奨学金制度の充実を求める意見書
意見書 第63号
独立行政法人日本学生支援機構が所管する大学生等への奨学金制度は、いずれも貸与型の奨学金で、無利息の第1種と上限3%の利子付きの第2種がある。奨学金を利用している約4割の学生が同機構の奨学金制度を利用しており、平成24年度の貸与実績は、第1種が約40万2,000人、第2種が91万7,000人となっている。
しかしながら、近年、第1種、第2種とも貸与者及び貸与金額が増加する中、長引く不況や就職難などから、大学等を卒業しても奨学金の返還ができず、たとえ返還ができていても貯蓄にまで手が回らず結婚を先延ばしにする例もあるなど、生活に苦しむ若者が急増しており、24年度の返還滞納者数は約33万4,000人、期限を過ぎた未返済額は過去最高の約925億円となっている。
同機構は、返還が困難な場合の救済手段として、返還期限の猶予、返還免除、延滞金の減免、減額返還などの制度を設けるとともに、平成24年度からは「所得連動返還型無利子制度」を導入している。しかし、これらの救済制度は要件が厳しく、通常の返還猶予期間の上限が5年間であったり、精神障害による具体的な免除基準が示されていなかったりといった、さまざまな制限があるなどの問題点が指摘されている。
よって、国におかれては、大学生等が安心して学業に専念できる環境を作るため、無利息奨学金を拡充し、返還猶予期間の上限や所得制限の緩和など救済措置を実態に合わせて見直すとともに、欧米のような低所得者向けの給付型奨学金の創設に向けた検討を進めるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
平成25年12月13日
兵庫県議会議長 石 堂 則 本
介護職員の処遇改善を求める意見書
意見書 第64号
我が国の人口は、平成16年12月の1億2,783万人をピークに、平成62(2050)年には9,203万人にまで減少すると見込まれている。一方で、高齢化率は上昇し続けており、昭和25年の5%から平成24年には24.1%となっている。これに伴って、要介護高齢者の増加や介護期間の長期化等により介護ニーズが増大しており、介護サービスの役割がますます重要となっている。
さらには、認知症高齢者の増加や障害者の高齢化などにより、介護が多様化する中で、サービスの高度化が求められていることからも、介護人材の確保だけにとどまらず、質の高い人材養成にも取り組む必要がある。
しかしながら、業務の内容に対して賃金が低い、あるいは労働時間や勤務体制に不満があるといった処遇の問題、さらには、介護利用者やその家族等からサービスの範囲を超えた要求を強いられる場合もあるなど労働環境の問題等から、他の業務と比較して介護職員の離職率は高い傾向にある。
よって、国におかれては、将来にわたって安全で安心な介護を国民が受けられるよう、下記の項目に早急に取り組み、介護職員の処遇改善に努めるよう強く要望する。
記
1 国庫負担の引き上げ等による介護職員の適切な賃金水準の改善や質の高い介護人材の養成・確保、さらには労働条件の改善等に取り組むこと。
2 介護保険制度の趣旨や仕組み、サービスの内容について、利用者やその家族を初め広く国民に周知を図り、介護職員が働きやすい環境づくりに努めること。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
平成25年12月13日
兵庫県議会議長 石 堂 則 本