議会の動き

◆17年9月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方 

代表質問  前田 ともき 議員

一般質問  黒田 一美 議員

代表質問

(前田 ともき 議員)[発言方式:一問一答]
1 臨時・非常勤公務員の待遇改善について
2 仕事の中身改革について
3 行政手続コスト削減への取り組みについて
4 産業活性化と所得拡大に向けた規制改革の推進について
5 警察組織の最適化について
(1)警察署の再編と地域の治安サービスの格差是正について
(2)警察組織の合理化・効率化について
6 地域安全と私人逮捕について
7 広報・デザイン改革について
8 ヘルプマークの普及促進について

質問全文

質問日:平成29年9月27日
質問者:前田 ともき 議員
質問方式:一問一答

1.臨時・非常勤公務員の待遇改善について

時間外労働の上限導入やテレワーク、副業など、働き方改革が議論されています。総務省統計では地方公務員も5人に1人は既に非正規です。

しかし、ブラック公務員・官製ワーキングプアという言葉があるように、給与や休暇、研修に社会保険、人事評価に至るまで労働環境は正規に大きく劣後する地域や職種もあります。
例えば、退職手当や社会保険料の負担を避けるために新任期と前任期の開き期間を設定するいわゆる空白期間の問題。生活保護を受給していた非常勤講師もいるといわれています。

本県でも、一般事務や警察、教育・福祉など様々な分野で活躍しており、兵庫県政を運営していくうえで貴重な戦力となっています。例えば、事務や職員補助を担う県政推進事務員の報酬月額は週4日勤務で135,000円。時給に換算すると1,150円程度です。ためしに、リクナビの派遣サイトで県内の事務派遣を検索すると366件がヒットし、平均時給は1,258円でした。勤務条件の格差是正はもちろん、給与の絶対水準が低すぎると、適切な水準の人材が採用できるのかも疑問です。十分な水準の人材が採用できなければ、人材の教育や仕事の質不足など現場にしわ寄せがいくだけでなく、行政サービスの低下を招く恐れもあります。

こうした中、本年5月に公布された地方自治法の一部改正により、平成32年度から地方公務員の非常勤職員にも期末手当の支給が可能となりました。民間に同一労働・同一賃金、正規・非正規の格差是正を求める中、当然の対策とも言え、処遇改善に取り組む上で、またとない機会です。とはいえ、雇用する人員も多いだけに、新規手当などは県財政に大きなインパクト。行革への影響も気になるところです。

そこで、民間企業が様々な雇用環境の改善に取り組む中、法改正の趣旨に基づいた期末手当の支給、研修や休暇に人事評価等、兵庫県独自の取組みも必要と考えますがいかがでしょうか。県で働く臨時・非常勤職員の役割やその評価、彼らを鼓舞する知事のメッセージも含めてご答弁願います。

2.仕事の中身改革について

働き方改革であまり改善が見えてこないのが、仕事の中身改革です。
県議の前は投資ファンド2社で働き、投資先企業を通じて様々な業種・規模の仕事の進め方・会議体のあり方を経験してきました。そんな立場からすると議会・行政の仕事の進め方は効率化できていません。

そもそも仕事とは何か。何を行い・何を行わないかを再定義し直す必要があります。不要な事業、過剰な書類、ゼロリスク思考・前例踏襲からの脱却が必要です。 例えば、選挙管理委員会。政治家は看板を登録すれば設置することが可能です。本県は更新期間を3年に規定していますが、3年に意味があるようには思えません。看板はそんなに移動する物ではないから6年更新に変更すれば選管も政治家も仕事量は半減します。それで誰か困るのか、というと、誰も困りません。要綱をちょっと変えるだけで実現します。

例えば、政務活動費の書式。関数が最適化されておらず、添付様式と一覧票に同じ情報を記載する必要があるなど、記入間違いを誘引し、確認作業に時間を要し、膨大な無駄が発生していたことから、一定見直されたものの、課題は残っています。

今回は、私が書類を作成する事例をあげましたが、このような例は県庁内に多数存在しているのではないでしょうか。
なんとかビジョン・なんとか指針・なんとか戦略になんとか条例。策定には膨大な時間が投入されますが、策定して満足になってないでしょうか。社会にインパクトを与えたのでしょうか。本当にそれ、やる意味ありますか、と感じることが多々あります。事務事業評価も事業の必要性を本当に判断できる記載内容でしょうか。これまで企業の様々な事業評価をしていた経験で見ても疑問です。

まだまだ事例はありますが、私の思いをこれ以上述べても説得力が高まらないので権威をたどったところ、かのピーター・ドラッカーに行き着きました。彼は著書「プロフェッショナルの条件」でこう指摘しています。「知的労働者は、誰も読まない報告書を書かされ、なにも聞く必要のない会議に出させられている。その結果、仕事は充実するどころか不毛化している。当然、生産性は破壊される。動機づけも、士気も損なわれる。手っ取り早く、最も効果的に知識労働の生産性を向上させる方法は、仕事を定義し直すことである。特に、行う必要のない仕事をやめること」と喝破しています。

そこで、県庁の業務効率の改善と働き方改革を加速させるためにも、ゼロベースで業務の削減・簡素化・効率化、書類・記載事項、要綱・内規に至るまで改善を図っていくべきと考えるのですが、これまでの改善点と今後の取り組みについて伺います。

3.行政手続コスト削減の取り組みについて

県庁内の業務改善と並行して、県民向けの様々なサービス・業務改善が必要です。神エクセルをご存知でしょうか。エクセル形式の役所向け申請書で名前やメールアドレスまで1マスに1文字入力という仕様です。入力やデータ集約に膨大な手間が発生するので、大きな不満が寄せられていましたが、河野太郎衆議院議員がツイッターで指摘を受け全廃指示を出しました。

もっと上位の仕組みで指摘をすると、今年上場した企業にうるるという会社があります。この会社は6000以上の官公庁の入札情報を収集し、横断検索サービスを提供しています。このサービスを知った瞬間に思いました。こんなの総務省がやるべきでしょと。総務省が最初からこのようなプラットフォームを提供していれば、自治体個別でシステムを組む・広報する必要、費用がなくなり、より多くの事業者から入札を得ることができる。

一方で事業者は簡単に入札情報を検索し、営業活動の効率化が図れる。ふるさと納税も同様の問題を抱えてます。このように事業者が行政手続を行う際の時間や手間の負担が大きいこ とが指摘されています。とはいえ、まずは県民・事業者が役所に提出する様々な書類をもっとシンプルにできないでしょうか。

内閣府の規制改革推進会議は今年、行政申請書類の作業時間を2020年までに2割減させる方針を打ち出しました。特に負担感が大きいのは、①提出書類の作成 ②オンライン申請の使い勝手、③窓口で異なる様式や分かりにくさとしています。改善方針として、①行政手続の電子化を徹底 ②同じ情報は一度だけ ③書式・様式の統一を決定しています。国だけでなく、地方自治体も同様の簡素化を進めるとあります。加えて手続きコストが削減できると、企業・個人が行政に対して支払う手数料を減額し、減税と同じ効果を提供できるかもしれません。日本商工会議所の三村会頭は「中小企業の人手不足は極めて深刻。手続きの簡素化は可能な限り前倒ししてほしい」としています。中小企業の経営効率の改善、働き方改革にもつながることでしょう。

そこで、県も市町と連携して、許認可・調査協力・補助金申請・入札など事業者向け、一般県民の様々な行政手続の簡素化・コスト削減に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。

4.産業活性化と所得拡大に向けた規制改革の推進について

次は、規制改革です。 行政も政治家も所得を生み出す、雇用を作る、産業を活性化させるっていうけど、政治・行政だけができることというと、規制緩和か減税くらい。不要な規制、過剰な課税で企業の成長の邪魔をしないことが一番ではないでしょうか。

規制改革については、随分前からなんとか特区が幾つか創設されていますがあまり世の中を変えてる感が出てきていません。私も何度か海外で乗ったセグウェイは既に世界各国で公道走行が可能となっています。しかし、日本では6年以上の実証実験、地球半周分を無事故で走行しているにも関わらず国土交通省は安全性を引き続き注視するとのことです。

とはいえ、規制改革は継続する必要があります。国はグレーゾーン解消制度や企業実証特例制度を実施し、さらなる改革として、一時的に規制撤廃や緩和状態をオーダーメイドで創出し、商品・サービスの実証実験を行うレギュラトリーサンドボックスの検討を行っています。

規制改革は国だけの問題ではありません。2015年、小泉進次郎議員はグレーゾーン規制について会合でこう語りました。「国の規制ではなく、県や市町村の規制に引っかかって新しい取り組みができない現状もあるんです。国に相談した際に「これは、実は県と市の管轄ですよ」とお伝えすると、相談者から「県を相手にするとなると、もっと大変だな」という反応を受けることが少なくないんですよね。」と述べられています。私が視察先で先駆的な企業やNPOを訪問するといつも質問するのが、規制がボトルネックになっていないか、ということです。

こども食堂では保健所によって基準が違う問題、古民家改修ではコンサバな許認可部署の壁を創業支援部署が支援してくれてようやく突破できたとの話を頂いたことがあります。不要な規制・不明なルールが企業経営を阻害しているのは明らかです。
規制改革会議で示された資料「地方における規制改革について」では、①自治体条例が、地域の実情に照らして必ずしもその理由が明確でないものもある。②規制内容が自治体によって異なる場合に、広域的な活動を行っている企業には、経済効率性の観点から阻害要因になっている、と指摘されています。

前例踏襲・完璧主義の行政では規制改革はなかなか前に進むものではありません。従って、知事トップダウンで規制改革制度を創設し、真の産業振興・雇用拡大・所得拡大につなげる検討をすべきと考えますが、所見を伺います。

5.警察組織の最適化について

(1)警察署の再編と地域の治安サービスの格差是正について

西川県警本部長は着任時の記者会見で業務の合理化・効率化を図る旨、抱負を語っておられました。素晴らしいことだと思います。私が考える全体最適・効率化・合理化の具体例をいくつか指摘した上で、その方向性を伺っていきます。

まず、一つ目は全体最適。具体的には、警察署の再編と警察官の最適配置です。49警察署、701交番・駐在所等の配置は最適化されているのか、更には警察官11,953名をどの地域にどれだけ配備するのか。財源・人員という制約条件の中で最適配分がこれまで以上に求められます。特に、事件・事故が少ない地域から、警察官が不足している地域に移す必要があります。なぜならば、警察署間で警察官の業務負担に格差、地域の治安サービスに大きな格差が生じているからです。例えば、警察官一人あたりの交通事故件数は最大が飾磨署5.7、最小が豊岡北署の0.6と9倍以上の格差が生じています。また、刑法犯認知件数は最大が尼崎東署の9、最小が佐用署1.5と6倍の格差です。

この指標のみを取り上げて 格差をゼロにしろとは言いませんが、これだけの違いを見せられると、本来適正に警察官が配置されていれば、防げていた事件や事故、悲劇があったのではないか、と考えられます。また、他の県警では人口減少や交通事情の改善を踏まえ、小規模警察署の非効率性を是正するために警察署の統合を進めているところがあります。兵庫県警は平成18年の警察署再編から10年が経過しておりますので、警察署の更なる最適化も求められてくるのではないでしょうか。加えて、人員配置は本部に25.7%、警察署に69.5%の割合です。本部重視、現場軽視の人員配置なっていないか、も気になるところです。

そこで、まず、地域の治安サービス、労務管理の両面で最適化を図るため、警察署の再編や小規模警察署の分庁舎化などのハードの最適化、そして警察署間の業務負担、治安サービスの格差是正などソフトの最適化に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。

(2)警察組織の合理化・効率化について

二つ目は業務の効率化・合理化です。
ここ数年でも県警察官が書類の偽造で何度も書類送検されました。例えば、交番に万引き犯人が自首してきたにもかかわらず、取調を行わなかった事例では、警部補は「事件処理が面倒だった」。とのことです。また、交通違反の取締でも見取り図作成の名義貸しで70名の警察官が送検されました。もちろん、99.999%は不正を働いた人間が悪い。が、人員不足で疲弊・忙殺され、無駄で過剰な書類作成をさせる運営体制にも問題があると考えます。

また、県警の欠員は、平成29年4月で約210人と恒常的に人員が不足している状態にあります。これを解消すべきとの論調が議会でも多いのですが、財政制約が高まる中でそう簡単にはいかないと考えます。

一方で、たとえば、警察音楽隊は32人が専務で配置されています。警察活動に対する関心と理解を深める活動には理解しているところです。ただ、人件費と間接経費で約2.3億円の費用で演奏活動は年間169回。皆さんがご覧になる音楽隊の演奏には1回136万円のコストがかかっているわけです。メンバー全員が警察官である必要性はあるのか、一部を事務職員や非正規の職員で構成し、警察官は不足している警察署へ配置するなど工夫の余地はありそうに思えます。

警察庁は平成25年に「国民の期待と信頼に応える強い警察」に向けた取組強化の通達を出し、1番目に業務の大胆な合理化・効率化と無駄のないチェックシステムの構築がうたわれているところですが、西川本部長が考える警察組織の合理化・効率化に向けた具体策を伺います。

6.地域安全と私人逮捕について

合理化・効率化をどれだけ図っても、警察だけで地域安全を100%守ることは難しいと思います。現状の枠組みは第一義に警察が組織で守る、青パトや防犯パトロール、防犯カメラなど地域・団体で抑止するの2段構えです。

3段目として、もっと個人で治安維持に貢献できないのかというのが今回の趣旨です。既に、駐車監視員や交番相談員などの民間委託に加えて、情報提供者に懸賞金を支払う捜査特別報奨金やネットパトロールなど、個人が治安のために取り組む施策がなされています。
新たな施策として訴えたいのが私人逮捕です。

私には印象に残っている事件があります。2006年に特急サンダーバード内で発生した強姦事件です。同じ車両に40名近い乗客がいながら誰も止めることができなかった、通報すらできなかったというものです。当然、列車の中ですから警察を呼んでもきません。

しかし、乗客のうち一人でも勇気を持ち、行動に移せば、悲劇は防げたかもしれないと思っています。私人逮捕とは、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくして逮捕することができる」という刑事訴訟法に基づき、警察官でない一般人でも逮捕ができるというものです。ちなみに、県下で現行犯逮捕の約3割を私人逮捕が占めています。もちろん、判断には知識も必要です、過剰防衛や負傷などの様々なリスクもあるため、すべての人に私人逮捕を求めるわけではありません。

法的素養、公益的考えが一定の基準を満たしている、自衛官・予備自衛官6,500名や県市町行政職32,000名への私人逮捕の活用を周知してはと考えています。全ての人が賛同してくれるとは思ってませんが、2割でも約8000人になります。高齢化と持続性が懸念される地域安全まちづくり推進員の約4,000人と比べても、相当なインパクトがあります。

犯罪は24時間、如何なる場所でも発生するものであり、警察官がどれだけ増員されても、どれだけ効率化がなされても守れる犯罪、防げる悲劇には限界があります。
そこで、まずは、自衛官・予備自衛官や県市町行政職の希望者に、私人逮捕についての周知・研修を行い、万が一の補償制度も整備し、犯罪検挙活動に参加してもらうことは、新たな地域の安全づくりに資すると考えますが所見を伺います。

7.広報・デザイン改革について

従来の助成金や行政サービスは提供する上限が決まっているので、その存在は知る人ぞ知るでもOKでした。しかし、フェニックス共済や婚活出会いサポート、ふるさと納税など行政が上限なしに数を求める、事業が増えています。当然、知る人ぞ知るでは結果がでません。どれだけいい商品・サービス・施策も知られなければ存在しないと同じです。

ここ数年、IBMやアクセンチュアなど事業・IT系コンサルが広告会社を買収するケースが目につき、なぜかと考えていました。仮説ですが、事業を成功させるためには商品開発を成功させても、最終消費者に商品を伝えて、購買行動に結びつくラストワンマイル、すなわち広報・デザインが機能しないと事業が成功しないケースが増えているのではと考えます。これからは伝え方、伝える手段の両面で根本的な改革が求められます。

東京都が作成した書籍、東京防災は一般販売で完売するなど 大人気。なぜあれほど爆発的な広がりを見せたのか。成功の要因は伝え方、すなわちデザインの力です。企画・構成・デザインの細部までプロの広告会社が携わったからと考えています。
伝える手段では、ネット広告のシェアが大きく伸びています。

2016年度のネット広告市場は1兆円を突破、新聞・雑誌・ラジオの合計で約9,000億円。折込が4,400億ということを考えると、県の広報予算も時代に応じた配分がなされていくべきです。各世代のより多くの県民に満遍なく伝える広報には伝統的なテレビ・紙媒体が最適だと思いますが、少数の特定層をターゲットにした広報は費用対効果を考えるとネットが最適だと考えます。SEOやリスティング広告、フェイスブック広告にプレスリリース代行など多様な、新しい選択肢を今後検討していくべきです。

キャッチコピーやデザインと言ったクリエイティブ制作から広報のデータ分析・最適化は素人でできる業務ではありません。クリエイティブはセンスが重要、広報は経験も重要、すなわちその道のプロに任せることが重要なのです。デザイン・ウェブ制作は一部外注も実施していますが、県の規模だとむしろ内製化させることがコスト削減・機動性の観点からも進めていくべきです。

そこで、広報・デザインを所管する広報戦略監の創設とデザイン・コピー・ウェブディレクションの専門家を採用し、全ての外部発信の紙・ネットのクリエイティブはその部署が「助言」ではなく、「制作」する流れに変更し、自治体広報を根本から見直すべきだと考えますが、所見を伺います。

8.ヘルプマークの普及促進について

今回の代表質問にあたり、県下の市町村議員に県政アンケートを取ってみました。そこで西宮のわたなべ市議からご意見をいただいたのがヘルプマークの導入です。
ヘルプマークは昨年、天野議員が導入を提案されていました。

その答弁では、譲りあい感謝マークが先行しており、関西広域連合でも各都道府県の独自マークと並行する趣旨を答弁しておられます。しかし、既に福岡、千葉、京都、大阪などの多くの都道府県でヘルプマークの採用が決定し、JIS改正で規格にも追加され、この分野におけるデファクトスタンダードとなりつつあります。

そこで、私は譲りあい感謝マークを廃止し、ヘルプマークへの一本化、無料配布へ方針転換すべきと考えています。譲りあい感謝マークはコンセプトは非常によかった、時期も先駆的。しかし、事業を進めていく上で重要な細かなツメが要因でうまくいっていない、そして今後も成功しないと考えています。

一番の問題は、先ほどの質問でも指摘したデザインです。このデザインが洗練されていない。ピクトグラムのように一見してマークの意味がわからないといった問題です。利用対象も厳格すぎで身体障害者手帳の所持者や難病患者のみ。今年の特別委員会で伊藤委員からの指摘により、対象を少し拡大した程度です。周囲から配慮してもらうことに、そんな厳格な要件がなぜ必要なのでしょうか。また、全国どこでも使えるようになって初めて利用する意味、認知度の拡大が期待でき、このようなマークを都道府県レベルで独自に推進していく優位性・必要性はありません。
そこで、譲り合いマークを廃止し、ヘルプマークの無料配布へ一本化させるべきと考えますがご所見を伺います。

前田 ともき

(選挙区:神戸市東灘区)

一般質問

(黒田 一美 議員)[発言方式:分割]

1 神戸電鉄粟生線における住民の「参画と協働による特色ある駅づくり」について
2 最低賃金制度の県民への周知について
3 粒子線治療の普及について
(1)神戸陽子線センターの特色と地域医療連携について
(2)粒子線治療の普及方策について
4 学校教育における人権教育、平和教育について
(1)原爆被爆者の被爆体験を通じた教育について
(2)肝炎患者の体験を生かした教育について

質問全文

質問日:平成29年9月28日(木)
質問者:黒田 一美 議員
質問方式:分割方式

1 神戸電鉄粟生線における住民の「参画と協働による特色ある駅づくり」について

神戸電鉄粟生線の利用者数は、人口減少やマイカーの普及に伴って、ピーク時の年間約1,800万人から、ここ数年は800万人台にまで半減し、一時は粟生線の存続すら危ぶまれる状況でした。
こうした状況を受け、県と沿線市では、平成24年度から5年間にわたり40億円の無利子貸付を行う等の支援を行い、その結果、鉄道事業の収支は改善し、会社全体の経営成績も堅調とお聞きしています。

今年度からは、県と沿線市が車両更新等に対して協調支援を行い、来年2月、4月と新型車両2両が導入される予定で、また、沿線市では各種の利用促進に取り組まれています。
このところ、粟生線の利用者数の減少には歯止めがかかっていますが、今後の人口減少の進行等を考えますと、行政による支援に頼るだけではなく、地域の課題として住民も積極的に参画して、持続可能な利用促進に地道に取り組む必要があるのではないかと考えます。
駅に賑わいを取り戻し、駅に人が集まる仕掛けを講じなければなりません。北条鉄道では、駅にボランティア駅長を置き、駅舎内にパン屋を開いたり、婚活相談所を営まれる等して誘客を図っています。

北条鉄道と粟生線では規模が違いますので、同様の取組はうまくいかないかもしれませんが、何か駅に特色を持たせることはできないでしょうか。
例えば、沿線の保育所、幼稚園や小中学校、高等学校、あるいは地域のサークル等で制作された絵画や工芸品等の作品を展示する展覧会を各駅で開催し、各駅を回遊するような仕組みは考えられないでしょうか。

また、それぞれの駅で、スペースを工夫して、今、流行ってきている将棋や囲碁、マージャンをする、また、地域の方のパッチワーク教室や、折り紙教室をする。
さらに、各駅でイチゴやスイカ、野菜等の四季折々の地域の農産物や加工品等を販売するのもいいと思います。

それぞれ小さな取組ですが、単独の駅で行うのではなく、色々な駅で連携して行い、乗客が色々な駅を楽しんで回れるよう、モデル的なマップを作ってはどうでしょうか。
粟生線では、一般の方から公募・選考された「粟生線ブログ駅長」が粟生線沿線を中心とした沿線情報を発信されていたり、利用促進のためのジャズ列車等の企画列車を運行されたりしています。また、神戸電鉄粟生線活性化協議会に地区代表の方々が参画されておりますが、さらに広く地域の方々の参画を求め、地域独自のアイデアを募ることが有益と考えます。
住民が積極的に参画して特色ある駅づくりを行い誘客を図ることが、少なからず粟生線の利用促進と、その地域の振興にもつながるのではないかと考えますが、住民の「参画と協働の特色ある駅づくり」について、当局のご所見をお伺いします。

2 最低賃金制度の県民への周知について

兵庫県の「地域別最低賃金」は、来月10月1日から、1時間819円から25円アップの844円に改定されます。
近年、「地域別最低賃金」は従前と比較すると大幅な引き上げが続き、また、このところ、景気も緩やかな回復基調が続いていると言われますが、生活者にとってあまり景気回復の実感はないのではないでしょうか。パートや派遣等で働く非正規雇用者の割合は約4割にのぼり、生活保護受給者数は200万人を超える等、低所得層の増大や格差の拡大により社会は不安定さを増しているように感じます。

このような社会において、誰もが将来に希望が持てるよう、賃金のセーフティネットである最低賃金制度が果たす役割は改めて重要であると考えます。
「最低賃金法」は、賃金の低廉な労働者について、事業若しくは職業の種類又は地域に応じ、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的として、昭和34年に制定されました。

同法に基づき、昭和34年には、まず、「企業内の賃金水準を設定する際の労使の取り組みを補完するもの」として、産業別の「特定最低賃金」が設定され、その後、昭和46年にすべての労働者の賃金の最低限を保障するセーフティネットの役割を果たす「地域別最低賃金」が設定されました。
こうした最低賃金制度の重要性や意義が、広く県民に浸透していないのではないでしょうか。

最低賃金に「地域別最低賃金」と産業別の「特定最低賃金」がある事自体も、知らない県民が多いのではないでしょうか。
最低賃金制度の周知については、地方労働局が中心となって実施すべきものとは考えますが、現在の社会情勢から見ても、「特定最低賃金」も含めた最低賃金の重要性は高まる一方であり、この制度と役割を県としても広く県民に周知すべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。

3 粒子線治療の普及について

(1)神戸陽子線センターの特色と地域医療連携について

本年12月には、全国屈指の粒子線治療実績を持つ「県立粒子線医療センター」の附属施設として、最先端の陽子線治療装置を備えた「神戸陽子線センター」がポートアイランドの県立こども病院の隣接地に開設される運びとなっています。

「県立粒子線医療センター」は、たつの市にございますが、この「神戸陽子線センター」が利便性の高い神戸市に開設されますことは、今後のがんの治癒率の向上に寄与するものと私も大いに期待しているところです。

「神戸陽子線センター」は、県立こども病院と一体となった小児がん患者への陽子線治療をはじめ、「県立粒子線医療センター」と連携し、成人も含めたあらゆる年代の患者に陽子線治療を提供する施設として整備されると伺っています。

そこで、「神戸陽子線センター」が神戸市に開設されるメリットや「県立粒子線医療センター」の附属施設として果たす役割や特色について、お伺いします。
また、県立病院はもちろんのこと、周辺の専門の医療機関と適切な連携を図ることが、さらに多くの患者に高度な治療を提供する機会の増加につながると考えますが、どのように連携を図っていこうとしているのか、お伺いします。

(2)粒子線治療の普及方策について

県立粒子線医療センターでは、他の病院で治療が困難と判断されたがんの治療に積極的に取り組んで実績を上げておられ、粒子線治療は「難治がん」に対する治療方法として期待されるものです。

しかしながら、県民の皆様が粒子線治療をどれくらい知っているのか疑問に思います。と言いますのも、先日、私の県政報告紙に粒子線治療の記事を掲載したところ、すぐに私の元へご相談が寄せられました。
その相談は、ご自身のがんが粒子線治療に適しているのか、どうやって調べてもらえばいいのか、どうやったら粒子線治療を受けることができるのか、といった内容でした。
もし、県民の皆様が、粒子線治療をあまりご存知なく、より適切な治療の機会が失われているとすれば、非常に残念なことです。

今や、医師は、患者に対して取り得る治療方法を示し、患者がその治療方法を選択する時代となっています。患者が粒子線治療とはどのようなものか、どのような疾患に効果があるのかを知っていなければ、医師から説明を受けたとしても、どうしても一般的な治療法である、手術や抗がん剤治療を選択するのではないでしょうか。
また、患者が最初にかかる医療機関の医師が粒子線治療について熟知しているのかどうかということも疑問が残ります。医療が高度化・専門化してきている中で、粒子線治療の有用性について医師に理解を深めてもらうことも、粒子線治療の普及に向けた課題ではないかと考えます。

さらに、治療費の問題があります。粒子線治療には300万円弱の費用がかかります。小児患者については保険が適用されることになっていますが、成人患者については、保険適用となっている粒子線治療は一部の特殊な疾患のみと聞きます。できる限り多くの患者さんに粒子線治療を選択してもらうためには、保険適用疾患の拡大が喫緊の課題でもあります。
粒子線治療が世の中にまだまだ浸透していないのであれば、神戸陽子線センターが開設される、この機に乗じて粒子線治療の普及を図るべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。

4 学校教育における人権教育、平和教育について

(1)原爆被爆者の被爆体験を通じた教育について

本年、7月7日、ニューヨーク国連本部の会議で、「核兵器禁止条約」が採択されました。
この条約は、ありとあらゆる核兵器関連の活動を禁止しています。
8日前の9月20日に条約の署名が行われ、発効に必要な50か国の批准が初日に達成され、90日後に発効します。

コスタリカのホワイト・ゴメス議長は、「現在と将来の世代の希望と夢に応えることができ、感無量です。」「世界は核兵器の全面廃絶に一歩近づいた。」と述べました。
しかし、アメリカ、ロシアをはじめとする核保有国と唯一の被爆国、日本が参加せず、北朝鮮も話し合いに加わっていないのが残念でなりません。
ともあれ、この歴史的な「核兵器禁止条約」の採択には、核兵器の被害を体験した被爆者の活動と被爆体験の訴えが、大きな原動力になりました。

改めて、戦争の悲惨さを伝え、平和の大切さや命の尊さに気付かせる平和教育の大切さを感じるところであり、その重要な取組として、原爆被爆者の方の自らの体験を聞き、戦争の悲惨さを考える教育の必要性を再認識しました。
しかし、戦後72年が経過し、被爆者の方々の高齢化が相当進み、体験を直接語り継ぐことが困難になってきています。

被爆者の中には、そもそもご自身の悲惨な体験を語りたくない、思い出したくないという方も多く、現在、自らの体験を語る「語り部」をしていただける方は、大変貴重な存在となっています。そのため、広島市では、被爆体験を受け継ぐ「伝承者」を養成しているところです。

兵庫県の被爆者の団体であります兵庫県原爆被害者団体協議会の方々も、今のうちに一人でも多くの人に、子どもたちに伝えたい、その機会が欲しいと切実にのぞんでおられます。
県でも、「語り部」を通じた教育を行われているところですが、少しでも多くの子どもたちへ語り継ぐためにも、残された機会を有効に活用し、さらに積極的に計画的に原爆被爆者の体験を聞く平和教育を行っていくべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。

(2)肝炎患者の体験を生かした教育について

子どもたちへの教育において、様々な方々の実体験を聞いて社会の現実に触れ、「なぜ、どうして」と考えを深める中で知識や考え方を身に付けることが、生きる力を育むことにつながると考えます。

特に人権教育では、実際に不当な偏見や差別を受けた当事者の方の話を聞く機会を設けることが、人権の意義・内容や重要性について理解を深めるうえで大切です。
兵庫県内では、最近、B型肝炎への偏見や差別をなくそうと、中学校や高校へ出向き、自らの体験に基づき講義を行うB型肝炎患者の方々の活動が始まっています。
B型肝炎は血液や体液を介して感染し、日本脳炎などの集団予防接種の注射器使い回しによる感染被害者は40万人以上とされています。しかしながら、「肌が触れただけで、同じ鍋をつついただけでうつる」といった間違った知識のために偏見を受け、病気を理由に就職を断られることもあります。

こうした差別をなくそうと県内で活動されているB型肝炎患者の方々は、何のつてもないままに、自ら市町の教育委員会や学校を訪ねて、体験談を語る場を設けてもらえるよう働きかけ、講義に至っています。

これまで、B型肝炎患者の方々は、病気が重症化して肝硬変や肝がんになると、医療費の負担が増加し、そのうえ重症化すると働くことが難しくなって収入が激減することから、生活苦や健康不安を抱えて医療費助成の実現に向けた活動等に力を注がれていました。
その厳しい現実の中から、最近では、患者の声を直接聞き、何が正しいのかを自ら考えることで、人が人に寄り添える社会になることを願い、また何か社会に貢献できないかということで、こうした教育啓発活動に力を入れておられるのです。

講義の内容は、B型肝炎患者の経験に基づくものですが、これは間違った知識が、偏見や差別につながるといったものです。このことは、人権教育そのものではないでしょうか。
そういった意味で、B型肝炎患者の方の講義は大変意義深く、すでに県内で数校の学校で実施され、高い評価がなされております。
さらにこの活動が広がるよう何か後押しができないだろうかと考えますが、こうした講義を人権教育として中学校や高等学校で行うことについて、どのようにお考えか伺います。

黒田 一美

(選挙区:神戸市垂水区)