議会の動き

徳安 淳子議員が一般質問を実施

第317回 平成25年2月定例会 一般質問

質 問 日:平成25年2月27日(水)

質 問 者:徳安 淳子 議員

質問方式:分割方式

以下、質問をいたします。なお、質問は分割方式により行います。

1 女性の活躍による社会の活性化について

質問の第1は、「女性の活躍による社会の活性化について」であります。

少子高齢化の進展や人口減少社会の到来に伴い、労働力人口が減少するなか、意欲ある女性が活躍できる環境を整備していくことは、労働力確保の観点のみならず、男女共同参画社会の実現や社会を活性化していく観点からも不可欠であります。

その中で、今回は女性警察官、女性消防団の2点について、それぞれお伺いします。

(1)女性警察官が働きやすい職場環境づくりについて

はじめに、「女性警察官が働きやすい職場環境づくりについて」お伺いします。

警察では、女性警察官の採用に積極的に取り組んでおり、平成14年度以降、毎年1,000人を超える採用を行っており、その数は年々増加しています。昨年度も、約1,200人が採用され、新規採用者総数の10.9%を占めており、昨年4月1日現在、全国の都道府県警察では、女性警察官約1万7,700人が勤務していますが、警察官に占める女性警察官の割合は6.8%に留まっています。

本県警察においては、「兵庫県警察における女性警察官の採用・登用拡大に向けた計画」に基づき、平成31年4月1日までに警察官に占める女性警察官の割合を9%とするべく、年間採用予定人数を50名程度に拡大しています。昨年4月1日現在では、801名が勤務し、その割合は、6.8%となっています。

また、女性警察官の幹部への登用についても、進めているといわれていますが、都道府県警察に採用され、警部以上の階級にある女性警察官は、昨年4月1日現在でわずか224名にすぎず、本県警察においても、現在6名しかいません。その内訳は警視4名、警部が2名であり、全警察官の0.05%、女性警察官の0.7%に過ぎず、女性警察官の幹部職員への登用は限りなく皆無に近い状況と言わざるを得ません。

女性警察官は、体力面で男性警察官には劣る面があることから、喧嘩の仲裁や交番や駐在所で夜間に一人で勤務出来るかといえば、難しい面はありますが、その一方で、性犯罪や電車内での痴漢などの被害にあった女性への事情聴取など、警察には、女性が行うことがのぞましい業務が数多く存在します。ましてや、逮捕された女性被疑者の身体捜検を男性警察官が行うことはできません。

女性に絡んだ事件に対しては、女性警察官による対応の方が望ましい場合が多く、DV・ストーカー・性犯罪を中心に、女性警察官の活躍が求められる場面は今後ますます増大していくことが見込まれます。

このように、女性警察官は、警察にとってまだまだ貴重な存在でありますが、警察現場を見渡してみると女性専用の仮眠室やシャワー設備を設置している警察署や交番は、非常に少なく、女性警察官の採用を積極的に進めようにも受入体制が整っていないと言わざるを得ません。今後は、少子化が進み、警察官希望者の減少が懸念され、能力・適性等を有する女性警察官の確保が困難になっていくことが見込まれることから、女性警察官が働きやすい職場環境を作っていくことが、女性警察官を積極的に採用し、登用していくうえで、真っ先に取り組むべき課題であるといえます。

そこで、女性警察官の特性を活かし、活躍の場を広げることが重要であると考えますが、女性警察官が活躍できるよう働きやすい職場環境づくりに向けてどのように取り組んでいこうとされているのか、現状抱える課題とともにお伺いします。

(2)消防団の充実について

この項目の2点目に、「消防団の充実について」お伺いします。

東日本大震災や一昨年の紀伊半島を中心に大きな被害を受けた台風12号災害における消防団の活躍は、記憶に新しいところであり、消防団が改めて注目される契機になったのではないかと感じています。

特に、大規模災害時には、構成員が地域住民である消防団は、地域の実情に精通しているうえ、動員力や即時対応の面で優れており、危険箇所の警戒や住民への避難の呼びかけ・誘導、さらには行方不明者の捜索活動にあたるなど、地域の安心・安全を確保するために欠かせない組織となっています。

しかしながら、既に周知の事実となっていますが、消防団員数は全国的に下降の一途をたどっています。昨年4月1日現在の県内の消防団員数は44,077人となっており、平成6年度と比較して、約7,200人、比率にして約14%減少しています。

また、少子高齢化の影響もあり、平均年齢も年々上昇しているうえ、消防団員に占める被雇用者団員、いわゆるサラリーマン団員の割合が約7割を占めており、被雇用者が入団し、活動しやすくなるよう活動環境を整えていく必要があります。

消防団は、災害の無い平常時においては、訓練のほか、応急手当の普及指導、住宅への防火指導、特別警戒、広報活動など多岐に渡っており、地域の防災リーダーとして幅広く活動し、地域における消防力・防災力の向上だけでなく、地域コミュニティの活性化にも大きな役割を果たしています。特に、昼間は男性が仕事のために留守の場合が多く、地域の安全を守っていく上で女性消防団員の役割は大きくなっています。また、一人暮らしの高齢者や寝たきり家庭等への防火活動など、各家庭への訪問による活動は、きめ細かな気配りができる女性団員の方がより適しているように思います。

これまでも、消防団へ女性の登用は積極的に行ってきており、本県では昨年4月1日現在386名の女性団員が活躍されています。震災前の平成6年の110名と比べて約3.5倍となっており、飛躍的に増えてはいますが、消防団員数に占める割合はわずか0.9%にすぎず、1%にも満たない状況であります。

私の地元尼崎市では、既に32名の女性団員が在籍し、市民の防火普及啓発を中心に活躍されています。また三田市では、昨年1月に女性消防団「三田ファイヤーレディース」が発足するなど、積極的な動きがある一方で、県下の21市町においては、いまだ女性消防団員の採用が無い状態が続いています。

今後、災害の形態が複雑化、大規模化していくことが見込まれる中で、消防職員のみで地域を守っていくことが困難な場合も十分に想定されることから、地域の実情を熟知し、動員力を有している消防団の活動がますます期待されるところであります。

そこで、消防団をより一層充実させていくには、女性団員をこれまで以上に積極的に確保していく必要があると考えますが、県内市町に対し、消防団の充実に向けて今後どのような働きかけや支援を行っていこうとされているのか、消防団における女性の役割と併せてご所見をお伺いします。

2 教育現場における諸課題への対応について

質問の第2は、「教育現場における諸課題への対応について」であります。

(1)体罰防止に向けた対策について

この項目の1点目は、「体罰防止に向けた対策について」お伺いします。

大阪市立桜宮高校で顧問教諭から体罰を受けた男子生徒が自殺した問題は、学校現場に重い課題を突きつけています。自殺原因は、暴行が起因しており、絶対に許されてはならない行為であります。また、その後の一連の報道で、体罰問題は桜宮高校に限らず、本県においても体罰が行われていた学校があったことが明らかになっており、誠に遺憾であります。

学校教育法第11条は、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。」と定められているとともに、同条のただし書きには、「体罰を加えることはできない。」と定め、懲戒が体罰に及ぶことを禁止しています。

戦前から現在に至るまで、わずかな期間を除いては体罰は一貫して、法律で禁止されており、教育関係者であれば、この規定はよく知っているはずです。にもかかわらず、「体罰に至る懲戒」は、無くなる気配が全くありません。

文部科学省は、2007年2月に「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」という通知を出し、その別紙として「学校教育法11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方」が示されました。その考え方の中には、「児童生徒に対する有形力の行使により行われた懲戒はその一切が体罰として許されないものではなく、教員が児童生徒に対し行った懲戒の行為が体罰に当たるかどうかは、当該児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する必要がある」とのことであります。「有形力行使による懲戒」が体罰に該当するかどうかは、「個々の事案ごとに判断する」とのことであり、タイトルのとおり「考え方」であって、現場の教員が判断できる「基準」といえるものにはなっていません。その後の2009年4月に出された最高裁判決も、この通知を追認しています。

毎日新聞が今月2日から3日にかけて、実施した世論調査によれば、体罰を「一切認めるべきでない」との回答が53%あった一方で、「一定の範囲で認めてもよい」との一部容認派が42%も占めていました。この結果からは、体罰を与えることが効果的な教育方法であるとの認識を持つ方が教員も含めて一定程度いるのではないかと推測させるものであります。

県教委でも一連の体罰事件の後、当該通知をもとに、体罰防止の徹底を図ったと伺っていますが、体罰問題を再発させないためには、「体罰に至る懲戒」がなぜ起こるのか研究し、予兆のある教諭に対して指導を行えるよう対策を講じていく必要があります。

そこで、県教委として最近の一連の体罰問題をどのように受け止めているのか、県教委として再発防止に向けて今後どのような方針で臨んでいこうとしているのか、教育長にご所見をお伺いします。

(2)問題行動への対応について

次に、「問題行動への対応について」お伺いします。

体罰教師の問題がある一方で、児童生徒に問題があるケースも相当あります。大阪市立桜宮高校の事件発生後、神奈川県小田原市の中学校では授業に遅れてきた生徒の入室を促した男性教諭が生徒から「死ね」「ハゲ」などの暴言を受けて、2年生の男子生徒16人を平手打ちする体罰事件がありました。

授業に遅れてきたうえ、教諭に「死ね」「ハゲ」などと暴言を吐いたとのことで、学校教育以前の問題であります。社会生活上必要な倫理観、道徳観などの本来家庭で行うべき教育がなされておらず、家庭での教育力の低下を如実に表しているものではないかと感じています。

学校では、教師の懸命な取組を行っているにもかかわらず、対教師あるいは生徒間の暴力行為やいじめ、施設・設備の毀損・破壊行為等は依然として多数にのぼり、一部の児童生徒による授業妨害等も見られます。もちろん、私の身近なところでも、学級崩壊の事例をよく耳にします。

度を超した不良行為やいじめ、あるいは周りに著しく迷惑を及ぼす行為に対して、教師が口頭で指導しても、全く埒が明かない場合、実際問題として、教師はどのように対応していけばいいのでしょうか。一定の有形力の行使を伴う懲戒が必要な場合もあるのが現実であるように思います。

先の小田原市のケースにおける平手打ちが、先ほどの質問で紹介した判例に照らして、本当に体罰に当るのか、いささか疑問に感じる部分もありますが、当該教諭は生徒や保護者に謝罪し、当分の間は教壇に立たないということであります。

有形力の行使が即体罰に繋がるものではありませんが、最近では、教師の体罰が過度に問題視されるようになってきていることと相俟って、現実的には、「有形力の行使イコール即体罰」という風潮が教師側にも児童生徒側も含め世の中全体に蔓延しているように思います。

児童生徒は、どんなに悪いことをしても先生が手も足も出せないことを見透かして、好き放題な行動を行い、教師は、どんなに酷い挑発やイジメ、暴言を受けても黙っていなければならない状況ではないかと感じています。

これでは、現場の教師は萎縮し、他の多くの児童生徒への教育の妨げになってしまします。現場の教師が、統一した見解で萎縮せずに毅然とした態度で指導にあたることができるよう教育委員会がしっかりと学校現場をサポートできる体制を整えていく必要があります。

そこで、問題行動が実際に起こったときには、十分な教育的配慮のもと、現行法制度下において採り得る措置である出席停止や懲戒等の措置も含め、毅然とした対応をとり、教育現場を安心できるものとしていただきたいと考えますが、本県における問題行動の現状及びその対応状況についてお伺いします。

3 山手幹線の大阪府側との接続について

最後に、「山手幹線の大阪府側との接続について」お伺いします。

この件については、一昨年の2月定例会の一般質問において、災害時には冠水するおそれがある国道43号及び2号の代替輸送手段として、山手幹線の大阪府側の接続が必要であることから、大阪府への働きかけについて、質問を行いました。

関西広域連合長でもあります井戸知事からは、「山手幹線と接続する三国塚口線の整備は、道路ネットワークの形成や広域的な防災上の観点から重要な課題である」と深い理解が示されるとともに、「県としては、今後とも迂回路対策を進めるとともに、尼崎市とも連携しながら、連絡調整会議などの場を活用して、大阪府側との早期接続が図られるように取り組む」とのご答弁がありました。

現在、大阪府側では、都市計画道路三国塚口線のうち都市計画道路穂積菰江線との交差部について今年度末の完成に向けて整備を進めています。しかしながら、兵庫県側が完成してから丸6年が経過しようとしていますが、接続部の対策としては、答弁にもありました大阪府域での迂回路対策についても進展がみられず、地域住民である戸ノ内の方は、苛立ちを感じています。

また、兵庫県側との接続部分である府道大阪池田線との交差部から西側部分については、阪急電鉄神戸線との立体交差計画や地元の合意形成に多くの課題があることから事業計画すら目途がたっていないとお伺いしています。

災害への対策が東日本大震災以降、特に急がれているところですが、災害は道路整備の完了を待ってはくれません。現在の迂回路も非常に狭く、地域住民は不安な日々を過ごしています。

大阪府は、「府県間との整備にあたっては、兵庫県側からの交通流入に対応するため、まずは、府道大阪池田線との交差部から東側の整備により交通容量を確保する必要があり、その後事業を進めていく計画である」としていますが、兵庫県側からの交通流入に対しては、交差する幹線道路でもある府道大阪池田線への迂回により十分可能ではないかと思われます。

地域住民にとってみれば、自治体の境界は生活するうえで、何ら関係がありません。災害発生時に備えて、隣接する自治体との連携を図っていくことは、大変重要であり、府道大阪池田線との交差部以東と並行して、西側部分についても、早期に事業化できるよう、大阪府に対して強く働きかけていく必要があります。

そこで、山手幹線の大阪府側との接続について、県として現状をどのように認識しており、今後、県として大阪府に対して今後どのような方針で臨んでいくのか、知事の決意とともに改めてお伺いします。