第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (企画県民部1)
2010年10月8日(金)
1 地域再生大作戦について
県では、地域課題や県民ニーズが複雑・多様化の中で、特に地域の活力が失われつつある多自然地域を中心に、地域の自主的・主体的な取り組みによる賑わい創造や活性化、農業振興や定住、空間活用等を促進するため、「地域再生大作戦」を展開されており、「①小規模集落元気作戦、②ふるさと自立計画推進モデル事業、③地域再生応援事業、④まちなか振興モデル事業、⑤中山間「農の再生」推進対策、⑥多自然居住の推進」という6つの柱により、多彩な事業を実施されています。
そのうちまず小規模集落元気作戦についてお伺いします。
(1) 小規模集落元気作戦の成果について
小規模集落元気作戦は、人口が減少し高齢化が進んだ小規模な集落を対象に、市町と協働した集落再生に向けた住民の主体的な取組を支援するモデル事業として展開し、集落住民による地域づくりの合意形成や、都市地域との交流を通じた活性化を図ることを目的とした事業で、今年で3年目を迎えました。
そこで、これまでの取り組みを踏まえた上で「小規模集落元気作戦」の2年間の実績とその成果についてまずお伺いします。
(2) ふるさと自立計画推進モデル事業について
次に、地域再生大作戦の6つの柱のうち、多自然地域の活性化に立脚した取り組みについて、お伺いします。
県では多自然地域において、地域資源を発掘、活用するとともに、ふるさとづくりについて自ら考え、自ら行動しようとする地域住民の計画づくりを支援するとともに、種々の施策や制度を活用して地域の自立を図っていくふるさと自立計画推進モデル事業を実施されています。
多自然地域における住民の暮らしを豊かなものとするためには、地域の資源を発掘し、創意工夫で活用することによって、自立を図り、活力を持続することが大切です。
その理念のもと、「地域の個性と資源を生かした地域興し」、「空き空間や空き施設などの有効活用」、「交流による地域の賑わい創造」といった視点での地域づくりを進めることを狙いとされており、地域団体による計画づくりの支援など、種々の施策や制度を活用して地域の自立を図っていくことを推進されています。
先ほど申し上げました私の地元の神河町でも、新田・作畑で「ふるさと自立計画推進モデル事業」、による支援を受けておりますが、「ふるさと自立計画推進モデル事業」による県内の他地域の取り組みの実例はどうなっているか、またその具体的な成果はどうなっているのかをお伺いします。
(3) 今後の展開について
平成22年度では、多くの新規事業も含めて、重層的にソフト・ハード事業を展開されようとしており、素晴らしいと思う反面、県としてうまくコーディネートして実施していかないと、事業の効果が薄れるのではないかとも危惧しております。
特に、将来的には取組の担い手が高齢化することから、定住人口を増やす工夫を考えないといけないと考えます。
私の地元の神河町でも大川原集落における「小規模集落元気作戦」や、多自然居住の取り組みが進められ、7年目にしてようやく一定の成果が出ようとしていると考えます。
それは、今年度からオープンしたログハウス村による期待・効果です。15戸の分譲物件、賃貸18戸は管理費含めて年間41万の費用ですが、賃貸はすべて契約が完了いたしましたが、分譲は1件も進んでいないのが現状です。本格的な定住を進めていくための取組をさらに深める必要があると考えます。
そこで、小規模集落元気作戦やふるさと自立計画推進モデル事業の展開を含め、地域再生大作戦の展開事業全体が相乗効果を発揮して、事業効果が最大限となるよう、いかに取り組もうと考えているのかお伺いします。
2 神出学園、山の学校の現状と取り組みについて
次代を担う青少年が心身ともに健やかに成長することは、県民すべての大きな願いであると思います。
しかしながら、今日の青少年を取り巻く状況を見ますと、誠に残念なことに、青少年が加害者や被害者となる事件や児童虐待の頻発、絶えることのない学校でのいじめや暴力行為、不登校児童・生徒の増加、ひきこもり、や就業問題など課題は大変深刻かつ多岐にわたっていると言わざるを得ません。
文部科学省がこの9月に発表した「平成21年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、小・中・高等学校における暴力行為の発生件数は約6万1千件と前年度より約1千件増加、高等学校における不登校生徒数は前年度より約1千人減ったものの、約5万2千人にのぼっています。
複雑多様化、経済至上主義のもと競争が激化する現代社会の中で、孤立化し、自己を見失い、悩める若者たちが多い中、本県では、こころ豊かでたくましい青少年の育成を図るため、多彩な体験活動の場の提供や、異年齢、異世代による交流の場づくりを推進する一方で、不登校やひきこもり、中途退学、ニート等の課題に対応するために、青少年の自立・共生を支援しているところですが、その中でも「県立神出学園」と「県立山の学校」の意義と役割は非常に大きなものがあると考えています。
(1) 両校の実績について、
県立神出学園は、不登校等の青少年が、ゆとりと潤いのある共同生活の中で、自己に対する理解を深め、進路を発見できるよう支援することにより、こころ豊かな青少年の育成を図ることを目的に、平成6年に設立され、既に15年が経過しました。
一方、県立山の学校は、豊かな自然の中で、共同生活や体験学習を通して、心豊かな人間形成を進めるとともに、林業や緑化に係る基礎的な知識と技術の習得と、森や緑を守り育てる人材の育成を目指して平成5年に設立され、既に16年が経過しました。
この間、両校とも相当な実績をあげてこられたことと思いますが、まず両校の修了者数並びに進路状況について、開校以来の実績をお伺いします。
(2) 修了者へのフォローアップについて
過去の実績では、両校の修了生の約57%が進学、約32%が就職するなど、多くの修了生が新たな生き方を見いだし、次のステップに進んでいることは、評価するところですが、一方で、修了した後の進路先で、うまく順応できているのかという心配もあります。
両校修了後の進学・就職先への定着や家庭生活への適応に向けた支援など、修了後のフォローアップについてどのように取り組んでおられるのかお伺いします。
(3) 環境変化への対応について
開校以来15年以上が経過し、両校を取り巻く社会環境の変化や子どもたちの状況の変化には、非常に大きなものがあると思います。
不登校の子どもたちへの対応のほか、(答弁にもありましたが)、社会問題化しつつある、ひきこもりの高齢化や長期化への対応も必要と思われます。
また、神出学園や山の学校は寮生活ですが、宿泊を伴う集団生活になじめない子どもたちへの対応も気になるところです。
さらに、山の学校の当初の設立目的の一つとして林業後継者の育成がありましたが、森林関係への就職の減少という課題にも直面していると思われます。
そこで、これまでの両校を取り巻く環境変化に対し、どのような対応をとってこられたのかについて、お伺いします。
(4) 但馬やまびこの郷、清水が丘学園との連携について
最後に、企画県民部の所管ではありませんが、同様に様々な悩みを抱えた子どもや情緒障害のある子どもに対応する施設としての、県立但馬やまびこの郷と県立清水が丘学園との連携についてお伺いします。
但馬やまびこの郷は、県内に在住する不登校あるいは不登校傾向の小学生や中学生、その保護者、教職員を支援するために兵庫県教育委員会が設置した教育機関で、清水が丘学園は子どもの心理治療を行う機能を持った全国的にも数少ない施設として、兵庫県社会福祉事業団が運営しています。
所管が異なるとはいえ、いずれも問題を抱えた子どもたちを支援する施設と位置づけることができ、それゆえに様々な面で連携を図っていくことも可能ではないかと思っています。
そこで、それぞれの施設間の役割を踏まえた協力・連携の実績及び以後の取り組みについて所見をお伺いします。