議会の動き

決算特別委員会 21年09月定例会

決算特別委員会

理  事  北上 あきひと  議員(川西市及び川辺郡)
委  員  竹内 英明  議員(姫路市)
      石井 健一郎  議員(神戸市灘区)

北上 あきひと 議員
企画県民部① | 健康福祉部 | 公安委員会 | 農政環境部
教育委員会 | 総括審査
竹内 英明 議員
財政状況 | 企画県民部② | 県土整備部 | 企業庁 | 
石井 健一郎 議員
企画県民部① | 産業労働部 | 病院局 


<北上 あきひと 議員>
●企画県民部①
1 コロナ禍での自然災害対応について
2 コロナ禍における県職員の在宅勤務等の実態と課題について
3 若者の投票率向上について

全文

令和2年度決算特別委員会 【企画県民①】

質問日:令和3年10月7日(木)

質問者:北上 あきひと 委員

1.コロナ禍での自然災害対応について

本県が、昨年5月に発表した「新たな生活様式ひょうごスタイル」には、自然災害と感染症との複合災害への備えが盛り込まれ、また、同年6月には、全国に先駆けて「新型コロナウイルス感染症に対応した避難所運営ガイドライン」を策定しました。同年9月には尼崎市内での「兵庫県・阪神地域合同防災訓練」において、同ガイドラインに対応した避難所設置・運営訓練が実施され、私も参加をしたところです。

コロナ禍での自然災害対応については、県民から不安の声が寄せられています。特に安全、安心な避難所の開設・運営が担保できるのかどうかを危惧する声が多いのが実情です。県議会においても、真摯な議論が活発に続けられてきました。

コロナ禍での自然災害対応においては、避難所での感染やクラスター発生を防ぐための対策が求められ、新型コロナ感染症と診断された自宅療養者、自宅待機者や濃厚接触者、帰国者専用の避難所の事前準備も必要です。県内市町では、ガイドラインに基づく「感染症対策マニュアル」が作成され、行政職員の訓練や住民への周知等の取組がなされているものと推察します。避難先の事前振り分け、避難所受付でのトリアージ、設営における飛沫・接触感染予防の環境づくり、運営における状況に応じた感染予防策等、多くの課題があるのではないでしょうか。

本県では、防災と福祉関連分野との連携について、避難行動要支援者の個別避難計画作成等、その充実に鋭意努めてこられました。障がい者や独居高齢者に関する情報を防災施策に反映することについて、かつてはプライバシー保護の観点から様々な障壁があったものと認識します。今後は防災と保健関連分野との連携について、如何に課題を克服し大きく進めて行くかが問われているのではないでしょうか。

コロナ禍での自然災害対応において、県民への周知や実際に避難所の開設・運営を担う市町と県との連携、防災と保健関連分野との情報共有について、その進捗状況や今後の取組みをお伺いします。

2.コロナ禍における県職員の在宅勤務等の実態と課題について

本県においては「兵庫県庁ワーク・ライフ・バランス取組宣言」に基づき、仕事と、子育てや介護、自己啓発等が両立できる働きやすい職場環境づくりをめざし、全国に先駆けて職員の「在宅勤務制度」を導入するとともに「勤務時間弾力化制度」等を推進してきました。

昨年度からは、新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一環として、人と人との接触機会を減らすため、感染症対策業務に従事する職員を除き、在宅勤務等の活用により、出勤者数の原則7割削減をめざす取組を進められ、第一波とされる昨年4月から5月の対象期間中において出勤者を本庁で約7割、全体で約6割削減することができたと聞き及ぶところです。

「在宅勤務制度」の利用の実績は、一昨年度においては56名でしたが、昨年度は4925名に急増しました。そもそもは、職員の自主的な意思に基づいてワーク・ライフ・バランスを図るために活用する制度が、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からにわかに大きく普及したものです。

在宅勤務は、多くの職員にとって初めての経験であり、全庁的なアンケートが行われたと聞き及んでいます。今後、職員のワーク・ライフ・バランスの推進、県民サービスの維持向上、感染症の感染拡大防止等の観点から、その効果や課題を丁寧に検証し、職員の心身の健康と勤労意欲に寄与する、より働きやすい職場環境づくりを推進して頂きたいと考えますが、当局のご見解をお伺いします。

3.若者の投票率向上について

2015年6月に選挙権を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正がなされました。かねてより若者の投票率が中高年世代と比べて低調であることが、社会的な課題として指摘をされていますが、法改正後も依然として著しい改善はありません。前回(2019年)の兵庫県議会議員選挙において、投票率は過去最低の38.64%、特に10歳代で23.49%、20歳代で19.92%であり、若年層の投票率が低い傾向は明らかです。

一方、若者が政治的な課題に関心が低いかと言えば、そうではないように感じます。例えば、世界の若者たちが気候危機への早急な対策を求める「世界気候アクション」が、この9月に世界150カ国以上で一斉に開催されましたが、日本でも若者を中心にしたアクションが全国各地で活発に行われました。OECDが昨年に発表した資料によると、「政治に関心がない」と答えた日本の若者(15歳~29歳)は11%であり、ドイツ、デンマーク、スウェーデン等に続いて6番目に少ない数字になっています。これは、加盟国全体の平均である24%よりも、かなり低い数字です。また、NHKが行った若者対象の世論調査(2016年)では「政治にある程度関心があって、将来が、より良くなって欲しいと思うが、選挙や投票に行くのは不安」という若者像が示されています。「政治離れ」ではなく「選挙離れ」が若者の特徴だと言えるのではないでしょうか。政治家自身が、その姿勢や政策を一層洗練して行かなくてはならないと、痛感するものです。

さて、先進的な自治体や民間団体が取組む「選挙手帳」「選挙パスポート」は、選挙で投票した際に押印したり投票済み証を添付する役割だけではなく、選挙に対する自身の想いを記入し、その後の社会がどうなったのかを振り返るための手帳であり、若者への配布は、政治的な関心を選挙に繋げるきっかけになると考えます。人生80年として投票機会は約100回。選挙毎に情報収集し自分の考えを記すことは、生涯にわたっての選挙への関心に繫がります。本県において、「選挙手帳」「選挙パスポート」の導入を研究して頂きたいと存じますが、如何でしょうか。


●健康福祉部
1 障がい者就労施設等の作業確保・拡充、工賃向上について
2 ギャンブル等依存症対策について
3 LGBTQ等セクシャルマイノリティの相談窓口設置について
4 保健所業務円滑化に向けた取組について
5 自主的PCR検査への公費助成について
6 「第6波」に備えた医療供給体制について

全文

令和2年度決算特別委員会 【健康福祉部】

質問日:令和3年10月8日(金)

質問者:北上 あきひと 委員

1.障がい者就労施設等の作業確保・拡充、工賃向上について(ユニバーサル推進課)

2013年4月、「障害者優先調達推進法」が施行されました。本県では法律に基づき「取扱方針」を策定し、障がい者就労施設等から物品または役務の優先調達を行っておられます。また県内の障がい者就労施設等から年100万円を超える物品及び役務を調達した企業を認定する制度を設け、県が発注する建設工事入札制度における加点、物品や役務の契約における受注機会の拡大を行っていると認識するところです。加えて、NPO法人への運営委託による授産商品のインターネット販売サイト「+NUKUMORI(ぷらすぬくもり)」を展開するなど、前向きで地道な取組みには敬意を表します。

障がいのある人が、就労によって生きがいや経済的な基盤を得ることは、大変重要なことだと考えます。昨年度より、障がい者が就労する施設等から「コロナ拡大の影響もあり、仕事の受注が減少している」との苦しい実情をお聴きすることが度々ありました。障がい者就労施設等の作業確保・拡充、工賃向上を図る支援が一層求められていると考えますが、取組の状況と今後の対応についてお伺い致します。

2.ギャンブル等依存症対策について(いのち対策室)

コロナ禍のステイホーム等が影響し、ギャンブル等への依存傾向が増加しており、速やか且つ果敢な取組が求められていることは、令和3年度予算委員会をはじめ、これまで再三指摘をさせて頂いてきました。昨年度、県においては「ギャンブル等依存症対策推進計画」の策定作業に取組まれ、家族会や自助グループ、精神科医、競馬組合等公営ギャンブル主催者等で構成する委員会での議論や、パブリックコメントを踏まえて本年から3カ年間の計画を策定されました。目標に掲げる「ギャンブル等依存症で苦しむことのない、安心できる社会の実現」に向けた積極的な施策展開を、大いに期待するところです。

あらゆる依存症において、予防啓発や克服支援の取組が大切であり、各種の啓発・研修を実施や相談窓口の拡充が必要であり、また、DV・児童虐待・多重債務等の背景に依存症が存在している場合も多々あり、児童福祉、生活支援、消費生活、教育、医療等の関係機関が緊密な連携のもとに対策を講じる必要があると考えます。

加えて、自助グループや家族会の果たす役割は大きく、それら関係団体との連携強化、補助・助成を進め、平穏な日常生活や社会生活を取り戻すための実効性のある取組を継続・強化するべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3.LGBTQ等セクシャルマイノリティの相談窓口設置について(人権推進課)

心と体の性が一致しない性同一性障害や同性愛などのセクシャルマイノリティとされる人は、さまざまな調査から人口の約5%から8%いると言われます。しかしながら、本人が告白しない限りその姿は見えづらく、制度や政策の対応はこれまで十分ではありませんでした。

本県では、昨年度に県民・事業者向けの理解促進のためのリーフレットや職員向けに対応方法等のガイドラインを作成したほか、申請書類等の性別記載欄について法的義務や事務性格上必要不可欠なものを除き原則廃止に向けて取り組んでいると認識します。また、本年5月からは「パートナーシップ制度」等を実施する市町内の県営住宅については、入居申込が可能となりました。この制度改善については、当事者の方から「これまで否定されていた自分たちの存在が『認められた』『肯定された』という感じがする」との声をお寄せ頂いたところです。

自治労が今年行なった調査では、過去5年間に仕事や飲み会などでセクシュアル・ハラスメントを受けたことがあると回答した性的マイノリティの割合が、そうでない人の3倍近くに上り、LGBTQ等が職場でセクハラを受けやすい実態が明らかになりました。また、宝塚大学日高庸晴教授らが15~24歳の男女約2000人を対象に実施した、性的指向と自殺リスクの関連についての調査(2008年)では、性的マイノリティの男性は、異性愛者の男性と比べて自殺を図るリスクが約5.9倍にもなることが明らかになっています。厚生労働省によるゲイ・バイセクシャル男性5731人を対象に実施された調査(2005年)によると、回答者のうち自殺を考えたことがある人は65.9%、自殺しようとしたことがある人は14.0%でした。両方の調査に携わった日高教授は「カミングアウトした人数が多い人ほど、自殺未遂リスクが高いこともわかっている。誰にも言っていない人と比較すると、6人以上にカミングアウトした人の方が自殺未遂リスクが3.2倍高い」「残念ながら、カミングアウトをして理解者とばかり出会えるわけではない」と述べておられます。

これらの事柄を考察すると、安心して相談できる「LGBTQ等セクシャルマイノリティの相談窓口」を設置し、適切な対応をする必要があるのではないでしょうか。県内の幾つかの市町では、すでに相談活動を展開されており、例えば明石市では、LGBTQ等の当事者やその周りの人たちの悩みを市職員が聴き、解決への手伝いをする相談事業を昨年7月よりスタートされました。本年9月末までに178件の相談が寄せられ、対応されたと聞き及んでいます。

県内市町の先駆的な取組みをどのように分析しておられるのか、また県における取組みも求められると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

4.保健所業務円滑化に向けた取組について(感染症対策課)

繰り返し続くコロナウイルス感染症の蔓延は、その対応に追われる保健所や関連部署における職員の心身の大きな疲労を生み、「燃え尽き症候群」が危惧されています。保健所業務が多忙を極めるなかにあっては、本庁等県職員の応援を強化するとともに看護協会の協力を得、また特に阪神間の保健所にはリエゾン(連絡調整員)が派遣される等、支援が行われていると認識するところですが、保健所業務円滑化に向けた更なる取組が必要だと考えます。

コロナ陽性患者の入院医療費については、「感染症法」に基づき原則全額公費負担になりますが、住民税所得割額が基準となる56万4千円を超える場合には月額2万円を上限として自己負担が生じます。よって、全ての入院患者は市町から取り寄せた課税証明書を添えて「入院医療費公費負担申請書」を提出することが求められ、保健所職員は患者との連絡や書類作成等に多大な労力をかけています。件数の多い保健所においては、特に大きな負担になっているのです。

これは国からの「技術的助言」に沿った措置だと推察しますが、厚労省の「逐条解説」では「どの程度の負担応力がある場合にどの程度の負担を求めるかについては、都道府県で判断すること」とされており、本県の裁量によって入院医療費を一律公費負担に改めることは可能だと考えます。住民税所得割額の基準を超えることは稀であり、その負担額も日割り計算であるため小額だと聞き及んでいます。コロナ陽性患者の療養期間中の外来診療(往診・遠隔診療含む)は、申請せずとも全額公費負担であります。入院においても外来同様の扱いにすれば、患者や家族の煩雑な手続きの負担が軽減され、保健所業務の円滑化に繋がると考えますが、当局のご所見をお伺い致します。

5.自主的PCR検査への公費助成について(感染症対策課)

本県では、新型コロナウイルス感染症陽性者の急増に伴い、積極的疫学調査の対象を、①陽性者本人、②同居家族・同居人、③感染拡大やクラスター化が懸念される施設等に重点化しました。友人等の濃厚接触者には、患者本人等から14日間の自宅待機や健康観察の必要性を伝えることになります。有症状の場合には医療機関での受診を勧奨し、PCR検査を受ける際には行政検査となりますが、自覚症状のない濃厚接触者が、PCR検査を受ける場合は自己負担になるのです。

陽性であるかどうかを適切なタイミングで検査することは、患者本人が重症化を防いで命を守るために有益です。治療薬の開発・認可が進んでいますが、何れもが凡そ軽症段階において有効であり、治療の観点からもPCR検査によって早期発見を促すことが求められるのではないでしょうか。加えて、可能な限り多くの感染者を捕捉することは、感染拡大を防ぐという観点からも有益だと考えます。

国内で感染が始まった昨年度前半頃においては、検査について抑制的限定的な方針であったことに合理性があったのかも知れません。様々な検査機器等が開発され、また検査が全て保健所を介して行われていた状況は変化をしています。

よって現状においては、自覚症状のない濃厚接触者のPCR検査をも促すべきではないでしょうか。そのために、検査費用への公費負担を検討するべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

6.「第6波」に備えた医療供給体制について(医務課・感染症対策課)

新型コロナウイルスの感染拡大「第5波」は収束に向かい、緊急事態宣言は解除されましたが、今後の事態の推移は不透明であり、多くの専門家が「より規模の大きな第6波が必ず来ると想定して備えるべきだ」と指摘をしているところです。

厚生労働省は今月1日、冬場に懸念される新型コロナウイルスの感染拡大に備え、医療供給体制の見直しを各都道府県に指示しました。「第5波」においては、必要な医療が提供されることなく自宅で亡くなる方が出る等、医療逼迫が深刻化したことをふまえたものです。

臨時の医療施設を含めた病床や医療従事者を確保することが重要であり、自宅療養を選ばざるを得ない場合でも、適切な在宅治療を施す準備等が求められます。在宅での治療を効率的効果的に進めるには、各地域での開業医との連携が不可欠であり、オンライン診療の導入等の工夫が必要ではないでしょうか。県内では、丹波保健所管内での、医療の早期介入により重症化を防ぐとともに、短期間で回復につなげる独自の取組が注目されました。重症化を防ぐには、早い段階での抗体カクテル療法が有効だといわれており、医療機関や医師会等との調整を図り、県としての具体的方針を示すことは肝要だと思います。

本県における昨年春以降の経験を総括し、県民の命と健康を守り支える医療供給体制を整備して頂きたいと考えますが、今後の取組みをお伺い致します。


●公安委員会
1 違法駐車対策について
2 横断歩道における交通取締りについて
3 交通安全の啓発活動について
4 犬猫等の拾得状況と課題について
5 鉄道施設における安全対策について
6 SNSユーザーである子どもの規範意識の向上について

全文

令和2年度決算特別委員会 【公安委員会】

質問日:令和3年10月11日(月)

質問者:北上 あきひと 委員

1.違法駐車対策について

違法駐車は、車両の進行妨害になるとともに、歩行者やドライバーの視界不良に繫がり、道路渋滞や交通事故を引き起こす要因となっています。高齢者や車椅子利用者等にとっては、「移動の自由」を阻害し日常生活に悪影響を及ぼす場合もあり得ます。バス事業者からは、バス停近くの駐車違反車両によって、バス停沿いにバス車両を停められない事案が頻発しており、乗降者の安全確保において憂慮すべき事態であると聞き及んでいるところです。

交通事故を防止し、全ての県民にとって円滑で安全な交通環境を確保するために、違法駐車対策は大変に重要であると考えます。

昨年における県内違法駐車の実態、及び違法駐車対策の内容について。お伺いします。

2.横断歩道における交通取締りについて

私の地元である川西市・猪名川町では、今年に入って死亡事故が7件発生する等、重大な交通事故が多発しています。歩行者の道路横断中の事故も相次いでおり、本年6月には信号機のない交差点で横断歩道を渡っていた小学生が車両にはねられて重体となる事故が発生しました。

2018年1月、西宮市内において、歩行者妨害をする車両に児童がはねられ死亡する交通事故が発生。これを受けて兵庫県警では、歩行者妨害を無くすために啓発や取締りを強化されてきたと認識するものです。川西警察署においては、信号機のない横断歩道が多い路線を重点路線に指定し、交通指導と取締りを強化することによって、停止率の向上等に一定の成果が上がっていると聞き及んでいます。

本県においては、横断歩道手前で一時停止しない車への対策はどのようになっているでしょうか。重大な交通事故に直結する、横断歩行者等妨害違反などの取り締まり強化策の実態と成果について、県警のご所見をお伺いします。

3.交通安全の啓発活動について

警察等の行政機関においては、交通安全の啓発活動や取締りを懸命に行って頂いていると承知をするところであります。

先程、重大な交通事故に直結する、横断歩行者等妨害違反などの交差点関連違反の取締りの強化について申し上げましたが、交通事故を無くして行くためには、県民一人ひとりが、交通ルールを遵守するという強い意識を養わなくてはなりません。

県下の死亡事故では、人対車両による事故が増加中で、速報数ですが9月末では27人が亡くなられており、昨年と比べると10人増加していると聞きます。

これら事故を防止するためには、取締りも重要だと考えますが、ドライバー、歩行者を含め、広く県民に交通ルールとマナーを浸透させ、交通安全の意識を高揚していくことが、極めて大切であると考えます。

そこで、県警察として、人対車両の交通事故を防止するべく取締り以外にどの様な交通安全啓発活動を行っておられるのか、現状の取組内容と成果についてお伺いします。

4.犬猫等の拾得状況と課題について

先日、犬猫の里親募集やTNR(野良猫を保護し避妊手術を施し元の場所に戻す)活動を展開する民間団体の代表者と面談しました。この団体は、警察署に拾得物として届けられた犬猫や小鳥等を預かって世話をし、里親探しに取組まれているとのことでありました。所轄警察署が保管を委託しておられますが、全く無償での取組であり、献身的で熱心なその姿勢には、尊敬の念を抱きます。動物愛護の観点から大変に素晴らしい活動であると認識するところであり、その継続と拡充を願うものです。

昨年一年間の県警察で取り扱った犬猫等の拾得状況、及び解決するべき問題点や今後の課題についてお伺いします。

5.鉄道施設における安全対策について

近年、駅構内や電車内において殺傷事件が発生し、乗客や鉄道関係者を危険にさらしています。また、不特定多数の人が利用する鉄道施設では、日頃から、痴漢、盗撮、乗客同士のトラブル、酔客による駅員への暴力事案等、様々な事案が発生しており、不安の声を数多お聴きするところです。

鉄道等の公共交通は、県民生活を支える大切なライフラインであり、多くの県民は、鉄道施設を快適・安全に利用できることを願っています。制服の警察官が駅構内や電車の中をパトロールする等、鉄道施設の利用客に見える形で警察官の姿があれば、人々の安心感に寄与すると考えます。事件が起きた時に捜査力を発揮する警察への期待は勿論ありますが、鉄道施設における犯罪を未然に防ぎ、利用客の安全安心を醸成する、そんな警察が求められているのではないでしょうか。効果的な取組を、期待するものです。

そこで、県警察が、駅や電車内等の鉄道施設における安全対策や乗客の安心感醸成にどのように取組んでおられるのか、現状と今後の強化策についてお伺いします。

6.SNSユーザーである子どもの規範意識の向上について

今や多くの子どもたちがスマートフォン等を持ち、非対面で会話をするようになってきました。非対面なので、人間の温もりや痛みに鈍感になったり、罪悪感が薄れる面があると指摘されているところです。一方、SNSでの拡散等の影響は大きく、誹謗中傷やいじめ等に利用された場合、被害者に与える苦しみは計り知れず、取り返しのつかない事態に及ぶこともあり得ます。学校現場でのいじめにおいて、最も痛ましいケースは、いじめられた子どもが死という結果に至ることです。北海道旭川市の中学生がいじめを受けた挙句、凍死しました。東京都町田市では、学校で一人に一台配布されたコンピューター端末でのいじめの被害児童が、自ら命を絶ちました。極めて悲しい出来事であります。

また近年、特殊詐欺の犯行グループが、ツイッターなどのSNSを利用して、少年を特殊詐欺に加担させる、いわゆる「闇バイト」というものが横行していると聞き及びます。「現金を受け取るだけで高額報酬」といった口車に乗った子どもたちが、「加害者」になってしまうのです。太刀打ちする手段や知識が充分ではない子どもたちが、犯罪に巻き込まれることのないよう、事前に対策を講じる必要があるのではないでしょうか。

子どもたちが、取り返しのつかない書き込みをしないように、また犯罪に巻き込まれることのないようにするため、子どもたち自身がしっかりとした知識と情報を身に付け、規範意識を育むことが大切であり、その機会を提供することが大人の役割だと考えます。

かつては、家族、学校、近所等、周りの大人が子どもと多様な形で関わりながら社会的に躾をして行く風土があり、子どもたちの規範意識は日常生活のなかで培われてきたように思います。しかし、情報産業の進展した現代社会ではそれが難しくなっており、子どもたちがスマートフォンを使ってインターネット空間(SNS)でどんなことをしているか、認知することすら容易ではありません。専門家の知見や技術をも活用しながら、利用者である少年自身が善悪の判断をできる力を身につける機会を提供するべきだと考えます。

そこで、SNSユーザーである子どもたちの規範意識の向上を図るため、県警ではどの様な取り組みをされているか、お伺いいします。


●農政環境部
1 里山林の保全・再生について
2 廃棄物の適正処理について
3 農畜水産物の地産地消推進について
4 農福連携の着実な推進について
5 農作業の安全対策について
6 地球温暖化防止の取組について

全文

令和2年度決算特別委員会 【農政環境部】

質問日:令和3年10月12日(火)

質問者:北上 あきひと 委員

1.里山林の保全・再生について(豊かな森づくり課)

兵庫県の県土面積に占める森林の割合は令和2年3月時点で67%、約7割を占めています。特に、集落周辺の里山林等において、県では生物多様性の保全、自然とのふれあいや環境学習の場等の利活用、防災機能の向上を重点にした森林整備を進めておられます。

私の地元である猪名川流域の里山は、その景観や菊炭の伝承や茶の湯文化との結びつきからも「日本一の里山」とも呼ばれています。阪神北県民局では約10年前から、管内にある34箇所の里山を展示物に見立てて、これらの里山地域一帯を「北摂里山博物館」として整備し、保全活動を行っている団体や地域住民とともに、里山の持続的な保全を図っていこうとされています。

また、県内各地においても、地域住民等が行う森林整備活動や体験学習等に対する支援を行い、里山保全活動の活性化を進めているほか、森林ボランティアなどの多様な担い手による森づくり活動を推進されています。

こうした活動は非常に地道な取組ですが、コロナ禍でこれから都市部集中型から地方分散型社会への動きが進んでいくと思われる中、身近な里山林を保全・再生する取組はより重要性を増すことになると思われます。

そこで、里山林の保全・再生に向けたこれまでの取組状況を伺うとともに、今後の取組の方向性について、見解を伺う。

2.廃棄物の適正処理について(環境整備課)

昨年6月、法律で求められている許可を得ずに産業廃棄物の処理業務を引き受けたとして、県内で建設業を営む者3人が産業廃棄物処理法違反の疑いで逮捕されました。報道によると、家屋解体工事などで排出された木くずやガレキなど約19トンのごみを、4回にわたり不法投棄した疑いが持たれているものです。また、10月には、三田市内の敷地に無許可で地面に穴をあけ、大量の廃材などを不法投棄した疑いで、土木業などを営む経営者ら4名が逮捕されています。

産業廃棄物の処分は種別により県知事の許可を得る必要あり、処分地についても厳格な規定があり、無許可での投棄は法令違反となると認識するところです。

逮捕にまでは至らない迄も、廃棄物の適正処理に関する住民相談は、頻繁に寄せられます。「自宅近所の裏山に瓦や廃材が大量に放棄されており、大雨の際に急斜面を崩れ落ちてこないか不安だ」「建築廃材が山積みになっており、周りを囲う鉄板が傾いている。歩道に倒れてこないか心配だ」等であります。法令上問題のある行為に対しては、県当局において業者等に指導を行い改善に向けた粘り強い取組を展開して頂いているところです。しかしながら近隣の住民からは「もう何年も我慢している」「いつになったら、改善されるのか」との声があがっており、解決に至るまでの道筋が見通せないことが、住民の大きな不満になっている現実があります。

廃棄物の不適正な処理については、早い段階での発見や指導、そしてより厳正な対応が期待されていると考えるものですが、県当局におかれては、産業廃棄物の適正処理を巡る不法行為をどのように認識されているのか、また解決に向けた取組について、ご所見をお伺いします。

3.農畜水産物の地産地消推進について(楽農生活室、消費流通課)

本県は、日本海と瀬戸内海に面しており、多様性に富む気候風土と都市近郊の立地を生かした農畜水産業が、力強く取り組まれています。生産量で全国順位上位の農林水産物が多く、山田錦、丹波黒、シラス、ホタルイカ等は全国一位であり、また、神戸ビーフや明石鯛等が全国ブランドであることは、ご承知の通りです。加えて、「兵庫のゆたかさ指標」県民意識調査では、県民の県内農産物への高い評価が伺えます。例えば「地元や県内でとれた農産物は安心だと思う」は76%、「地元や県内でとれた農産物を購入している」は66%。何れも2021年県民意識調査によるものです。県民の食や農畜水産業に対する前向きな理解が浸透していることは、大変に嬉しく感じるところであります。

コロナ禍が与える消費動向への影響が懸念されるなかにあって、地産地消施策や食育を一層強力に推進することにより、県内農畜水産物の消費拡大を図って頂きたいと期待するところです。例えば、昨年度においては、学校給食に県内農畜水産物が提供されましたが、今後においては福祉関連施設や病院をはじめ幅広い分野で、県内農畜水産物を県民に提供する機会を多く設けて頂きたいと考えます。また、いわゆる「ステイホーム」等によってインターネット通販の利用が増すなか、SNS活用の促進もより求められるのではないでしょうか。農畜水産物の地産地消推進について、これまでの取組内容と今後の課題について、お伺いします。

4.農福連携の着実な推進について(総合農政課)

障がいのある人が、農作業に携わる機会を得ることは、就労の機会を得てその喜びを実感することに加え、心身の健康に寄与し生活の質の向上に繫がることが指摘をされています。福祉作業所等の関係者と懇談する機会が度々ありますが、福祉現場からの農福連携への期待は、とても大きいと感じるところであり、これまでも県当局に対して積極的な推進を再三要望してきました。

昨年度に策定した「ひょうご農林水産ビジョン2030」に「農福連携の推進」が掲げられ、「農業分野の働き手の確保と生産性向上、あわせて障害者の社会参画を実現するため、農福連携のモデルを創出する」等と記載をされたことは、大変に嬉しく思います。県内各地では、すでに様々な取組が始まっており、先日の健康福祉部局審査においては、長岡壯壽委員の地元で、地域特産品である赤穂みかんの生産継続が農福連携によって叶ったこと、そして住民の方々が障がい者のその奮闘ぶりを知り、高く評価しておられることのご披瀝が有りました。県では農業者に対して、赤穂市での取組みをはじめ先駆的な好事例の紹介、障がいへの理解を深める講座の開催、受け入れのための作業分析や受入計画の立案などの知識の習得支援等に、引き続き努めて頂きたいと考えます。

農福連携を着実に推進していくためには、農業者において障がい特性への理解を一層深めて頂くことや、農業者と福祉事業者とのマッチングやコーディネイトを強化すること、受け入れ環境整備の支援を一層拡充して行くこと等が求められるのではないでしょうか。

農福連携の推進について、昨年度の取組の内容と、今後の課題をお伺いします。

5.農作業の安全対策について(農産園芸課)

農林水産省が行った調査によると、2019年の農作業事故死亡者数は全国で281人、前年より7人増加したとのことです。事故区分別では、農業機械作業によるものが184人(65.5%)、農業用施設作業によるものが17人(6.0%)、機械・施設以外の作業によるものが80人(28.5%)となっており、中でも一番多いのが乗用型トラクターからの転落・転倒等による事故が約3割を占めています。その他にも運搬車による事故や熱中症、草刈り機による事故など様々な要因があるようです。また、年齢階層別で見ると、65歳以上の高齢者による事故が248人と死亡事故全体の88.3%を占めています。先月、私の地元猪名川町でも、70歳代の農業従事者がコンバイン運転中に里道から川床に転落し、死亡する痛ましい事故がありました。

また、2019年7月に起きた京都アニメーションの放火殺人事件を受け、消防庁がセルフ式ガソリンスタンドにおける小分け販売に対する規制を強めたことにより、携行缶へのガソリン販売が難しくなっています。よって、農機具用ガソリンの手配に不便するとの声も聞き及ぶところです。トラクターの燃料補給のために、ガソリンスタンドへ移動する道のりでの事故が懸念されます。

行政の規制強化や気象条件の変化への対応も刻一刻と変化していくなかで、農業者に対してタイムリーな情報を提供や安全対策に対する知識の普及啓発が重要であると考えます。加えて、ガソリンスタンド等の民間機関とも、農作業の安全対策上必要な連携を図ることを検討して頂きたいと思うところです。

そこで、農作業の安全対策に関する昨年度の取組状況を伺うとともに、今後の対策を進める上で重点的に実施するべきと考える内容についてお伺いします。

6.地球温暖化防止の取組について(温暖化対策課)

2021年のノーベル物理学賞を、眞鍋淑郎プリンストン大学上級研究員が受賞されました。誠に、喜ばしく存じます。受賞の理由は「地球の気候と地球温暖化の予測に関する物理モデルへの貢献」であります。今回の受賞について、ある専門家は「気候危機への国際的な取組を進めるうえで重要なCOP26が今月末から開かれるのを前にした受賞決定は、ノーベル委員会の社会への重要なメッセージ」「科学の警告を社会が受け止め、温室効果ガスの大幅な削減を実現することが求められている」と語っておられますが、多くの県民も共感をするところではないでしょうか。

本県では、2017年3月に策定した「兵庫県地球温暖化対策推進計画」において、温室効果ガス削減目標を2013年度を基準として、2020年度に5%、2030年度に26.5%を設定して、取組を進めてきました。本年3月の改定では、2013年度を基準として、2030年度に35%(最大38%)に設定し、前計画より目標を強化されたところです。

地球温暖化防止は国際社会における最も重要な課題の一つであり、県民や事業者にとっても極めて関心の高い切実な課題であると認識します。再生可能エネルギーの導入拡大、エネルギーの地産池消等について、一層果敢な取組を期待するところですが、当局におかれては、温室効果ガス削減目標達成をはじめとする、地球温暖化防止策をどのように展開して行かれるのか、この際に改めてご所見をお伺いします。


●教育委員会
1 里山の文化的景観保護について
2 阪神北地域新設特別支援学校の整備について
3 インターネットによるいじめへの対策について
4 コロナ禍における子どもと教職員の課題について
(1)子どもの心のケアについて
(2)コロナ禍における教職員のサポート体制について
5 校則と生徒指導の在り方について

全文

令和2年度決算特別委員会 【教育委員会】

質問日:令和3年10月14日(木)

質問者:北上 あきひと 委員

1.里山の文化的景観保護について

農政環境部局審査では、環境や防災面から里山保全の取組み状況やその重要性について質しましたが、ここでは文化的景観保護の観点から質問をさせて頂きます。

川西市黒川の里山には800年以上の炭焼きの歴史があり、「菊炭」と言われる高級炭の優れた生産地です。その歴史は延宝検地帳にクヌギ林の面積が記される等、古文書による裏づけもあります。千利休が茶道に利用したとも言われる黒川の「菊炭」の生産は、その量は減ったものの現在も続いているのです。炭焼きに使用するためのクヌギの輪伐によってパッチワーク状の里山景観が維持されている地域は、全国的に他にはなく、河井雅雄氏編著中央公論新書「ふしぎの博物誌」には川西市黒川一帯の里山が「日本一」であると紹介され、また兵庫県立大学名誉教授の服部保氏は「日本一の『最高の里山』であるとともに『最後の里山』でもある」と指摘されています。

その地域の人々の生活と生業、風土に根ざして形成されてきた川西市黒川の里山景観は、日本の文化と歴史を理解するうえで極めて重要でありますが、身近で一見するだけではありふれた景色であるがゆえに、持続的な保全を図る策が充分には講じられておらず、乱開発等が危惧される状況です。

県教育委員会におかれては、地元住民や森林ボランティア、市教育委員会等とも連携しながら、文化的景観の本質的価値を評価するとともに、持続的な保全と地域活性化資源としての活用に向けた取組を展開して頂きたいと考えますが、ご所見をお伺いします。

2.阪神北地域新設特別支援学校の整備について

川西市丸山台への特別支援学校新設については、川西市猪名川町在住の関係者が、大きな期待を寄せておられます。猪名川町や川西市北部の児童生徒にとって、伊丹市瑞ヶ丘の「こやの里特別支援学校」への日々の通学時間は、片道80分を超える場合もあり、大きな負担であることが課題になっていました。本整備事業は、県立「こやの里特別支援学校」における、児童生徒増加による過密化を解消することが主な目的だと認識するものですが、通学時間の負担解消にも大きく寄与するものです。円滑な整備を、切に願います。

2024年4月開校に向け、鋭意準備を進めておられるところだと存じますが、コロナ禍による影響もあったと推察するところです。新設予定地周辺の住民に特別支援学校新設への充分な理解を得、開校後においても児童生徒との交流や教育活動への参加が図られることが望ましいと考えます。加えて、グランドや体育館をはじめとする学校施設の地域開放も積極的に行って頂きたいと思うところです。周辺住民への説明等について、その進捗状況をお伺いします。

また、障がいのある児童生徒の特性や教育的ニーズを的確に把握し、適切な指導・支援を行っていくためには、施設面での充実と、熱意と優れた技量を兼ね備えた教員が確実に配置されることが必要だと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3.インターネットによるいじめへの対策について

2011年10月に起こった滋賀県の中学校2年生のいじめによる自殺がきっかけになり、2013年6月「いじめ防止対策推進法」が成立し、同年9月に施行されました。「いじめの防止等のための基本的な方針」が策定されるとともに、いじめの防止等に関する基本的施策として「インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進」が定められています。

インターネット等のSNSでの拡散の影響は大きく、いじめに利用された場合においては、被害者に与える苦しみは計り知れず、取り返しのつかない事態に及ぶこともあり得ます。北海道旭川市の中学生がいじめを受けた挙句に凍死したことや、東京都町田市では、学校で一人に一台配布されたタブレット端末が原因で、いじめの被害児童が、自ら命を絶ったことなどが報道されています。また、身近なところでも、インターネットを通じたいじめ問題を見聞するところです。子どもたちがスマートフォン等を使ってインターネット空間(SNS)でどんなことをしているか、認知することすら容易ではありません。保護者の不安は大きく、教職員にとっても解決への取組の困難さに直面されていること聞き及ぶところです。

インターネットを禁止することは現実的ではなく、必要な規制を十分に施すとともに適切なルールのもとでの活用が求められ、その環境整備を果たすことが大人の責任だと考えます。インターネットを通じたいじめ対策について、その取組の現状と課題について、お伺いいたします。

4.コロナ禍における子どもと教職員の課題について

(1) 子どもの心のケアについて

厚生労働省の統計によると、本年7月までに自殺した小中高校生は270人(小学生7人、中学生75人、高校生188人)であり、年間で過去最多となった去年の同じ時期を29人上回りました。心が痛みます。

教育委員会におかれては、アンケート調査を昨年度に3回、今年度に1回実施されました。その結果から、本県においてもストレスを抱えている子どもが一定程度存在いると分析され、子どもたちの状況を踏まえた継続的な支援に取組んでおられるものと認識するところです。

コロナ禍が長期化するなか、先の見えない不安がストレスとして蓄積され、これまで深刻な問題を抱えていなかった子どもも含め、生きづらさを抱えているのではないかと、危惧します。子どもたちの変化を見逃さずに子どもたちに寄り添った対応に努めて頂くとともに、子どもたちが自ら「SOS」を発する術を身に着けられるよう支援していくことが求められるのではないでしょうか。コロナ禍における子どもの心のケアについて、これまでの取組と今後の課題をお伺いします。

(2)コロナ禍における教職員のサポート体制について

昨年度、新型コロナウイルス感染拡大の影響で精神疾患になり、学校を休んで90日以上長期療養した県内公立学校(神戸市立学校等を除く)の教職員は25人に上ることが、教育委員会の発表で明らかになりました。感染不安や感染対策に伴う業務増が主な原因とみられるとのことです。

かねてより、教職員の業務が多忙であることは大きな課題となり「働き方改革」が迫られていました。加えて、コロナウイルス感染拡大によって、学校現場は、突然の長期休校、感染対策の徹底、オンライン授業、子どもたちの心ケア等々、めまぐるしく異例の対応に追われて来たのではないでしょうか。長引くコロナ禍が、教職員の疲弊を大きくしていることは明らかです。教職員が心身の健康を保持し、意欲的に教育活動に取組める環境を整備することは極めて重要であり、今一層の手立てを講じることが求められていると考えます。

教育委員会は、学校教職員の労働環境の現状をどのように分析されるのか、またコロナ禍において業務負担が増えている教職員へのサポート体制は、どのように行なっていくのか当局の所見を伺う。

5.校則と生徒指導の在り方について

県内公立高校に在籍する生徒の保護者から「学校からの指導で、そもそも茶系の地毛である頭髪を黒く染めを続けているが、負担だ」との相談や、公立中学校に在籍する生徒の保護者からは「寒い時期にも関わらず、防寒着の着用が制限されている。体調が心配だ」との相談を受けました。いずれも、校則に基づく指導だと推察します。

かつて私たちが子どもの頃に使用したクレパスや絵の具には「肌色」がありましたが、現在はありません。絵の具やクレヨンなどの販売をしている「ぺんてる」は1999年9月の生産分から「肌色」の表記を止め、「サクラクレパス」は2000年に「肌色」の表記を「うすだいだい色」に改めました。名称変更の理由は、肌の色を「この色だ」決めてしまうことへの疑問が寄せられたことを契機に検討重ね、肌の色を限定的に決めてしまうことは、肌の色が異なる人のことを否定してしまう恐れあるとの認識に及んだからだそうです。

各学校において校則を策定し、それを遵守することは、子どもの成長にとって意義があるものだと考えます。しかし、校則の内容に合理性があるのか、社会通念に適うのか、健康への影響は及ばないのか、またその策定や運用が真に教育的になされているのかを、常に問い見直すことが必要ではないでしょうか。先に述べた「肌色」を巡る対応のように、です。

教育委員会におかれては各校に校則の検証を求められ、2019年度には全ての県立高等学校が見直し作業を行い、6割で改定があったと聞き及ぶところですが、未だ解決するべき課題は大きいと認識するものです。特に、主権者教育の観点や、「子どもの権利条約」に定める「意見表明権」尊重の観点から、子どもたち自身が校則の策定や運用に主体的な関与をすることが望ましいと考えます。

校則と生徒指導の在り方について、当局のご所見をお伺いします。


●総括審査
1 今後の財政運営について
2 「誰も取り残さない」県政の推進について
3 コロナ禍における事業者等への支援について
4 芸術文化施策の振興について
5 医療・公衆衛生の基盤である保健所の体制強化について
6 人権尊重理念が貫かれる組織のあり方について
7 教員確保に向けた取組について
8 動物愛護担当部局と県警察との連携強化について

全文

令和2年度決算特別委員会 【総括】

質問日:令和3年10月19日(火)

質問者:北上 あきひと 委員

1.今後の財政運営について(財政)

今回の決算特別委員会においては、2020年度決算に対する評価をはじめ、新型コロナウイルス感染症対策経費、財政基金、県税収入、内部管理制度等、財政運営について多角的な議論がなされました。

特に、新型コロナウイルス感染症については、昨年3月にはじめて県内で感染者が確認して以降、今もなお県民生活や経済活動に多大な影響を与えています。2020年度の一般会計は、新型コロナウイルス感染症対策の経費増により、歳出総額は2兆5,636億円、歳入総額は2兆5,736億円となり、いずれも過去最大規模となりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響による企業業績悪化や民間消費低下によって県税収入が当初予算を大きく割り込む一方で、制度拡充された減収補填債等の財源確保、年度途中の歳出削減等の取組を実施した結果、実質収支は前年度並の2千3百万円の黒字、実質単年度収支は1千2百万円の黒字となり、2020年度決算の収支均衡が図られたという点については一定評価したいと考えています。

しかしながら、2022年度から2027年度にかけて総額330億円の要調整額が見込まれ、また、震災関連県債や行革期間中の財源対策債の県債残高も依然高い水準にある中で、本県の財政運営はなお厳しい状況にあると考えられます。

この厳しい財政状況の中、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、様々な県政課題を解決していくためには、持続可能な行財政構造を確立させることが重要であり、これを実現させるために我が会派から再三申し上げているとおり、税金の使い道を徹底的に見直す「質の改革」が必要と考えます。

これまで以上にスクラップ・アンド・ビルドを徹底し、不要不急または費用対効果の低い事業を中止するとともに、但馬空港の滑走路延長や県庁舎等再整備等の大型プロジェクトの再検討をはじめとした投資的経費の調整を図っていただくなど、齋藤知事が公約に挙げておられる財政調整基金の積み増しや総額330億円の要調整額解消に向けて、より堅実な財政運営に努めていただくことを切に求めるところであります。

齋藤知事にとっては、これから初めての予算編成に向けた検討を実施されるところかと思いますが、2020年度決算をご覧になって率直にどのように感じたのか評価と課題をお伺いするとともに、それを今後の財政運営にどう活かしていこうと考えておられるのか、知事のご所見をお伺いします。

2.「誰も取り残さない」県政の推進について(福祉)

知事は今後の県政推進についての所信において、「これから4年間、私の使命は、躍動する兵庫を創り上げること」だとし、そのために大切にする基本姿勢を三つ挙げられました。「第1に開放性を高める、第2に誰も取り残さない、そして第3に県民ボトムアップ型の県政を進めるということ」であります。いずれも共感するものですが、私が最も惹かれたのは「誰も取り残さない」という姿勢です。

私事で恐縮ですが、私はかつて知的障がい者授産施設の職員でした。政治を志したきっかけは、「誰もが人間として大切にされる、ひとり一人の命が輝く社会を作りたい」という思いからであります。「誰も取り残さない」政治をめざして参りました。二元代表制のもと、志を共有する知事とともに県政を推進できることを僭越ながら嬉しく思うところです。

知事は、「多様な地域に暮らす全ての県民の皆様が、安心して育ち、学び、働き、遊び、幸せに生きられる、そんな誰も取り残すことのない、人に温かい兵庫」をめざすとされています。地域が多様であるとともに、県民も多様であります。「全ての県民」が「幸せに生きられる」「人に温かい兵庫」を実現するために、政治が特に光をあてるべきは、社会的に弱い立場、少数の側にある県民ではないでしょうか。弱いが故に少数であるが故に、理不尽な扱いを受けることがあっては決してなりません。

例えば、兵庫県は全国に先駆けて(1998年4月)、無年金外国籍障害者・高齢者等福祉給付金事業を、県内市町との共同事業としてスタートされました。その趣旨は、国民年金法の一部改正により国籍条項が撤廃されてなお、制度の間に置かれ国民年金が受給できない在日外国籍障害者・高齢者に給付金を支給し、生活の安定と福祉の向上を図ることであります。この制度の創設と運用の改善によって、老齢基礎年金と障害基礎年金1級に相当する無年金外国籍県民への救済措置は講じられており、高く評価するものです。加えて知事は、「兵庫在日外国人人権協会」等から寄せられた、未だ解決には至っていない障害基礎年金2級に相当する無年金外国籍県民への救済措置に関する公開質問状において、「知事就任後、財政状況を早急に点検した上で、改善に努力していきます」と回答されておられ、今後の前向きな取組を大いに期待します。

このような事例を含め、「誰も取り残さない」県政を推進していくにあたっては、障がい者など社会的に弱い立場、少数の立場にある県民の小さな声に心を寄せることこそが重要だと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

3.コロナ禍における事業者等への支援について(産業労働)

昨年の自殺者は全国で21,081人、その内県内は888人であります。コロナという病から、県民の命と健康を守らなくてはなりません。加えて、コロナ禍による社会経済的な影響によって奪われる命があってはならないと、強く感じるものです。県民が不安や困難を抱えておられる今こそ、政治・行政がその役割をしっかり果たさなければなりません。昨年春以降、私自身も県民の方々から多くのご相談やご要望を受けてきました。相談内容は、コロナ禍によってもたらされたであろうドメスティックバイオレンスや不当解雇等、そして最も多いのが県民の生活苦、事業者の経営難です。

事業者の経営難への対応として、例えば、飲食店向けの支援については、「感染拡大防止協力金」の取組が、今月21日迄分までは継続されることが明らかになっているものの、以降についてはどのような支援が図られるのかどうかは現時点で定かではありません。コロナウイルスの感染拡大が抑制されたとしても、飲食業が俄かに活況を取り戻すかどうかは見通せない状況にあります。地域に根差した飲食店は、県民の暮らしを支える大切なインフラであり、その経営者や従業員の多くはこれまで真面目な納税者として社会を支えてこられた方々です。

様々な職種・業種において、コロナ禍の影響が及んでおり、その影響は長引くものと予想します。今後、新たな内閣のもとに、実情に即した効果的な政策が打ち出されることを願うところであり、政府の支援策の着実な履行を県に求めるものです。加えて、政府の支援策だけでは補いきれない面については、県として事業者の経営等を支えるためによりきめ細やかな支援策や相談業務を独自に展開して頂きたいと考えますが、知事の決意をお伺いします。

4.芸術文化施策の振興について(県民生活)

芸術文化施策については、竹内英明委員が「芸術文化の多面的な価値の可視化」等を質すとともに、私からは「里山の文化的景観保護について」の質問をさせて頂きました。

「芸術文化は人間にとっての生命維持装置だ」とは、芸術文化までもが新型コロナウイルスに蝕まれるなかにあって、アーティストへの大規模支援を打ち出した、ドイツのメルケル首相(当時)の言葉であります。本県では芸術文化が、阪神・淡路大震災において傷ついた人々の心を癒し元気づけ、また復興への原動力にもなりました。その経験をふまえ、2004年に「芸術文化振興ビジョン」が策定され、その後もビジョンの検証を重ね、昨年度においては「第3期ビジョン」が策定されたものと認識するところです。芸術文化がライフラインの一つであるとの認識は、県民に徐々に広がりつつあるように感じます。

神戸大学大学院国際文化学研究科藤野一夫研究室の調査によると、兵庫県内における、昨年2月から12月の文化芸術関係者、個人・団体の損失は、少なくとも590億円が見込まれることが明らかになりました。コロナ禍を生き抜き、そしてコロナ禍が去ったとして、私たちが人間らしく生きていくために、また平和でゆたかな未来を拓くために、芸術文化の支えは必要不可欠であります。感染症拡大防止のために活動の制約はやむを得ない面があるものの、芸術文化の光を消してはなりません。

芸術文化関係者の生存と活動を支え、あまねく県民が芸術文化に親しみ自ら活動する機会を確保して頂きたいと考えます。芸術文化立県ひょうごに相応しい芸術文化施策の今後一層の展開を期待するものですが、知事のご所見をお伺いします。

5.医療・公衆衛生の基盤である保健所の体制強化について(福祉)

新型コロナウイルス感染症への対応については、石井健一郎委員が防災部局にその体制の拡充を質す等、我が会派から幾つもの質問や提案をさせて頂きました。予想されていなかった感染症のパンデミックは、防災、医療、保健のみならず、県政の様々な分野に緊急的な措置を迫り、限られた人員と資源を駆使しながら、種々の工夫と努力で対応されていることを理解し、職員のご奮闘に心から敬意を表するものです。

我々は、保健所業務の円滑化にも繫がる、コロナウイルス感染症入院医療費一部自己負担の廃止を求めましたが、当局においてはその必要性を認め、全国知事会を通じて要望するほか、改善に向けて鋭意努力するとのことであり、大いに期待を致します。積極的疫学調査の一時的な弾力的重点化の判断は、保健所の現状に鑑みて妥当であると考えるものの、その際における無症状濃厚接触者だと自ら判断した県民のPCR検査は促進するべきです。第6波に備えて当該費用への助成検討を、改めて強く求めます。

さて、昨年6月、兵庫県医師会は「現在、地域医療構想により合理化された医療提供体制が全国的に構築されつつある。さらに、保健所の統廃合や人員整理等で公衆衛生業務が集約された。この体制は不測の新興感染症に対して、柔軟な対応が困難であることが今認識されつつある」との見解を明らかにされました。本県においても、県立保健所はかつて26ありましたが、現在は12まで削減されています。1994年に従来の保健所法が廃止され、保健所の数や人員を縮小し、その機能を弱体化してきたものと認識するところです。

差し迫るであろう第6波に備え、必要な対策を機能的に実施するとともに、長期的な視座で、県民の命と健康を守る体制を構築して行く必要があるのではないでしょうか。知事は先の本会議において、「100年前のスペイン風邪では、公衆衛生に関する基盤整備の重要性が認識され、貧困問題改善のための雇用環境整備や生活協同組合設立への気運が高まった」と述べられました。コロナパンデミックを経験し、私は医療や福祉、保健衛生の分野にまで過度の市場原理を持ち込んだことを省みて、住民の命と健康を支える土台をしっかり整備することこそ、政治行政の使命だと改めて痛感しています。

そこで、本県の医療・公衆衛生の基盤である保健所の今後の体制について、どのように考えているのか、基本的なお考えをお伺いします。

6.人権尊重理念が貫かれる組織のあり方について(企画県民)

本決算委員会において「LGBTQ等セクシャルマイノリティの相談窓口設置について」質問をしたところ、大変前向きな答弁を頂きました。タイムスケジュールは示されなかったものの、相談窓口設置に向けた取組が力強く進展するものと大いに期待をします。

さて、私はこれまで、人権の尊重は行政運営の土台であり、県の人権行政は、単に人権啓発事業を展開することのみにとどまらず、全ての施策展開において、人権尊重の理念が貫かれるよう促す役割を担うべきだと訴え、そのための組織体制の改革を提案してきました。

人権課題は、同和問題、障がい者、女性、子ども、高齢者、外国人、アイヌ、ヘイトスピーチ、拉致問題等々、多岐にわたります。加えて、インターネット上の人権侵害やコロナウイルス感染症にまつわる差別など、事態の複雑化・深刻化は増しているのではないでしょうか。

県のあらゆる施策遂行の過程においては、法令や財政面についての精査がなされると考えますが、人権尊重の理念についても、あらゆる施策展開において貫かれるべきであります。そのため、県庁組織の改革や充実を求めるものです。例えば人権担当を企画・総務部局に配置する等であります。

本年3月の予算委員会における同趣旨の質問に井戸前知事は、人権の理念と「福祉の理念と共通するところが強いので福祉部局に置いている」が「ご指摘いただいたように、企画部局に置いたほうがいいのかどうか」、「今後十分検討させていただければと思っている」と答弁されました。

改めて、人権尊重理念が貫かれる組織となるよう、県庁組織の改革・充実を求めますが、当局のご所見をお伺いします。

7.教員確保に向けた取組について(教委)

本決算委員会では、コロナ禍における「教職員のサポート体制」等について質問いたしましたが、「教員不足」や教員の「多忙化」「長時間労働」は、教育現場における長年の課題であり、その解決に向けた取組の必要性は、コロナ禍にあって益々高まっていると考えます。その問題意識を当局と共有していることは、委員会での議論を通じて確認したところです。

先日も現場から、「年度当初から必要な教員数に対して欠員があり、年度途中での産休、育休、病休等の代替教員の確保は、一層難しい」との声を聞きました。また、免許を持たない教科の授業を受け持つ「免許外教科担任制度」については、「当該教員の負担や子どもと保護者の心情からすると、何とか解消したいのだが、特に実技系教科の教員が不足しており困っている」との声も、聞き及ぶところです。

県教育委員会は先日、新年度の教員採用試験の結果を公表されました。報道によると、4740人が受験し1029人が合格。倍率は前年度より0.8ポイント低い4.6倍であり、過去31年間で最も低く、受験者数はピークだった2012年度の7673人から約4割減少しました。優秀で熱意や誠意に溢れる教員の確保は、子どもや保護者はもちろん、多くの県民の願いだと思います。「教員離れ」の傾向が指摘されるなか、現行の「教員採用試験」の在り方に改善するべき点はないのでしょうか。

また今後、休日の部活動地域移行や法改正に伴う定年延長(2023年~)等、教員の「働き方改革」に関わる大きな動きがあるなかで、如何に教員を確保し、より子どもたちひとり一人の学びや育ちを的確に支える学校を構築していけるのかどうか、教育委員会の手腕が問われるのではないでしょうか。

教員確保に向けた取組について、現場の実態に即した対応を切に願うところでありますが、当局のご所見をお伺いします。

8.動物愛護担当部局と県警察との連携強化について(健康福祉)

警察と他の行政機関との連携を深め、実態に即したより柔軟かつ効果的なものとすることによって、例えば、児童虐待、ドメスティックバイオレンス、依存症対策、廃棄物の適正処理等において、一層の県民サービス向上を果たすとともに、県民の安心安全を確保して頂きたいと考えます。

その中でも、特に、公安委員会部局審査において、犬猫等の拾得状況と課題について質しました。

警察署に届けられた財布等、金品の拾得物は、遺失物法に基づいて適切な処理がなされます。犬猫や小鳥等、生き物の拾得物については、遺失物法に加えて動物愛護管理法等の法令の遵守も求められるのです。現在、警察と県動物愛護センターや市町等との連携によって対応がなされておりますが、拾得物の警察への届出については、365日24時間の対応が求められるものの、他の行政機関の執務時間とは異なるために課題が生じています。加えて、犬猫等の拾得物について、民間団体が預かって怪我の治療を施したり、里親探しに取組まれている事例を紹介しましたが、その取組は所轄警察署からの保管委託に基づくものであり、動物愛護の観点から素晴らしい内容であるものの、全く無償であり安定的に継続していくには課題があると認識するものです。警察と動物愛護担当部局とにおける、より丁寧な連携が求められるのではないでしょうか。

そこで、行政機関、特に動物愛護担当部局と県警察との連携強化によってより効果的な取組になるものと考えますが、県警察との連携強化に対する当局のご所見を伺います。

北上 あきひと
川西市及び川辺郡


<竹内 英明 議員>
●財政状況
財政調整基金100億円の知事公約について
1 財政フレームで捕捉されていない1549億円の簿外債務について
(1)貸付金債権320億円のみ計上し、債務を計上していない企業庁との貸借関係について
 ①年度をまたぐ基金の貸付けを実質公債費比率の算定から除外する「地方債に関する省令」規定について
 ②債権債務の相殺による320億円の貸付債権の消去について
(2)土地開発公社・住宅供給公社の預託金155億円を県債によらず借入し、債務を計上していないことについて
 ①解消すべき土地開発公社の預託金100億円について
 ②「公有地の拡大の推進に関する法律」「地方住宅供給公社法」の規定、両公社の定款、預託の経緯について
 ③預託金を将来負担比率の算定に含めていない理由について
 ④地方債によらない借金を続けること、公益財団法人兵庫県体育協会による県への貸付け1億円について
(3)企業庁の一般会計に対する「長期未収金」105億円について
 ①決算審査意見書に個別明記して注意喚起することの必要性について
 ②県債管理基金には現金が2313億円(2020年度決算)もあるのに企業庁に支払いを行わない理由について
2 行財政運営方針最終年度に実質公債費比率が「17.9%」になると試算している理由について
3 齋藤新知事に期待すること
(1)指摘してきた方法を用いたこれまでの財政運営に対する新知事の受けとめについて
(2)財政課題を「オープン」にした上での知事公約の見直しについて

全文

令和2年度決算特別委員会 【財政状況について】

質問日:令和3年10月6日(水)

質問者:竹内 英明 委員

財政調整基金100億円の知事公約について

1.財政フレームで捕捉されていない1,549億円の簿外債務について

(1)貸付金債権320億円のみ計上し、債務を計上していない企業庁との貸借関係について

① 年度をまたぐ基金の貸付けを実質公債費比率の算定から除外する「地方債に関する省令」規定について(財 政)

9月21日に開催された第1回行財政運営調査特別委員会で示された行財政運営方針の見直しの「課題と検討方向について」では、公営事業の運営の企業庁の中で「一般会計と企業会計との賃借関係の整理を検討」が示された。そのなかで企業庁・地域整備事業会計からの一般会計長期貸付金は220億円、同企業資産運用事業会計・一般会計長期貸付金100億円、合計320億円となっている。県債管理基金の中の320億円の企業庁の地域整備事業会計に対する貸付金で、この320億円を実質公債費比率の算定に含めていることに対して、2009年度の決算特別委員会で私が問題だと指摘した。この貸付金を実質公債費比率の基金残高に含めるのは、まず総務省の「地方債に関する省令」に違反している。

○地方債に関する省令(総務省令)

第三条第2項 当該年度の前年度の減債基金残高のうち年度を超えて一
般会計又は特別会計に貸し付けられたものの額がある場合における前項の規定の適用については、当該額を当該年度の前年度の減債基金残高から控除するものとする。

減債基金である県債管理基金の320億円を年度を超えて、つまり複数年にわたって地域整備事業会計に貸付けている。だから実質公債費比率の算定から除外すべきと私が指摘した。実質公債費比率がはじまった2006年度にこの総務省令は定められたので、2006年から2020年まで15年間、兵庫県ではずっと省令違反状態を続けている。資金がなくて苦肉の策だったかもしれない。しかし、あのときほど財政は悪くない。

知事は宮城県、大阪府の財政課長を都合5年もされてきた。こうした省令を知っておられるかもしれない。このままで本当にいいのか当局の所見を伺う。

② 債権債務の相殺による320億円の貸付債権の消去について(財 政)

こうした法令抵触は早期解消が必要である。県債管理基金から320億円を企業庁の地域整備事業会計に貸付けている一方、地域整備事業会計が220億円、企業資産運用事業会計が100億円をはじめ406億円を一般会計に貸付けている。県と企業庁の貸し借りを清算すれば、320億円は、基金残高から減じることができる。すぐにでも相殺すべきだが当局の所見を伺う。

(2) 土地開発公社・住宅供給公社の預託金155億円を県債によらず借入し、債務を計上していないことについて

県外郭団体の基金を含む特定目的基金から県債管理基金に集約した基金883億円については、外郭団体による資金集約も含めいずれ県のものとなるという議論がある。万が一、返さなくていいというなら、債務はないということも理解する。先方がどういうか知らないが。しかし、土地開発公社の100億円・住宅供給公社の55億円、計155億円の預託金は、実質公債費比率の算定に使うことは、認められないと考える。

① 解消すべき土地開発公社の預託金100億円について(財 政)

土地開発公社の預託金100億円の財源は、一般会計からの依頼に基づき、尼崎臨海部の21世紀の森用地を先行取得し、一般会計に売却した代金108億円の一部である。先行取得の際の財源は公社債をあて、県からの支払いをもって償還する予定であった。ところが、その金額を県に預託するようになった。行政用語、地方自治法にも地方財政法にも一切出てこない用語である。

兵庫県土地開発公社の財務諸表を調べると、預託が始まった2009年度には公社債、現在は金融機関からの借入で、284億円の残高がある。問い合わせると、預託金の100億円に加えて、企業庁の地域整備事業会計に対して尼崎臨海部の用地を売却した代金として分割払いで81億円を受け取る予定であったが、企業庁が支払いを停止したこともあり、181億円の借入れは残ったままという。

外部借入れをしてまで県債管理基金に預託する必要はないと考えるが、当局の所見を伺う。

②「公有地の拡大の推進に関する法律」「地方住宅供給公社法」の規定、両公
社の定款・預託の経緯について(財 政)

公有地の拡大の推進に関する法律(財務)第十八条は次のように規定している。

7 土地開発公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

一 国債、地方債その他主務大臣の指定する有価証券の取得

二 銀行その他主務大臣の指定する金融機関への預金

8 前各項に定めるもののほか、土地開発公社の財務及び会計に関し必要な事項は、主務省令で定める。

兵庫県土地開発公社定款(余裕金の運用)では次のように規定している。

第24条 この土地開発公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

(1)国債、地方債その他主務大臣の指定する有価証券の取得

(2)銀行その他主務大臣の指定する金融機関への預金

地方住宅供給公社法(余裕金の運用)では 次のように規定されている。

第三十四条 地方公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

一 国債、地方債その他国土交通大臣の指定する有価証券の取得

二 銀行その他国土交通大臣の指定する金融機関への預金

三 その他国土交通省令で定める方法

兵庫県住宅供給公社定款(余裕金の運用)では、次のように規定されている。

第29条 この地方公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

(1) 国債、地方債その他国土交通大臣の指定する有価証券の取得

(2) 銀行その他国土交通大臣の指定する金融機関への預金

(3) その他国土交通省令で定める方法

両公社の資金運用は、こうした規定に反している。両公社において最も重要な根拠法の条文や法令にない「預託」といった行為での資金運用を行っている。コンプライアンス上のリスクが大きすぎる。県が県債管理基金の残高を多く見せるためだけ、それ以外のメリットはないので、県から求めたのだろうと推測するが、こうした「預託金」運用について、両公社から異論や懸念はなかったのか、どういった法令解釈でもって、両公社から預託させたのか。その法的根拠や経緯について当局の所見を伺う。

③ 預託金を将来負担比率の算定には含めていない理由について(財 政)

これら155億円は県債管理基金の残高には加えられ、基金積立て不足を埋める財源として活用された一方、同じ地方財政健全化法の財政指標である「将来負担比率」の充当可能基金としては使われていない。この資金がいずれ公社に返済され、県債の償還財源には充当できないことを充分理解しているから将来負担比率では使っていないのだと理解する。明らかに二重基準だが、どのように考えているのか当局の所見を伺う。

④ 地方債によらない借金を続けること、公益財団法人 兵庫県体育協会による県への貸付け1億円について(財 政)

県議会文教常任委員会の外郭団体の参考人質疑の際に、同財団の基本財産としての運用のうち、投資有価証券として、兵庫県との1億円の金銭消費貸借金契約が計上されていたのが判明した。金銭消費貸借金契約とは、民法上の借金契約そのものである。以前質問したときは「県の財政が厳しいが、県債発行のタイミングとずれていたことから、県債の発行時期ではないけれども、縁故地方債という扱いにしろと財団にいったという記録が残っている」趣旨の報告があった。この方法をとると地方債残高には入らない。つまり総務省の地方債データや実質公債費比率などの財政指標にも反映されない。この件は地方財政法に違反しないのか。今後どう扱うのか当局の所見を伺う。

(3) 企業庁の一般会計に対する「長期未収金」105億円について

①決算審査意見書に個別明記して注意喚起することの必要性について(監 査)

過去に県が企業庁      から購入した淡路(臨海)佐野地区の代金207億円(2003年最大)の半額約105億円が長期未払金になっている。県立淡路佐野運動公園はとっくに供用開始しているのに代金が未払いのままということだ。10年間で企業庁に支払う予定だったという。

これは企業庁の決算書やその附属書類にもその個別の内容は明記されていない。監査委員の発行する決算審査意見書にもない。以前には審査意見書に個別の項目と金額が記載されていたが、こんな大きな金額の長期未収金がいつの間にか記載されなくなっている。

そこで監査委員事務局にお伺いする。2006年度の審査意見書には「長期未収金」として「淡路地域の佐野地区等に係る126億円~」という説明があり事実を把握したが、現在その個別の記載はなくなった。こうした長期未収金という要注意債権は、監査委員は把握されていると思う。

105億円の未収金である。議会や県民にも広く知らしめること、つまり監査として指摘することは重要な役割である。多額の長期未収金は、個別金額を明記して注意喚起をしておく必要があると思う。経緯も含めて今後の指摘事項として加える必要があると思うが、当局の所見をお伺いする。

②県債管理基金には現金が2,313億円(2020年度決算)もあるのに企業庁に
支払いを行わない理由について(財 政)

県債管理基金には現金が2,313億円(2020年度決算)もあるのになぜ企業庁に支払いを行わないのか。これによって先に指摘した、企業庁が土地開発公社に対して未払いとなっている81億円も企業庁から返済可能となるのではないか、当局の所見を伺う。

2.行財政運営方針の最終年度に実質公債費比率が「17.9%」となる理由について(財 政)

目標の全ての終着地が「実質公債費比率18%」未満という考え、そのためにはグレーゾーンでも法令の解釈を曲げてでもなりふりかまわず数字をつくる。何より実態と全く違う財政状況を県民に知らせてしまっている。

県債管理基金の額、すなわち借金をどれだけ減らしたかという極めて重要な基金の額や他の都道府県とも比較できる財政指標が変わってしまう。債務を計上しないことで基金額は1,549億円も見せかけ貯金となっている。まず、何よりも「実質公債費比率18%未満」という目標ありきの姿勢は改めるべきだと思うが、当局の所見をお伺いする。

3.齋藤新知事に期待すること

(1) 指摘してきた方法を用いたこれまでの財政運営に対する新知事の受けとめについ(財 政)

指摘してきた方法を用いたこれまでの財政運営等を新知事に説明したか、知事の受け止めはどうであったか、当局の所見を伺う。

(2) 財政課題を「オープン」にした上での知事公約の見直しについて(財 政)

今日も様々なことを指摘した。他会計や外郭団体とのやりとりは私の知る限り全体を指摘したつもりである。「地方債すなわち県債を発行せず、企業庁や外郭団体からの借入によって、一般会計・県債管理基金をよく見せていたこと」、県債管理基金にはお金があるのに支払わずに未払いとすれば、結果として基金にお金が残り、実質公債費比率が良くなるとしいった話などである。

1549億円、県債管理基金から控除すべき金額があるということ、これは現在の「行財政運営方針」の財政フレームには含まれていない。

知事は、選挙の際に33億円の財政基金を100億円にするという公約を掲げられている。これだけだと67億円を生み出せばいいが、財政フレームには330億円の要調整額という課題があり、足すと400億円である。それに加えて、1500億円の課題があるということである。67+330+1549でざっと1946億円、2000億円近い金額である。

それはこうした財政の課題を知らない中での話であると考えざるをえない。まず、こうした課題を当局側からもオープンにして、知事公約の見直しも含めて県民に改めて示す必要があると考えている。新知事本人には、私が本会議の場で聞いていくとして、企画県民部としてどう考えるか、県政推進室長も兼ねておられる部長にお伺いしたい。


●企画県民部②
1 女性活躍推進の考え方、女性副知事の実現につながる取り組みについて
2 「県立兵庫津ミュージアム」の整備について
(1)建設費用とふるさと納税による支援「初代県庁復元等応援プロジェクト」について
(2)年間利用者見込みと学校教育機関との連携について
3 芸術文化センターをはじめとする芸術文化施設のあり方について
(1)利用料金設定等の基本方針、イニシャルコスト・ランニングコストの利用料への反映について
(2)歴史・芸術文化の価値の可視化について

全文

令和2年度決算特別委員会 【企画県民②】

質問日:令和3年10月7日(木)

質問者:竹内 英明 委員

1.女性活躍推進の考え方、女性副知事の実現につながる取り組みについて

齋藤知事は、公約の一つに女性副知事の登用を掲げられている。今回、本会議の一般質問に対し、荒木副知事、片山副知事登用の判断に至った考え方として、以下の大きく4つの要素

①県の風土や県民、職員、議会の状況を熟知していること、

②知事の旧知のメンバーのため安心、また安定感もあること、

③県庁全体がワンチームとして新しい時代に挑戦していくための県職員へのつなぎ役が期待できること、

④市町や民間企業等と「県民ボトムアップ型県政」を進めるためのキーパーソンの役割が期待できることを挙げられていた。

旧知のメンバーに女性がいなかったということは、そもそも公約としていかがかという話だが、副知事への登用に至る要素を満たす女性職員が育成できていないという事実については、寂しいと感じた。私が女性なら腹が立ったと思う。

このような状況を県当局も課題として認識しているのか、管理職の意識改革や研修等の対応等を実施されている。その中でも私が注目するのは2015年度策定の「男女共同参画 兵庫県率先行動計画(ひょうごアクション8)」以降「女性の職域拡大等キャリア形成支援」として「県政の意思決定に関する部門や、これまで女性が就いていなかった職務・役職に女性を積極的に配置する」旨の記載が見られるようになったことだ。このことは数値目標ありきではなく、女性職員の真の質の向上につながる考え方であると評価している。

今回の副知事選任にあたって、知事が判断材料とした県政への深い理解や強力なリーダーシップといった要素に、本県の女性職員が達するにはまだまだ取り組みが不十分という話は極めて残念な話ではあるが、知事は「女性の副知事を含めて女性を幹部へ積極的に登用していきたいという思いは変わらない」と答弁されている。女性副知事実現につながる女性職員の能力発揮と機会拡大の取り組みについて伺う。

2.「県立兵庫津ミュージアム」の整備について 【兵庫津ミュージアム整備室】

(1)建設費用とふるさと納税による支援「初代県庁復元等応援プロジェクト」について

兵庫県では、2019年3月に策定した基本計画に基づき、“兵庫”の歴史と魅力の発信施設「県立兵庫津ミュージアム」の整備に取り組んでいる。県立兵庫津ミュージアムは、最初の県庁舎を復元した「初代県庁館」、博物館施設である「ひょうごはじまり館」の2館からなるミュージアム。初代県庁館は11月3日に開業する。初代県庁館は初代県庁舎として使われた大坂町奉行所兵庫勤番所を、残された絵図等に基づいて復元した施設。当時の歴史空間を体感できるだけでなく、MR体験「バーチャルVisit!」やARによる歴史上の人物との記念撮影など、最先端体験技術も楽しめるとHPにある。一方、ひょうごはじまり館は2022年度下期に開館予定である。

土地取得を含めた総建設費と、県民からのふるさと納税による支援「初代県庁復元等応援プロジェクト」への寄附はどれだけあったのか伺う。

(2)年間利用者見込みと学校教育機関との連携について

県政150周年というお祝いムードはなくなった。施設そのものの魅力で県民を惹きつけるか、学習の場として子どもたちに活用してもらうか。私は後者を基本に考えないと、施設の特性上、たくさんの大人が何度も通うという施設ではないような感じがする。現在、年間の利用者数をどれほど見込んでいるのか。また学校の研修などバスを使った集客対象としなければならないが、昨今バス予算がなくて遠足にもいけないなどといった話をよく聞く。学校教育機関との連携についてどのように考えているのか。

3.芸術文化センターをはじめとする芸術文化施設のあり方について【芸術文化課】

 (1)利用料金設定等の基本方針、イニシャルコスト・ランニングコストの利用料への反映について

芸術文化施設の運営の状況をみると、自主事業のほか、貸し館事業などがある。芸術文化センターの利用率が最も高くコロナ禍での令和2年度でも1985件80.9%、兵庫県民会館が4159件53%、県民アートギャラリー222件21.2%などである。

以前、大阪府で文楽の話が出て、ほとんどみたことがないといって補助金を削減する、受益者負担が原則だといった首長がいた。そこで、イニシャルコスト・ランニングコストの利用料への反映について、あるいは、利用料の設定にあたって運営費への充当等基本原則のようなものがあれば運営費全体の収入内訳も併せて教えてほしい。

(2)歴史・芸術文化の価値の可視化について

芸術文化センターの運営費は単年度の基金収入がまずあって、事業の収益計算、ランニングコストの計算があってという感じで、施設の建設費やその起債負担などの財源負担などは、担当部局には発想がないようだ。質問にあたって他の部局の担当にも聞いてみたが、やはりそういう考えはないと。これは民間施設とは違う考え方で勉強になる。

私自身は、受益者負担の考えだけで芸術は推し量れないと考えているが、そうした歴史や芸術文化などの価値といったものを可視化していかないと、受益者とそうでない方の分断、税金で埋め合わせているから無駄という主張が勝って分断を招いてしまうそれは不幸だ。こうした芸術文化の持つ価値を共有するため可視化が必要であるが、その点についてどのように考えているか。


●県土整備部
1 県営但馬空港に就航している航空機ATR機材更新事業費約20億円について
(1)減債基金(県債管理基金)が但馬空港ターミナル(株)社債を引き受け機材更新事業費の財源を捻出したことについて
(2)但馬空港ターミナル(株)の社債発行費と支払社債利息の合計額が県から毎年度補助金として支払われているが、貸付側が借り手の利息等まで負担する意味は何か
2 県道石倉玉田線の歩行者安全対策について
3 都市計画道路荒川線の拡幅、棚田踏切の渋滞解消について
4 県道大柳仁豊野線の早期拡幅について
5 国道312号の渋滞解消について

全文

令和2年度決算特別委員会 【企画県民②】

質問日:令和3年10月7日(木)

質問者:竹内 英明 委員

1.女性活躍推進の考え方、女性副知事の実現につながる取り組みについて

齋藤知事は、公約の一つに女性副知事の登用を掲げられている。今回、本会議の一般質問に対し、荒木副知事、片山副知事登用の判断に至った考え方として、以下の大きく4つの要素

①県の風土や県民、職員、議会の状況を熟知していること、

②知事の旧知のメンバーのため安心、また安定感もあること、

③県庁全体がワンチームとして新しい時代に挑戦していくための県職員へのつなぎ役が期待できること、

④市町や民間企業等と「県民ボトムアップ型県政」を進めるためのキーパーソンの役割が期待できることを挙げられていた。

旧知のメンバーに女性がいなかったということは、そもそも公約としていかがかという話だが、副知事への登用に至る要素を満たす女性職員が育成できていないという事実については、寂しいと感じた。私が女性なら腹が立ったと思う。

このような状況を県当局も課題として認識しているのか、管理職の意識改革や研修等の対応等を実施されている。その中でも私が注目するのは2015年度策定の「男女共同参画 兵庫県率先行動計画(ひょうごアクション8)」以降「女性の職域拡大等キャリア形成支援」として「県政の意思決定に関する部門や、これまで女性が就いていなかった職務・役職に女性を積極的に配置する」旨の記載が見られるようになったことだ。このことは数値目標ありきではなく、女性職員の真の質の向上につながる考え方であると評価している。

今回の副知事選任にあたって、知事が判断材料とした県政への深い理解や強力なリーダーシップといった要素に、本県の女性職員が達するにはまだまだ取り組みが不十分という話は極めて残念な話ではあるが、知事は「女性の副知事を含めて女性を幹部へ積極的に登用していきたいという思いは変わらない」と答弁されている。女性副知事実現につながる女性職員の能力発揮と機会拡大の取り組みについて伺う。

2.「県立兵庫津ミュージアム」の整備について 【兵庫津ミュージアム整備室】

(1)建設費用とふるさと納税による支援「初代県庁復元等応援プロジェクト」について

兵庫県では、2019年3月に策定した基本計画に基づき、“兵庫”の歴史と魅力の発信施設「県立兵庫津ミュージアム」の整備に取り組んでいる。県立兵庫津ミュージアムは、最初の県庁舎を復元した「初代県庁館」、博物館施設である「ひょうごはじまり館」の2館からなるミュージアム。初代県庁館は11月3日に開業する。初代県庁館は初代県庁舎として使われた大坂町奉行所兵庫勤番所を、残された絵図等に基づいて復元した施設。当時の歴史空間を体感できるだけでなく、MR体験「バーチャルVisit!」やARによる歴史上の人物との記念撮影など、最先端体験技術も楽しめるとHPにある。一方、ひょうごはじまり館は2022年度下期に開館予定である。

土地取得を含めた総建設費と、県民からのふるさと納税による支援「初代県庁復元等応援プロジェクト」への寄附はどれだけあったのか伺う。

(2)年間利用者見込みと学校教育機関との連携について

県政150周年というお祝いムードはなくなった。施設そのものの魅力で県民を惹きつけるか、学習の場として子どもたちに活用してもらうか。私は後者を基本に考えないと、施設の特性上、たくさんの大人が何度も通うという施設ではないような感じがする。現在、年間の利用者数をどれほど見込んでいるのか。また学校の研修などバスを使った集客対象としなければならないが、昨今バス予算がなくて遠足にもいけないなどといった話をよく聞く。学校教育機関との連携についてどのように考えているのか。

3.芸術文化センターをはじめとする芸術文化施設のあり方について【芸術文化課】

 (1)利用料金設定等の基本方針、イニシャルコスト・ランニングコストの利用料への反映について

芸術文化施設の運営の状況をみると、自主事業のほか、貸し館事業などがある。芸術文化センターの利用率が最も高くコロナ禍での令和2年度でも1985件80.9%、兵庫県民会館が4159件53%、県民アートギャラリー222件21.2%などである。

以前、大阪府で文楽の話が出て、ほとんどみたことがないといって補助金を削減する、受益者負担が原則だといった首長がいた。そこで、イニシャルコスト・ランニングコストの利用料への反映について、あるいは、利用料の設定にあたって運営費への充当等基本原則のようなものがあれば運営費全体の収入内訳も併せて教えてほしい。

(2)歴史・芸術文化の価値の可視化について

芸術文化センターの運営費は単年度の基金収入がまずあって、事業の収益計算、ランニングコストの計算があってという感じで、施設の建設費やその起債負担などの財源負担などは、担当部局には発想がないようだ。質問にあたって他の部局の担当にも聞いてみたが、やはりそういう考えはないと。これは民間施設とは違う考え方で勉強になる。

私自身は、受益者負担の考えだけで芸術は推し量れないと考えているが、そうした歴史や芸術文化などの価値といったものを可視化していかないと、受益者とそうでない方の分断、税金で埋め合わせているから無駄という主張が勝って分断を招いてしまうそれは不幸だ。こうした芸術文化の持つ価値を共有するため可視化が必要であるが、その点についてどのように考えているか。


●企業庁
1 企業庁・地域整備事業会計の土地を時価評価していないことについて
(1)売却前の土地資産である「未成事業資産783億円」の65%にもあたる506億円の進度調整地について低価法を適用せず、原価法を適用して簿価で計上しているのに、そのことを注記しないことについて
(2)基準見直し決定から10年、なぜまだ時価評価による低価法の適用逃れを続けているのか
(3)地方財政健全化法に基づく土地の時価評価とそれをもとに算定した2020年度の貸借対照表について
(4)企業庁(地域整備事業会計)が東京証券取引所に上場していると仮定すれば、株価はストップ安、価格は4分の1、監理銘柄指定となってもおかしくないこと
(5)時価評価回避による資本の過大算定についての齋藤知事の受け止め

全文

令和4年度決算特別委員会 【企業庁】

質問日:令和5年10月16日(月)

質問者:竹内 英明 委員(ひょうご県民連合)

1 企業庁経営評価委員会への県議会議事録の提供について

齋藤知事は9/20の本会議で、企業庁の地域整備事業会計について、「当期損益の黒字を確保しているものの、今後本格化する企業債償還を踏まえると、資金不足に陥る可能性があります。企業庁経営評価委員会において、将来の収支見通しや想定される課題等を明らかにしたうえで、事業のあり方を早急に検討します。震災復興に伴う行革を進める中で躊躇があったのかも知れませんが、こうした課題については、当初の経営見通しが現実的に厳しくなっていることを、より早いタイミングで県民や議会に明示すべきだったと考えます。これらの課題を将来に積み残すことなく、残り任期2年間で方向性を定め、抜本的な改革を進めてまいります。」と発言している。その第一回企業庁経営評価委員会が先週11日に開催されたそうだ。

私からすれば「当初の経営見通しが現実的に厳しくなっていることを、より早いタイミングで県民や議会に明示すべきだった」って、今ごろ何を言っているんだである。逆に議会から、地域整備事業が厳しい、法令を遵守した資産評価すらできない状況になっている、と指摘してきた。知事が当選以降も発言してきた。

地域整備事業が保有資産を法令を遵守して適正に評価しておれば、知事が今さら発言する必要もなかった。

私は、すでに地域整備事業の課題やあり方についての議論は終えており、個別プロジェクトの扱いを決めて、販売の目処がたたない土地は県有環境林とするほかないと思っている。改めて第三者委員会を設置する必要はなかったと思っているが、敢えて設置されたのなら、まず過去に県議会で議論された議事録を委員に提供してほしいと思う。議会での議論を知ってもらうことは大いに意味があると思うがどうか。

2 地域整備事業の保有するたな卸資産、進度調整地の時価評価について

(1) 「地方公営企業法施行規則第8条第3項」が施行されたときに「たな卸資産」を時価評価しなかったことが、「早いタイミングを逸した理由」

今年度の決算特別委員会では、財政状況の審査における「県債管理基金」、農林水産部の審査における旧みどり公社の「森林」について質問してきた。いずれも帳簿上の価格と実際の価値が大きく乖離していることに問題があると指摘してきた。

「ないものをあるように見せる」。

これが、地方財政健全化法が施行され、各種財政指標が導入されてからの兵庫県の財政の根底にある基本方針だった。今日取り上げる地域整備事業会計の資産についてもこの方針通りの取り扱いをしてきた。

資料1を見てください。総務省令にしっかり記載されている。たな卸資産は時価評価せよと。もう何度も指摘してきた。こうした状態のまま貸借対照表が作られるとどうなるのか、資料2に示した。

企業庁が作成した貸借対照表では、資本金288億円をはじめ、利益剰余金、有価証券評価差額を入れて資本の額は「412億円」あることになっている。当然、債務超過ではない。これだけ資本があれば経営に問題がないと思われていい。

一方、資産の部を見てもらうと、未成事業資産というたな卸資産、これは土地のことであるが、簿価で750億円となっている。

資料に詳しく記載しているが、この土地は販売土地と進度調整地に分かれている。販売土地は242億円でこれは低価法で時価評価されたものだが、進度調整地という未造成地は508億円もあるが、費用を積み上げただけの原価である。ここは、知事も「抜本的な改革」をいっているのだから企業庁もたな卸資産である土地の時価評価を法令通り実施すべきだと思うがどうか。

[資料1]地方公営企業会計制度の見直しについて(2013年12月 総務省自治財政局公営企業課 通知)

[資料2]企業庁 貸借対照表・竹内作成 貸借対照表

(2) 地方財政健全化法による資産評価では地域整備事業会計は13億円の債務超過に転落している

たな卸資産、すなわち土地全体の実勢価値がわからなければ正しい貸借対照表にならない。そこで地方財政健全化法で将来負担比率の作成において定められ、総務省にも報告している「未売出土地の収入見込額」を現在の土地価格に置き換えて私が作成した貸借対照表を資料2に記載している。

企業庁の貸借対照表では資本は412億円であるが、土地の評価額が低価法によると425億円減少するため、13億円の債務超過となることが見込まれるということだ。この未売出土地のデータや根拠も確認したが、私の指摘によってセグメントごとに低価法を適用するという厳しい評価を導入しており、阪神では含み益もあるなどこれは適正な評価となっている。

こうした実勢に近い財務諸表を自ら公表するのが、知事が求める「財政の見える化」だと思わないのか。まだ「ないものをあるようにみせる」ことに加担するのか。

(3) 最初に違反状態を指摘されたのは2014年だが公営企業管理者のコンプライアンス感覚について

公営企業管理者は、実態を全く表していない財務諸表を、県民をはじめ取引先、金融機関などステークホルダーに示し続け、知事のああいった発言を受けても、法令に基づく時価評価をしないのか。私はこの制度が導入される時、2014年2月の本会議で初めて質問。つまり9年も指摘しているので、企業庁のコンプライアンス感覚はどうなっているのかとすら思っている。管理者は特別職で、ご自身で指示できる大変重い立場だがどうか。

(4)監査委員の果たす役割について

管理者からコンプライアンスは二の次だと言われれば、それをまず止める立場は内部の監査ということになる。地方自治法第2条第16項に「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない」とある。これまで監査委員の中には、当局が適正な法令解釈をしていると判断しているから適正だとか、監査制度を否定するような答弁をされた方もいたが、小畑監査委員(独任制のため氏記載)は「地方公営企業法施行規則第8条第3項」に違反して時価評価をしていないことについて、地方自治法第2条第16項に反していない、適法だと考えているか。

竹内 英明 議員
姫路市


<石井 健一郎 議員>
●企画県民部①
1 新型コロナウイルス感染症に対応する防災部局の体制について
2 関西広域連合における府県間の連携強化について
3 広報における県職員の意識改革について
4 フェニックス共済の加入率向上について
5 人と防災未来センターについて

全文

令和2年度決算特別委員会 【企画県民部①】

質問日:令和3年10月7日(木)

質問者:石井 健一郎 委員

1.新型コロナウイルス感染症に対応する防災部局の体制について

昨年3月1日に県内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認された際、ちょうど令和2年度の予算審議が行われていたが、その時点において新型コロナ対策にかかる予算措置については、ほとんど配慮されてはいなかったと思う。その後、県内でも新型コロナウイルスの感染が拡大し、様々な対応が講じられることになった。

令和2年度の予算編成時には想定していなかったことも数多くあり、これまで普通にできていた様々な事業も延期や中止を余儀なくされるなど、各部局で相当なご苦労をされたのではないかと思う。

特に、防災部局におかれては、これまで自然災害や大規模事故等の危機事案への対応、地震・津波対策等の推進、地域防災力の向上など様々な業務に従事されている中で、令和2年度からは新型コロナウイルス感染症への対応も加わり、どうやって通常業務を回しておられるのかというのが率直な感想である。

例えば、健康福祉部であれば、感染等の段階に応じて「感染症対策課」や「ワクチン対策課」等を新たに設置し、兼務も含めて職員の増員を行っているが、防災部局の組織体制を見ても新たに強化されたようには感じられない。実状としては、防災部局内での職員の融通や、他部局からの応援等で緊急的にしのいでいる部分が多いのではないかと思う。

そこで、新型コロナウイルス感染症対応の負担増による他の業務への影響を伺うとともに、防災部局の体制は十分なものとなっているのか、見解を伺う。

2.関西広域連合における府県間の連携強化について

平成22年12月に設立された関西広域連合は、府県域を超える関西全体の広域行政を担う責任主体として、国と地方の二重行政の解消を通じ、地方分権改革の突破口を開くため、広域行政の推進に寄与してきた。処理する広域事務として、防災、観光・文化・スポーツ振興、産業振興、医療など大きく7分野の事務を担ってきたが、個人的な感想としてはあまり一体感が感じられずにいた。

しかしながら、コロナ禍により、構成団体の対策や知見の共有、看護師の府県間の応援、患者の広域受入や4府県知事による共同メッセージの発出など、以前と比べると府県間の連携がとれてきているように感じられる。ただし、まだまだ一体感に欠ける面も多く、更なる連携強化が望まれる。

そこで、関西広域連合における府県間の連携についての現状に対する評価を伺うとともに、更なる連携強化に向けて兵庫県として今後どのようなことができるのか、見解を伺う。

3.広報における県職員の意識改革について

県では、平成30年度から広報官等を設置して以降、現在でも広報アドバイザーや広報プロデューサーなどを設置し、県広報の発信戦略の企画立案、広報刊行物等のデザイン品質向上に取り組むなど、戦略的広報の推進に取り組まれている。

しかしながら、一見進んでいるように見える県広報であるが、私個人の感想を申し上げると、兵庫五国連邦プロジェクトによる広報もそれほど話題になっているようには思えないし、知事の県政広報番組への出演についてもさほど変わっていない印象を受ける。その他、広報紙の県民だよりひょうご等についても大きな変化は感じられず、県広報全体を見るとまだまだ刷新の途中であるように思う。

特に、全庁広報力の充実強化の一環として、県職員の意識改革・スキルの向上による広報パーソンの育成に取り組まれているが、まだまだその成果は見えておらず、県職員に対して完全に意識づけをするところまで至っていないのではないかと思う。

そこで、広報における県職員の意識改革について、令和2年度の取組成果とその中で見えた課題を伺うとともに、広報パーソンの育成に向けた今後の具体的な取組について、見解を伺う。

4.フェニックス共済の加入率向上について

令和2年度予算特別委員会でも質問したが、フェニックス共済の加入率向上についてお伺いします。

フェニックス共済は、阪神・淡路大震災の教訓を活かし、住宅所有者間相互の「共助」の仕組みとして、平成17年9月1日に制度が創設されました。これまで県内の自然災害で合わせて約6億9千3百万円を支給し、被災者の住宅再建の一助を担ってきています。

しかしながら、これまで加入状況の改善に向けて取り組みを続けてきたものの、近年の住宅再建共済制度の全体加入率についてはほぼ横ばいの状況です。令和2年度予算特別委員会の際に述べましたが、今後のフェニックス共済の加入率向上には抜本的な見直しが必要であり、より効果的な取組が必要ではないかということで見解を伺いました。

その際の答弁では、「これまでの取組に加え、ターゲットを絞って集中的な普及啓発活動を実施する。県内45社のマンション管理会社と連携したマンションでの加入促進や、不動産事業者との連携による新規住宅購入者への附帯販売の強化、ハザードマップを掲載したリーフレット等による土砂災害警戒区域等の災害リスクの高い居住者への広報などを集中的に実施」と答弁されていました。

しかしながら、結果として、令和元年度末で加入戸数170,801戸、加入率9.6%だったものが、令和3年8月末にはそれぞれ169,375戸、9.6%ということで横ばいもしくは減少している状況です。

この実態をどのように認識し、今後どのようにフェニックス共済の加入率向上を図っていこうとされているのか、見解を伺います。

5.人と防災未来センターについて

令和2年度予算特別委員会でも質問しましたが、人と防災未来センターについてお伺いします。人と防災未来センターは、平成14年4月に設置されて以降、世界的な防災研究の拠点として、また災害全般に関する有効な対策の発信地として、阪神・淡路大震災の記憶の継承や防災意識の向上に貢献するなど、重要役割を果たしてきました。

開館から15年以上が経過して、展示の一部が陳腐化していることもあり、令和2年度には東館3階の改修を行い、今年6月に「BOSAIサイエンスフィールド」としてリニューアルオープンされました。

VR映像や座席の振動装置による災害の疑似体験や避難行動シミュレーションなど体験型展示を導入し、来館者が楽しみながら学べる仕組みも充実していると言えます。

しかしながら、このコロナ禍で昨年度から外出自粛が続く中、思うように来館者が増えているのか、施設が有効に活用されているのか、気になるところです。

そこで、東館を含めた人と防災未来センターの活用状況を伺うとともに、今後の更なる有効活用に向けてどのようなことをお考えか、見解を伺います。


●産業労働部
1 コロナ禍における海外事務所の取組について
2 六甲山の賑わいづくりに向けた観光施策の推進について
3 3府県広域連携等による誘客促進について
4 コロナ禍における観光施策の推進について
5 コロナ禍における商店街への対応について

全文

令和2年度決算特別委員会 【産業労働部】

質問日:令和3年10月11日(月)

質問者:石井 健一郎 委員

1.コロナ禍における海外事務所の取組について

本県では、友好・姉妹州省等との交流、経済・観光交流の支援、教育・文化交流などを促進するため、米国・ワシントン州や西オーストラリア州、パリ、ブラジル・パラナ州、香港の海外5か所に海外事務所を設置し、運営している。

しかしながら、昨年からのコロナ禍で世界各国の主要都市等でロックダウンが行われるなど、新型コロナウイルス感染拡大防止のために外出などの行動を制限する措置がなされていた地域も多いと思われる。このような状況下で、海外渡航等も制限される中、県の事業についてもブラジル・パラナ州やフランスとの友好交流事業などの海外事務所が関係する事業も立て続けに延期を余儀なくされたと伺っている。友好交流事業の他にも現地での団体や企業とのやりとりも思うようにできず、活動しにくくなっているのではないかと推測される。

また、新型コロナウイルス感染症がまだ収束しない中で、事務所職員の健康管理や日本への一時帰国の状況等、海外事務所を運営される上での課題も抱えて、大変ご苦労されているのではないかと思う。

そこで、コロナ禍における海外事務所の運営や事業の推進にあたっての課題を伺うとともに、海外事務所の役割を果たすためにどのような取組を行っていこうとされているのか、見解を伺う。

2.六甲山の賑わいづくりに向けた観光施策の推進について

令和2年度予算特別委員会でも質問したが、六甲山の賑わいづくりに向けた観光施策の推進についてお伺いする。六甲山の活性化にあたっては、県や神戸市等が連携して、これまでにおいても観光客誘客のための利便性向上や賑わい拠点の創出など様々な取組を行ってきた。

令和2年度においては、周遊・体験型コンテンツの創出をはじめ、「観光・おもてなし貸付」の整備による融資限度額の引き上げや融資利率の引き下げなどの要件拡充を行い、六甲山等でのホテル等の整備を促進するなど、様々な取組を進めておられたと伺っている。

そこで、六甲山の賑わいづくりに向けた令和2年度における観光施策の取組成果を伺うとともに、今後どのように六甲山への観光客誘客を図っていこうとされているのか、見解を伺う。

3.3府県広域連携等による誘客促進について

令和2年度予算特別委員会でも質問したが、3府県(兵庫・京都・鳥取)の広域連携等による誘客促進についてお伺いする。

その時にも申し上げたが、但馬地域をはじめ、山陰地方の活性化には県域を越えた連携が必要であると考えている。昨年度はコロナ禍で搭乗客も大きく減少したが、例年であれば年間40万人近くが利用し、羽田便が1日5往復する鳥取空港や、年間100万人近くが利用する出雲空港等の利用客に周遊を促し、但馬地域への観光客誘客を更に図っていくべきである。

令和2年度は「日本海の海岸美を巡るルートの周遊コースづくりに関係市町と取り組むほか、3府県の広域観光連携を更に促進し、日本海側の観光資源のプロモーションを首都圏PRやファムトリップ等で展開して誘客を図っていく」とされていたが、昨年からのコロナ禍により、その取組は十分にできていないのではないかと思われる。

そこで、令和2年度における3府県の広域観光連携の取組成果を伺うとともに、コロナ禍を踏まえて今後どのように展開を図っていこうとされているのか、見解を伺う。

4.コロナ禍における観光施策の推進について

昨年3月1日に県内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認された際、ちょうど令和2年度の予算審議が行われていたが、その時点において新型コロナの影響についてはほとんど配慮されてはいなかったと思う。その後、県内でも新型コロナウイルスの感染が拡大し、県内の観光需要やインバウンド客が見込めない状況になった。令和2年度の予算編成時には想定していなかったことも数多くあり、これまで普通にできていた様々な事業も延期や中止を余儀なくされるなど、観光分野における影響は非常に大きいと思われる。

まだまだインバウンドの本格的な回復が見込めない中で、昨年からの緊急事態宣言等を踏まえ、特に県内観光の需要喚起に取り組まれてきたように思う。昨年度であれば、例えば「ひょうごツーリズムバス実施事業」や「ひょうご五国のバス旅支援」など、県内の観光需要喚起を図るための様々な観光施策を推進してこられた。

しかし、一方では行政として県民に対して外出自粛を強く求めてきた経緯があり、言ってみればアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態だったわけだが、コロナ禍で感染拡大が懸念される中、観光事業を前に進めるにあたっては大変ご苦労も多かったものと考える。

そこで、県内の観光需要喚起に向けて、コロナ禍でどのような点に留意して事業を進めてきたのかを伺うとともに、今後どのような展開を図っていこうとされているのか、見解を伺う。

5.コロナ禍における商店街への対応について

県ではこれまで商店街の魅力や機能を高めるための活性化プランの策定支援や、商店街が行う地域性・独自性を持ったイベント等への支援など、魅力ある商店街づくりの支援や個性あるお店の集積づくりに力を入れてきた。

しかしながら、商店街の賑わいづくりについては、コロナ禍により大きく変わったと言える。新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金をはじめ、様々なコロナ対策の補助金を設定しているが、すべて自分で探して申し込みをしなければならない。商店街にはお年寄りの方が経営されているお店も多いが、そういった方々の中には、使える補助金が判らないとか、申し込みの仕方が判らないといった声が多数ある。せっかく事業者・商店街を支える事業メニューを作っても、実際に使われなければ意味がなく、コロナ禍で困っている事業者・商店街にしっかりと使えるメニューをお知らせするという、当然のことが当然のようにできていなかったのではないかと危惧するところである。

そこで、コロナ禍において商店街等への事業メニューの周知をどのように行っていたのか伺うとともに、困っている商店街に寄り添ったより丁寧な対応が求められると考えるが、見解を伺う。


●病院局
1 コロナ禍で県立病院が果たした役割について
2 第4次病院構造改革推進方策に対するコロナ禍の影響について
3 県立病院における人材確保・育成について
(1)医師の確保対策について
(2)看護師の確保対策について
(3)医療事務等に関する専門的人材の育成について

全文

令和2年度決算特別委員会 【病院局】

質問日:令和3年10月15日(金)

質問者:石井 健一郎 委員

1.コロナ禍で県立病院が果たした役割について

新型コロナウイルス感染症対策においては、県立病院が県下最大の病床数を有するとともに、高度専門、政策医療を提供しており、他の公立病院をはじめ、医療機関を牽引していく必要がある。そういった意味においても、コロナ禍において県立病院がどのように動いていくかということについては、他の病院に与える影響は大きいと言える。

そういった中で「新型コロナウイルス感染症拠点病院」である加古川医療センター、「新型コロナウイルス感染症重症特定病院」である尼崎総合医療センターを中心に、重症者を積極的に受け入れているほか、第二種感染症指定医療機関の指定を受けている丹波医療センター、淡路医療センターをはじめ、その他の県立病院でも一般医療の状況等を見ながら患者の受入を行うなど、コロナ対応において先駆的な役割を果たしてきたと考えている。

その一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により、受診控えや予定手術の延期など一般医療にも影響を及ぼしており、国の空床補償等の支援制度はあるものの、今後も厳しい経営状況が続くことには変わりないと思われることから、経営改善を図りながら、県民の命を守る最後の砦としての県立病院の使命を果たすべく、ご尽力いただきたいと考えている。

令和2年度は特に手探りの時期であったと思うが、コロナ禍で県立病院が果たした役割について、どのように総括しておられるのか、見解を伺う。

2.第4次病院構造改革推進方策に対するコロナ禍の影響について

県では、「県民と地域から信頼され安心できる県立病院づくり」を基本理念として、「より良質な医療の提供」「安心できる県立病院の実現」「持続可能な経営の確保」「安定した医療提供体制の確立」の4つの柱を掲げた「第4次病院構造改革推進方策」を平成31年4月に策定し、病院の構造改革に取り組んでこられた。

令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、県立病院全体における入院患者数・外来患者数が大きく減少し、入院収益・外来収益の合計は前年度と比べて約67億円の大幅な減収となった。その一方で、診療報酬の増額や空床補償等により、減少分が補填され、経常損益は結果として約7.4億円の黒字となったが、今後コロナ禍が落ち着いてきたときにしっかりと収益を確保できるのか、「持続可能な経営の確保」という点では今後心配されるところである。

また、「より良質な医療の提供」という点では、このコロナ禍で新型コロナウイルス感染症以外の医療分野の診療にもしわ寄せがあったと認識しているが、推進方策に掲げておられた診療機能の高度化や効率化等を推進するにあたっても、かなり影響を受けたのではないかと考える。

そこで、第4次病院構造改革推進方策の推進にあたり、コロナ禍の影響があったと認識している点を伺うとともに、推進方策の実現に向けて今後どのように対応していこうとされているのか、見解を伺う。

3.県立病院における人材確保・育成について

次に、第4次病院構造改革推進方策の4つの柱のうち、「安定した医療提供体制の確立」に繋がる医師・看護師の確保対策、医療事務等に関する専門的人材の育成について伺う。

(1)医師の確保対策について

まず、医師の確保対策について伺う。県立病院ではかねてから医師確保対策を推進しているところであり、県立病院の常勤医師数については、関連大学に対する医師の派遣要請や公募の実施等により、全体的には増加傾向にあるものの、地域偏在や特定診療科での医師不足が課題となっていたと認識している。

この対策として、当局では県立病院群のスケールメリットを活かした研修の充実や、医師の定着が難しい地域における医師修学資金制度の実施など、医師育成システムの構築等に取り組まれるとともに、高度先進医療機器の導入や女性が働きやすい環境整備の推進など魅力のある勤務環境を整備するなどとされていた。

コロナ禍において、こうした医師の確保対策は計画どおり進んでいるのか、お伺いする。

(2)看護師の確保対策について

次に、看護師の確保対策について伺う。県立病院では、これまでも看護師を安定的に確保するため、積極的に採用試験の充実や魅力ある職場環境づくりに取り組まれてきたと認識している。採用にあたっては、コロナ禍においても安定的な看護師の確保を図るため、採用試験の実施方法の見直しや採用広報活動の強化などに取り組んだ結果、令和3年度の上期に実施した2回の試験において、過去の実績を上回る受験数を確保できており、明日の3回目の試験においても、昨年度を上回る受験申込みがあったと聞いている。このことから、予定どおりに採用選考が進んでいるのではないかと考えている。

また、現職看護師の離職を防止するため、様々なキャリア支援や業務負担軽減策をはじめ、コロナ禍におけるメンタルケアの実施など魅力ある職場環境づくりに取り組まれてきたものと思われる。

今後、はりま姫路総合医療センターの整備や新型コロナヘの継続的な対応等により、県立病院における看護師の確保がますます必要になると思いますが、これまでの取組の成果とともに、今後どのような取組を行っていこうとされているのか、見解を伺う。

(3)医療事務等に関する専門的人材の育成について

最後に、医療事務等に関する専門的人材の育成について伺う。以前、監査委員をさせてもらっていたこともあり、病院の医療事務に関する監査もしていたが、県立病院の事務等に対する指摘・指導は毎年よく似ているというのが私の感想である。

ただ、県立病院は数も多く、規模も大きいのでやむを得ない部分があるとは感じている。また、公立病院である以上、経理にしろ、医事にしろ、専門性が求められる職員が一定の期間で異動するということが避けられない上に、日常の多くの業務を裁かなければいけないという現状も認識している。

診療機能の高度化・専門化等に対応するため、病院局では、経理に必要な簿記の研修や医事の業務でも専門性を高められるような取組をしていると伺っているが、これまでの取組状況と、それを踏まえた今後の取組方針について、当局の所見を伺う。

石井 健一郎
神戸市灘区