令和4年度決算特別委員会 【保健医療部】
質問日:令和5年10月6日(金)
質問者:北上 あきひと 委員(ひょうご県民連合)
1 熱中症の予防策強化について
近年の猛暑は「地球沸騰化」と言われる程で、猛暑日や熱帯夜が増加し、熱中症のリスクが高まっています。兵庫県内の熱中症による救急搬送患者数は、2013年~22年の10年間で計2万8,444人。今年も5月1日~9月24日の間に3,951人が救急搬送されました。その内、初診時における重症者は59人、死亡者は8人に上ります。救急搬送された患者の過半数は65歳以上の高齢者です。
熱中症は、暑さによって体内の熱を発散することができなくなって起こる体調不良で、環境省の資料によれば、気温や湿度、風量、日差し、エアコンの有無等の「環境」、低栄養、睡眠不足、二日酔い等の「からだ」、激しい運動や肉体労働、水分補給不足等の「行動」に起因するとされています。屋外での熱中症は、健康な人がスポーツや作業をしている際に短時間のうちに発症することが多く、室内での熱中症は高齢者に多く、発見が遅れてしまうと重症化してしまう傾向があるようです。
専門家は「暑さを避け十分な水分補給をする等、適切な対策をとることによって、熱中症はほぼ100パーセント予防可能だ」と指摘をしています。暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートの活用をはじめ、熱中症についての知識や情報を積極的に広報・啓発することによって、適切な熱中症予防策を講じるよう促すことが肝要ではないでしょうか。
県民の健康と命を守るために、より一層の施策展開が求められていると考えますが、熱中症へのこれまでの取組と今後の予防策強化について、県当局のご所見をお伺いします。
2 産婦健康診査事業・産後ケア事業における県の役割について
子育てにおける孤独や不安が産後鬱や児童虐待の一因であるとも指摘されるなか、産婦健康診査事業・産後ケア事業の更なる充実が求められていると考えます。2019年12月に母子保健法改正がなされ、それまでは予算事業として実施されてきた産後ケア事業が母子保健法上の施策として位置づけられました。産後ケア事業に取り組む市町は年々増加し、現在、県内41全ての市町において実施されているところです。しかしながら、実施内容のばらつきは大きいと認識します。昨年1月に行われた総務省による産前・産後の支援の取組状況についての行政評価・監査においても、実施内容に地域間格差があることから、都道府県の関与の必要性が指摘されました。
母子保健事業の実施主体は市町でありますが、市町の事業を支える立場として、また広域行政を司る立場としての県の果たす役割は大きいと考えます。産科や助産所等の医療資源が十分でない地域においては、県が広域の連携を支援したり実施事業者との調整を行うことによって、産婦健康診査事業・産後ケア事業のより円滑な展開が図れるのではないでしょうか。また、市町の事業の多くは住民票のある住民を対象にして提供される場合がほとんどであり、他市町へ「里帰り」して出産する場合の対応が課題となります。全国的には、県内の市町村であればどこであっても利用できるようにしているケースもあると聞き及ぶところであり、本県においても何らかの取組を期待するものです。
県におかれては、これまでも市町への財政支援や先進事例の共有などを図り、市町が実施しやすい環境整備を進めてこられたと認識するところですが、今後の尚一層の取組について、当局のご所見をお伺いします。