決算特別委員会 [ 10月19日(金)病院局・盛委員〔民主党・県民連合〕 ]
まずは、2年連続で黒字達成が出来たことは、喜ばしいことであり、皆さんのご努力に感謝申し上げる。
病床利用率が前年実績より0.5ポイント減少、計画値に対し1.6ポイント低かったことなどの改善を要する箇所はあるが、当年度純利益が約9億4,600万円、加えて退職給与引当金約15億7,000万円を計上することが出来た。この数字を加えた約25億1000万円の当期純利益は23年度の計画値を上回ることになる。
一般会計繰入金があるとは言え、今後しばらくは、このようにある程度の黒字を確保できそうな状況にある今、改めて関心を払っておきたいこと2項目について、お伺いする。
1 指定管理者による県立病院の運営について
はじめに、指定管理者による県立病院の運営について、お伺いする。
指定管理者制度に疑義を唱えるものではなく、県民の命、心身の健康を預かる病院局だからこそ、運用について気に掛けていることがある。
指定管理者に管理運営を委ねるということは、人事管理を含め協定で定めた業務内容については任せることができ、その分病院局の負担を減らすことができる。
その反面、指定管理者というフィルターを通すこととなるため、患者の満足度や指定管理業務に従事する職員の仕事に対する満足度、経営上の課題などについては、設置者である病院局からは見えにくくなったということでもある。
病院局も指定管理者もお互い目指す所は、診療・治療が患者や家族に満足してもらうことであり、大きな利益は出なくても、必要な利益を確保したいと願っているところである。
一般的に、公の施設において指定管理者制度を導入した当初は、同じ思いを共有しながら始めるため、良好な関係が続くが、年数を経るにつれて、指定管理料の交渉の中で不満が残るようになる。
例えば、①設置者である病院局は厳しい財政状況であることに加え、管理料の範囲内で運営上黒字になっていれば良いと言うことで、指定管理料を少しでも減額したいと要求が出始める。②しかしながら、指定管理者は、患者数の増加が見込めないなか、収益を上げるためには、顧客単価を上げていく努力をするが、それにも限界がある。さらに医師や看護師をはじめ人件費は勤務年数の長期化などにより増えていく。③指定管理者が、必要な利益を出すために、費用抑制を行えば、医師・看護など現場側から不満が出始め、離職が増え始めるなど患者への対応にも影響が出て、良くない噂がささやかれるようになる。その結果、患者満足度が下がり、患者数がより以上に減少し、その結果収益悪化をはじめとした経営上の問題点が顕在化していく、というように悪循環に陥るようになる。
以上のように収益が悪化しているにもかかわらず、指定管理料が削減されるという事態に陥らないよう、病院現場の管理運営の実態を指定管理料に適切に反映する仕組みが必要である。他の公の施設とは異なり県民の命を預かる県立病院にあっては、なおさら重要視すべき点である。
そこで、指定管理者による県立病院の運営を安定的に行うことができるよう管理運営業務の実態を適切に把握し、指定管理料に適切に反映する仕組みが必要であると考えるが、当局のご所見をお伺いする。
2 患者満足度について
次に、患者満足度についてお伺いする。
病院局における様々な経営改善の取り組みが功を奏して、医業収益が平成14年度に比べると1.27倍に増加し、2年連続で黒字を確保することが出来た。
当然のことではあるが、高度医療を提供していくには医療機器も随時更新していくことが必要であり、費用についても平成14年度に比べると1.21倍に膨らんでいる。
一方で、患者数については県立病院のうち半数の病院の患者数が減少あるいは横這い傾向にある中、平成14年度と比べて、入院患者1日1人当たりの単価は、1.53倍、外来患者1日1人当たりの単価についても1.58倍となっており、いずれも大幅に増加している。
しかしながら、消費者物価指数が平成14年度に比べると0.99倍で、この10年間若干の減少傾向を示していることや、長引くデフレ不況の状況を鑑みると、今後、診療単価を高めていくことには一定の限界がある。
さらに、今後、人口減少していくことを踏まえると、患者数の増加も見込むことはできず、いくら県立病院が高度医療を担っているからとはいえ、経営を取り巻く環境は、今後ますます厳しい状況になっていくものと考えられる。
監査委員からの決算審査意見書には、1人1日当たりの入院収益が増加した主な要因として、平均在院日数の短縮化等による入院料の収入増等と、記されている。
患者にとって、短期間で退院できることは、仕事や家庭生活など日常への復帰が早いことに依り、再び収入確保が可能になる、入院費用が軽減される、家庭で過ごすことに依る精神的負担の軽減など、喜ばしい面がある一方で、体調面をはじめ、退院に不安を抱いている患者にとっては、退院後の通院をはじめとして身体的・精神的負担が残る場合もある。
看護・介護をはじめとする家族などへの負担増、全体の治療期間が長引くのではないかと不安を抱くなど、退院に際して、患者側の状況を把握し患者が安心して治療に望めるよう、患者の意向を把握していくことが必要である。
そこで、以上の点を踏まえ、患者満足度の把握をこれまでどのように行ってきているのか、その対応状況と併せてお伺いする。