議会の動き

竹内英明議員が質問(決算審査・県土整備部)を実施

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (県土整備部)
2011年10月17日(月)

1 ノンステップバスの官民格差と地域間格差について

 本県では、高齢者、障害者、乳幼児連れの人などが日常生活や社会生活を営む際に利便性と安全性のある環境整備を図る一環として、あらゆる人が乗り降りしやすいノンステップバスの導入の促進を図るため、民営バス事業者に対し、購入費補助を行ってきた。
 県内のノンステップバスの保有状況を見ると、平成22年度末時点でバス総数に占める割合は40.9%、1,053台であり、導入台数のうち、公営が614台、民営が439台となっており、それぞれのバス総数に占める割合は、公営76.6%と民営24.8%と大きな格差が生じている。
 そして、公営のバス事業者とは神戸、明石等に限られ、特定の自治体を中心に運行していることでも分かるとおり、ノンステップバスの官民格差とは、実は県内の地域格差となっているのである。
 国の基本方針である平成32年度の導入率目標70%を達成する必要性からも、民営事業者の導入率アップのため、引き続き民営事業者への支援に取り組む必要があるが、導入のお願いや呼び掛けだけでは成果は限定的である。地域格差を解消するための方策について伺いたい。

2 (財)兵庫県住宅建築総合センターと兵庫県住宅供給公社について

 (参考人-兵庫県住宅供給公社)
 (財)兵庫県住宅建築総合センターが、今後使用する見込みのない約230億円の貸付金を返還するよう会計検査院から国土交通省が指摘を受けたと聞いているが、会計検査院といえば、昨年も知事がまさかという内容の不適切経理等を指摘するなど、国の補助金や基金に関して、本県の支出行為等までチェックをしている。
 本来であれば、県内部のチェックをはじめ、監査や議会の審査の過程で改めなければならないことが、外部のそれも国の機関に指摘されるというのは、確かにプロとはいえ地方分権の時代にあまりいいこととは言えない。
 国に先に指摘されたことは私自身も非常に恥ずかしい思いである。
 今回は、国の拠出した資金が使われていないという指摘だったが、その資金について遅ればせながら私なりに調べさせていただいた。
 すると報道では「事業が完了していないので残していただけ。使わない分は返納する」(読売新聞10/8)とコメントしているが、実は簡単には返せないことがわかった。
 資金は兵庫県住宅建築総合センターではなく、他の公社で実際に使われていることがわかったからである。その点について順次確認していきたい。
 決算にあわせて当局から提出されている「県の出資等に係る法人の経営状況説明書」にも少し記載があるが、この230億円が充当される「被災住宅再建対策利子補給事業」とは「阪神・淡路大震災からの復興を促進するため、兵庫県から受け入れた補助金により、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等への利子補給事業を実施する」こととなっている。
 同センターの財務諸表でも確かに、固定資産として230億円の「被災住宅再建対策引当資産」がある。一方の負債に、「被災住宅再建対策預かり金」として同額が記載されている。
 調べてみると、この引当資産の内容は、
 兵庫県住宅供給公社 貸付金139億9,500万円
 兵庫県住宅供給公社 公社債 90億8,500万円
 三井住友銀行 預金 102万1589円となっている。
 実は100万余りの預金以外の230億円ほぼ全額が、貸し付けまたは公社債という形で、兵庫県住宅供給公社に貸し出されているのである。
ということで、今日は、住宅供給公社から参考人にもお越しいただいている。住宅供給公社は貸入金の139億9,500万円を「短期借入金」に計上して、1年以内に返還する負債として位置付けている。公社債の90億8,500万円は負債に含まれている。
 しかし、住宅供給公社の流動資産は74億円。固定資産は多額で1162億円あるものの大半が賃貸事業資産としての土地や建物。賃貸事業資産は公社の基幹事業の財産で売却は難しく、他の資産も売却できるなら既にしているはず。
資産の現金化ではなく、新たに公社債を発行するか、どこかから借入をする、つまり借金をするしか返せないのではないか。
 いずれにしろ、いつ、どのような経緯でセンターの資金を活用することになったのか?また、今後、この資金は東日本大震災の復興支援資金に使うということで、早く返さないといけないわけだが、すぐに全額返済が可能なのか?また23年度の資金計画の修正議決も含めて対応が必要では思うが、どう対応するのか?お伺いする。

 阪神・淡路大震災に係る住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の災害復興住宅融資が終わる2013年までという約束だったから県として余裕資金を如何に運用しようが自由というのは理解できる。
 しかし、この制度の利用についてだが、平成15年から1件も新たな交付決定がなく、利子補給にしても16年の3万8千円を最後に実行されていない。
 今年度の事業計画では、1件38万3千円の利用計画があるとしているが、現行の金利水準から判断すれば、2.5%を超える分という基準を超えることはありえず、この制度の利用はないと思う。会計検査院の指摘も正しい。
 いずれにしろ、資金繰りについて、神戸市住宅供給公社の破綻もあり、新たな借金などの資金繰りは厳しくなっていると思うが、230億円の公社の資金の流れを調査する中で、平成18年に、住宅供給公社の金55億円が県の県債管理基金に積み立てられたことになっていることがわかった。これは公社の余裕資金で、県で運用してもらった方が有利ということで預託されていると聞いているが、公社にこうした余裕資金があるのならこれを返してもらって返済の原資にすべきものだがどうか?

 この際だから、もう一つ確認するが、私の調査で、住宅供給公社の資本金が22年度、利益剰余金を含めて61億2千万→46億6千万円と14億6千万円も減少していることがわかった。先の県議会本会議では知事は、同公社について「平成22年度決算でも黒字を計上しており」と答弁されていたのでおかしいと思ったが、損益計算書では確かに1億1千万円の当期純利益が出ているものの、損益計算書の外で利益剰余金から15億7千万円(1569百万)が取り崩され、負債の未払金に「芦屋浜水源負担」として計上されていたことがわかった。本会議では、黒字と説明している一方で、利益剰余金を含む資本が14億6千万円も減少している。これは全体として黒字ではない。
 この詳細については、議会に提出された資料をみてもわからない。
 「資本」の「利益剰余金」の中の約15億円が、今年から「負債」の「未払金」へ「振り替え」られたということである。
 おかしいと思って更に調べると、平成18年度には、今回の逆で、「負債」の「特定準備金」を「利益剰余金」に入れ、「資本」が多くなる経理がなされていた。
 問い合わせると、平成17年まで、芦屋浜水源負担の将来負担を見越して「特定準備金」14億34百万を「負債」に計上していたが、国土交通省所管の(社)全国住宅供給公社等連合会というところから会計基準の改定について通知があり、18年に「資本」の「利益剰余金」に「整理」したという。
 18年度、この会計処理だけで資本が14億34百万も増えていた。今年の決算では、今度は逆に、この資金を未払金に計上し、元に戻ったという。
 今回、資本から負債に戻したことで、過去18・19・20・21と4年の決算において、芦屋浜水源負担の将来負担という負債が資本に含まれていたおかしな状態は解消された思うが、私の指摘で概ね正しいのかどうか確認させてほしい。

 最後に言うが、住宅供給公社の18年度決算をみると、県を相手方とする未収金が55億円計上されていた。しかし、未収金が発生している一方で、同じ55億円の資金を県(県債管理基金)に預託している。不自然である(未収金については翌年度に解消)。
 55億円の公社のお金は余裕資金の運用といわれるが、結果として県債管理基金の積立金不足を解消し、実質公債費比率の数値を低下させる効果があることは、私がこれまで指摘してきた県の基金の問題と全く同じ。
 230億円の資金を返済するにあたり、新たに金融機関から融資を受けるか、公社債を発行しなければ返せないということは、外部へ支払う金利が発生するということでデメリットも多い。
 速やかに国に返済して東日本大震災のために活用してもらうとともに、ありのままの財政状況を県民に説明すべきだということも今回の決算調査で改めて感じた。