質問日:平成30年2月23日(金)
質問者:向山 好一 議員
質問方式:一問一答
1.県庁周辺の再整備について
知事は、新年の会合に今年も精力的に参加され、私も何度もご一緒した。その中で、私が代表を務めるある団体の新年会で、いつものように詩を披露された。その詩は、現在の知事の心境をストレートに表現しており、これまでの中でも非常によく出来たものだった。
それは、「兵庫県150周年始まれり 当時の志 未来に継がん」。その詩の披露の後に、その心境を次のように表現された。「これまでは安定を重視して慎重な県政を進めてきたが、これからは少々リスクを冒しても新たなことに挑戦したい。」私はそれを聞いて、県政150周年を機に、守りから攻めに転換するぞ、という知事の並々ならぬ決意を感じ取っている。
そこで、県庁周辺の再整備というビッグプロジェクトについて質問する。昨日の代表質問で、加田議員から同様の質問があり、具体的な提案もあった。私と同じような考え方を持った提案だったので、先を越されたな、という思いだが、知事の答弁にもあったとおり、県庁周辺を大胆に再整備するには何百億円という莫大な資金が必要になる。
そこで、私からその答えを提案する。まずは、知事も指摘しているとおり、民間活力の導入が不可欠である。つまり、PPPの導入によって県の持つ資産価値の最大化を図る必要がある。そのために、庁舎を単独の建物にするのではなく、他用途と共存する施設にする。
さらに、県庁周辺を一体のものとして再整備する。その場合、昨日もあったとおり、生田中学校も含むことがとても重要になる。元町駅から広がる一大空間に、世界的に有名なホテル、オフィスビル、芸術情報発信施設、商業賑わい施設、居住空間などを複合的に整備する。
そして、その事業費は、資産価値を高めた土地を定期借地によって民間に貸し出す、居住空間を分譲して資金に充てる、国の長寿命化改修事業や緊急防災・減災事業を活用し補助してもらうなどの手法により、総事業費を捻出する。
このスキームは、先進事例として東京都豊島区新庁舎建設時に導入され、約430億円もの総事業費を公的負担ゼロで実現している。渋谷区でも同様の手法で現在事業が進んでいる。東京都と兵庫県の資産価値の違いがあるにしても、この成功例を大いに参考にすべきである。そこで、これまで述べたことが私からの提案であり、知事が夢見ている県庁副都心ではないかと考えるが、当局の所見を伺う。
2.「がん対策推進条例」の制定について
がんは、もはや国民の2人に1人がかかる病気となり、治療法は飛躍的に進歩し、以前のような不治の病とは全く異なっている。つまり、全ての人が予防と治療に正しい知識を持ち、がんと向き合うことが非常に重要になっている。
ところが、今なお予防に対する認識は低く、かかった後は人生の終わりを告げられた感覚になり、家族とともに、経済的にも精神的にも身体的にも非常に苦しい状況に追い詰められることから、早急にその対策を進めなければならない。
しかし、がん対策基本法成立以降、全国に広がっているがん対策推進条例が39道府県で制定されているのにもかかわらず、兵庫県では今なお制定されておらず、近畿でも兵庫県だけが制定されていないという状態である。
昨年の12月議会の代表質問で、制定を求める質問があったが、当局の答弁は、「健康づくり推進条例の中に位置づけているので制定の必要はない。」との内容だった。果たしてそれは正しい姿勢といえるだろうか。
その健康づくり推進条例で明確に位置づけている疾病は、生活習慣病、歯科及び口腔、心の健康の3つであり、がんは生活習慣病の病気の一つという位置づけとなっている。条例の中に歯科という文字は21ヵ所記載されているにもかかわらず、がんという文字は3ヵ所だけしかない。
5年前、国立がん研究センターから、「がん診断後一年以内の自殺を含めた外因死のリスクが約20倍になる」との研究結果が発表されている。そのことからも、がんは生活習慣病の一つではあるものの、特に重点を置いて扱うべきものと考える。
知事も問題意識を持っている検診受診率は、全国平均を相当下回っている。健康づくり推進条例では明記されていない時代の変化に対応できるがん対策が、今後さらに重要となってきているのではないか。
兵庫県には、県立のがんセンター、粒子線医療センター、神戸陽子線センターなど、がん治療の最先端技術を擁する医療機関が集積している。
そこで、がん対策日本一の県を目指し、早期発見のための検診受診率の数値目標、がん医療の充実、がん患者及びその家族への支援、緩和ケア、がん治療に関する情報提供、総合的な相談窓口の充実などを明記したがん対策推進条例の制定が必要と考えるが、当局の見解を伺う。
3.第二神明道路の料金問題について
昨年6月に阪神高速道路に対距離料金制度が本格導入され、実質値上げされたのに引き続き、今度は第二神明道路が値上げされようとしている。
その内容は、国交省の案では、全区間で320円から480円と、何と今度は5割も値上げされる案になっている。このデフレ経済の中で、県民の所得が上がらず、社会保障を含め負担が増えて可処分所得が減少し、生活が依然として苦しい状況のこの時期に、値上げすることに大きな疑問を抱いている。しかも、50%も値上げする理由はどこにあるのか。
この新料金は、国交省に決める権限があり、周辺道路の管理権限から本来道路管理者の神戸市の同意が必要であり、神戸市会での議決対象となるが、兵庫県議会の議決は不要である。
また、そもそもこの新料金は、兵庫県が神戸市と明石市と共同で提案したものを踏まえて、国交省が具体方針(案)を示したものであり、兵庫県は値上げの必要性、新料金の根拠、増収分は何に使われるのかという点について、県民に説明する責任があると考える。
さらに、第二神明より遅く開通した姫路バイパスは平成12年に無料化されている。一方、第二神明は、平成6年に無料開放される予定だったものが、制度の変更で何度も延長され、現在は平成72年まで料金徴収されることになっている。また、整備が急ピッチで進んでいる北近畿豊岡自動車道は直轄事業、山陰近畿自動車道は補助事業での整備であり、無料開放となっている。
同じ高速道路でありながら、何故これだけ料金が違うのか。取りやすいところから取る、という安易な発想になっているのではないか、との疑問が払拭できない。
この不公平感に対する疑問点についても、県民に分かり易く説明する責任があると考える。
そこで、以上の2つの観点から、第二神明道路の料金問題について、当局の所見を伺う。
4.神戸ビーフ館の整備について
県政150周年の一つとして位置づけられている神戸ビーフ館の整備について伺う。
私も海外に出向く機会がある。神戸に住む我々からすると、神戸と言えばミナトが有名だろうと思っているが、外国人に神戸のイメージを聞くと、ほとんど神戸ビーフという返事が返ってくる。「神戸に行くと神戸ビーフが食べられるのか?」と逆に聞かれるくらい、神戸ビーフは憧れであり、名前が知れたブランドである。
しかし、それだけの価値のある観光ツールをこれまで十分活用できていなかったのが実態であったが、今回整備される神戸ビーフ館は、国内外の観光客に神戸の魅力を発信できる大きなスポットになることは間違いない。
一部の新聞報道によると、知事は、候補地としてポートタワー北側の中突堤ビル跡を挙げているとのことだが、今回の所信表明では平成30年度に別の場所でプレオープンを目指すと言われた。また、新聞報道によると、既存店との競合を避けてステーキは提供しないとも言われている。
私は、今後の兵庫のゴールデンルートを開発する上で、神戸ビーフ館を世界の人々が一度は行ってみたいと思われるような、どこにもないワクワク感を味わえる施設にすべきだと考えている。具体的には、海が一望できて、神戸ビーフの歴史や生産のプロセスが分かり、そして実際にステーキやしゃぶしゃぶなどバリエーションに富んだレストランを兼ね備えた一大ミュージアムにすべきだと考える。
そこで、この神戸ビーフ館を何処に、どのようなスケジュールで、そしてどのような中身で整備する考えなのか、当局の所見を伺う。