議会の動き

12年6月定例会討論

概要  代表・一般質問  討論  議案に対する態度と考え方

第313回定例会(6月)

迎山 志保 議員

請願第40号「取り調べの可視化など刑事訴訟法の改正を求める意見書提出の件」について

1 ただいまより、民主党・県民連合議員団を代表して、請願第40号「取り調べの可視化など刑事訴訟法の改正を求める意見書提出の件」に関して、賛成の立場から討論を行います。

2 密室での取り調べ時の自白強要による相次ぐ無罪判決や、大阪地検特捜部検事によるねつ造事件、そしてつい先日の、強盗殺人罪で無期懲役が確定していたネパール人男性の再審開始と刑の執行停止の決定など、昨今、警察・検察に対する国民の信頼が大きく揺らぎかねない事態が起きており、公正な裁判を確立するための決め手として、全面可視化の必要性が叫ばれています。

3 警察庁では、今年2月に国家公安委員長が主催する「捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会」の最終報告を受け、4月から裁判員裁判対象事件に係る取調べの録音・録画の試行を拡大し、さらに5月からは知的障害を有する被疑者に係る事件における録音・録画の試行を開始しました。また、検察庁でも、一部の事件において、全過程の録画を実施しています。しかしながら、これらはすべての事件での取り調べで行われているわけありません。

4 可視化の必要性の議論の盛り上がりは2009年から始まった裁判員裁判がひとつの契機でした。裁判員となった一般市民が自白の任意性の争いを判断することは難しい。そこで取り調べを可視化し、確かな判断材料を与えるべきだとの論議です。しかしこれは取り調べの全部を録画して初めてなしえるもので、一部可視化では意味がないに等しいのです。
 また、可視化は、被疑者を守るためだけでなく、警察・検察にとっても、自白の任意性が担保されるという点において大いに有益であると言えます。
 さらにいえることは、自白至上主義ともいえる現在の日本の警察・検察の体質を、科学捜査による証拠主義に変えていくことが何よりも必要だということです。

5 さて、一昨日に開催された警察常任委員会において、本請願は不採択となりました。
 採決に先立って、県警から「組織犯罪対策は極めて重要であり、全過程の録音・録画が導入されれば、暴力団への取り締まりは困難を極め、全国的にも大きな影響を及ぼしかねない」との説明がありました。また他会派の委員からは「性犯罪にはなじまない」などの意見が述べられました。
 これら組織犯罪への対応、被害者のプライバシー保護などは、全面可視化を採用したとしても、弾力的に運用をすることでカバーできる問題であり、カバーしなければならない問題であり、全面可視化を実施しない理由にはなりえません。

6 県内に目を向けても、この可視化を求める動きは大きな広がりを見せており、昨年の6月までに、県内全市町で、取り調べの全過程の録音・録画を求める意見書が採択されています。

7 また、兵庫県議会においては、平成20年12月に、我が会派はもちろん、自民、公明、共産、そして無所属の議員の方々も署名をされた請願「裁判員制度の適切な実施に向けた諸条件の整備と取り調べの可視化を求める意見書提出の件」が、警察常任委員会に付託されています。
 結果として昨年の2月定例会で審議未了として廃案となりましたが、同趣旨である本請願に対しては、兵庫県議会として真摯に向き合うべきだと考えます。

8 最後になりましたが、本請願第40号については、違法・不当な捜査を抑止して冤罪事件を決して起こさないために、加えて、警察・検察の取り調べに対する国民の信頼をより強固なものとするために不可欠であり、「不採択」ではなく「採択」を求めます。

9 以上、議員各位におかれましては我が会派の主張にどうかご賛同を頂きますようお願いいたしまして討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。