議会の動き

小池 ひろのり議員が一般質問を実施

第327回 6月定例県議会 一般質問

質問日 :平成27年6月22日

質問者  :小池ひろのり 議員

質問方式:分割方式

1.安全で快適な自転車道整備の推進について

この6月1日より、改正道路交通法が施行され、自転車運転者対策として危険運転行為に対する講習制度が始まりました。自転車事故を減らすためにも必要なことと思われます。しかし、私は、法規制だけでは不十分で、本当に効果を挙げるためには自転車道等の環境整備を併せて行うべきだと考えます。

また、兵庫県では今年3月全国に先駆けて自転車保険加入を義務化する条例を制定しました。大変良い仕事をされたと思っています。しかし、いくら義務化と言っても、最終的には保険加入の強制は出来ず、一定の加入率になると予想します。

私は、国内のみならずアジア・北米・欧州・オセアニアの国々を自転車で駆け巡った40年のサイクリング歴を持っています。その経験と海外の動向から、自転車の素晴らしさをもっと広く県民に浸透させ、自転車事故を減らす県民運動の展開を願っています。

そのような観点から、県内における安全で快適な自転車道整備について、質問します。

皆さんもご存知のように、自転車に乗ることは、心肺機能を高め、心身ともに健康づくりに大いに役立ちます。更に排気ガスや騒音も出さず環境に優しく、交通渋滞もありません。また何と言っても経済的で、いろんな面で大変優れモノです。唯一欠点があるとすれば、交通事故の問題です。

そこで、安全に自転車が利用出来る街づくりの施策を遂行して、車から自転車へのシフトを誘導していくべきと考えます。

私達、民主党県民連合は、昨年夏に、オランダのアムステルダムを視察しました。オランダ自転車協議会の説明によれば、今から25年前の1990年に、既にアムステルダム市内の幹線道路には、自転車道を併設するという条例を制定し、政策的に自転車奨励社会の推進を展開していました。

市内の道路には、制限時速30キロ、50キロ、70キロの3種類あり、50キロ以上の道路には自転車道を併設、30キロの道路は出来るだけ車を走らせないような施策を採り入れました。その結果、現在では市民の54%が、自転車通勤・通学するようになり、自転車利用率は約10倍に拡大したにもかかわらず、自転車による交通事故死者数が、年間約600人から約20人へと激減したそうです。

アムステルダム市のこのような街づくりは、ヨーロッパ全土に広がり、自転車に対する評価が高まっていき、現在、パリでは、道路の真ん中に対面通行出来る自転車道が整備され、美術館・博物館巡りが出来ます。コペンハーゲンでは、自転車通勤者が5割になることを目指し、都市づくり政策が進められています。

このように、先進国では、今や自転車を車と同様な交通機関と位置付け、交通政策もしくは交通規制の中において明確に配慮すると共に、自転車交通を街づくりに活かす努力が見られます。自転車が環境に優しい身近な交通機関であることや、安全確保で自転車の利便性が高まっているヨーロッパ諸国の自転車奨励政策から学び、兵庫県においても単に「対策」にとどめることなく、積極的に「自転車交通政策」として確立する必要があると思います。

また、最近では台湾・中国等のアジアに於いても、観光客や住民のために、ディポジット制で乗り捨て自由の貸自転車と自転車ステーションを設けて回遊性を高め、更に、全電車の自転車持ち込みを可能とし、自転車での観光地巡りや、身軽な自転車移動を奨励しています。

先進国だけでなく、発展途上国の観光地にまで自転車利用が広がっており、自転車利用の推進は世界の常識と理解します。国においても、健康や環境への意識の高まり等を背景に利用ニーズが高まっていることを踏まえ、平成24年11月に「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を策定されています。まさに、観光にも力を入れる兵庫県が、安全で快適な自転車道整備の推進による自転車奨励の街づくり政策を積極的に推進すべき“時”であると考えます。

具体的には、まず、県内の適当な規模の市町をモデル地区として指定し、自転車道を集中的に整備し、まちづくりの一環として自転車利用を奨励する県民運動の社会実験から始めては如何でしょうか?街づくりの施策の中に自転車道の整備を位置付け、マナー向上の啓発を行うと同時に、歩道と自転車道を分離した整備を積極的に取組み、安全を確保した自転車奨励地区から県民運動へと展開することを期待するものです。

そこで、安全で快適な自転車道整備の推進について、安全な自転車利用環境の創出に向けた今後の展望も含め、ご所見をお聞かせください。

2.加配教員の増員と運用について

昨年の9月の県会本会議の一般質問で、私は『教師の多忙対策について』を取り上げました。

今、教師の給料など待遇面は下がる一方で、任務や責任だけは過剰に押し付けられている現状と言えます。また、教師が遣り甲斐や教師冥利を感じる時は、児童・生徒や親から「先生、有難う」と言われたり、児童が前向きに頑張りだす時です。ところが、教師に対する尊敬度や社会的地位が下がっているためか、児童や親の教師に対する感謝の気持ちが薄れていることが、余計に教師を疲れさせています。

更に、教師が元気でないということは、児童・生徒たちにも影響し、学校現場の活気が薄れ、児童・生徒が夢や目標を見出し伸び伸び活気づく環境ではなくなり、引いては委縮させる結果を招くことに繋がります。

今、学校現場で大きな問題となっている一つに、教師が多忙過ぎるということがあります。「教師の多忙化」は、昨年9月の本会議でも取り上げたように、多忙化に伴う心の病も増加しており、心身ともに疲労困憊している現状にあると言えます。指導する立場の教師が疲れ果てていては、学校が元気になる筈がありません。

また、教師にとって最も重要な“目の行き届いた授業”の面では、現在、兵庫県は小学4年生まで35人学級を実現しましたが、教育効果を挙げているフィンランドの20人以下学級、しかも複数担任制とは比較になりません。日本の現状では、家庭の躾が出来ていない児童も多い上、小学1年生でも、教師の指導になかなか従わない児童が見受けられます。そのような状況で、35人もの多様化している児童を一斉授業で指導することは、至難の業と言わざるを得ません。

そこで、当面の対策として、学級崩壊の危険性の高い学級や行動面、学習面に課題があり、支援を要する児童が多く存在する学級に、副担任として教師を配置出来れば、クラス運営でどれだけ助かることか容易に想像つくことでしょう! 加えて、加配教員を1名増員することは、学校訪問者やモンスターペアレンツ等に対応したり、教師の出張や突然の年休に対する代理授業を可能とすることも出来、大変大きな効果が期待できると思います。

前回の質問で、私は「百年樹人」や「国家百年の計、教育に在り」という格言を引用しました。是非、教育効果を高め、児童・生徒に夢や目標を抱かせ、少しでも目の行き届いた指導を可能とする加配教員の増員をお願いしたいと思います。財政難の中であっても、教育を重視する施策を推進いただきたいと思います。

教員の人数は、定数法によってクラス数に応じて決まります。それ以外に、国からの予算で目的加配という教員がプラスされます。現在、兵庫県には3,137名の目的加配の教員がいますが、その目的加配は、通年規定で年度途中の変更は許されません。しかし、目的加配で運用を縛るのではなく、現場を熟知した校長の裁量に運用を任せ、年度途中での配置目的の変更を臨機応変に出来るような仕組みになれば、同じ予算内で大きな教育効果を発揮することは明らかであります。

学校現場の事を一番知っているのは、校長であり教職員です。学級崩壊や問題が起こってからの対応ではなく、起こりかけた時の即座の現場の判断と対応は、傷も浅く大きな教育効果を上げることが出来ます。

校長が現状に合わせ適切な判断をし、加配教員の運用が容易に出来るような制度にするためにも、目的加配というような規制を緩和するよう、国に要望して頂きたいと思います。同時に、県単独で行っている加配については、直ちに規制を緩和し、学校現場に任せることで効果的な配置目的の変更が容易に出来る制度にしていくべきと考えます。

そこで、県教育委員会の教育現場の現状を踏まえた加配教員の増員、並びに加配制度の見直しを含めた加配教員の運用について、当局のご所見を伺います。

3.介護福祉士の養成制度の充実について

厚生労働省の社会保障審議会福祉部会の報告によれば、後期高齢者が2000万人を超える2025年には、高齢化率は30%に達し、介護が大きな問題になると予想しています。更に、介護人材は約248万人が必要とされ、今後、具体的対策を講じないならば、約30万人が不足するとの見通しが示されています。同時に、介護ニーズの高度化、多様化に対応する介護人材の質的向上を図ることも求められています。

高齢者の生き方として、本当はまず第1に、高齢者の気持ちを最優先させるべきところ、現実は核家族化で、家族の支援を得ることがなかなか難しい状況です。やむを得ず施設を探してみても、入所できる施設は不足しており、安心して暮らせる状況ではないという現状です。

財政上の問題もあり、苦肉の策として、政府は在宅介護を推奨しています。その意味はよく理解しますが、現実には在宅介護の支援が乏しく、大変不安な状況にあります。在宅介護の実現には、行政が勧める、住み慣れた地域で人生を最後まで自分らしく暮らせるよう「地域包括ケアシステム」を名実ともに充実させ、訪問介護や地域全体で見守るコミュニティーの再生を図らなければできません。しかし、あるべき理論と現実ではかなりのギャップが生じてきています。

現在、働きながら介護をしている人は、290万人いるそうです。そのうち介護のために退職せざるを得ない人が、年間10万人にも達しているそうです。しかも、働き盛りの40代以下の人が3割もいるとのテレビ報道がありました。もちろん退職をすれば、経済的にも苦しくなることは明らかで、更に働けるのに介護退職を余儀なくされるのは大きな社会の損失でもあります。

また、最近、私の県政相談に介護の相談で来られる人が増えています。先日も、92歳の母親の介護をしているという65歳の娘さんや、83歳の認知症の妻の介護をしている88歳の夫から、世間で言われる老・老介護の相談がありました。いずれも「介護で限界を感じています。何とかなりませんか?」という相談でした。

地域の理解や制度的な支援がなければ、家族だけの介護では限界があります。現に、私たちの周りには、精一杯家族で頑張り、介護疲れで家庭崩壊寸前にまで来ているという事例が多く見受けられます。

このような問題は、介護職員の不足が大きな要因であると考えます。現在、介護職員の待遇が余り良くないということで、離職率もやや高いと言われています。そして、離職者の7割が、勤務年数3年未満であることから、もっと将来的展望を見据えた政策として、介護の担い手となる若者を育てることに重点を置いた介護福祉士養成施設・学校の支援や、介護福祉士の悩みを聞くための相談窓口の開設が、介護福祉士養成制度の充実に向けての有効な施策と考えます。また、介護福祉士の社会的評価と資質の向上を図るとともに、介護の担い手になろうとしている若者を育てると言う観点から、介護にやり甲斐や目標を感じられるよう、早急な処遇改善と雇用環境改善を進める必要があると思われます。

先日、介護福祉専門家の大学教授と意見交換をしました。

平成26年度の兵庫県内の介護福祉士養成施設・学校の学生の充足率は、55%と大変低くなっているそうです。これでは、今後の介護制度に明るい展望が開かれるとは到底考えられません。

この現実に直視し、介護福祉の意義や役割を介護福祉士養成施設・学校でしっかり学び、介護福祉士が“遣り甲斐”を持って介護に従事出来るような環境整備が必要であると考えます。同時に、介護福祉士等修学資金貸付制度も、介護福祉士養成制度の充実に向け有効な施策になると考えます。

そこで、介護福祉士の確保と資質の向上という観点からも、介護福祉士の養成制度の充実を図ることが喫緊の課題だと考えます。この点について、当局の現状認識と対策に関するご所見を伺います。

4.中国との友好・経済交流について

1972年9月の日中国交正常化以来、今年で43年目になります。

これまでの日中関係を振り返ると、過去には歴史認識をめぐり困難な状況に立ち至ることもありましたが、その都度両国の努力により改善を図り、共通の戦略的利益に立脚した互恵関係を構築してきました。

ところが、現在の日中関係は、軍事力の増強や周辺海域での海洋活動の活発化等の懸念が高まる中、尖閣諸島をめぐる外交上の問題が発生し、両国の世論が相互に不信感を抱く事態となっています。

しかし、友好関係の構築途上にある中、領土問題で不信感を煽るのではなく、地道に友好交流や経済交流を押し進め、信頼関係を高めていくことが大切であると考えます。

そういう中、最近、ようやく硬直した日中関係に回復の兆しが見えつつあります。今年の4月、安倍総理が習近平国家主席と首脳会談を行い、日中関係が改善しつつあることを確認しました。2001年に、広東省の経済発展に寄与するために、オールジャパンとして日本広東経済促進会が設立され、今年、井戸知事がその会長に就任し、経済交流推進の基盤が整ったと言えます。また今年5月には、二階俊博衆議院議員が率いる「日中観光文化交流団」に約3,100人が参加しました。

こうした機運の高まりを捉え、我が兵庫県でも戦略的互恵関係を推し進め、議会、行政、民間が一体となって、さらなる友好交流や経済交流を展開すべき時であると考えます。日中関係の根本は民間にあります。政治がギクシャクしている時こそ民間交流を推進し、経済発展と平和に寄与すべきと考えます。

1983年、兵庫県は中国の広東省と友好提携しました。日中関係で長い歴史を持つ両省県が、こういう困難な時期こそ先頭に立って友好・経済交流を展開すべきであると思います。

日本企業にとって中国は、人件費をはじめとする生産コストの上昇や、市場における競合の激化といった課題はありますが、実質GDP成長率7%台での安定成長へ移行し、人口13億人と圧倒的な規模のマーケットとして、また豊富な裾野産業を有する生産拠点として、中国経済の重要性に変わりはありません。政治情勢に左右されない民間レベルの多様な関係が大切であり、兵庫県香港事務所等の活躍で、地域間経済交流の様々な活動が、両国交流の起爆剤になることを期待するものです。

また、近年、中国からの観光客が急増しており、昨年1年間で約12万人が兵庫県を訪れています。このことは、間違いなく兵庫経済の発展にも繋がっています。今後も誘客に力を入れると同時に、草の根レベルの交流に力を入れていくべきと考えます。

そこで、県として中国との友好・経済交流を、今後どのように展開されるつもりなのか、当局のご所見をお伺いします。

5 三宮駅周辺の再開発推進について

私は、三宮駅周辺の再開発については、神戸の発展に大きな影響を与え、今がその重大な時期に来ているとの考えから、昨年9月の県会本会議でも取り上げましたが、再度質問をしたいと思います。

兵庫県の顔であり、観光・ビジネスの中心地で交通の拠点でもある三宮駅周辺を整備することは、その波及効果の高さから地域の経済全体の活性化につながるため、県としてもこの再開発事業に積極的に関わっていくべきと考えます。

神戸の都心の『未来の姿』検討委員会と三宮駅周辺の構想会議が、この1年間、将来ビジョンと事業化を見据え、より具体的な再整備の検討をしてきました。そして、いよいよ神戸の都心の『未来の姿』(将来ビジョン)と三宮駅周辺の「再整備基本構想」が、今年上半期中に策定されることになっています。この基本構想が発表されてからの提言では、既に“時遅し”と言われるのは明らかで、構想策定段階の今、行政としての役割をしっかり果たしていって欲しいと考えます。

この検討委員会と協議会には、まちづくり協議会等の地元組織代表、自治会・婦人会等の市民代表、交通事業者代表、経済界、学識経験者が委員として、更には国土交通省・兵庫県・県警がオブザーバーとして参画して、将来ビジョンの策定と具体的な検討を行っています。

ビジョンの策定や協議会での検討に当たっては、是非とも“神戸らしさ”を発揮した知恵を絞った総合的な再開発で、元気な神戸を取り戻す起爆剤につなげて頂くことを願っています。それ故、行政には、広域的な立場から企業間の事業を有機的に結びつけ、地域の発展につなげていく大きな役割があると思っています。

この再開発に当たっては、JR三宮駅ビル改築案に加え、阪急東館建替えも2015年中に構想の具体案を発表されると聞いています。その他にも、バスセンターの設置や温泉施設の計画もあり、まさに三宮駅周辺が、大きく変わろうとしています。

兵庫県は、是非、この機を的確に捉え、主体的に三宮駅周辺の再開発構想に加わり、各交通機関を有機的に連結させ利便性を高め、分かりやすく乗り換えが出来るようにしてもらいたいものです。同時に回遊性を高め、国際観光都市・神戸の発展に結び付け、賑わいのある元気な神戸を取り戻して行くことを大いに期待するものです。元気な神戸を取り戻すことなく兵庫県の発展はないと考えます。

そこで、県としての三宮駅周辺再開発の取り組み状況と、今後どのような計画を描いておられるのか所見をお伺いします。