第339回定例県議会 予算特別委員会 <公安委員会>
質問日:平成30年3月8日
議員名:前田 ともき
1. 暴力団員情報の積極的な提供について
某政党の地方議員が暴力団員だとの報道が2月にありました。報道の真偽や公認時の資質チェックなどいろいろ議論はあるが、そもそもの問題は暴力団混入リスクは排除できない仕組み自体にもあると考えています。
かつて、所属政党で公認候補の擁立の際に、反社チェックを警察にしようとしましたが教えてもらえませんでした。さらに、以前働いていた投資ファンドではIPO時の審査に引っかからないように、投資前に経営陣や主要株主が反社会勢力でないか、反社チェックをかけていました。これも警察に聞いても、教えてくれませんので、SPネットワークという会社に確か数十万円のお金で調査依頼していました。
県の暴力団排除条例では県民の責務として、「県民は、暴力団との一切の関係がないよう努めなければならない」としています。が、そもそも一般市民にとっては誰が暴力団員なのか判断できず、警察・暴力団追放センターに問い合わせするしかありません。しかし、国政政党の公認候補擁立の際にすら、暴力団チェックをしてもらえないのであればどんな要件であれば可能なのでしょうか。
銀行業界では、融資の際にオンライン照会が進みつつあります。4年ほど前の決算委員会で、産業労働部に補助金や助成金の交付時、保証協会融資の際の反社会勢力チェックの必要性も指摘致しましたが、今後は、自治体業務もシステムで自動的に暴力団員情報の照会する取り組みが必要ではないでしょうか。
そこで、暴力団情報の開示を拡大し、善良に暮らす県民が暴力団と意図せず関わり、不利益や社会的制裁を受けないように、また、暴力団排除条例での県民の責務を果たせるように、情報提供に関する制度の周知や暴力団員情報の積極的な開示が必要だと考えますが、所見をお伺いします。
2.死因究明の必要性について
死因の究明は犯罪・事件・事故死などの犯罪捜査だけでなく、感染症や食品汚染・食中毒など公衆衛生上、死者や家族の尊厳や権利処理のためにも重要である。人の死亡にはざっくりいうと、医師の管理下での病気や老衰といった自然死と異常死があり、異常死は他殺、自殺、事故死、災害死、青壮年や乳幼児の突然死、高齢者の独居死などで、発生した場合は、警察官が検視し、犯罪性が疑われる場合は司法解剖が大学で実施されます。
2017年に全国の警察が取り扱った遺体のうち、法医学の知識のある検視官が現場に立ち会った臨場率は78.9%で兵庫県警は平均より上の位置にあります。平成29年中に兵庫警察が取り扱った死体の解剖率は34.3%と全国平均の12.4%を超えていますが、欧米の先進国は5割を超えているとされ、大きく見劣りしている現状です。
とはいえ、深刻な医師不足・財源不足の中で解剖率を大幅に向上させることは難しい側面もあり、その前段階である検視官の能力向上とオートプシーイメージングAIの内、現在警察で行っている死後CTによるスクリーニングの強化が必要ではないでしょうか。
そこで、検視官の能力向上や臨場率向上に向けた取り組みを伺います。また、死後CTの受け入れ病院や医師会との連携強化など死因究明を行う上での問題点と改善策を伺います。
3.雑踏警備に対する費用請求について
祭りやイベントなど多くの人が集まることで発生する群衆事故を防ぐためには、過去の悲劇を教訓に、主催者や警察に適切な計画・管理・運用が求められます。県警も、雑踏警備対策室を新設し、手引きやマニュアルの整備を行っています。しかし、平成29年中の雑踏警備には延べ約4万人が派遣されており、警察業務の大きな負担となっている側面もあるのではないか。非営利で昔から行われている祭礼・催物はまだしも、営利のプロ野球には延べ約3,500人、1試合当たり平均約40人の警察官が派遣されています。競馬や競艇などの公営競技でも約9900人を派遣しています。
警察官の平均年収は約600万円、社会保険料や間接経費なども含めると総コストをざっくり1,000万、一般労働者の年間労働時間2,000時間で割ると警察官の1時間のコストは5,000円。1回の派遣が3時間と仮定すると、雑踏警備は4万人×5,000円×3時間で年間6億円がかかっています。民間警備業であれば、これに利益が乗るわけですが、さすがに主催者側に一定の負担を求めるべきではないでしょうか。
ちなみに、阪神タイガースの昨年の税引き後利益は7億円で十分負担が可能。夏の高校野球も観客の安全確保のため、外野席の有料化を検討との報道がありました。利用者も安全に対して一定のコスト負担は許容すると思います。
そこで、定期的に開催される営利目的のイベントに対しては、県警は警備費用として一定の負担を求めるべきと考えるがご見解。また、雑踏警備の警察負担を軽減させるための改善案を伺います。