議会の動き

◆14年09月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方 討論

代表質問  大塚 たかひろ議員

一般質問  竹内 英明議員・小池 ひろのり議員・永富 正彦議員

代表質問

(大塚 たかひろ 議員)[発言方式:一括]

1 安全元気ふるさと兵庫の実現について
2 安全指針のあり方について
(1)有効な安全指針のあり方と市町との連携について
(2)土砂災害特別警戒区域の指定と安全対策のあり方
3 こころの健康対策をはじめとした健康寿命の延伸の取り組みについて
4 県内事業者の国内・海外展開への支援について
(1)県内企業の海外展開支援
(2)県産農畜水産物・加工品の国内・海外展開への支援
5 実効性あるエネルギー対策の取り組みについて
(1)ひょうご100万キロワット創出にかかる総合的な戦略の推進について
(2)地域エネルギーマネジメントの導入について
6 こどもの学習環境の充実について
(1)家庭や地域との連携について
(2)スクールカウンセラーのマネジメントについて

質問全文

第324回 9月定例県議会 代表質問案

質 問 日:2014年9月26日(金)

質 問 者:大塚 たかひろ 議員

質問形式:一括

1 安全元気ふるさと兵庫の実現について

人口減少と少子高齢化により地域活力の低下が懸念される中、県では、このような社会状況に対応していくため、2040年への協働戦略として、21世紀兵庫長期ビジョンを平成23年12月に改訂しました。今回の定例会でも長期ビジョンの推進状況の報告がされましたが、これを見ると、県民の実感に基づく主観的指標である「兵庫のゆたかさ指標」や、統計値や県の事業量に基づく客観的指標である「全県フォローアップ指標」の双方ともに、満足度の高まりや取り組み充実の傾向が見え、現ビジョンの実現に向かって少しずつ前進していることが読み取れます。

しかし、今年の5月、民間の有識者等で構成する「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会による調査において、県のビジョンが着地点としている2040年までに、県内21の市町で、20~39歳の若年女性人口が5割以上減少するとの結果がまとめられました。この調査は出生率の水準が変わらず、地方から大都市への人口流出が今後も続くとの前提でなされたものですが、こうした自治体は、いくら出生率が上昇しても将来的に消滅する可能性が高いという衝撃的な指摘がされました。

この調査結果は、ビジョン改訂時に、ある程度織り込み済みの想定であったと思われますが、メディアで大々的に取り上げられたことで、今回多くの人々が改めて持った危機感を、ビジョンの取り組みの成熟や変化に結びつけていく必要があります。

ビジョンの報告書を見ると、ビジョンの特徴として、まず行政の計画ではなく、県民や事業者などの多様な主体が共有できる望ましい社会の姿であるとし、次に『「プロセス」重視-成長し続けるビジョン』、つまり「つくって終わり」ではなく、多様な主体がそれぞれ実現に向けてできることに取り組んで「プロセス」を大切にする、と書かれています。このとおりであるならば、近い将来の危機の姿がさらに明確になり、その危機感を多くの人が共有している今、これをきっかけにビジョンの取り組みは県民とともに、新たなステージへ成長していくものだと考えます。

知事はこの7月で就任4期2年目を迎えられましたが、行政だけでは解決困難な地域課題が山積する中、ここで改めてビジョンの取り組みへの期待、そしてこれからの厳しい時代に、どのような「安全元気ふるさと兵庫の実現」を目指そうとしているのかについてお聞きします。

2 安全指針のあり方について

(1)有効な安全指針のあり方と市町との連携について

気象情報や避難情報の迅速・適切な提供の必要性が高まる中、先日の台風第11号の接近時に、「フェニックス防災システム」での避難準備情報の公開の遅れがありました。一方で同時期、県内約3万5千人を対象に避難勧告・指示が発令されたものの、実際に避難した人はわずか1.3%にすぎませんでした。避難情報は市町が発令するものですが、発令にもかかわらず、実際に避難した人が少なかったという課題が浮き彫りになりました。

その理由として、一つには、局地的な豪雨災害に対する被害が、これまでの豪雨災害の被害度合とは違い、近年、急激にかつ甚大になっている状況に行政側も県民側も不慣れなことも原因なのではないでしょうか。先月の広島市の土砂災害における被害は、兵庫県でも、降水量次第では起こりえます。今後起こりうるであろう災害の状況を、過去に起こった災害のケースを参考にしながら、それと同等の危険レベルのエリアの住民に告知していくなど、きめの細かい啓蒙活動が必要です。

二つ目として、避難情報に関して、県民が正確に理解できていない可能性があります。平成24年に実施された、県民モニター対象の「災害時における避難勧告・指示等の発令に関する調査」結果によれば、「避難準備情報について、「内容を含めて知っている」は13.4%、「避難準備情報」「避難勧告」「避難指示」の切迫度の違いを正しく理解できていない人は25%を超えていました。また、先日開催された神戸市の土砂災害対策を検討する有識者会議では、特別警報の運用開始で、警報への危機意識の低下が見受けられるとの指摘があったと聞きます。これは、行政側の情報提供不足という側面もありますが、表現上の問題も大きいと思われます。表現の変更となれば県だけの問題ではありませんが、少なくとも現在の警戒情報の表現と内容を整理し、発信するといった対応も必要です。

県は今回の避難情報が実際の避難行動に結びつかなかった背景を正確に分析することはもちろん、それを踏まえた実際の避難行動に結びつけるための情報提供や普段の啓発のあり方を見直す必要があると考えますが、現状認識と今後の取り組みについてお聞きします。

また、避難勧告や指示を発令する各市町においては、それぞれの地理的特性に合った独自の発令基準を作ることが求められます。今後、今回のような大規模災害における避難の判断基準となる安全指針の充実や適切な運営について、県がどのように支援していくのかをあわせてお尋ねをします。

(2)土砂災害特別警戒区域の指定と安全対策のあり方

続いて土砂災害対策についてお聞きします。対策としては、砂防ダムの整備などのハード面と、警戒区域の指定や避難情報の提供などのソフト面とがありますが、今回は先の質問に関連し、ソフト面についてお尋ねをしていきます。

県は平成12年の土砂災害防止法制定後、特別警戒区域(いわゆるレッドゾーン)指定を見据えながら、警戒区域(いわゆるイエローゾーン)を先行して指定を進めてきました。県下で、土砂災害危険箇所20,748か所のうち、本年7月31日現在、20,169か所の指定を完了しています。

一方、特別警戒区域はこれまで1か所のみの指定にとどまっています。特別警戒区域に指定されると、一定の新規開発に対して許可制となったり、建築制限等が強化され、県民の理解が必要となりますが、全県を考えると、1万か所を超える指定となることも予想されます。今回の豪雨災害の発生に伴い、県はこれまで1カ所のみ指定していた土砂災害特別警戒区域の追加指定をまずは100カ所程度、検討しています。また、上程中の補正予算案でも、県下で97%指定が完了している土砂災害警戒区域について、全指定区域の再点検を行うことが挙げられています。

特別警戒区域については、実際、指定を進めていかなければ、住民にリスクの高さを周知することができず、危機発生時の避難行動の遅れにつながっていきます。これから増加が予想される豪雨災害へのリスクに備え、早急に区域指定を行っていかなければなりません。国は土砂災害防止法を改正する見込みとの新聞報道がありますが、この改正も見据え、今後どのように区域指定を進めていくのでしょうか。先ほど触れたとおり、今年度中の追加指定が100カ所程度になるとのことですが、指定のペースと完了の見通しについてお尋ねします。

また、すでに指定済みの警戒区域についても、市町によるハザードマップの周知や、不動産業者などが宅地や建物の売買時の告知義務があるものの、実際、どこまで住民に警戒情報が届き、危機意識の醸成につながっているのでしょうか。特にイエローゾーンが広がる六甲山系南部は、古くからの住宅街で、人気も高く、人口も多いことから、正確な情報の提供が欠かせません。

よって区域指定を進めるのはもちろん、指定してからが重要であり、指定済みの警戒区域を含め、いかに住民に情報を届けていくかが課題です。今後周知を含めた安全対策をどのように進めていくのか、考え方をお聞きします。

3 こころの健康対策をはじめとした健康寿命の延伸の取り組みについて

中高齢層では、体の健康に不安が出てくると同時に、職場と家庭双方で問題を抱え、深く悩んでいる人も多くいます。この層へのこころの健康維持の働きかけは、身体面のみならず、活力ある社会や将来の元気な高齢者づくりにもつながっていくと考えます。

中高年の多くがかかる糖尿病・脳卒中・がんなどの生活習慣病は、偏った食生活・食べ過ぎ、喫煙、飲酒、不規則な睡眠、運動不足などの生活習慣が原因だとされています。

一方で、社会環境が複雑になり、精神的緊張が続く生活は、現代人をストレス状態に陥らせています。中でも食生活の乱れや過度な飲酒、喫煙などはストレスとの関係性が指摘されています。過労、ストレスが蓄積されると、免疫力の低下や血圧、血糖値が上昇することが、現在、明らかになっています。生活習慣病の原因はさまざまですが、ストレスをうまくコントロールし、こころの健康を取り戻すことができれば、生活習慣病の予防の一つにもなると考えられます。

たとえば、国家戦略特区に指定された神奈川県では「未病を治すかながわ宣言」を打ち出し、人間の体調を「健康」と「病気」という二つに大別するのではなく、病気と診断されないが、健康ともいえない状態を「未病」という概念でとらえ、「未病を治す」取り組みをはじめています。これは、病気に至る前にその誘引となる食のあり方や運動、休養など、ライフスタイルそのものを見直すことで、心身ともに健康な状態に保つことを意識づけるという取り組みです。さらに、地域の企業・団体と連携し、未病の状況の把握や、未病を治す取り組みを紹介する「未病いやしの里の駅」を設置することで検討をはじめています。

企業においても先駆的な取り組みが始まっています。オーラルケア製品のメーカーであるサンスターでは、心身が健康でないと企業内で、十分に能力が発揮できない、さらには「健康が企業価値につながる」という考えから、健康診断において、生活習慣病の予備群と診断された社員には、本人任せにせず、会社が運営する「健康道場」において、食事、運動、休養などの面で、正しい生活習慣が身につけられるプログラムを2泊3日の日程で提供しています。

まず、食事内容をはじめ生活習慣全般のチェックを行い、その結果によって、個人ごとに健康上の課題を見つけて目標を立て、改善に取り組む動機づけにします。このような積極的支援の取り組みによって、在職中、そして退職直後に亡くなる社員もここ数年目立って減り、2013年度の在職死亡者数はゼロになり、さらには、健康保険組合の財政面と会社の経営面の両方にメリットがあったとのことです。

本県でも、昭和57年に開設された「五色県民健康村健康道場」は、十分な医学的管理のもとに、本格的な絶食療法や食事療法を体験でき、心ゆくまでの休養も得られ、職場や家庭でのストレスの解決方法も学べる施設であり、現代社会のストレスにさらされた「こころ」のケアにも有用で、健康財団に経営移管された平成20年度から25年度まで、のべ2万9千人を超える体験者から評価を受ける施設となっています。

現在、特定健康診査で生活習慣病の発症リスクが高いと診断された方に対しては、生活習慣を見直すための指導、いわゆる特定保健指導がすでに行われていますが、これに加えて、健康診断時にメンタルチェックを実施し、ストレスの高い状態にあると診断された場合、生活習慣病の予防の観点から、自分自身の心の現状を把握し、ストレスを解決していくための対応を図ることを検討できないかと考えます。

今年6月の労働安全衛生法の改正で、従業員50人以上の事業所に、社員へのストレスチェックなどのメンタルヘルス対策が義務づけられたことを好機ととらえ、心身両面からの未病対策に取り組むべきです。

このようなこころの健康対策をはじめとした、健康寿命延伸に向けた現状認識と今後の対応についてお聞きをします。

4 県内事業者の国内・海外展開への支援について

(1)県内企業の海外展開支援

企業が海外展開を行う際には、事業計画の策定や現地に関する情報収集、海外実務を任せられる人材の確保、信頼できるビジネスパートナーの確保、法律・税制などへの対応、資金調達、販路開拓など様々な課題に直面します。

中小企業が海外展開で躓く理由として多いのが、現地の商習慣などに関する情報不足、理解不足であると指摘されます。進出目的や進出方法を明確化するためにも、準備段階での現地情報の収集と分析は重要です。また、しっかり企業理念、企業文化など自社情報を積極的に発信することも、販路開拓や新規取引先の確保、優秀な若手人材や信頼できるビジネスパートナーを確保する上で不可欠です。

先日、産業労働常任委員会の管内調査で、明石酒類醸造株式会社を視察し、経営者からも海外展開の難しさについて様々な観点からお聞きしました。国内市場が飽和状態にあり、またこれから縮小していく中、企業にとっては海外展開が必要と簡単に言われますが、実際、同社の事業が軌道に乗るまでには、何年にもわたる地道な販路開拓の努力や廃業寸前の危機があったとのことでした。

県は、県産のものづくり製品の海外への売り込みや県内企業の海外展開などの支援のため、今年ジェトロ、神戸市と共同開設した「ひょうご・神戸国際ビジネススクエア」のほか、平成23年から順次、中国やベトナムなど5カ国7都市に「ひょうご国際ビジネスサポートデスク」を置き、現地情報の提供などを行っています。

しかし、企業の海外展開を支援していくには、一時的なサポートではなく、事業の継続性こそが大切だと考えます。その意味で、行革を進める中での見直しという視点もありますが、現地のサポート機能を継続的に配置し、進出しようとする企業へ長期的に寄り添う視点が必要なのではないかと考えます。この事業における県の役割をどのように認識しておられるか、お伺いいたします。

また、特に中小企業が海外展開をするにおいては、現地の適切なビジネスパートナーについての調査や紹介をはじめ、現地の情報に精通したアドバイザーなどによるきめ細やかなマッチングの実施こそが、企業の真のニーズに沿うものだと考えます。

そのような現地情報の収集・分析、マッチング、見本市・展示会への出展などは、行政として支援できる取り組みです。変化の激しい今日においては、スピード感を持って、リアルタイムに対応していく必要があると考えますが、現況や成果、今後の取り組みについてお伺いします。

(2)県産農畜水産物・加工品の国内・海外展開への支援

神戸ビーフ、淡路島たまねぎ、明石だこなどの県産農畜水産物は、国内でも人気が高く、輸出量も順調に増加傾向にありますが、このような傾向は、まだブランド力のあるものに限られている状況にあります。

特に今の海外における健康志向、アジア圏の富裕層拡大などによる世界的な日本食ブームを追い風にすべく、さらなるブランド産品の輸出販路の拡大、ブランド産品以外の県産農畜水産物・加工品においても輸出の裾野を拡げていくことが今後の課題です。これからは、市場やニーズをしっかりと調査した上で、「強み」となるポイントを見極めた上でそれを磨き、はじめから海外戦略を見据えたものづくりをするという発想も必要になってくると考えます。

一方、一昨年の予算特別委員会でも質問したことですが、現在ブランド力に欠ける農畜水産物を単体で売り出して行くには、かなりの困難が伴います。そこで、ブランド力のある農畜水産物のシャワー効果を活用し、それ以外の産品との販売上の連携を行うことで、「ひょうごブランド」として、県産農畜水産物全体の底上げを図るなど工夫も必要と考えます。

また、別の方法として、異業種とのコラボレーションが考えられます。これも産業労働常任委員会の管内調査で但馬県民局を訪れたときに、現在ブランド化を進めている朝倉山椒を練り込んだパンを食べる機会がありました。これはインターネット販売も手がける地元で有名なパン屋がつくったもので、県としてはこのような、地域色ある異業種とのマッチングを進めていくべきと考えます。これらの取り組み推進についての現状認識をお尋ねします。

また県は、国内における需要拡大を図るため、首都圏でのプロモーションを実施していますが、次のブランド産品づくりのためには、見本市や単発のキャンペーンなどへの出品にとどまらず、外部評価の適切なフィードバックによる品質改善が欠かせません。そのためには個人経営が圧倒的に多い生産者サイドに対し、改善に向けて客観性や柔軟性の視点を持ってもらうことが必要になります。6次産業化の推進を含め、多くの人が生産に関わり、付加価値をあげることにより、多角的な経営視点を維持できるよう、各種のアドバイザー等によるフォローアップがさらに重要と考えますが、今後の戦略についてもあわせてお聞きします。

5 実効性あるエネルギー対策の取り組みについて

(1)ひょうご100万キロワット創出にかかる総合的な戦略の推進について

地球温暖化に影響する、温室効果ガスの排出抑制対策として、また、新たな電力確保やエネルギー自給率向上の観点から、県は2020年度末を期限とするひょうご100万キロワット創出プランを策定し、再生可能エネルギーの導入に取り組んでいます。

エネルギー政策を考えるとき、再生可能エネルギーを導入していくには「創エネ」「蓄エネ」、エネルギーの消費の抑制については「省エネ」という視点が重要で、さらにそれぞれを効率よくリンクさせることで、その相乗効果の結果として実効性のある取り組みとなり、それこそが、自立した地域分散型エネルギーを可能にしていくと考えます。

県は、100万キロワットの創出を実効性のあるものにするため、どのように政策を進めていこうとしているのでしょうか。現在、全量買い取り制度が追い風となってはいるものの、産業部門や民生部門、地域のマネジメントを含めた全体的な取り組みが重要となってきます。

環境問題で先進的な取り組みを行っている神奈川県では、中小企業を対象に、今年度からガスを資源に発電したのちの、廃熱を給湯などに利用するガスコージェネレーションシステム導入への補助を開始したほか、効率的な「創エネ」「蓄エネ」を目指し、軽量で多様な場所に設置可能な薄膜太陽電池の導入や、蓄エネによる電力のピークシフトを図るため、定置型蓄電池の普及促進や、EV(電気自動車)及びEVを活用した給電システムの普及促進に取り組んでいます。

再生可能エネルギーは、天候等の条件に左右されやすく、安定的に確保することは難しいので、太陽光、風力などの発電も不安定なわけですが、一方で、「創エネ」「蓄エネ」をセットで活用することで、その安定性は上がってきます。今後のさらなる技術革新も必要ですが、このような様々な「創エネ」「蓄エネ」などの取り組みも併せて行うことで、ひょうご100万キロワット創出プランの達成も加速していくのではないでしょうか。当局の所見をお聞きします。

(2)地域エネルギーマネジメントの導入について

ここからは「省エネ」という観点から、地域マネジメントという効率的な電力の使い方についてお尋ねします。

兵庫県では再生可能エネルギー導入促進の施策として、住宅における創エネルギー・省エネルギー設備の導入を促進するため、住宅用太陽光発電設備や家庭用燃料電池等を新たに設置する場合に、特別融資制度を実施しています。

家庭において情報通信技術(ICT)などを活用し、電力の消費と発電・蓄電設備をリアルタイムで統合的に管理し、快適さを保ちつつ節電を行うエネルギー・マネジメント・システムHEMS(Home Energy Management System)という考え方がありますが、地域において自立的なエネルギーの需給調整を図る分散型エネルギーシステムを構築するという観点から、住宅用創エネルギー・省エネルギー設備設置特別融資制度に加え、効率的な使い方を促す制度設計が必要ではないでしょうか。

自立したエネルギーシステムを構築するためには、地域ごとの再生可能エネルギーの導入状況を見える化した上で、ネットワーク化し、地域全体のエネルギーを集中管理し、無駄なく効率的に使ういわゆる地域エネルギーマネジメントシステムCEMS(Community Energy Management System)を構築していくという視点が重要だと考えます。「地域主導型再生可能エネルギー導入促進事業」においても、設備導入の支援をすると同時に地域エネルギーマネジメントのモデルとして、スマート化していく取り組みも今後検討に値するのではないでしょうか。

また、同様に工場やオフィスへの取り組みに対してもBEMSやFEMSの導入は、温室効果ガスの抑制効果も期待できることから、推進する後押しとして考えられます。

兵庫県では省エネという観点から、エネルギー全体の総量を一律に節電する取り組みを県民、事業者に毎年行っています。また、ピークカット、ピークシフトなどの取り組みも行っており、一定の効果を得られています。しかしながら、より効率的な電力の使い方を考えれば、地域の電力を管理するということも、今後重要性が増してきます。それぞれの部門でエネルギー・マネジメントをすすめていくという仕組みを構築できた暁には、ネットワーク化し、CEMSという地域でエネルギー・マネジメントという考え方をすすめていくことが大事だと考えますが、再生可能エネルギーを活用した、分散自立した地域のエネルギー政策についてお聞きします。

6 こどもの学習環境の充実について

(1)家庭や地域との連携について

こどもの学習環境をめぐっては、いじめや不登校をはじめ、非行や暴力行為などの生徒指導に関わる問題行動や、災害や犯罪の被害に遭った被害児童生徒への心のケアなど、様々な問題がおこっています。それらの問題に対応するため、教育現場では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーをはじめとする専門性を持った外部人材を積極的に活用しています。

兵庫県では、阪神・淡路大震災の被災など大きな出来事が起こったこともあり、「心の専門家」であるスクールカウンセラー制度においては、他の地域にはない独自の取り組みを行ってきました。被災児童生徒への心のケアや、さまざまなこどもを巡る問題における学校への緊急危機対応の流れを受けて、スクールカウンセリングを「いじめ・不登校に対応する」だけでなく、「あらゆる問題行動に対応する」活動であると位置づけるなど先進的な取り組みが行われてきました。近年では、スクールカウンセラーが子どもや保護者の心の相談、教職員に対する相談支援はもとより教職員自身のメンタルヘルスアドバイザーの役割も期待されています。

また、学校における生徒指導上の諸問題が起こった場合には、家庭、学校、地域が連携した取り組みが必要なため、学校にスクールソーシャルワーカーを配置し、対応を支援しています。スクールソーシャルワーカーは教育と福祉の両面に関して専門的な知識・技術を有し、子どもの問題を生活環境から見た上で,包括的な分析、評価を行い,関係機関との連携を図り問題解決につながる支援を講じる役割を担っています。

さらに、学校だけでは解決できない少年犯罪等の事案に対応するため、関連機関との連携、調整などの役割として学校関係OB、警察関係OB、スクールソーシャルワーカーなどの専門家で構成された「学校支援チーム」を設置するなど、学校外部の人材を活用した取り組みを進めてきました。

このように子どもたちを取り巻く多様化・複雑化する学校の課題に対応するためには、地域、児童福祉機関、医療・保健機関、警察、市町等も含めた様々な領域にまたがる関係機関で連携を取りながら一体感を持って取り組んでいく場が、今後ますます増えていくと想定されます。教育委員会として多様化・複雑化する学校の課題に対して、全体の状況を見きわめながら、施策を進めていく必要があると考えますが、当局に所見をお聞きします。

(2)スクールカウンセラーのマネジメントについて

スクールカウンセラーの意義・成果については、学校外のいわば「外部性」を持った専門家として、児童生徒と教員とは別の枠組みや人間関係であるため、心を許して相談できる、教職員等も含めて、専門的観点からの相談ができる、といった報告があります。

県では、スクールカウンセラーを平成17年度から全公立中学校へ配置し、平成18年度からは小学校へ配置を拡充したほか、平成12年度からキャンパスカウンセラーを全県立高等学校に配置し、キャンパスカウンセラー等を活用した教職員研修会を実施するなどの施策に取り組んできました。スクールカウンセラーの守備範囲もそれに伴い多岐にわたり、責務がますます大きくなる中、様々な課題も見えてきました。

主な課題としては、一つには、スクールカウンセラーは、学校外部の人材ですが、一方で、学校組織の一員として、管理職の指導や学校の方針のもとで活動を行っているという側面もありますが、スクールカウンセラーと教職員との間において、必要な情報の共有がなされないことがあります。教育相談体制を充実するという観点から、スクールカウンセラーの役割、業務等を明確にし、全教職員が共通認識を持ち、スクールカウンセラーと教職員との間において、必要な情報を共有することが必要です。

二つには、各学校におけるスクールカウンセラーの派遣が主に週1回となっている現状では、継続的な相談効果や校内の一体的、組織的な相談体制の確保は困難です。このため、週当たりの相談時間の増加や相談日数の増加について検討することが必要です。

三つには、スクールカウンセラーの配置の拡大に伴い、資質や経験に違いが見られたり、学校における活用の仕方に大きな差が見られるなどの課題も指摘されています。特にスクールカウンセラーにおいては、児童生徒に対してプライバシーにかかわる相談もあるので守秘義務や密室性に起因する問題等、繊細さも同時に求められる役割であることを考慮する必要があります。その資質の向上やマネジメントをどのように図っていくかが課題となっています。

その他にも、経験豊かなスーパーバイザーを、例えば各教育事務所に配置し、スクールカウンセラーへの指導や助言、マネジメントする体制を整えていくこと、スクールカウンセラーの適格性の判断や評価、ガイドラインの整備等も必要です。

以上のように、様々な課題がありますが、これらの課題は、文部科学省において検証され、兵庫県に限らず、全国的な問題として指摘されている内容です。

いじめや不登校、災害時のこころのケアを始めとした児童生徒の様々な問題に対応していくため、現状の取り組みを含めて、今後これらの課題にどのように対応していくのか、当局の方針をお聞きします。

大塚 たかひろ

(神戸市須磨区)

一般質問

(竹内 英明 議員)[発言方式:一括]

1 認定こども園制度の変更について
2 姫路の医療体制の拡充について
(1)災害拠点病院の指定について
(2)県立姫路循環器病センターの移転について
3 中播磨・西播磨地域での医療型障害児(者)施設整備について
4 但馬空港問題(兵庫県立航空の検討)について
5 (公社)兵庫みどり公社への貸付金について(オーバーナイト借入)
6 休眠宗教法人の売買について
7 気象警報区域の細分化について

質問全文

第324回 9月定例県議会 一般質問案

質 問 日:2014年9月29日(月)

質 問 者:竹内 英明 議員

質問形式:一括

1 認定こども園制度の変更について

来年4月から、幼児期の教育や保育、地域の子育てを支援する子ども・子育て支援新制度がスタートする。消費税率10%への引き上げによって確保する約0.7兆円の財源が、恒久的な財源として、この新制度に充てられるが、現段階では消費税は8%である。新制度の量の拡大と質の改善のためには、0.7兆円では足りず、1兆円超程度の財源が必要であり、政府はその確保に最大限努力することとされている。

認定こども園法の改正により、幼保連携型認定こども園は学校と児童福祉施設の位置づけを持った新たな単一施設として知事等の認可が必要となることから認定こども園の認定要件等に関する条例を改正し、設備・運営基準を定めることとなる。

先日の知事の提案説明では新制度における幼稚園・保育所等への運営費支援の予定額が国から示されたが、大規模私立幼稚園を母体とした認定こども園では、現行の助成水準より大幅に低くなっており、運営に支障が生じる恐れがある。このため、他府県とも連携し、国に対して改善を働きかけると発言した。

運営に支障が生じる園があるとの試算もあるが、中にはこれまでの認定こども園の認定を返上し、元の幼稚園に戻り、旧来の文部科学省の私学助成制度に戻る選択を考えている園があるとの報道もある。

兵庫県では平成26年4月1日現在、幼稚園、保育所など118園が認定こども園として認定を受け、その数は全国第1位で、子育て支援に力を入れている姿勢があらわれており、素晴らしい取り組みと評価してきた。

消費税の増税にあわせ、新たな目的の一つに、待機児童の解消などの子育て支援を加えたにも関わらず、認定こども園を返上して旧来の制度に戻ることなどは、本来おかしい。

そこで、新制度の幼保連携型認定こども園に移行することで、現行の助成水準より大幅に低くなり運営に支障が生じる恐れがあるとのことだが、県の試算で、大規模園ではどのくらいの減収になることが想定され、国が改善しようとしない場合、現在の認定こども園が認定を返上し、県内でも旧位置づけの幼稚園に戻ることを希望している園の状況と県として実際に戻ることを認める方針なのか所見を伺う。

また、これまで同様の水準を保つために県独自の支援をすることも検討しなければならないと思うが、県の考えを伺う。

2 姫路の医療体制の拡充について

(1)   災害拠点病院の指定について

災害拠点病院とは、阪神・淡路大震災の経験を契機として、都道府県内や近県において災害が発生し、通常の医療体制では被災者に対する適切な医療を確保することが困難な状況となった場合に、傷病者の受け入れや都道府県知事の要請により災害派遣医療チーム(DMAT)の派遣等を行う病院である。

拠点病院の指定条件は、建物が耐震構造であることや自家発電設備、飲料水等により外部からの補給が滞っても簡単には病院機能を喪失しないなどの自己完結機能を有することのほか、搬送のためのヘリポートが近接地に確保できることとなっている。

二次医療圏ごとに原則1カ所以上整備されることとなっており、既に中播磨医療圏では県立姫路循環器病センター、姫路赤十字病院、国立病院機構姫路医療センターの3病院が指定されている。

そういう中で、昨年3月に三次救急医療機関として製鉄記念広畑病院姫路救命救急センターが開設された。災害派遣医療チーム対応も可能となっており、指定要件を満たしている。さらに、2015年1月からは週1~2回程度兵庫県ドクターヘリが駐機し、準基地病院となるべく調整中と聞いている。

そこで、この際、兵庫県ドクターヘリの準基地病院となるにあわせて、災害拠点病院に指定し、大規模災害時の備えとして協力を要請しておくべきだと考えるが、県の所見を伺う。

(2)   県立姫路循環器病センターの移転について

私が2月議会で質問した県立姫路循環器病センターの移転・新築について、平成30年以降の話だが、知事の口から新たな移転先として姫路駅周辺のイベントゾーンが候補地に挙がって以降、地域で大きな話題になっている。

また、県は関西国家戦略特区・兵庫地区協議会から関西圏区域会議へ高度医療病院・研究開発ゾーン構想(仮称)を提案されている。

同構想によると、事業主体は、兵庫県病院局とし、連携事業者として、学校法人獨協学園、国立大学法人神戸大学となっている。実施場所は、姫路市で、時期は2014年度から検討開始となっている。

概要は、獨協学園が設置し、神戸大学等と連携して運営する高等教育研究機関との密接な連携により、県立姫路循環器病センターの医療機能の一層の高度化を図るため、当該センターを総合病院化し、病床を拡充するとなっており、病床規制に係る医療法の特例措置を図るとなっている。

一方、移転候補地のイベントゾーンを保有する姫路市の整備方針は、26年度中に基本計画を策定し、27年度から基本設計、実施設計にするとの方針で、現在、基本方針素案の段階だが、高等教育・研究のエリアは高等教育を支援する機能や学術研究を促進する機能の導入を想定しているので、単なる、循環器病センターの移転、拡充だけであれば整備コンセプトに合致しない。

また、獨協学園と神戸大学等が連携して運営する高等教育研究機関との連携による総合病院化の計画は、整備コンセプトに合致する土地利用の1つであるが、地域医療との整合など慎重に検討すべき課題も多く、県と十分にかつ主体的に協議すると市議会での答弁もあった。

地域医療との整合とは、新たな診療科設置、特区による病床数増という他の医療機関との患者獲得の面での競合であり、更には医師確保という点でも競合が予想され、近隣1㎞にある国立病院機構姫路医療センターでは、現在でも医師不足で診療科の休診なども見られる。

また、姫路市内では、県が特区制度を活用し、600床程度の総合病院化を構想しているという話も聞こえてくる。

県民は勿論のこと地域の医師会や地域医療関係者の声も聴かなければならないし、病院の土地が姫路市から無償貸与されて、移転後も引き続き同様の支援が必要と考えていることから市の意見も聞く必要があり、県や病院局だけで決められる問題ではない。

これまで、医療確保に課題がある「丹波市域の医療については、丹波市域の今後の医療提供体制のあり方に関する検討会」から提言を受け、県立柏原病院と柏原赤十字病院を統合し、2018年度にも新たな県立病院を同市内に開設することが今月発表された。

この検討会は、2病院の当事者だけでなく、丹波市長、住民代表として自治会長や医師を派遣している神戸大学医学部から附属病院長や民間のコンサルタントなど様々な観点からの委員で構成されていた。

そこで、県立姫路循環器病センターの移転について、そうした地域医療との整合をはじめ、関係者の声をどのように聞いていくのか伺うとともに、姫路市との協議内容や今後のスケジュール、新病院の総合病院化の内容等についても教えてもらいたい。

3 中播磨・西播磨地域での医療型障害児(者)施設整備について

重度の知的障害(療育手帳A判定)と重度の肢体不自由(身体障害者手帳1・2級)が重複した方を重症心身障害児(者)と呼ぶ。県内の重症心身障害児(者)は約4,000人と言われており、人工呼吸器の使用、気管切開など24時間の介護や医療行為が必要な方も多い。

そういう中で、重症心身障害児施設は県内では神戸、阪神南、阪神北、北播磨、但馬にあり、入所希望者は150人ほどである。また、全員の方が施設入所を希望しているのではなく、症状が重くても在宅のまま保護者の方と一緒に生活している方も3,000人ほどおられる。

在宅の場合、保護者の病気や用事などの理由で家庭での介護が一時的に困難になった場合に、施設で受け入れてもらうショートステイと呼ばれる短期入所サービスが必要となってくる。

ただ、短期入所サービスを行っている施設は、地域的な偏りが著しく、実際に姫路などで子供を抱える保護者の方の集まりに参加したときも、中播磨・西播磨圏域に、こうした施設の整備を求める切実な要望や声を受け、本会議で取り上げてきた。

県でも、介護老人保健施設での短期入所設置支援モデル事業をはじめるなど対応を進めていると認識している。障害を持つ子供を抱えると、長い年月の間に心身ともに疲れ果てて余裕がなくなり、子供とうまく接することができなくなることもある。自宅から近いところにそうした施設を確保することで、保護者に対するレスパイト・ケアという社会的援助ができることにもなる。

そして、知事の決断により、平成25年末に県内における医療型障害児・者施設の地域偏在の解消を図るとともに、在宅の重症心身障害児・者への支援体制を充実するため、中播磨地域又は西播磨地域において医療型障害児・者施設の整備運営を行う事業者の公募を行った。

応募条件は、本体機能としては医療型障害児入所施設及び療養介護事業所80床程度、付加機能(必須)として医療型短期入所施設を8床程度となっている。募集締め切りから10ヶ月経過し、地域では早期の施設開設を待ち望む切実な声のほか、姫路市内の社会医療法人財団聖フランシスコ会姫路聖マリア病院に内定したと地域の中で広まっている。

知事も、困っている保護者の切実な声を聞いてきたと思う。

そこで、公募の結果と、施設の規模や開設までの整備スケジュールの見通しを示し、見守っている多くの方に早く情報を伝えてもらいたいと考えるが、県の所見を伺う。

4 但馬空港問題(兵庫県立航空の検討)について

懸案の但馬東京直行便の就航について、我が会派で現在の伊丹便の運航主体である日本航空グループの日本エアコミューター(JAC)本社を訪問したことがあるが、東京便の運航について前向きな話はなかった。

豊岡市のHPをみると、「航空会社では、日本航空(JAL)は現在経営再建中であるため、全日本空輸(ANA)に、より強く路線開設を要請してきたが、前向きな回答が得られず、応募することができなかった」ともある。滑走路の長さや機体の件もあり、需要喚起のためのPR活動も理解できるが、時間が迫っているなどという記載もあった。

一方、阪神間への接続路となる高速道路「北近畿豊岡自動車道」のうち、八鹿までは供用開始しているが、現在建設中の八鹿日高道路も過日、平成28年度(2016年)の開通見通しが発表されたほか、空港最寄りの豊岡南ICまでの日高豊岡南道路も用地買収が8割に達し、既に工事中である。そう遠くない時期に北近畿豊岡自動車道は完成すると考える。

国土交通省のHPや建設計画の交通需要予測を見ても、この高速道路が阪神間との新たなパイプとなることは間違いなく、空港利用率の低下要素となる。豊岡河川国道事務所HPによると、北近畿豊岡自動車道が全線開通すれば、豊岡から大阪まで、約2時間20分で行くことができる。3時間近くかかっていた道のりも、2時間ちょっとで行けるようになり、鮮度が重要な水産物も、早く消費地に届く。また、京阪神はもちろん、東京までの時間も読めるようになって、ビジネスもより円滑になると予想している。

また、東京直行便を実現しなければ但馬伊丹便はあまり意味が無いと考える。なぜなら但馬空港は、大阪まで40分と宣伝されるが、豊岡駅・大阪駅を起点に考えると、実際は特急約2時間半と飛行機利用2時間と30分ほどしか時間は変わらない。

県では、先月26日に外部有識者を交えた「但馬空港の利活用検討会議」の第一回会議を開催し、今後、①伊丹便運航継続の是非②羽田直行便新規就航の可能性等について検討するとしている。この諮問事項は県議会や地元市町でも20年間議論をしてきた内容で有識者とはいえバラ色の結論は難しい。

加えて、現在の機体SAAB340B(1994.12)についても、日本エアコミューター株式会社整備管理部整備技術グループ主任岩本慎一氏によると、「航空機は二十数年をひとつの目安として整備を継続しながら運航を行う」とのことであり、今年で20年の使用となる現状もある。

北近畿豊岡自動車道の完成や機体の更新時期も見込まれる中、高速道路開通後も、但馬伊丹間だけのために年間5億円程度の赤字補填を続けるのは厳しい。

知事は東京直行便を飛ばすことに協力してくれる民間航空会社がない場合、県立航空会社を設立することも選択肢の一つという考えを過去に示されたこともある。今でもこの考えがあるのか、知事の所見を伺う。

5 (公社)兵庫みどり公社への貸付金について(オーバーナイト借入)

24年度包括外部監査人が指摘した県みどり公社のオーバーナイト借入について質問する。

オーバーナイト借入とは、外郭団体等が3月末の年度末に数日間だけ市中の金融機関から資金を借り、4月の年度開始後すぐに金融機関に返済するという資金繰りの方法である。県が外郭団体等に貸し付けていた資金を年度末の3月31日に一旦回収し、翌年度の4月1日に再び貸付をすることから、団体側は、毎年市中金融機関から年度末の2日間の短期融資を受けなければならないということである。土日を挟む場合は、最大4日、24年度は4日間であった。

24年度の包括外部監査の環境行政に関する財務事務の執行及び出資団体の経営管理についてでは、くらしを支える森づくり事業の単年度貸付金の主な使用用途は、平成6年度から開始した事業の初期において、民間の森林所有者から育林地を取得した際の資金であり、おおむね平成11年までに取得は完了しているが、その後発生した森林整備費が上乗せされ、平成23年度末には貸付金の金額が4,322百万円となっている。当該貸付金は実質的には超長期の貸付金であるが、契約上は年度期首に貸付を行い、年度末に一旦返済するという単年度貸付を繰り返し実施しており、年度末から翌年度初日の2日間はみどり公社が民間金融機関から借入することでつないでいる。いわゆるオーバーナイト借入である。

オーバーナイト借入を実行することにより、みどり公社には毎年400千円程度の利息費用のほか、同じく400千円程度の印紙税も発生している。また、借入条件を決定するための金融機関との交渉といった事務負担も生じているが、これらは経済的には不要なものであると言えると指摘している。

これらの監査意見に対して県は、これまでの間、県が単年度貸付を行ってきた理由は、①現行の地方債制度において、兵庫みどり公社の森林が主伐時期になるまでの間の超長期の地方債を発行することが認められていないこと、②一般財源により一度に所要額を確保することも現下の情勢では困難なことなどであり、県が取り得る手法として適当であると考えていると県当局は回答しているが、前者はそのとおりであるが、資金がないとの回答はおかしい。

県議会に提出された24年度の県の決算をみると出納整理後の県債管理基金の残高は4,667億円であり、土地や有価証券等を除く現金だけでも2,614億円である状況を踏まえると、みどり公社から資金を引き揚げる必要はない。

また、私が更に調べたところ、みどり公社の24年度決算を見ても、オーバーナイト借入について、流動負債に該当するはずだが、記載がないことがわかった。翌日に返済する予定の資金という趣旨からすれば翌1年以内に返済する負債として流動負債に計上しなければならないはずである。

流動負債は賃借対照表日の翌日から起算して1年以内に支払の期限が到来する債務である。貸借対照表上は県借入金2,389百万の残高があるが、これはオーバーナイト貸付ではない。いずれにしろ公開される決算資料をみただけでは実態はわからない。

さらに、単年度貸付については、平成21年6月23日付けの総務省自治財政局長通知の第三セクター等の抜本的改革の推進等についてにより、第三セクター等に対する短期貸付を反復かつ継続的に実施する方法による支援は、安定的な財政運営及び経営の確保という観点からは、本来長期貸付または補助金の交付等により対応すべきものであり、当該第三セクター等が経営破綻した場合には、その年度の地方公共団体の財政収支に大きな影響を及ぼす恐れがあることから、早期に見直すべきであるとされている。

そこで、県から単年度ごとに反復して貸し付けているみどり公社に対するオーバーナイト借入の総額は平成24年度と平成25年度の各決算でいくらあり、それに伴う銀行に支払った利息と印紙税の額やなぜ2日間だけの市中金融機関等借入金を流動負債としないのか伺う。

また、国の通知だけでなく、監査人も単年度貸付金による財政支援は速やかに見直し、長期貸付に切り替えるべきであるとの意見を付しているが、私も、同様に早期に見直す会計処理を求めるが、県の所見を伺う。

6 休眠宗教法人の売買について

近年、活動実態のほとんどない休眠状態の宗教法人が、税制上のメリットを目的に売買の対象となったり、犯罪で利用されたりされていると報道されている。

憲法で保障された信教の自由を守るために、多くの税制上の優遇措置があるのが宗教法人法の手続きにしたがって法人格を取得した宗教法人のうち、兵庫県内にのみ境内建物を備える宗教法人や兵庫県内にのみ被包括宗教法人を有する包括宗教法人は兵庫県知事が所轄することとなっている。それ以外の複数の都道府県で活動する宗教法人は文部科学大臣が所轄することになっている。

活動実態がない休眠法人の売買については、ネット上で現在もその情報に接することができる。

県の所轄する宗教法人は、年一回知事に対して、役員名簿や財産目録の写しを提出することが法律上義務付けられているが、実際に活動していない休眠法人は、こうした書類を提出していない可能性が高い。

現在、兵庫県知事が所轄する宗教法人の数は平成26年3月31日現在8,739法人。都道府県別では、愛知県に次いで全国2番目の法人数となっている。

そこで、県への提出書類を提出していない直近3か年の法人数と、法律では、書類の提出を怠った場合に、十万円以下の過料の処分が規定されているが、過料事件となった数と実際に過料を支払った直近3か年での法人数はどのような状況か伺う。

さらに、法律では、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」と認めた場合などに知事が裁判所に法人の解散を請求することができるとあるが、休眠法人を売買しようとしているとの情報を得た場合の対応について、県の所見を伺う。

7 気象警報区域の細分化について

昨年の秋の朝、姫路駅周辺で学校が休みになって喜んでいる高校生の集団を見掛けた。別の日にも、事務所のある播但線の砥堀駅で学校が休みになって喜んで自転車で帰っていく光景を見た。いずれも大雨洪水警報が朝、姫路市に発せられて学校が臨時休校になったからである。実は2回とも、その場所では雨は降っていなかった。スマホで降雨状況を見たが、北部や南部に偏っていたことを記憶している。

姫路市は、東西36、南北56㎞、面積534.4兵庫県下の6.4%の広さを誇る。例えば瀬戸内海に浮かぶ家島町で大雨かもしれないが、北部の夢前町の雪彦山では晴れている場合もある。現在の気象警報の発出基準では、特定の一部地域でも強い雨が降るなど一定の基準を超えると大雨警報が発せられるが、他の地域で雨が降っていなかったとしてもそれは関係ない。警報発令によって、結果として市全域の学校が臨時休校になる場合もある。

台風など広域に雨を降らせるものなら広域的な警報でも構わないが、大雨洪水警報で最も大きな影響を受けるのは学校現場であるが、子どもにとっては休みが増えて嬉しいかもしれないが我々のころと比べて土曜授業も廃止されており、実質臨時休校は授業時間の減少となる。学校給食のある市町立小中学校や県立特別支援学校、定時制高校など大量の食材が廃棄される二次作用もある。

浜松市などは同一市でも警報区分はわかれている。近年はゲリラ豪雨と言って局地的に雨が降る場合も増えている。

そこで、気象庁に地域の実情などを的確に説明するなどして島嶼部と山間地を有するような姫路市などの大きな市域は警報発令基準対象地域を南北に分けて細分化するなどの対策を求めるべきではないかと考えるが、県の所見を伺う。

竹内 英明

(選挙区:姫路市)

(小池 ひろのり 議員)[発言方式:分割]

1 再犯抑制に向けた取り組みについて
2 女性の社会進出支援について
3 三ノ宮駅周辺の再開発推進について
4 教師の多忙対策について
5 がん対策の推進について
(1)がんの相談支援体制の充実について
(2)がん教育の推進について

質問全文

第324回 2014年9月定例会 一般質問原稿

質 問 日:2014年 9月30日(火)

質 問 者:小池 ひろのり 議員

質問方式:分割方式(1~3:一括、

4~5:一問一答)

今日は、私が県会議員3期12年間で質問した中で、まだ十分に実現できていないことで、地域・教育・福祉の問題を中心に5項目6問について分割方式で質問をさせてもらいます。

1.再犯抑制に向けた取り組みについて

再犯抑制に向けた取り組みについて、私は県議会で何度も取り上げてきました。今回は、特に安全・安心なまちづくりのために、再犯抑制に向けた施策を取り上げます。

これまで県では、再犯抑制の観点から、県発注の建設工事の入札時に、保護観察対象者を雇用した企業等に加点評価する制度を導入したり、再犯抑制に向け関係機関が連携した連絡会議を創設するなど、全国に先駆けた取り組みを進めて来られました。

しかし、依然、再犯率は高く再犯抑制で最大課題と思われる出所者の就労支援について、再度質問をしたいと思います。

これまで真面目に生きてきた一般の人でも、なかなか就職が厳しい現実があるのに、なぜ犯罪を起こした人を特別に有利な扱いをするのかと言う意見があります。しかし、平成24年の一般刑法犯検挙者数に占める再犯者の割合は、45.3%と非常に高い数値です。この現実を直視しなければ、安心・安全な街づくりは出来ません。犯罪者が刑期を終え、刑務所を出所し、「更生して頑張ろう!」と思っていても、現実に仕事や住む家もなく、生活苦から再犯していく場合が非常に多いという実態があります。そこで、出所後の就労支援や福祉支援が必要となって来ます。

さらに、貴重な税金の使い方と費用対効果の面から、犯人逮捕や更生に多額の税金が使われている現実を見れば、もっと犯罪予防に力を入れるべきだという事は明白です。一般的に、逮捕後の裁判や、更生のための刑務所の維持管理費などを含めると、犯罪者1人に平均約500万円以上もの税金が投入されていると聞きます。そのことを考えれば、予防で犯罪を食い止める方が遙かに効果があり、被害者も出さなくてすみます。そして、安全な街になります。

刑務所を満期出所する者は、身元引受人がおらず、帰る場所もない場合が多いと言われます。さらに最近では、身寄りがなく福祉的支援に繋がりにくい高齢者や知的障がい者が、再犯を繰り返す場合が非常に多いということも問題になっています。

現在、刑務所では受刑者の高齢化が進み、住居と福祉支援を強化した対策が必要となって来ています。県内には、このような出所者のために、当面の住居として3か所の更生保護施設があり、また、高齢と障害がある出所者のための福祉支援として、全額国庫負担により4年前に県は「地域生活定着支援センター」を設立しました。しかし、刑務所が多い兵庫県に対し、全県一律の国の予算配分では十分な対策が行き届いていないのが現状です。

さらに、働きたくても仕事や住居がない出所者の自立に向けた当面の支援策として、心のケア的支援や職業訓練等の就労支援を兼ね備えたケア付き共同住宅(ハーフウェイハウス)の創設が、今、一番求められていることです。

そこで、これまでの国・県・市町の縦割りの行政を乗り越え、関係機関が連携して住居の確保と福祉支援、そして就労支援をしていくことが重要であると考えますが、現在の取組状況と今後の取組方針について当局のお考えを伺います。

2.女性の社会進出支援について

日本の人口は、1億2,000万人をピークに、現在、減少に転じています。そして、2060年には、全人口の39.9%が65歳以上の高齢者になり、国民2.5人に1人が高齢者という時代が到来すると推計されています。この事は、高齢者の年金の問題や日本経済の発展、ひいては、私たち国民の生活に大きく関わってきます。そのために、日本のこれからの課題は、労働人口を確保する事にあり、長期的に見れば出生率の向上が有効な政策となります。合計特殊出生率は、2.07で人口を維持できると言われていますが、現状では、全国平均で1.43、本県で1.42と大変低い状況にあります。

フランスでは、「3人っ子政策」やシングルマザーを認め、育児手当など少子化対策を積極的に打ち出し、人口減少に歯止めをかけています。少子化と言う大きな課題には、日本としてもより一層積極的に対策を講じる必要があります。その為には、女性が安心して子供を産み育てられる環境づくりが必要です。

兵庫県では、9年前に少子局を設置して以降、少子対策の総合的な推進を図っていますが、とりわけ都市部においては、未だに保育所待機児童の問題も現存しており、働きたくても働けないという女性もいます。

私たちは、スイスに本部がある世界経済フォーラムを視察、現地調査をしたことがあります。そのフォーラムが毎年発表している世界各国の男女格差に関するレポートで、男女の格差を指数化した順位付けによれば、1位は5年連続アイスランドで、世界で最も男女が平等に近い国とされ、次いでフィンランド、ノルウェイ、スウェーデンと欧州勢が上位を独占しています。アジアではフィリピンが世界5位、中国が69位、インドが101位で、日本は136カ国中105位という低さです。

さらに、女性の社会参加率の高い国ほど、出生率が高く、男女平等社会を推進するほど、出生率が良くなるという結果が出ています。日本は、健康と教育の面では高い評価がある一方、社会経済の面では、女性の参画や管理職の割合が低く、男性の給料の71%と明らかな差別があると指摘されています。欧米各国の女性管理職比率が30~40%前後に比べると、日本は11.2%と極端に低い現状で、特に政治分野における女性の割合の低さが際立っているとの説明がありました。

このような実態を改善するためにも、兵庫県では、男女共同参画推進本部が立ち上げられており、男女共同参画を部署ごとの課題とせず、総合的かつ横断的に取り組んでおられます。そして、県自ら共同参画のモデル職場になるよう率先して取り組み、最近ではお膝下の県職員の女性管理職も徐々に増えて来ています。

しかし、この兵庫県議会に出席している県当局の幹部に、女性が圧倒的に少ない状況を見ても、まだまだ十分とは言えません。

産後の円滑な職場復帰、仕事と家庭の両立や子育て支援がなかなか進まないのも、県議会など、物事の決定の場に女性幹部が少ない事も一因ではないでしょうか。

既に、欧米では女性が職場で活躍できる環境を整えるのは常識化している現状を考慮すれば、民間をリードする立場の県が、率先して女性の社会進出を支援すべきだと考えます。

そこで、男女共同参画を基本とし、男女が共に生き生きと暮らせる社会を実現させるためにも、女性の社会進出を官民一体で支援する必要があると思われますが、県として今後どのように対応していかれるのかお伺いします。

3.三宮駅周辺の再開発推進について

私は、今年2月の県議会予算委員会で取り上げた三宮駅周辺の再開発推進について、再度質問をしたいと思います。

交通の拠点であり観光・ビジネスの中心地でもある三宮駅周辺を整備することは、神戸のみならず地域全体の活性化につながるため、県としてもこの再開発事業に積極的に関わっていくべきであると考えるからです。

現在、三宮駅周辺の再開発については、神戸市をはじめ市民代表や交通事業者、地元経済団体等で構成される検討委員会に県も参画して、神戸都心の将来ビジョンの策定が始まりました。あわせて、駅ビル再開発及び駅周辺整備については、国、県、市及び交通事業者等をメンバーとする三宮構想会議を設置して、より具体的な検討が行われています。ビジョンの策定や構想会議での検討に当たっては、地域住民の声や想いを反映していただき、“神戸らしさ”を発揮した知恵を絞った総合的な再開発で、元気な神戸を取り戻す起爆剤になることを期待しています。それ故、行政には、広域的な立場から企業間の事業を有機的に結びつけ、地域の発展に繋げていく役割があると考えます。

先般、平成28年に日本で開催が予定されているG8主要国首脳会議の神戸市への誘致を目指して、県、神戸市、関係団体などで構成される協議会が発足しました。国際会議の代表格とも言えるサミットの開催は、ブランドイメージの向上に加え、国内外からの投資や誘客の増加が見込まれるなど、大きな経済波及効果が期待出来ます。是非とも、世界に向けてアピールする絶好の機会と捉え、神戸での開催を実現させて頂きたいと思います。

1回限りの国際会議で終わらせることなく、国際都市として持続的な発展に繋げていくためにも、例えば、三宮再開発で集客力の向上と同時に、駅ビルの賑わいの客の流れを、三宮センター街、元町へ誘導し、回遊性向上を図り三宮駅周辺全体の発展につなげることが、大事なことではないでしょうか。また、三宮駅周辺は、JR・阪急・阪神・市営地下鉄・ポートライナー等の交通結節点で、鉄道だけで1日延べ約68万人の乗降客が利用しており、交通拠点の要となっています。それぞれの交通事業者に、兵庫県・神戸市が協調して加わり、例えば、新聞報道のあった阪急と地下鉄の相互乗り入れ等を含め、もっと交通機関の乗り換えや乗降の利便性を向上させる必要があると思っています。

さらに、路線バス・高速バス・空港バス・観光バス、あるいはタクシー等の乗降所を、使い勝手の良い分かりやすい総合交通バスセンターを併設した駅ビルにすべきです。また、三宮駅周辺再開発推進という総合的なグランドデザインに、県が積極的に参加して、国際観光都市・神戸の賑わいと発展に結び付け、元気な神戸から兵庫の発展に繋げていくべきだと考えます。

JR三宮駅ビル改築案が浮上しているこの機を的確に捉え、行政が主体的に三宮駅周辺の再開発に結びつけ、観光・ビジネスの中心で兵庫県の顔でもある三宮地域の発展に繋がることを大いに期待するものです。

そこで、県としての三宮駅周辺の再開発への取組状況と、今後どのような関わりをしていく計画を描いておられるのか所見をお伺いします。

【答 弁】

4.教師の多忙対策について

私は、長年高校・大学の教師をしてきましたが、今、学校現場を見ると、教師は疲れており、生徒は萎縮していると思えてなりません。

先日、OECDが発表した加盟する34カ国・地域の学校環境や教師の労働に関する調査結果によれば、日本の中学校教師の勤務時間は、平均週38.3時間に対し、54時間と極めて長く、さらに部活の指導に7.7時間、一般事務に5.5時間など、いずれも平均を大きく上回り、授業以外の仕事にも追われ、世界一多忙という実態が浮き彫りとなりました。

さらに、新聞報道によると、教師の“いわゆるサービス残業”は、月に95時間半に達し、ここ10年で14時間も増え、土日の出勤も増えているという記事がありました。また、うつ病など心の病で休職している教師は、全国で約5,000人もいると言われています。本来業務に集中できずに、心身ともに疲労困憊しているのが現状と言えます。指導する立場の教師が疲れ果てていては、学校が元気になるはずがありません。

国も、このような現状を把握しており、事務の効率化や学校に対する調査依頼の縮減や外部指導者の大幅増員で負担軽減を図りたいとしています。

私は、以前、アメリカの高校で授業をしたことがあります。1クラス20~30人位の生徒を相手に、日本より遙かに生徒との触れ合いが出来る授業が可能で、質疑で内容を深めることが出来たと記憶しています。当時、日本の高校は1クラス45人でした。現在、兵庫県では小学4年生まで35人学級が実現しましたが、教育効果を挙げているフィンランドの20人以下学級、しかも複数担任制とは比較になりません。

私は、当面の対策として、クラス崩壊しかけている学級に副担任として加配出来る教師を増やしたり、学校訪問者やモンスターペアレンツ等に対応するため、ゆとりの教師として1人配属する等、早急に対策を実現してもらいたいと思います。加えて兵庫県では、現在、小学4年生まで新学習システムを導入し、35人学級が実現しましたが、これも中学3年生まで延長し、目の行き届いたクラス運営で教育効果を更に上げてもらいたいと考えます。

また、クラブ顧問に責任を押し付け、丸1日の休日出勤で2,400円の手当という問題は、教師の使命感や熱意だけに余りにも頼り過ぎており、それに甘えているのが実態です。特に運動部の顧問は、休祝日さえ休みが取れない教師も多いという現状です。私は、これまでのクラブ活動は、青少年の健全育成で一定の役割を果たしたと評価しています。しかし、これからの児童数の減少に対応するためにも、是非、クラブ活動を学校教育から徐々に切り離し、社会教育として位置付け、教育関係者のOBや地域の民間企業を引退した有能な人材を指導者として活用すべきと考えます。

今、私が申し上げた対策には、予算が伴うもので、大変なことは分かっておりますが、日本は戦後の食べ物に不自由な時代でも、教育に力を入れて来たことを考慮すれば、出来ない事はないと考えます。

私は、発展著しいインドに調査に行ったことがあります。日本と比べれば遥かに貧しい国情であっても、教育には大変力を入れています。路上生活者や貧しい家庭の子供も、学校に行けば給食があり、英会話やIT等も学べます。将来この貧困から子供が脱出出来るかもしれないという期待もあり、親も応援しています。裸足でも、子供の目は輝いているように映ったのが、とても印象的で、教育の力とその重要性を痛感しました。

中国の管仲(管子)の「百年樹人」という言葉があります。1年で何かをするなら穀物を植え、10年なら木を植え、一生をかけるなら人を育てるのが良いという格言だと理解します。まさに「国家百年の計、教育に在り」だと思います。

10年前と比較して、35人学級が一部実現し、ほんの少しだけ前進しましたが、教師の残業時間は、逆に増えております。さらに生徒の質や問題の多様化や、基本的な家庭での躾の欠如や地域力の減退等から、今後も教師の仕事が益々増えていくと思われます。

そこで、教師の長時間労働と多忙過ぎる現状を緩和するために、県教育委員会はどのような対策を取られてきたのか、また今後、取られようとしているのかをお伺いします。

【答 弁】

5.がん対策の推進について

(1) がんの相談支援体制の充実について

今では、がんに2人に1人が罹患し、日本人の死亡原因の3人に1人ががんで、死因の第1位となっています。

そこで、国では、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、がん対策推進基本計画に基づいて、平成24年度から28年度までの5年間を対象として、放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実を図ると共に、がんと診断された時から緩和ケアに重点的に取り組むとしています。特に、がん治療に当たっては、これまで手術が中心でしたが、放射線治療や化学療法の技術が進歩してきており、がんの種類によっては手術をしないで同様な効果を得られるまでになって来ました。

私事になりますが、私自身は、これまで大きな病気に罹ったこともなく、健康には自信があり、トライアスロン世界選手権に日本選抜で出場するほどの元気者でした。そんな私が、2010年3月の人間ドッグの結果で、突如、がんであることを宣告されました。余りにも突然のがんの宣告、そしてすぐ手術をしなくてはと言う医師の言葉で、私の頭は真っ白の状態になり、恐怖の世界に滑り落ちて行きました。手術をしなければ、死に至るとまで言われ、私には選択の余地は無く、手術を受け入れることにしました。

私は、がんを精神的に乗り越えるのに3年半かかりました。そして、その経験から、がん患者にとって一番辛い事は、死に直面したことから来る恐怖心であることに気付きました。がんに対する治療や薬は随分と改善され、部位にもよりますが、最近では、必ずしも不治の病という事ではなくなりました。しかし、それでもなおがんは、恐いものです。

医療面では医者に任すとしても、精神面で専門家にゆっくり自分の気持ちを吐露し、相談できる体制が、がん対策には一番必要だと身を持って体験しました。専門家の助言を受けたい、或いは、専門家にただ話を聞いてもらうだけでも良いから、不安な気持ちを聞いてもらいたいと言うのが、本音です。

そこで、私の経験からも、がん患者にとって一番必要な事は、相談支援体制を拡充して頂くことだと思っていますが、県当局のご所見をお伺いします。

【答 弁】

(2) がん教育の推進について

現在、がんがこれほど大きな社会問題となっている現状で、私はがん教育を学校現場で取り上げる必要があると思っています。

エイズ問題も学校教育に取り入れ、成果が出ているように、がん教育を是非

学校教育に取り入れ、がんについての理解を子供の発達段階に応じて深め、主体的な健康づくりに取り組む力を育成することが、学校教育に求められていると考えます。

そこで、がん教育への取り組みについて教育委員会のご所見をお伺いします。

【答 弁】

小池 ひろのり

(選挙区:神戸市中央区)

(永富 正彦 議員)[発言方式:一括]

1 兵庫のゆたかさ研究会の設置について
2 福祉人材の育成と確保について
3 ため池の整備と保全について
(1)老朽化・耐震対策について
(2)ため池保全に関する今後の取り組みについて
4 農地中間管理事業の推進について
5 空き屋対策について
6 教育新時代に向けての若手教職員の育成について

質問全文

第324回 2014年9月定例会 一般質問原稿

質 問 日:2014年 10月1日(水)

質 問 者:永富 正彦 議員

質問方式:一括

民主党・県民連合の永富でございます。何とか無事でいてほしいという願いもかなわず幼い命が奪われた長田区の事件は、やりきれず胸が痛みます。ご冥福をお祈りし、2度と再びこのようなことがない事を願いながら、6項目7問について、質問いたします。

1 兵庫のゆたかさ研究会の設置について

政府は6月に閣議決定した、経済財政運営の指針「骨太方針」や新たな成長戦略にあたる日本再興戦略改訂版等において、企業の「稼ぐ力」を前面に大きく打ち出した経済政策を発表されました。我が国の豊かさはまさに経済力によるものであるため、経済成長には企業の「稼ぐ力」が必要であることは言うまでもありませんが、一方で、中産階級の不平等さを表すと言われるジニ係数が1981年の0.3317から2011年には0.3791と上昇傾向にあり、人々の生活に少なからず格差を生じさせ、老後破産や子供の貧困率が2012年には16.3%と過去最悪となるなど、新たな課題も生じていると考えます。

そのような中、我が国は、ブラジルワールドカップでサポーターがゴミ拾いをして帰る姿や、東日本大震災時に整列して物資等の配付を待つ姿などが全世界で報道され、日本文化に対して全世界から高い称賛を得ているほか、イギリスの公共放送であるBBC放送が行った世界に良い影響を与えた国の調査で2012年に1位になるなど、常に上位となっています。私は、このような日本の良さを、もっと前面に出した方針も必要ではないかと考えます。

また、この6月、骨太の方針の閣議決定では、50年後の人口を1億人程度とする目標が盛り込まれたほか、地域活性化に取り組む「地方創生本部」の新設も発表されました。それを受け、先般の安倍改造内閣では、その目玉として人口減対策と地方再生の司令塔となる「ひと・まち・しごと創生本部」が設置されました。そういう中、本県では、「地方中枢拠点都市」のモデル都市に姫路市が選定され、周辺の8市8町に及ぶ圏域全体の経済成長を牽引する「はりま・ものづくり力」の強化などに取り組むこととしており、地域にとっては将来に向けての一つの明るい材料として期待されています。

人口減少や少子高齢化、格差問題から生じる子供の貧困問題など、長期的な見通しから生じる課題は多様であり、それぞれに対する効果的な対応策はなかなか見つからないのが現状であるかと考えますが、先に述べた日本の良さと同様に、兵庫の良さというものを大切にした取り組みが今後の兵庫県を考える際に重要と考えます。

そこで、県では兵庫のゆたかさ研究会を設置し、2040年の兵庫のゆたかな社会の姿について調査・研究を行うとされているが、知事は同研究会設置に当たって本県のどのようなものに夢を描き、2040年に向けた可能性に期待を感じておられるか伺います。

2 福祉人材の育成と確保について

国立社会保障・人口問題研究所将来推計人口結果に基づく兵庫県分概要報告によりますと、2015年の県内の75歳以上の人口は約71万人、2020年には約83万人、2025年には約97万人と、人口全体が減少傾向にある中、着実に増えていくと推定されています。

そういう中、高齢者福祉の推進においては、地域包括ケアの推進により在宅での生活を支える取り組みを推進しているものの、介護保険施設等への需要は依然として高いものがあります。そのため、福祉サービスの多様化も相まって、ニーズに的確に対応できる質の高い介護人材の育成・確保が求められているとともに、福祉関連職種の有効求人倍率は他産業に比べて高い水準にあることからしても、介護現場での人材確保は喫緊の課題であります。

さらに、児童虐待、こどもの貧困、所在不明の子供など、次代を担う宝とも言える「こども」にも様々な社会問題が山積しており、そのような状況の中、保育現場における人材不足も深刻であります。介護現場同様に多忙な保育の現場は大変であるため、結婚や出産を機に保育所を退職してしまう人が多く、なかなか定着せず、補充も難しいという現状にあります。

厚労省の予測では、このままの状態が続けば、2017年度末には全国で約7万4千人の保育士が足りなくなるとも言われており、特に、本県の神戸・阪神間では、新規保育施設の増加や待機児童解消対策も合わせて、保育所等での人材不足に拍車がかかっている状況にあります。保育現場の人材確保もまた喫緊の重要課題であります。

このような福祉現場の現状を改善するには、長期的に福祉の仕事に対する社会的評価を高めていくことが不可欠であります。加えて、地域住民や次代を担う子供たちが、福祉を身近にとらえ、お互いの存在を認め合い、共感できる力をはぐくむための福祉教育や福祉体験活動の推進を図ることが、住みよい地域社会づくりを進めていくことになると信じます。

また、県では、いわゆる団塊の世代が75歳を迎え、要介護人口がピークを迎えるとされる「2025年問題」に対応するため、全国的にも先導的な福祉人材の実数調査を行い、需要と供給を推計し、人材確保目標数を設定することとされています。それをもとに今後の人材確保対策を検討するとのことでありますが、何よりも人材確保・育成のための中長期計画を策定し、計画的に取り組んでいくことが望まれます。

そこで、県として、今後、福祉現場の人材確保と育成にどのように取り組んでいこうとされているのか、福祉人材実数調査の進捗状況とあわせてお伺いいたします。

3 ため池の整備と保全について

(1)老朽化・耐震対策について

降水量の少ない地域で農業用水を確保するために設置された農業用ため池は、造られてから100年を超えるものも多く、築堤などの構造がわからないまま老朽化が進んでいる状況にあります。

加えて、平成23年3月の東日本大震災で農業用ダムが決壊し死者が出るなど大きな被害があったことから、国はため池の点検制度を創設し、全国の自治体で一斉に点検が進められています。

県は独自で実施していた定期点検にこれらの制度を活用し、老朽度等の調査を進めている。点検対象約9,800箇所のため池のうち、平成25年度末までに約4,800箇所を点検し、その約1割で漏水対策等が必要との結果が出ています。

また、耐震調査は、規模の大きなため池約600箇所を対象とし、平成25年度末までに調査した約300箇所のうち、約半数が耐震性不備という結果が出ています。

本県においては、定期点検と耐震調査の結果、「改修が必要である」「耐震性が不備である」と診断されたため池のうち、特に緊急性の高いものから順次整備するとしています。

しかし、8月の豪雨災害などを踏まえると、近年は台風等に関係なく、前線の停滞や大気の不安定な状態でも局地的な豪雨や記録的な長雨が生じる状況にあり、ため池の点検や対策をさらに急いで取り組む必要があると考えます。

さらに、マグニチュード8以上の地震が30年以内に70%程度の確率で起こるとしている南海トラフ巨大地震等への対策として、ため池の耐震調査と必要な対策が急がれることは言うまでもありません。

そこで、今後、ため池の老朽化・耐震対策に県としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

(2)ため池保全に関する今後の取り組みについて

ご存じのとおり兵庫県のため池数は約3万8,000箇所もあり、日本最多であり、古くから重要な農業用水源としてはもとより、豊かな自然を育むとともに広がりのある水辺空間の提供など地域の財産として人々に親しまれ、地域の憩いの場となっています。

例えば、東播磨地域で進めるいなみ野ため池ミュージアムの取組みは、このようなため池を地域の資源として利活用するために、ため池管理者と地域住民からなる約60ものため池協議会を組織し、自然保護グループなどの参画も得て、約180に及ぶため池の保全とその活用によるふる里づくりに大きな実績と成果を積み重ねてきた。この取り組みも、平成24年度で10年が経過し、ひとつの節目を迎え、今後はため池協議会等のサポート体制の強化をはじめ、さらなるため池の魅力づくりへ展開しようとしています。

また、ため池は本県が進める総合治水の面から、校庭や公園などとともに流域対策施設に位置づけられており、近年頻発するゲリラ豪雨時等の雨水を一時貯留し、浸水被害から地域を守るための貯留施設としての機能が注目されています。

加えて、国の再生可能エネルギーの導入促進の政策に伴い、ため池の水面を活用したフロート式の太陽光発電施設設置の動きがあり、ため池固有の美しい景観が失われる懸念はあるものの、ため池の維持管理費の軽減にもつながることとして各所で見受けられます。

ため池は農業用水を確保するだけではなく、豊かな自然環境や広がりのある水辺空間など多面的機能のみに着目しても保全すべき有益な資源であることは間違いありません。今後、ため池の受益地である農地の減少、農家の高齢化や減少によりため池の良好な管理が困難となり、ため池が放置される可能性もあります。今はまだその必要性を迫られていないが、県として、ため池の持つ有益性を評価し、それに基づき保全していくことも重要であると考えます。

そこで、今後のため池保全に対する県の取り組みについて伺います。

4 農地中間管理事業の推進について

本県農業の持続的発展を図るためには、地域農業の核となる担い手を育成することが不可欠であり、具体的には経営能力と意欲のある農業者に農地の利用集積を図る必要があります。しかし、本県販売農家一戸当たりの経営耕地面積は0.86ヘクタールと全国平均の1.96ヘクタールの半分以下という状況にあり、本県農業の持続的発展にとって農地の利用集積による経営規模の拡大が喫緊の課題となっています。

そこで、国の農政改革の一環として、農地の有効利用の継続や農業経営の効率化を進める担い手への農地の集積・集約を推進するため、「農地中間管理事業」が本年度からスタートされました。本県では公益社団法人兵庫みどり公社を「農地中間管理機構」に指定し、農地の借受・貸付を促進させることとしています。

同機構がこれまでに行った2回の借受希望者の公募では、合計336経営体から8463ヘクタールに上る借受希望の応募があり、機構による10年間の借受・貸付面積目標2万5千ヘクタールの達成に向け、予想を上回る好スタートきったと言えます。

一方で、借受・貸付のマッチングを行い、実際に貸付を行った状況は、5経営体に39ヘクタールと聞いており、経営規模拡大に対する意欲的な農業者が多い中、マッチング及び貸付のさらなる推進が望まれます。

そこで、農地中間管理事業の現状とマッチング推進に向けた今後の課題への取り組みについてお伺いします。

5 空き家対策について

先般、総務省が発表した平成25年住宅・土地統計調査の速報集計によりますと、昨年10月時点の全国の総住宅数は6,063万戸と前回5年前の調査から305万戸増える一方で、空き家数も820万戸と63万戸増加し、空き家率は13.5%と過去最高となりました。

また、日本の総世帯数についても、一人暮らしが増え続けているものの総人口は減少してきており、総世帯数も今後減少が見込まれていますが、裾野が広い住宅産業においては経済への与える影響を期待され、新築抑制は困難であり、さらに空き家は増えていくとの報道もされています。

このような状態を放置していくと、荒廃による景観の悪化や敷地内へのゴミの不法投棄、老朽化放置による災害時の倒壊などの恐れがあるほか、管理がおろそかになることから不審者の侵入などにより治安の悪化が懸念されます。このことについては、昨年6月の我が会派の代表質問でも山本議員が指摘致しましたが、深刻な問題が各地で顕在化してきている状況にあります。

しかし、行政としては個人の持ち家である民間の住宅問題に直接介入することは困難でありますが、いかに空き家を有効活用し、需要者とマッチングしていくかが課題であります。

そういう点においても、県では、中古住宅の流通促進に取り組む民間団体を支援したり、空き家ストックの活用のための古民家再生の促進を進めながら、平成26年2月には空き家対策ガイドラインを策定し、流通・活用の促進に加えて、最終的な適正管理・除却も含め、体系的な取り組みを進めています。

兵庫県の空き家率も平成20年で13.3%と全国同様に高い状況にあり、そういう状況のもと、多くの市町が空き家情報を収集し、ホームページ等で発信する空き家バンクの取り組みを行っており、行政自らマッチングに努めているところもあります。

さらに、市街化調整区域における農家用住宅の空き家では、活用上の制約も多くあり、流通を妨げている現状もあります。

そこで、市街化調整区域における現状と課題への対応も含めて、空き家対策における流通・活用の促進の取り組みの現状と成果、そして今後の課題をどのように認識しているか伺います。

6 教育新時代に向けての若手教職員の育成について

自治体の教育委員会制度を改革するための改正地方教育行政法が成立致しました。2015年度から現行の教育長と教育委員長を統合した新「教育長」の創設や、首長が主宰する総合教育会議が設置され、首長の権限が強化されることとなります。まさに、日本の教育の新時代のスタートとも言える改革となると考えますが、この機会に、将来の兵庫の教育を担う若手教職員の育成についてお伺い致します。

文部科学省が8月4日に発表した学校教員統計調査の中間報告によりますと、調査を始めた1977年以降初めて、小学校、中学校、高校すべての校種の教員の平均年齢が前回調査より低下し、小学校は44.0歳、中学校は43.9歳、高校は45.3歳となったとの報道がありましたように、大量採用層が退職期を迎えております。そのため、平成12年には210人、平成13年は215人と過去最低レベルにあった新規募集人員も、その後、大量退職に備えるため、順次増加し、平成22年には1,049人となり、以後6年連続で1,000人を超え、来年度は1,240人となっており、今後も、教職員の若返り傾向は続くものと考えます。

さらに、教職員の多忙化の状況は、(我が会派の小池議員も先日の一般質問で指摘したとおりであり、)改善の傾向が見られているとは言い難い状況にあり、教育現場においては、若手教職員も従来以上の活躍が期待されるところです。

従来であれば、それぞれの教育現場において、中堅・ベテラン教職員から十分な指導を受けながら、指導力が育まれてきたと思いますが、多忙化の現状や業務のIT化に伴うコミュニケーションの減少などに伴い、教育現場における若手教職員の育成・研修機能は低下していると考えます。

このような現状の中で、様々な課題に中堅・ベテラン教職員と同等に取り組まなくてはならない若手教職員のメンタルによる休職や病気休暇も増加していると聞きます。若手教職員に対するしっかりとしたフォロー体制も含めた育成プログラムが必要と考えます。

特に、2012年民主党政権下で小学校1、2年生までを35人学級とすることが実現しましたが、それに加え本県では2008年から3、4年生まで35人学級とされるなど、教育立県兵庫の面目躍如たるものがありました。

そこで、教育改革の大きな変革を契機に、教育立県兵庫として教職員の若返り傾向の中、若手教職員の育成にどのように取り組んでいこうと考えているのか伺います。

永富 正彦

(選挙区:加古郡)