令和3年度決算特別委員会 【教育委員会】
質問日:令和4年10月14日(金)
質問者:迎山 志保 委員(ひょうご県民連合)
1 特別支援学校の環境整備について
特別支援学校に通う児童生徒が増加の一途を辿っている。国の報告では7,100を超える教室が応急的に運用されており、3,740の教室が不足しているとのことで、その数は2019年の前回調査から578教室増えている。特別支援教育のきめ細かで専門的な対応は年々ニーズが高まっており、地元管内でも来年度の入学希望者は卒業生を上回る見込みと聞いている。体制強化は喫緊の課題。老朽化と狭隘化が深刻な地元の特別支援学校に先日も訪問したが、階段下や廊下を物置にしたり、保健室や家庭科室などの教室を転用して何とか教室数を維持している現状、来春に向けて次は音楽室を潰すしかない、といった声を聞くにつれ、各学校現場のやりくりでは限界で、適切な学習環境の確保は待ったなしだと痛感した。
この度、全国的なこの状況を受け、初めて必要な校舎や運動場の面積などを定める『特別支援学校設置基準』が昨年9月に国において公布され、また、県においても今年2月に県立特別支援学校における教育環境整備方針が策定され計画的に整備を進めていかれると承知している。既存施設については、当分の間はこの基準によらないことができるとされているが、現在、県内でこの国が示した基準をあてはめた場合、この基準に満たない学校は何校あるのか。また、これまでもその必要性を認めてこられた播磨東管内の環境整備に向けた取組の現況についても伺う。
2 新たな時代に対応した定時制通信制教育について
勤労青年への学習機会の確保という制度化当初の定時制通信制教育の役割は大きく変化しており、現在通学している生徒の入学動機、経緯は多様化している。県では定通教育の重要性に鑑み、県立高校教育改革第三次実施計画においても、将来的には多部制への移行も含めつつ基本的には維持していく方針と聞いている。
(1)定時制高校について
前述のように定時制で学ぶ生徒には不登校や中途退学経験者、障害のある生徒など様々な背景を持つ生徒が在籍している。そのような生徒を教育指導していくには経験豊かな教員が求められるが、実際は慢性的な成り手不足の状況、若手教員や非常勤講師の比率が高く、主幹教諭の配置も難しいという状況の中で、細やかな対応が大変難しい状況にあると聞いている。
定時制での経験、知見は教員としての総合力を培うものとしてモチベーション高く指導にあたって頂きたいし、県教委としても相当の評価をして頂きたい。また、今後ICTを活用し学習を個別最適化していく方針を打ち出されているが、様々な事情でタブレット購入が難しい状況を勘案し、ぜひ各自のスマホ利用が可能となる環境整備も必要と考える。人材の充実と学習環境整備について伺う。
(2)通信制高校について
県では現在通信制のみの青雲高校と全日制課程を併置している網干高校の2校を開設している。また、県内には私立の広域通信制高校やサテライト施設なども年々増加しており、サポート校やカウンセリングを強化するなど生徒の多様なニーズに応える一方、これまで教員配置基準がなかったり監査体制が不十分なこともあって杜撰な運営がなされていた事例もあった。県立通信制高校では協力校を指定し、スクーリングや学校行事の充実などをはかっておられるが、多様な学びの場が提供される中、現状の公立の通信制高校として今後その役割をどのように捉えておられるのか。
3 通知表の評価について
中学校学習指導要領の改訂にともない評価の観点が従来の4観点から、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点に変更された。それぞれの観点は学習目標に対してABCの3段階で評価がなされ、その観点別評価をもとに5段階の評定がなされる。この5段階の評定は高校入試の調査書に直結するもので、公正公平が求められるが、現状、同学区内の別自治体においてその評定のつけ方にばらつきがある。例えば、ある自治体ではAABは評定5、別の自治体は評価4といった具合である。学習評定の公平性というのは当然担保されるべきで、結果的に各学校の状況や先生の評価によって全くの公平ということはあり得ないとしても、せめて前提は学区内で統一するべきではないかと考えるが所見を伺う。