地方財政の充実・強化を求める意見書
意見書 第11号
地方自治体は、子育て支援、医療、介護などの社会保障など、果たすべき役割が拡大する中で、地方版総合戦略に基づく各種施策の実施など、新たな政策課題に直面している。新たなニーズに対応するため、人材の確保とともに、これに見合う地方財政の確立を目指す必要がある。
6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」(「骨太方針2015」)において、政府は、目安として2018年度までの地方一般財源総額の確保を示す一方、高齢化による医療・介護・年金等に係る費用の自然増を5,000億円程度としたところであるが、2016年度の政府予算、地方財政の検討に当たっては、歳入・歳出を的確に見積もり、人的サービスをはじめとした社会保障予算の充実、地方財政の確立が求められる。
よって、国におかれては、早急に下記事項に取り組まれるよう強く要望する。
記
1 地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保を図ること。特に、「骨太方針2015」に「目安」として明記された地方一般財源総額の確保を、別枠加算を除き、確実に進めること。また、人件費削減など行革指標に基づく地方交付税の算定は、交付税算定を通じた国の政策誘導であり、このような算定を改めること。
2 急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障予算の確保と地方単独事業費も含めて地方財政措置を的確に行うこと。特に、高齢化による社会保障の自然増を地方財政計画に適切に反映させること。
3 法人実効税率の見直し、自動車取得税の廃止など各種税制の廃止、減税を検討する際には、自治体財政に与える影響を十分検証した上で、代替財源の確保をはじめ、財政運営に支障が生じることがないよう対応を図ること。
4 地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化を図り、市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握、小規模自治体に配慮した段階補正の強化などの対策を講じること。
5 地方財政計画や地方税制のあり方、地方交付税総額は国の政策方針に基づき一方的に決定するのではなく、国と地方の十分な協議を経た上で決定すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年10月29日
兵庫県議会議長 石 川 憲 幸