意見書 第85号
沖縄の戦没者遺骨収集を迅速に進めることを求める意見書
沖縄戦では一般住民を巻き込んだ悲惨な地上戦が行われ、多くの尊い命が失われた。糸満市摩文仁の平和記念公園内にある「平和の礎」には、国籍や軍民の区別なく沖縄戦などで亡くなられた24万1,632名の氏名が刻銘されているが、その内の3,202名は兵庫県出身者であり、その数は全都道府県の中で4番目に多い。これは、明治時代より神戸港が沖縄県民の受入に重要な役割を果たしてきたためで、現在も本県には沖縄県出身者が数多く生活し、本県と沖縄県との歴史的な繋がりは深い。
中でも、糸満市摩文仁を中心に広がる南部地域は、1972年の本土復帰に伴い、戦争の悲惨さや命の尊さを認識し戦没者の霊を慰めるために、自然公園法に基づき沖縄戦跡国定公園に指定された。同地域では、沖縄戦で犠牲となった将兵や住民の遺骨が残されており、戦後76年が経過した現在も、遺族やボランティアによる戦没者の遺骨収集が行われている。沖縄戦当時に沖縄県知事を務め、沖縄戦の最中に行方不明になった本県出身の島田叡氏をはじめ、多くの兵庫県民や関係者の遺骨が同地域に眠ると言われている。
さきの大戦で犠牲になった多くの戦没者の尊厳や遺族、関係者の思いを考慮すれば、遺骨の収集が最優先されなければならない。このことは、令和4年には沖縄友愛提携50周年を迎える兵庫県としても、本県にゆかりのある沖縄戦没者の遺族や関係者の心情からも当然のことである。
よって、国におかれては、沖縄戦没者、遺族、関係者の思いを尊重し、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律に基づき、沖縄での戦没者遺骨収集を迅速に実施するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和3年10月22日