議会の動き

前田 ともき議員が質問(教育委員会)を実施

平成30年度決算特別委員会(教育委員会)

日 時:令和元年10月16日(水)

質問者:前田 ともき 委員

1 学校ルールと生徒指導のあり方について~ブラック校則の撲滅~

ブラック校則というキーワードを最近見聞きします。

学校には校則や生徒手帳など明文化されたものから、部活動や教師の指導など様々なルールがあります。私が最初に問題に気づいたのは、ある高校の卒業式への参加です。訪問前に学校情報を調べておこうと高校名でネット検索してみると、口コミサイトにたどり着きました。

そこには保護者からの「真冬にセーター着用禁止ってありえない」の声が多数。

このような、理不尽・社会常識から乖離した校則は他にも指摘されています。

例えば、防寒用のタイツやマフラーの禁止や下着の色指定、地毛が茶髪の生徒に対する黒染め強要は裁判に発展しました。

小学生が10数キロのランドセルを背負った通学は昨年、文科省の通知でようやく携行品の重さや量への配慮されたばかり。校風・風紀・教育的配慮など様々な観点から当然必要なものではあります。学校ごとに違っていいでしょう。

しかし、一部の学校・一部の教師の校則や独自ルールが生徒を過度に萎縮させていないでしょうか。29年前に起こった校門圧死事件も忘れてはいけません。

文科省の全国の不登校に関する平成29年度の実態調査では、不登校の3.8%は原因が「学校のきまり」。高校生の不登校は5万人弱なので学校のルールが原因で不登校になる生徒は1800人と推定されます。無視できる数字ではありません。

国連子どもの権利委員会は日本政府に対し、学校制度への子供が参加する権利や意見の尊重が限定的になっている懸念を勧告しています。

校則などのルールは、一定の合理性や納得感、決定プロセスへの生徒・PTAの参加が必要です。校則がいやなら入学するなという声もあります。

しかし、国立教育政策研究所の調査では6割超の学校が就学段階で校則や指導基準を伝えていない。としています。校則や生徒手帳など明文化されたルールは学校HPなどで公開し、PTAや受験生向けに広報する仕組みが必要です。

そこで、県教委として県立高等学校の校則などのルール策定・運用の妥当性や教師の指導状況の問題点をどのように把握し、是正しているのか教えてください。

また、これらに対してガバナンスを利かせ、学校・生徒・保護者が納得感ある、校則や生徒指導の運用を図るためには、校長・PTA・生徒会が年に1回議論する会議体が必要と考えますが所見を伺います。

2 病気療養中の児童・生徒に対する学習支援について

先日、お子さんが闘病のため県立こども病院に入院されていた方からご相談を受けました。

中学生の時に病気が発覚し、入院。しかし、一年遅れたものの無事に高校に進学されたそうです。

そこで伺ったのが、高校生に対する学習支援の不備。義務教育である小中学校と比べると高校の学習支援には様々な課題があります。98.8%の高校進学率とすると、小中学校と同等の支援が当然ではないでしょうか。

例えば、昨年9月。小中学校の病気療養児は同時双方向型の授業配信を一定要件の下で指導要録上「出席扱い」とし、評価に反映できることになりました。病院のクリーンルームと学校を動画でつなぐイメージ。兵庫データ利活用プランでは、過疎地域同士をつなぐ遠隔授業の調査研究を実施していますが、病児に対する学習支援こそ必要ではないでしょうか。

厚労省は今年小児がんの調査を初めて実態調査に乗り出しました。不妊リスクの説明や本人の就学状況、治療と教育の両立への配慮の有無などが対象ですが、遅きに失した感はあります。

2018年閣議決定のがん対策推進基本計画でも小児・AYA世代のがん患者サポート体制が不十分で、高校教育では取組が遅れている指摘がされています。

こども病院を運営し、今年がん対策条例を成立させた兵庫県。本県ではAYA世代、就学支援の独自性・先導的役割が求められます。

学習支援は教員派遣や遠隔授業など学校単位で実施していますが、県教委が小中学生向けも含めて課題を把握し、さらに学習支援を実施していく必要性を伺います。

3 学校での事故リスク軽減について~組体操・部活動など~

ブラック校則の調査をする際に、フェイスブック広告で事例を募集しました。その際に、校則を超える勢いで批判が多かったのが組体操問題です。

3年前の本会議で竹内議員が指摘をしていました。大阪経済大学の西山教授によりますと、2017年度の兵庫県の組体操事故は3年連続で全国最多です。特にハイリスクなのがピラミッドとタワーです。骨折等の全治一ヶ月以上の重傷事故発生率は1~2%。

例えば、柔道やアメフトなどの部活での事故発生は生徒の自発的意思で参加するため、善良なる注意者としての管理義務を果たしていれば、まだ理解できます。現実的に事故0にはできませんので。

しかし、全員参加強制の体育祭だとどうでしょうか。そこで発生した事故に納得感はあるのでしょうか。神戸市では小中学校で、過去3年間で123件の骨折事故が発生していました。神戸市長の再三の要請にもかかわらず、今年の組体操で6人が骨折とのこと。

もうこれは人災であり、犯罪。国家賠償法違反、民法の使用者責任を問われてもおかしくありません。県教委が保護者を代表して訴訟するレベルだと思います。

また、県立高校での全治1か月以上の重傷事故は平成28年12件、平成29年17件、平成30年13件あり、そのうち組体操による事故は平成30年1件発生しております。

そこで、平成28年3月に示された組体操についての県教委の方針以降、県下における事故発生はどのように低減してきたのか。また、部活動などの学校内における事故リスク減少に向けた取組を伺います。

4 美術品の購入・展示指針の必要性について

最近では古代中国鏡の寄贈に伴う考古博物館分館整備、今回も頴川美術館の寄贈に伴う補正予算案が可決されました。

県立美術館や博物館は寄贈の受け入れや美術品の購入を行いますが、購入金額や保管・管理費用は馬鹿になりません。学芸員の職務には収集・保管・研究などがありますが、単なるコレクターになっていないでしょうか。

購入に関して全体の指針はあるのでしょうか。購入の基準は適正なのか。過度の収集を行っていないか。しっかりと展示され、資産が有効活用されているだろうか。ガバナンスを利かせる必要があります。

年間の美術品購入額は5か年平均で約2千5百万円。所蔵作品全体の5年展示率は42.6%であります。県立美術館でいうと32億相当の美術品を保有しています。そして、5年間の常設展平均来場者はわずか5.4万人です。

もちろん、いつ行っても同じ展示品だとリピート客につながりませんし、休ませる必要がある作品もあるのは承知しています。しかし、この購入額を抑制すれば、県民にもっと見てもらえる施策も打てます。

私が提唱している美術館・博物館の月1無償化。県立美術館の場合は1日の入館収入が約2万円だから、無償化による入場者数の増加を加味しても、100万円程度の予算で県民誰もが無料で県立美術館を楽しめるチャンスを提供できます。

他の美術館への貸し出しも行なっていることは承知していますが、今後は購入を抑制し、貸し借りの強化で多様なコレクションを県民に提供する形の方がいいのではないでしょうか。

また、大阪府ではバブル期に購入した10億円の絵画が倉庫に眠っているそうです。兵庫県で一括仮受けしてはどうでしょうか。兵庫県立だからと言って、兵庫由来の作家に注力する必要はありません。

全国の倉庫に眠っているコレクションの展示ギャラリーとしての県立美術館もありではないでしょうか。これら点を踏まえた、購入・展示指針の必要性について伺います。

5 教職員公舎の廃止と福利厚生の最適化について

教職員公舎は不要ではないか。これが今回の問題提起であります。もちろん、福利厚生は必要で公舎もその一環。

しかし、学校の近隣に賃貸住宅がない一部地域を除いて、県教委が土地・建物を保有して公舎を提供する必要はないと考えます。

現在、賃貸住宅に住む職員は月上限2万8千円の手当、公舎に住む職員は御影の職員公舎だと63平方メートル。築年数26年で支払い賃料はわずか2万3千円。同エリアで同程度の家賃相場は8万円程度。

そして、職員が住宅を保有すると住宅手当はゼロ。資産形成において、持ち家は重要ですが逆インセンティブになっています。これって不公平を感じないでしょうか? 賃貸・公舎・持ち家と様々な福利厚生のあり方を1本化すべきでないか御所見を伺います。

また、現状の教職員公舎は339世帯、空室率は27.9%であります。今後の建て替えは反対しますが、既存住宅は有効活用すべきです。県・市町の職員はもちろん、県民も入居できるよう空室率低減に向けて努力すべきではないでしょうか。兵庫県全体の空室率は約2割であり、教職員が入居できなくてもバッファーは不要です。

そこで、新築・建て替えは今後行うべきでないと考えますが御所見を伺います。

さらに、既存施設の空室率低減に向けた取組状況、また、全職員が享受出来る手当への一本化のためにも公舎は廃止する必要があると思いますがいかがでしょうか。