意見書 第96号
女性と子どもの自殺増への対策を求める意見書
コロナ禍において、女性と子どもの自殺が増えている。
2020年の女性の自殺者数は前年より935人増え、全体の自殺者数は11年ぶりに増加に転じている。女性の自殺について過去5年間と比較すると、職業別で最も増えたのは「被用者・勤め人」で、原因別では「勤務問題」が過去5年平均より約35%増えている。不安定で低賃金の非正規雇用が拡大し、今や働く女性の5割以上が非正規雇用である。コロナ禍で雇用環境が悪化し、「雇用の調整弁」として雇われる非正規雇用労働者の雇止めやシフト減が起きている。非正規雇用労働者が失業した際の最後のセーフティーネットとして、生活保護が機能するようにしておかなければならない。
また、2020年の児童生徒の自殺者数は前年より大幅に増加し、499人となっており、原因・動機としては、「進路に関する悩み」「学業不振」「親子関係の不和」が上位となっている。コロナ禍での学校の一斉休業や、大人たちの在宅勤務などにより、学校環境も家庭環境も大きく変化し、厳しい状況に置かれる子どもたちも増加した。危機的な状況にいる子どもたちを、早い段階で支援することが必要である。
よって、国におかれては、下記の事項を含む施策を早急に実施するよう強く要望する。
記
1 自殺対策基本法に基づき、国が自治体の自殺対策計画づくりを支援し、計画に基づく事業への財政支援や事業の結果の検証を行うことで、国が自治体と連携して全国的な自殺対策を改善・進化させること。
2 若年世代への「生きることの包括的な支援」の強化や、働く人の尊厳と健康が守られる職場を増やすための枠組みづくり、「よりそいホットライン」の拡充など、自殺総合対策大綱に即した対策を実現するための予算等を確保すること。
3 各自治体や、自殺・貧困問題にとりくむNPO(非営利法人)などを中心に自殺対策の努力が広がっており、こうした機関・組織等と連携しながら、自殺の未然防止、問題の改善と解決に向け努力すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和3年12月13日