第328回 9月定例県議会 一般質問
質問日 :平成27年10月2日(金)
質問者 :向 山 好 一 議員
質問方式:分割方式
1 選挙期日と議員任期のズレについて
私の議員活動のスタートは平成11年4月の神戸市議選での当選であります。この議場にもその時の同期議員もおられますが、つまり「空白の2か月」が始まったときでありました。あれから16年が経ち、まさに、登り坂、下り坂を経験し今回新人として県議選で当選させて頂き、2度目の「空白の2か月」を経験致しました。
この「空白の2か月」は、20年前の震災に起因し、当時の状況からは止むを得ない措置でありました。ただ、その後4年ごとに同じことが繰り返されており、本年は震災から20年経過し1つの節目であることから今期で解消する手立てを施すべきだと思っていましたら、議会内で次回選挙までに解消案をまとめる方向であることが新聞にも大きく取り上げられました。
この「空白の2か月」は、議会運営上ではそんなに大きな支障はありません。しかし、有権者には「何故落選したり引退した議員が給料やボーナスを貰っているのか」と、あたかも議会の不祥事の如き印象を与えています。これまでは議員年金という任期と切っても切れない大きな障害がありましたが、それも廃止され、解消に向けての障害はなくなったと認識します。出来れば今年度中にそのやり方に一定の結論を導いていかねばならないと痛感しております。
言わずもがなですが、この解消法は大きく分けて3つあります。
① 議会の自主解散、議員の総辞職によって4月に選挙を行う方法
② 次回選挙時に法的措置を取って議員任期を3年10ヶ月に短縮する方法。
③ 次回選挙を任期満了に合わせて6月に行う方法。
それぞれメリット、デメリットがあると認識します。
この問題は議会の姿勢の問題ですから、議会の一員として解消に努めていくため、解消方法の検討に当たっての様々なメリット、デメリットについて、慎重に検討していかなくてはなりません。
そこで、選挙管理委員会に対し質問します。先程申しました解消方法は、一言で言うと実施時期を統一選挙に合わせるのか、離脱するのかに大きく分かれます。一般論として統一地方選挙で実施することのメリットと、これまでの実績に対する評価を伺います。
あわせて、東日本大震災で同様に統一地方選挙から離脱せざるを得なかった東北3県の選挙が、次回には統一したいとの意向があると聞きますが、選挙管理委員会で把握している東北3県の状況をお教え願います。
2 神戸電鉄粟生線の存続問題について
次は、神戸電鉄粟生線の存続問題について伺います。
平成24年度から始まる支援スキームの中間検証の結果によると、目安とした26年度の全線の黒字化は達成されたが、支援策がなければ赤字となるので、当初の予定通り28年度まで支援するとのことでした。
ここには大きな問題があります。それは、現行支援策後の姿が描かれていないことです。沿線自治体で同じような支援策を継続するのも1つの選択でしょう。しかし、高齢化がさらに進み沿線地域の人口が劇的に減少することが明白になっている以上、単なる延命策ではなく持続可能なものに抜本的に構造改革を行うべきではないか。さらに、あと1年半後で現行スキームによる支援策が終了することを考えれば、遅くとも今年度中に「今後のあるべき姿」を決め、来年度にその実現に向けて必要な手続きや措置を講じて行くべきと考えます。
最近、地域公共交通機関についての考え方が大きく変わってきました。「地域公共交通活性化再生法」が改正され「交通政策基本法」が制定され、民間事業者任せとなっていた従来の枠組みから脱却し、地方公共団体がまちづくりと一体となった公共交通の再編に関与し、持続可能な交通ネットワーク形成を図っていく役割を担うべきだとなっています。その背景には、もはや民間事業者の自助努力だけでは路線の存続やサービス水準の維持が困難な時代に入ったというものがあるのだと思います。もちろん、鉄道路線の廃線は「地方創生」に逆行するものであることは言うに及びません。
このような時代背景を踏まえ、神戸電鉄粟生線は兵庫県としても存続に向けて積極的に関与していくべきか、あるいは1年半後は事業者の自助努力を基本とすべきか、「今後のあるべき姿」に関する知事のご認識を伺います。
さらに、地域の鉄道を再生させる切り札として路線の保有と列車の運行を別会社で行う上下分離方式が全国で採用され、兵庫県でも北近畿タンゴ鉄道がその方法で再生を図っています。神戸電鉄でも膨大な資産がこれからも経営を圧迫する構造は変わらず、抜本的に改善させるにはこの方式を取らざるを得ないと思いますが、その点についての認識も含めて伺います。
3 三宮駅周辺の再整備について
3点目に三宮駅周辺の再整備について伺います。
かねてより神戸市において検討を進めてきた「三宮駅周辺の再整備」について、先日基本構想が発表になりました。知事もご説明なりを受けたと思いますが、相当に具体的でドラスティックな内容になっています。
三宮はもちろん県庁所在地の中心街、兵庫県全体のシンボルでもあるし県下の経済、文化、雇用、観光等々あらゆる分野のハブ機能を有しており、三宮の発展なしで兵庫県の発展も実現しません。しかし、同じような機能をもっている他の大都市圏に比べて30年ほど遅れをとってしまった感があります。例えば、大阪駅や京都駅の駅前は10年前、20年前とは様変わりをしています。同じ兵庫県内においても西宮や姫路でも再開発が着実に進んでいます。しかし、三宮はポートピア博覧会が行われた昭和56年頃とあまり変わっていない。これでは、都会に住み、或いはそこに訪れた人たちの五感を刺激するはずもなく衰退してくことは明白だったと思っています。その要因は、20年前の震災の影響も大きいですが、それに加えて自治体の長の情熱、やる気だと感じていました。
その意味で、遅ればせながらもこのような大胆な基本構想を打ち出されたことは大歓迎をしているところです。そこで知事にこの基本構想に関連してお伺いを致します。
去る6月議会の一般質疑でわが会派の小池ひろのり議員が質問した際に、知事は三宮再整備について5点の課題を述べられました。玄関口としてのシンボル性が弱い、耐震性の低い老朽建築物が多い、大規模開発の種地が不足している、公共交通の乗り換え動線がわかりにくい、元町、ハーバーランドなどへの回遊性が低い、の5点です。今回出された構想は、知事が指摘していた課題を克服できるものとなっているでしょうか。
次は、兵庫県が神戸市とどのような連携、支援ができるかという点です。「三宮クロススクエア構想」など町の大改造を伴うものとなっており、当然民間の莫大な資金とアイデアといった民間の積極的な参画と協力が不可欠で、そのためには相当なインセンティブ策を用意する必要があります。
いま、三宮周辺は、国から「都市再生緊急整備地域」の指定を、また兵庫県全体が「国家戦略特区」の指定を受けていますが、それだけで十分な効果を得られるとは思えません。例えば、「都市再生特措法」が平成23年に改正され、特に国際競争力を強化するうえで重要な地域を「特定都市再生緊急整備地域」として指定し、さらに突っ込んだインセンティブ策を用意できるようにしています。つまり、ランク分けしているのです。この「特定都市再生緊急整備地域」への格上げに向けて知事も神戸市と協力して地元一丸となって取り組むべきと考えます。
そこで、三宮駅周辺の再整備について、知事が先に指摘した課題を踏まえ、神戸市の基本構想をどう評価するか伺いますとともに、「特定都市再生緊急整備地域」への神戸市と連携した国への格上げ要望も含め、「国家戦略特区」等を活用しながら他にどのような支援ができるかお考えをお伺い致します。
(以降の質問については、質問席で行います。)
(分割1・答弁1)
4 水素エネルギーの普及促進について
次の質問は兵庫県のエネルギー政策について、特に水素エネルギーの普及促進についてお伺い致します。
兵庫県はあわじ環境未来島構想など再生可能エネルギーの導入促進に力を入れてきました。それは、環境対策と同時に新産業の育成・雇用創出にもつながるものとして重要な視点であることは言うに及びません。しかし、太陽光なり風力発電は、これまでに一定の普及が図られ飽和状態とも言われ、既に全量買取制度のメリットは薄れ、今後急速に広がっていくことはもはや困難な状況となっています。
一方で、今年は「水素元年」とも言われています。昨年改定した政府のエネルギー基本計画の中にも「水素社会の実現に向けた取り組みを加速させる」と明記され、未来のエネルギーとして今後の普及促進を大いに期待されています。
水素は、燃焼により発電させるだけでなく、燃料電池として、水素と酸素を結合させて電気を発生させる従来の発電と比較してエネルギー効率が高い夢のエネルギーと言われています。
兵庫県でも今年の5月に庁内に「水素社会戦略研究会」を設置し今後の取り組み方針を検討していると伺っています。
兵庫県には、水素ガスの褐炭からの生成、液化、海上輸送といった製造と輸入部門の技術とインフラを持つ川崎重工、陸上輸送やデリバリーの技術と販売ルートを持つ岩谷産業、という水素エネルギーの先進企業が立地しています。その優位性を発揮して是非、兵庫県として全国に先駆けて水素エネルギーの普及に力を入れ、先進自治体として頑張って頂きたいし、また、そのポテンシャルは十分にあると思っています。
しかし、例えば、県内で現在稼働している水素ステーションは尼崎に1つあるだけであり、しかも尼崎市や神戸市は燃料電池自動車の公用車を所有しています。一方、兵庫県の公用車はいまだゼロです。まず、そこから始めなければいけないのではないでしょうか。
また、インフラの整備は公的機関が積極的に取り組まないと普及は進まないことを考えると、次は、水素ステーションの設置支援を、さらに、兵庫県に水素エネルギー基地を設け、そこから水素エネルギーを供給できる拠点とする構想を検討するなど、水素エネルギー先進自治体を目指し、精力的に取り組んでいくべきと考えます。
一方、家庭用エネルギーとしての水素エネルギーの普及促進も重要な問題です。現在、既に家庭内で利用されている水素エネルギーと言えば、エネファームなりの燃料電池です。分散型発電という非常時にも効果を発揮しCO2排出が少ない環境対策に優れたものとして普及促進に向けて助成する自治体が増えています。市町村でいえば県下では神戸市、姫路市、西宮市、芦屋市などの主要都市、都道府県単位でも近畿圏に限っても奈良、滋賀、和歌山県は助成策をもっています。水素エネルギーの利用促進に向け、本県でも助成制度を検討すべきと考えます。
そこで、水素エネルギー先進自治体を目指し、県公用車への燃料電池自動車の導入や水素ステーションの設置支援、家庭用エネルギーとしての導入助成に加え、水素エネルギーの供給基地の本県への設置構想の検討などを含め、水素エネルギーの普及促進に向け、今後、いかに取り組んでいこうとしているのか伺います。
5 危険ドラッグの現状と課題について
昨年6月、危険ドラッグを吸った男の運転する乗用車が歩道に突っ込み8人が死傷する痛ましい事故が発生しました。あの池袋の事故から危険ドラッグへの規制強化の声が高まり、兵庫県でも昨年10月に「薬物の濫用の防止に関する条例」が制定されました。それが契機となって各地で堂々と危険ドラッグを扱っていた販売店が姿を消したと聞いています。また、県内では昨年それぞれ51人、15件あった、危険ドラッグによる救急搬送者や交通事故の発生が、今年1~4月では1件となったと聞いております。条例一本だけでも社会の関心の高まりと所管する部局の懸命な努力があれば、相当の効果が挙がる典型的な例だと思うのです。
しかし、これでこの問題は解決されたわけではありません。インターネットによって見えない形で流通したり、最近は亜酸化窒素(笑気ガス)を成分とするシバガスといわれる商品がアンダーグランドで流行していると言われています。1つ取り締まれば新たな抜け道が発生するという「いたちごっこ」の感はありますが、粘り強い取り締まりがこれからも必要と思われます。
条例が制定されてちょうど一年が経過したこの時点で、これまでの効果と問題点、さらに今後の課題としてどのように把握されているのか伺います。
6 阪神高速道路の料金と湾岸線西伸部について
次に、阪神高速道路の料金と湾岸線西伸部について、質問します。
兵庫県下にはNEXCO、阪神高速、本四高速、兵庫県道路公社、神戸市道路公社など縦横無尽に高速道路が張り巡らされ、それが経済活動や生活の利便性向上に寄与しているのは紛れもない事実です。しかし、一方で日本の高速道路の料金は世界一高い、とにかく高い、しかも諸外国と比べて突出していることは周知の事実です。何故ここまで高いのか。その理由は種々ありますが今日はそれには触れずに、現行の料金を少しでも下げるための取り組みについて阪神高速道路に関しお伺いします。
阪神高速道路の現行の料金は、平成24年1月に対距離料金制度に移行し距離に応じて普通車で下限510円、上限930円となっています。そして、料金区分は普通車と大型車の2区分だけとなっています。
一方、NEXCO、兵庫県道路公社、神戸市道路公社などの阪神高速以外の料金は、特大、大型、中型、普通、軽自動車(自動二輪)とだいたい5区分になっています。特に、私が指摘したいのは阪神高速以外では普通車と軽自動車に料金差が2割程度あり、同じ軽自動車に乗っていても阪神高速を利用すれば他の高速道路より高額の料金を払わざるを得なくなっているということです。実際、私の地元にある新神戸トンネルは平成24年10月に神戸市道路公社から阪神高速道路に移管されましたが、料金区分の関係から軽自動車の料金は400円から500円に値上がりしてしまったという逆転現象も起こっているのです。
せめて、阪神高速にも軽自動車の料金区分を設けるなど細分化し実態に即した料金にすべきじゃないでしょうか。兵庫県は、阪神高速道路株式会社に9.1%出資している大株主です。県民の適正負担への是正を訴えるべきだと思います。
阪神高速道路に関してもう1点伺います。長年の懸案事項として残っている湾岸線の西伸部です。六甲アイランドから長田の駒ヶ林南までの約14.5キロ、今年の6月に関西圏が力を合わせて早期実現に向けて政府に要請するなど熱心に取り組んでおられるのは承知しておりますが、前の質問で取り上げた「三宮周辺地区の再整備基本構想」では駅周辺を人と公共交通優先の空間とする計画となっていることを考えれば、相当な東西通行の新たな対策が必要で、その一環として湾岸線の西伸部はこれまで以上に意味合いが重くなっています。
そこで、経済活動や生活の利便性向上に寄与する阪神高速道路の料金是正と、「三宮周辺地区の再整備基本構想」を踏まえた湾岸線の西伸部の早期実現について、当局の所見を伺います。
(分割2・答弁2)