第325回 2014年12月定例会 代表質問
質 問 日:2014年12月5日(金)
質 問 者:石井 健一郎 議員
質問方式:一括
1 震災20年間の取組みと今後の課題について
平成7年1月17日午前5時46分に淡路島北部を震源地とした大地震により、阪神・淡路大震災が発生しました。
その被害は関西全体に及び、特に震源に近かった神戸市をはじめとする市街地の被害は甚大で、その映像は国内はもとより世界に大きな衝撃を与えることとなりました。
阪神間および淡路島の一部では震度7の激震が観測され、当時、戦後最大規模の被害であるとともに、都市直下型地震であったことから、甚大な人的被害と家屋の倒壊、また、道路・鉄道・電気・水道・ガス・電話などのライフラインの寸断等、広範囲において全ての機能を喪失しました。関西において大きな地震はないという誤った認識や、自然災害に対する政府をはじめとする当時の脆弱な備え等が結果として被害をより大きくした一面も否めません。この未曾有の大災害となった阪神・淡路大震災は、建物・ライフラインの耐震強化等をはじめ、わが国の自然災害に対する備えを大きく変えるきっかけとなったわけであります。
さて、来年1月17日に、阪神・淡路大震災から20年を迎えます。井戸知事は震災の翌年に副知事として就任されて以来、今日に至るまで創造的復興を目指して先頭に立って指揮をとってこられました。これまで経験をしたことがない都市型大規模災害でしたが、その後の復旧・復興の取組みは、防災・減災対策のモデルとして、我が県からも積極的に発信するとともに、東日本大震災をはじめ、国内はもとより世界各地で頻発する自然災害においても役立ってきたのではないかと考えております。
阪神・淡路大震災では、建物や鉄道、港湾など総額9兆9千億円にも上る被害を受けましたが、貝原前知事を本部長とする部局横断の阪神・淡路大震災復興本部を立ち上げ、その後の復旧・復興に当たっては、平成17年までの10年間を復興期間とする阪神・淡路震災復興計画を策定し、インフラの整備をはじめ、仮設住宅から恒久住宅への住み替え等の生活支援、被災地を中心とした中小企業・商店街等の活性化、さらには、被災者支援としてのコミュニティの形成支援、心のケアなどハード・ソフトの両面にわたって復興を進めて参りました。
この結果、被災地旧10市10町の推計人口は、平成13年11月には震災前を上回り、また、産業面でも被災地の総生産額は、17年度以降は震災前を上回るまでに回復しています。
一方で、この震災は「ボランティア元年」とも言われるとおり、被災地内外から多くの市民がボランティアとして様々な活動に従事し、住民同士が支え合う自助・共助の精神が芽生えました。この震災を契機として、ボランティアによる支援の輪は確実に拡がっており、その後も、全国各地で発生した自然災害や事故において、全国から多くの支援者が集まりました。
震災後10年を経て、復興の取組みを検証するフォローアップが行われ、高齢者の自立支援やまちのにぎわいづくりなど、より生活者の視点に立った支援を目指して参りましたが、20年が経ち被災地の様子は大きく変化し、震災時の面影は薄れ、新しい街づくりの段階に入っています。
被災地においては震災を経験していない住民が4割を超えるなど、記憶を風化させないためにも、震災での経験と教訓を将来へ伝承していく取り組みが求められています。
また、これまでの歩みを振り返りますと、知事が掲げた創造的復興を多くの方が評価する一方、必ずしも震災復興に資する施策ばかりではなかったのではないかという厳しい指摘もございます。
そこで、まず、この20年間の歩みはまさに今まで経験したことのない、手探り状態での苦難の連続であったかと思いますが、21世紀の成熟社会に相応しい復興を目指し、着実に県政を推進してこられた知事にこれまでの阪神・淡路大震災に対する取組みの総括としてのご所見をお伺いします。
さて、一方で、震災から20年が経過して、被災地の状況を見てみますと、全体としての人口や鉱工業生産指数など統計上では、震災前の水準を回復していますが、個別の地域単位で見ると、例えば、再開発によってかつての商店街等を中心とした賑わいや経済活動に変化が生じ、結果として全体の復興から遅れをとり、地域格差が生まれたことも否定できません。
また、復興公営住宅に暮らす被災者の高齢化により、介護が必要になる人も増えており、単身世帯の見守り活動や高齢者の生きがいづくり等、引き続き、きめ細やかな支援が必要であります。
このように、引き続き、対応していかなくてはならない課題は様々ですが、今後とも地域全体の活力を底上げして維持していくためには、これら残された課題に、どのように対応していくのか、あわせてご所見をお伺いします。
2 地方創生を踏まえた地方分権改革への取組みについて
国が最重要課題として位置づけている地方創生関連2法が先月21日に参議院で可決成立しました。まち・ひと・しごと創生法は、人口減少に歯止めをかけ、東京圏への人口の過度な集中を是正し、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことを目的として、国と地方公共団体の役割分担を明確にすることにより、地方の実情に応じた自主的な施策を推進していくこととしています。また、一方の地域再生法の一部改正法は、地方公共団体から国に対する新たな支援措置等の提案制度などが創設されたところであり、これらの法律に基づいて、地方が主体となって、更なる知恵と独創性を発揮して、活力を取り戻していかなくてはなりませんが、これは大変難しい課題です。
地方創生が国会議論の主要課題の一つとして取り上げられていることは歓迎すべきですが、今回の地方創生は国、地方のあり方を根本から作り直さなければ成就しないものであり、政府には明治維新直後のその時に必要であった中央集権体制を確立した明治政府が示したように国全体の体制を変える断固たる決意が求められます。
かつての竹下内閣時代、全市町村に1億円を配布して国の関与なしに各自治体が自由に予算を組めるふるさと創生事業を行いました。この事業はばらまき予算の批判も多くありましたし、その指摘は今振り返ってみても、やはり的を射ていると思います。その一方で当時は地方分権意識が低く、仕組みもなかったことを考えますと現在と比較することが必ずしも適切であるとは思ってはおりません。
今回の地方創生事業はある面、そのふるさと創生事業を現代版にリニューアルしたものとも言えますが、現在は地方分権推進法、地方分権一括法が成立するなど、制度面での推進体制は当時と比べて随分と整備されてきています。しかしながら、分権改革が道半ばの状況にある中で、今回の地方創生事業は、地方の疲弊が進んだ中であり待ったなしの状態です。また、当時と比較し国の財政状況が一段と悪化していることを考えると、交付金等の国の財源をあてにすることなく、このたび成立した法律とともに、その他の特区制度や権限移譲等の制度も最大限に活用しながら、地方自らが持続可能な将来のビジョンを描き推進していくことが必要です。
現在行われている衆議院総選挙の争点の一つでもある地方創生については、よほど万全な体制で臨まなければ、先のふるさと創生事業同様、来年の統一地方選挙に向けたばらまき政策との批判を受けることは免れません。
最近の地方分権改革の動きをめぐっては、一括交付金が廃止され、人事や予算の実質的な権限は各省庁に戻りつつあるなど、国主導の動きが見られる中で、人口減少時代にも耐えうる地方創生を実現していくためには、地方の主体性が生かされる事業としなければなりません。衆院選挙後の政府の決断が大きく問われるところです。
一方、当事者である地方自治体においても相当の覚悟が求められていることは論を待ちません。今まで、国に言われて様々な制度設計を構築してきましたが、これは地方自治体が国の補助金をとりやすい政策を重視してきたということであり、地方自治体の意向、県民の意向を重視してきたというよりも、自治体の各部局が、国の各省庁の意向をくんで予算取りをし、県の施策としてパズルのように組み立ててきたものであり、地方のニーズとは必ずしも一致していないといえます。
そこで、地方分権改革が新たな段階に入ろうとする中、これからの地方創生を踏まえ、強いリーダーシップを発揮し、さらなる地方分権に向けて、国の意向に左右されることなく、目指すべき兵庫の明確な姿勢を示していくことが、知事に与えられた大きな使命であり課題であると考えますが、ご所見をお伺いします。
3 災害時医療体制の充実について
地域医療を確保するためには、医師の地域偏在や診療科偏在を解消していくことが重要ですが、その一方で、災害時にも安心して医療の提供を受けられる体制を整備しておく必要があります。阪神・淡路大震災においては、必要とされた病院も倒壊や火災、また、インフラ機能の停止により、およそ半数が機能を停止し、病床の数が足りず、ロビーや待合室まで患者が溢れ、また、治療を行う医師の数も患者の数に対して圧倒的に不足していたことにより、医療の現場で大混乱が起こったことを私たちは忘れてはなりません。
今年8月に全国各地で発生した集中豪雨による土砂災害など、近年、大規模な風水害が頻発しており、また、今後30年以内に70%程度と高い確率で発生が予想されている南海トラフ地震などの地域、府県を越えた広域的な災害における医療提供体制を整備していく必要もあります。
県では、阪神・淡路大震災の経験や教訓を踏まえ、災害時の医療提供体制として、兵庫県災害医療センター及び神戸赤十字病院を基幹災害拠点病院に指定するとともに、2次医療圏域ごとに耐震耐火構造や資機材等の備蓄、応急収容のための転用スペース等を備える県立病院や市立病院等を災害拠点病院に指定して、傷病者の受け入れや医療救護班の派遣等を行っており、現在、県内には17病院が指定されています。
また、このほか、災害派遣医療チームが災害現場へ出動するための車両(DMATカー)の配備や、より広域的な災害を想定して、今年度から新たに災害時における重傷傷病者の搬送拠点として大阪国際空港や神戸空港など4カ所に広域医療搬送拠点臨時医療施設(SCU)の整備を進めています。
今年6月に県が発表した兵庫県南海トラフ巨大地震・津波被害想定では、死者数約2万9千人、負傷者数約3万4千人に上る人的被害が発生する等、阪神・淡路大震災をはるかに上回る被害が想定されており、短時間のうちにより多くの負傷者を収容し治療するためには、災害拠点病院を中心とする圏域内での医療機関の連携と役割分担、また、DMATカーやSCUを効果的に活用するための患者の搬送体制の整備などが必要です。
一方で、災害拠点病院とは別に、2次医療圏域ごとに設置している地域医療支援病院は、圏域内の病院や診療所の役割分担と連携を支援する中核的な医療機関として、県立病院や民間病院など27病院が指定を受けています。
医師の地域偏在や診療科偏在が課題となる中で、この地域医療支援病院を中心とする連携や役割分担は、一層重要になってきています。特に、産婦人科や小児科については、医師不足など医師や機器等の医療資源が限られていることから、圏域全体で医療資源の効果的な活用を図るための取組みが課題となっています。
先日の新聞で、10年後には全国26の県で産科医が減少するという報道がされていましたが、安心して子どもを産み育てる環境整備に欠かせない産科医の減少は、今後の少子化対策にとっても影響が懸念されます。
災害発生時には、かかりつけの医療機関が被災して、産科や小児科など診療科目によっては、圏域での適切な医療確保が困難になることも考えられることから、圏域における医療機関の連携と役割分担を推進するためには、例えば、地域医療支援病院と災害拠点病院の機能を併せ持つ拠点病院の拡充が必要であると考えます。
そこで、まず、今後の災害に備え、2次医療圏域を中心とする医療機関の連携と役割分担について、どのように対応していこうと考えているのか、当局のご所見をお伺いします。
また、今年8月31日に、阪神地域において、南海トラフ巨大地震を想定した合同防災訓練が県独自の被害想定発表後初めて実施され、医療関係機関として兵庫県災害医療センターや県立西宮病院などが参加して、DMATの搬送訓練やSCUの開設・運営訓練などが行われました。
体制を整備するだけではなく、災害を想定した実地訓練において、整備した災害時の医療体制が実際に機能するのか検証することこそが、一刻も早い負傷者を救護するうえで非常に重要です。
平時と異なり、災害時における負傷者の搬送や救護においては、自衛隊や警察、消防機関など様々な機関が関与することが想定され、これら関係機関との緊密な連携と的確な情報共有が欠かすことができません。
そこで、これまでの実災害での救援・救護活動や防災訓練を通して、被災負傷者の救護、治療に当たって、運用面における新たな課題も見えてきたのではないかと思いますが、その課題解決に当たって、当局のご所見をあわせてお伺いします。
4 人口減少時代に対応した地域産業の創出について
先月17日に内閣府が発表した7~9月期のGDP速報は、実質で前期比0.4%減、年率換算で1.6%減と残念ながら市場予測を大きく下回る結果となりました。今年4月に消費税率が引上げされて以降、増税前のかけ込み需要の反動減が影響し4~6月期に続くマイナス成長となったことで、上向きかけていた景気への影響も懸念されているところです。
個人消費の低迷が長引けば、企業の生産活動や設備投資が減少し、やがては雇用、個人所得に影響が出るなど、持続的な経済成長を目指す国の成長戦略路線に水を差すことになり、再びデフレ状態に陥る可能性も否定できません。
デフレからの脱却を目指すとする政府は、規制緩和や女性、高齢者等の活躍の場を強化することなどにより、企業業績を改善し雇用の拡大や所得の上昇につなげる経済の好循環の実現を目指しておられますが、前述のGDP速報値をはじめ、私たちをとりまく経済環境を考えますと必ずしも成功している状況ではないと言えます。
人口減少時代を迎え、人口の地域偏在が今後一層、顕著になると見込まれる中で、地域の活力を取り戻すためには、特に、将来を担う若者の定住人口を増やしていくことが重要ですが、県内でも進学や就職等で都市部へ移住してしまうと、地域には働く場所や魅力ある職業など十分な就業機会が確保されていないため、なかなか地元のふるさとには戻って来ることなく、都市部への人口流出が続いていることは、現状ではやむを得ない面もあります。
国家戦略特区に指定された養父市では、県内でも高齢化率が高く、人口減少に対応した地域の活性化が喫緊の課題となっていますが、この指定を機に農地の売買や貸借の許認可権限を農業委員会から市長へ移すことで、農業分野への民間事業者の参入を促し、農業を核とした様々な地域産業を創出しようとする新たな試みです。農業の6次産業化や特産品を活用した関連産業などへ裾野が広がり、地域経済への波及効果と新たな雇用創出を期待するところです。
このように、例えば、農業や水産業、観光産業など、従来から地域に存在する自然環境や資源を活用した産業を創出していくことは、地域が持続的に活力を維持していくうえでも重要な視点であり、このことは地域の魅力を再認識することにもつながり、工場などの企業誘致に頼るばかりではなく、地域で働く場所や働きたい仕事をつくり出していける可能性を秘めているのではないかと考えております。
そこで、この人口減少時代において、地域が独自性を発揮して、地域経済の活力を取り戻すためには、外部の産業等に過度に依存せず、地域固有の農林水産業や観光等をはじめとした地域資源を活用した地域産業の創出に創意工夫を凝らすことこそが大変重要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。
5 これからの集落営農のあり方について
県では、農地中間管理事業の推進に関する基本方針において、平成35年に約5万haの農地を認定農業者や集落営農法人等に集積するとしていますが、農地を集積する一方で、その農地を引き受けることのできる意欲ある担い手を育成しなければなりません。
現在、県では、意欲ある担い手の一つとして、集落営農組織の育成を進めており、平成25年度末現在で1,040集落に達しています。ひょうご農林水産ビジョンの目標年度である32年度までに1,500集落とする予定ですが、これまで問題意識が高い集落やリーダーがいる集落などを中心に順調に組織化が進められてきましたが、未だ組織化できない集落では、集落内の担い手が高齢化して、とりまとめや調整機能を果たすリーダーがいないというような事態が想定され、今後とも目標に向けて組織化されていくか課題が残ります。
また、たとえ集落営農組織が育成されたとしても、持続していくだけの力がなければ、やがては、営農をあきらめて耕作放棄地となることも考えられます。育成とあわせて安定した営農を継続していくための支援が必要です。
県では、集落リーダーの育成や実務を担うスタッフの資質向上等の研修会を通じて人材養成等を図っていますが、あわせて、各集落が抱える様々な課題の解決につながる対策が望まれます。
その一方で国の成長戦略にもあるとおり、現在、国では農政改革の一環として、農業委員会・農業生産法人・農業協同組合の一体的改革において、農業者と企業等の技術・ノウハウとをつなぐ観点から、農業生産法人の要件の見直しが検討されており、新たな担い手として企業の力も期待されています。
今後の持続可能な農業経営のあり方として、例えば、高齢化や担い手不足等で活力が低下して組織化が進まない集落については、集落営農を促す手法以外にも農業参入を希望する企業との連携により、新たな農業会社を設立するといった可能性も考えられます。
そこで、ひょうご農林水産ビジョンの目標年度である1,500集落の達成に向け、県内には未だ組織化されていない集落が存在しますが、持続可能な農業経営のあり方として、これらの集落に対する県の対策と、農業参入に意欲的な企業等の外部力の導入についての可能性について当局のご所見をお伺いします。
6 燃料電池自動車の普及に向けた課題について
県では、「第3次兵庫県地球温暖化防止計画」に基づいて、自動車からの温室効果ガス排出を削減するため、環境負荷の少ない低公害車の普及に向け購入支援を行うとともに、次世代自動車のためのインフラ整備を拡大することとしています。
特に、究極のエコカーと呼ばれる燃料電池自動車については、今年7月に策定された普及促進ビジョンにおいて、2030年までに県内で25,000台を目標保有台数として普及促進していくこととしており、あわせて、この保有台数に必要な水素ステーションを県下に20カ所設置することも目標としています。
既に、国内の自動車メーカーでは、この燃料電池自動車の量産に向けた研究開発が行われており、トヨタ自動車が12月に国内販売を予定しており、量産型の燃料電池自動車としては世界初となる見込みです。
この燃料電池自動車は、水のみを排出し窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの大気汚染物質は一切排出しないなど、確かに走行時における環境への負荷低減の面において、例えば尼崎の公害訴訟に象徴されるように交通量が多いところや、渋滞が恒久化しているところでは一定の効果が見込まれますが、その一方でこの燃料電池自動車の生産や水素ステーションの設置、さらには燃料となる水素の生成過程、部品のリサイクルなどにおいて、新たなエネルギー消費やCO2の排出が考えられ、地球環境全体で見たときに、果たして現行の化石燃料を使用するガソリン車等に比較し、どういう面がどのように優れ、あるいは劣るのか、まだ判断しかねる部分も多くあるように感じます。
また、県内における乗用車等の自動車保有台数は約299万台で、約2人に1台、1世帯に約1.3台と全国的に見ても保有台数が多く、自動車は県民にとって日常生活の足代わりとなっています。最近では、地球環境保護への意識の高まりを受け、各自動車メーカーから次々と幅広い車種でハイブリッドカーやクリーンディーゼル車などが販売され、また、自動車にかかる税制面においても、いわゆるエコカー減税などの効果もあり、県内でも低公害車の保有台数は増加傾向にあるものの、依然として化石燃料を使用したガソリン車等の優位性には変わりがなく、特に燃料電池自動車については、その利便性の向上や税制のあり方次第で今後、普及するかどうかは疑問が残ります。
現状では、燃料電池自動車は市販価格で500万円~1,000万円程度と言われており、最近では、災害時の家庭用電源としても使えるという付加価値も加わったものの、本来的には、エコと言われる環境負荷軽減が一番のセールスポイントである燃料電池自動車でありますが、今申し上げたとおり、燃料電池自動車の優位性が今ひとつ釈然としないこともあり、今後の普及を促進するにはつねやや判断する材料が乏しいのではないかと考えます。
燃料電池自動車の普及に当たっては、今後、多額の税金が投入されることも考えられ、その投資に見合うだけの環境面でのメリットがあるかどうかの懸念も少なからずあるわけですが、県としてこの燃料電池自動車の普及にどのような目的を持ち、どのような効果を期待しているのか、ご所見をお伺いします。
7 力強い警察活動を支えるための警察署の適正な定員について
本県における刑法犯認知件数は年々減少しており、最近では、防犯意識の高まりから、地域の防犯力を高めるために、自治会や地域のボランティアなどによる自主的な防犯活動や街頭防犯カメラ設置などの取組みが浸透し、地域の安全・安心の確保に大きな役割を果たしています。
地域と警察との協働による情報提供や捜査への協力などを通じて、地域住民の体感治安は向上するものであり、今後とも地域で取り組む防犯活動に期待が寄せられています。
一方で、最近の高齢者等をターゲットにした詐欺事件やインターネットによるサイバー事件など地域の防犯活動では対応しきれない複雑・多様化した犯罪も増加してきたことなどを受け、地域住民に新たな不安を招いており警察活動の充実が求められています。
地域で発生する事件・事故の防止や早期解決に当たっては、力強い警察活動は欠かせません。そのためには、県警察の定数の充足はもとより、県民に身近な交番や駐在所を含めた警察署の人員の適正な配置が必要であると考えます。
しかしながら、単純に警察官を増やせば犯罪が起きにくくなるというものではありませんでしょうし、行財政構造改革を推進している本県において、今後の警察活動も引き続き限られた体制のもと、より一層の効率的で効果的な警察活動が期待されているところです。
それだけに、現在、兵庫県警察には条例で警察官の定数として11,842人が定められておりますが、管轄区域の広い兵庫県において、地域の安全・安心を確保し、力強い警察活動を実現するためには、どの地域にどれだけの警察官を配置すべきなのかということを常に検討していかなければなりません。事案や地域によっても異なると思いますが、少数体制でも効率的な警察活動が可能な場合や、人口が集中する都市部の警察官を手厚く配置するといったことが大切であり、そのことを踏まえた上で、各警察署の管内情勢を配慮した人員配置が求められます。
県下の48警察署について見ると、管内の治安情勢はそれぞれ違うため、真に必要な警察力に違いが出て参ります。区域内人口が同じ都市部においても、商業施設やレジャー施設等が多い繁華街と昼間人口は少ないものの子どもや学生が多い住宅密集地では、検挙に重点を置く警察署と防犯パトロールに重点を置く警察署など対応すべき警察事象に違いが出てきます。
このように、地域の事情を踏まえると、交番における管轄地域のパトロール活動の徹底、交通取締りの強化、未解決事件などの捜査等、警察署ごとに抱える事案や取り扱う件数に応じたきめ細やかな警察官の配置が大切ではないかと考えております。
そこで、兵庫県警察の警察官数の現状を踏まえ、県民の安全・安心を確保するために、交番、駐在所等を含め必要な警察署の適正な定員と配置について、当局の考え方と今後のあり方についてお伺いします。