質問日:令和3年3月8日(月)
質問者:北上 あきひと 委員
1.コロナ禍による芸術文化活動影響と支援策について
新型コロナウイルス蔓延によって、県内においても芸術文化関連の公演、展示等のイベント中止・延期が相次いでいます。神戸大学大学院国際文化学研究科藤野一夫研究室の調査によると、兵庫県内における、昨年2月~12月の文化芸術関係者(個人・団体)の損失は、少なくとも590億円が見込まれることが明らかになりました。また藤野研究室による関係者へのアンケート調査では、今後困りそうなこととして「創作発表の機会が減少すること」「観客や顧客が戻ってこないこと」等の回答が多く、必要とする支援策については「公演、展示、イベント等の延期または中止による損失補填」「芸術文化活動に関する情報発信、周知、啓発、提言」「芸術文化活動を活かした機会・場づくり」「支援策に関する相談・情報提供」等の回答が多く寄せられたと発表されています。
「文化はグルメのための特選品ではなく、万人にとってのパンなのです」とは、ドイツ文化相の言葉ですが、私たちの社会においても、芸術文化がライフラインの一つであるとの認識が徐々に拡がりつつあるように感じたところです。しかし、芸術文化関係者の生存と活動を支える施策については十分ではなく、ミスマッチであったり、照明、音響等いわゆる「裏方」への支援策が不足しているとの指摘を聞くところでもあります。
県は、コロナ禍による芸術文化活動への影響をどのように分析し、これまでの支援策をどう総括されるのか、また新年度以降においてはどのような取組を展開されるのかお伺い致します。
2.高齢者の交通安全対策推進について
交通事故の死者数は年々減少傾向にある一方、65歳以上の高齢者の占める割合が高くなっており、最近は事故の被害者だけでなく加害者になるケースも増加しています。昨年の県内交通事故の状況を見ると、①死者数は110人で内65歳以上は65人(59.1%)、②人身事故件数は17,352件で内65歳以上の第1当事者が3,978件(22.9%)、③人身事故のうちブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故件数は142件で内65歳以上ドライバーの事故は56件(39.4%)であります。高齢社会が今後一層進むなか、高齢者を含め全ての県民の命を守るために、高齢者の交通安全対策推進の充実が求められているところです。
高齢ドライバーの交通事故を防ぐための施策として運転免許証の自主返納制度があり、一定の効果を上げているものと認識します。しかし、運転免許返納の直後から引きこもりがちになったり、認知症の発症や症状が進むケースもあり、免許証返納以外の対策を講じる必要性も指摘をされているところです。
高齢者の歩行中、自転車・自動車運転中における交通事故を防止するためには、高齢者自身の法令遵守や交通安全意識高揚の努力に加え、安全を確保するアシストシステムや周囲の人々の理解も重要になります。
新年度、県においては緊急対策として実施した「高齢運転者交通事故防止対策事業」を終了し、引き続き「交通安全シルバー元気アップ事業」を推進する予算が計上されていますが、高齢者の交通安全にかかる取組内容をお伺い致します。
3.更生支援と再犯防止対策推進について
平成28年に施行された再犯防止推進法では、地方公共団体においても再犯の防止等に関する施策を実施する責務があること(第4条第2項)や、国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図らなければならないこと(第5条)、再犯防止対策は、起訴猶予等となった者や満期釈放者も含む従来よりも広範となる「犯罪をした者等」を対象に実施されるべきものであること(第2条)が規定されました。本県においても地域安全まちづくり条例や同推進計画等に基づき、取組が進められているものと理解するところです。
犯罪に至る背景には、過去の理不尽な暴力や差別の記憶、悲しみや恥辱、怒りといった感情があり、その記憶や感情を自らが受け止め理解し表現する「エモーショナルリテラシー」が、更生にとって重要であることが注目されています。「島根あさひ社会復帰促進センター」での、「エモーショナルリテラシー」を尊重する取組(「セラピューティック・コミュニティ・ユニット」)では、再入所率を半減するとの調査結果もあります。本県においても、「エモーショナルリテラシー」についての調査研究を進め、施策展開(講座、相談、カウンセリング、自助グループ養成等)に、その理念を活用することは有用と考えますが、県のご所見をお伺いします。