議会の動き

木戸 さだかず議員が質問(財政状況)を実施

令和元年 平成30年度決算特別委員会(財政状況)

日 時:令和元年10月7日(月)

質問者:木戸 さだかず 委員

1 収支均衡について

平成30年度決算は、10年間にわたり行財政構造改革推進に取り組み、収支均衡を達成するという当初の目標を達成したということで、全体として、まずは評価したいと思います。

その一方で、本年3月に示された兵庫県行財政運営方針でも述べられているように、今後も、震災関連県債に加え、行革期間中に財源対策として発行した退職手当債や行革推進債の償還が今後も続いていく状態であり、依然、財政が厳しい状況にあることに変わりはありません。

このような状況の中、私の最初の質問は、財政の収支均衡について行います。

平成30年度決算において達成した収支均衡について、これまでの推移をみてみますと、毎年度、着実に収支不足を改善してきました。

特にここ5年間、平成26年度から平成30年度までを見てみますと、平成26年度が405億円の収支不足、平成27年度が322億円の収支不足、平成28年度が242億円、平成29年度が102億円の収支不足となっており、平成30年度で収支不足はゼロとなり、収支の均衡が図れたということになっています。

一方で、これらの収支について、年度毎の予算ベースを見ると、平成26年度は予算ベースで570億円の収支不足、平成27年度は430億円、平成28年度は320億円、そして平成29年度は170億円の収支不足となっており、各年度とも、予算ベースと比較すると、決算では、70億円から160億円程度、収支均衡の改善が見られる状況となっています。ところが、平成30年度においては、予算、決算ともに収支不足額がゼロとなり、予算と決算で収支均衡の改善は見られませんでした。

そこで、これまでの収支均衡の改善傾向については、予算時と比べて税収が伸びたことや、低金利に伴う公債費の減少など、その時々によって様々な要因があったかと思われますが、平成30年度において予算時に収支均衡の不足額はゼロとされ、結果、決算においても収支不足額がゼロとなった、その要因について、どのように分析されているかについて当局のご所見をお伺いします。

また、依然として本県の財政状況を取り巻く環境が厳しい中、この10月に消費税が増税となりました。

増税後は、景気が冷え込むというのは経済の常識であり、これまでの消費増税後も、景気は冷え込んできました。今後、景気の冷え込みから、法人関係税収の減収等が懸念されるところです。

そこで、収支均衡については、これまで右肩上がりの改善傾向を示してきましたが、今後、このトレンドはどのようになっていくと考えているのか、また、そのような中、今後も収支均衡を維持していくために、県としてどのように取り組みを進めていこうとされているのか、併せて当局のご所見をお伺いします。

2 将来負担比率について

2点目は、将来負担比率について質問させていただきます。

将来負担比率につきましては、行革開始前に比べて改善されており、平成30年度決算では、最終2カ年行革プランに基づく目標値を達成しました。

一方で、将来負担比率におけるこれまでの傾向を見てみますと、平成27年度までは、少しずつ減少していましたが、平成28年度からは、毎年増加している状況にあり、平成30年度は、平成29年度対比で4.2%上昇し、339.2%となっています。

各都道府県では、その平均値の推移は兵庫県とは異なり、わずかではありますが減少し続けており、これは、兵庫県と類似府県である埼玉県や千葉県、神奈川県なども同じ傾向となっています。

実際、兵庫県は、全国都道府県においてワーストの状況が続いており、平成29年度の各都道府県平均値が173.1%であることを考えると、まだまだ改善に積極的に取り組む必要があることは明白です。

都道府県における将来負担比率の早期健全化基準は400%であり、本県が夕張市のような状況にすぐに陥る状況ではありませんが、将来負担の高止まりは、これから先、少子高齢化社会がさらに進んでいくと、財政上、大きな重りになるのではと懸念しています。

そこで、平成30年度の将来負担比率の上昇は、緊急防災・減災事業、公共施設等適正管理推進事業債の増加や一般会計から病院事業会計への繰出金減額調整解消などの影響があったとされていますが、これらの県債、繰出金はそもそも予想の範囲内であったのか、将来負担比率がこのようなトレンドとなった要因はどのようなところにあるのか、また、今回の数値をどのように分析・評価しているのかについて当局のご所見をお伺いします。

併せて、今後、将来負担比率の高止まりは改善される方向にあるのか、当局のご所見をお伺いします。

3 業務見直しの取組状況について

4点目の質問は、業務見直しの取り組み状況についてです。

平成28年度の決算特別委員会において、当時、わが会派の越田議員が広報誌の業務委託見直しの件を取り上げられ、当局より、今後も不断の検証を行い、業務の見直しについて積極的に取り組んでいきたい旨の回答がありました。

さらに、追加の質問において「過去のやり方を見直すということは、非常に大変な苦労があるが、まだまだ改善の余地があるのではないか?全庁的な見直しをされているのか、またその検討結果はどうか?」とあり、これに対して当局より、「平成29年度の予算編成にあたり、アウトソーシングやICTを活用するといった形での見直しをするという通知も行った」との答弁がありました。

行革で職員数が削減される中、効率的、効果的に業務を進めるには、県として必要な業務を見極め、外部の力や新たなICT技術を活用できるものは積極的に活用すべきと考えます。

もちろん、すべてのものが予算削減効果を期待できるものではありませんが、働き方改革を進める中、働き方を変えることに繋がるのであれば、積極的に導入を進めていく必要があります。

そこで、前回の質問から2年が経ちましたが、現在、県庁において、どのような取組が行われているのか、また、今後の取組方針をどのように考えておられるのか、当局のご所見をお伺いします。

4 県税収入について

(1)平成30年度の県税決算について

まず、はじめに、平成30年度の県税決算についてお伺いいたします。

政府は、少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現を図るため、平成30年度の経済財政運営の基本的態度として、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本に名目GDP600兆円の実現を目指し、成長戦略の核となる「生産性革命」と、一人ひとりの人材の質を高める「人づくり革命」に取り組むため、各種の政策を実施しています。

こうした経済対策の結果、我が国の経済は、自然災害により一時的に引き下げられたものの、緩やかな回復が続いており、企業収益が過去最高を記録する中で設備投資が増加するとともに、雇用、所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど、まだまだ予断を許しませんが、経済の好循環は少しずつではありますが、進んでいるとされています。

このような我が国の経済情勢の下、昨年9月に発行された「ひょうご経済・雇用白書」では、本県においても、現下の経済・雇用情勢は、緩やかに拡大していると書かれていました。

しかしながら、本県の平成30年度の県税収入は7,149億円で、当初予算の7,232億円からは83億円の減、また、前年度決算額7,230億円に比べると、81億円の減となり、2年ぶりに前年度から減収となっています。

そこで、平成30年度の県税収入が前年度と比べ、減収になった要因について、当局のご所見をお伺いします。

(2)個人県民税の税収確保と市町支援について

次に、税の確保の面から、これまでから指摘されている個人県民税の税収確保についてお伺いいたします。

税の徴収については、これまでから再三再四質問されていますが、本来ならば、税をきちんと納めることは当たり前である中、毎年のように滞納者に対して、様々な取り組みをし、効果をあげておられることには敬意を表します。

個人県民税は、県税収入の中でも最も大きな割合であるため、個人県民税の徴収業務は大変重要な役割を担っているとも言えますが、本年8月作成の「県税の賦課徴収について」の資料を見ますと、個人県民税の平成30年度の収入未済額は、約76.5億円となっており、県税の収入未済額93億9,400万円のうち、81.5%を占めるに至っています。

徴収率の向上を図るため、平成30年度から兵庫県においても特別徴収一斉指定を行ったということですが、この特別徴収は普通徴収に比べて徴収率が高く、行政サービスを支える貴重な財源確保策として、他の殆どの都道府県でも導入されています。

しかし一方で、個人県民税の徴収にあたっては、市町が個人市町民税と併せて賦課徴収することになっているため、県だけの徴収対策で収入確保が図れるものではなく、市町と連携した取り組みが望まれるところです。

そこで、特別徴収一斉指定を実施するにあたり、事業者等への丁寧な周知活動を行い、市町と連携した取り組みができたのか、当局のご所見をお伺いします。

5 社会保障の財源確保について

我が国は世界でもトップクラスの長寿を実現し、厚生労働省が発表している2015年都道府県別生命表によると、本県の平均寿命は男性が80.92歳(18位)と女性が87.07歳(25位)となっています。健康で長生きされる県民が増えるのは喜ばしいことではありますが、一方で、少子高齢化の進展に伴い、社会保障関係費は右肩上がりに増えています。

地方全体で見ると、平成30年度の社会保障関係費のうち、国制度に基づく補助事業が18.7兆円となっていますが、地方一般財源総額は60.3兆円となっています。なかでも、骨太の方針によって一般財源総額が実質同水準に抑制され始めた平成22年度以降の推移を見ると、補助事業は13.7兆円から5兆円(136.5%)伸びているのに対して、一般財源総額は58.8兆円から1.5兆円(102.6%)の増加にとどまっており、社会保障関係費の増嵩が地方財政を圧迫しています。

一方、本県の平成30年度決算における社会保障関係費を見ると、3,054億円で前年度から41億円増加していますが、全体の一般財源は72億円減少しており、本県においても社会保障関係費をまかなうために、一般財源がつぎ込まれている状況があるのではないでしょうか。

こうした懸念から、昨年も我が会派の石井秀武議員が、社会保障の財源を確保するために国に対して働きかけを行うよう質疑を行ったところです。この質疑では、当局より、社会保障関係費の安定的な財源確保に向けて、消費税10%への引き上げ、景気の底上げ対策の継続的な実施などを国に求めているという回答がありました。

そこで、今回の決算を踏まえ、社会保障関係費の増嵩による本県財政の圧迫について、どう評価しているのか。また、社会保障関係費の財源確保について、引き続き国に強く働きかけていく必要があると思いますが、当局のご所見をお伺いします。

6 自主財源の確保について

7点目は、自主財源の確保についてです。

(1)県民緑税を活用した事業について

本県では、豊かな緑を次の世代に引き継いでいくため、県民共通の財産である「緑」の保全・再生を社会全体で支え、県民総参加で取組む仕組みとして、平成18年度から「県民緑税」を導入しています。

この税は、森林の防災面での機能を高める「災害に強い森づくり」を進めるにあたり、その費用負担を幅広く住民に求め、法定外目的税として導入し、徴収しているものです。

つまり、緑税で、県民みんなで緑を、環境を守っていこうというものです。

平成18年度から始まった県民緑税は、毎年、約24億円の税収となっており、災害に強い森づくり事業などに充当されています。

これまでの収支を見ると、平成18年度から平成24年度までは、毎年収支が黒字となっていましたが、平成25年度から平成28年度までは、税収よりも支出の方が多くなっています。

平成30年度で、これまでの収支総額は18億円の黒字となっていますが、年度間の収支差がある中で計画的な執行が求められているところです。一方、議会の一般質問でも、今後の森林整備拡充の必要性が述べられているところです。

このような状況の中、県民緑税を活用した、特に災害に強い森づくりについて、どのような方針で実施されているのか、当局のご所見をお伺いします。

(2)宿泊税の導入について

これまでから、わが会派では、各議員が宿泊税の導入について、当局の所見をお伺いしています。昨年の決算特別委員会では、石井秀武議員から、宿泊税の導入検討を求める質問がありました。

また、平成29年度の予算特別委員会では、同じくわが会派の竹内英明議員が、宿泊税の導入について質疑をいたしました。

平成29年度の、当局の回答は、「宿泊動向への影響の分析などが必要であり、導入には、産業労働部とも連携しながら研究を深めていきたい」というものでありました。

そして、昨年の決算委員会での当局の答弁は、「課税の根拠には合理性がある というふうに言われた一方で、宿泊客減少の可能性であるとか、宿泊客や旅館業者等の理解を得ることの課題が指摘をされているところである。 宿泊税は、観光振興施策の展開と密接に関連をするために、導入に当たっては、宿泊者や観光業者等の理解を得られる施策が必要となっていく。 一方で、宿泊施設稼働率に余裕がある本県においては、宿泊税の導入がインバウンド旅行客を含む宿泊客の減少につながるといった懸念もある」ということで、引き続き検討していくというスタンスでありありました。

今、我が国では、ラグビーワールドカップが非常に盛り上がり、神戸も会場として賑わいを見せています。来年には東京オリンピック・パラリンピックが、そしてその翌年には、関西ワールドマスターズ2021が開催されます。さらに、2023年の女子ワールドカップ開催に日本が正式に立候補している状況であり、2025年には大阪万博も開催されます。

県の財政状況は、引き続き厳しい状況が続く中、神戸の都市格をあげること、兵庫県の観光振興を図ることは、これからの、わが県にとって、重要な取組となってきます。

今後の賑わい創出のためにも、財源確保策のひとつとして、宿泊税の導入を前向きに検討すべきと考えます。

そこで、宿泊税について、今後、どのようなスキームで検討されようとしておられるのか、当局のご所見をお伺いします。