議会の動き

◆18年2月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方  討論

質疑    栗山 雅史  議員

代表質問  石井 健一郎 議員

一般質問  竹内 英明 議員 迎山 志保 議員 向山 好一 議員

質疑

(栗山 雅史 議員)[発言方式:一括]

1 児童養護施設等ICT化推進事業について
2 日本酒の品質向上支援事業について

質問全文

質問日:平成30年2月16日
質問者:栗山 雅史 議員
質問方式:一括

1.児童養護施設等ICT化推進事業について

児童虐待相談受付件数は、兵庫県内でも年々増加しています。全国的には死亡事故に至るような事案もあり、まだ物ごころもついていない幼い子どもたちの心のうちを推し量りますと、大変心を痛めております。そのような状況下、一人でも多くの子どもたちを救いたいという一心で、虐待の未然防止や子どもの一時保護など、日々の職務を懸命に全うされているこども家庭センターの職員、あるいは乳児院、児童養護施設の職員のご精励に、心から敬意を表する次第であります。

さて、今回の補正予算案では、これらの職員の業務負担の軽減や、虐待を受けた子どもに対する養育の質を向上させるために、タブレット端末を購入し、保護委託中の子どもの情報等を、こども家庭センターと委託施設間で一元管理できるシステムを導入するという提案になっています。私は、この取り組みは大変意義深いものと考えています。

新たなシステムによるタブレット端末の活用は、まず「外出中であっても利用できるポータブル性」をはじめ、「子どもの情報の提供や閲覧」、「一時保護可能な施設の情報の入手」、「即時性」などの効果が期待されます。また、これまでは1施設に1~3台程度の専用パソコンしか設置されていないため、使用機会が制限されていましたが、タブレット端末を複数台備えることで、多くの職員がリアルタイムに情報を入手、閲覧できる機会が格段に増えます。早急に整備を完了され、情報セキュリティに気をつけていただくとともに、新しい機械の導入がかえって現場の方々の負担にならないよう十分な配慮をいただいた上で、しっかり活用が図られるように取り組んでいただきたいと願っているところです。
当局としては、この取り組みを通じて期待できる効果についてどのようにお考えか、ご答弁ください。

2.日本酒の品質向上支援事業について

国税庁が毎年発行している「酒のしおり」を見ますと、消費される酒類の
中で、日本酒は平成元年度にビール(71.0%)に次いで2位の15.7%でし
たが、平成27年度ではビール(31.5%)、リキュール(24.0%)、焼酎(10.
1%)、発泡酒(8.9%)、その他の醸造酒等(7.0%)に次ぐ第6位、6.6%
となっています。消費量で見ても、ここ3年間毎年下がっているほか、これは清酒に限ったことではありませんが、酒類の一人あたりの消費数量が減少傾向にあるとされているところです。

そのため、各酒造メーカーなどは、スパークリング仕様にして女性ファン
獲得に努めたり、和食ブームに合わせて海外への輸出に取り組んだりと、様々
な取組を行っておられます。
日本三大酒処の一つである灘五郷をはじめ多くの酒造会社を抱える本県としては、日本酒は重要な地場産業であり、特に地酒ブームを担う各地の酒蔵を、地域創生の観点からも支援していくことが必要であり、そのためにもできることから取り組んでいく必要があろうと考えます。

今回補正予算案として挙げられた本件は、国の平成29年度補正・地域新成長産業創出促進事業費補助金を利用して、全額国庫で香気成分の分析を行うガスクロマトグラフ-フーリエ変換赤外分光光度計(GC-FTIR)と、アルコール分析装置を購入するものであり、日本酒生産過程のデータを分析・蓄積し、新たな品質の開発や生産工程の効率を図るための分析が目的とされています。

新商品の開発というものは、酒造メーカーや蔵元が、それぞれ独自に研究、開発されるものではないかと認識しておりましたが、この香気成分の分析を行うGC-FTIRの導入により、既存商品の味や香りの数値化をして、品質の一定化、安定化に寄与することにつながるのはもとより、特に地域の酒蔵にとっては、この機械を活用して、新商品の開発に積極的に取り組もうという意欲が喚起されるのではないか、と考えています。
そこで、GC-FTIRを今後どのように活用して、どのような効果を期待しているのか、さらに、日本酒を守っていくために、この機械の導入を機にどう展開していこうと考えているのか、お伺いします。

栗山 雅史

(選挙区:西宮市)

代表質問

(石井 健一郎 議員)[発言方式:分割]

1 地方分権の推進について
2 県立大学の今後の展開について
3 待機児童問題の解消について
4 兵庫県保健医療計画について
5 アンテナショップのあり方について
6 インバウンドの取組推進について
(1)ラグビーワールドカップ2019日本大会に係る取組について
(2)SNSの活用について
7 神戸ビーフのブランド維持と生産拡大に向けた新たな取組について
8 都市公園の維持・管理について

質問全文

質問日:平成30年2月22日
質問者:石井 健一郎 議員
質問方式:分割

1.地方分権の推進について

本格的な人口減少社会を迎え、東京一極集中が大きな課題となる中、地域を自らの手で創る地域創生の取組を本格化する必要があるといわれてから久しい。
しかし、これまで東京一極集中の是正や地方の財源確保、また特区制度の利用をはじめ、さまざまな地域創生の提案を行っているものの期待していたほど成果は挙げられていないようにも感じる。

そのためだけではないが、総務省の人口移動報告によると、本県の流出超過が止まらない。県内の市町を見ても、人口増加傾向にあるのは、交通アクセスのよいと思われる一部の市町だけである。さらに、それぞれの自治体がそれぞれの施策を行うことによって、県内市町同士で人口の奪い合いをしている、というような状況もかいま見える。真の地方創生、地域創生の実現のためには、県全体での減少が続く人口を県内の市町同士で奪い合いをするのではなく、協力して県外からの移住等を促進する取組をすることが本筋であり、そのリーダーシップも県の果たさなければならない役目の一つであるという思いがある。

その上で、現在の地方創生は、まだまだ国の関与が強すぎるということもあり、やはり地方が独自の判断で、地域創生の取組を進めていくことができるよう、全国一律の基準に基づく画一的な行政ではなく、地域それぞれの課題に対応できる行政システムを構築するために、改めて中央集権型から地方分権型に転換することが必要だということを感じているところである。

現在の地方分権改革である国の提案募集方式において、本県では、市町における支障事例の解消に向け、県が市町と連携し提案する方式を導入している。そして、本県では、3年連続で都道府県の中では最多の提案を行うとともに、農地転用許可の権限移譲や地方版ハローワークの創設等を実現させたとはいうものの成果は限定的であり、このまま国が進めている提案募集方式で進めても、大くくりの権限移譲というのはなかなか実現できない、ということであろうと思う。

関西広域連合が進めた国出先機関の丸ごと移管は、政権交代により事実上困難になっている。当時は、地域主権戦略大綱や国出先機関の原則廃止に向けたアクション・プランの策定などは非常に前向きに進んでおり、知事におかれても、実現の可能性と期待が膨らんだ時期ではなかったかと思う。しかしながら、政権交代後は政府の地方分権への機運は結果として後退しており、細かな権限・事務移譲や義務付け・枠付けの見直しといった、本格的な地方分権改革とは少しほど遠い取組になっていることは残念である。

今年度国に提言した「中央集権制限法」は、国の役割を外交や防衛、司法等に限定し、それ以外の事務・権限を財源とともに地方に移譲する、そして、その考えに基づき、実証実験方式による権限移譲等を国に提言したところであり、地方分権といった意味においては大変分かりやすい提案であると考えているが、いまだに中央省庁の地方組織の是非については、地方六団体の中でも賛否があることから、政府に対しまとまった提言とはなっておらず迫力に欠けている。全国知事会においては分権改革の一環として国と地方の協議の場に税制改革や地方財政等について協議する分科会を設置することや、国会の常設の委員会として地方分権推進委員会を設置し、国の政策決定過程に参加するとともに、立法時に自治体の自由度をしばられないようチェックしてもらう仕組み等、立法のプロセスに地方自治体が関与する仕組みを提案しているが、その要望は事実上門前払いされている状態であり、現在、地方六団体の存在感は著しく低下している。

そのような状況下においても、井戸知事におかれては、住民に近く、地域の課題を的確に把握している地方自治体に必要な権限と責任、財源を一致させるという地方分権の考えに基づき、地方六団体や関西広域連合の枠組みの中で、地方分権を進める仕組み、地方税財政の充実等を積極的に国に要請しているということはよく承知しており、敬意を表する次第である。

私どもとしては本県として、このような攻めの姿勢を崩すことなく、さらなる提案、働きかけを続けてほしいと願っている。
そこで、今後も兵庫県、井戸知事が全国知事会や地方六団体をリードして、積極的な地方分権の取組を推進されることを期待しているところであるが、井戸知事のご所見を伺う。

2.県立大学の今後の展開について

学生数減少時代を迎え、全国の公立、私立大学では、ある意味で生き残りをかけて特色づくりなど様々な取組が進められている。兵庫県立大学においても同様の取組を進める必要があることはもちろんであろうし、来年度予算において、経済学部と経営学部が再編され、特に、留学生を多く受け入れようとされていることなど、グローバル化の流れに対応した取組を積極的に進めようとしていることは、有為な人材を育成する上でも、他大学との差別化を図る上でも非常に意義のあることだと考えている。

例えば留学生、外国人教員のさらなる受け入れの先進例として、かつて、大分県に立地する立命館アジア太平洋大学を視察に行ったことがある。全学生数に占める留学生の割合は約半分ということで、構内にいると、独特の雰囲気があった。

日本人の学生が外国語で学び、日常、外国人とコミュニケーションをとることが当たり前の条件を作り出すことによって、日本人のグローバル・コミュニケーション能力の向上につながっているということを感じた。

我が国における留学生の数は、独立行政法人日本学生支援機構によると、平成29年5月1日現在、日本にいる留学生は約27万人となっている。やはり東京に4割近く集中しているが、本県も第8位の約9,400人ということで、確かに地元でも多くの留学生を見かけるし、所属する大学の垣根を越えた自然発生的な交流も増えたように感じている。

また、外国語で教育ができる教員も必要性が増しており、特に外国人教員は、語学のみならず、日本人とは異なった歴史、文化を身に付けているため、グローバル化に対応していく人材を育成するためには有為であるとして、全国で増えているようである。いずれもまずは大学側の積極的な取組が必要であるが、行政としても金銭面での負担軽減や生活環境の整備が大切だ。

また、大学の特色を示す指標の一つとして、その設置地域において教育や研究等の機能を通じて地域社会にどのような貢献しているか、ということがある。たとえば、大学の立地する地域の特性を生かすような学部が編成されたり、研究分野が生まれたりしている。

過去においては、地域的なつながりが薄い場合に、地域連携の取組がうまくかみ合っていないようなことや、大学自体が財政的な負担を感じるということはあったかもしれないが、今後は普段の教育や研究活動の一環としてそういった活動を強化していくことが望まれる。

それによって、地域それぞれの特徴を踏まえた、その地域にあったプログラムを用意することができると考えるとともに、地域活性化の人材育成にもつながっていくと考える。
さらに、大学間の協力も大切だ。県内大学でも東京にサテライトキャンパスを設置しているように、他大学や教育機関との連携も増えている。

防災先進県、兵庫として東日本大震災の被災地の大学や教育機関との復興支援に関する連携を進めるのも一つの考えだ。地域創生の時代を迎え、そのための人材育成環境整備に向けた取組も更に拡大する必要がある。

他にも、昨今学生数が減少する一方で、働き手のスキル向上を通じた生産性の向上等の観点から社会人の学び直しの場としても脚光を浴びている。
こうしたことに加えて、政府においては、東京一極集中の是正や地方にある大学の振興や地方での若者就労促進を図るための関連法案を今国会に提出中だと聞く。

東京23区内には多くの国公私立大学があるが、その定員増を10年間認めな
いということであるが、この法案が成立すれば、なおさら、本来なら東京の大学へ流出していた学生の確保競争が激しくなるわけであり、その際、兵庫県立大学が学生から選ばれる大学であってほしいと考えている。

そこで、学生数が減少する中でも様々な取り組みが行われているところであるが、新しく歩み始める県立大学の今後の展開について当局の所見を伺う。

3.待機児童問題の解消について

待機児童問題は、本県のみならず全国的な課題として、よくマスコミでも取り上げられる。受入体制をどれだけ整備しても待機児童が発生するというように見える状況は、当局にとっても大変なことであると思うが、それによって女性の活躍促進や働き方改革、我が国の経済発展につながるということから、今後更に力を入れていただきたいと考えてる。

さて、国においては、昨年6月子育て安心プランを策定した。平成32年度末までに全国の待機児童を解消するため約22万人分の予算を確保する、そして、平成34年度末までの5年間で、現在72.7%の女性就業率を80%に対応できる約32万人分の保育の受け皿を整備する、というものであったが、12月には更に目標を前倒しし、平成32年度末までに約32万人分の整備を行うとの方針が示された。国の本気度が伝わってくる内容ではあり、こうした国の姿勢は、現実に待機児童問題で困っている方々にとって、一つの安心材料になると考える。

ところで、本県の待機児童の状況はと見ると、国の資料によると、平成29年4月1日時点で1,572人の待機児童があるとされている。この数字は、東京都の8,586人、沖縄県の2,247人、千葉県の1,787人に次ぐ全国4位の数字であり、本県よりも人口が多い神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県を超えているわけであるから、やはり少し多すぎる、対策が追いついていない、ということが言えると考えている。

ところで、今回の予算案では、申し入れを受け第2子以降の保育料軽減の拡
充が提案された。
それは大歓迎ではあるが、その一方で、来春の入園に向けた抽選に漏れ、待機児童になることが決定した、という方々が私の身近にもいらっしゃる。保育環境が充実すると新たな需要が喚起される傾向があることから、やはり国の方針は方針として、やはり県として早急に、そして抜本的に解決を図るための何らかの手を打っていくべきと感じている。
そこで、待機児童の解消について、県として、どう取り組んでいこうと考えているのかご所見を伺う。

4.兵庫県保健医療計画について

現在、兵庫県保健医療計画の7回目の改定に向け、パブリックコメントが行われている。2018から2023年の6年間が計画期間とのことであるが、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年対策、あるいは、それ以降の超高齢社会対策を進める上で、この6年間は非常に重要な期間になると考えている。

昨年度策定された兵庫県地域医療構想を見ると、2次救急医療の圏域内完結率が低かったり、将来的に病床が過剰と判断された地域があるが、こうした地域は、病床が過剰なのではなく、必要な医療が不足しているともとれる。

今回の計画案では、それを受けてのことだと思うが、2次保健医療圏域内で、医療資源の地域偏在がさらに進まないよう配慮するため、準保健医療圏域が導入されることとなっており、県としては、当該圏域の中核病院の取組や病床、医師等の医療資源の確保などの取組を支援するとされている。

つまり、圏域の統合あるなしに関わらず、そして、居住地域に関わらず、等質の医療が受療できるということが期待できる内容となっていると理解している。
あとは、その実現性をどう図っていくのかが課題ということになると思う。

特に、各市町の公立病院では、それぞれの病院が生き残りをかけて取り組んでいるが、必ずしも地域全体でより良い方向に向かっているとは限らない。県民に適切な保健医療サービスを効率的に提供していくためには、今後、医療圏域内における病院間の連携を果たしていく必要もあると考える。
そこで、県としては、住民が身近な圏域内で受けたい医療を受療できるよう、医療機関の適切な役割分担、相互連携が進むよう、しっかり取り組んでいただきたいと考えるが、所見を伺う。

5.アンテナショップのあり方について

現在、東京都内には大半の道府県のアンテナショップが開設されているほか、本県の豊岡市ほか市独自で開設しているところもある。各自治体や特産品の知名度アップ、特産品の販路拡大等が主目的であるが、アンテナショップによっては観光プロモーションや移住者獲得のための役割等も期待されている。兵庫県においては兵庫県特産物発信協会が運営する兵庫わくわく館がその役割を担っている。

アンテナショップはメガ店舗と中小店舗に大きく分かれているが、兵庫わくわく館は中小店舗であり、実際に訪れたところ、店内は特産品が山のように積まれており、販売も好調であるとのことである。
自治体がアンテナショップに費用を投じるのはその発信力に期待することであるが、その費用負担については様々な意見がある。兵庫県の場合は五国の国と言われるように、首都圏の方からすると神戸はともかくとして全体イメージがつかみにくい県である。

広大な県域を持ち、かつ、五国それぞれが歴史と文化に裏付けられた特色のある兵庫県なので、仕方のない面もあるとは思うが、現在の場所と店舗規模でその役目を十分果たせるかというといささか心許ない。

特産品も多種多様であるが、現在は県では棚を借り上げて五つ星ひょうごの物産を置いているとのことである。そのため、県としてこれからアピールするものを置く自由度は当然低くなるというデメリットもあるが、そういったアンテナショップに過剰な投資は避けるべきだという意見も根強い。

たとえば、京都市のアンテナショップについては移転先を検討したが、オリンピックが終わるまでは家賃が高騰しているということで、その後に再出店するという計画のようであり、一定理解できる。一年間100万人以上の集客をする店舗が4店舗、10万人未満が22店舗あるとされるが北海道や沖縄はともかく、集客は店舗の大きさに起因するところも多い。アンテナショップは広さや立地、雰囲気、飲食店、広報等の機能がそろえば、その地域をアピールする一つの核となりうるということは認めなければならない。

兵庫県は先ほど申し上げたとおり、首都圏ではイメージされにくいということからすれば公費負担の是非を問わなければ基本的にはそういった機能を備えることが望ましいと思われる。
県単独で運営するとすれば費用対効果をどのように考えるか、また、民間との連携強化等による費用負担の分担や公民連携の運営方法、県下各市町と協調等を考える時期が来ているのではないか。はっきりとしたイメージをもたれにくい兵庫のイメージづくりや国内外客の更なる集客という点についてはやはり一定の効果があろうと考えられる兵庫のアンテナショップの今後の在り方を検討する必要があると思うが県の考えを伺う。

6.インバウンドの取組推進について

(1)ラグビーワールドカップ2019日本大会に係る取組について

いよいよ来年9~11月にかけて、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催される。ラグビーワールドカップの主催者によると、40万人以上の外国人が観戦者のため訪日するとも予測している。

ラグビーワールドカップの特徴は、開催期間44日間と他のスポーツ大会と比較し長く、試合間隔も1週間程度空くことである。そういった中、強豪国からの観戦客というのは、予選から決勝ラウンドまで長期間開催国に滞在することが通例になっているとのことであるから、その間観光を楽しむ観戦者も多いと思われる。

また、ラグビーワールドカップはこれまでの第1回大会から第8回大会までオセアニアやヨーロッパ等のラグビーの強豪国で行われ、強豪国以外では日本が初めての大会でもあり、初来日する観戦者も多いと思われる。特に、ヨーロッパやオセアニアの富裕層が観戦に訪れる傾向があることから、アジア以外の地域の新しいインバウンドに今後繋がることが期待される。

さらに、今回のワールドカップは全国12都市で開催され、本県でも、9月~10月にかけて神戸で4試合が行われることとなっているが、日本政策投資銀行によると12都市の経済波及効果は2,330億円と試算されており、大きな経済効果も期待されている。

ラグビーワールドカップに続いて2020年には東京オリンピック・パラリンピック、2021年には知事も力を入れているワールドマスターズゲームズ2021関西と観光インバウンドを進化させるビッグイベントが続く。ラグビーワールドカップは今後のインバウンド需要開拓や受入ノウハウを得る上で大切な機会だと考えられ、全国の開催都市では、インバウンド獲得に向け様々な取組も行われているようだが、本県においては、ラグビーワールドカップのための取組は特段行われないとも聞く。

最近、本県の2017年のインバウンド消費額が2014年と比べて67億円減少したという記事を見た。対して、大阪は6,288億円の増、京都府が1,198億円の増であった。2014年時点での大阪府との差は6.7倍、京都府とは3.2倍であったものが、わずか3年で大阪府とは29.8倍、京都府とは8倍になっている。この差については、既に当局も原因を分析し、来年度予算案にもそのあたりが反映されているものとは思うが、やはりそれも踏まえて、ワールドカップラグビーの機会を捉まえて、神戸以外の兵庫の魅力を伝え、誘導する県独自の取組は必要だと考える。

そこで、ワールドカップラグビーという好機に係る県のインバウンドの取組について伺うとともに、ワールドカップから東京オリンピック、ワールドマスターズゲームズへと続く世界的なスポーツイベントの機会を捉まえたインバウンドの取組について、併せて伺う。

(2)SNSの活用について

中国広東省のテンセント社でWeChat等の説明を受けた。その際、知事は、
インバウンドに活用したいという話をされていた。日本へのインバウンドの
主要国は東アジア及びASEAN地域であり、訪日旅行者数は近年大きく増えている。その順位は中国、韓国、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ベトナムであり、2010年と比較すると2016年で約2倍から5倍増加しており、また、その人口もインドネシアの約2億6千万人、フィリピン、ベトナムは約1億人であり今後のインバウンドが期待される。県下でも多くなったベトナムからのインバウンドもこの6年で約5.6倍になっている。

ASEAN地域の各国はそれぞれの文化や言語も多様である。最近ではASEANのインドネシアやマレーシア等に多いムスリム向けインバウンド対策としてのハラル認証もよく聞かれるようになった。言語についても多様であり、日本語や英語で情報発信しても、中国同様に理解を得にくい。

兵庫県へのインバウンドを増やすためにはターゲットとする国において知名度を高める必要があり、特に兵庫県のイメージが高いとは言えない中、インバウンドを増やすためにはそれぞれの言語での情報発信を心がける必要がある。ASEAN地域では中国同様、スマートフォンも普及しており、SNSの利用も多いと聞く。テンセントでの説明にもあった通り、現地の人に情報発信してもらうことを始め、現地語での情報量をいかに増やすかということが今後の課題であるように思う。

来年度予算案には、新規事業として試験的にWechat等のSNSを活用して、中国向けにひょうごゴールデンルートの魅力発信を行う事業が挙げられているので、期待しているところであるが、こういった事業については他の自治体と横並びになる前にスピード感をもって一気に実施することがアドバンテージにつながると考えている。
そこで、今回の取組に加え、中国はもとよりASEAN諸国でSNSを活用した積極的なインバウンド対策を更に行うことが重要であると考えるが、当局の所見を伺う。

7.神戸ビーフのブランド維持と生産拡大に向けた新たな取組について

神戸ビーフは日本でも指折りのブランドを確立している。最大の特徴は霜降りであるが、最近では健康志向もあり、牛肉全体としては赤身肉を好む傾向もある。

昨年9月に開催された全国和牛能力共進会では期間中に約42万人が来場した。この催しは5年に1回開催され和牛のオリンピックとも言われている。雌雄それぞれの個体や集団の良質な肉をつくる能力を競う9つの区で順位付けを行うが、鹿児島県や宮崎県、大分県が賞を獲得する常連となっている。

霜降りを増やす試みはほぼ限界ということであり、和牛の特長を活かしつつ、外国産牛肉との価格競争も考慮し、美味しい和牛を低コストで提供するための改良が今後の課題である。和牛については現在、A5ランクの割合が増加しており、全国各地でブランド牛として販売されており、現在は和牛イコール霜降り肉といっても過言ではない。また、他地域からの血統導入に慎重な伝統的な但馬牛産地であるわが県と違い、他県は、霜降りが多く、肉量も豊富な大型牛を作り出すために、優秀な牛を全国から集めて改良に取り組んでいるのが、最近賞を受賞している九州等の新興産地であることも留意する必要がある。

一方、神戸ビーフは国内はもとより海外での知名度は高く、神戸ビーフのブランド維持については、様々なブランド牛が供給される中、特に注意をしていかなければならない。近年、神戸ビーフを看板にする店が増えているが、偽装の問題も起こっている。こういったところには特に注意を払いブランド維持をしなければならないが効果的な対処が果たして出来ているか疑問に思う。

現在の和牛の肉質改良は牛肉自由化前後から約25年が経過し、霜降りのいわゆる高品質肉づくりの技術も標準化してきている。優秀な成績が期待できる種牛に人気が集中し、差別化が難しくなることはもとより、血統の偏りによる弊害も指摘されている。現在、種牛としての能力を持つ和牛の改良に取り組んでいる県は多くあるが、もとをたどれば兵庫県はじめ中国地方にルーツを持つ牛が大半である。小柄であるが、霜降りの状態が良いと言われる但馬牛の血統が大型牛との交配の試みが続けられている。県内畜産農家においても大型化をはじめ様々な改良が試みられている。

神戸ビーフの高いブランド力を維持するためには、枝肉重量や脂肪交雑といった産肉能力だけでなく、神戸ビーフの特長である美味しさを考慮した改良、情報発信力の強化と需要を支える供給量の増産対策が重要と考える。そこで、今後の生産規模の拡大はもとより、神戸ビーフの需要に見合った供給を行うための新しい試みを考える時期が来たのではないかと思うが、県の考えを伺う。

8.都市公園の維持・管理について

都市公園については、高度成長期の末期にその整備が本格化され、住民一人あたりの面積でも基準を満足しており、県民のリクリエーションの場としてその使命をこれまで果たしてきている。都市公園の整備も一段落しているところではあるが、都市公園の使命として時代に応じたリニューアルもこれから必要であることとあわせて、維持管理費や老朽化対策は公共施設全般の問題である。一般の公共施設では、それぞれの行政や政策的な役割が明確であるが、都市公園はリクリエーションを目的としたものでもあり、維持管理費の負担は出来る限り圧縮、または出来る限り民間委託されることが望ましい。

しかし、全国的に人口が減少に転じ、予算の厳しい制約がかかる中、その財源確保が問題である。特に震災にあった兵庫県ではこれまで厳しい行財政改革を進め、ようやく来年度の収支均衡達成を見込んでいるものの、震災関連の県債もまだ多く残っている状態であり、その解消にはまだ10年程度かかるということである。県もこれまでネーミングライツをはじめ様々な収入増対策を進めてこられたと思うが、公共施設においてこれまで以上に収入を生み出し、維持管理費の負担を減らすことを更に積極的に進めて行く必要があると思う。

国交省が2017年に都市公園法を改正し、カフェや売店など収益施設を設置する民間事業者を公募により選定した場合、その事業者に対し、設置期間を延伸する等のインセンティブが適用されることとなった。

官民連携の事例であるが、大阪城公園においては、電通、読売テレビ等民間企業5社による大阪城パークマネジメント株式会社が設立され、指定管理を受けて、大阪城公園に新たな賑わいの空間づくりを行い、一定の成功を収めていると聞いている。これは都市公園ではないが、神戸港開港150周年記念事業の一環として、メリケンパークが昨年4月にリニューアルオープンしたが、そこに西日本最大級のスターバックスがオープンし、さらなる賑わいづくりに寄与していることは、大いに参考にすべきではないかと思う。

都市公園は都会のオアシスとも言われるように立地自体に観光地と同様の価値があるといえる。本県においても、様々な都市公園を有しているところであるが、地域の賑わいづくりや維持管理費の負担軽減、さらには新たな収益確保のため、官民連携などに積極的に取り組む必要があると思うが県の考えを伺う。

石井 健一郎

(選挙区:神戸市灘区)

一般質問

(竹内 英明 議員)[発言方式:一問一答]

1 学校給食を活用した県民意識の高揚について-神戸ビーフまたは但馬牛の「県政150周年給食」の提供-
2 マンション等の集合住宅における民泊規制について
3 ヤマトヤシキ姫路店閉店の影響及び旅券事務所の移転について
4 自然破壊を伴う山林等への太陽光発電施設建設の規制について
5 公立高校の入試制度の見直し(希望校変更の不平等廃止)について
6 基金再編と将来負担比率目標の設定について

質問全文

質問日:平成30年2月27日(火)
質問者:竹内 英明 議員
質問方式:一問一答

1 学校給食を活用した県民意識の高揚について
-神戸ビーフまたは但馬牛の「県政150周年給食」の提供-

ある日、小学生の娘と学校給食の話をした。今日は『じゃぶ』を食べたという。汁の中に、糸こんにゃくや、ごぼう、鶏肉が入っていたというので「治部煮」と勘違いしているのでは、また他のものと間違えているのでは、と思い、家庭に配布されている「給食だより」でメニューを確認すると本当に『じゃぶ』と書いてあった。皆さん『じゃぶ』をご存知ですか?

給食だよりにはその説明として、「新温泉町の郷土料理で、祭りやお祝いなど人が集まるときに大鍋でふるまいます。」と、「具材は鶏肉、糸こんにゃく、豆腐、野菜などで、野菜や豆腐から出る水分でじゃぶじゃぶ煮込むことから『じゃぶ』とか『じゃぶ煮』」とか。新温泉町の公式HPにも『じゃぶ煮』は郷土食として紹介されていた。

娘がなぜ初めて食べた給食のおかずのことを家に帰ってきても覚えていたのか。先生が給食の際に説明してくれたという。姫路市立の小学校でも兵庫県内の郷土料理を提供し、その説明を先生が行うことで子どもなりに何かを学ぶ。

県民意識の高揚、郷土意識の涵養につながる、大変素晴らしい取り組みである。この話を健康福祉常任委員会の調査の際に黒川県会議長としていたところ、「神戸ビーフの給食での提供はどうだろうか」という話になった。会派の中でも賛同する声が多かったので提案したい。

但馬牛(うし)を県内で育て、肉にした但馬牛(ぎゅう)のうち一定以上の基準を満たすものが神戸ビーフとして認定されるが、その価格は高く、簡単に給食で提供できるものではないことは十分理解している。また、学校給食の提供主体も学校設置者であり、その多くは市町である。困難なことは多い。

とはいえ、今年は県政150周年である。県民意識を育む絶好の機会を逃す手はない。恐らく全県での神戸ビーフを使った給食の事例はなく、記憶に残る給食となるだろう。

例えば、サイコロステーキとか、カレーでの提供とか、淡路島の玉ねぎとの牛丼とか、知恵を絞って、わずかでも提供出来ないだろうか。神戸ビーフの量を確保するのが難しいなら、但馬牛(ぎゅう)も合わせて考えてはどうだろうか。
県内の小学校や特別支援学校(小学部)に、県政150周年給食として提供することを提案したいが、見解を伺う。

2 マンション等の集合住宅における民泊規制について

「住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」案が、今定例会に提出されている。可決成立すれば、住居専用地域や学校周辺での民泊は規制されるものの、住居専用地域以外のマンションでの民泊でトラブルが発生する可能性があると私はみている。

例えば、マンションの居住ルールを理解しない者が宿泊することにより、騒音・ゴミ問題などトラブルが起きやすくなるし、外国人観光客が利用する場合、文化や慣習の違いから、こうしたトラブルが一層起きやすくなることは、大阪や京都などのマンションの違法民泊の報道等でも明らかである。

国土交通省はマンション管理規約のひな型である「マンション標準管理規約」を公表しているが、昨年8月29日に、民泊を可能とする場合と禁止する場合の双方の規定例が示された。これを受けて、県下の神戸市では、いち早く、「住宅宿泊事業法の公布に伴う分譲マンション標準管理規約の改正に関する資料送付について」と題する文書を昨年9月に市内約 3,500 の分譲マンション管理組合やマンション管理会社へ送付するとともに、12 月号の広報こうべやホームページでも告知している。

「分譲マンション内での民泊の「許容」または「禁止」について、区分所有者の皆さまで議論いただき、民泊を禁止する場合はできるだけ早く(民泊事業者の受付が開始される予定の平成30年3月15日までに)管理規約を改正してください。」、「それまでに管理規約の改正が間に合わない場合は、一時的な措置として、総会または理事会での『民泊を禁止する方針決議』で対応が可能です。」と記されている。

これは、現行のマンションの多くで採用されている改正前のマンション標準管理規約第12条「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」の条文だけでは民泊も可能と解釈される可能性があり、管理組合の方針を明確にする必要があるためである。

また、規約に定めがない場合、国のガイドラインから「届出時点で民泊を禁止する方針が総会や理事会で決議されていないことを確認した」旨の誓約書が出された場合、管理組合に民泊を禁止する意思がないと解釈され、届出が受理されると懸念されるからこうした告知をしている。

国土交通省が新しく示した民泊禁止のための規約の改正について、県下の管理組合に徹底されているだろうか。2月23日付読売新聞社会面では、私も住んでいたマンションの管理会社の代表が「訪日外国人の増加で、家賃よりも宿泊料のほうが高収益を得られるチャンスがある」と語り、一度民泊禁止の規約改正をしたマンションを同社が「収入の選択肢が広がる」と提案して容認に再改正したとの記事もあったように民泊を推進する人もいる。

分譲マンション等の集合住宅における民泊規制について、特に旧規約のままの場合、法施行規則で、届出の際、管理組合に届出住宅において民泊を禁止する意思がないことを確認したことを証する書類の添付が必要となっている。この場合、理事会や総会で議論されないまま、理事長が一存で管理組合として民泊を禁止しない旨を証する書類を発行することも十分考えられる。県としてどのように対応するのかについて伺う。

3 ヤマトヤシキ姫路店閉店の影響及び旅券事務所の移転について

地元姫路市の創業111年、老舗百貨店「ヤマトヤシキ」は、姫路店を2月末つまり明日28日で閉店することを発表した。同加古川店は存続させるものの姫路店を含めて全従業員を解雇し、一部を別会社で雇用する方針であると報道されたが、既に雇用を希望する従業員の面談等も行われ、再就職する人、解雇される人が決ったと聞いている。

また同社は、姫路店の閉店後の利用について、建物が老朽化しており、建て替えが最善の策としているが、建て替えの詳細な計画や工事の開始時期については未定で3年程度かかるとの報道もある。

ヤマトヤシキで働いている人の雇用や姫路店が面する大手前通り、みゆき通り商店街などへの閉店の影響などについてどう考えているのか。また、ヤマトヤシキ姫路店内には兵庫県旅券事務所姫路出張所もある。この閉店後の移転措置等も含め、ヤマトヤシキ姫路店の閉店後の商店街への支援も検討する必要がある。県の支援策について伺う。

4 自然破壊を伴う山林等への太陽光発電施設建設の規制について

姫路市北部山中のそうめん滝キャンプ場に計画が持ち上がっている太陽光発電所建設に反対する自治会の住民説明会に先日出席してきた。事業者から兵庫県に提出された計画は、約51万坪・170万平方メートル、甲子園球場43個分の山林を開発し、太陽光パネル等を設置するもの。西播丘陵県立自然公園の中に例を見ない大規模な開発だ。

説明会には、排水路となっている砥堀谷川下流域周辺の住民の方を中心に100名ほどの方が来られていた。地域の自治会役員から、下流域の土砂流出の危険を伴う開発であること、過去には明治時代から大きな水害に悩まされてきた地域であること、開発代理人の計画内容を隠したボーリング調査許可など不誠実極まりない姿勢などの説明や計画への反対運動等について話があり、多くの心配する住民から疑問や反対の声が湧き上がった。

大規模な森林開発を伴う太陽光発電施設の建設については、森林伐採が再生可能エネルギー導入推進の理念と相反しないのか、また、近年多発しているゲリラ豪雨など集中豪雨の際に土石流や鉄砲水などを発生させるなどして、同一水系の近隣住民の家屋や人命等の安全確保に支障をきたすのではないのか。近年も広島市内で大雨により山腹傾斜地が崩落し、多数の死傷者が出た。一方、開発した者や許可権者等は天災に起因するものとして刑事上、民事上の責任も何も問われてはいない。これが現実。

家屋の屋上や市街地の遊休地などの太陽光発電に反対するものではないが、大規模に森林を伐採して開発することで逆に地すべりを起こしたり、保水機能等を大きく破壊するもので、さらには下流の住民の命を危険に陥れるもの。

特に危惧するのは固定価格買取制度(FIT)の終了する20年後以降の管理等について何の担保もないこと。開発者が利益を失い、価値を失ったパネル等をきちんと管理する保証は何もない。
住民の安全・安心な生活に危機をもたらしかねない大規模な自然破壊を伴う山林等への太陽光発電施設建設については、関係法令の厳格な運用を図るなど何らかの規制をかけるべきと考えるが、県の見解を伺う。

5 公立高校の入試制度の見直し(希望校変更の不平等廃止)について

県内公立高校では、平成27年度入試から通学区域を従来の16学区から5学区に再編し、複数志願選抜が全県で導入されたところである。

これらを評価・検証するため設置された、「高等学校通学区域検証委員会」は、昨年12月に「制度は概ね円滑に導入された」とする報告書をまとめた。
報告書の中で、「単独選抜の専門学科から複数志願選抜の高校への第1志望の変更を可能としていることについては、より適切な進路選択となるよう、制度の改善を検討する必要がある。」といった今後の中長期的な方向性が示されている。

これは、当初から複数志願選抜の高校が定員割れとなる場合も視野に入れて、まず「単独選抜の専門学科」を第1志望として出願しておき、複数志願選抜の高校の倍率が確定したあとで、第1志望校を変更させることである。中学校の現場では『偵察出願』と言っている。

当初から複数志願選抜の高校を志望していた生徒は第1志望校の変更が出来ない一方、「単独選抜の専門学科」を仮に志望していた生徒は、倍率や定員割れを考慮して志望校を変更する。まさに「後出しジャンケン」である。行く予定のない専門学科の側も迷惑であるし、何しろ教育指導上も好ましくない。定員割れとなった高校で、こうした制度が悪用されている事例が複数にわたって発生しているのは、性善説に立った制度の運用の限界を示している。こうした実例を中学校、高校の現場の教員から生の声として聞いているが、こうした制度の穴は早期に埋めなければならない。中長期的などと悠長に構える課題ではない。

もちろん、複数志願選抜を含めた全生徒に第1志望校の変更を認めれば不平等ではなくなるが、実務上大きな混乱が生じるだろう。
公立高校の入学試験にかかる希望校変更の不平等廃止について、早期実現を求めるが見解を伺う。

6 基金再編と将来負担比率目標の設定について

今定例会で新たに提案されている条例の中に、地域創生基金条例、県有施設等整備基金条例がある。これらの条例等の中には、廃止する基金として、公共施設整備基金等5基金の名称が記されており、既に役割を終えたとされている。

また、県債管理基金に含まれる旧明石海峡大橋関連施設整備等基金についても、地域創生基金に移管することとされている。いずれも新条例の目的によって基金は処分されることになる。

一方、平成29年度補正予算では、この度創設する基金を集約するための県債管理基金積立金が336億4千万円増額計上されており、地域創生基金から151億6千万円分、県有施設等整備基金から184億8千万円分が各々県債管理基金に移されることになる。

この多くは従前から県債管理基金に集約されているもので、財政指標である実質公債費比率の基金積立不足の改善に活用されているが、これまで県債管理基金に集約されていなかった国民健康保険事業広域化等支援基金668百万円、県有建物復興基金96百万円の計764百万円が新たに集約、活用されることになる。

特に国民健康保険事業広域化等支援基金668百万円については、今定例会に提案されている国民健康保険財政安定化基金に積み立てることがこれまでの基金目的と最も合致するのではないかと思う。いずれにしろ、今回は僅かな金額でも、こうした基金を活用した実質公債費比率対策は今年度末で約1200億円と多額となっており、現行ルールを技術的にクリアするものであっても、会計間の債権債務の相殺や基金の本来目的を考えれば一時しのぎに過ぎないことは従前より指摘してきた通り。

債務をストックベースで表すもう一つの財政指標、将来負担比率において、新行革プラン導入前後の順位や数値の改善があまり見られないことが、このことをよく表している。
今議会では、収支均衡となる来年度を見て早速景気のいい話も聞こえているが、退職手当債や行革推進債などの資金手当債の発行や県債管理基金の取り崩しをしなくてよくなった、とはいえるものの基金集約のような状況を残したままで新たな投資事業をどんどんできる状況かどうかということ。

知事は新行革プラン後の財政運営について、今後新たな方針を示していく必要があると言われているが、財政目標として、将来負担比率を重視した新たな目標設置を求めるが見解を伺う。

竹内 英明

(選挙区:姫路市)

(迎山 志保 議員)[発言方式:一問一答]

1 働きやすさと働きがいの実現に向けた取組について
(1)わが県における働き方改革について
(2)仕事と介護の両立支援について
(3)長期休暇中の子育て支援について
2 県花のじぎくについて
3 教育機会確保法の理念の浸透について

質問全文

質問日:平成30年2月26日(月)
質問者:迎山 志保 議員
質問方式:一問一答

1 働きやすさと働きがいの実現に向けた取組について

(1)わが県における働き方改革について

国では多様な人材による多様な働き方を推進しようと、長時間労働の是正、同一労働同一賃金、生産性向上などに取り組むとされ、県においても来年度の産業労働施策・「人材力の強化」の中に働き方改革の推進が柱として据えられている。

この方向性には大賛成である。そこでこれまでの現場の推進状況をみてみると、兵庫県商工会議所連合会労働環境対策事業の一環で調査された昨年10月の女性活躍推進及び働き方改革に関する報告によると「働き方改革」の取組を進めていると回答した事業所は26.2%、4社に1社の割合。規模別でみると、301名以上の規模がそれ以下の規模よりも改革が進んでいるという結果が出ている。社会全体で機運が盛り上がっているとは言い難い状況であり、このままでは働く環境格差が広がるばかりである。

また、働き方改革を進めている現場では改善疲れに陥っている状況も見られる。仕事量はそのままで時短を進めた結果、帳尻合わせに苦心したり、残業を減らすこと自体が最重要課題になって現場の士気が下がったり。また結果的に残業代が減り収入がダウンする状況でこの改革の目的でもある生産性向上が望めるのか不安視する声も聴く。働き方改革が働きがい、意欲を奪い、企業の多様性や強みを失うことになってはいけない。

働き方改革は目的ではない。原点は、働く一人一人がしっかりとキャリアを見つめ、どんな生き方、生活をしたいのかというところから発想されるものであり、その先に企業や組織の活性化、社会の持続発展がある。

義務感にかられて納得のないままあの手この手を繰り出しても、達成感は得られない。受け身で他律的な改革でなく、働く一人一人の意識改革が必要で、主体的な目標設定をするところから働き方改革は始まるのだと考える。

県は来年度長時間労働是正の周知啓発など新規事業を予定しているが、一律に号令をかけて説得するのではなく、労使ともに納得感を持って進めていけるような取組が求められる。そしてその先にどのような社会が望めるのか、ロードマップのようなものを示していくべきであると考えるがいかがか。
わが県の働き方改革の現状認識と課題、今後の進め方について問う。

(2)仕事と介護の両立支援について

平成22年に始まった中小企業育児介護代替要員確保支援事業は当初に比べ随分活用されるようになってきた。事業開始当初、1年に5件にすぎなかった利用件数はここ数年100件をゆうに超え、昨年の助成金は9000万円近くにのぼっている。しかし、これまで助成してきた533件のうち、介護については過去8年でわずか1件の採択ということである。

その背景には、そもそも、介護休業自体が介護をしている人のうち3%しか利用されていないという実態がある。
介護従事者は職場に平均2割はいるとされているが、隠れ介護状態のまま有給休暇や家族のやりくりで何とかしのいだり、挙げ句に限界を感じて介護離職を決断するケースも多い。離職者の8割近くは女性であるが、役員や管理職など重要ポストに就いている男性のケースも確認されている。

通算93日取れる介護休業は、平均5年と言われる介護期間の入り口である初期準備、ケアプランの相談や今後の体制作りに集中するために利用されることを想定している。
しかし、介護は心の準備も知識もないまま急にその状態に放り込まれる場合も多く、企業も労働者も介護と仕事の両立ということへの心構えが不足しており、この制度を活用するということに至らない現状である。

平成24年の就業構造基本調査によれば、全国で年間10万人、本県では5000人を超える人が介護離職をしいられている。5年に1度の調査であるので直近の結果がまもなく公表されるが、この数字はさらに増えていることが予想される。

離職後は急な環境変化や経済的な不安、先の見えない孤独な介護による精神的疲労の蓄積なども大きな負担となる。また、いざ再就職となっても一旦離職するとなかなか難しく、就職できても男性で53%、女性に至っては74%が離職前の正規から非正規へと雇用形態の変更を余儀なくされている。介護に関わらないという人の方が少ない今後、隠れ介護、介護離職ともに大きな社会問題となることは必至である。

中小企業育児介護代替要員確保支援助成金についても、その周知の過程において、介護と仕事の両立に関する啓発につとめ、介護休業や短時間勤務の制度充実、利用拡大にも繋げる動きが必要かと思う。
仕事と介護の両立に向けて、県として今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

(3)長期休暇中の子育て支援について

出産、子育てで仕事を離れた女性で、いずれは仕事に就きたいと考えている人は約8割という調査結果がある。私の肌感覚とも大きくずれていない。

そんな子育てに専念していた女性がもう一度働こうかなと思うタイミングの一つは、子供が小学校に上がる時である。まずは時短勤務やパートタイムで、というリスタートも多い。
その場合、大体は子供が学校に行っている時間帯での勤務となる。入学直後は新生活のリズムを把握し、5月、6月頃から働き始めると、いきなり目の前に大きな壁が立ち塞がる。夏休みの壁である。働き始めて早々に、子供をどこかに預けるか、仕事を断念するかの選択が迫られる。

そもそも放課後児童クラブに待機児童が発生している状況である。普段、クラブを利用していないのに、長期休暇中だけ預かってくれるというケースはほぼ見られない。
そこで、長期休暇だけのために普段から月謝を払い籍だけ確保しておいたり、民間に頼ることになる。この場合かなりの出費で、給料との逆転現象に就業はやはり無理なのだと諦める場合も少なくない。また、一ヶ月以上孫の世話を任されて疲れ切っている祖父母の声もよく聞く。

知事は以前より、小学校低学年対策は少子化対策の重要ポイントだと述べられている。先ほどの質問で触れた中小企業育児介護代替要員確保支援事業も来年度は子供の対象年齢をこれまでの3歳から小学校3年生まで引き上げるとしていることに加え、小1の壁解消策として放課後児童クラブの開所時間延長支援に乗り出す。実態に沿った拡充であり大いに評価している。

こうした拡充とあわせて、長期休暇中の子育て支援についても、実態を踏まえて検討すべきである。

そんな中、長期休暇中だけ従業員の子供、地域の子供を預かろうという企業や社会福祉法人も出てきた。状況を伺うと、人材確保の面から取組に乗り出した側面が大きい。このような動きへの何らかの支援や、放課後児童クラブの期間限定利用枠の創設、もしくは幼稚園の空き教室を活用できないかなど検討ができないだろうか。
長期休暇中の子供に安全で豊かな居場所を確保することへの支援について伺う。

2 県花のじぎくについて

昨年12月の議長主催の政調懇話会で、講師の園田学園女子大学名誉教授の田辺眞人さんがまず冒頭仰ったのが『兵庫県はシンボルがありません』ということ。広い旧五国が一緒になった兵庫県。イメージを一括りにできない贅沢な悩みと言える。

県の公式なシンボルとして県樹クスノキ、県鳥コウノトリ、マスコットはばタンなどがあるが、最も古くに選定された歴史あるシンボルがのじぎくである。セルリアンブルーの兵庫県旗よりも10年古い昭和29年にNHKや全日本観光連盟が音頭をとって公募され選定されたものである。

のじぎくの名は現在、のじぎく会館、のじぎく賞、のじぎくクラブや県立学校の名前など県下で多用されている。今や世界のブランドである神戸牛もその証は刻印されたのじぎく判である。

しかし、実はこののじぎく、準絶滅危惧相当に指定されている。のじぎくの生育には雑草の少ない手入れされた土地が最適なのだが、環境変化で人の手が入らなくなった結果、雑草に駆逐されている状況なのだという。県下では姫路市大塩に希少な一大群生地があるが、淡路の水仙郷や朝来の藤棚などの方が有名であり集客力もある。兵庫ツーリズムガイドで旬の花を数多く紹介しているが、掲載もされていない、という扱いである。

県では県民や市町などが一体となって、県花のじぎくを守り育て県民への普及を図ることを目的に、昭和62年から毎年自治会や学校など約300団体にのじぎくの苗を配布する事業を行っている。緑化活動を通じて地域コミュニティの形成にも寄与しているとのことだが、効果は限定的だ。

そんな中、ぜひこの県のシンボルを大切にしたいと動き出したのが県立農業高校だ。バイオ関係のハード整備を機に、県立高校なのだから県のための研究をしようと「のじぎくプロジェクト」が立ち上がった。彼らの目標は多色展開が難しいのじぎくを品種改良して5つの色に染め、開花期間も大幅に伸ばして五国をそれぞれの色で彩りたいというものだ。

この50年の環境変化で激減したのじぎくだが、これから50年かけて県立高校発信の5色ののじぎくの彩りが兵庫県の年の瀬の風物詩になる、夢のある取組だと思う。
その時期になれば遠方から観光客が集まるくらいの群生地を作り上げるもよし、五国のそれぞれのシンボルカラーを定着させるもよし。

古くから兵庫県のシンボルとして掲げられ、名称にも多用されているのじぎくだが、県民の意識に十分根付いていると言い難い。せっかくの五国共通シンボルが生かされていないのは少々もったいなく感じている。のじぎくを上手にブランディングし、広報戦略として活用することはできないだろうか。

県政150年を迎えるこの機に、シンボルとして「のじぎく」を大切に守り育て花開くよう、何か打ち出す仕掛けを検討してはいかがか。

3 教育機会確保法の理念の浸透について

いじめや不登校が減らない。昨年度のいじめ認知件数は9,415件で前年度の1.47倍に増えている。積極的な認知により顕在化した数値であるというが、実際にこれだけの数の事案が県下で確認されているという厳然たる事実を重く受け止めている。このうち9件はいじめ防止対策推進法が定める重大事態とされ、うち3件は自殺事案である。

そこに至るまでの本人の苦しみ、もがきを思うとき、死を選ぶ他に逃げ場はなかったのだろうかと無念でならない。
また近年、不登校の児童生徒も増えている。この数年、不登校の小中学生の数は12万人前後で推移しており、文部科学省の調査によると、そのうちの6割近くが90日以上の欠席となっており、長期化の状況も明らかになっている。兵庫県では平成28年度5,531名が不登校とされ、前年度より小学生で175名、中学生にいたっては355名増えている。
いじめや不登校で悩む児童生徒や保護者へはきめ細かな対応が求められ、現場の教職員が奮闘されている現状も伺っている。

このような中、教育機会確保法が今からちょうど1年前の2017年2月に完全施行された。不登校の児童生徒数が減らないどころか増え続ける中で、児童生徒が学校を休むことの必要性、学校外の学びの重要性を認めた法律である。

これまで兵庫県では但馬やまびこの郷や神出学園などを全国に先駆けて設置している。不登校を重く捉えていないとは思わないが、県下の現状を見た時、また、教育機会確保法が制定された意義を考えた時、不十分と言わざるを得ない。現場では早期の学校復帰を目指す不登校児童生徒にとって性急すぎる対応がなされていないだろうか。

また、兵庫県には多くのフリースクールがあるが、公的支援がない中、スタッフの熱意で運営されているケースも多い。そして、自治体によって、学校長によっても支援の踏み込み方はまちまちである。通学定期の取り扱い一つをとっても同じ場所に通っているにもかかわらず、居住自治体によって支援が違う。学校外の学びの重要性という観点はどこまで認識されているだろうか。

様々な関係者と話をするが、学校へ行きづらくなった児童生徒を学校へ戻すということにとらわれすぎているように感じる。この道しかない、というような対応は学校特有の閉鎖環境の中で人間関係がこじれたままリセットできず、最悪の場合自ら死を選ぶところまで子供を追い詰めるプレッシャーを生むことにつながりかねないのではないか。教育機会確保法はこのような懸念から生まれた法律でもあると思う。
県はもう少し柔軟に、子供たちの学びの機会を確保する選択肢を広げていく方向に舵を切れないだろうか。

教育機会確保法の附則には施行後3年以内を目処にこの法律の施行の状況について検討を加え、教育機会の確保等の在り方の見直しを含めた必要な措置を講ずるものとしているが、県は学校復帰だけをゴールとした対応ではなく、教育の目的である社会的自立を目指すという大きな目的に向かって、その方向性を県下の教育現場で共有する必要があると思うが、いかがか。

迎山 志保

(選挙区:加古川市)

(向山 好一 議員)[発言方式:一問一答]

1 県庁周辺の再整備について
2 「がん対策推進条例」の制定について
3 第二神明道路の料金問題について
4 神戸ビーフ館の整備について

質問全文

質問日:平成30年2月23日(金)
質問者:向山 好一 議員
質問方式:一問一答

1.県庁周辺の再整備について

知事は、新年の会合に今年も精力的に参加され、私も何度もご一緒した。その中で、私が代表を務めるある団体の新年会で、いつものように詩を披露された。その詩は、現在の知事の心境をストレートに表現しており、これまでの中でも非常によく出来たものだった。

それは、「兵庫県150周年始まれり 当時の志 未来に継がん」。その詩の披露の後に、その心境を次のように表現された。「これまでは安定を重視して慎重な県政を進めてきたが、これからは少々リスクを冒しても新たなことに挑戦したい。」私はそれを聞いて、県政150周年を機に、守りから攻めに転換するぞ、という知事の並々ならぬ決意を感じ取っている。

そこで、県庁周辺の再整備というビッグプロジェクトについて質問する。昨日の代表質問で、加田議員から同様の質問があり、具体的な提案もあった。私と同じような考え方を持った提案だったので、先を越されたな、という思いだが、知事の答弁にもあったとおり、県庁周辺を大胆に再整備するには何百億円という莫大な資金が必要になる。

そこで、私からその答えを提案する。まずは、知事も指摘しているとおり、民間活力の導入が不可欠である。つまり、PPPの導入によって県の持つ資産価値の最大化を図る必要がある。そのために、庁舎を単独の建物にするのではなく、他用途と共存する施設にする。

さらに、県庁周辺を一体のものとして再整備する。その場合、昨日もあったとおり、生田中学校も含むことがとても重要になる。元町駅から広がる一大空間に、世界的に有名なホテル、オフィスビル、芸術情報発信施設、商業賑わい施設、居住空間などを複合的に整備する。

そして、その事業費は、資産価値を高めた土地を定期借地によって民間に貸し出す、居住空間を分譲して資金に充てる、国の長寿命化改修事業や緊急防災・減災事業を活用し補助してもらうなどの手法により、総事業費を捻出する。

このスキームは、先進事例として東京都豊島区新庁舎建設時に導入され、約430億円もの総事業費を公的負担ゼロで実現している。渋谷区でも同様の手法で現在事業が進んでいる。東京都と兵庫県の資産価値の違いがあるにしても、この成功例を大いに参考にすべきである。そこで、これまで述べたことが私からの提案であり、知事が夢見ている県庁副都心ではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

2.「がん対策推進条例」の制定について

がんは、もはや国民の2人に1人がかかる病気となり、治療法は飛躍的に進歩し、以前のような不治の病とは全く異なっている。つまり、全ての人が予防と治療に正しい知識を持ち、がんと向き合うことが非常に重要になっている。

ところが、今なお予防に対する認識は低く、かかった後は人生の終わりを告げられた感覚になり、家族とともに、経済的にも精神的にも身体的にも非常に苦しい状況に追い詰められることから、早急にその対策を進めなければならない。

しかし、がん対策基本法成立以降、全国に広がっているがん対策推進条例が39道府県で制定されているのにもかかわらず、兵庫県では今なお制定されておらず、近畿でも兵庫県だけが制定されていないという状態である。

昨年の12月議会の代表質問で、制定を求める質問があったが、当局の答弁は、「健康づくり推進条例の中に位置づけているので制定の必要はない。」との内容だった。果たしてそれは正しい姿勢といえるだろうか。

その健康づくり推進条例で明確に位置づけている疾病は、生活習慣病、歯科及び口腔、心の健康の3つであり、がんは生活習慣病の病気の一つという位置づけとなっている。条例の中に歯科という文字は21ヵ所記載されているにもかかわらず、がんという文字は3ヵ所だけしかない。

5年前、国立がん研究センターから、「がん診断後一年以内の自殺を含めた外因死のリスクが約20倍になる」との研究結果が発表されている。そのことからも、がんは生活習慣病の一つではあるものの、特に重点を置いて扱うべきものと考える。

知事も問題意識を持っている検診受診率は、全国平均を相当下回っている。健康づくり推進条例では明記されていない時代の変化に対応できるがん対策が、今後さらに重要となってきているのではないか。

兵庫県には、県立のがんセンター、粒子線医療センター、神戸陽子線センターなど、がん治療の最先端技術を擁する医療機関が集積している。
そこで、がん対策日本一の県を目指し、早期発見のための検診受診率の数値目標、がん医療の充実、がん患者及びその家族への支援、緩和ケア、がん治療に関する情報提供、総合的な相談窓口の充実などを明記したがん対策推進条例の制定が必要と考えるが、当局の見解を伺う。

3.第二神明道路の料金問題について

昨年6月に阪神高速道路に対距離料金制度が本格導入され、実質値上げされたのに引き続き、今度は第二神明道路が値上げされようとしている。
その内容は、国交省の案では、全区間で320円から480円と、何と今度は5割も値上げされる案になっている。このデフレ経済の中で、県民の所得が上がらず、社会保障を含め負担が増えて可処分所得が減少し、生活が依然として苦しい状況のこの時期に、値上げすることに大きな疑問を抱いている。しかも、50%も値上げする理由はどこにあるのか。

この新料金は、国交省に決める権限があり、周辺道路の管理権限から本来道路管理者の神戸市の同意が必要であり、神戸市会での議決対象となるが、兵庫県議会の議決は不要である。
また、そもそもこの新料金は、兵庫県が神戸市と明石市と共同で提案したものを踏まえて、国交省が具体方針(案)を示したものであり、兵庫県は値上げの必要性、新料金の根拠、増収分は何に使われるのかという点について、県民に説明する責任があると考える。

さらに、第二神明より遅く開通した姫路バイパスは平成12年に無料化されている。一方、第二神明は、平成6年に無料開放される予定だったものが、制度の変更で何度も延長され、現在は平成72年まで料金徴収されることになっている。また、整備が急ピッチで進んでいる北近畿豊岡自動車道は直轄事業、山陰近畿自動車道は補助事業での整備であり、無料開放となっている。

同じ高速道路でありながら、何故これだけ料金が違うのか。取りやすいところから取る、という安易な発想になっているのではないか、との疑問が払拭できない。
この不公平感に対する疑問点についても、県民に分かり易く説明する責任があると考える。
そこで、以上の2つの観点から、第二神明道路の料金問題について、当局の所見を伺う。

4.神戸ビーフ館の整備について

県政150周年の一つとして位置づけられている神戸ビーフ館の整備について伺う。
私も海外に出向く機会がある。神戸に住む我々からすると、神戸と言えばミナトが有名だろうと思っているが、外国人に神戸のイメージを聞くと、ほとんど神戸ビーフという返事が返ってくる。「神戸に行くと神戸ビーフが食べられるのか?」と逆に聞かれるくらい、神戸ビーフは憧れであり、名前が知れたブランドである。

しかし、それだけの価値のある観光ツールをこれまで十分活用できていなかったのが実態であったが、今回整備される神戸ビーフ館は、国内外の観光客に神戸の魅力を発信できる大きなスポットになることは間違いない。

一部の新聞報道によると、知事は、候補地としてポートタワー北側の中突堤ビル跡を挙げているとのことだが、今回の所信表明では平成30年度に別の場所でプレオープンを目指すと言われた。また、新聞報道によると、既存店との競合を避けてステーキは提供しないとも言われている。

私は、今後の兵庫のゴールデンルートを開発する上で、神戸ビーフ館を世界の人々が一度は行ってみたいと思われるような、どこにもないワクワク感を味わえる施設にすべきだと考えている。具体的には、海が一望できて、神戸ビーフの歴史や生産のプロセスが分かり、そして実際にステーキやしゃぶしゃぶなどバリエーションに富んだレストランを兼ね備えた一大ミュージアムにすべきだと考える。

そこで、この神戸ビーフ館を何処に、どのようなスケジュールで、そしてどのような中身で整備する考えなのか、当局の所見を伺う。

向山 好一

(選挙区:神戸市北区)