姓が家族円満の秘訣というエビデンスはありません。
「子どもに悪影響が及ぶ」との懸念がありますが、子の姓は出生時に決定するので、子が混乱することはなく、逆に親の離婚や再婚で子が姓の変更を余儀なくされるという悪影響を解消できます。
「日本の伝統が破壊される」との懸念がありますが、夫婦同姓は明治31年に当時のドイツにならって導入されたもので、日本古来の伝統ではありません。なお夫婦同姓を法律で義務付けている国は現在、世界で日本のみです。
「戸籍システムの改修に経費がかかる」との懸念がありますが、1996年の法制審議会の答申を受けて、軽微な設定変更で夫婦別姓も対応可能なシステムになっています。
選択的夫婦別姓は、選択の自由を認めるものであり、他者に迷惑をかけるものではありません。逆に、国家権力が選択の自由を認めないのは、私的自治の原則に反するものです。
世論は、2017年内閣府調査で、選択的夫婦別姓の賛成は42.5%、反対29.3%、2020年の早稲田大学研究室と市民団体の共同意識調査では、賛成70.6%、反対14.4%でした。世間の選択的夫婦別姓への理解は進んでいます。
個人的な話ですが、私の相崎は旧姓で、戸籍上は夫の姓の鈴木です。
結婚の際、婚約者と同じ姓になるという高揚感より、相崎佐和子はこの世からいなくなるという寂寥感と喪失感に見舞われました。
仕事は、旧姓を貫きました。わずかながらも「相崎佐和子」で築いたキャリアが「鈴木佐和子」になることでリセットされるのが悔しかったからです。
また、私は姉妹ですが、二人とも結婚して相崎ではありません。父方のイトコも女性が多く、みんな結婚して姓が変わりましたので私の代で相崎という姓はなくなりました。相崎を絶やしてしまったとの想いを抱いています。
もし、夫婦別姓という選択肢があれば、私は別姓を選びました。
同姓が良いか別姓が良いかを議論しているのではありません。選べるようにしようと申し上げているのです。
幸せの形は人ぞれぞれです。1つの形を押し付けるのではなく、それぞれの幸せの形を認め合いたいのです。
多くの方々の幸せを応援したいです。幸せになる方を増やしたいです。よって、選択的夫婦別姓に賛成します。
以上、討論といたします。