第339回定例県議会 予算特別委員会 <農政環境部>
質問日:平成30年3月9日
議員名:上 野 英 一
1.担い手の現状について
ひょうご農林水産ビジョン2025では、産業としての力強い農林水産業を展開するには、経営能力に優れた担い手を必要としており、地域の他産業従事者並みの所得等を確保できる経営体へ発展するよう育成する認定農業者の認定を進めているとある。
私は平成26年度の決算特別委員会で担い手の開拓と育成支援等について質問をした。認定農業者は平成37年目標すなわち2020年3,000人に対して「平成26年度は新規認定132、更新をしなかった者が89、廃業等が15で差し引き2,545経営体となった。
高齢化が伸び悩みの要因である。従って、今後は新規就農者を育成し、認定農業者へと誘導していく必要があり、そのためには新規就農者の定着支援と経営拡大に向けた支援が必要。」と答弁があった。しかし、新規就農者も年間400人目標に対して約74%での推移であり、平成28年度の認定農業者数も2,487人と厳しい数字となっている。この現状に対する認識と目標達成に向けた方策を伺う。
2.農業経営体の法人化について
同じ平成26年度決算特別委員会において、集落営農組織の法人化と企業参入について質問したが、その時には「本県農業の持続的発展を図るためには、認定農業者等の個別経営体と併せて、集落営農組織、法人を育成するとともに、企業の農業参入を推進し、地域の持ち味を最大限に生かした力強い農業経営を展開する必要がある。
集落営農の組織化については、平成32年度の中間目標1,300集落に対して平成27年3月末時点で1,066集落で、高齢化やリーダー不足などにより、毎年20集落程度の緩やかな増加となっている。」と答弁があった。因みに、平成37年度目標1,500集落に対し、平成28年度は1,110集落とさらに緩やかな増加となっている。
また、これら1,110の集落営農組織のうち法人化している集落数は175集落、経営体数で114経営体に留まっており、今後法人化する余地が大いにある。
本県の法人経営体全体についてみると、平成32年度目標の700経営体に対して平成28年度で482経営体となっているが、平成27年度から平成28年度にかけて84経営体の増となっており、伸び率がこれまでよりも倍増している。なお、平成37年度目標は900経営体である。
農業経営の法人化は、意思決定の迅速化や個人の無限責任回避などの観点から重要と考えるが、これについて、現状の分析、また、今後の見通しについて伺う。
3.農地中間管理機構による担い手への農地の集積・集約化について
農地の有効活用や農業経営の効率化を図るため、農地中間管理機構が農地所有者から農地を借り受け、人・農地プランの中心経営体等の担い手へ貸し付けることにより、農地の集積・集約化を促進とある。
そしてそのために、担い手ではない農地所有者から機構を通じて担い手に新たに貸し付けられた新規集積農地に対して機構集積協力金が交付される。地域集積協力金は、人・農地プランの話し合いに基づき、機構にまとまった農地を貸し付けた地域を対象に、経営転換協力金は、①経営転換する農業者②リタイアする農業者③農地の相続人を対象に、耕作者集積協力金は、農地中間管理機構の借受農地に隣接する農地の所有者、耕作者を対象としている。現在は交付対象が新規集積農地に限られているが、機構発足当初は、機構に貸し付けられた全ての農地が交付対象であったこともあり、この集積協力金が担い手への農地の集積に大いに寄与してきたと認識している。
さらに、機構が集積した農地の圃場整備事業を受益者の負担金を求めずに県が実施することが可能となった。さらに、一定期間、機構に対して所有する全ての農地を貸し付けた場合に固定資産税の軽減がなされる制度も措置されていると聞く。機構による集積が中々進まないための策でもあるとも考えるが、農地も森林管理100%作戦と同じで、公が管理する時代となったと言えるのではないか。このような中での今後の農地の集積の見込みとあるべき姿について伺う。