議会の動き

◆15年2月定例会 討論

概要 代表・一般質問  議案に対する態度と考え方  討論

平成27年度当初予算案等に係る討論(賛成)/栗山政務調査副会長

民主党・県民連合議員団を代表して、ただいま上程中の平成27年度当初予算、関連条例及び事件決議に係る第1号議案ないし第85号議案に対し、賛成の立場から討論を行います。

本定例会に上程された平成27年度当初予算案は、一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせ3兆4,225億円の予算編成となりました。

井戸知事は、ポスト震災20年のスタート年となる平成27年度予算を「安全地域創生予算」と銘打ち、安全確保と地方創生を最優先課題として、「津波防災インフラ整備計画」の計画的な推進、「第2次山地災害・土砂災害対策5カ年計画」の拡充といった「防災・減災対策」の実施や、「地域の見守り」や「自転車の安全利用」などの「地域安全の確保」、「計画的な老朽化対策」の推進、「ひょうご読書活動充実事業」の推進、「危険ドラック対策」の推進、また「高齢者への在宅サービスや見守り体制」の強化や「認知症対策」の推進、「女性起業家の支援」など、県民の安心・安全を守り、地域の元気を構築していく分野に重点的に予算配分されております。

また、行革の取組みについては、今年度は、第3次行革プラン策定の初年度にあたりますが、「選択と集中」の徹底を基本とした施策の見直しをはじめ多くの職員の皆様の弛まぬ努力の結果、新行革プラン策定後の7年間の取り組みは概ねプランどおり進捗しており、少しずつではあるものの、明るい兆しが見えてまいりました。しかしながら、本会議や予算委員会での審議の際にも指摘があったように、職員のモチベーション向上にもつなげるための職員の給与抑制措置の早期解消や、7年間の抑制措置により生じた財源の使途の明確化のほか、必ずしも行革の成果や県財政の現状が県民一人ひとりに伝わっているとは言えず、行革推進に対する県民への周知のあり方等についても、今一度工夫していただく必要があります。今後の4年間は、今回の行革の終局に向けて、その方向性や取り組みをより具体的かつ明確に県民に示していくことが重要です。

ただ、概ね行革プランどおり取り組みが進捗していると言えども、本県の置かれている財政状況は深刻と言わざるをえません。平成27年度の当初予算では、地方消費税や法人関係税による増収などで歳入の増加が見込まれる一方で、社会保障関係費等の歳出も増加し、歳入歳出収支は前年度に比べて142億円改善したものの、未だ430億円の不足額が生じています。行革の財政フレーム内の対策として、退職手当債200億円、行革推進債200億円の発行とともに、県債管理基金30億円を取り崩す方策をとられました。また、震災関連県債残高が未だ4,851億円に上っており、県財政においては震災の大きな傷跡として今でも残っています。

このような厳しい財政制約の中、私たち民主党・県民連合議員団では、今定例会に提案された各議案に対し、本会議における代表質問・一般質問や常任委員会での審査、予算特別委員会における質疑・質問を通じて、慎重に審議を行って参りました。

また、現在県政が抱える課題について指摘し、その改善を求める一方で、昨年11月には9テーマ76項目からなる「予算編成に対する申し入れ」を行ったところであり、このような私たちの会派の主張や活動方針等を踏まえ、以下、来年度当初予算案などに対し、今後解決すべき課題など、私たちの会派の意見を述べたいと思います。

「地域主権社会の確立」に関しては、人口減少のもとで地方と大都市との格差問題が顕在化する中、中央集権、東京一極集中を打破して、真の地方分権を獲得する設立趣旨を今一度踏まえ、関西広域連合による取り組みを強化し、何としても地方が主役の地域主権を確立していく必要があります。また、代表質問等でもとりあげましたが、地域の多彩な主体が参画して地域の特色を活かした地域主導・住民主役の取組みにより、個性豊かで元気なふるさと創生を図る必要があります。

「持続可能な行財政構造基盤の確立」に関しては、第3次行革プランが今年度スタートし、来年度も更なる「選択と集中」を進めていくとともに、公社等外郭団体の継続的な検証、投資事業の改革、公的施設・県有施設の運営改善を進めていくべきであります。

「健康福祉社会の実現」に関しては、地域医療の確保、とりわけ医師の地域偏在や診療科偏在は急務の課題であり、県内における医療格差の解消を図るとともに、様々な形での社会福祉分野への人材確保対策やピアサポーターへの研修など精神障害者の地域移行の促進への取組みについて評価する一方で、格差社会の是正等に向けた、生活困窮者自立促進対策等のさらなる充実にも期待します。

教育に関しては、我が会派では生き抜く力を育み「子どもが輝く社会の実現」を目指しておりますが、中でも、継続的に主張してまいりました多文化共生教育の推進については、モデル研究事業の拡充や教職員研修に取り組むことを評価する一方、さらなる取組みの充実が望まれます。また、第2期「ひょうご教育創造プラン」の着実な実施により、「豊かな心」の育成にまずもって取り組むとともに、条例提案もされているが、学校の統廃合の課題に関しては地域における教育のセーフティーネットの確保に十分配慮するほか、時代の要請に的確に対応しながら、兵庫ならではの教育をさらに前向きに推進していくことが求められます。

「危機管理型社会の実現」に関しては、ポスト震災20年のスタート年となる平成27年度において、様々な形で行われた震災復興の取組みの総括を踏まえ、地震・津波による被害、風水害・集中豪雨などの大規模自然災害等の危機管理事案に対して、的確に対応できるよう地域の防災力を高めていく必要があります。地域の安全の観点では、継続的に主張してきた地域で子供の安全・安心確保を図る事業の実施を評価する一方、実効ある推進を期待します。

また、警察行政については、県内の交通事故死者数が、残念ながら昨年も全国ワースト3位という現状にあり、主な原因となる事例の多い高齢者への対策への重点化などを行っていくべきであります。

「産業活力社会の実現」に関しては、知事も提案説明で述べられていた「地域の元気」の実現を図ることが不可欠であります。そのためには、中小企業の自立と地域経済・活性化対策、労働者の賃金等の改善も含めた雇用就業対策などのさらなる推進が望まれます。

このほか、「環境循環型社会の実現」「快適で潤いのある社会の実現」「こころ豊かな共生社会の実現」についても、重要課題として着実かつ強力な取り組みを期待いたします。

以上、来年度当初予算案に対する評価、さらに一層の取り組みが求められる重要な県政課題について述べてきましたが、上程された予算案等については、極めて厳しい財政状況のなか、先にも述べましたように、様々な実態を踏まえた必要不可欠な事業を選択し、必要な額を確保したものであり、県政を取りまく重要課題に対応していこうとする努力が窺える予算となっており、評価いたします。

しかしながら、その一方で私たちの会派が提言・申し入れ、あるいは本会議など、あらゆる機会を通じて指摘してきた事項には、さらなる取り組みが必要な分野や精査すべき課題が少なからず残っています。

知事におかれましては、今後とも、県民の声を真摯に受け止めながら、第3次行革プランの着実な推進を通じ、行革の総仕上げに向けて全力で取り組んでいかれるとともに、県民の安全確保と地域創生をめざす「安全で元気なふるさと兵庫」の実現に向けて、強力なリーダーシップを発揮されることを強く要望します。

最後に、私たち民主党・県民連合議員団も、井戸知事とともに未来に対する責任を共有しながら、持続可能な兵庫を構築し、兵庫の誰もが将来にわたり希望を持ちながら、この兵庫県で安全に安心して暮らし続けることができる社会の実現に全力で取り組む決意であることを表明し、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。