竹内委員(財政状況 要旨実績)
1 新行革プラン7年間の人件費カット総額とその目的について
(1)人件費カット総額について
平成19年度途中の620億円の歳入欠陥、予算の執行留保という事態から始まった「新行革プラン」。プランが実行された20年度から7年目を終えようとしている。ここで検証したい。
平成20年以降の新行革プランによる兵庫県の独自給与カットの総額はいくらなのか?給与・報酬・期末・勤勉手当等カット分で定員削減は含まない。金額は26年度見込みを含む。知事ら特別職・議会議員・職員ごとの総額。ただし国が地方に要請して実施した東日本大震災復興のためのカット分を除いて答えてほしい。
(答弁)
(2)人件費カットによる財源の目的について
国が地方に要請した東日本震災復興のためのカット分を除いての数値ということで、本県独自の措置であるが、総額もかなり大きい。
阪神淡路大震災の復旧復興という影響もあるとはいえ、神戸市などではいま独自の一般職の給与カットは行われていない。また、震災以降継続実施しているならまだしも平成19年の年度途中に予算の執行留保という緊急事態になるまで実施されていなかったのだから職員にとっても突如降って沸いたような話だった。
公務員の給与は、労働基本権のうち団体交渉権・争議権が制約されていることから、国においては人事院勧告、県においては人事委員会勧告で、それぞれ勧告されて決定するシステムで、基本的には同じ条件で給与等が定められることになっているが、勧告以外で独自に金額をカットしていても話は県民には全くと言っていいほど知られていない。身近な学校の校長先生や担任の先生まで7年間給与カットされているという話にしても誰が知っているだろうか。
これらが県財政の健全化に大きく役立っていることには間違いがないが、カット分は一般財源に含まれているため、何のために使われているかということは明確でない。
そこで提案したい。本来受け取るべき人件費を明らかにした上で、そのカットされた額との差額を、人件費のかわりに、教育費に充てたとか、子育て支援に使うとか、県債管理基金に積み立てて県債の償還財源にあてたとかにすればどうだろうか。そうなると、給与カットを受け入れている職員の皆さんにとっても、我々の給与カット部分は未来の兵庫県のために役立てられていると少しは納得度があがるかもしれない。少なくとも、私たちも胸を張って外で発言できる。
本来、給与カットは望ましくないが、やむを得ず本県だけが実施するような給与カットについては、人件費に振り向けず何かしらの財源として活用したとするような説明をすることで内部の理解や外部への告知にもなると思うがどうか。
(答弁)
2 財政改革の次なる課題について
(1)水道用水供給事業会計の県債直接引受について
一般会計の側からすれば、金利や条件が外部借り入れより有利に発行できる。子会社だから言うこと聞く。これまで公社などの外郭団体もグループファイナンスとして協力してきた
今回は、補正で直接引受が表に出てきた。こうった珍しい事例は本県の場合、補正で出る。
いろいろ全国の他の自治体を調べてみたが事例が見当たらない。なぜか。水道用水供給事業自体が企業債という県債を発行して金融機関等から借金していることからもわかるように企業会計は県債を発行する団体であり、逆に公営企業が儲かって資金が潤沢であるということは想定されていない。
特別会計や企業会計による一般会計の県債の直接引受は過去から行われているのか?今回、誰がどう持ち掛けて話がスタートしたのか?これはこの県債は何を目的とする県債で、引き受け条件はどうなっているのか?
(答弁)
(2)青野運動公苑土地信託事業にかかる105億円の負担処理について
①今後の運営形態について
同信託事業は、現段階で既に105億円もの運営費用の損失補填等が最高裁判決で確定しており、平成23年11月、勝訴した信託銀行側に県が約105億円を支払った。
一般会計は未だ収支不足の状態であることから、企業庁から105億円を借り入れて、支払いを実施した。
信託事業を開始した28年前当時の選択について、県民の代表であった県議会も議決しているし、今当時の責任を問うことは法的には現実的ではない。
ところで、現在の信託事業の相手方である三菱UFJ信託銀行(東洋信託銀行)及び三井住友信託銀行(住友信託銀行)両銀行との信託契約期間は、平成27年11月末まで。残すところ約半年になってきた。
契約満了となれば、土地信託に出していた土地や、銀行から借り入れた資金を活用したゴルフ場やスポーツ施設は県に戻ってくる。
次なる利活用については、現にゴルフ場を中心とした施設であることから他の目的での利活用については簡単ではなく、慎重な検討と透明性を確保した運営方針決定が必要と考える。
知事は、会見で「県に戻ってくる施設を普通財産とし、企業庁に借りてもらい、企業庁で引き続き県民ゴルフ場等の経営にあたってもらう」と述べているが、12月以降の運営形態をどう考えているのか?地域整備事業として直営で経営するのか、ウエスティンホテル淡路の㈱夢舞台のように子会社で運営するのか?
(答弁)
②地域整備事業会計での受け入れについて
会計間であっても利率や返済の方法を定めなければならないと思うが、地域整備事業から一般会計への105億円の貸付条件は?
(答弁)
企業庁が一般会計に払う地代は一か月500万円とのこと。それをそのまま105億円の借入金償還財源に使うということらしいが、
年間の企業庁受取利息105億×0.310%=3278万円①
年間の企業庁支払地代500万×12=6000万円②
年間の企業庁受取元金500万×12=6000万円③
と資金の出入りを単純に見れば、企業庁側は、27年度は3,278万円の収入増となるかと思うが、そうではない。
企業庁・地域整備事業の105億円とはいっても企業債等の外部調達コスト(金利)がかかっている。このための起債ではないことから、借り入れ全体の借り入れレートを確認しなければならない。
地域整備事業の借り入れ(負債・企業債970億円、一般会計100億円・県債管理基金借り入れ金320億円を含む。計1390億円)に対する26年度の支払い金利はどのくらいの金額なのか? また、それにより、借り入れ全体を分母として、支払い金利を分子とする平均借り入れレートは何%になっているか?
(答弁).
③損失が出た場合の一般会計からの補てんについて
例えば、平均借り入れレートを低くみて1%としても、
年間の企業庁支払利息は105億×1%(支払い利回り)=1億500万円④
①-②+③-④=▲7,222万円以上の利益をあげないと損になる。
貸付は0.3%、調達は1%では利益を105億円の0.7%で回していかないといけない。これは官営企業では簡単ではない。過去のゴルフ場経営の負担が更に拡大するということにもなりかねない。
明らかに借り入れレート以下の条件で105億円を貸付けているのでかなりの黒字を出さないと持っているだけでは赤字となってしまう。
財務状態から実質的には、全額外部借入といっていい。バブル期を含む過去の民間の経営でも、この青野事業は結果として利益がでなかった。
青野運動公苑土地信託事業の損失の105億円は減少するどころか、支払い金利を考えると更に拡大する可能性がある。減少させることができるのか?逆に損失が出た場合の一般会計による補てん等についてはどう考えるのか?
(答弁)
(3)県債管理基金の貸付金320億円の行方について
①県債管理基金の貸付金の扱いについて
都道県間の相対比較では新しい財政指標の制度がスタートした平成19年度の将来負担比率がワースト 1位の361.7%だったものが、直近の25年度決算では341.1%、27年度当初予算ベースでは338.8%。
一方、もう一つの指標である実質公債費比率では導入時の平成17年度決算、全国ワースト3位の19.6%だったのが、直近の25年度決算では16.2%とワースト13位、借換の平準化を終えた27年度予算ベースでも18.0%となる見込みで、新行革プランの目標達成は可能となる見込みである。
過去に実質公債費比率の算定に大きく影響する県債管理基金の積立不足について質問した。平成21年10月13日の平成20年度決算の県議会決算特別委員会の財政状況についての質問では、県債管理基金の中に土地や美術品などを含めていることを問題視し、一部は改善された。しかし、未だ改善されていないものもある。今回は任期の最後の質問であり、それについて取り上げる。
県債管理基金には、地域整備事業会計に対する320億円の貸付がある。
総務省の地方債に関する省令第3条第2項では、基金の積み立て不足を計算する際に、年度を超えて一般会計または特別会計に貸し付けられたものの額がある場合については、当該額を基金残高から控除すると記載されている。
企業会計は特別会計に含まれており、明確に年度を超えて貸し付けていることから、減額計算しないのは適切ではないと考えているが、
「公営企業である企業庁の保有資金等の状況から考えて、一般会計への償還、すなわち現金化が可能なものであるため、減債基金残高から控除していない」と独自の解釈をしているとのことだった。法令の解釈として全く理解できない。
地域整備事業については、簿価487億円もの進度調整地という長期保有土地を保有し、今年度でも企業債の借換率が67.9%となるなど、未だ売却のめどが立たない土地を多く保有していることから、そのための貸付かと思って調べると、逆に地域整備事業会計から一般会計に対して⑱100 ⑲120㉓105の計325億円が貸し付けられていることがわかった。
県債管理基金から地域整備事業会計に320億円が貸し付けられ、地域整備事業から一般会計に325億円が貸付けられている。
県債管理基金から一般会計に直接お金を貸し付けると貸付とはならず「取り崩す」という。取り崩せば基金の額は減る。これが地域整備事業会計を経由して貸し借りしたら貸付金として基金は減らないという。
お金に色がついていないとはいえ、地域整備事業を相手に、貸し借りし、325億円が一般会計の収支不足を埋めるための財源として現に何年もの間、活用されていることから、総務省令や債権債務の考え方からしても、会計間の債権債務を相殺する必要があるのは自明である。
この320億円の県債管理基金の貸付金を、実質公債費比率算定の基金残高から減額しないことは総務省令にてらして不適切ではないか?
(答弁)
(4)長期保有土地の今後について
昨日議決された26年度補正予算では、宝塚新都市計画用地の一部を県有環境林として取得したが、この計画は県が平成4年度に基本計画を策定、約1,100億円の予算を投じて1,200ヘクタール余りの用地を購入したものの一部である。
この宝塚新都市計画用地だけで24年度から26年度までの累計で738.48ha720億円を県有環境林特別会計に移管した。
もともとこれらの土地は公社等が外部資金を活用して先行用地として取得し、さらに県が先行取得債で起債取得し、この10年起債の償還期限を迎えて、また新たに県債を起債して取得されるもの。
県債償還の考え方だと、また改めて最長30年の借金をしたということになる。当然、県債だから元金償還だけでなく金利もかかる。
環境林の目的は県土の保全とか環境保全とかだったとか思うが、第3次行革プランでは「直ちに利活用等が見込めない山林は、県有環境林として取得し当面の間適正管理」するとしているだけである。
そこで、まず、宝塚新都市用地の他、現在まで県有環境林として取得した長期保有土地の面積とその金額を確認する。あわせて、そのうち、国の交付税措置の対象となる金額をうかがうとともに、なぜこれらの土地の取得のための借金や利払いに、(元利償還金の30%もの)国の交付税措置が受けられるのかうかがう。
(答弁)
(5)平成27年度から始まる滋賀県造林公社からの貸付金分割返済について
滋賀県造林公社とは、民間の土地所有者の土地に、公社負担で植栽、保育を行い、一定の年限を迎えたスギやヒノキを伐採して販売し、その収益を土地保有者と公社で分配する分収造林事業を行う団体である。
同社は、昭和40年に設立され、当時の高度経済成長に伴い増大した神戸・阪神地域の水需要に対応するため、大阪府、大阪市、兵庫県内の5団体とともに、出資・貸付を行うことによって琵琶湖の水源開発に参画してきたところである。
しかしながら、同公社は、木材価格の下落や、農林漁業金融公庫等から借入金の金利が増加したことから債務超過に陥り、債務超過を解消するために平成19年11月、大阪地裁に旧農林漁業金融公庫及び滋賀県と本県を含む下流8団体に対して、債務免除を要請する特定調停の申し立てを行った。
大阪地裁から各団体に対する調停条項案とそれに対する調停委員会からの意見書が出され、全ての債権団体は、合計323億円の債権を放棄することで合意し、本県でも、将来の弁済見込額を超える債権を放棄することとし、金額として債権額の約10.9億円うち、約9億円を放棄することとになり、弁済方法としては、残金約1億9,000万円について、今後の分収造林事業の収益を見込み、平成27年から37年間で受け取る長期分割弁済案を選択し、議会に提案した。
私は、この問題が提起される3年前から、行革特別委員会、常任委員会等において警鐘をならしてきたが、それにもかかわらず、債権放棄額は、当初に県当局が主張していた以上に、県民の財産を著しく棄損させる結果となった。
当時、債権放棄については、やむを得ないものと判断したが、下流8団体のうち本県のみが選択した長期分割弁済案は、今後の伐採収益が上がらなかった場合の保証もなく、経済の変動によって再び同じ結果を招けば、県民の貴重な税金・財産のさらなる棄損につながること、また、弁済完了が平成63年となり、その時点での責任の所在も曖昧となることから、当局提案の議案に会派として反対した。
当時の反対討論に立った私は「長期分割弁済の受け入れを前提とした提案については、県民財産の確保の観点から最善の債権保全策と言えず、他の下流団体と同じく、一括弁済方法を選択するべきと考えることから、賛同できず、反対を表明します」と討論を締めくくったが、賛成多数で可決された。
あの平成23年2月議会から丸4年が経過した。旧造林公社分の保有債権は、滋賀県5077百万、兵庫県192百万であり、伐採して売却収益が出たらH27~63で長期分割弁済するとなっている。
本県からは引き続き役員を派遣しているが特定調停後の本県は同公社の経営にどれほど関わっているのか?
(答弁)
なぜ弁済予定金額を27年度予算に計上していないのかと改めて当時の特定調停の内容を確認すると滋賀県造林公社の27年度の収益を兵庫県は28年度に収入することとなっている。
平成26年7月に出された一般社団法人滋賀県造林公社中期経営改善計画に関する経営評価における、年度別計画と実施状況では、27年度には、収入が3億96百万円、支出3億91百万円で6百万円の償還財源が生じることとなっている。
しかし、もし計画通り、売却ができたとしても、計画通り返済されない。
なぜなら、収益は公社と土地所有者で比例配分することとなっているが、当初の公社6:土地所有者4の配分から→9:1と変更することが前提の経営計画であり、この配分割合の変更については、中期経営改善計画では、25年度に100%達成となっているが、実績では、25年度末で35.6%。H26.12.16現在でも45.7%にとどまり、計画自体が厳しくなっている。
土地所有者の中には、「「木材価格の変動があるなかで現時点での契約変更は時期尚早ではないか」、また、「分収割合の変更について一方的に決めつけるのはいかがなものか」などの意見があり、理解を得るのに時間を要した」と記されている。
また収益の望めない「不採算林についても、分収造林契約の解約を進める」としているが、平成25度末計画 100%が、実績25年度末 57.6%。弁済順位だが、兵庫県と滋賀県は同一順位。優先して兵庫県が弁済受けない規定。滋賀県も多額の債権保有。経営責任の点では兵庫県の優先弁済を受けて当然だと思うが、特定調停ではそうなっていない。
特定調停時、債権者だった大阪府、大阪市、兵庫県内6団体のうち、本県以外は、すでに清算をすませ、一部債権の保全に成功し、既に債権の処理を終えている。
来年度から、収益が本県に見込め、1億92百万円が完済される見込みなのか確認させてもらう。
(答弁)
3 平成31年度以降の行革について
「2 財政改革の次なる課題について」で指摘した諸課題についは、現在の行革プランでは対策については触れられていない。それらの課題を踏まえ、新行革プランが終了する平成30年度の次の課題の処理について大局的に聞く。
(答弁)