質問日:令和6年3月11日(月)
質問者:黒田 一美 委員
1 適切な建設工事の推進について
令和6年の公共工事設計労務単価については、この3月から適用され、全国・全職種での単純平均で前年度比5.9%引き上げられました。加重平均は日額で23,600円となり、昨年に引き続き過去最高値を更新し、かつ12年連続の上昇となっており、深刻化する人手不足や長期化する物価高騰なども要因の一つとなっております。
建設工事によるインフラ整備については、安全安心な県民生活の確保はもちろんのこと、産業振興や経済活動を支える上で重要な公共資本であり、数十年にわたって利用される県民の財産となります。県の予算執行の面では、経済性が求められる一方で、優れた品質や性能、耐久性を確保することが重要です。
この労務単価は、公共工事の積算などに使用され、予定価格の設定に反映されるものです。入札等によって請負業者が決まれば、下請企業に受注機会を回すのがほとんどです。その際、下請代金に必要経費分を計上しなかったり、下請代金から値引くなどした場合には不当行為となり、労働者の権利や工事の品質にも大きく影響することになります。
県発注工事に携わっているのも、大半が下請企業です。中には元請である大手企業が優越的な地位を利用して下請企業に対して不公正な取引を押しつけるといった事案もあると聞きますが、一人親方のような個人事業主を含め、建設業界すべてが制度等を共通認識した上で、それぞれが適切な契約の上での建設工事を進める必要があります。
そこで、県発注工事の請負業者に対する指導状況をお聞きするともに、業界関係者に対する適正な下請契約の徹底について、当局のご所見を伺います。
2 建設工事に携わる担い手の確保について
地域のインフラ整備やメンテナンスについては、建設産業の労働者が担い手となっており、災害時には地域社会の安全・安心を守る役割を担うことになります。
一方、近年の建設業者を取り巻く環境は厳しい状況であり、建設投資の減少や競争の激化、就業者の高齢化など構造的な課題に直面しております。特に建設工事に携わる担い手の不足は深刻な問題であり、国土交通省の調査では、全国における建設業就業者はピークであった1997年の685万人に対し、2021年には485万人まで落ち込み、約3割減少した計算となります。
また、今後、高度経済成長期以降に整備された社会資本の老朽化に対応するといった大きな課題もあり、長期的な視点に立った人材育成が必要となります。能登半島地震では、建設会社の人手不足の影響もあり、復旧に時間がかかった地域もあると聞きます。
このような人手不足への対応として、長期的な視点に立った建設工事に携わる担い手の確保に向けた対策について、当局のご所見を伺います。
3 二級河川 山田川河口の防災対策について
3月6日付け神戸新聞の1面トップで、全国の二級河川で津波対策が遅れているとの記事を見ました。兵庫県を含めて20都道府県で改修未完了の箇所があり、特に予算確保が大きな課題となっているようです。
改修未完了の二級河川の一つに、神戸市垂水区にある山田川があります。県立舞子公園から西へ約1キロメートル、明石海峡大橋のふもとで風光明媚な地域を流れる河川です。河口がある西舞子1丁目は、国道2号やJR神戸線、山陽電鉄本線の南側に位置し、瀬戸内海に面した地域となっております。
山田川河口部の海岸線については、国土交通省の事業により高潮・津波対策で標高6メートルの強固な堤防が概ね完成しておりますが、山田川の河口で、国道までの住宅が密集しているエリアは河川区域、すなわち県管理となっており、高潮対策での堤防整備が未着手となっております。
地元自治会からも神戸土木事務所に強く要望しており、同事務所は当面実施可能な対策を実施する方針を打ち出しておられますが、工事着手には至っていません。
6年前の2018年9月、神戸・阪神地域を襲った台風21号による高潮被害は記憶に新しいですが、今後、発生が予想される南海トラフ巨大地震に備える上でも、できるだけ速やかな対策が求められます。また、このたび能登半島地震による津波被害もあり、周辺住民の不安が高まっているのも事実であります。
山田川河口の防災対策について、計画の進捗状況と今後の整備に向けたスケジュール等について、当局のご所見を伺います。