質 問 日:令和4年9月28日(水)
質 問 者:木戸 さだかず 議員
質問方式:分割答弁方式
1 増え続ける不登校児童生徒への対策について
(1)これまでの不登校対策に対する評価と検証、今後の取組について
不登校児童生徒が増え続けています。
県下小学校では、平成29年度くらいから年間の増加数が、300人を超え、令和2年度は年間500人に迫る勢いで、現在、不登校児童の総数は2,800人を超えるまでになりました。
内訳をみると、新規不登校が6割を超えており、毎年、新たに多くの不登校児童生徒が発生していることがわかります。これは中学校でも、小学校程ではないにしろ同じトレンドを示しています。
県では、これまで不登校問題に対し、居場所づくりや、オンライン支援、校内別室の活用など、様々な対策を講じてこられていますが、毎年、不登校児童生徒数は増え続けています。
令和元年6月定例会での、我が会派向山議員の不登校対策の質問に対し、当局からは、不登校の要因として大きく3点、学校における友人関係、学業不振、家庭環境、をあげ、それぞれに対策を講じているとの答弁がありましたが、不登校児童生徒数の増加ペースは衰えておらず、年々深刻さを増しています。
また、「学業不振に対して、生徒が分かると実感できる授業の改善や必要に応じた個別の指導を行うといった取り組みをモデル的に実施した中学校では、生徒同士に加え、先生との関係も良くなって、結果として、新たな不登校の生徒が減少したという結果も表れている」とも答弁されました。
この取り組みは、姫路市で実施されたもので、4校でモデル的に実施され、その後14校、そして全市的に取り組みを拡げているとお聞きしています。
同事業は、国立教育政策研究所の不登校、いじめの未然防止対策調査研究事業として実施されたもので、同研究所では平成22年度からこの取り組みを始めており、これまで多くの研究成果が報告されています。
しかし、不登校児童生徒は増え続けています。
政策の展開にあたっては、エビデンスが重要とされますが、不登校の現状を見ると、これら政策の効果は不登校問題にどれだけ寄与できているのでしょうか。
不登校の要因は、多様化、複雑化しており対策の難しさも理解しますが、それでも取り組んでいかなければならない問題です。
そこで、姫路市での取り組みをはじめ、これまでの不登校対策に対する評価と検証について、どのように実施されて総括されているか、また、今後の取組についてお尋ねします。
(2)教員の働き方改革の推進について
私自身は、国立教育政策研究所の政策を見返す時、不登校対策の効果報告は教員が意識して取り組めたことが大きかったのではないか、しかし、教員の業務は外にも多くあり多忙なため、研究事業にあたる年度は力を発揮できても継続的に注力していく余力がないため効果は続かず、結果、不登校児童生徒数は増え続けているのではないかとも思っています。
教員の多忙さについては、働き方改革が進められていますが、現場の意識調査では、大きな改善には至っていないことが分かります。
特に、2021年に実施された日本教職員組合の調査では、小学校教員の休憩時間が学校別で最も短く、労働基準法に違反する水準であると指摘されています。
こういった労働環境では、複雑化、多様化する不登校問題に今以上に取組んでいくことは難しいのではないでしょうか。
複雑化、多様化する不登校問題については、教員がワークライフバランスを実現し、心身ともにゆとりを持った状態で、取り組む必要があるのではないか。
そこで、2点目は、働き方改革の推進が、不登校対策を進めるうえで、不可欠であると考えるが、見解を伺う。
2 県産食材の学校給食への利用拡大について
学校給食は、子どもたちの体を作ると同時に、食の安全、地域の産物や食文化への理解を深めるという役割も担っています。
県では、学校給食に地域の産物利用を促進させるために、県産食材使用率35%達成を目標に掲げ取組んでおり、今年度は、学校給食への県産食材供給拡大対策のひとつとして、市町へ県産食材活用のためのアドバイザー派遣事業を進めていますが、応募いただいた市町は2件で、10枠を予定していたことを踏まえると非常に低調な出足となりました。
今年度の結果を踏まえて来年度以降、他の市町へ働きかけていく予定であるとお聞きしていますが、そもそも論として、ニーズにマッチした事業であれば応募が殺到していたはずであり、折角の事業にミスマッチが起こっていないでしょうか? 市町の問題意識や目的意識の共有は図れているでしょうか?
県産食材の使用率を上げていくためには、現状を分析し戦略的に進めていくことが必要です。
また、給食に有機農産物の活用をという県民の期待も近年高まっています。
先の予算委員会で、この点について質問させていただきましたが、県内の生産能力、供給可能量の把握といった基本的な情報も十分でなかったように感じました。
国が策定したみどりの食料システム戦略を踏まえても、給食への有機農産物の活用は、今後、着実に取り組んでいくべき課題です。
先般、知事自ら学校給食への有機農産物の利用を求める母親グループの方らと面談し有機食材を食されたという新聞報道も拝見しました。
以上を踏まえ、県産食材の学校給食への利用拡大の現状と今後について、県の見解を伺います。
3 クールビズにEBPMを
今夏も熱中症警戒アラートが全国各地で発令され、室温管理は年々重要さを増しています。
環境省では、暑い季節は、冷房による適正な室内温度管理と軽装により快適性を維持することを呼びかけており、これまでから冷房時の室温の目安を28℃としてきたこともあり、県では今年も28℃を目安にしています。
しかし、室温28℃が快適な環境かというと、そうでないというのが多くの人の答えのようです。多くの職員が、夏の職場は暑い、と感じているのが現状ではないでしょうか?
姫路市役所で2019年度から、作業効率向上と残業の削減を目的に、夏場は庁内の室温を25℃に設定する取り組みが始められ、ニュースになりました。
取組みの結果、業務効率が上がったとの報告があり、19年度は18年度対比で時間外労働が延べ1万7,000時間減少し、人件費に換算すると4,000万円超の節約になったといわれており、以降、夏は「25℃」を実施しています。
一方、大手エアコンメーカーでもあるダイキン工業と理化学研究所が2017年から行っている共同研究では、快適性には湿度が大きく影響しているとの報告があります。
室温28℃でも湿度が55%以下なら快適性が向上するとのことです。
研究では、さらに性別による快適性の感じ方の違いも明らかになったとのことで、男性は24~26℃、女性は26℃で最も快適性が高くなる傾向が見られたとのことでした。
男性は28℃で湿度を下げるよりも、室温を24~26℃に下げるほうが快適に、女性は、最も快適に感じる26℃と、28℃で湿度が55%以下では、快適性は同等であることもわかっています。
こういった事実を踏まえると、単に室温28℃を目安というクールビズの呼びかけはいささか不十分、不適格ではないかと思えます。
職員の作業効率を上げる取り組みは、県民にとっても重要です。
現在の28℃を目安とするクールビズについては、現状を今一度見直し、論理的な思考で取組んでいくべきではないかと考えますが、県の見解を伺います。
4 フィールドパビリオン構想について
(1)既存の観光資源の位置付けと活用について
県では、本物を体験できる観光をテーマに、大阪万博で花を咲かせる観光戦略、フィールドパビリオン構想を進めています。
これは、観光のパラダイムシフトが起ころうとしている時代に合わせた政策であり、今後の兵庫の観光のあり方を示す大変重要な政策であると認識しています。
一方で、これまでにも県では、観光立国を目指す国の旗振りのもと様々な取り組みを進めてきました。 日本遺産は、県内で9つが認定されており、直近ではひょうごゴールデンルートの取り組みもあります。
これら既存の観光コンテンツも兵庫にとっては重要な資源であることは言うまでもありませんが、チャレンジングな取り組みであるフィールドパビリオン構想の展開において、既存の観光コンテンツはどのように位置付けられるのでしょうか、それとも、あくまでも募集で集まった観光コンテンツでフィールドパビリオンを構成していくのでしょうか。
そこで、まずは、フィールドパビリオン構想と既存の観光資源の関係について県の所見を伺います。
(2)シビックプライドの醸成に向けた人材育成の取組について
次に、フィールドパビリオンの展開資料を見させていただくと、「交流を通じて、地域の人々が、自らの取り組みを再評価し、地域の誇りへと繋げる」とあります。
いわゆるシビックプライドです。 つまり、この政策の肝は人ということになります。 コンテンツの展開に当たっては、そこに住まう人が同じ方向を向く必要がありますし、関わる人材、コンテンツを産み育てる人材も必要です。
私は、淡路景観園芸学校の1期生であり、学校がどのような目的で作られたかを当時よくお聞きしていましたが、県ではこれまで、こういった時代がくることを見据え、淡路景観園芸学校をはじめとする数多くの人材育成機関を作られたのではないかと考えています。
そこで、万博後にも繋がるフィールドパビリオン構想の展開に向け、関わる人材の育成やシビックプライドの醸成にどのように取り組んでいこうとしているのか、県の所見を伺います。
(3)成果指標について
最後に、成果指標について伺います。KPIです。 成果目標を立て、この政策をやり切る、結果をコミットメントして取り組んでいただきたいと思います。県の所見を伺います。