議会の動き

決算特別委員会 17年09月定例会

理   事  栗山 雅史 議員(西宮市)
委   員  石井 健一郎 議員(神戸市灘区)
委   員  小池 ひろのり 議員(神戸市中央区)
委員外議員  越田 謙治郎 議員(川西市・川辺郡)

栗山 雅史 議員
 企画県民部② | 県土整備部 | 病院局 | 総括審査
石井 健一郎 議員
 財政状況 | 企画県民部① | 農政環境部 | 企業庁
小池 ひろのり 議員
 企画県民部② | 健康福祉部 | 産業労働部 | 公安委員会 |
教育委員会
越田 謙治郎 議員
 財政状況

<栗山 雅史 議員>

●企画県民部②

1 大学・企業との連携協定について
(1)大学との連携協定
(2)企業との連携協定
2 男性の家事・育児の参加について
3 特殊詐欺対策を含む消費者トラブル対策について
4 カムバックひょうごセンターの取組みについて

全文

質問日:平成29年10月10日

質問者:栗山 雅史 議員

1 大学・企業との連携協定について

(1)大学との連携協定

兵庫県は企画県民部を中心として、大学や企業との連携協定をこれまでに多数締結されてきております。最近では、産業労働部が主体的に取り組まれた「就職支援協定」がとても印象に残っておりますが、県内大学すべての37大学と、県外では東京都内の中央大学、専修大学と締結されたことは、兵庫県が若者流出対策に本気であるという姿勢を強烈に感じたところです。

さて、この就職支援協定のほかに、大学との連携協定は県内外の神戸大学、関西学院大学など6大学と「地域創生包括連携協定」を締結されており、地域づくり人材の育成や、出産・子育てを視野に入れたライフプランニング教育など、地域創生の実現に直結する施策の展開を図っておられます。

しかしながら、包括連携協定というのは多くの分野を包含するものなので、良い意味で考えればあらゆる分野での取組みが可能なのですが、目的と戦略を持って力を入れたい分野や取組みを決めなければ、連携の効果を十分に発揮できないのではないかと考えています。せっかくの連携協定ですから、連携の効果を最大化できるよう、毎年の重点的な取組みを決めるなど計画を策定し、また年度が終われば見直しをするというように取り組むべきではないかと考えますが、当局はどのようにお考えでしょうか。

決算審議ですので、まずは大学との地域創生包括連携協定の平成28年度の取組みの成果と、合わせて今後の見込みについてもご答弁ください。

(2)企業との連携協定

次に企業との連携協定についてです。県は平成21年の(株)ローソンとの締

結を皮切りに、現在までで計9社の企業と連携協定を締結されておられます。企業ごとに協定内容は少し異なりますが、主に地域の安全・安心に関することや、子育て支援・家庭応援に関すること、健康増進に関すること、観光振興、地域創生に関することなど多くの分野における連携を締結されています。最近では第一生命保険、東京海上日動火災保険、大塚製薬などとの連携協定が記憶に新しいところです。

これら企業との連携についても大学と同様ですが、連携の効果を最大化できるよう、毎年の計画策定や見直しなどを進めるべきと考えますが、当局はどのようにお考えでしょうか。企業との連携協定の平成28年度の取組みの成果と、今後の見込みについてご答弁ください。

2 男性の家事・育児の参加について

女性の社会進出が進む中、男性の家事・育児の参加をさらに促進すべきとして、県は男女家庭課を中心に施策を展開されておられます。昨年度予算は150万円、今年度は246万円余りが計上されておりまして、「父親の子育て応援セミナー」や「お父さん応援フォーラム」などに取り組んでこられました。

しかしながら、これらに参加されるのはごく僅かの人でありまして、世の中の全体的な「男性の家事・育児の参加時間が飛躍的に伸びた」とか、「女性の負担が少なくなった」というような報道等を見ることはまだありません。データ的なもので確認しても、例えば総務省が実施している平成28年の社会生活基本調査では、共働きで子供がいる世帯の1日の家事、育児の時間数ですが、家事では夫が15分、妻が3時間16分となっており、育児では夫が16分、妻が56分となっています。

女性の就業の形態がフルタイムなのかパートタイムなのか判明しませんが、いずれにしても女性に負担が大きくかかっていることがわかります。私は、もし夫と妻が両者ともに総合職というような同じ就業形態であるならば尚のこと、家庭を支える家事・育児は対等に、平等に負担すべきではないかと考えています。また、そのように男性の意識を大きく変化させなければいけないのではないかと考えています。

最近では「働き方改革」が進んできておりますし、ワークライフバランスに取り組む企業も増えています。長時間勤務をやめて、ライフとのバランスを取るその先には、男性の家事・育児参加の増加に繋げていき、女性の働く環境を整えていくことが大事なのではないでしょうか。まさに「家事と育児の男女間バランス」を図らなくてはならないのではないかと考えております。

そこで質問しますが、男性の家事・育児の参加促進について、昨年度はどのような結果を得られたのか。また、今年度はどのような施策を通じて、どのような結果を得たいと考えているかについてお答えください。

加えて、私は知事などのような立場の方から、「男性も仕事を早く切り上げて、家事や育児にもっと積極的に参加するように」など、機会を捉えて発言して欲しいなあと考えておりますが、企画県民部としては男性の家事・育児の理想像についてどのようにお考えか、ご所見をお聞かせいただければと思います。

3 特殊詐欺対策を含む消費者トラブル対策について

多様化・複雑化する消費者問題や総合的・体系的な消費者教育については、県及び生活科学総合センターと6地域センターにおいて、その対策と事業が進められております。

兵庫県内の消費者トラブルの苦情件数は3年連続で4万件を超えており、例を挙げますと、実在会社を語る架空請求やワンクリック請求、健康食品などの通信販売トラブル、点検商法、投資関連トラブルなどがあるようです。その被害者の多くは60歳代以上の高齢者で、インターネット上の知識不足や巧妙に仕掛けられた手口に騙されたり、あるいは弱みに付け込まれたりして被害に遭っているようです。

そして、最近特に心配しているのは被害額の大きい特殊詐欺です。何とか被害を食い止めなければならないと強く思いますが、手口が巧妙化し、また次々に新しい手口で仕掛けてくるため、被害が絶えないのが現状であります。県警とともに高齢者への啓発や見守り、ATMを設置する店舗の協力も得て成果を出しているケースもありますが、さらなる警戒が必要だと感じております。

さて、平成28年度の予算は2億7,484万円で、執行額は2億5,786万円でした。また、今年度の予算は2億7,889万円となっており、前年度とほぼ同額となっています。加えて、9月補正予算で特殊詐欺の未然防止対策として「事前警告機能付通話録音装置の無償貸出」など、国庫からの1,500万円の予算を可決しましたが、消費者被害は未だ高水準にあり、今後も十分な対策と啓蒙が必要であると考えております。

そこで、まずは平成28年度の取組みの成果を、そして今後の対策についてもどのようにお考えか、ご答弁をいただきたいと思います。

4 カムバックひょうごセンターの取組みについて

カムバックひょうごセンターは、東京一極集中の是正とUJIターンを実現するべく、平成28年1月に東京センターを、今年2月には神戸にもセンターを開設されました。取組みとしてはまだ1年9か月ほどですが、両センターへの来所者数はコンスタントにあり、またセミナー参加者数も伸びていると聞いております。移住者は今年9月末現在で18世帯31人となっており、今後も増加していくことを期待しております。

しかしながら、当然ではありますが、やはりハードルとなるのは移住後の仕事や住まい、家族の生活や教育環境などであろうと思います。相談者の状況は様々だと思いますので一様には答えられないかと思いますが、決算審議ですので基本的なことを含めて3点の質問させていただきたいと思います。

最初に、平成28年度の事業展開の結果、相談内容で多かったポイントや、移住のハードルにはどういった事情が多いのか、移住をされた方々の決断のポイントはどういうものが多かったのかについてお答えください。

次に、東京センターの相談者の年齢構成を見ますと、20代が31%、30代が33%と、比較的若い方々の相談者が多いと感じました。未婚か既婚か、子どもがいるのかいないのかはわかりませんが、いずれもまだ動きやすい年代なのかも知れません。そんな中、東京センターでは、県内大学の東京サテライトセンターに寄せられる首都圏在住者のUターン相談について情報共有をされていると聞きました。大変有意義な連携だと感じています。

しかし、サテライトセンターを設置している大学は一部ですので、それに加えて首都圏の大学に通う兵庫県出身の大学生や、多くなっている第二新卒の方々に、兵庫県内の仕事・移住の情報などが届くように工夫して欲しいと思いますが、前段のサテライトセンターとの連携を含めて、若い世代へのアプローチの状況と、今後の展望についてご答弁ください。

最後に、今後のセンター運営についてですが、相談体制や情報発信体制、予算など、今後必要だと感じることや不足していることなどについて、率直にお答えください。

●県土整備部

1 交通不便地域のビジョンについて
2 日本風景街道の活用について
3 津門川地下貯留管の整備について
4 通学路の安全対策の推進について

全文

令和元年度決算特別委員会【県土整備部】

質問日: 令和2年10月13日(火)

質問者: 栗山 雅史 委員

1 鉄道路線の早期復旧支援と事前防災・減災支援について

(1)被害を受けた鉄道路線の復旧などの支援について

平成29年7月九州北部豪雨や平成30年7月豪雨など、近年、頻発化・激甚化する豪雨災害により、鉄道に隣接する傾斜地が崩壊して土砂が流入して線路を塞いだり、河川に架かる橋梁が流失するなどの事案が発生しています。平成30年豪雨では、全国で32の鉄道事業者、115路線で運転休止が生じ、広島県などの路線によっては数か月間運行ができなくなるなど、県民の足に大きな影響を与えるものとなりました。兵庫県内においても姫新線、山陽本線、播但線等で運行休止となりました。その他、我が会派の向山議員も以前予算委員会で取り上げましたが、台風による被害として県内では神戸電鉄での被害もありました。

長い場合、数か月に及ぶ復旧期間中には、鉄道の代替手段としてバスを走らせていますが、これにかかる費用は多い場合何十億円という単位になるようです。それらはすべて鉄道事業者負担だったようで、国や地方自治体からの支援は全くなかったようです。これには大変驚きました。また、線路の復旧費用についても、当時は国や自治体からの支援が無く、こちらも全額鉄道事業者負担ということでした。その後、「鉄道軌道整備法の一部を改正する法律」ができ、赤字事業者だけが対象であったものが、黒字事業者の赤字路線も対象と改正されましたが、これでは黒字路線であれば支援を受けられない、復旧が進まないという面があります。

先週末にも台風がこの兵庫県にも接近しましたが、最近はいつ何時台風や集中豪雨によって、同じような被害が引き起こされるかわかりません。鉄道が止まって一番困るのはその路線を利用されている県民・市民です。鉄道路線が被害を受けた時に、県として何ができるのかを問い合わせましたが、「国の補助もないので黒字路線では復旧費用は支援できない」とのことでした。目の前で県民が日々の生活に困っているのに、国の補助がないからと言って、その代替手段の支援や復旧にかかる支援について、ご当地の県や市町が支援しないというのはいかがなものでしょうか。

被害の規模には大小あり、大きいものだと多額の復旧費用になるかもしれませんが、県民の普段通りの円滑な生活を送るための早期の足の確保に向けて、県独自でも支援ができるようにして欲しいと思いますが、当局のご所見をお伺いします。

(2)防災・減災支援について

台風や集中豪雨があった際に、被害を受けないように事前に対策を施しておく「事前予防」という観点も重要です。

中山間地域の中を走る路線は、山裾だったり、山中の谷筋のようなところに線路を敷いていることが多いです。また、河川を渡る橋梁についても、川の増水等によっては橋梁が流される可能性があります。斜面の法面崩落、そして土砂流入、盛土流出、橋桁流出、変電所沈没などの被害が起こる前に、危険性のある場所についての対策・強化を施す減災対策をするべきだと思いますが、これについても国の補助対象事業者は、「鉄道施設総合安全対策事業(豪雨対策事業)」では、JR西日本等の事業者を除くとされ、兵庫県の「豪雨対策費補助」では、JR西日本を除くとされています。

災害に備えるため、すべての事業者に対して兵庫県では独自の支援ができないのか、当局のご所見をお聞きします。

2 県道の保全、改良、整備について

(1)無料化した西宮北有料道路のその後について

私が県議会議員に当選した2011年、初めての一般質問で取り上げました「西宮北有料道路の早期無料化」については、私を含む西宮市選出の県会議員と一緒になって早期の無料化を強く訴えた結果、予定よりも3年前倒しで無料化を実現することができました。無料化されたのは平成30年の4月1日でありました。私は喜び勇んで、通行料金を取らなくなったこのトンネルを、用事も無いのにわざわざ通過しに行ったものです。

さて、無料化してから2年半が経過しました。市民、県民からはこの間、本当に多くの喜びの声をいただいているところでして、嬉しいですし、誇らしく感じています。しかしながら、無料化してからは想像していた通り、トンネルの交通量が増えているとの調査結果も出ているところです。交通量の増加による船坂交差点の渋滞が土日祝日を中心に発生していることもありますし、周辺の地域が交通量増加をどのように感じておられるのか気になるところです。県当局としてはそのあたりどのように感じているでしょうか。

また、無料化をする前に、トンネル壁面修繕や道路舗装、消火栓、火災検知器等の設備機器の更新など大規模修繕を行っていただきました。今では一般のトンネル、県道となった訳ですが、そのメンテナンスにかかる費用などについてはどのようになっているのか、現在の状況について併せてお答えください。

(2)大沢西宮線と阪急甲陽線の交差部について

この交差点は、本当に長い間対策が進まずにいた問題交差点でありまして、県道大沢西宮線と阪急甲陽線が交差するところに踏切があり、加えてその甲陽線に並行する市道も走っておりまして、信号機もなく、4方向から来る車両、バイク、自転車、歩行者が、いったい誰が先に通行するのか、直進するのか、左折するのか、右折するのかお互いにわからない状況で、お互いに顔を見合わせてソロソロと通行するという極めて通行に気を遣う、面倒で危険な交差点であります。この交差部の踏切は、県の「踏切すっきり安心プラン」にも位置付けられています。

阪急甲陽線が開業したのが1924年、大正13年のことで、1948年の航空写真では道路と鉄道が交差していることが確認できることから、今年は2020年ですので少なくとも70年間、この状態が続いてきたわけであります。過去には問題の解消のため、甲陽線の地下化を検討されたこともありましたが、夙川の沿道にある桜を伐採しなければならないなどの理由で沿線住民の反対運動があったことで、結局交差点の問題は解決しませんでした。しかし!ようやく、県や市の優秀な職員が改良策を考えていただいて、今年度から事業に着手し、令和5年には交差点改良工事が完了する予定となっています。

改良の内容を口頭でご紹介するのは難しいのですが、簡単に申し上げますと、県道に中央分離帯を設置すること、右折レーンを設置すること、周辺の市道の一方通行道路を双方向通行にするという複合的な改良工事になります。今回の事業により、車両やバイクがスムーズに通行でき、周辺の小学校、中学校の通学生の安全が確保できる歩道の拡幅も可能になります。

そこでお尋ねしますが、本事業を予定通り、あるいは予定よりも早く完遂していただきたいと思いますが、現在の課題や今後の見通しについてご答弁いただければと思います。

(3)生瀬門戸荘線の拡幅について

次は県道生瀬門戸荘線の拡幅です。西宮市宝生ケ丘の東にある一部分220mでは、車道幅員が狭小なため、車両の双方通行が困難な状態にあり、また、小学生の通学をはじめ、歩行者が多いにもかかわらず、歩道幅員も狭く、支障を来たしている部分の拡幅工事です。

この事業は平成29年度に事業を開始され、本年で4年目を迎えております。拡幅のための用地買収は順調に推移していると聞いておりますが、現在の進捗状況と今後の工事の見込みについてご答弁ください。

●病院局

1 診療単価の向上について
2 費用の抑制について
3 医師等の超過勤務とワーク・ライフ・バランスについて

全文

質問日:平成29年10月18日

質問者:栗山 雅史 議員

1 診療単価の向上について

毎年の病院局の予算・決算の資料などに目を通している中で、収入の確保の欄にある「診療単価の向上」という経営方針・目標について、私はずっと「経営上、これは良いことなんだ」と理解し、納得してきたように思うのですが、私は市議・県議として15年議員を務めておりますが、この時になってふと、この「診療単価の向上」について疑問を持つようになりました。「なぜ診療単価を毎年向上させるのだろうか。もし毎年上がっているなら、過去と比べたらものすごい診療単価になっているのではないか」と思いまして、この度、県病院局の担当課に過去20年分の入院・外来の診療単価の推移の資料を請求しました。

すると、予想を超える結果というか、驚いたのですが、20年前の平成9年、私が大学を卒業し、社会人1年目になった年ですが、入院単価は33,168円、外来単価は10,525円でした。それが今、毎年徐々に徐々に上がっていった結果、平成28年の入院単価はなんと69,000円、20年前と比べると2倍以上に。そして外来単価は19,509円、こちらも1.85倍になっていました。知らぬ間に診療単価は約2倍になっていたのです。

私は「診療単価はいつまで上がっていくんだろうか」と、とても心配になりました。消費税率や物価が上がることには国民は敏感で、その是非について議論をするのに、医療サービスに関する値上げには鈍感というか、知らぬ間に自己負担額が上がっているにも拘らず、文句を言えないのが現状ではないでしょうか。

そして、病院側が人知れず続けてきた「診療単価の向上」について、病院は大きく告知することも宣言することもなく、私たち患者は受け入れるしかなかったのです。私は今日、この「診療単価の向上」についてどう考えるべきか、質問をしていきたいと思います。

「診療単価の向上」には、2つの要因があると思います。一つは2年に一度改定されている、「診療報酬」と「薬価基準」です。これが上がったならば当然診療単価は上がります。なので、過去20年間のこの診療報酬と薬価基準の推移についてどう理解したら良いのか、県病院局にレクをしていただきましたが、結局、断定的に「上がっている」とも「下がっている」とも言っていただけませんでした。

診療報酬改定は薬価基準とともに通算されて、全体としてプラス改定だったり、マイナス改定だったりという表現をされているのですが、先ほどの平成9年からでいうと、プラス改定が5回でマイナス改定が6回ありました。

プラスマイナスの数値を単純に合計すると、マイナス9.416%でした。「診療報酬は全体的に下がっている」と言えるのかどうかは、私は専門家ではないのでわかりませんが、仮にマイナスでなくて、過去20年間変化無しだとしても、県立病院の診療単価が毎年向上して倍になっていったのは、もう一つの要因、つまり病院側が意図と意思をもって診療単価を上げてきた、ということになるのではないでしょうか。

現在、医療費の自己負担は3割です。仮に平成9年と平成28年の外来単価で計算しますと、平成9年が3,157円。平成28年は5,852円です。医療サービスなのでピンと来ないならば、例えば散髪代金に例えるとどうでしょうか。昔は3,000円だったものが、今6,000円でカットされているようなものです。高くないですか?お店を変えたいと思いませんか?しかし、県が提供する高度な医療サービスの比較なんて対象も多くありませんし、診療報酬単価に基づいて、医師が決めた処置や処方に対して、我々は文句を言いませんし、提示された診療費を支払うしかないのです。

私は、公立病院というのは「低廉で質の良い医療を提供する」というイメージをずっと持っていました。「低廉な」という言葉は、昔はあてはまっていたのでしょうか、今は聞くことも見ることもなく、むしろ高額な医療になっているのではないでしょうか。今後も「診療単価の向上」が続くならば、将来県立病院でお世話になるのは少し不安に感じます。

そこで質問しますが、なぜ診療単価を向上させようとしているのでしょうか。経営上の収支を合わせるためなのでしょうか。お答えください。そして、結果として患者の自己負担が大きくなっているわけですが、このことに対してどのように感じておられるのでしょうか。ご答弁いただきたいと思います。

 2 費用の抑制について

県は「自立した経営の確保」を目指しておられますが、収入の確保とともに、当然に費用の抑制についても力を入れなければなりません。県は、費用の抑制対策として、①給与比率の改善、②材料費比率の抑制、③経費比率の改善を掲げています。給与や材料費、経費については医業収益に対する比率の維持・抑制を努めるとありますが、ここ最近の状況はどうでしょうか。

過去10年のデータをいただきましたが、まず給与費から紹介しますと、10年間のうち、医業収益に対する比率が最も高かったのが平成19年の66.5%。もっとも低くて平成25年度の61.0%です。病院の経営指標の分析などによると、55%以上であれば要注意と言われています。ここ10年ずっと60%台で推移しておりまして、要注意レベルを超えている状態から改善することがなく推移しています。これで費用の抑制に努めていると言えるでしょうか。あまりにも長期にわたって改善していません。

次に材料費ですが、医業収益に対する比率は30%を超えており、県は以前、医業収益に対する材料費率を29.9%未満にすることを目標にしていましたが、ここ10年間で達成できた時もありましたが、30%台に悪化するなどしています。

これらの結果について県病院局はどう評価しているのでしょうか。費用抑制に努めるというのはスローガンばかりでしょうか。仮定の話ですが、費用の抑制が十分でないことを、先ほど質問しました患者一人一人の診療単価のアップに転嫁しているとしたら、それは絶対に許されないことです。

費用抑制の取組みはどのような状況であるのか、ご所見をお伺いします。

3 医師等の超過勤務とワーク・ライフ・バランスについて

最近では、長時間勤務による過労死や自殺などの事件が大きく報道されています。近いところでは、NHK記者の過労死について報道があったところです。働く者の健康を守ること、そして働く気力や生活の充実を図るため、国では働き方改革として長時間勤務の抑制などに取り組んでおりますし、県においても今年度に「県庁ワーク・ライフ・バランス宣言」をされたところであります。

私は今年6月の県議会の代表質問で「教員の過労死ラインを超える超過勤務」について質問をさせていただきました。ご承知かと思いますが、教員の皆さんは部活動の指導等による長時間勤務が多く、働く環境が現在もまだ改善できていない状況です。

そして、今回の決算特別委員会では吉岡議員から「警察官のワーク・ライフ・バランス」について質問がありました。「教員」、そして「警察官」、他には「消防」や「報道機関」といったような公的で特殊な勤務をされている皆さんは、どうしても長時間労働を当然視する気風が根強くあります。

同じく、医師や医療機関に勤務する人たちも、特に救急や外科などでは長時間労働が常態化しているという話をよく聞きますし、私の地元の西宮市立中央病院では以前、外科の医師が、長時間勤務を理由に病院で飛び降り自殺した事件がありました。

さて、県病院局からいただいた資料によりますと、平成27年度ですが、超過勤務が月100時間を超えた職員数が県立病院全体で118名いらっしゃいました。想像していた通り、医療現場の過酷な労働環境が明らかになりました。

昨今の働き方改革やワーク・ライフ・バランスの取組みについて、病院局も十分に意識をされておられると思いますし、それに合わせて医師等の働く環境を整えておられるかと思いますが、県立病院で働く医師などの超過勤務の勤務状況についてどう認識されているのか、ご所見をお聞きします。また、働く環境の改善に向けての取組みについてもご答弁ください。

●総括

1 平成28年度の地域創生の取組について
2 男性の家事・育児の参加について
3 里親・特別養子縁組制度の普及について
4 神戸製鋼所のデータ改ざん問題による県内企業への影響について
5 楽農生活の推進について
6 地域創生とモノづくり立県ひょうごを支える公立高等学校の職業 学科定員のあり方について
7 特殊詐欺等防止に向けた更なる啓発の推進について
8 県立病院の経営について

全文

質問日:平成29年10月20日

質問者:栗山 雅史 議員

1.平成28年度の地域創生の取組について

平成28年度は地域創生元年と位置付けられ、地域創生戦略に基づく地域創生に向け本格的なスタートを切る1年となりました。地域創生の大きな3つの目標は、人口対策で「自然増対策」と「社会増対策」、そして「地域の元気づくり」であります。平成28年度は約42億円の税金を投下し、多くの事業を推進してきましたが、決算審議ですので、掲げられた3つの目標に近づいているかどうかという観点から質問をしたいと思います。

1つ目は「自然増対策」です。5年間で出生数22万人、1年あたり44,000人という目標は平成27年度に続いて達成しました。しかし、出生数は減少傾向であり、今後の目標達成見込みについては厳しいのではないかと感じています。

「自然増対策」には基本目標として「多子型の出産・子育てが可能な社会を実現する」として、婚姻率や待機児童数、女性や若者の有業率、出会いサポート事業による成婚者数などに対してKPIとしての目標を掲げ、各種事業を展開してきました。KPIでは達成できたもの、達成できなかったものがありますが、いずれにせよ大きな目標は「自然増対策」の「出生数5年間で22万人」です。引き続きの努力が必要です。

2つ目は「社会増対策」です。人口流入増加として5年間で25,700人の目標を掲げています。平成28年度は3,560人の目標でしたが、達成できませんでした。

基本目標には「地域に根ざした産業を振興する」、「人や企業・資本が流入する兵庫をつくる」、そして「個性あふれる『ふるさと兵庫』をつくる」の3つを掲げ、こちらも各種事業を展開してきました。施策の多くは達成できており、KPIとしては概ね良好と言えます。

3つ目の「地域の元気づくり」は時間の都合上割愛しますが、我々が訴えたいことは、地域創生戦略の中で示した個別事業のKPIでは多くの目標を達成しているにもかかわらず、人口流入増加などの大目標が達成できなかった現実をどのように受け止めているのか、ということです。KPIの設定に問題があるのでしょうか。あるいは事業そのものが人口対策として効果が薄いのでしょうか。県として、この現状をどのようにとらえているのでしょうか。

地域創生の大目標の達成に向け、昨年度の地域創生の取り組みの評価とともに、今後どのような方針で臨むのか、ご答弁ください。

2.男性の家事・育児の参加について

この質問は、部局審査で私が質問をさせていただきました。

現在、「女性の社会進出」がどんどん進んでいます。であるのならば、男性も今のままではいられないのではないか、そう思ったことがきっかけでした。

政策創生部は「男性の家事・育児の参加の推進」を事業として展開しています。「女性の社会進出」と同時に、「男性は家庭進出」するべきではないだろうか、私も思っています。今こそ、家事や育児について夫婦間でどう分担すべきか、考え直す必要があるのではないでしょうか。そうでないと現実的に家庭は回りませんし、女性である妻にずっと負担をかけてしまうことになります。そんな家庭はまだ多いのではないでしょうか。ワーク・ライフ・バランスが進む中、男性陣、夫の皆さんは、もう平気で「仕事が大変だから」とか、「付き合いが多くて」とか言い訳せずに、なるべく早く家に帰り、家事や育児を分担するという意識をもっと高めていくべきではないかと考えています。

先日もご紹介しましたが、2012年に実施された国際社会調査プログラムによると、日本は世界一「夫が家事をしない国」なんだそうです。日本の夫婦の家事・育児の合算時間に占める男性の家事分担率は18.3%、わずか5分の1程度でしかない。1位はスウェーデンで42.7%、その他の主要国でいうとフランス38.6%、アメリカ37.1%、イギリス34.8%となっています。アメリカでは、父親は1日3時間程度、家事・育児をしているというデータがあります。

政策創生部での答弁では、知事や副知事が庁内放送や会議等で定時退庁や休暇の取得推進等を職員に呼び掛けるなど、家族と一緒に過ごしやすい環境づくりを率先して進められておられると聞きました。今までの「職場優先」の組織風土で働いてきた男性に、本当に長時間労働が必要かどうか見直してもらい、同時に家事や育児への参画の必要性についてさらに理解を深めてもらい、男女ともに「仕事に」「家庭に」活躍できる職場づくりを進めていただきたいと私も思っています。

こういったことは社会全体としての機運を盛り上げないといけないんだと思います。県自ら率先して、また知事や副知事から、イベントなどの事あるごとに、男性の家事・育児参加の必要性をお話しいただいて、家庭を持つ世代の職員の皆さんへの後押しをしていただきたいと思いますが、今後の取組みについてご所見をお伺いします。

3.里親・特別養子縁組制度の普及について

この質問は、健康福祉部の決算審議で、小池議員が質問された「赤ちゃん縁組(特別養子縁組)制度の充実」について聞かれたもので、また我が会派がこれまでも繰り返し主張してきたものであります。

小池議員がこの質問をされた想いは、私も本当によくわかります。産まれてすぐの子どもが、自分の親に育てられることなく、社会のシステムのように乳児院に直行することになるのは私も忍びないと思いますし、本当に可哀そうだと感じます。

子どもが実の親や家庭から離れて生活しなければならない理由には、保護者の家出や離婚、病気など様々な事情があるかと思います。しかし、親の深い愛と温もりの中で、安心した気持ちで育つということは、何ものにも代えがたいことだと思います。小池議員の質問の中でありましたように、家庭という憩いの場を知らずに育った子供は、社会生活の面でも問題を引きずる場合が多々あると言われています。また、ある研究では施設で2歳まで育った子どもは、里親委託された子どもに比べて、甚大な脳の障害を負うというデータを公表しています。

乳児院があるということ、そして児童養護施設があるということは、社会の制度として存在していること自体ありがたいことですし、備えておかなければならない制度だと思います。しかし、やはり幼い子どもにとっては、他人であっても親代わりの深い愛情に包まれて、家庭の中で健やかに育つことが発育上望ましいんだと思います。それを実現するのが里親制度であり、特別養子縁組です。

実は今月10月は「里親月間」なんですね。県のホームページに書いてありました。この里親月間にあわせて、県は里親制度の普及啓発を図るために、一般県民の方を対象に里親出前講座等を開催されているようです。

小池議員への答弁では、平成28年度末で里親登録は357組となり、里親委託児童数は179人に増えて、推進計画を上回る状況にあると言われました。また、児童養護施設や乳児院等の施設の小規模化、地域分散化、ユニットケアを進めてこられ、施設の定員は平成29年度で1,064人にまで減少していると答弁されました。我々の想いにお応えいただき、家庭的養育の環境を着実に推進していただいていることに感謝いたします。

答弁では、「赤ちゃん縁組」が進んでいない理由として、こども家庭センターが医療機関等と十分連携してこなかった点が挙げられるとありました。ぜひその点を見直して強化していただきたいと思います。児童虐待が増えて、こども家庭センターの負担は増すばかりで心配もしておりますが、今後もさらに里親制度の普及に取り組んでいただいて、里親委託、養子縁組件数をもっと増やしていただきたいと思いますが、その決意をお聞かせいただきたいと思います。

4.神戸製鋼所のデータ改ざん問題による県内企業への影響について

神戸製鋼所がアルミ製品などの性能データを改ざんしていた問題が発覚して2週間近くになりました。農政環境部の部局審査でも平成18年に発覚した環境データの改ざんをはじめ、グループ企業による様々な不正が続いていることが取り上げられていました。

この問題の影響は、製品納入先の自動車メーカーから鉄道、航空宇宙、防衛分野まで広がっており、大規模なリコールや訴訟に発展する可能性を含んでいます。

帝国データバンクが16日に公表した調査によると、国内の取引先は約6,100社に及ぶことが判明しました。中小企業がその過半を占めているようですが、不正問題の今後の広がり次第では、県内の多くの企業ユーザーや取引先にも影響が出てくるのではないかと心配しております。

調査によると、神戸製鋼所グループの国内取引先は47都道府県全てに及んでいるようで、下請けと部品などの仕入れ先が3,948社、製品の販売先は2,688社だそうです。重複を除けば、国内6,123社と取引していることになるようです。都道府県別では大阪府の1,146社が最も多く、全体の2割弱に上り、2位は主力の製鉄所がある兵庫県で997社、東京都が875社だそうです。兵庫県経済や関西経済、日本や世界にも大きな影響を及ぼす大事件になるのではないかと考えております。

現在、神戸製鋼所からの調査結果の公表や、同社の今後の対応を見極める必要があるとは思いますが、これだけの規模の事件ですから、リコールなどによる巨額の損失補てんによって同社の経営は大きく悪化すると思われます。その影響が県内企業、県内経済にも大きく反映されるのではないかと思いますが、県としてはどういった事態を想定し、県としてどういった対応策を取るべきであるとお考えでしょうか。現時点ではまだ全容がわからないところではありますが、今のうちから様々な事態を想定しておくべきではないかと思いましたので質問させていただきます。

5.楽農生活の推進について

この質問は、農政環境部の部局審査の際、我が会派の石井健一郎委員が質問をしたものですが、答弁内容を聞いて少し物足りないと感じましたので、さらに突っ込んで質問をさせていただきたいと思います。

石井健一郎委員から、楽農生活の推進の中で「ひょうご市民農園整備推進事業や田舎暮らし農園施設整備支援事業について、その予算が消化しきれていないことが目につく」と指摘し、その実態についてご答弁いただきました。

両事業の平成28年度の取組みが低調に終わった要因として、ひょうご市民農園整備推進事業では、都市部において税務署との協議に時間を要したことや、不特定多数の者が訪れることへの周辺住民の抵抗感があったこと、また農村部では利用者確保が困難だったことなどの理由から、マッチングできずに開設が進まなかったと答弁されました。しかし、このようになった結果は、いずれも開設する前、準備段階で把握できる内容ではないかと感じました。

私はこれらの事業を円滑に、そして成功させるポイントは、事業者つまり土地所有者の農家さんに対して、市民農園の開設がスムーズにいくように、行政がもっと手厚くサポートをしてあげることではないかと感じました。農家さんは、そもそも補助金申請や文書作成などに不慣れな方が多い気がしますし、周辺住民への理解を得るというのも、一人でやるのは大変なことです。

市民農園を利用したいという団塊の世代などの需要は大きいと思いますので、さらなる市民農園開設を目指してほしいと思っていますし、利用者とのマッチングについても情報が届き、そして煩雑な手続きがなくて簡単に利用できるように工夫をしていただきたいと思います。

それでは質問します。県では楽農生活の取組全体として、市民農園の開設数や市民農園利用者数の目標は一部ではあるものの、全体としてはないと聞きました。補助金がしっかりと使用されるように目標設定することが重要と考えますが、いかがでしょうか。また、市民農園の開設にあたっての法令や手続き等に関して、土地所有者の農業者に対する環境整備のハードルを低くするためのアドバイスやフォローを積極的に実施することが、楽農生活のますますの推進のために必要と考えますが、ご所見をお伺いします。

6.地域創生とモノづくり立県ひょうごを支える公立高等学校の職業学科定員のあり方について

この質問は、我が会派の小池議員が質問しました「県立工業高等学校の支援強化について」を基に、人手不足で苦労されている県内企業や、地域創生の観点で若者の県内定着を図って施策を展開していることを意識しながら、県内公立高等学校の職業学科を中心とする定員について、将来的にどう考えるべきかという主旨の質問であります。

小池議員の質問から少し引用しますが、日本、特に我が兵庫県のモノづくり産業は世界に誇る産業であります。そのモノづくり産業で勤務されている方々の中には、地元の工業高校を卒業した方も多くおられるのではないでしょうか。そして、工業高校を卒業された方々は、高卒で就職した人の5割が離職するといわれている中、1割から2割の離職率であり、企業定着率は高いということもご紹介がありました。工業高校生に対する生涯にわたる職業観の形成を支援するキャリア教育や職業教育の充実が伺えるところではないかと思っています。

小池議員の質問を踏まえ、我が会派として思うことは、少子化で生徒数が減り、全体的に学級数を減らすことは理解するが、地元企業への貴重な人材供給源となっている工業高校生の枠を一律に減らすということは、地域創生の観点からも、また現在の企業の人手不足を解消する意味からも、将来を見通した十分な配慮と考慮が必要なのではないかということであります。

折しも、本日朝刊にて、兵庫県の平成30年度の公立高等学校生徒の募集計画について報道がなされました。それによりますと、工業学科は2学級80名の減となるようであります。大変残念に思っています。その他の職業学科では農業学科が1学級40名の減となっています。

教育委員会からの答弁では、「工業科の役割やその重要性については十分に認識しており、将来の工業各分野で技術者として活躍できる人材を育成する」と答えられました。そして、「進学希望状況などを踏まえながら、適切な学級数の設定に努める」とも答えられましたが、再来年度以降は今一度、地域創生の観点や地元企業への貴重な人材供給源となっているという観点で、工業高校をはじめとする職業学科の定員について、特段の政策的配慮が必要ではないかと考えますが、教育長のご所見をお伺いします。

7.特殊詐欺等防止に向けた更なる啓発の推進について

この質問は、私が企画県民部②で質問させていただいた「特殊詐欺対策を含む消費者トラブル対策について」の続編ということで、今度は取締りなど特殊詐欺対策の前線におられる県警本部に、特殊詐欺等防止に向けた更なる啓発の推進について質問をします。

この9月定例会においても、各会派の代表質問や一般質問で特殊詐欺に対する質問がありました。私はまず、県警察へのこの質問の機会の前に、特殊詐欺対策防止の啓発を行う企画県民部の部局審査がありましたので、消費生活課ではどのような啓発や対策を行っているのか質問しました。未然防止対策としては、通話録音装置の貸出や啓発DVDの作成などの対策を強化していくとの答弁がありました。しかしながら、特殊詐欺はその手口が巧妙化しており、被害が増加しています。水際で被害を防止することが重要であることは言うまでもなく、警察当局や県の消費生活部局のどちらも、様々なメディアや機会を通じて被害防止に向けた広報啓発を展開しておられます。

今回質問したいのは、特殊詐欺対策等で同様の啓発業務を行う県警察と県消費生活部局が、効果のある一体的な取組みをしているのかどうかということです。どの程度の連携ができているのか、また被害防止に効果があがっているのかどうかです。

県の消費生活部局も長年にわたって消費者行政を担ってきていますし、特殊詐欺を含む様々な消費トラブルに対応してきた知見があります。見守り活動等もされています。県警察当局と県消費生活部局が密に連携し、情報交換しながら犯罪に向き合っていけば、県民の被害防止に大いに資するのではないかと期待しています。

そこで質問しますが、県警察として、今後の特殊詐欺対策をさらに進めるために、県消費生活部局との関わりが現在どのような状況であるのか、お聞かせいただきたいと思います。また、今後の連携のあり方についてどうお考えか、ご所見をお伺いします。

8.県立病院の経営について

病院局の部局審査では、私から「診療単価の向上はなぜ続くのか」、「費用の抑制ができていないのではないか」、「医師等の超過勤務とワーク・ライフ・バランスはどうなっているか」という3点を質問させていただき、県立病院全体の経営の課題、そして患者目線での診療単価の負担感について指摘しました。

まず、「診療単価の向上」では、この20年間で入院・外来ともに約2倍になっており、患者の負担感が増していることを指摘しました。診療単価が向上してきた理由は、国の定める診療報酬改定のもと、県立病院の役割の変化や高度で濃厚な医療を提供することにより、上がっているものだとの答弁がありました。その経緯と背景については理解しました。しかしながら、病院局の経営目標として「診療単価の向上」を掲げるというのはいかがなものか、という気持ちは拭えませんでした。

また、今後も診療単価は向上していくのかと尋ねたところ、「県立病院の役割が取り巻く医療環境が変わってきており、地域包括ケアシステムが進む中では、おそらく高度急性期あるいは急性期の役割を担い、重篤、重症患者を受け入れることになって、高い診療費に繋がるという傾向は今後も続くことが予想される」ということでした。理解はしますが、高度な医療を受けようとすると、多額の費用がかかるということなんだと改めて認識することになりました。

次は経営についてです。私からは、医業収益に対する給与費、材料費、経費の比率が高く、費用抑制の取組みは甘いのではないかという指摘をさせていただきました。それに対し、「早急に改善すべき課題であると認識している、今後も引き続き費用抑制に努めてまいりたい」との答弁がありました。この答弁を信じますが、目標はまだまだ低いと感じましたし、その目標でさえ達成するのはハードルが高いのではないかと感じざるを得ませんでした。この20年間で患者数は外来で59万人、入院で19万人も減少しているのに、職員数が1,500人以上も増加していて、給与費の増加が経営収支の悪化に繋がっているのではないかとも感じます。

医師等の超過勤務とワーク・ライフ・バランスについては、「長時間労働が生じている現状については病院局としても課題であると認識している」とのことで、国の進める「働き方改革実行計画」での医師の時間外労働規制について注視するとともに、「県立病院におけるワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、問題意識を持って取り組んでいく」との答弁をされました。

以上、部局審査でのやり取りを振り返らせていただきましたが、私から今一度質問したいのは、おそらく、いろんな意味での「バランスはどうか」ということなんだと思います。県立病院は、今まで以上に高度な医療を提供する専門機関となっていくでしょう。しかしながら、患者の金銭的負担についてはどう考えてもらえるのか。配慮はできるのか。そのバランスです。高度な医療を提供することによって医業収益は上がると考えられますが、その収益に対するコストは過剰ではないかということ。給与費、材料費、経費。そのバランスです。そして働く医師や看護師などの職員のワーク・ライフ・バランス。心身ともに健康な状態で業務に励んでいただくことによって、健全で快適な医療を提供できるんだと思います。

以上のような観点から、私は、病院局として、何か甘えというか、県立病院なんだからいいだろうと許されるというような考え方や雰囲気があるのだとしたら、それこそがいろんな意味でのバランスを欠く原因となっていないかと危惧しているのです。

明確な質問となっていないかも知れませんが、今後の病院経営について、病院事業管理者からの率直な意見とお考えをお聞かせいただきたいと思います。

栗山 雅史
西宮市

<石井 健一郎 議員>

●財政状況

1 県及び公社等の積極的な資金運用について
2 先行取得用地の地元市町における利活用について
3 超過課税活用事業の理解促進について
4 課税自主権の活用について

全文

質問日:平成29年10月6日

質問者:石井 健一郎 委員

1 県及び公社等の積極的な資金運用について

県及び公社等の資金運用については、平成25年に県が策定した「兵庫県及び関連公社等資金運用指針」に基づき、より一層の運用効率性と安全性の向上を目指す取組が行われています。

その結果、同指針の運用対象とならないリスクが高いと考えられる金融商品による資金運用は減少し、公社等の資金運用業務の透明性が向上したことは、学識者や格付機関の有識者、公認会計士等で構成する「兵庫県資金管理委員会」においても一定の評価がなされているところです。

もちろん、安全性に留意した資金運用がなされることが大前提ではありますが、現在の超低金利環境が長期化している状況を踏まえますと、中長期的には運用資産が減少し、事業の実施に支障が生じる恐れもあります。

県の健全な財政運営、公社等の安定的な経営を継続するためには、より有利な資金運用のあり方について検討すべきと考えますが、見解をお伺いします。

また、資金運用にあたっては、「兵庫県資金管理委員会」の指導、助言を受けていますが、資金運用を担当する県や公社等の職員は、専門職ではなく、異動もありますので、ノウハウが継承されるのかといった懸念もあります。

私としては、例えば適切な資金運用を提案するアドバイザーを県に設置すること等を検討してもいいのではないかと考えますが、あわせて見解をお伺いします。

2 先行取得用地の地元市町における利活用について

県では、ゴルフ場の乱開発防止をはじめ、さまざまな理由から土地の先行取得を行ってきましたが、先行取得用地の中には、地元市町の強い意向を受けて取得したにもかかわらず、社会経済状況の変化によって利活用が困難となっているものがあります。

私は、平成28年度予算特別委員会において、こうした地元市町の要望で県が先行取得した土地については、地元市町にも何らかの負担を求めていく必要があるのではないかと質問をしました。

その際、第3次行革プランの総点検に取り組む中で、こうした先行取得用地については、地元市町と十分に協議を行い、利活用方策の検討を進めるとの答弁をいただいたところです。

そこで、地元市町と土地の利活用に向けた協議が進められているのか、その状況についてお伺いします。

3 超過課税活用事業の理解促進について

法人県民税法人税割の超過課税は、現在の9期目の事業において、充当事業の重点化を図りつつ、勤労者の仕事と生活の調和を推進するという観点から、勤労者の能力向上と労働環境の整備への支援や子育てと仕事の両立支援、子育て世代への支援に充てられているところです。

しかしながら、今までのCSR事業と違い、9期目の事業が超過課税から拠出されているという感覚があまりないのではないでしょうか。

企業の立場からみると、地域貢献しているという実感に乏しいのではないかと思います。これからも超過課税を活用した事業を推進していくならば、少し工夫が必要ではないかと考えます。

また、県民税均等割の超過課税である県民緑税は、企業はもとより一般の県民からも徴収している税金です。これにより、災害に強い森づくりや都市緑化において成果を上げていますが、これも県民からその成果が見えにくくなっています。

県民緑税を活用した事業が広く認識されるよう、例えばより多くの人口を抱える都市部での緑化事業を一層推進すること等により、県民緑税の見える化を図る等の工夫が必要ではないでしょうか。

いずれにしても、課税自主権を活用した超過課税は、その事業に対し、企業や県民の理解を深めることにより安定した事業継続につながっていくと思います。税を納めていただく企業や県民への理解促進への取組について当局の見解をお伺いします。

4 課税自主権の活用について

平成12年4月の地方分権一括法による地方税法の改正により、法定外普通税について許可制から協議制に改められるとともに、新たに法定外目的税の創設が可能となったことから、産業廃棄物税や宿泊税などが創設されたところです。

兵庫県では、県民税均等割超過課税として、先程質問いたしました「県民緑税」を平成18年度に創設し、最終2カ年行財政構造改革推進方策でも自主財源を確保する手段として「法定外税等の導入の可能性を検討する」とされています。

一方で、県税の平成28年度決算額は27年度決算額を若干下回る見込みであるほか、平成29年度の県税収入は当初予算計上額の確保が厳しいことが見込まれ、臨時財政対策債を含む普通交付税総額も当初予算額を下回っているなど、本県の財政は引き続き厳しい状況にあります。

これらを踏まえると、自主財源を確保するためには、課税自主権のさらなる活用に向けた取組を進めるべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

●企画県民部①

1 地方分権の取組について
2 「ひょうご安全の日のつどい」について
3 被災地への任期付職員の派遣について
4 競馬事業について
5 県立美術館王子分館のあり方について

全文

質問日:平成29年10月10日

質問者:石井 健一郎 委員

1 地方分権の取組について

本格的な人口減少社会を迎え、東京一極集中が大きな課題となる中、地域を自らの手で造る地域創生の取り組みを本格化する必要があります。

そのためには行政システムを中央集権型から、地方分権型に転換することが必要であるという認識のもと、県においても地方六団体や関西広域連合の枠組みの中で様々な取り組みを続けられていることに敬意を表します。

しかし、東京一極集中の是正や地方の財源確保、また、特区制度の利用等をはじめ様々な地域創生の提案をおこなってきているものの、インパクトに欠けている面は否めない状況です。

一方で、今年度に提言された中央集権制限法はなかなか難しい提案ですが、インパクトがあります。これは、「国の役割を外交や防衛、司法等に限定し、それ以外の事務・権限を財源と共に地方に移譲する」といった、わかりやすい提案であると感心したところです。

そこで、地方分権の取組について、県のこれまでの成果や問題点、それらを踏まえた今後の展望をお伺いします。

2 「ひょうご安全の日のつどい」について

阪神・淡路大震災から20年以上が経過し、記憶の風化が懸念される中、震災の経験や教訓を後世に伝えるために開催される「ひょうご安全の日のつどい」は、神戸、兵庫県にとって大切な事業です。

このつどいでは、「-1.17は忘れない-」、「伝える」「備える」「活かす」をテーマとして、「ひょうごメモリアルウォーク」や防災展示、体験学習、防災訓練等が実施されています。

なかでも、「ひょうごメモリアルウォーク」は、復興した街並みや震災モニュメントを巡って防災意識を高めるとともに、交通機関の途絶を想定した災害に備えるため緊急時の避難路、救援路として整備された山手幹線等を歩くなど、大変意義深いものと考えています。

しかしながら、震災20年という節目の年が過ぎ、ひょうご安全の日である1月17日が平日の場合は、参加者が減少する傾向にあるようです。

国内外で大規模な自然災害が頻発する中で、震災の経験と教訓を発信、継承する「ひょうご安全の日のつどい」の意義は、ますます重要性を増していると考えます。

そこで、「ひょうご安全の日のつどい」により多くの県民が集えるよう、知恵を出さなければならないと思いますが、県としてどのように考えているのか、お伺いします。

3 被災地への任期付職員の派遣について

これまで県では、東日本大震災の被災地である宮城県に任期付職員を派遣しています。被災地の復興に役立つ人材を派遣することは有意義であり、今後とも進めていかなければならないと考えます。

その一方で、任期付職員の派遣については、最終的には全て国費で賄われ県負担はないということですが、県が行う以上、例えば県内雇用に寄与することや、被災地に派遣した職員の知見がこれからの県防災に役立つこと等が求められます。

そういった中、任期付職員の出身地を拝見すると、県出身者、宮城県、その他が1/3ずつ程度であり、任期終了後の就職は約束されていないとのことであります。

県出身者は、そうは言っても任期終了後に兵庫県に帰ってくることもあると思いますが、それ以外は、なかなか兵庫県にきて就職される可能性は低いのではないでしょうか。

他の都道府県で同様の事業が行われていれば、兵庫県を選ぶというよりも単に給与が高いところを選択している可能性もあるように思います。

以上のことを踏まえると、任期付職員の派遣を県が主体となって行うことの必要性が低いように思われます。また、国費負担であればむしろ、国が全国一律で主体的に取り組む事業のようにも思われますが、県として被災地に任期付職員を派遣する意義と、派遣職員の経験を今後の防災行政にどのように活かしていくのか、見解をお伺いします。

4 競馬事業について

兵庫県の競馬事業は、現在、大井、川崎競馬に次ぐ全国3位の売り上げを誇っていますが、全盛期と比べて入場人員や売り上げの減少が続き、一時は存続すら危ぶまれたところです。

昨今の夜間開催やJRA馬券の取り扱い等もあり、売り上げが増加したことにともない経営状況も改善されたということで、県としても競馬事業存続を決め、園田・姫路競馬場の改修工事を行っていると理解しています。

しかしその一方で、競馬人口も減少傾向にあり、競馬場を訪れる利用者が今後減少することが懸念されます。

競馬はお金を賭けるといったネガティブな印象からか、観光客の動態統計にも競馬場は入っていませんが、例えば近代競馬発祥の地であるイギリスでは競馬場を英国王室が所有していますし、年間の観客動員数はイギリス国内ではサッカーに次ぐ人気を持つスポーツであり、日本との認識のかい離に驚かされます。

厳しい財政状況下、県費をかけることは今後難しくなるということを考えると、地域活性化に寄与し、地元と共生する中で利用者増を図ることにより、経営を安定させることも考えなければならないかもしれません。

そこで、競馬事業の昨今の取組の成果と私が申し上げましたことも踏まえ、競馬事業に対する今後の事業展開のあり方をお伺いします。

5 県立美術館王子分館のあり方について

県立美術館王子分館は、耐震補強、大規模改修した原田の森ギャラリーと横尾忠則美術館からなり、広く県民に親しまれる施設として整備されています。

原田の森は、県民の作品発表、創作活動の場として、また、横尾美術館は著名な現代美術に触れる場として大きな役割を果たすことが期待されています。

さて、その一方で地元とのつながりが薄いように感じられ、寂しい思いがいたします。

原田の森、横尾美術館はともに、その場所を目指して来場される利用者が多く、近隣に及ぼす影響が少ない中、地元の方には王子分館に親しみを持っていただくことが大切です。

ご承知の通り県においても、この周辺はミュージアムロードとして、県立美術館との間で近隣の賑わいづくりを一つの目標としており、神戸市立王子動物園との連携も期待されるところです。

また、横尾美術館と地元商店街とのコラボも一部で行われていますが、極めて限られた範囲であり、今後の新しい展開が求められています。

そこで、県立美術館王子分館のこれまでの取組と県の考える王子分館の役割について、見解をお伺いします。

●農政環境部

1 楽農生活の推進について
2 森林管理100%作戦について
3 今後の再生可能エネルギーの導入のあり方について
4 省エネの推進について
5 おいしいごはんを食べよう県民運動について

全文

質問日:平成29年10月13日

質問者 石井 健一郎 議員

1.楽農生活の推進について

本県では、県民が気軽に食と農に親しむライフスタイルとして楽農生活が提唱され、その体験や実践ができる拠点として兵庫楽農生活センターを整備するとともに、楽農学校事業、楽農交流事業ほか、市民農園の整備等が推進されている。新しいライフスタイルの確立に向けて、さらに多くの県民が農に親しむよう周知に努めていただきたいと思う。

その一方、推進すべき施策であるひょうご市民農園整備推進事業や田舎暮らし農園施設整備支援事業については、その予算が消化しきれていないことが目につく。

市民農園を利用した、あるいは利用したいという方は、私の周囲でもよく聞くので、都市住民にとってニーズの高い事業であると思う。また、田舎暮らし農園については、遊休農地を家庭菜園等として利用するときに、農地の整備やベンチ、トイレ等を設置する場合に補助しようとするものであり、これも遊休農地の有効活用を図る点において意義があると思っている。

それだけに、どちらの事業もあまり利用されていないことを残念に思っている。これは、マッチングがうまくいっていないということではないかと思うのだが、そもそも事業を開始前に、うまくマッチングさせるための課題等について、その見込みも含め、少し整理が足りていなかったからではないかとも考える。

そこで、ひょうご市民農園整備推進事業と田舎暮らし農園施設整備支援事業を更に充実させるための方向性を、県としてはどう分析しているのか、そして、それを踏まえてどう取り組んでいるのか伺う。

2.森林管理100%作戦について

森林は、木材生産のみならず、CO2の吸収機能や土砂災害や洪水等の災害防止、水源の涵養、保健・レクリエーションの場等多面的な機能を持っており適切な管理が必要です。

そのため、本県では、平成24年度から33年度にかけて新ひょうごの森づくり第2期対策に取り組まれているが、その中で森林管理100%作戦について伺いたい。森林管理100%作戦の内容は、間伐と作業道整備に分かれている。この8月に28年度までの実績が公表されたが、それを見ると、作業道の方は、平成28年度末目標に対する達成率が101.7%で、目標以上の進捗を見せている。一方、間伐の方はというと、達成率50.8%と低くなっている。

新ひょうごの森づくりは、この森林管理100%作戦以外に、里山林の再生、森林ボランティアリーダー養成、企業の森づくりという事業からなっているが、それぞれの達成率を見ると、118%、103%、97%と概ね計画通り進んでいるのと比べると、やはり低いように感じる。

原因は、平成24年度以降、国の施策が切捨間伐から搬出間伐に転換されたこと、奥地等条件不利地での間伐が進んでいないこと、そして、境界や所有者の不明な森林の間伐が進んでいないことがあげられているが、特に、最後の境界や所有者不明というのは長年の課題であって、事業開始当初から予想されたであろうと思う。

冒頭述べたように、森林は我々の生活にとって重要な機能を有している以上、その整備を促進していかなければならない。そこで、特に森林管理100%作戦を計画通り進めていくためにも、境界や所有者不明という長年の課題について早期の解決が求められると思うが、県の取り組みを伺う。

3.今後の再生可能エネルギーの導入のあり方について

国が平成27年7月に公表した長期エネルギー需給見通し2030年度の電源構成では、ベースロード電源として再生可能エネルギーが22~24%、今後の再稼働は不透明ではあるものの原子力が22~20%、天然ガスが27%、石炭・石油火力が29%となっており、実現に向けてさらなる再生可能エネルギーの導入が必要である。

県においては、地球温暖化対策を推進するため、2030年度に発電量70億kWhの再生可能エネルギーを導入する計画となっているが、その内訳を見ると、太陽光発電が約51億kWhで全体の70%を占めている。次に多いのがバイオマス発電の10.4億kWhなので、いかに太陽光発電の割合が大きいかがわかる。

ただ、太陽光発電に偏っているということは、課題となることもあるのではないか。それは、将来、太陽光発電に係るパネル等設備が更新になった時に、たとえば今の買取価格の水準でなければ、家庭においても事業者においても、今ほど導入しようとしなくなるのではないか。あるいは、無秩序な設置により近隣に迷惑がかかる事例や、景観を破壊するなどの事例もある。また、現在設置されている太陽光パネル等が老朽化し、一斉に撤去された場合の廃棄問題などの課題も想定される。事実、環境省では、将来の大量廃棄に対応するため、平成28年3月に「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を発表している。

そういった課題も踏まえつつ、本県における今後の再生可能エネルギーの導入のあり方についての見解を伺う。

4.省エネの推進について

我が国のエネルギー政策は、東日本大震災における福島第一原発の事故の教訓を踏まえ、安全性の確保を前提に、エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境への適合を同時に図ることが不可欠になったと言われている。

特に環境面でいうと、地球温暖化防止の観点から、いわゆるパリ協定を踏まえ、県においても2030年度に2013年度比26.5%温室効果ガスを削減するという目標を掲げた兵庫県地球温暖化対策推進計画を28年度に策定している。

この計画を見ると、温室効果ガスの具体的な削減対策として、省エネ設備の導入推進、住宅の省エネ化、省エネ啓発など、省エネによる対策が目に付く。引き続きこの省エネというものをもっと進めていくことが大切であるが、懸念されるのは県民の省エネへの意識である。

東日本大震災を受けて原発がすべて停止された時には、厳しい電力需給を踏まえた節電目標の設定があり、経済活動や社会生活への影響の懸念もあったため、節電意識は高まりを見せ、結果、大きなトラブルもなく乗り切ってこられた経緯がある。しかし、震災から早6年が過ぎ、当時より省エネに対し、県民の意識もがうすくなっているのではないか、また、省エネの多くは日常生活に少なからず不便を強いることであることからも省エネの継続が懸念される。

せっかく意識が高まった省エネの取組を、今後も長いスパンで取り組んでいくことこそが重要であると考えるが、省エネへの取組みとして、どのように取り組んだのか伺うとともに、今後どのように推進していくのか見解を伺う。

5.おいしいごはんを食べよう県民運動について

おいしいごはんを食べよう県民運動は、平成9年度から始まったということである。そのねらいは、生活習慣病を予防する食生活の啓発、国内食料自給率の向上、水田の持つ環境保全と災害防止機能の維持及び震災を教訓とした農業・農村の活性化とされている。国内で自給できる数少ない農産物である米の生産力を維持するためにも、引き続き事業を継続させる必要がある。

おいしいごはんを食べよう県民運動は、27,641千円の予算を使っており、ひょうご農林水産ビジョン2025によれば取組の成果指標を「ごはん食普及啓発実践活動参加者数」を平成37年度に100万人にすることとしている。

私としては、果たして先のねらいに対し、その成果指標だけでいいのか、という思いがある。そこで、まず、その参加者数以外、どういった取組の成果があったのか、それをどのように評価しているのか伺う。

次に、この運動の進め方であるが、今後とも継続しておいしいごはんを食べよう県民運動は広げるにあたっては、会員や関係事業者の自主的な取り組みに委ね、県はフォローするというやり方もあるのではないかと思う。そこで、運動の進め方について、今後の県の関わり方を含め、どう取り組んでいこうとされているのか伺う。

●企業庁

1 工業用水道事業について
2 創エネ・省エネの推進について
(1)メガソーラープロジェクトの28年度の実績について
(2)メガソーラープロジェクトの今後の収支見通しについて
(3)創エネ・省エネの今後の取組について
3 潮芦屋の魅力的なまちづくりについて
(1)住宅用地の分譲状況について
(2)環境に配慮した取組について

全文

質問日:平成29年10月18日

質問者:石井 健一郎 委員

1 工業用水道事業について

工業用水道事業の契約率については、概ね順調であるものの、加古川工業用水道の契約率についてはその低さが目立っています。

高度成長期においての工業用水の需要量の見込み違いが大きな理由であるとされていますが、引き続き契約率の引き上げに努める必要があると考えます。

契約率を引き上げるためのこれまでの取り組み状況について伺うとともに、今後の対策について見解をお伺いします。

2 創エネ・省エネの推進について

(1)メガソーラープロジェクトの28年度の実績について

本県では、兵庫県地球温暖化対策推進計画に基づき、低酸素社会の実現を目指し、再生可能エネルギーを積極的に作り出す創エネと、エネルギーの消費量の抑制を図る省エネに精力的に取り組んでおられます。

企業庁のメガソーラープロジェクトは、自ら保有する資産を有効活用し、採算性を確保しながら再生可能エネルギーの普及拡大に取り組んでいる先導的取組ではありますが、初めてのこと故に想定外、あるいはネガティブなことがあったかもしれないと考えます。

そこで、平成28年度のメガソーラープロジェクトにおける発電量と収支実績についてお伺いするとともに、これまでの取組状況についてあわせてお伺いします。

(2)メガソーラープロジェクトの今後の収支見通しについて

メガソーラー事業で一つ懸念しているのが、この事業が終了するまでの収支見通しについてです。

収入においては、太陽光パネルが経年劣化していく中、発電量の低下を見込んでいるのでしょうか。支出では、維持管理費や将来発生する撤去費を見込んでいるのでしょうか。

今後の収支見通しについて、その内訳を含めてお伺いします。

また、固定価格買取り制度の期間が終了する、20年を経過した以降の対応について、どの様に予測しているのでしょうか。十分知見がない中ではありますが、想定を含めてお伺いします。

(3)創エネ・省エネの今後の取組について

地球温暖化防止に向けては、メガソーラープロジェクトの創エネの取組に加え、省エネの取組も重要です。企業庁が取り組んでいる水道事業は、電力消費量の多い分野であり、省エネを考える余地も大きいのではないかと考えます。

そこで、固定価格買取り制度の見直しにより、買取り価格が安くなる中ではありますが、今後、企業庁において創エネ・省エネに対し、どの様に取り組んでいくのか、お伺いします。

3 潮芦屋の魅力的なまちづくりについて

(1)住宅用地の分譲状況について

先日、企業庁が整備を進めている潮芦屋において、企業庁と民間企業が連携し、住戸間で電力を融通することのできるマイクログリッドシステム事業に着手するという記事を読みました。

神戸阪神間という人口増加地域において、環境に配慮した魅力的な住環境という付加価値をつけた街が、新たな賑わいづくりのきっかけとなることを期待しているところです。

そこで、まず、潮芦屋における平成28年度の住宅用地の分譲状況や潮芦屋が選ばれた理由を伺うとともに、潮芦屋では平成30年度を目途に分譲を完了する目標を立てていますが、その達成見込みについてもお伺いします。

(2)環境に配慮した取組について

潮芦屋の分譲が進んでいるのは、環境への配慮など人が住みたくなる魅力的なまちづくりが功を奏しているのではないかと考えます。このようなまちづくりは、人口対策と地域の元気づくりを柱とする地域創生にもつながると考えられることから、現在は補助金も出ています。

将来的には費用面での問題もありますが、それを上回るメリットを提供できるような仕組みづくりを提案することも必要です。

そこで、今回のマイクログリッドシステムなどの環境に配慮した取組の内容を伺うとともに、どの様に発信していくおつもりなのか、お伺いします。

石井 健一郎
神戸市灘区

<小池 ひろのり 議員>

●企画県民部②

1 再犯抑制と地域安全について
2 犯罪予防のための再犯防止の促進について

全文

質問日:平成29年10月10日

質問者:小池 ひろのり 委員

1.再犯抑制と地域安全について

現在、一度罪を犯し、服役して刑を満期した人が、再び事件を犯してしまう人の割合は、48%という大変高い数値になっています。特に、知的障害者や高齢者の再犯率が高く、65歳以上で5年以内の再犯率は、約70%に達していると聞きます。考えられる理由は、一つ目には、生活が苦しく自立するのが困難である事。2つ目に、刑務所の方が安定した生活が出来るからという事を聞いたことがあります。

これは、再犯抑制に向けた施策が、ほとんど取られてこなかったからだと言えます。刑を満期した人は、前科者として不利益を被らないよう個人情報が守られ、完全に一般人と同じ扱いになっています。しかし、就労にしても、一般人と同じ扱いでハローワークでの仕事探しでは、なかなか仕事に就くことが難しいと想像します。再犯した人の約80%が、無職であることからも、この事が裏付けされています。

罪を犯すには、それなりの理由があり、その環境が改善されない限り、再び犯罪に走る場合が多いのではないかと思われます。

それに対して、現実には出所者に対する、就労・住宅・福祉の面での連携した支援の対策が遅れています。いや、ほとんど連携はないと言っても過言ではありません。

そこで、私は4年前に、再犯抑制と地域安全について、県会本会議でも取り上げ、国・県・市町の関係機関が連携して対策に取り組むよう求めました。そして、翌年、兵庫県では全国初の再犯防止関係機関連絡会議が創設されました。しかし、同連絡会議が発足して今年で4年目になりますが、期待に反して、ほとんど実績が上がってないのが現状です。

その理由は、各機関とも担当者が2~3年で変わってしまう事や、同会議の構成機関が34機関と余りにも多くなり過ぎ、年一度の会議では詰めた議論が出来ないままの状態になっていることだと考えます。

そこで、これまで同連絡会議は、どのような活動をし、また、課題をどのように認識しておられるのか、お伺いします。

2.犯罪予防のための再犯防止の促進について

この問題を取り上げるのにあたって、私はいろいろな機関や県の部局と話し合いをしてきました。犯罪予防で、強いて担当と思われる所へ行くと、「この担当は、うちとは違う」と言われ、最終的には「警察が担当では?」と言われました。

しかし、警察は罪を犯した人を逮捕する組織で、罪を犯しそうな人だからといって、動けるような組織ではありません。犯罪予防で動けるのは、唯一DV関係だけで、数年前から警察が担当することになりました。

確かに、今の縦割り行政の基で、犯罪予防の適切な管轄を見つけることは難しく、これまで犯罪予防が、ほとんど取り組まれて来なかったと言うのが現実です。

しかし、生活が安定すれば、犯罪発生率は低下すると思われます。そのためには、出所後、生活の安定に不可欠な就労支援では、ハローワークや県のしごと支援課が担当になります。また、経済的に生活困窮の場合は、生活保護などの福祉事業が必要な場合があります。これは、市町が担当だと思われます。住む家が必要となる場合は、公営住宅等の斡旋で、県住宅管理課が担当になるかもしれません。また、高齢や障害を有する出所者への地域生活定着の福祉支援など、県の対応が必要となる場合があります。要は、決して一つの部局で解決出来る問題ではないということです。

更に、予算が伴う問題となると、尚更難しくなります。成果と言う見返りがなければ、余計に取り組まれることが困難となるでしょう!

大局から見れば、犯罪予防の段階で取組めば、犯罪を抑え込むことが出来ることは明らかです。

1件の犯罪に対して、犯人逮捕・審判・刑務所の維持管理などの一連にかかる費用として、300万円以上の税金が投入されています。この数値を考えるならば、犯罪が起こってからの対応ではなく、犯罪予防の段階で、もっと税を投入すべきと考えます。せめてその1割でも、予防に予算を付ければ、社会はもっと安全になることは確かです。犯罪を抑え込めば、ニューヨークのように観光客は増え、警察官の増員も必要がなくなり、何より被害者を出さなくてすみます。また、安全・安心して暮らせる社会にすることが出来ます。

更に、税の費用対効果という観点からも、事件が発生してからの対策よりも、予防の段階にもっと力を入れるべきだと考えます。

なぜ出所者に対して、特別な支援をするのかと言う声が聞こえて来そうです。しかし、一般の人が罪を犯す率は、0.2~0.3%と聞いたことがあります。それに比べ、再犯率は48%と言う極端に高いと言う事実を見れば、安全・安心して暮らせる社会を実現するには、再犯を起こさせないことを重視する施策が必要だと考えます。そのためには、国・県・市町・関係団体等、関係機関と思われる横の連携が、絶対必要条件になってくると思います。

そこで、犯罪予防のための再犯防止の促進について、どのように考えておられるのか、また具体的にどのような施策に取り組んでおられるのかお伺いします。

●健康福祉部

1 児童養護施設の現状と課題について
2 赤ちゃん縁組(特別養子縁組)制度の充実について

全文

質問日:平成29年10月11日

質問者:小池 ひろのり 委員

1 児童養護施設の現状と課題について

この問題は、昨年の予算委員会で質問しましたが、あまり改善されていないようですので、再度、取り上げたいと思います。

戦後、親を亡くした孤児を中心に、生活基盤を提供してきた児童養護施設は、最近では、児童虐待等で親と分離すべきと判断された子供が、入所者の6割を占めるようになりました。いずれにしても、実質的に扶養してくれる人がいない子供のために、行政が親代わりに手を差し伸べているのが児童養護施設と言えます。

都市部の大規模な児童養護施設では、100名近くの子供が集団生活をしています。生活の基盤は、一応確立されていると言えますが、数々の問題が生じています。

まず、これだけ多くの子供たちが入所していると、目の行き届く保育、個性に合った養育をすることは至難の業であると思われます。更に、子供たちは、施設から小・中学校や高校に通い、卒業し就職をすると同時に施設を去って独り立ちして行きますが、その間、施設の職員が、いくら懸命に子供と関わっても親代わりは出来ません。

また、施設で親や家族の愛、家庭という憩いの場を知らずに育った子供は、社会生活の面でも問題を引きずる場合が多々あると聞きます。特に0~3歳の乳幼児期に家庭を知らずに育つことの問題がいかに大きいかは、想像に難くありません。

ルーマニアのチャウシェスク・ベビーの研究では、“施設で2歳まで育った子供は、里親委託された子供に比べ、甚大な脳の障害を負う”というデータを公表しています。そして、今では家庭の愛を知らない“アタッチメント障害”が定説となってきています。その結果、イギリスのように、全ての施設入所者を里親制度に移管している国も出て来ています。

そこで、厚生労働省は改善策として、当面、大規模施設入所者の割合を減らし、小規模グループホームや里親制度の充実を図ろうとしています。その割合を1:1:1になるような数値目標まで掲げていました。更に、今年8月に厚生労働省の有識者会議から提出された「新しい社会的養育ビジョン」では、3歳未満の子供については、概ね5年以内に75%以上を里親委託する等の数値目標を掲げています。

兵庫県は、他県に比べて乳児院・児童養護施設が多く存在し、里親委託率はわずか15.9%という現状です。特に、乳幼児の里親委託は47人と言う状況で、里親全体での委託率は、大変低く施設に頼り切っているという傾向が強いと言えます。

そこで、質問をします。厚労省の「新しい社会的養育ビジョン」の数値目標に近づける為に、県はどのような施策に取り組んでおられるのかお伺いします。

2 赤ちゃん縁組(特別養子縁組)制度の充実について

この問題も、是非、積極的に県が関わって欲しいと思いますので、再度取り上げます。親が育てられない6歳未満の子供を、別の夫婦が引き取り、法的にも親子となる制度として特別養子縁組制度があります。

他に生みの親に代わって育てる里親制度がありますが、こちらは特別養子縁組とは異なり、法律上の親子関係はありません。

いずれにせよ、生みの親が育てることができない子どもを育ての親に託すのであれば、早ければ早いほど良いという専門家の意見があります。

望まない妊娠や生みの親が養育できない、またはしないという赤ちゃんを、妊娠中から相談を受け、産科医と連携して、特別養子縁組を前提に、里親に託すという制度が、愛知県では30年以上前から進められています。

これは、「愛知方式」と呼ばれる赤ちゃんの養子縁組ですが、これを始められたのは、当事、児童相談所の職員であった社会福祉士の方です。生みの親が育てられない生後間もない赤ちゃんをそのまま乳児院へ入れるという慣例化したシステムに疑問を抱き、「民法にも、児童福祉法にも、児童相談所が赤ちゃん縁組をしてはいけないとは、どこにも書いていない。子どものためになることなら、何をやってもいい。」と、当事としては異例の赤ちゃん縁組を実践されたそうです。

児童相談所には、学校や市役所、保健センター、病院、時には本人から、子どもを育てられないといった相談が入りますので、育てられないと確認できれば、特別養子縁組の親を探すといった流れになるのです。

また、国の施策に於いても、特別養子縁組制度が見直されつつあり、先ほど述べましたように、家庭養育優先の理念の基、里親委託や特別養子縁組を推進していく施策が進められています。

そこで、30年以上も続けられている「愛知方式」と言われる赤ちゃん縁組の歴史を考えるに、なぜ兵庫県では、赤ちゃん縁組は進んでいないのか、また、赤ちゃん縁組の取り組みに対して、どのようなお考えなのかお聞かせ下さい。

●産業労働部

1 国際交流の推進について
2 観光客のインバウンド増へ向けた取組について

全文

質問日:平成29年10月12日

質問者:小池 ひろのり 議員

1.国際交流の推進について

本県においては、アメリカ・ワシントン州やロシアのハバロフスク地方、

中国の広東省ほか、いろいろな地域との国際交流に努めておられますが、私は特に、インド・グジャラート州との交流について、より力をいれていくべき、という観点から、ご質問させていただきます。

グジャラート州との交流については、昨年度の一般質問でお尋ねしました。

その時には、知事から、2001年のインド西部大地震で被災したグジャラート州支援のために友愛基金を設立し、倒壊した学校の再建や耐震化の支援を行って以来の交流が続いていること、ビジネスミッションを派遣し、関係者の協力のもとに、本県とグジャラート州との間で、学術、教育、ビジネス、文化、防災、環境、食、の英語Academic、Business、Culture、Disaster Education、Environment、Foodを推進していくことなどのご答弁がありました。

ここで、なぜ私がグジャラート州との交流促進を促進すべきかを考えてみたいと思います。私は、昨年8月に高橋・向山議員ら6名で、インド・グジャラート州を視察しました。その時の主な目的は、2010年に井戸知事が同州を訪問された時に、本県と同州の友好交流の実施について確認されたのを受け、具体的な交流推進について詰めを行うための訪問でした。

私は、インドには、12年前にも経済の中心地ムンバイ市を訪問した事があります。当時の日本の大都市では、サラ金の看板が林立していた時代に、ムンバイ市ではやたら英会話とITの看板が目に入りました。そして、この看板だけでも、これからどの様に発展して行こうとしているのかが見えたような気がしました。そして、今回の訪問では、まさにこの10年間のインドの成長ぶりの裏付けを確認することが出来ました。

現在のインドは、日本より20年ほど遅れた発展途上中の国です。それでも、教育に大変力を入れていると実感できました。勉強することで貧困やカースト制から脱出できるかもしれないという夢や希望を抱いて、目を輝かせている多くの小・中・高校生と出会うことが出来ました。

実際に、そこから育った若者が、国の支援を受けながら、しっかりした学力や技術を身に付け、大学を卒業した後、社会で活躍しているそうです。そして、最近のインドは、世界のIT産業をリードする国にまで発展しているとも言われており、その基盤作りの一役に、このような教育施策が大きな成果を挙げていると思われます。

インドを訪問した私たち一行は、インド・グジャラート州との意見交換を通し、両県・州との交流の必要性をお互いが確認し、大きな意義があったと思っています。更に、昨年11月に、インドのモディ首相が来日し、わざわざ兵庫県にも来て頂きました。そして、モディ首相・安倍首相立会いの下、兵庫県とグジャラート州の相互協力に関する覚書を締結することが出来ました。

これからは、その中身を更に充実させていくために、具体的な行動を起こす必要があると考えます。

こうした13億を超える民を有するとともに、発展への意欲に充ち満ちたインドと日本の交流無くして、我が国はもとより、アジアの経済発展、そして平和への道はない、と私は思っています。そして、両国間の友好交流、特に若い世代の交流から経済発展へと結びつけることが、これからの日本が進むべき道だと考えています。

このような観点から、今後、グジャラート州と経済分野等の交流に関して、先の知事のご答弁にあった取組には、非常に期待しているところでありますが、現在、どのような状況になっているのか、お伺います。

2.観光客のインバウンド増へ向けた取組について

今、産業労働部観光交流課では、国内外からの観光客のインバウンドの増加に向けた取組として、神戸、姫路城、城崎温泉をつなぐルートをひょうごゴールデンルートとして設定し、そのPRに力を入れておられます。

しかし、私は10年ほど前から観光業者の単独的な売り込みではなく、行政が観光地を結び付け、面として売り込んでいくべきだと訴えて来ました。まさに、今、県が取り組まれようとしていることでもあります。

しかし、現在では、どの県でもモデルルートを設定して観光のインバウンド取り込みに力を入れ出しており、ひょうごゴールデンルートの紹介にそれほど新鮮味が感じられません。

もちろん、インバウンドを増やしていくことは、本県経済の活性化、地域創生の実現等に結びつく大きな要素であることは明らかです。従って、魅力的なコンテンツを多く開発していく共に、積極的にPRし、売り込んでいくこと重要だと考えています。

しかし、ここで考えて頂きたいことは、従来の観光を中心としたPRにとどまらず、付加価値を付けた、特色を持った体験型などの新しい旅を提案していくことが重要であると考えます。

具体的には、例えばサイクリングやモノづくりなどの体験型、日本文化・地域の伝統に触れあえるような旅、或いは代表的な地域の日本食を味わえるような特色のある旅が有効であると思っています。

幸い、兵庫県には、観るところも、体験するところも、味わうところも多くあります。例えば自転車で田園風景や歴史的建造物に触れながらのんびりツーリングし、ちょっとした汗をかき、五感を感じからだ全体で、爽やかさを感じられれば、間違いなく印象に残ります。また、目的地まで走り切る等で、達成感・充実感も味わえることでしょう!そして、疲れたら宿に泊まって、温泉に入り、土地のおいしいものを食べれば、幸せ感は倍増します。このように、種々の資源を有機的につなげたコースをいろいろ設定し、それを広くPRすることが必要になってきているのではないでしょうか!

更に、異文化に触れ合い、感動体験をすることで印象に残る旅も、これからの新しい型の旅として求められていると確信しています。日本文化を直接触れることで、新しい発見があり、人生観が変わることにまで発展することがあります。

今、アジアでは、かなり生活レベルも上がって来ており、特に富裕層では、レディメイドではない、このような一味違うオーダーメイドな旅が求められていると思います。

また、リピーターに焦点を合わせたインバウンドの取り込みも必要と考えます。このことは、観光庁の「訪日外国人の消費動向 平成28年年次報告書」によれば、観光・レジャー目的での来訪者の内、約55%がリピーターとなっていることからも明白です。単なる観光を乗り越え、感動を味わえ、新しい発見も生み出すような新しい型の旅の提案をしたいものです。

以上の観点からも、ゴールデンルートを超えた体験型や、日本文化・食文化と触れ合うような旅を、点から線へ、線から面へと結び付けた特色のある旅を、海外に積極的に紹介していくような取り組みが必要だと思っています。

そこで、当局のこれまでの取組について伺うとともに、今後のインバウンドの取組について基本的な考えをお伺いします。

●公安委員会

1 歓楽街緊急対策への取組について
2 児童虐待に対する県警察の取組について
3 少子化等の情勢を踏まえた警察官募集について

全文

質問日:平成29年10月12日

質問者:小池 ひろのり 委員

1 歓楽街緊急対策への取組について

平成27年8月に六代目山口組と神戸山口組が分裂し、対立抗争状態にある中、今年4月に神戸山口組から一部勢力が新団体の結成を表明して以降、三つどもえの状態となりました。

そのような中、9月12日神戸市内において、同勢力の関係者が銃撃され死亡するという拳銃発砲殺人事件が発生し、未だ検挙に至っていないなど、県民の不安が高まっています。

県民の安全と安心を確保するためには、暴力団の抗争事件を未然に防止することが大変重要であることは言うまでもありません。このような時だからこそ、暴力団排除の機運を高めるとともに、暴力団の資金源を遮断し、壊滅に向けた取組を強力に進める必要があると思います。

私の選挙区である中央区には、県下最大規模の歓楽街である三宮地区があります。そして、県警察は、同地区の暴力団追放の一環として、今年5月に「歓楽街緊急対策本部」を設け、その実働部隊として歓楽街特別暴力団対策隊を発足させました。歓楽街からの暴力団追放を掲げ、パトロールや不当要求の実態把握、違法風俗店の摘発などの強化に取り組んでいると聞いています。

そこで、これまでの歓楽街緊急対策の効果を伺うと共に、今後の県警察の取組について伺います。

2 児童虐待に対する県警察の取組について

昨今、親や保護者から、児童に対する虐待が増えています。実際に、今年上半期に児童虐待の疑いがあるとして、全国の警察が、児童相談所に通告した児童数(18歳未満)は、昨年同期比23.5%増の3万262人にも及んでいるとの報道がありました。

ここ数年は、この数は増加傾向にあり、本県においても同様で、昨年同期比で約73%増加の1,273人が通告されたと聞いています。

通告が増加した背景には、社会の児童虐待に対する関心の高まりから、警察に対する通報が増加したのが要因と考えられます。

今年5月に、姫路市において次男に暴行し、意識不明の重体となる夫婦による痛ましい児童虐待が発生しました。この事件は、長男に対する虐待歴を把握している中で発生しており、このような事件を未然に防ぎ、児童の安全を確保するためには、警察を含めた関係機関の連携が今まで以上に重要となるのではないかと考えます。

そこで、県警察においては、児童虐待事案に対してどのような方針で臨まれているのか伺うとともに、児童相談所などの関係機関との連携状況について伺います。

3 少子化等の情勢を踏まえた警察官募集について

最近の治安情勢で、刑法犯認知件数は、ここ14年間減少し続け、治安が回復されている傾向と言えます。しかし、市民生活に大きな不安と脅威を与える事件や凶悪犯罪が、相次いでいるほか、特殊詐欺やサイバー犯罪等、新たな形態の犯罪や、暴力団山口組の分裂に伴う抗争事件への対処等、取り組むべき課題は山積しております。

こうした中、県警察は慢性的な欠員状態にあると聞きます。一時と比べ幾分は改善されたとは言え、本年4月現在で、未だ約210人の欠員を抱えています。先程申し上げました治安情勢に的確に対応するためには、人的パワーを確保する必要があり、早急に欠員を解消することが重要であると考えます。

そこで、警察官の採用についても、更なる検討が必要であると思います。少子化による就職適齢人口の減少や、民間企業の採用活動の活発化により、警察官採用の応募者数は伸び悩んでおり、平成23年以降、競争率は10倍を下回り、また募集数に対して合格者が下回っている年もあるなど、非常に厳しい情勢となっていると伺っています。

小学生の時の「将来なりたい職業のランキング」では、警察官は常に上位に位置しているものの、実際には警察官募集につながっていません。「正義の味方」である警察官という職業に憧れを抱いていたものが、大人になり、その仕事の厳しさを知るにつれ、応募を躊躇している面があるのではないかと思います。

このような近年の厳しい採用情勢を踏まえ、県警察として警察官募集のあり方について、見直す必要があると考えます。そこで、これまでの取り組みと併せ、少子化等の情勢を踏まえた警察官募集について所見をお伺いします。

●教育委員会

1 県立工業高等学校の支援強化について
2 県独自の給付型奨学金制度の創設について

全文

質問日:平成29年10月17日

質問者:小池 ひろのり 議員

1.県立工業高等学校の支援強化について

日本には、世界に誇れる産業が数々あります。中でも中小企業が基盤であるモノづくり産業は、徒弟制で伝統が引き継がれ、日本人の器用さ、真面目さ、勤勉さも相まって、他国の追随を許さない圧倒的な高度な技術となって日本の産業を支えてきたと言えます。

そのモノづくり産業に大きな影響を及ぼしているのが、工業高等学校の存在です。工業高校生の場合、学校で身に付けた技術が、即戦力として企業に役立つことで、モノづくりに関わる自分の仕事への遣り甲斐と自信に繋がっているように感じます。

その傾向は、卒業後の若者の早期離職率に表れています。例えば、新入社員が3年以内に離職する割合は、これまで「七五三現象」と称されていたように、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割と言われてきました。

しかし、全国工業高等学校長協会の調査結果によれば、工業高校卒業生の場合、定着率は非常に高く、離職率は10~20%台で推移しており、厚労省調査における他の若者の数値より20ポイントも良い結果になっています。これは、明らかに工業高校卒業生の技術に対する誇りと努力の賜物に由来すると言えます。

さらに、兵庫県立工業高校卒業生の場合、もっと顕著な数字が出ています。離職率が就職1年目で6.5%、2年目で10.7%、3年目で14.4%という状況からも、工業高校生に対する生涯にわたる職業観の形成を支援するキャリア教育や職業教育の充実が成果を挙げていることが伺えます。

県教委の調査では、平成29年9月での中学3年生の高校進学希望者の内、工業系学科で見ると、洲本実業が平成29年度の定員80名に対し70名、篠山産業が120名に対し84名、東播工業が定員240名に対し237名、相生産業が定員120名に対し111名ですが、他の10の高校は全て定員をオーバーしているという現状です。

更に、県立工業高等学校長協会の調査では、工業高校への志望校入学は、版数の高校で90%を超えています。高校入学という入り口で人気がある上、在学中の進路変更の割合は、多くの学校で5%以下という状態であり、さらに出口で専門教育を生かした進路先は、70%以上が合致しているという現状です。

このように工業高校の入学希望生徒が、定員以上に達し、卒業後もしっかりと技術に磨きをかけ、頑張る卒業生を多く送り出している工業高校に対し、県教育委員会の県公立全日制高校募集学級数の資料では、平成2年に100学級あったものが、平成29年では65学級に減少している上、平成33年までに全日制高校全体で大幅な学級減を行うとも聞いています。

少子化が進む中で生徒数が減り、全体的に学級数を減らすのは、ある程度やむを得ないことだとは理解しています。しかし、希望生徒がおり学校も成果を挙げ、地元企業への有能な人材育成の役割を担っている工業高校生の枠を一律的に減らすことは、国や県の目指す地域創生の施策に逆行することにもなると思います。更に、工業高校の学級減は、技術を習得し将来の仕事として頑張ろうと“夢や目標”を抱いている学科の生徒の門戸を閉ざすことにもなりかねません。また、世界に誇るモノづくり日本の根底を壊しかねない工業高校の学級減を一旦実施すれば、10年後には取り戻しがきかないことになるのではないかと危惧します。

そこで、質問します。県立工業高校の学級数を一方的に減らすのではなく、工業高校でしっかり技術を身に付け、夢や目的を与えるような教育も重要であることから、より一層の支援を図るべきと考えますが、当局の認識をお伺いします。

2.県独自の給付型奨学金制度の創設について

昨年3月の予算委員会で、奨学金制度の改善について取り上げましたが、再度、県独自の給付型奨学金制度の創設についてお尋ねします。

昨今、経済格差が教育格差にまで広がり、経済的困窮者の高校生の進路に影響が出ており、経済的理由で進学を諦めざるを得ない高校生が出て来ています。

私は、誰に対しても大学進学を促すものではありません。しかし、進学したくても経済的理由で進学を諦めざるを得ない子供がいれば、行政が支援をすべきではないでしょうか!

「貧しい家庭に生まれたと言う『不運』だけで、子供の人生が決まる」のは、理不尽としか言いようがありません。子供は、親を選べませんし、貧しい家庭に生まれたのは、子供の責任ではありません。

日本は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合が極端に低く最下位だそうです。

特に、幼稚園と大学は私費負担に支えられています。幼児教育の費用に占める公的支援の割合は46%で、OECD加盟国中で最低です。また、現在、大学生の半数近くは、貸与型奨学金を利用しています。しかし、貸与は、当然、卒業後に返済義務があります。卒業し社会人になった途端に、奨学金は何百万円という負債(借金)に変わります。本当に貧しい家庭の子供にとっては、“貧困の継承”に繋がると言えます。

私が関わっていた児童養護施設の子供は、非常に頭の良いトップレベルの成績で、将来弁護士になりたいと言っていました。しかし、彼女は施設退所後の生活費・家賃・授業料を考え、進学を諦めてしまいました。このことは、社会の大きな損失であるとも言えます。

私達の要望に応えて、国は不十分ではありますが、このような子供たちの為に給付型奨学金制度を平成30年より創設しました。目の前に経済的理由で悩んでいる高校生に、進学する夢や希望を与える制度として給付型奨学金を高く評価するものです。しかし、仮に「月額2~4万円、全国で2万人が対象」と言う国の給付型奨学金が認められ、私大・下宿で最高の月額4万円を受給出来ても、授業料等の1/3しか充たされません。更に、アルバイトで生活費・家賃等のカバーすることが必要となります。その結果、県下の児童養護施設の子供の大学進学率は、依然として約13%という低水準で、一般家庭の55%の1/4という状態が続いています。この理不尽をいつまでも放置しておいて良いはずがありません。

そこで、県は独自の給付型奨学金制度を創設し、国の不十分な給付型に上積みし、家庭が苦しく“やる気”があっても経済的な理由で進学を諦めている高校生を、例え何人かでも救って頂きたいと思います。“貧困の連鎖を教育で断つ”という観点からも、この県独自の給付型奨学金制度の創設を是非実現させて頂きたいと思いますが、当局のお考えをお尋ねします。

小池 ひろのり
神戸市中央区

<越田 謙治郎 議員>

●財政状況

1 経済成長と財政収支見通しの考え方について
(1)平成28年度の本県の経済成長率について
(2)平成31年度以降の財政見通しの考え方について
2 将来負担の考え方について
(1)将来負担比率が全国ワーストであることへの評価について
(2)一人当たりの県債残高の抑制について
3 公共施設等総合管理計画における施設の除却費用の捻出方法について
4 業務委託の見直しについて
(1)広報紙の業務委託見直しに関する効果について
(2)業務委託の全般的な見直しについて
5 税等の軽減措置等について
(1)昨年度の税軽減措置について
(2)使用料等の減免措置の見える化について

全文

質問日:平成29年10月6日

質問者:越田 謙治郎 議員

1 経済成長と財政収支見通しの考え方について

(1)  平成28年度の本県の経済成長率について

兵庫県の財政収支見通しは、国と県の経済成長が同水準となることを前提としている。私たちは従来から、県政のレベルでは景気をコントロールできないからこそ、県の経済成長を国と同水準であることを見込むことに対しては懐疑的である。決算特別委員会であるので、まず昨年度の実績として、昨年度1年間の県の経済成長率、国とのかい離についてお伺いする。

(2)  平成31年度以降の財政見通しの考え方について

平成28年度決算では、法人関係税等が150億円減収した。減収部分は、減収補てん債を発行して当年度の財政状況には影響がないかもしれない。しかし、償還財源のうち75%は交付税で後年度に補填されるというスキームになっているとはいえ、県の実質的な負担額は約38億円となっている。

さて、財政調整基金が十分に積まれるなど財政のバッファーがある自治体であれば、多少の収支見通しのぶれや減収部分は、飲み込めるところであるが、事実上綱渡りとなっている兵庫県の財政状況の中では、わずかなブレが直ちに県民生活に影響を与える危険性は否定できない。自治体の財政は、地方財政計画で大枠を管理されているため、税収見込みだけでは最終はコントロールできないため、自治体だけで判断することは難しいとは思うが、今後の県の基本的な考え方は整理しておくべきだと考える。

具体的には、今後の予定について平成31年度の見通しはできるだけ、国の経済成長率と同様ではなく、抑制的に見積もっていくべきだと考えるが、平成31年度の財政収支見通しの考え方について伺う。

2 将来負担の考え方について

(1)  将来負担比率が全国ワーストであることへの評価について

平成20年度以降の改革の取り組みにより、単年度の財政収支不足は改善

してきた。ただ、財政状況の持続可能性はフローである単年度収支ではなく、

ストック指標である将来負担比率こそが今後の財政を見通すうえで重要であることは言うまでもない。県としての将来負担比率が高止まりしている状況への評価ならびに平成31年度以降の展望をどのように考えているのか伺う。

(2)  一人当たりの県債残高の抑制について

財政指標の一つである将来負担比率は、将来の財政負担の目途ではあるが、分母は現在の充当可能財源である。ということは、人口が減少し歳入が減少していくと、充当可能財源も減少していくわけである。つまり、従来と同じ財政運営を行うことは困難であり、歳入を増やすか県債の発行を抑制していくのかを決断しなければならない。

さて、兵庫県民の一人当たりの県債残高は、同規模の自治体の中でもトップである。今後、現在の一人当たりの県債残高を維持したとしても、2040年には3.8兆円程度まで抑制しなければならない。そのような視点にたったとき、県として毎年の発行可能財源はどの程度になると考えるのか伺う。

3 公共施設等総合管理計画における施設の除却費用の捻出方法について

公共施設等総合管理計画において、何も取組を行わなかった場合に建物は今後45年間で約1兆円、土木インフラは今後50年間で約2.6兆円必要と見込まれるなど、その更新費用等が明らかになった。人口減少を前提として、中長期的な視点からの取り組みであり、今後さらなる取り組みを期待したい。

ただ、その財源をいかにねん出していくのかということが大きな問題になってくる。公共施設の建設に関しては、当然のことであるが、効用が世代を超えるため、県債を発行していくということに異論はない。また、毎年のランニングコストに関しては、受益者である現役世代が負担をしていくということが、財政としての王道である。それでは「壊す」ための費用は、どのように考えているのか。

国では計画に基づき公共施設等の総量を抑制していく場合、「除却債」の発行を認めているが、受益を得ない世代に負担を先送りする除却債は、過去から我が会派は反対の姿勢を明らかにしてきた。公共施設等総合管理計画ができた今、改めて除却等に関する見解をお伺いする。

4 業務委託の見直しについて

(1)  広報紙の業務委託見直しに関する効果について

財政健全化が短期的な課題であれば、人件費削減や事業費の一律削減と

いった量的な改革で十分である。しかし、人口が減少し、高齢化率が高くなっている中では、税金の使い道を見直す「質的な改革」が必要であるということを主張させていただいている。昨年度の決算特別委員会において、「県民だよりひょうご」については、契約額が高止まりしている状況を問題点として指摘し、業務委託について改善を求めた。その後、どのような取り組みになったのか、取り組み状況と効果について伺う。

(2)  業務委託の全般的な見直しについて

過去のやり方を見直すというのは、担当にとっては難しいことではあるとは思うが、行政サービスの内容を変えることなく財源を生み出したという方法は、厳しい財政状況の中でも、まだ改善の余地があるということだと思う。

さて、昨年の決算特別委員会では総括審査の中で西上部長は「私どものやり方がベストだとは思っていないので、常に良くなるよう努力させていただきたいと思う。見直しは毎日、毎年やらせていただく。」という答弁をいただいた。当然のことながら、その後全庁的な見直しをしていると思うが、検討結果についてお示しいただきたい。

5 税等の軽減措置等について

(1)  昨年度の税軽減措置について

昨年度の税軽減措置の影響額について、まず、県税の徴収に関しては市町との連携の中で徴収率の向上に取り組み、年々成果が上がっていることに感謝申し上げる。ただ、今回の決算特別委員会では、新たな視点として税の軽減措置のあり方について議論をしたいと思うが、その中でも県が独自に実施している軽減措置に着目したい。県が課税している税に関しては、様々な軽減措置が課せられている。私は、政策的な観点から軽減措置を行うことについて異論はない。

しかし、問題は条例等で軽減措置が行われたとしても、その実績については、予算書や決算書に掲載されることがなく、2月ごろに発行される「税務年報」に一部が示されているだけである。私は、制度は一定期間がたてば見直すことが前提であると思っているが、見えにくい状況では、制度の見直し、軽減措置による効果の検証が困難であると考える。そこで、昨年度の県税における軽減措置の実績についてお伺いする。

(2)  使用料等の減免措置の見える化について

軽減措置の見える化について今回の決算委員会では、県税の軽減措置に関して質問をしたが、決算書には載らないものはまだある。たとえば、公共施設等との使用料等の減免措置もその一つである。当然のことながら、障害者に対する使用料の減免等を行うことは重要であるが、税の軽減措置も使用料の減免も、形を変えた補助金であるからこそ、いくら減免されているかを明らかにしていくことが重要だと考える。

そこで、それらを県民に分かりやすく説明をしていく必要があると思う。具体的には、行財政構造改革推進方策の報告書等で、明らかにするべきだ

と考えるが、いかがか。

越田 謙治郎
川西市・川辺郡