議会の動き

掛水すみえ議員が質問(決算審査・企画県民部1)を実施

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (企画県民部1)
2011年10月11日(火)

1 政策形成のあり方について

 従来の総合計画は、基本構想・基本計画・実施計画という三重層計画の策定を求めた自治省通達がもとになっています。しかし、このたびの地方分権改革に基づく義務付けの廃止により、総合計画の策定・運用は自治体の自由となり、自治体の知恵のみせどころとなりました。
 政策形成にあたっては、その入口である課題設定や立案作業を議論していくべきものと考えています。しかしながら、実態は、予算要求・予算査定において、前年度実績主義による事務事業推進が多く見られます。
 事務事業の執行にあたっては、政策の目標がいかに達成されるのかという視点が重要であります。政策課題の解決にあたっては、事務事業の執行が直接的な解決手段となるからです。
 各部局は予算査定を終えた事務事業に対して、事業を消化することが目的とならないよう仕事の進め方を改め、事務事業が政策に的確に反映されるよう、総合計画ではない、論理的に首尾一貫した政策の目的達成手段の体系を構築することや次に、事務事業を政策課題の解決の観点から再編することが必要であります。
 そこで、今後、分権改革を進めるためにも兵庫県としての自立ある政策を打ち出すことが大切であり、事務事業の執行途中において、政策目的に見合った効果が出ているか確認し、政策へフィードバックしていく仕組みが必要であると考えますが、現在の政策形成過程において、どのような課題認識をされているのかご所見を伺います。

2 21世紀兵庫長期ビジョンの見直しについて

 先の財政状況の審査においても、県財政の厳しさが明らかになりました。策定から10年を経過した兵庫長期ビジョンについて、人口減少・地域課題の複雑化など、県民を取り巻く社会状況の大きな変化を踏まえた見直しが進められていますが、そもそも、ビジョン策定時において、あえて行政が実施する事業量を示すという形の計画ではなく、県民・事業者・団体・NPO・行政など多様な主体が目標として共有できる望ましい社会の姿を示すビジョンとしてはじめられました。「計画」ではなく、「ビジョン」という形を取った点については、先見性のある取り組みであり、私としても評価しているところであります。平成22年度兵庫長期ビジョン推進状況を見ると、4つの社会像のもとに、個々の事業の成果が出されています。これらが、多様な主体が共有できる望ましい社会にどれだけ近づけたのか、そのために県の役割がどのように遂行されたのか、など目標へのフィードバックが必要であります。
 また、見直しについては、なお一層の要因分析が必要と考えます。今定例会において我が会派、上野英一議員の「兵庫長期ビジョン見直し」の質問に対して、知事は、「多様な人と地域を兵庫の財産と捉え、これを守り・生かすこと、そのために、人や地域が絆の中で支え、支えられながら自立していくという基本的な考え方のもとで、県民生活に即した将来の姿を、12の戦略的シナリオにより県政施策を推進していく」と答弁されていますが、質問にあった「原因分析や県の主体的行動における地域づくりの視点」についての明解な答弁はありませんでした。ビジョンは、計画ではないと言いながら、まだ計画から脱皮しきれていないように見えます。
 そこで、兵庫長期ビジョンの見直しにあたって、2040年度への希望ある兵庫長期ビジョンに向けてどのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。

3 公共文化施設のあり方について

 阪神・淡路大震災の癒しの拠点として西宮北口に建設された芸術文化センターは、今年で6周年を迎え、先日、300万人の入場者を数えました。文化施設の存在は、文化的アイデンティを確立し、次世代・コミュニティへの教育的価値を見出し、文化交流の拠点を形成していくものであります。特に、芸術文化センターは、地元住民・自治会・商店街とのネットワークや芸術文化創造団体とのネットワークを形成し地域の文化力の向上に大きな役割を果たしています。パブリックシアターとして舞台芸術を通して人々が地域との関わりを考える場と成長してきました。
 しかしながら、他県では、財政改革や福祉予算増額のため文化施策の事業削減が打ち出されたり、文化施策予算そのものが削減されたりするなど、文化施策の推進を取り巻く状況は極めて厳しくなっています。
 一方で、公共文化施設における芸術文化は「ハコモノ」でないという認識も次第に広がりつつあります。それは、外来のオペラパック買いは安いが、一過性の文化消費では地域の文化力を持続的に育むことができないことや、プロデュースオペラには自主制作の醍醐味があるなど、舞台芸術が持つ感動を伝える力、情報を感動と共に訴えかける力が次世代の青少年の心に広く育まれることが実感されてきたからだと思っています。
 短期的リターンに捉われない息の長い文化施設こそ地域の持続的創造性を可能にするものです。昭和53年に活動を始めた尼崎青少年創造劇場は、芸術文化センターに比べて地味な存在ですが、初代館長である山根淑子さんの手塩に掛け育まれたパブリックシアターです。震災時やアウトリーチ活動の学校公演に加え、今、中学生のわくわくステージも実施しています。また、東日本大震災の被災地でのワークショップ開催や、東北を拠点とする俳優達の上演の企画、関西の演劇集団とのコラボなど地域演劇の連携・交流を進めてきました。
 そこで、開場から33年経過した尼崎青少年創造劇場における活動をどのように評価しているのかご所見をお伺いします。また、施設の老朽化により、長時間の演劇鑑賞に堪えづらくなってきていることもあり、アメニティの向上方策についてもあわせてお伺いします。

4 男性の育休取得について

 イクメンという言葉が定着し、男性の育児参加が求められています。育児・介護休業法も男性が取得しやすい方向に改正されました。しかしながら、2010年度の男性育児休業取得率は1.38%と2009年度の1.72%に比べ減少し、2008年度の水準にもどってしまいました。
 制度が周知されていないとか、職場の理解がないなどの問題とも考えられることから、給付率を上げ育休を取得しやすくする制度設計を国に働きかけるなど、県としては率先して制度運用の模範を示す説得力ある行動をとることが民間事業所への説得にも必要と考えます。また、男女共同参画を推進し、フルタイムの共働き率を増やすことも一考です。
 県はこれまで、自らが男女共同参画のモデル職場となるよう「第3次男女共同参画兵庫県率先行動計画―アクション8」として様々なメニューを組み立て実行されてきました。わかってはいるが動かないという、潜在需要を動かすために、行動を阻害している原因をできるだけ解消していく政策手法が求められますが、ご所見を伺います。