議会の動き

栗山 雅史議員が質問(決算審査・財政状況)を実施

決算特別委員会  [ 10月7日(火)財政状況・栗山 雅史委員 ]

1 決算審査の意義とその活用について

いよいよ本日から21日まで長い決算特別委員会が始まります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

これからの決算審査が実りあるものとなりますように、まず私から決算審査の初日、2番目の質問者として、決算特別委員会の序盤に相応しいような質問から入りたいと思います。質問は「決算審査の意義とその活用」についてであります。決算審査に臨むにあたり、当局の皆さん、そして決算委員の皆さんとも意識の共有、心合わせをさせていただきたいと思います。

さて、ご承知のようにこの決算特別委員会は、県議会が平成25年度の予算執行状況をチェックするために特別委員会として設置したものであります。県議会が主体的に設置したものではありますが、決算は地方自治法第233条に規定されておりますように、「地方公共団体の長は、会計管理者が調製した決算について、監査委員の審査に付し、監査委員の意見を付けて、議会の認定に付さなければならない」ことになっております。双方において、この決算審査に真摯に臨まなければならない、このように感じているところです。

では、これから進めていく決算審査はどうあるべきでしょうか。どのような視点で質疑をしていけば良いのか。何を確認していくべきなのか、いただくご答弁はどのように評価すれば良いのか。私はこの決算特別委員会が始まるまでいろいろと考えてきました。

私は自治体決算についての数冊の書物を手にし、「決算審査の意義とはどういうものなのか」ということを確認してきました。書物によりますと、「決算審査では、監査委員の審査・意見を踏まえた上で、議会が議決した予算がその通りに適正に執行されたのか、合理的に執行されたのか、事業計画はうまく進んだのか、議会の意思は尊重されているのか、住民福祉の成果はどうか、最小限の費用で最大限の効果をあげているのか、財政運営の健全化は保たれているのか、などを確認する機会」であるとありました。

決算特別委員会設置にあたっては、井戸知事からも「決算審査は、歳入歳出予算の執行状況や事業の成果を評価していただき、来年度の予算編成や今後の行財政構造改革の推進につなげていくための基本システムです。どうぞよろしくお願いします」との挨拶がありました。

これから決算特別委員会の委員の皆さんから、財政状況について、あるいは部局審査で各事業について、様々な観点で質疑がなされるかと思います。審査の初日、冒頭にあたり、「決算審査の意義とその活用」について改めて意識を共有するため、当局のご所見をお聞かせいただきたいと思います。

2 「兵庫のゆたかさ指標」の結果を踏まえた県の取組について

次に、県民意識調査「兵庫のゆたかさ指標」の結果を踏まえた県の取組について質問します。

この決算審査に臨むにあたって、私ども議員は県当局からいただいた決算資料を読み込むところから準備が始まります。先程の質問でも確認させていただきましたように、「議会が議決した予算が適正に執行されたのか、合理的に執行されたのか」という点が重要でありますから、それぞれの事業の効果・成果を知るために、決算資料の「主要施策の成果及び基金運用状況説明書」や「事務事業評価」などを中心に、平成25年度の予算執行の効果について確認をしております。

さて、まず「主要施策の成果及び基金運用状況説明書」についてですが、ここに記載されているものは平成25年度の約2,400事業のうちの165事業となっていますが、その中にある「事業実施の成果」の欄のことについてです。正直に申し上げて、事業実施したことだけを簡潔に書かれているので、その効果があまり読み取れません。この欄の文章の語尾は、だいたい「行った」、「実施した」、「推進した」、「開催した」、「検討した」、「運営した」などで終わります。一部には数値を用いた記述があるものの、これは単に「やったことの報告」でありまして、事業を実施した結果、県民の皆さんがどう感じたのか、県民の福祉は増進したのかなどの事業の効果はよくわからないと感じています。「事務事業評価」については、これは271事業を対象にされていますが、必要性、有効性、効率性などの評価結果を示し、今後の実施方針を記載しています。

しかし、これらは行政側の主観であり、自ら行ういわゆる「自己評価の通信簿」でありまして、県民からの「通信簿」ではありません。県民の受け止め方は十分に読み取れないのではないかと感じています。

そんな中、県民の反応や意識を知ることのできる資料があることに気付きました。「21世紀兵庫長期ビジョンの推進状況報告書」の中にある「兵庫のゆたかさ指標」という県民意識調査です。まさにこれが県民からの「通信簿」であり、事業効果の測定の一つになりうるのではないかと思いました。決算審査に相応しい資料だと思いました。

この調査では、県内の満20歳以上の男女の個人5,000名に対して、4つの社会像、12の将来像に分けられた55の質問をされています。今年の6月から7月に実施されたこの調査に2,051人の方からご回答をいただき、様々な調査結果が出ております。その中で、いくつかの項目で県民の意識、満足度が前年度よりも低下しているものがあったり、著しく低い数値のものがありました。

まず、大きく見ていきますと、12の将来像の1つ目の「人と人のつながりで自立と安心を育む」ですが、10点満点中7.12ポイントから7.01ポイントへ、-0.11ポイントのダウン。同じく8つ目の「低炭素で資源を生かす先進地を創る」でも、-0.05ポイントのダウンがありました。これは、「治安が良く安心だ」、「高齢者にも住みやすい」と答えた方の割合や、「再生可能エネルギーを導入したい・している」と答えた人の割合が減少していることが影響しています。

さらに細かく質問項目でみていくと、各質問の5段階評価のうちの上二つ「そう思う」、「まあそう思う」と答えた人の割合が資料に記載されているのですが、その中には、「そう思う」、「まあそう思う」と答えた人の割合がなんと最低で6%というものがあり、低い方から申し上げていくと、8.4%、10.1%、12.4%、13.7%、13.9%、14.8%という、非常に低い結果になった項目がありました。

それはどういう質問か、いくつかご紹介申し上げますと、6%だったものは「自分にあった職業への就職や転職がしやすい社会だと思う割合」、8.4%だったものは「年齢や性別を問わず、働きやすい環境が整っていると思う人の割合」、10.1%だったものは「若者が希望を持てる社会だと思う人の割合」です。この3つだけを見ていると、何となく若者や女性などの施策が十分ではないのかな、という印象を持ちます。

そこで、質問します。

決算特別委員会の設置にあたり、井戸知事から「平成25年度当初予算は、21世紀兵庫長期ビジョンの具体化に向けて、着実な一歩を踏み出すための予算として編成しました」とご挨拶がありました。平成25年度予算は、そんな知事の想いや、県議会からの重要政策提言や予算要望、多くの県民の声を聞かれて、政策・施策の取捨選択、そして事業化・予算化がなされたのだろうと思います。

21世紀兵庫長期ビジョンの具体化についてどうであったのかを示す「兵庫のゆたかさ指標」の結果を受けて、県としてどう取り組んだのか、またその結果をどのように評価をされているのか、お聞かせください。

3 不用額について

(1)発生理由の妥当性について

次に、不用額についてお聞きします。

先程の質問にも関連致しますが、決算において我々は、予算が付けられた各事業の執行状況及びその効果について見ていくわけですが、その中で、決算資料には各事業の執行残、不用額が記載されています。私はこの不用額がなぜ発生したのかについて確認してみたいと思いました。議決した予算が使われなかった理由、それはどのような理由によるものなのか。使われなかったことで県民にとって不利益はなかったのかなどについて、確認しなければならないと思いました。

不用額が生じる具体的な原因、事情については、いくつかあります。①予算の経済的、効率的な執行や経費の節約によるものや、②予算作成後の予見し難い事情の変更等によるもの、あるいは③予算上の見積りや想定が実情と合っていなかったもの、そして④職員の職務怠慢、などになるのではないかと思います。事業を進めていく各担当課には不用となった理由がきちんとあると思いますし、各事業における不用額の審査は部局審査に譲りたいと思いますが、私が質問したいのは、財政当局から見た各事業及び全体的な「不用額への評価」です。決算事務を進めていくと、「なんでこんなに余ったんだ」とか、「ギリギリまで使ったな。予算が足りなかったかな」などという感想もあろうかと思います。

さて、不用額の大きいものを例示したいと思いますが、例えば、項/水産業費の目/漁港建設費は予算現額の約21%、8億3,752万円を不用額としています。また、項/港湾空港費の目/港湾建設費も予算現額の約20%、17億443万円を残しています。良い悪いは別にして、こういったものはある意味目立ってしまいます。

不用額が大きい、小さいという額だけで、良いとか悪いとかを判断できるものではないということは理解しています。ですので、不要となったそれぞれの理由をしっかり確認し、妥当性を判断せざるを得ません。しかしその確認なんですが、決算資料を見るだけでは、我々にはその理由について読み取ることができません。ですので、現実的には担当課へ確認をさせていただくことになるわけですが、財政当局からは、この不用額はどのように見えているのか、気になるところです。財政全体を俯瞰する立場からどのような評価をするのか。

それでは質問します。まず、平成25年度に発生した一般会計、特別会計の不用額合計222億円余りについての財政当局の評価をお聞かせください。また、不用額の内訳、つまり発生理由にはどのようなものがあるのか、そしてその理由に基づく不用額の妥当性についても併せてお聞かせ願いたいと思います。

(2)予算節約インセンティブ制度について

また、平成21年度当初予算編成において、予算の使い切りを是正するため、予算執行段階での工夫改善・経費節約を進め、その節約額を翌年度の予算要求枠に加算する「予算節約インセンティブ制度」が創設されましたが、平成25年度の経費節約により、平成26年度当初予算の要求枠に上乗せされたものはどの程度あるのか、どの部署がよく頑張っているのかなどをお聞きしたいと思います。