議会の動き

栗山 雅史議員が一般質問を実施

質 問 日:令和2年2月27日(木)

質 問 者:栗山 雅史 議員

質問方式:分割方式

1 出生率の上昇について

県は今議会に次年度から5年間の新たな「ひょうご子ども・子育て未来プラン」を上程されました。これまでのプランで設定した出生数の目標、出生率の目標については達成できない見込みで、その結果を踏まえてなのか、新プランはとても現実的と言いますか、消極的な数値目標が設定されていると感じました。

現プランでは5年間で22万人、合計特殊出生率1.57という、どちらかというとポジティブな、子どもを増やすぞという強い意志と理想に向けて頑張ろうと感じるプランでしたが、新プランは出生数18万人、合計特殊出生率1.41という目標になっています。そもそもそれで少子化対策と言えるのかどうか、少子化を食い止める施策はもはやないと諦めているのかと勘繰るような数値目標に、私は正直言って残念でなりません。

現プランについては、プランを策定した時には、「2~3年は出生数は達成できるだろう。しかしその後はどうかな?」と思っていました。その予想通り、プラン3年目の2017年からは年44,000人の目標を下回ることになりました。しかし、同時に目標に掲げた合計特殊出生率の目標1.57を達成することが出来れば、後年も44,000人を達成できるかも知れないと、ひそかに期待をしておりました。しかしながら、出生数と比例するように出生率も減少し、2019年の試算では1.42と見込まれています。

県では出生数を増やす、出生率を高めるために、出会いのサポートから、ライフデザイン教育、結婚への支援、不妊治療への助成、保育・幼児教育への支援、ワークライフバランスの実現など、子どもの出生前後の長いスパンにかかる環境の整備と支援の施策を多種多様に行ってきています。それらすべてが必要なことだとは思いますが、結果として数値に現れていない以上、各事業が的確にヒットしているのかというと、私は確信が持てません。新プランではこれまでの事業の取捨選択、予算の増減などについて大幅に見直す必要があるのではないでしょうか。そして、メリハリのついた目玉の支援というものが無いと、正直出生数、出生率は上がらないのではないかと思います。

私は、個人的にはこのような結論に至りました。それは、ピンポイントになるかもしれませんが、子どもを産み育てたいという意思のあるご夫婦に対して、出生率を高めていただくための、直接的で強力な支援が一番効果的ではないかという結論です。1人よりも2人、2人よりも3人、3人よりも4人産むぞ!、産んでも大丈夫だ!と思っていただくために、一番効果的でありがたい支援は何なのかというと、私はやっぱり出産前から幼少期におけるいろんな経済的負担を無くしていくことではないかと思いました。

県内にも出生率が上がっている市町があります。明石市は顕著な成功事例ではないでしょうか。出生率は1.4台から1.5、1.6と上昇を続け、2018年には、1.7に達しています。所得制限なしでの医療費無料化の拡大、第二子以降の保育料無料化、市営施設の子どもの利用料無料化などの施策が評価され、子育てするなら、子どもを産むなら明石と、子育て世代に選ばれる市になっています。ハッキリ言って、私も子育て世代ですのでとても魅力的に感じます。

兵庫県が本気で出生数を確保し、低いとは思いますが1.41という出生率を維持、そして向上させたいのであれば、思い切ったメッセージ性のある、強めの支援、施策の打ち出しが必要ではないかと考えますが、どのようにお考えでしょうか。

2 3歳以上の未就園児について

国は、子育てに関する経済的負担を減らすために、また女性の再就労、社会進出を促進するため、昨年10月の消費増税と同時に「幼児教育・保育の無償化」をスタートさせました。それをきっかけに、多くのご家庭で子どもを保育園や幼稚園等に預けよう、行かせようとする動きになっています。3歳児以上は、無償化の対象施設であれば保育料等の費用は掛からないので、結果、3歳以上の子どもの殆どが保育園や幼稚園等に通うことになりそうです。そんな時にふと思ったのが、こうした誰もが幼児教育や保育を受けようと思えば受けることができる環境になっているにも関わらず、小学校に入るまで保育園、幼稚園等に通わない子どもがひょっとしているのだろうか、いるとすれば県内にどの程度いるのだろうか、そしてそれはどのようなご家庭なのだろうかと思いました。

そもそも、小学校からが義務教育ですので、それまでは保育園や幼稚園等に通わなくても別に構わないのです。通わせるか通わせないかはそれぞれのご家庭の考え方であり、自由であると言えます。しかしながら、ここにおられる皆さんも、幼少期には何かしら保育園や幼稚園等に通っていた人が多いのではないでしょうか。

私は県の関係課に、兵庫県内で保育園、幼稚園等に通っていない3歳児以上はどの程度いるのかと問い合わせたところ、当初は実数としては捉えておらず、統計を基にした推計ではありますが、平成30年度の調べで未就園児数は9,697人、3~5歳人口において7.1%存在するのではないかとの答えをいただきました。そして、私の地元の西宮市にも問い合わせたところ、平成31年度の調査で、認可保育所、幼稚園等を利用していない子どもは3歳児以上で10.15%、1,331人、これには待機児童等も含まれていると思いますが、次に小学校に入る直前の5歳児だけ、幼稚園でいう年長さんでは6.12%、272人いるとの答えをいただきました。私は率直に「結構いるんだな」と思いました。そして、その子どもたちはなぜ保育園、幼稚園等に通っていないのか、通えないのか、その理由や背景が知りたいと思いました。

その理由や背景については、これは私の想像ですが、例えば暴力や育児放棄などの虐待の可能性があるご家庭ではないか、あるいは貧困家庭ではないか、あるいは両親のメンタル面に課題があるご家庭ではないか、あるいはご両親やお子さんに障害があるご家庭ではないか、外国人のご家庭ではないか、などの可能性を心配しました。いずれにしても、保育園、幼稚園等に通っていない子どもが一定数存在していることについて、福祉の観点から私はとても気になりますし、心配なのですが、各市町や地域でそのご家庭がどのような状態であるか、把握できているのでしょうか。特に虐待や貧困が原因であれば、県においてもしっかりと対策を行う必要があると考えます。

そこで、「3歳以上の未就園児」と私は呼ばせていただきますが、その中に虐待や貧困、疾病等が原因で保育園や幼稚園等に行けない子どもがいないのか、また十分な対応ができているのか、県のご見解をお聞かせ願います。

3 DV被害者の市町の対応について

配偶者の暴力、つまりDVと言われる事象については、9月議会でかわべ議員が「DV防止への取組」について質問されましたが、私からはDV事案が起こった後の、県内のDV被害者の相談体制等について質問したいと思います。

まず、県下におけるDV相談件数ですが、右肩上がりに増加しています。平成30年度では前年比333件増の19,143件となっています。今後もこの傾向が続くのであれば、県の関係機関をはじめ、市町の相談体制、支援体制をさらに充実させていく必要があります。しかし、一時保護を受け入れている民間シェルターによりますと、市町においてはその体制に差があるとの声がありました。

県によると、DV被害の相談件数の3分の2、66%は市町で受け止めています。市町のDV対策については全市町で基本計画が策定されていますが、配偶者暴力相談支援センターの設置は16市町にとどまっています。私の地元、西宮市ではDV相談室という名称の配偶者暴力相談支援センターが設置はされていますが、利用者の話を伺うと、本当はもっと人目のつかない場所で相談したいのに、市役所正面玄関のすぐそばに相談室が設置されていたり、相談時間を30分に制限されていたり、また新たな生活拠点を紹介するにしても近畿圏以外を紹介されるなど、相談の受け止め方や被害者への対応としては、厳しい対応というか、寄り添ったものとは思えない状況との意見もありました。これについては西宮市にも相談者の声を伝えておりますが、一方で宝塚市や明石市はとても温かい対応をされているとの評価もあり、市町によってDV被害者への対応の差があるのではないかと感じたところです。県は、市町のこのような状況を捉えているでしょうか。どの市町に住んでいても、DV被害者に温かい、寄り添った対応を心がけていただきたいと思いますが、県はどのような指導等ができるでしょうか?

また、一時保護件数が減少傾向にあるのは、市町における相談窓口の充実により、早い段階での対応が可能となって、緊急確保を要する状況に陥る事案が減少したと伺いましたが、相談窓口の充実や、早い段階での対応とはどのようなものなのか、お聞かせください。

4 補助金制度の適正な執行について

昨年12月、兵庫県は岡本商店街振興組合に対して、補助金5,784千円の返還と加算金2,053千円の納付を求めました。これは、同商店街の補助金申請に領収書・請求書偽造などの不正が認められたためであります。巨額の悪意あるこの事態が発覚して、私はそもそも補助金を支給する行政側にも甘さがあったのではないかと思いました。性善説で、商店街振興組合に対してあまり疑念も抱かずに、形式さえ整っていれば過去の実績などを考慮して申請を簡単に通してしまったのではないかと感じました。

そんな行政に付け込んだ商店街振興組合の悪意ある行動は大変な問題ではありますが、この一件を踏まえて考えるときに、ひょっとするとこれは氷山の一角ではないかと思いました。宍粟市雇用創生協議会による国の委託金の不正受給の例もありましたし、こういう今こそ県のあらゆる補助金の支給事務について見直し、強化すべきではないでしょうか。

具体的には、最初に申請書類を受け付ける担当課のチェックです。これまではあまり熱心にやってこなかったかも知れない「請求書・領収書の発行業者の存在確認、業務確認」をやらなくてはなりません。偽造されたものではないか、架空の会社をでっちあげたものではないかという確認です。事務を進めるにあたっては、申請書類の形式が整っているか、あるいは補助金によって期待する効果が発現されているかなどについて目がいきがちですが、ぜひ請求書・領収書について、今後は厳しい目を注いで欲しいと思います。

県では目的に応じて様々な補助金があり、これまでも研修等により全体のスキルアップを図っておられますが、各担当課の対応だけではなく、このようなチェックを全庁横断的にぜひ事務ルーティンに追加していただきたいと思いますが、今後どのような対策をされるおつもりか、ご所見をお伺いします。

5 西宮市内の新駅の可能性について

西宮市内では現在、平成25年度以来20回以上の検討会が開催されている阪急電鉄の仮称:武庫川新駅、そして関係者の間で可能性を論じられているJR新駅、これは県立西宮病院と市立中央病院の統合病院予定地の北側ですが、市内では2つの新駅の可能性がある状況です。

阪急電鉄の仮称:武庫川新駅については、古くから西宮市側の住民の強い要望活動に始まり、平成25年度から西宮市、尼崎市、阪急、県による検討会が年に3回から5回開催され、平成28年度には新駅設置による効果・影響についての報告書がまとまったところです。その後も、新駅利用者数の算定や、駅の構造、事業スキームの検討、国庫補助の要件確認など、新駅設置に向けての具体的な課題の一つ一つについて検討されてきました。いよいよ全体像が見え始めてきており、今後、事業費等の検討を経た上で、数年以内に両市と阪急の合意により新駅の設置が現実のものとなる可能性が出てきているのではないかと感じているところです。

一方で、JR西宮駅から甲子園口駅間で、統合病院予定地の北側にあたるJR線の新駅の可能性についてですが、聞くところによると、古くはJR自身がこの場所に新駅を設置することを検討したことがあるらしく、過去に西宮市とも情報交換をしたことがあると聞いております。それに加えて、昨年1月に両病院の統合が決定し、予定地も定まったところから、県病院局も県民の病院利用の利便性向上の観点から、また経営面の観点から、統合病院予定地に隣接する新駅ができるとすれば、それは歓迎すべきことだとの見解を聞いているところです。

西宮市内ではJR、阪急、阪神が通っておりますが、阪急、阪神とJRが乗り換えられるような結節点の駅はなく、JR駅と阪急、阪神の駅はそれぞれ距離があり、私自身も乗り換え接続の面で何とかならないものかと考えたことがありました。仮にこの場所に新駅ができれば、近接する阪急今津線の阪神国道駅を介して阪急神戸本線と阪神本線との乗り換えがスムーズになる可能性を秘めています。

しかしながら、こうした新駅の構想については「誰が一番望んでいるのか」ということが重要であり、現在のところこの新駅については住民からの強い要望があるわけでもなく、西宮市は先に述べた武庫川新駅を優先に考えている状況であり、一方でJRは西宮市や地元住民、統合病院の動向などを様子見しているような状況です。

いずれにしましても、西宮市内に2つの新駅の可能性があるわけですが、県としてはそれぞれ状況をどのように捉えているのか、ご所見をお聞かせ願います。

6 駅員等への暴力事案対策について

鉄道は公共交通機関の代表といえるものであり、県民の日常生活にはなくてはならない存在であります。

近年、駅員等に対する暴力行為は、鉄道の安全確保や利用者への良質な鉄道輸送サービスの提供に影響を与えるおそれがあり、その対策について意識が高まっているところです。

県警察では鉄道警察隊をはじめ、沿線を管轄する警察署が相互に連携を図り、鉄道施設、駅員等への警戒強化に努めておられることと思いますが、国土交通省のホームページでは、平成30年度における鉄道係員に対する暴力行為の発生件数は全国で670件、兵庫県でも27件発生し、4年連続して減少しているものの、半数以上の加害者が飲酒を伴っており、これら以外にも乗客等から「暴言を吐かれる」、「唾を吐かれる」といった事案などが日常的に発生していることを聞き及んでおります。

鉄道施設等における暴力行為等は、駅員等への保護だけでなく、列車の遅延、円滑かつ安全な電車の運行に支障を及ぼすことにつながります。

鉄道事業者も警備員を雇い巡回したり、防犯カメラを設置するなど、事業者自身が駅員等の安全対策を講じているところです。しかし、県民の方々に公共交通機関である鉄道を安心して快適に利用していただくためには、鉄道事業者と警察の連携を強め、暴力行為の未然防止を図る必要があります。

そこで、駅員等に対する暴力事案の未然防止を含め、鉄道施設における安全安心の確保に向けて、県警察としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。