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●第76号議案「兵庫県議会議員及び兵庫県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用並びに選挙運動用ビラ及び選挙運動用ポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例」に係る討論(反対)
●第77号議案「知事及び副知事の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」に係る討論(継続審査賛成)
●第76号議案「兵庫県議会議員及び兵庫県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用並びに選挙運動用ビラ及び選挙運動用ポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例」に係る討論(反対)
第76号議案に反対する立場から、討論いたします。
当該議案は、公職選挙法施行令の一部改正により、衆議院(小選挙区選出)議員及び参議院議員の選挙における選挙運動用ビラの作成等の公営に要する経費に係る限度額が引き上げられたことを踏まえ、兵庫県議会議員及び兵庫県知事の選挙における選挙運動用ビラ及び選挙運動用ポスターの作成の公営に要する経費に係る限度額を引き上げようとするものです。
ビラ、ポスターの公費助成額については、2022年に上限額が引き上げられており、僅か3年での更なる引き上げが、果たして県民の理解を得られるのか甚だ疑問であります。「政治家に益する政策だけがやたらスピード感がある対応」との感が否めないのではないでしょうか。
国政選挙、地方選挙におけるビラやポスターの公費助成を巡っては、全国各地で水増し請求や過大請求の疑いから、住民監査請求が数多行われおり、その事例は枚挙にいとまがありません。これまで明らかになった不正疑惑における手法を見ると、
- 実際のポスター代は届け出た金額よりも低廉であったのに満額を請求した。
- その差額を用いて業者に公費負担対象外の印刷物の作成を依頼した。
- 水増し分の中から「キックバック」として印刷業者から政治献金を受けていた。
等であります。
これらの背景には、「単価が実勢の値段を反映しておらず、上限額が高額になっていること」があると度々指摘されているところです。
また、本年5月に放映された報道番組においては、直近の本県知事選挙に立候補した経験のある某国政政党党首の、選挙にまつわる金銭疑惑が取り上げられました。その番組タイトルは「選挙ポスターで丸儲け≪選挙ハック≫公費水増し請求の実態」であり、某政党党首は、選挙に立候補する理由を問われた際に、その返答として「金儲けです。選挙は儲かるんです」と度々発言していることが明らかにされました。加えてポスター印刷や広告業を行う会社を設立させていること等も報道されました。これら報道に鑑みても、本県県議会選挙や知事選挙におけるビラ及びポスターに係る公費助成上限額を引き上げることについて、県民の理解を得るのは困難だと考えます。
公職選挙法は資金が少ない人でも立候補できるよう、ポスターやビラ等の費用を公費で負担するよう定めており、私たちひょうご県民連合議員団は、そのこと自体には合理性を認めるものです。しかし、現行の公費助成上限額は実勢価格と比較して十分な水準であると認識するところであり、公費助成限度額を引き上げることは、不正請求を助長することが危惧され、また県民からの不信感を招き健全な納税意欲すら阻害しかねないと考えることから、本議案には反対の立場を明確にし、討論と致します。
●第77号議案「知事及び副知事の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」に係る討論(継続審査賛成)
議案77号「知事及び副知事の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」について、継続審査に賛成する立場から討論いたします。
当該議案は、県が設置した2つの第三者調査委員会において、県保有文書がインターネット等に漏えいしたことや県幹部職員が秘密漏えいを行ったことが認定されたため、保有文書を適正に管理すべき立場にある組織の長としての責任をとり、知事の給料月額の減額割合を、本年7月から9月までの間、現行の30%から50%に、また副知事についても保有文書を適正に管理する責任を負う立場にあることから、給料月額の減額割合について、本年7月から9月までの間、現行の15%から25%に引き上げることとし、所要の整備を行うものだと、提案説明がなされました。
しかし、知事が問われているのは組織の長としての管理監督責任に留まりません。第三者委員会の報告書によると、知事等に関する疑惑の告発者の個人情報を県幹部が漏洩した事案については「知事の指示があった可能性が高い」と結論付けており、知事ご自身が違法行為を遂行した可能性が高いと指摘されているのです。このことこそが、県政崩壊すら招きかねない深刻な問題だと考えます。
守秘義務違反の教唆は、懲役一年以下又は罰金50万円以下の刑事罰に課される犯罪です。選挙で選ばれた知事は極めて大きな権限を有しているが故に、どの県職員にも増して、率先した法令の遵守が求められるのではないでしょうか。
「知事の指示があった可能性が高い」との指摘は、知事と政治的に対立する者が針小棒大に騒ぎ立てる噂話の類ではなく、知事が承認し県が公費をかけて設置した第三者委員会が調査を経て導き出した結論なのです。この期に及んでも、知事は「指示した認識はない」との見解を繰り返すばかりで、説明責任を果たそうとはされず、事実解明に必要な刑事告訴等の措置を何ら行わない頑なな姿勢に終始されており、県民からの信頼を著しく損なっています。もし、知事が「法の支配」を理解されないのであれば、その座に居続けることは許されないと考えます。
プライバシー権は、人格的に不可欠な権利として憲法で保障されていますが、一連の事態を俯瞰すれば、これが侵害されれば人格的に生存できない程のダメージがあると認識すればこそ、当該告発者に関する個人情報の漏洩に至ったのではないかと思わざるを得ません。知事が、自らを糾弾する告発を嫌い、個人情報を悪用して告発者の人格を貶め、告発内容の信用性を低下させようとする目的で部下に違法行為を指示したのであれば、それは「恐怖政治」「独裁」であります。加えて、部下の行為のみに責めを負わせて、知事自らの違法行為を無かったこととして済まそうとするのならば、それは最悪の権力行使であります。知事が自らの保身を図るためにその都度都度に部下を理不尽に切り捨てる対応を続けるのならば、県職員に怖気や厭世観を生みこそすれ、信頼醸成は叶わないと考えます。
「知事の指示があった可能性が高い」との指摘を払拭する努力を何らせぬままに、県民や事業者の膨大な個人情報を取り扱う県政のトップを続けることは、社会正義にもとると考えます。知事、副知事の給料月額の減額割合を引き上げる条例改正案は、事態の深刻さに比して余りに軽くまた的外れであり、この程度の処分で問題の幕引きを図ることは到底許されるものではありません。我が会派は、当該議案に反対の意を有するものの、時間がかかってでも知事に事の本質をご理解頂きたく、継続審査に賛成することを申し述べ、討論と致します。