議会の動き

中田 英一議員が一般質問を実施

第344回 定例県議会 一般質問項目

質 問 日:令和元年6月20日(木)

質 問 者:中田 英一 議員

質問方式:分割方式

1 兵庫県政150周年記念事業について

(1)県民連携事業の総括について

兵庫県は豊かな自然と壮大な歴史のもとに、昨年県政150周年の大きな節目を迎え、本年度、新元号とともにポスト150年に向けた新たな1歩を踏み出した。社会は、目まぐるしい科学技術の進歩とともに、ライフスタイルや、それにともなって価値観の多様化も進んでおり、これからの予測困難な未来を切り開いていくためには、しっかりと過去を振り返り、常に自身の改善を行う姿勢が必要不可欠であると考える。


昨年、約5億円の予算を投じ、目玉政策の一つとして実施された150周年記念事業についても、これまでの県政150年を見つめ直しつつ、「兵庫の未来を創る」という趣旨で行われている。特に県民連携事業は県民による様々なイベントを「兵庫県政150周年記念事業」と認定して助成金を出したものであり、私も特認事業を含め一般県民としていくつかの事業に参加させて頂き、素晴らしいと感じた部分も多くあったが、報告書を見ると、約70%が既に継続されてきた事業であり、その中で書面上も特に例年との違いの見られない事業も多数散見される。


そこで、もう一度、この事業の目的と、目的達成のために想定されていた手法について簡潔にご説明頂いたうえで、この事業ではどうだったのか総括をお願いする。(目的・達成手法がどのようなものでそれが達成できたか)
また、この事業は年間で1360件が採択され不採択とされた事業は0件であるなど、助成金の採択にあたって十分な審査ができていなかったのではないかとの疑義を免れないようにも思えるが、適切な審査を実施できたと認識しているか所見を伺う。

(2)今後の事業の活用について

あわせて、兵庫県政150周年記念事業に関するWEBページは兵庫県のホームページ上から既に削除されており、一般の県民がホームページからこの事業や、兵庫県政150周年について簡単に振り返ることができないようになっている。
この事業自体の振り返りが困難でむしろ「一過性のもの」になってしまっているのではないか。
まずは、県として節目の事業を振り返り、今回獲得できた成果をしっかりと整理し、これを公開して、継続的に兵庫の未来を創造していくという思いとともに県民が共有できる仕組みをつくるべきと考えるが所見を伺う。

2 オールドニュータウン対策について

(1)オールドニュータウン対策の取組と成果について

高度経済成長期から日本中で都市郊外にニュータウン建設が行われるようになり、兵庫県にも多くのニュータウンが誕生した。私も、その内の一つであり県主導で開発計画がなされた三田市のフラワータウンで育った。


当時は意識をしていなかったが、地域の多くの家庭の家族構成は、私と同年代の子どもとその親世代の核家族であり、ニュータウン開発から30年以上が経過した今、その子供の多くは独立して家を出て親世代だけが残っており、住宅街からは登下校時や放課後の時間帯にはしゃぐ子供たちの声が消え、急速に高齢化が進むという現象が起こっている。


一口にニュータウンと言っても、集合住宅については、不動産市場の流動性も高く、比較的に住民の入れ替わりが起きやすいため、若い世代の入居も見られるが、戸建て住宅については低調である。
そこに、既に突入している人口減少傾向や、戸建て志向の低下もあわせて考えると、将来にわたりニュータウン開発時のような、戸建て住居への活発な転入・住み替えは期待できない。
この状況下で、施設の老朽化や住民の高齢化、消費の低下とそれにともなう民間サービスの減退、空き家の増加などが進めばまちのイメージの低下に直結し、ただでさえ遅い戸建てへの新規入居のペースが鈍ったり、退去のペースが速まったりして悪循環に陥り、まちの衰退が一気に加速する危険がある。


これを防ぐためには、特に戸建てを中心としたニュータウンについて、空き家が出始めればすぐに入居が進むような、早めの対応策を準備し若者世帯の入居を促進してまちの世代構成を平準化していくしか方法はないと考える。
前任期でも同じ趣旨の質問をさせて頂き、その後、平成28年4月に、この戸建てを中心としたニュータウンに特化した政策や助成制度も含み、非常によくできた「兵庫県ニュータウン再生ガイドライン」を作成頂いたが、実際現場においてその効果を感じられるまでには至っていない。
そこで、県としての具体的な取組とその成果について伺う。

(2)三田フラワータウン駅ビルの空きテナントについて

三田市のフラワータウンの中心部にある三田フラワータウン駅ビルについて、大区画テナントに入居していた学習塾が撤退し空きが出ている。私が小学生の時からあった、地元の名門塾だったが、生徒数の減少による撤退ということで、まさに少子高齢化・オールドタウン化を顕著に表しているものだと感じている。


ここは、駅の真上にあってスーパーや複合利便施設を結ぶ連絡通路に面しており、フラワータウンの中で最も通行人の数が多い非常に目立つ部分でもあって、空き状態が長く続くことは、まちの衰退を顕著に表し続けるということにもなる。
逆に、この場所に活気のある施設、まちの再生に向けたテナントが来ればオールドニュータウン活性化策として大きな一手にもなるのではないか。


これまでは、収益を上げることを最重点に掲げてきたと思われるが、政策加点(応募多数時)や政策減免(賃料の割引)などを実施してオールドニュータウンの活性化という政策課題の解消も、事業計画の考慮要素に入れるべきと考える。
例えば、子育て世代や若者が集まるような施設、保育所などにターゲットを絞って攻めてはどうかと考えるが、今後のテナント募集・営業の進め方について伺う。

(3)カルチャータウン地区センターについて

昨年、カルチャータウンの地区センター計画予定地の北側部分に、三田まほろばブレッツァがオープンした。兵庫県企業庁が手掛ける「カルチャータウンの地区センター計画」といえば、当初は、スーパーなどの商業施設の他に行政機能や銀行機能、また文化活動を行う事の出来るスペースを含めた総合的な施設とされていた。


私の前任期の丁度終わり頃に、この計画が進むということになり地域住民とともに喜んだが、ふたを開けてみると地域住民が使う日用というよりは、お土産物に近い商品が並ぶ物販施設とレストランの併設された商業施設にとどまっている状況であり、この経営されている法人が県内で道の駅を営業されていることから、道の駅のように観光客などの遠方からの集客をメインターゲットにしているのではないかとの声もあがっている。


また、住民の中には、地区センター計画はこれで完成したとものと考えている方もいるため、地区センター計画における三田まほろばブレッツァの位置づけと、今後の計画の進め方や企業庁としての方針について所見を伺う。

3 渋滞の解消について

「県の役割は見えにくい」とよく言われるが、こと県道整備に関しては多くの県民がその重要性を認識している。
例えば、昨年夏は台風と豪雨により、国道・県道・公共交通がストップ、三田市は陸の孤島のような状態となり、多くの県民が足止めされ、商品を納入するトラックが来られず市内のスーパーは売場がガラガラの状態になった。
最近でも子どもが犠牲となる痛ましい交通事故が多発しており、通学路の安全も大きな関心を集めている。


また、渋滞問題では、多くの県民が足を止められ経済的な損失も大きいうえに、通勤時の渋滞は、家庭で過ごす貴重な時間が削られていることから、渋滞解消は地域における身近な課題の一つである。
この、渋滞対策について県では、本年3月に「渋滞交差点解消プログラム」を策定し、2023年度末までに同プログラムに位置付けられた全57か所の交差点のうち、その半数の箇所において解消・緩和を目指している。限られた予算の中で、最大限の効果を発揮するために計画的に対策を進めて行くことは大変重要であると認識しており、しっかりと取り組んで頂きたい。


一方で、プログラムに位置付けられていない交差点でも渋滞が発生している箇所が存在する。例えば、三田市の「テクノパーク前交差点」では、朝の通勤時間帯に、南側から南西方面に向かう車両により毎朝渋滞が発生している。
通勤時の渋滞は、昼間の街中や高速道路の渋滞と異なり、平日毎朝多くの車利用の通勤者が時間を無駄に削り取られているのが特徴と言える。例えば、毎朝20分として、1週間に100分、月平均約7時間にもなり、非常にもったいないことではないか。


このような交差点においても、適時適切な対策が必要であり、比較的に低コストで改良できるような措置があれば、コストパフォーマンスも加味して弾力的に取り組むべきと考える。
ついては、県管理道路における渋滞対策について、これまでどのように取り組み、今後、弾力的な対応を含めどのように進めていくのか所見を伺う。

4 公立高等学校生徒募集計画について

兵庫県においても人口減少に突入し、もちろん若者の定着や出生率の向上など目指して進んでもらいたいが、生徒数の減少に合わせて県立高校のクラス数や募集定員も減少する局面が多く出てくる。31年度の全日制高校の募集定員も昨年に比べて1000人、学級にして25学級が減少している。


この25学級をどの高等学校から減少させるかという決定に際して、考慮するとされる要素の一つが「旧学区ごとの国公立中学校卒業見込者の数」であると聞いている。
新学区の内で中学校の卒業者数と高校の募集定員をバランスさせるというのであれば自然だと感じるが、「旧学区」という文言が唐突に出てきているという印象がある。

その理由としては「多くの受験生は自宅からの距離が近い旧学区内の高校を受験する傾向にあること」と想像できるが、そうだとしても「旧学区」という概念は仕組上廃止されたものであるし、あくまでも実質は「自宅からの距離が近い」というものであり基準とするには不適切である。
しかも、この制度では、例えば、高校の魅力・特色づくりが進み、受験生から人気を得た高校でも、旧学区の卒業者数が減少するという高校にはどうすることもできない事由によって、募集定員が削減されてしまうという事態が起こり得てしまい、学校の向上意欲の阻害要因になってしまう。


最も重視すべきは「生徒の希望」ではないか。生徒が希望する学校の募集定員をできる限り確保し、学びたい環境で生徒を学ばせてあげることが何より重要であると考える。
とすれば、旧学区の卒業者数ではなく、「受験生の希望の多さ」を募集定員決定の最重要項目とすべきではないか。
そこで、これもあわせて募集計画の考え方について、わかりやすく、誤解の生じにくいものとし、県民にも公開すべきではないかと考えるが所見を伺う。

5 野焼き問題について

ニュースにも取り上げられたが、三田市においてこの4年間で急激に畔焼き(野焼き)を原因とする廃棄物処理法違反での取り調べや検挙数が増加し、先祖代々の伝統的な農業を営んできた三田市の農業者は戦々恐々としながら、それでも今日も農業を営んでいる。
三田市における廃棄物処理法違反全体の件数でみると平成23年から26年までの4年間は、1年平均5件の検挙であったのが、平成27年から30年までの4年間は31.5件と6倍以上、平成30年だけ見れば48件と10倍近い数字に跳ね上がっている。


廃棄物処理法は、平成12年に改正され、悪質な業者などにより急増する廃棄物処理基準に違反した野外焼却の取締まり強化を目的として、一部の例外を除き野外焼却することを禁止し、罰則の対象とした。


この例外は、公益上もしくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却または周辺地域の生活環境に与える影響が軽微であるものとして政令で定められているが、この例外であっても処理基準を遵守しない焼却は、改善命令等の行政処分及び行政指導の対象となる。


しかし、そもそも「野焼き」として罰せられる根拠となる、例外に該当するか否かの判断については、当該地方公共団体にゆだねるとされており、取締を行う警察も、これを踏まえて個別対応しているのが現状だという。


法律とは各地方自治体で制定される条例と異なり、全国一律で適用されるという性格を持っており、同じことをしてある地域では罪に問われ、別の地域では罪に問われないというのは、憲法でも規定されている「法の下の平等」に反すると考えている。
食の供給に多大なる寄与をしている農業と豊かな県土の環境保全の両立について、県の所見を伺う。