予算特別委員会質問(教育委員会)
平成25年3月13日(水)
私は、スポーツの役割が多様化し、総合的になっているとの問題意識のもと、昨年9月の本会議で、スポーツ行政の総合的な推進について知事部局に所管を移すべきと提言しました。
私がスポーツに期待する主な機能は「観光」と「健康づくり」です。先日の健康福祉部に対する部局審査の際、私は、健康寿命は介護費・医療費の削減に大きく寄与するという観点から、健康寿命の延伸とその方法策としてロコモ運動の推進を提言しました。要介護になる3大要因と言われる、メタボ・ロコモ・認知症のうち、メタボとロコモは日々の運動量が重要な指標となります。そして、その運動量の向上への処方箋がスポーツの推進であり、健康福祉部との連携が必要です。
今回は、50年ぶりに全面改正された「スポーツ基本法」に連動して、今後10年間の本県におけるスポーツ施策の基本的な考え方や具体的な方向性を示すため、昨年12月に策定された「兵庫県スポーツ推進計画」に基づいて、これから策定される具体の行動計画や今後の方針等を中心に、以下、お伺いしていきます。
1 成人のスポーツ実施者の増加について
最初の質問は、「成人のスポーツ実施者の増加」についてです。
政府は、スポーツ立国戦略において、成人の週1回以上のスポーツ実施率を約65%、成人の週3回以上のスポーツ実施率を約30%という目標をできるだけ早期に実現するとしました。兵庫県は、週1回以上が54.5%と全国平均45.3%に比べ高い状況にはありますが、諸外国との比較、政府目標の達成や生活習慣病の予防の観点からは、これからも実施率向上のための対策を打ち続けなければなりません。
そこでまず、本県における目標の設定及び目標達成に向けた具体の行動方針についてお尋ねするとともに、平成22年度県民スポーツ意識調査において13.4%の県民がまったく運動やスポーツをしていないと回答していますが、これらの方々についてどう対策に取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。
2 スポーツ実施率向上へ向けた民間事業者との連携について
質問の第2は「スポーツ実施率向上へ向けた民間事業者との連携」についてです。
兵庫県スポーツ推進計画では、基本理念の一番初めに「全ての県民がスポーツに親しめる環境づくり」が挙げられており、本県では先進的に全小学校区に総合型地域スポーツクラブ「SC21ひょうご」を設置し、全国断トツの設置状況を誇っております。
ただ、その一方で、指導者不足や多様なスポーツニーズに対する受け皿不足などの諸課題を考えれば、私は、総合型地域スポーツクラブだけではスポーツ実施率の向上に十分な環境整備を実現することは難しいと考えています。
この点、民間フィットネスクラブ、スポーツクラブにおいては、常に新しい設備投資やプログラムの開発を行い顧客ニーズに合った取組が日々進められております。また、介護分野においては、介護予防プログラムの開発、推進等で、行政と連携している例も多数あります。
そこで、スポーツ実施率向上に向けて、民間事業者との連携や、県内進出へ向けた支援を行うべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
3 学校スポーツ施設の一般開放について
質問の第3は、「学校スポーツ施設の一般開放」についてです。
スポーツ基本法でも、国立、公立の学校の設置者は、学校教育に支障のない限り、学校のスポーツ施設を一般スポーツのための利用に供するよう「努める」と明記されております。
全国的な傾向として、小中学校に比べ高等学校における一般開放状況が半分以下という現状があり、本県においても、県立高校では1校あたりの開放日数は年間26日と不十分な状況です。また、SC21ひょうごの活動拠点施設は、学校体育施設が約86%と大半を占め、全小学校区に配備されているにもかかわらず、県民意識調査で「身近に施設がない」という意見が多いのは、日数や時間帯、利用用途が限られる、特定グループが占有している、つまりハード・拠点としてはあるがソフトが使いづらいといった点に原因があるものと思われ、その改善に取り組むべきです。
そこで、県下における昨年度の学校スポーツ施設の一般開放状況についてお伺いするとともに、県立高等学校を含め、更なる一般開放向上に向けた改善策について、ご所見をお伺いします。
4 部活動への外部指導者派遣の更なる推進について
質問の第4は、「部活動への外部指導者派遣の更なる推進」についてです。
目的を効率的に実現するため、外部リソースを有効に活用することはどこの組織でも行っていることであり、行政分野でも市場化テストや民間活力といったキーワードのもとで様々な取組が進められて来ました。
学校においても、既に出前授業は各地で普及しつつあり、最近も県下の高校で社会保険労務士の出前事業が行われ、好評だったと伺っております。
しかし、私は、本来は部活動こそ、もっと民間の外部リソースを有効に活用すべきだと考えます。
教職員にとって、部活動は教科指導や校務等の業務とは性格が異なるにもかかわらず、競技経験がないまま運動部顧問となる、多様な業務の中で過重負担といった様々な問題が生じております。また、昨今、社会問題化している体罰問題にも、学校の閉鎖性や部活動における適切な指導ノウハウの欠如といった点が要因の一つにあると思われ、これらの問題解決につなげるためにも、部活動における外部指導者の更なる活用を推進していくべきだと考えます。
子供達にとっても、高度な技術を有した人材から指導を受けることは、技能面の向上のみならず、夢や憧れといった心理的な効果、顧問不足による廃部リスク排除という点からもメリットは大きいと言えます。
進学塾と連携した有料事業「夜スペ」で有名な杉並区の和田中学校では、公立中学としては日本初、部活動指導者の民間からの受入を昨年開始し、区は2013年度から区内23校のうち11校でモデル事業を実施します。香川県でも2010年度から中学・高校の部活動に地域のプロスポーツチームから選手を派遣する事業を始めております。
そこで、本県においても、児童生徒を対象としたスポーツ教室に国や県の体育協会を窓口として元オリンピック選手やプロスポーツチームからの派遣を一部実施しているとのことですが、トップスポーツと地域スポーツの連携が求められる中、その取組を更に拡充強化するなど、部活動における民間コーチやプロ選手といった外部指導者の更なる積極活用を推進していくべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
5 ワールドマスターズゲームズの誘致について
質問の第5は、「ワールドマスターズゲームズの誘致」についてです。
東京が2020年のオリンピック誘致に向けて熱く燃えていますが、実は、ここ兵庫でも誘致できる可能性がある「オリンピック」があります。それが、ワールドマスターズゲームズです。
4年ごとに開催される中高年のための世界規模の総合競技大会であり、能力を問わず、ビギナーでもスポーツを愛していれば参加できるという、シニア版「オリンピック」であり、前回の2009年のシドニー大会では、95か国から約2.8万人が参加しました。このワールドマスターズゲームズの誘致は、県民への生涯スポーツの意識づけにも効果があり、兵庫県スポーツ推進計画の重点目標5に挙げられている「(4) 国際競技大会等の招致・開催等」「(5) スポーツツーリズムに係る交流及び推進」にも資するものと言えます。
また、経済面においても、スポーツコミッション関西の試算では、仮に神戸開催が実現すれば、必要経費20億円に対し、海外からの誘客5.4万人、国内宿泊2.2万人が生じ、経済波及効果は71億円、雇用創出は1日13万人とされています。
2021年開催分の誘致に関して、国際マスターズゲームズ協会事務局側から関西広域連合に提案があったとのことであり、経済性も踏まえながら、本県も積極的に誘致に取り組んでいくべきだと考えますが、ご所見をお伺いします。
6 性的マイノリティに関する教職員等への研修実施について
最後の質問は、「性的マイノリティに関する教職員等への研修実施」についてです。
昨年8月に閣議決定された自殺総合対策大綱には、「自殺念慮の割合等が高いことが指摘されている性的マイノリティについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて、教職員の理解を促進する。」とされております。
昨年9月議会における私の質問に対して、教育長から「性的指向については国の動向を注視しながら、必要な取組を行っていく」という答弁がありましたが、国の動向を免罪符にすべきではありません。また、先進的な自治体では、既に職員・教職員向けの研修やマニュアルに盛り込み、対策に取り組んでいます。
多感な時期の子供達に多く接する教職員に対しては、しっかりとした知識と正確な認識を持つための研修が必要不可欠です。
本年2月の毎日新聞での特集「同性愛のいま」の中で、「同性愛者って気持ち悪いよな」という男性教諭の発言が掲載されていました。昨年9月の質問でも指摘したように、教育現場で同性愛に否定的な内容を教えられた児童・生徒も一定割合存在します。
各種調査でも性的マイノリティは約5%存在すると推定されており、その方々は偏見により苦しんでおられ、自殺リスクが極めて高いと指摘されています。我々、政治家は、そのような苦しんでいる人々が胸を張って生きていける環境を整えていくためにいるのではないでしょうか。
そこで、子供達が夢や希望を持って過ごせる環境整備のためにも、まずは、児童・生徒と日々接する養護教諭を含む教職員、スクールカウンセラー等への研修強化が必要であり、これら教職員等を対象に行う人権研修に、性的マイノリティについての内容を盛り込むべきと考えますが、ご所見をお伺いします。