議会の動き

中田香子議員が質問(予算審査・農政環境部)を実施

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (農政環境部)
2010年3月9日(火)

1 エコフィードの推進について

 農林水産省の調査では、平成18年度に食品産業から発生した食品廃棄物等の発生量は、1,135万トンで、このうち53%が肥料化・飼料化や油脂製品化などの再生利用が図られていますが、残りの47%、530万トン余りは廃棄物として処分されているという結果が出ています。
 このような中、平成19年に施行された改正食品リサイクル法では、新たな食品循環資源の再生利用等に関して、食品関連事業者の業種別の目標値、事業者が達成すべき目標値などが規定されると同時に、同法に基づく基本方針等において、再生利用に当たっては飼料化を優先することが明確化されました。
 こうした動きを契機として、「食品残さ」の飼料化、すなわち「エコフィード」への取り組みが徐々に広がりつつあります。
 国では、エコフィードの原料となる食品残さ排出元の食品製造業、卸・小売業や外食産業ごとに再生利用等の実施目標を定めるなど、その取り組みを積極的に推進しています。
 また、本県の事例として、3年前に設立された加西市の「エコフィード循環事業協同組合」では、食品バイオマスから、家畜の飼料を作り畜産農家に出荷する事業を行っており、畜産農家では、その飼料を利用し、農林水産総合技術センターで開発した技術を活用して霜降り豚を育成するという先進的な取り組みも見られます。
 我が国の食料自給率は40%で、飼料自給率も25%と先進国で最低水準にありますが、エコフィードの促進は、環境にやさしい社会の構築に寄与するだけではなく、食料自給率や飼料自給率の向上にも貢献するという大きなメリットがあります。 
 本県では「ひょうご農林水産ビジョン」において、エコフィード製造施設数を点検指標として、その利用促進を図っておられますが、目標に対する現在の進捗状況とともに、今後のエコフィード推進にあたっての課題と取り組み方針について、当局の所見をお伺いします。

2  環境負荷低減への取り組みについて

 最初の質問で、食品廃棄物の問題を取り上げましたが、家庭や事業所から発生する大量の廃棄物は、環境負荷の増大、天然資源枯渇への懸念や地球温暖化など、深刻な環境問題を引き起こしてきました。
 廃棄物対策として、これまで国では、「循環型社会形成推進基本法」をはじめ、各種リサイクル法の制定など、持続可能な循環型社会の構築に向けた取り組みを進め、本県でも、「兵庫県廃棄物処理計画」の推進や、ゼロ・エミッション社会の実現を目指した各種の施策を推進してこられました。
 我が国では、ゴミの約8割を焼却と埋立によって処理していますが、焼却炉からの有害な化学物質発生への懸念や衛生問題、用地の確保等、今後の立地についてはさまざまな課題があると思われます。
 特に、焼却処理については、エネルギーの蓄積物を灰にしてしまうことから、リサイクル、リユースを支持する声が高まっています。
 ニュージーランドでは、ゴミを焼却せず、環境負荷を減らしながら堆肥化するなどの方法によって、燃やすゴミをゼロにする、すなわちゴミの発生回避を目的として、エネルギー消費と環境負荷の少ない自然代謝を最大限に活用した社会を目指す「ゼロ・ウェイスト」という、これまでの焼却、埋立中心のゴミ処理を大きく転換する政策を進めています。
 ニュージーランドでは、半数以上の自治体が「ゼロ・ウェイスト」宣言を採択し、生ゴミの堆肥化によるゴミの減量に成功した、その関連施策で新たな雇用が生まれた、さらに、焼却炉が不要になって自治体のコスト削減につながったといった成果が現れていると伺っています。
 この「ゼロ・ウェイスト」と、「ゼロ・エミッション」や「ゴミ・ゼロ」との決定的な違いは、「ゼロ・ウェイスト」が焼却回避を目標としていることにありますが、我が国では、廃棄物処理方法として焼却が広く普及していることから、焼却を避けるという考え方と必要性を浸透させて政策転換していくにはかなりの時間を要するものと思われます。
 しかし、我が国でも、徳島県上勝町や福岡県大木町が「ゼロ・ウェイスト」宣言を採択し、焼却処理・埋立処理の全廃を目標に、さまざまな施策に取り組んでいます。
 本県では、平成20年12月に「第3次兵庫県環境基本計画」を策定し、各分野の環境施策に取り組まれていることは理解をいたしますが、市町との連携により「ゼロ・ウェイスト」の考え方を取り入れた一歩踏み込んだ環境負荷低減への取り組みを検討してはどうかと考えますが、当局の所見を伺います。

3 間伐材の活用について

 森林は、木材生産、水源のかん養や山地災害の防止、二酸化炭素の吸収による地球温暖化の防止など、さまざまな多面的機能を有していますが、戦後造成してきた人工林の蓄積が年々増加する一方で、採算性の低下や森林所有者の高齢化等による林業生産の低下に伴い、手入れ不足の森林が増加しており、森林の持つ機能の低下が懸念されています。
 とりわけ、森林機能の保全や地球温暖化問題の解決に向けた取り組みを考える上で、間伐は非常に重要と考えますが、県下には、伐採可能な人工林が急増しつつある一方、間伐が十分でなく荒廃が懸念される森林も多数存在しています。
 県では、市町村森林整備計画や森林保有者が策定した森林施業計画に基づいて、市町・森林組合との連携を図り、間伐等保育の推進を図るとともに、間伐実施率100%を目指す「森林管理100%作戦」を展開しておられますが、本来は樹木の成長のために伐採され捨てられてしまう間伐材をもっと利用できないものかと考えます。
 ニュージーランドでは林業が非常に盛んで、世界各国の企業が進出していますが、針葉樹林を原料に使用したMDF(繊維板)を扱う日系企業で働く日本人から、日本の山は急峻で大規模な林業経営には適していないので断念し、ニュージーランドで木材の生産に携わっているという話を伺ったことがあります。
 このように我が国の森林は地形等の面で、諸外国とは条件が異なる上に、とりわけ間伐材については、寸法、強度などの面で需要の多くを占める住宅建築向けの木材には適していないため用途が限定されること、また、伐採しても置き場がないといった事情もあると思われます。
 しかし、本来、伐採され捨てられてしまう間伐材に着目して、木製のパレットや梱包材に活用するなど、積極的な活用に取り組んでいる企業も見受けられす。
 間伐材の利用を促進するにはさまざま課題をクリアする必要があると考えますが、森林機能や地球環境の保全、防災への観点からの間伐とともに、間伐材のより一層の活用促進を図っていくことを検討してはいかがかと考えますが、所見をお伺いします。