議会の動き

決算特別委員会12年09月定例会

副委員長 永富 正彦議員(加古郡)
理事 小池ひろのり議員(神戸市中央区)
委員 上野 英一議員(神埼郡)
委員 盛 耕三議員(相生市)
委員 越田謙治郎議員(川西市・川辺郡)

永富 正彦議員
 健康福祉部 | 産業労働部 | 県土整備部 | 病院局

小池 ひろのり議員
 企画県民部② | 産業労働部 | 教育委員会

上野 英一議員
 健康福祉部 | 企画県民部② | 公安委員会 | 農政環境部 | 県土整備部 |総括審査

盛 耕三議員
 財政状況 | 企画県民部① | 農政環境部 | 病院局

越田 謙治郎議員
 財政状況 | 企画県民部① | 公安委員会 | 教育委員会 | 企業庁

●厚生省

1 がん対策の推進について
(1)受診率向上の取組について
(2)医療機関相互の連携について
2 認知症対策の推進について
(1)認知症高齢者対策について
(2)若年性認知症対策について
3 消費生活行政の推進について
(1)消費者行政活性化事業基金の成果について

全文

決算特別委員会 [ 10月11日(木)健康福祉部・永富議員 ]

1 がん対策の推進について

 
質問の第1は、「がん対策の推進」について、2点お伺いします。

(1) 受診率向上の取組について

 
1点目は、「受診率向上の取組」についてです。
厚生労働省の人口動態調査の結果によると、平成22年における本県内の死亡者数51,568人のうち、悪性新生物、いわゆる、がんを死因とする死亡者が最も多く15,855人となっており、2位の心疾患7,969人の約2倍となっております。また、平成18年以降22年までの5年間、がんによる死亡者数は年々増加の一途を辿っている現状を見れば、「健康づくり推進条例」及び「兵庫県健康づくり推進プラン」に基づき、県民の健康づくりに重点的に取り組んでいる本県において、がん対策の推進は喫緊の課題です。
近年、がんを取り巻く研究も進むとともに医学の進歩等により、がんの種類や状況等によっては治癒することも不可能な時代ではなくなりました。
しかしながら、的確な治療を通じてがんを治癒させるためには、従来から指摘されているように早期発見、早期治療が大切であることは昔と変わっておらず、そのためにもがん検診の受診率の向上が大事でありますが、本県の受診率は全国平均よりかなり低いと言わざるを得ません。
厚生労働省の国民生活基礎調査の結果によると、平成22年における本県内のがん検診受診率は、調査対象となっている5つのがん検診のいずれにおいても全国平均をかなり下回っている現状にあり、いわば、がん対策の入り口からつまずいているような状況にあるのではないでしょうか。
この受診率向上の取組については、これまでも本会議や常任委員会等の場で、何度も指摘がなされ、県当局としても、非常に力を入れておられることと思うが、なかなかその成果が数字に現れていないように思います。
そこで、改めて、県内におけるがん検診の受診率向上へ向けて、昨年度はどのような取組を行い、その成果はどうであったのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 医療機関相互の連携について

2点目は、「医療機関相互の連携」についてです。
近年の医療は、高齢化の進展等に伴い、技術の高度化・専門化など、非常に複雑化・多様化しており、また患者のニーズも健康管理から初期医療、リハビリテーションに至るまで幅広いものとなっておりますが、すべてのニーズを1つの医療機関で提供することは困難であり、医療機関相互の役割分担と連携が重要です。
そのためには、地域住民の身近なところで日常的な保健医療サービスを提供するかかりつけ医を中心とした診療を基盤としつつ、必要に応じて専門医療機関、リハビリ医療機関といった各種医療機関が役割を分担しつつ、連携しながら患者に対応していく必要があります。
また、患者一人一人の治療開始から終了までの全体的な治療計画(地域連携クリティカルパス)を作成し、各医療提供者がそれを共有した治療を行うという、患者を中心とした連携体制が望まれます。
がん対策においても、同様のことが言え、がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画及びがん診療連携拠点病院の指定要件の見直しに伴い、本年3月までに、5大がん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん)について、地域連携クリティカルパスを整備することとされました。
特に、がん患者の方の中には、1ヶ月以上手術のための入院待ちをされている方などもおられるようであり、こうした方の不安を解消するための個別ケアなども含め、しっかりと医療機関同士が連携していく必要があるものと思います。
そこで、この地域連携クリティカルパスの整備状況を含め、本県における、がん対策に関する医療機関相互の連携へむけた取組の現状について、当局のご所見をお伺いします。

2 認知症対策の推進について

 
質問の第2は、「認知症対策の推進」について、2点お伺いします。

(1) 認知症高齢者対策について

 
1点目は、「認知症高齢者対策」についてです。
先月末に統計課が公表した統計速報によると、本年2月1日現在の県内の高齢者人口(65歳以上)は129万6,538人、総人口に占める割合は23.2%であり、前年比で0.6ポイント上昇したとされております。また、75歳以上の人口は62万7,537人、総人口に占める割合は11.2%で、前年比0.4ポイント上昇したとされております。
県民の約4人に1人が高齢者である現状を見れば、高齢者やその家族が、笑顔で住み慣れた家庭や地域において健康で生きがいをもち、安心して暮らせるよう、県として必要な対策を取っていく必要性は高いと言えます。
このような中、誰にも起こりうる脳の病気であり、85歳以上の4人に1人にその症状があると言われる認知症に関する対策の重要性も、これまでにも増して高まっています。
厚生労働省の推計によれば、日常生活自立度Ⅱ(日常生活に支障を来すような症状や行動の困難さがあっても誰かがサポートすれば自立できる状態)以上の認知症高齢者数は、平成22年時点で、全国に約280万人おられ、今後、ますますその数は増加すると推定されております。
そこで、本県における認知症高齢者数の現状及び今後の見通しと、昨年度を含め、このような方々に対する支援として、これまで県がどのような支援を行って来たのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 若年性認知症対策について

 
2点目は、「若年性認知症対策」についてです。
高齢者の認知症と並び、昨今、注目を浴びているのが若年性認知症です。
若年性認知症とは、18歳以上65歳未満で発症する認知症の総称であり、65歳以上の高齢者が発症する認知症と同じく、もの忘れや言語障害などの症状が現れるとされております。
厚生労働省の調査結果(平成21年3月)によれば、全国で推計3万7,800人の患者がいるとされており、18~64歳人口の人口10万人当たり47.6人の割合となります。
認知症高齢者は65歳以上人口の9.5%と推計されるのに対して、人数は少ないものの、働き盛りの世代に発症するため、その家族にも大きな影響があり、高齢者の認知症以上に、大きな社会的問題となっております。
本県においても、若年性認知症自立支援ネットワーク会議の取組や支援ハンドブックの作成など、その取組を次第に拡充しており、昨年度は、若年性認知症当事者支援モデル事業として、市町における支援体制の構築に取り組まれたと聞いております。
そこで、同事業の概要と具体の成果についてお伺いするとともに、今後、本県において、若年性認知症対策にどのように取り組んでいこうとされているのか、当局のご所見をお伺いします

3 消費生活行政の推進について

質問の第3は、「消費生活行政の推進」について、2点お伺いします。

(1) 消費者行政活性化事業基金の成果について

1点目は、「消費者行政活性化事業基金の成果」についてです。
近年における消費生活相談の複雑化や高度化、相談件数の増加といった環境変化に対応し、国民の安心を確保していくため、国においては、平成20年度、地方消費者行政活性化交付金で、様々な支援メニューを提示したことを受け、これをもとに各都道府県が基金を造成し、地方における消費者行政の活性化を促進してきました。
本県においても、このような国の動きを踏まえ、総額15億円近くの「消費者行政活性化事業基金」を造成し、平成21年度以降、消費生活相談員の養成・配置、消費生活センターの設置・拡充、消費者教育・啓発などの取組を積極的に進めて来られました。
中でも特に消費生活センターの設置については、全国に先駆け、県が設置した7つのセンターに加え、設置に努めるとされるに過ぎない市町レベルにおいても、県内41市町すべてに消費生活センターが設置されるとともに、これらのセンターが相互密接に連携・協力し、本県における消費生活行政の円滑な推進に取り組んで来られました。
このように、本県における消費生活行政の充実・強化に大きく寄与することとなった同基金については、残念ながら、国の方針により、本年度が最終年度であると聞いております。
そこで、昨年度を含め、この4年間、県下において、同基金を活用してどのような取組が進められ、具体的にどのような成果につながったのか、当局のご所見をお伺いします。

●産業労働部

1 本県経済の現状と活性化について
(1)活性化へ向けた課題認識と取組の成果について
(2)本県のものづくりを支える中小企業への支援について
(3)ものづくり人材の育成・確保について
2 若者の雇用対策の推進について
(1)本県における若者雇用をめぐる状況について
(2)若者の正規雇用確保へ向けた支援について

全文

●県土整備部

1 市街化調整区域内における土地の有効活用について
(1)開発許可の弾力的運用について
(2)より一層の弾力化について
2 都市計画道路網の見直しについて
(1)昨年度における取組と実績について
(2)地元意見を踏まえた取組の推進について
3 加古川市神野用地の有効活用について

全文

決算特別委員会 [ 10月15日(月)産業労働部・永富議員 ]

1 本県経済の現状と活性化について

質問の第1は、「本県経済の現状と活性化」について、3点お伺いします。

(1) 活性化へ向けた課題認識と取組の成果について

1点目は、「活性化に向けた課題認識と取組の成果」についてです。
昨年3月に発生した東日本大震災は、その被害規模が甚大であっただけでなく、サプライチェーンの寸断や電力供給の制約、原子力災害等を通じて、被災地域以外の広い範囲で大きな経済的ダメージを及ぼしました。
その結果、リーマンショック後の急速な景気悪化からようやく持ち直しつつあった我が国経済は再び大きな打撃を受け、景気全体に弱い動きが目立つようになりました。その後も、ギリシャの債務問題に端を発する昨年夏の欧州政府債務危機、また昨年秋のタイの洪水被害など、我が国経済に大きな影響を与える出来事が数多く発生しましたが、今年に入ってから、ようやく復興需要等に支えられた内需主導の上向きの動きをはじめ、全体として上向きの動きが見られるようになりました。
本県経済についても、依然として力強さに欠け、厳しい状況が続いている中、県においては、その時々の社会経済情勢の変化に的確に対応するとともに、より長期的な視点に立って10~20年先を見通し、本県のあるべき産業構造を実現するため、経済・雇用分野での県政運営の基本的な考え方及び具体的施策の方向を示す「ひょうご経済・雇用活性化プログラム(平成23~25年度)」を昨年4月に策定し、本県における経済・雇用の活性化を目指し、様々な取組を推進しておられます。
そこで、まず、本県経済の活性化を図る上で、どのような課題認識のもとで、昨年度はどのような取組を行い、その成果はどうであったのか、同プログラムの内容にも触れつつ、ご説明ください。

(2) 本県のものづくりを支える中小企業への支援について

2点目は、「本県のものづくりを支える中小企業への支援」についてです。
近年、我が国のものづくり産業は、厳しい試練に直面しております。家電各社は、テレビの不振で過去最大の赤字を計上し、自動車各社も世界最大の中国市場で欧米メーカーに出遅れているなど、長引く円高が逆風となり、これまで我が国の経済発展を支えてきたものづくり産業が、軒並み総崩れという深刻な状況に陥っております。加えて、日本政府による尖閣諸島の国有化後の反日感情の高まり、不買運動も長期化する様相であります。
経済産業省がとりまとめた2012年版ものづくり白書では、「国際的な構造変化に直面する我が国ものづくり産業」と題して、我が国のものづくり産業は技術では優るものの、事業展開で諸外国に後れを取り、技術優位性のある製品分野であっても、軒並み世界市場でのシェアを急速に落とし、十分な利益の確保が困難になっていると分析しています。
このような状況を見れば、我が国が「ものづくり大国・技術立国」として今後も持続的な成長を続けるためには、産学官や地域等が連携・協力して、これまで地域で育まれて来た伝統の技や匠の技を集積・伝承し、我が国の技術優位性をしっかりと確保するとともに、国際的な構造変化に対応できるよう、事業の効率化と対応力の強化を図っていくことが重要です。
しかし、我が国また本県においても、ものづくりを支えている企業には中小規模の企業が多く、優れた技術や商品を持ちながらも、販売面や事業面で苦労していながら、自力で営業力やマーケティング力を増強していくのが困難な企業も数多くあるものと思います。本県経済全体の活性化は、このような、ものづくりを支える中小企業の活性化なくしては実現しないと言っても過言ではないと考えます。
そこで、様々な経営課題を抱える中小企業を総合的に支援するため、県としてどのような支援や取組を行っているのか、その成果を含め、ご説明ください。

(3) ものづくり人材の育成・確保について

3点目は、「ものづくり人材の育成・確保」についてです。
ものづくり産業の活性化を図るためには、先に述べたように、国際間競争に打ち勝つことができるような事業の効率化、競争力強化を図っていく一方で、ものづくり人材の育成・確保に積極的に取り組んでいくことも重要なポイントだと考えます。
この点、定年退職等により、昨今、知の塊ともいえるベテラン人材が、ものづくりの現場からどんどん離れて行っています。韓国や中国企業がこうした人材を好待遇で雇用する動きも強まっており、ものづくり産業からの国際的な人材流出も深刻な問題となっております。
その一方で、ものづくりが好きという若者が非常に少なくなっていることも気がかりです。長期的な視点に立って、我が国のものづくり産業の持続的発展を目指す上で、自分の手を動かしてつくることへの興味や、自らものを作り出すことへの喜びを小さいうちから学ばせていく必要があるのではないでしょうか。
この点、本県においては、ものづくりに係る総合的・体系的な人材育成拠点として「県立ものづくり大学校」の教育研修施設が昨年4月に供用開始されました。
そこで、同大学校において、ものづくり人材の育成・確保にどのように取り組んでいるのか、また、その成果について、ご説明ください。

2 若者の雇用対策の推進について

質問の第2は、「若者の雇用対策の推進」について、2点お伺いします。

(1) 本県における若者雇用をめぐる状況について

1点目は、「本県における若者雇用をめぐる状況」についてです。
政府が本年3月19日に開催した「経済界や労働界の代表や教育関係者との雇用戦略対話(第7回)」において、内閣府が示した資料によれば、大卒・高卒の就職率は、9割超という水準にあるものの、現実には若者雇用をめぐる実態が非常に厳しいものであることを表す数字が示されました。
すなわち、同資料では、平成22年春に大学や専門学校を卒業した学生約85万人のうち、卒業後すぐに就職しているのは56万9,000人となっているところ、近年の若年層の離職率が上昇している傾向にあることから、これらの就職者のうちおよそ19万9,000人が、就職後3年以内に早期離職しているとされており、定着率の悪さも見られます。
また、卒業時に就職しなかった人やアルバイトなど一時的な仕事に就いた人は14万人、大学等を中途退学している人が6万7,000人とされており、これらに先ほどの早期離職者を含めると、学校から雇用へと円滑に接続できず、安定的な仕事に継続的に就いていない若年者はおよそ40万6,000人、全体の52%にも上ると推計されております。
更に高卒で進学しなかった人に絞れば一層厳しい状況にあり、卒業後進学をしなかった35万人のうち安定的な仕事に継続的に就いたのはおよそ11万1,000人に過ぎず、残りの23万9,000人、およそ68%もの人が安定的な仕事に就いていないと推計されております。
実際には、卒業後に時間をおいてから就職したり、一旦離職してもすぐに再就職したりというケースもあり、これらの推計だけを見て判断することは早計だと思いますが、いずれにしろ非常にショッキングな数字であり、若者の雇用問題の解決は急務であると考えます。
そこでまず、県内の昨年度末の新規学卒者に係る就職率の状況を含め、本県における昨今の若者雇用をめぐる状況について、県としてどのように認識しているのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 若者の正規雇用確保へ向けた支援について

2点目は、「若者の正規雇用確保へ向けた支援」についてです。
先ほども述べたとおり、昨今の若者雇用をめぐる状況は非常に厳しいものがあり、政府においても、本年6月、労働界、産業界、教育界、有識者と連名で、自ら職業人生を切り拓ける骨太な若者への育ちを社会全体で支援することを定めた「若者雇用戦略」について合意し、必要な施策を着実に推進するとともに、その実施状況を検証することとされました。
本県においても、同戦略に示された内容を十分に勘案しながら、国をはじめとする関係諸方面と連携・協力しながら、若者雇用対策に取り組んで行かれることと思いますが、私は、同戦略が定める具体的施策の方向性の中でも、特に重要になってくるのは、本人の希望に関わらず非正規雇用を余儀なくされている、いわゆる不本意非正規の若者を、いかにして正規雇用へつなげていくかという点であると考えます。
かつて日本でスタンダードとなっていたはずの終身雇用「卒業したら正社員として定年まで働く」という安定した雇用モデルは、近年、どんどん少なくなっているのが現実です。
しかし、私は、これまでの雇用慣習や日本人の気質を考えれば、正規雇用こそが、雇用者のやる気をもっとも引き出し、成果を生むことにつながり、ひいては我が国の経済活性化にも資するものと考えます。欧米人が自ら積極的にチャレンジすることに「安心」を感じるのに対し、日本人は、逆に「安心」があるからこそ自ら積極的にチャレンジしようとするのではないでしょうか。
だからと言って、私は、非正規雇用の形態を否定する訳ではありませんし、多様な働き方があっても良いと考えます。
ただ、先ほど申し上げたような、本人の希望に関わらず非正規雇用を余儀なくされている方々に対しては、行政として、しっかりと正規雇用の確保へ向け、支援を行っていくべきです。
そこで、県として、いわゆる不本意非正規の方々を正規雇用へとつなげていくため、どのような支援を行っているのか、その成果を含め、ご説明ください。

●病院局

1 病院ボランティアの活躍について
(1)県立病院におけるボランティアの活動状況について
(2)ボランティア活動に対するフォローアップについて
2 県民の目線に立った病院運営について
(1)入院・手術までの待ち期間対策について
(2)診療待ち時間の短縮について

全文

決算特別委員会 [ 10月19日(金)病院局・永富議員 ]

1 病院ボランティアの活躍について

質問の第1は、「病院ボランティアの活躍」について、2点お伺いします。

(1) 県立病院におけるボランティアの活動状況について

1点目は、「県立病院におけるボランティアの活動状況」についてです。
平成21年11月、播磨地域の県民が待ち望んでいた県立加古川医療センターが、25の診療科目、353床の病床を持つ県立病院として、加古川市神野町にオープンしました。同センターは、外来部門の1階への集中配置や個室感覚の4床室の整備が行われるなど患者本位の病院として、また、屋上緑化やグラスパーキングの採用など環境配慮型の病院として、今までの県立病院にはなかった施設運営となっております。
中でも特筆すべきは、同センターにおいては、平成22年4月、県立病院として初めて緩和ケア病棟を備えた緩和ケア体制が整備されたことであると私は考えております。
緩和ケアとは、がんによって生じる痛みや息苦しさなどのつらい症状や、悩み・不安などを和らげ、その人らしく穏やかな生活を送れるように、医師や看護師をはじめ、様々な専門家が協力し合って行うケアであり、患者の意思を尊重するとともに、その家族への援助等にも取り組んでいくこととなります。
しかし、この緩和ケアは新しい分野であることから、緩和ケアに精通した看護師等の育成が必要となる一方で、医療的な治療だけでなく、患者の精神面といった心のケアも重要となることから、医療スタッフに加え、ボランティアの方々による支援も必要不可欠な要素となります。
このようなことから、同センターにおいては、一般の病院ボランティアのほか、緩和ケア病棟に専門の緩和ケアボランティアが配置され、入院されている患者の物的・精神的なケアの一助となっており、患者の方々や医療関係者からも、大変高い評価を受けていると聞いております。
私は、このような県立病院を支えてくださる多くのボランティアの方々の様々な取組、ご支援があってこそ、県立病院の円滑な運営が可能となるものだと考えます。
そこでまず、同センターにおける緩和ケアボランティアを含め、県立病院における病院ボランティアの方々の具体的な活動状況について、ご説明ください。

(2) ボランティア活動に対するフォローアップについて

2点目は、「ボランティア活動に対するフォローアップ」についてです。
県立病院内において、病院ボランティアの方々は、患者やその家族の方々が気持よく過ごせるよう、例えば、外来診療の受付や案内、院内や近隣の情報のお知らせ、患者の搬送、リハビリ室での補助、病児保育のお手伝いや院内各所に飾られている花の手入れなど、非常に多くの仕事に取り組んでおられます。
多くのボランティアの方々は、患者やそのご家族の方々の笑顔や感謝の言葉に支えられながら、奉仕の心を持って、日々活動されておられ、その姿には、本当に頭が下がる思いです。
このような病院ボランティアは、県立病院を地域が支えていくという姿のシンボル的な存在だと考えますが、今後もその活動を維持し、ますます充実させていくためには、県立病院からもボランティアの方々が働きやすいよう、細かな目配りや気配りを行うことが必要になってくるのではないでしょうか。
また、加古川医療センターにおける緩和ケアボランティアのように専門的な知識や技能を必要とする方々には、院内研修会の開催など、適切な支援も必要不可欠だと考えます。
そこで、病院ボランティアの方々に、今後も継続してその取組を行って頂けるよう、県として、どのようなフォローアップを行なっているのか、お伺いします。

2 県民の目線に立った病院運営について

質問の第2は、「県民の目線に立った病院運営」について、2点お伺いします。

(1) 入院・手術までの待ち期間対策について

1点目は、「入院・手術までの入院待ち期間対策」についてです。
県立病院で、がんを始めとする重病の治療を受けようとする患者の方の多くは、医師の診断を受けてから、入院・手術に至るまでに、数週間、長い方だと数ヶ月も待たなければいけないような例もあると聞いております。
このような状況は、医師をはじめとする県立病院における人員体制や、手術に必要な医療設備などの制約があり、一朝一夕に解決できる部分は少ないものと思います。
病状の進行具合等に応じて、医師をはじめとする専門家が手術・入院の優先度合いやタイミングを判断されており、緊急を要する患者の方は優先的に手術を行っておられるでしょうから、おそらく、手術・入院に至るまでの、この「待ち期間」は、医学的、専門的に考えれば、特段、何の問題もない期間であるのかも知れません。
しかし、一旦、医師の診断を受け、手術・入院が決まれば、誰しも一日も早い施術を望むのが、人情として素直な感情でしょう。また、仮に長期間待たなければならないとなれば、「その間に病状が進行するのではないか、万が一の事態がおきるのではないか。」と不安に思われるのも当然のことであり、こうした方々に対する精神的なケアを行うことも、医療機関としての責務のひとつだと考えます。
そこで、県民がより快適に治療を受けられるよう、入院・手術に至るまでの待ち期間を短縮するためどのように取り組んでいるのか、また、待ち期間中の患者への精神的ケアにどのように取り組んでいるのか、お伺いします。

(2) 診療待ち時間の短縮について

2点目は、「診療待ち時間の短縮」についてです。
先ほどお尋ねした「待ち期間」と並んで、県民の方の不満の声をよく耳にするのは、外来診療時の待ち時間が長すぎるという問題です。
私自身、地元の方々から、「朝一番に受付をしたのに、医師に診てもらえたのはお昼を過ぎてから」、或いは「事前に予約をしてから行ったのに、数時間も待たされた。おまけに医師に診てもらえたのはわずか数分間だけ。」と言ったような不満の声を聞くことがあります。
多くの患者の方で常に混み合っている県立病院がほとんどであり、各病院においても、診療待ち時間の短縮へ向けて、様々な取組を行っておられることとは思いますが、県民の方々からすれば、まだまだ不十分であると感じておられるのではないでしょうか。
特に、小さなお子さんを連れて受診されている方などは、非常に長く待たされる中で、子どもへの授乳ができない、子どもが我慢できずにぐずり出したなど、他の受診者の手前、非常に肩身の狭い思いをされている方もおられると思います。
また、高齢の受診者の中には、待ち時間が長過ぎて体調を崩される方などもおられるようであり、病院に行ってかえって健康を害してしまうという笑えない話もあるようです。
そこで、これまでも多種多様な取組を進めておられることとは思いますが、改めて県立病院における診療待ち時間の短縮へ向けた取組状況についてお伺いします。

永富 正彦
加古郡

●企画県民部②

1 県立大学への環境防災学部・学科の設立について
2 人と防災未来センターの県立大学への編入について

全文

決算特別委員会 [ 10月12日(金)企画県民部②・小池議員 ]

1 県立大学への環境防災学部・学科の設立について

私は、阪神・淡路大震災後、一貫して県立大学における防災教育の必要性を訴えて来ました。そして、東日本大震災が起こる直前には、「まだ言ってる!」と評価されるまでに至りました。しかし、今では全く異論がなくなり、堂々と防災教育を取り上げたいと思います。
 昨年4月から県立大学では、防災教育がユニット制で取り入れられ、全学生が履修出来るようになりました。8月には、HAT神戸に防災教育センターが誕生し、兵庫の防災教育が一歩前進したと思っています。関係者のご尽力に対し改めて敬意を表します。
 しかしながら、さらに兵庫県は、阪神・淡路大震災の被災県として、防災教育に関して日本のトップリーダーとしての役割を果たしていって欲しいと切に願うものです。そして、災害の教訓を生かしていくことが、社会からの期待に応えることになり、被災県としての責務を果たすことにつながると信じています。
 さらに、防災教育を推進していくにあたっては、公立大学である県立大学が、① 人材育成 ②情報発信 ③研究機関としての役割を担い、その拠点として全国に先駆けた取り組みを進めていって欲しいと願っています。
 県立舞子高校の環境防災科では、今夏、防災教育の一環として全県の高校生を対象に、ジュニアリーダー約70名を集め、1泊2日の防災教育の勉強会を行いました。同校では、防災教育を生徒の“生きる力”を育てる可能性を秘めた教育として位置付けています。知識を単に吸収するだけではなく、学んだ知識や技術を使う場として捉えています。知識として留まるのではなく、将来的に“やる気・夢を持った”学生を育て、実践に結び付けることを目指しています。
まさに学問は、社会のニーズに応え生かされなければならないという、大変重要な観点から防災教育を推進しています。「防災教育が、これまでの教育を変えていくのだ」という強い決意が見受けられます。限られた予算の中で、県下唯一の環境防災科がある舞子高校が率先して、県立高校の防災教育のリーダーシップを発揮していることを大いに評価したいと思います。
さらに、神戸の中学校でも「つながろう仙台・神戸プロジェクト」を立ち上げ、仙台の中学生を招き、一緒に防災や復興支援を考える生徒会会議を取り組んでいます。
また、東日本大震災での“釜石の奇跡”については、皆さんもよくご存じのことと思います。小学校での日頃の防災訓練が生かされ、生徒のみならず多くの家族や地域の方々の命をも救った、まさに実践教育が生きた事例です。
このような中学や高校においての防災教育の積極的な取り組みや考え方を、さらに県立大学で推進・発展させ、安心・安全な社会の実現に向けて反映させていってもらいたいと提案します。知識を実践に結び付け、社会に貢献させていくことが大切なことだと考えます。
「備えあれば憂いなし」、安心・安全なまちづくりという観点からも、是非、兵庫県が率先して行動に結びつけた防災教育に取り組んでいただきたいと願うものです。
そのために、県立大学に環境防災学部・学科の設立は不可避です。既存の学部で、全国のリーダーシップを発揮するのは、なかなか難しいことですが、環境防災学部なら出来ます。特色を持つ大学として、全県の大学、全国の大学、さらには世界の大学の防災教育の要になって頂きたいと思います。
そこで、震災の教訓を生かし、近い将来かなり高い確率で発生すると言われている東南海・南海地震等の自然災害に備える意味も含め、再度、環境防災学部・学科の設立を強く求めますが、当局のお考えをお聞かせください。

2 人と防災未来センターの県立大学への編入について

10年前、HAT神戸に、人と防災未来センターが防災・減災の世界的拠点となることを目的に創設されました。さらに、先ほど質問でも触れましたが、昨年8月同センター内に、兵庫県立大学防災教育センターが、防災教育の拠点として設立されました。近隣には、ひょうご震災記念21世紀研究機構のほか、国際防災復興協力機構やアジア防災センターなど、国内外の防災関係機関が集積しており、防災に関して、研究メッカと情報発信の拠点として既に定着しているところです。
そこで、さらに防災に関する研究と実践を結び付け、相乗的な効果を発揮するためにも、人と防災未来センターを県立大学の附置機関にすることを提案します。先ほど例に出しました舞子高校の例に見られるように、知識を行動に結びつけることで社会に貢献していくためにも、人と防災未来センターを県立大学の附置研究所として位置付けるべきと考えます。そして、我が国の防災研究の中核的研究拠点の最前線として、高い研究水準を維持すると共に、実践に生かすことができるように体制整備をしていくべきと考えますが、当局の基本的な考え方についてお伺いいたします。

●産業労働部

1 中国との交流について
2 海外からの旅行者に向けた観光情報の発信について
3 兵庫県香港経済交流事務所の活用について

全文

決算特別委員会 [ 10月15日(月)産業労働部・小池理事 ]

1 中国との交流ついて

今、日中間は尖閣列島の関係で冷え切っています。領土をめぐる問題で、自国の考えのみ主張し合えば、不信が募り、対立は増幅して歯止めが利かなくなります。領土問題がどんどんエスカレートして、戦争になってしまうという危険性もあります。
近所付き合いでも悪化すると、隣の家の木の葉や雨水が流れてくると腹が立ちます。ところが、良好な関係になれば、塀や境界線も要らなくなり親しく行き来できます。例えば、モンゴルの遊牧民族にとっては、国境等は関係なく、内モンゴルと外モンゴルの間を自由に往来しています。
中国では、10月1日が建国記念日にあたる国慶節で、約1週間の大型連休となります。毎年多くの人々が、国内はもとより海外へ旅行しています。日本は、これまで中国人の海外への渡航先の上位に入っていましたが、この度の尖閣諸島問題でキャンセルが相次ぎ、中国人観光客は激減してしまいました。韓国へ旅行していた中国人が、テレビインタビューで、「中国各地で起こった反日デモや暴動と同じような状況が日本でも起こっているらしく、危険なので渡航先として今の日本は考えられない」と言っていました。
このように、中国国内には、日本の状況が正しく報道されておらず、日本への不信感がどんどん高まっています。そして、日常生活の不満も重なり、日本料理店や日本車が襲われたりしています。中国から帰国した私の友人の最新情報では、「日本が攻めて来るのではないか?」というとんでもない噂さえ流れていると聞きました。さらに最近では、日中両国間の経済にも大きな影響が出始めており、大変深刻な問題となってきております。
このような状況は、両国にとって決して得することは何もありません。友好関係の構築が発展途上にあるなか、領土をめぐる問題を浮き立たせ、不信感を煽るのではなく、友好交流を進め、信頼関係を高める中で、領土をめぐる問題を解決していくべきであると考えます。
日中関係がぎくしゃくしている時こそ、10年20年先を見据えて議会も行政も、国際交流を進めていくべきであります。アジアの平和と繁栄に向けては、日本と中国の果たすべき役割が大きいことは、どなたにも異論はないと思います。まだまだ発展途上にある人口13億人の中国と、少子・高齢化が急速に進み文明社会と言われる人口1億2千万人の日本が、お互いの立場を理解し協力することで、アジアの平和と繁栄へ貢献するものと確信するものです。今や、経済的にも対中貿易を軽視した日本の発展はあり得ません。既に我が国は、対米貿易より中国の関係の方がはるかに大きく、もはや経済面でも日本と中国は切っても切り離せない関係になっています。
今、進めるべきことは地道な日中交流で信頼を高め、お互いを認め合い、共に発展をめざし、共生していくことが大切なことだと思います。そこで、23年度における中国との交流の状況について、今後の方向性と併せてお伺いします。

2 海外からの旅行者に向けた観光情報の発信について

尖閣の問題が浮上する直前、中国から日本への観光客は急激に増加していました。その原因の一つとして、中国人向けの個人観光ビザの発給要件が緩和され、訪日旅行の対象が富裕層から中間層に広がった影響によると言われています。
中国人の日本国内旅行客は、8月末の地点では、対前年比約1.7倍とも言われています。2012年に神戸港へ入港する客船は110隻、3,000人乗りの豪華客船“ボイジャー・オブ・ザ・シーズ”だけでも上海から年4回来神することになっています。観光による経済効果は、大変大きなものがあります。
今定例会で我が会派の前田議員が一般質問においてスポーツツーリズムの重要性を訴えたところです。私も、スポーツのほか健康・食などテーマ性を持ったツーリズムや交流の支援を積極的に展開すべきと考えます。
現在、中国からの観光客は、今や前もってインターネットなどで調べてから来日しています。このような現状に応えるためにも、兵庫県としては、海外からの観光客がどの様な事に関心を示し、どのような情報を欲しがっているのか、もっとリサーチを行い、戦略的に情報発信をしていくべきと考えます。
現在は、尖閣問題もあり、中国からの観光客は激減していますが、今こそ逆に兵庫の情報を、インターネットなどを通じて効果的に発信していくべきと考えます。海外からの旅行者に対する観光情報の発信の現況について、今後解消していくべき課題と共にお伺いします。

3 兵庫県香港経済交流事務所の活用について

最後に、10月1日に開設した兵庫県香港経済交流事務所について、お伺いします。
私は、中国へ行く機会が多くありますが、ポスターなど兵庫県が発信している情報を目にした記憶はほとんどありません。
これまでより、県内企業の海外支援に関しては、海外事務所やひょうご国際ビジネスサポートデスクにより行われてきましたが、観光客の誘客促進や、県内の工業製品や地場産品の販路拡大支援については、あまり取り組みがなされていないように思います。
今年に入ってから、神戸ビーフが香港・マカオに輸出解禁となり、神戸に対する関心も大きくなっています。これからは、中国人が関心を持つような物産展・観光展のプロモーションを中国で開催する等、県としても積極的に支援すべきと考えます。
香港経済交流事務所には、このような物産・観光等のPRの機能も付加されていると伺っておりますが、今後はさらなる香港経済交流事務所の活用により、兵庫への観光客が増え、兵庫・神戸の経済発展につながることを期待するものです。
そこで、香港経済交流事務所の活用をどのように考えておられるのか、また、県内企業の海外事業の展開については、香港経済交流事務所の開設により、従来から実施している海外事務所、ひょうごビジネスサポートデスクと機能が一定重複する面もあると思いますが、それぞれの役割分担をどのように行い、連携体制をどのように構築していくのか、また、県内の総合相談窓口であるひょうご海外ビジネスセンターへの情報の集約体制と共に、お伺いします。

●教育委員会

1 少人数学級のさらなる推進について
2 加配教員の配置について
3 いじめ対策としての教員の”ゆとり”確保について
4 教育施策の充実について

全文

決算特別委員会 [ 10月18日(木)教育委員会・小池議員 ]

学校現場では、現下の厳しい財政状況の影響を受けて、廊下の電気を消し、校庭の植物の水やりやプールの水の入れ替えを控えるなど大変な苦労を強いられていることを教育委員会は十分ご存知のことと思います。しかし、学校現場を暗くする等に、私は非常に抵抗を感じています。
私は、これまで国際交流を通じて、日本よりはるかに貧しい国であっても、教育には大変な力を入れているのを見てきました。教育は、次世代を担う若者への投資であり、安全・安心な社会の構築に向けては、教育を最優先とすべきであると確信しています。
そこで、
1 少人数学級のさらなる推進を!
2 各校に1名の加配教員を!
3 いじめ対策のために、教員に“ゆとり”を!
4 教育にもっと光を!
という4つの観点から、質問したいと思います。

1 少人数学級のさらなる推進について

初めに、少人数学級のさらなる推進についてお伺いします。
兵庫県は、全国に先駆けて県単独予算で少人数学級を推進し、現在小学4年生まで35人学級を実現しており、その面では大いに評価しています。しかし、まだまだ不十分で、現実にはいろいろな課題が生じており、決して満足出来る状況ではありません。

少人数学級の教育効果の面で、例えば、今から30年前の1982年に、私はアメリカの高校で授業をしたことがあります。その時の1クラスの生徒数は約30人くらいでした。当時1クラス45人の日本の高校での授業に慣れていた私にとっては、非常にやり易く、すべての生徒に目を配らせることが出来たと実感しました。

また、2009年にフィンランドの小学校を訪問した時は、1クラスの生徒数は20人以下で、しかも副担任がおり2人体制でした。先生からの「落ちこぼれを出さない」と自信に充ちた説明が羨ましかったのを記憶しています。犯罪の取り締まりに警察官の増員で対応するのではなく、教育に力を入れることにより対応すべきとの話に、私も全く同感でした。

我が国の高校の現実に目を向けると、国立大学を目指す生徒からアルファベットの筆記体が書けない生徒まで抱えています。このような大きな学力差がある40人のクラスでの授業は、教員の能力ではカバーし切れない問題で、中位層に合わせた授業を展開せざるを得ないのが現状です。その結果、上位の生徒には自力に頼り、下位の生徒には学力不足ということで、転学・退学を余儀なくさせるという事態も生まれています。

この意味でも、落ちこぼれ対策や教育効果という面でも、少人数学級は大変有効な施策と言えます。
現在、国においても、今後5年間で中学3年生までの35人以下学級を検討しているようですが、県は引き続き少人数学級を拡大・推進していって欲しいと思います。
そこで、国に先行する形で、さらなる少人数学級を求めますが、当局のご所見をお伺いします。

2 加配教員の配置について

次に、加配教員の配置についてお伺いします。教員の加配は、基本的に国に求めていくことですが、県単独でも実施していくべきと考えます。
今、現場の教員は、多忙を極めています。その背景には、①調査・報告書の作成等の事務処理が多い。②会議・研修などが多すぎる。③部活動の指導 ④家庭の教育力の低下による学校への期待、役割が拡大していること等があります。

また、クレーマーやマスコミのバッシングで、教員は萎縮しているうえ、社会的地位も低下しています。今や小学1年生でも教員の指示になかなか従わず、授業中、教員の「座ろうね!」という指示に、平気で「いや!」と言う児童がおります。さらに言えば「僕、帰る」と言い、帰り出す有様です。言うことを聞かないだけでなく、教員に対して児童が手や足を出す始末です。

このように学校現場では、家庭のしつけが出来ていない児童に対して、教育以前に大変な労力を費やさなければならない状況となっています。もうそこには、かつての教員の威厳や教員に対する尊敬の念が希薄になっており、義務意識より権利の自己主張の考えが貫かれています。保護者や児童と教員の間に信頼関係を築くのは、容易なことではありません。

信頼がない師弟関係で、児童・生徒が良好に伸びていくことはあり得ません。しかも学力以前に、良いことは良い、悪いことは悪いという大事な社会的原理を学べないことは、結果的にその付けが児童に降りかかっていると言えます。

また、このような児童に教員が手を取られるあまり、他の児童に目が届かないという現状があります。こういった事態を避けるためにも、各校に1名の教員の加配は有効な施策です。例えば、学校長の判断で、崩壊しかけたクラスに加配教員を充てるとか、クレーマー対策や学校訪問者への対応、教員の病気・研修等による授業に代替教員として活用することも出来ます。1名の教員を加配することで、教師も児童・生徒もどれだけ助かることでしょうか!
是非、財政当局は、学校現場の苦労と“声”に耳を傾けて頂きたいと思います。

予算制約により、教育現場に生じる課題を、教員の能力に責任転嫁するのではなく、各校に1名の加配教員を配置することで、教育現場の諸問題の改善に向け大きく前進させることを提言するものです。教育委員会としてのご所見をお伺いします。

3 いじめ対策としての教員の“ゆとり”確保について

次に、いじめ対策のためにも、教員にゆとりの確保をする施策を実現してもらいたいと思います。
 2007年に文部科学省の教員の勤務実態調査によれば、教員の1日の平均休憩時間は、小学校で6~9分、中学校で7~11分となっていました。この数字、異常だと思いませんか! こんなに教員が多忙な状態で、いじめなどを見落とすことなく、生徒の細かい変化をとらえ、適切な指導をする余裕があるでしょうか!

今定例会でのいじめに対する一般質問で、教育委員会は①マニュアルを年内を目途に作成する。②教員の資質向上のため校内研修を行うという答弁がありました。
 しかし、本当にそれだけで、いじめが解消するでしょうか?私は、いじめの問題は、教員の対応のまずさから起こっているとは思っていません。いじめが見落とされているのは、余りにも多忙でゆとりがない教育現場に最大の要因があると思っています。

いじめの未然防止・早期発見には、担任教員の役割が一番大きいことは、私も異論はありません。その面においては、教員のスキルアップは必要ですが、指導力・洞察力・知識力・優しさ・・・等々、すべて備えた教員がそんなに多くいるでしょうか? 

いじめの対応は基より、今の教育現場に一番必要なことは、“ゆとり”と余裕を教員に与えて頂くことだと思っています。余りにも多忙な現状を放置したままで、教員に責任転嫁してはいけないと思います。早急に対策に取り組む必要があると考えます。
そこで、教員がゆとりを持って学習指導・生徒指導に臨み、いじめ対策にも取り組んでいくにあたり、教育委員会として教育現場における現状の課題をどのように認識しているのか、その対策と併せて、お尋ねしたいと思います。

4 教育施策の充実について

最後に、教育にもっと光を!という観点から教育施策の充実についてお伺いします。
日本は、戦後まだ食べ物が十分にない時でも、教育に力を入れました。その結果が、日本の高度成長を支え、日本の繁栄をもたらしたと思っています。

しかしながら、高度成長を成し遂げた後、日本の教育は置き去りにされ、さらに、最近では予算が厳しいということで、教育予算まで削られているのが現状です。次代を担う若者を育てる教育の重要性を、もっと真剣に考え現実に合った教育現場のための施策を積極的に実現していかねばならないと思います。

 個性に合った教育を!ということが言われています。耳ざわりの良い言葉です。しかし、これも先ほど述べたように、40人もの多様化している生徒が対象では、非常に厳しいです。生徒数が少ない方が目が届くのは明らかです。クレーマーの不合理な要求への対応、家庭のしつけまで何でもかんでも学校に求められている現状、さらには担任が給食費の未払いの家庭を訪問して徴収しているという話も耳にしております。いじめ・不登校等の問題に対応していくにあたり、教師にもう少しゆとりがないと現実には対応が困難です。

 少人数学級を!1名の加配教員を!いじめ対策のためにもゆとりを!は、すべて教育にもっと光を!当てることによって可能となります。そして、教員にもう少し余裕を与える施策を強く求めるものです。

是非、“国家百年の計、教育にあり”“次代を担う若者を育てる”という観点から、現下の厳しい財政状況にあっても教育施策の充実に力を注いで行くべきであります。
そこで、教育施策の充実に向けた教育長の意気込みについてご所見をお伺いします。教員がオーラを出し、学校現場が生き生きとなり、夢・目標を持った輝く教育現場にしていくためにも、力強い答弁を宜しくお願いします。

小池 ひろのり
中央区

●健康福祉部

1 地域医療圏域におけるバランス(医療資源の確保と提供)について
2 自殺の現状認識とその対策・事業執行について
3 少子化に対する現状認識の確認とその取り組みについて
4 動物愛護に向けた適切な取り組みについて

全文

決算特別委員会 [ 10月11日(木)健康福祉部・上野議員 ]

1 地域医療圏域におけるバランス(医療資源の確保と提供)について

(県立病院と自治体病院、民間病院の配置及び財政負担について)
 県の保健医療計画では 「第2章 計画の性格・位置付け」で、「この計画は、都道府県が策定する医療計画であると同時に、地域保健対策の方向を示す基本的な計画である。また、県民、市町、保健・医療機関、関係団体等の参画と協働のもと、それぞれが取り組むべき保健・医療分野の基本的指針としての性格を併せ持つ。」とされ、「第4章 いのちを守る安心の医療提供体制の充実」では、「すべての県民が、いつでもどこでも安心して適切な医療が受けられるように、医療提供体制の充実に努める。」とされています。
しかし、実態として圏域によっては「すべての県民が、いつでもどこでも安心して・・・」とはなっていないように思われます。先月の27日に西播磨市町長会から西播磨選出議員に対する要望会があり、相生市からは「周産期医療・小児救急医療体制の確立について」の要望がありました。また、公立神崎総合病院でも産科医は1人、小児科医についても神河町独自の努力によって今年の4月から常勤医1人、非常勤2人となっていますが、決して十分とは言えません。
 医療資源は、独立行政法人化もありますが国立、県立、大学付属、赤十字病院や労災病院、公立・自治体病院、民間医療法人等々がありますが、多くは阪神から姫路にかけての海岸線沿いにあり、それ以外の地域では医療資源が限られており、公立・自治体病院が多くを担っております。しかし、西播磨や但馬地域、中播磨の神崎郡では決して十分とは言えません。また、小さな市町での病院経営は大きな住民負担ともなっています。21市町・組合立病院で一般会計からの繰入金額は、200億94百万円、私の出身町の神崎総合病院では5億1千万円繰入れています。ちなみに人口は13,000人です。
そこで、すべての県民が、いつでもどこでも安心して適切な医療が受けられようにするためにはどうあるべきかについてお尋ねいたします。

2 自殺の現状認識とその対策・事業執行について

 2011年人口動態調査によると死亡者総数から引き出される死因は、1位・悪性新生物、2位・心疾患、3位・肺炎でありますが、五歳階級ごとに死因順位を見ると男性は20~44歳の5つの階級で、死因の第1位は自殺であります。女性もまた、20~34歳の3つの階級での死因の第1位は自殺でありあります。この社会の中心的位置にある活動期、働き盛りの世代の死因第1位が自殺であります。このことから、雇用・労働環境による経済的問題が大きいと私は考えています。
兵庫県における自殺対策の基本的認識を確認すると、
(1)自殺は個人の自由な意思や選択の結果ではなく追い込まれた死であり防ぐことができる。多くの自殺は、個人の自由な意思や選択の結果ではなく、経済・生活問題、健康問題、家庭問題など様々な要因とその人の性格傾向等が複雑に関係して発生しています。また、自殺を図る直前には、うつ病、アルコール依存症等の精神疾患を発症し、正常な判断を行うことができない状態となっている場合が多いことが明らかになってきています。よって、社会的要因については、社会の適切な介入により、また、うつ病等の精神疾患に対しては早期発見と適切な治療により、多くの自殺は防ぐことができます。
(2)自殺を考えている人は自殺の危険を示すサインを発している。死にたいと考えている人も、心の中では「生きたい」という気持ちとの間で激しく揺れ動いており、不眠、原因不明の体調不良など自殺の危険を示すサインを発しています。自殺を図った人の家族や職場の同僚など身近な人は、自殺のサインに気づいていることも多く、このような県民一人ひとりの気づきを自殺予防につなげていくことが重要と言えます。 
となっていますが、決算額を見れば、健康福祉事務所相談体制充実、自殺未遂者支援事業、高齢者対策の介護従事者や婦人会団体への研修の実施、市町による自殺予防対策事業への助成定期健康診断を活用したメンタルヘルスケア事業 等々で不用額が出ています。    
そこで、先ほどの県の自殺対策の基本認識の重要な部分、相談体制、気づき、市町窓口で各手続きからの気づき、自殺未遂者の支援、メンタルケアだと考えますが、十分な事業執行となっているのかお伺いします。

3 少子化に対する現状認識の確認とその取り組みについて

 知事は新ひょうご子ども未来プランの中で、「少子化問題をすぐに解決する切り札はありません。」とし、「今後5年間(平成23~27年)の出生数24万人を目標とし、「子どもを産み育てる」などの6つの柱に、少子対策・子育て支援を総合的に推進します。目標の実現には、県民、事業者、団体、行政等が互いに連携しながら、それぞれの役割を担っていくことが欠かせません。」と述べられています。そして多種・多彩な少子対策が、健康福祉部をはじめ、産業労働部、企画県民部など各部局に亘った総合政策となっています。
 2011年政府は「子ども・子育てビジョンに係る点検・評価のための指標調査」を行っていますが、回答によれば「目指すべき社会の姿」の内、「意欲を持って就業と自立に向かうことができる社会」に対して「そう思わない」と「あまりそう思わない」の計57.1%、同じく「誰もが希望する幼児教育と保育サービスを受けられるような社会」が計55.6%、「仕事と家庭が両立できる職場環境の実現が可能な社会」が計51.0%と評価が低くなっています。
 「将来子どもを持つと考えたとき、または自分の子どもが子どもを持つと考えた時にどんな不安があるか」との質問に対しては、「経済的負担の増加」が71.7%と最も多く、次いで「仕事と生活・育児の両立」が41.7%、「不安定な雇用、就業関係」が43.7%、「保育所などの保育サービスの不足」が、37.4%、「出産年齢、子どもを持つ年齢」が32.0%となっています。
 子ども・子育てビジョンの取組に関して1番目から5番目に不十分だと考える項目では、「若者の自立した生活と就労に向けた支援」が上位5つの合計で37.6%、次いで「長時間労働の抑制、テレワークの活用等、働き方の見直しに向けた環境整備を図る取組」が32.8%、「育児休業制度・その他両立支援制度の普及・定着及び継続就業の支援とともに、子育て女性等の再就職支援を図る取組」が29.9%、「児童虐待を防止するとともに、社会的養護を充実する取組」が28.8%、「待機児童の解消や幼児教育と保育の質の向上等を図る取組」が26.0%となっています。
 この調査から本質的には、雇用・就労・労働環境改善が如何に求められているかだと思いますが、この部分は経済、企業活動による部分が大きくなかなか達成が困難と思います。また、同時に結婚・出産・育児について多くの不安を持っていることがわかりますが、こここそ行政・健康福祉部にかかっている部分だと思います。
そこで、新ひょうご子ども未来プランの2年目として、少子化の現状をどのように認識し、取り組まれたのか、その状況と成果についてお伺いします。

4 動物愛護に向けた適切な取り組みについて

この春の予算委員会で藤井議員が質問、私も総括質疑を行いましたが、その質疑の記録を見られた県内の方から問い合わせがあり、色々のご指摘を受けました。その内容については県当局にもお伝えし即座に対応もいただきましたが、まだまだ実効ある成果を上げるには課題も山積しているようにも思います。
 先日会派では、「ペットの殺処分ゼロ」を実現しているドイツの保護政策の視察を行っています。その報告を紹介しますと、『ドイツでは、捨てられた犬猫、飼い主が飼えなくなった動物を絶対に殺さず、殺処分場はひとつもありません。その代わりに里親捜しのための「動物の家」というシェルターが500以上存在しています。シェルターの運営は、民間の動物保護団体が行い、「動物の家」は全て民間のものであるとともに、会員の会費、遺産贈与、寄付で予算は賄っており、職員・獣医とともに多くのボランティアの活動で維持されています。視察したミュンヘンのシェルターの一つである「動物孤児院」は、会員 2万人(ミュンヘン市の人口30万人)を擁し、年間会費として大人31ユーロ、65歳以上・子ども青年は10ユーロを徴収しています。また施設の運営予算は、年間500万ユーロ(約5億円)であり、施設職員65名(内獣医5名)で運営され、年間約8500匹の動物が持ち込まれるという報告を受けました。
施設の活動内容は、兵庫県動物愛護センター等で行っている飼い主捜しや新たな引き取り手の募集のためのイベント開催、犬の躾等々活動内容はほぼ同様ですが、その規模と市民全体を巻き込んだ自主的な活動・運営全般において、大きな差異があり、今後の兵庫県の動物愛護施策において、ボランティア等を巻き込んだ官民一体となった取り組みの構築を図らねばならないと強く感じました。』となっています。
県おいては、行革プランの執行の中であるだけに、市民やNPOとの協同と参画の視点で適切な取り組みができないものかと考えるところです。
そこで、平成23年度までの取組として、市民・NPOとの連携がどのようになされていたのかお尋ねいたします。

●企画県民部②

1 過去の大規模災害(自然災害、火災等)から学ぶ消防団員・職員等の災害救助関係者の安全対策・学習啓発について
2 均衡ある県政の推進について(医療資源の整備)
3 フェニックス共済の推進について

全文

決算特別委員会 [ 10月12日(金)企画県民部②・上野議員 ]

1 過去の大規模災害(自然災害、火災等)から学ぶ消防団員・職員等の災害救助関係者の安全対策・学習啓発について

 9月29日午後2時半ごろ、姫路市網干区興浜の「日本触媒姫路製造所」で、アクリル酸を貯蔵するタンクが爆発した。出動した消防隊員1人が死亡。消防¬隊員24人と従業員10人、警察官2人の計36人が重軽傷を負った。
 この事故の報道を聞いたときに、化学工場だけにタンクの爆発ということがなぜ想定できなかったのかと率直に思いました。
後日の報道では、両手にやけどを負った消防司令は「爆発の危険性は知らなかった。」とし、市消防局は、爆発の危険性について「日本触媒からは『熱が上がってきている。最悪の場合、爆発の危険性がある。』との内容で説明を受けた。」としており、また市消防局次長は「(爆発危険)周知されていたはずですが…」と肩を落とし、「隊長の指示がどうであったか不明ですが、結果的にそうならば、(情報伝達の在り方を)見直さねば」と話していたとしています。
現場に市消防が到着したときには、自衛消防がタンクのすぐ傍で放水を行っており、その後方に下がって安全確認を行う状況ではなかったとも思えます。
また、過去の大規模災害として、9.11ニューヨークのテロによるビル崩壊でも多くの消防職員が被害にあっています。平成21年の台風9号水害では、水防指令発令で庁舎に駆け付けようとした役場職員が冠水した道路で水没死しました。昨年の3.11東日本大震災・津波災害では、最後まで住民に避難放送を続けた役場女性職員をはじめ多くの災害避難対策に従事した役場職員や消防団員・職員や教職員が犠牲となりました。
いずれにいたしましても十分な検証を行い二度と繰り返さない安全教育が必要と考えます。
そこで、過去の大規模災害(自然災害、火災等)からどのように学び、消防団員・職員等の災害救助関係者の安全対策・学習啓発について行ってきたのかについてお尋ねいたします。 

2 均衡ある県政の推進について(医療資源の整備)

 特に我が会派の越田議員が県と市町の二重行政についてよく質問いたしますが、私は適切に役割・任務分担を行い県民生活の向上につながっていればよいと考えます。
 その中の一つに病院の運営があります。病院は、独立行政法人化もありますが国立、県立、大学付属、赤十字病院や労災病院、公立・自治体病院、民間医療法人等々がありますが、多くは阪神から姫路にかけての海岸線沿いにあり、それ以外の地域では医療資源が限られており、公立・自治体病院が多くを担っております。しかし、西播磨や但馬地域、中播磨の神崎郡では決して十分とは言えません。また、小さな市町での病院経営は大きな住民負担ともなっています。
医療・診療提供や医師・看護師の確保等については健康福祉部でお尋ねをいたしました。ここでは、小さな市町での病院経営にかかる大きな住民負担についてお尋ねいたします。平成23年度の決算から各市町の一般会計から交付税措置額を引いた実質的な住民負担の額は、神河町では2億54百万円、ちなみに国勢調査による人口は13,077人、1人当たり約2万円です。宍粟市では、99百万円、43,302人、相生市は、49百万円、32,475人、加西市は、1億63百万円、49,396人、香美町は、1億91百万円、21,439人、新温泉町では2億13百万円、17,467人で、交付税措置率も21市町・組合立病院で25.6~110.1%、県全体で53.5%となっています。また、平成19年度比の交付税措置率は110.9~209.5%、県全体で140.7%となっています。交付税措置には病院建設費の償還分に対するもの、近年の医師・看護師確保に対する特別交付税措置など、一定の配慮が行われていますが、それでも大きな住民負担となっています。
そこで、民間等の医療資源が限られており、市町で病院設置をせざるを得ない小規模自治体に対する地方交付税措置の拡充などの財政支援についてのお考えをお伺いします。

3 フェニックス共済の推進について

 フェニックス共済は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、全国に先駆けて住宅再建共済制度を平成17年9月からスタートし、その内容・特色として、1.小さな負担(年5千円)で、大きな安心(住宅の再建に600万円)を確保。2.住宅の規模・構造や老朽度に関係なく、定額の負担で定額の給付。3.異常な自然現象により生じる、あらゆる自然災害を対象。(例)暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火 等 4.財産の損失補てんの考え方にもとづく損害保険制度(地震保険など)と異なり、被災後の住宅の再建を支援する仕組み。(地震保険等との併用可)と非常に有利な制度だと考えます。
 しかし、当初の加入目標の15%には達せず、平成23年度末で住宅共済が8.5%、家財共済が1.9%と遠く目標には及びません。また、住宅再建共済制度加入促進本部は平成23年度に廃止をされました。
しかし、その23年度の共済制度の加入促進活動は、21・22年度と比較をすると推進会議構成団体への多様な働きかけや、マンション共用部分再建共済制度の加入促進を県民局でマンションローラー作戦を行ったり、取りまとめ団体を通じた加入促進、郵便局・共済団体等との協調した啓発、フェニックス共済加入促進員を14名から延べ24人に増員して戸建・賃貸住宅等175,050戸、マンション 1,157棟、団体等については 9,820団体を訪問するなど今までにない取り組みが展開され、住宅共済10,272戸、家財共済5,387戸の加入が図られています。一方、それらに要した費用は決算額150,772千円であり、それは住宅共済掛け金5千円の30,100戸に相当します。単純にこのようなことで費用対効果を論じるつもりはありませんが、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、全国に先駆けて作られた私は兵庫県の大きな誇れる住宅再建共済制度と思っています。
そこで、24年度の取組状況と今後の方針についてお伺いします。

●公安委員会

1 交通指導取締の目的と評価について
2 道路交通規制と取り締まりについて
3 サイバー犯罪捜査について
4 凶悪事犯の未解決案件について
5 定数及び人員配置について

全文

決算特別委員会 [ 10月15日(月)公安委員会・上野議員 ]

1 交通指導取締の目的と評価について

 私は、県庁まで車を使用しておりその距離は、往復約170kmです。平均月3,000km走ります。その中で感じる事、または多くの方々の声、本年の交通事故について次のように思っています。

一つは、交通死亡事故が全国的に減少している中で、私の地元福崎署管内をはじめ、県内の死亡事故が前年を上回っていること。二つに、厳罰化で飲酒運転が減っていたものが、また増えているのではないかということです。

平成23年中の交通違反取締り状況は、道路交通法違反の非反則行為、いわゆる赤切符は18,636件、反則行為、いわゆる青切符と、シートベルト着用違反などの点数のみの違反を合わせた件数は448,081件、関係法令違反858件で 計467,575件、これに放置車両確認標章取付件数90,490件を加えて、総合計558,065件と、大変多くの取締指導がなされています。

この内、速度・過積載・信号無視・通行区分・踏切不停止・歩行者妨害・整備不良・通行禁止・一時不停止・携帯電話使用・駐停車について平成20~23年の推移を見ますと、年によって多少の増減はありますが殆ど変わっていません。

その中でも、シートベルトの取締り件数が毎年減少している状況を、ベルトの装着率が向上したと考えるならば、取締りに一定の効果が見られたのではないかと思います。そこで、改めて交通指導取締の目的とその評価についてお尋ねいたします。

2 道路交通規制と取り締まりについて

 私は自宅を出ますと、主要地方道加美宍粟線、播但連絡道路で神崎南から福崎北、中国自動車道で福崎から吉川、国道428号線、新神戸トンネル、神戸山手幹線と走ってきます。
これから述べることはあくまでも主観でありますが、加美宍粟線は2車線歩道付の改良済、しかもバイパスですので殆ど民家などがありません。制限速度は時速50kmですが、朝の出勤時は殆どの車両が70・80kmを超えているのではないかと思います。余談になりますが、私はいつも県庁には余裕をもって定刻の1時間以上は早く登庁するようにしていますので、運転にも余裕は持っています。

播但自動車道は福崎まで対面通行各1車線ですので制限速度は60kmです。ここでは80・90kmほどではないかと思います。
中国自動車道の制限速度は、80kmです。7割が100kmかそれ以上だと思います。
国道428号線は、吉川から神戸市淡河まで2車線歩道付き、一部歩道のない区間もありますが制限速度は50km、ここは50~60km程と思います。淡河から県道8号線の合流点までは2車線で大部分に歩道がありませんが路側帯は結構あって制限速度は40kmです。

ここは40~50kmです。新神戸トンネルまでは歩道がありますが、そこは狭小で路側帯にも余裕がありませんので制限速度は40km、ここもまずまず遵守されていると思います。
 新神戸トンネルは60km制限ですが、殆どの車が90km以上ではないかと思います。山手幹線については省略します。

 繰りかえしますが、あくまでも主観であります。そして、速度取締指導を受けた方々を見ますが、違反をしたので指導を受けるのは当然とはいえ、気の毒だなあとも思うのが428号線北区山田町新池のところです。

もう1か所は、国道312号線市川町北側の播但道と交差するところです。制限速度は40kmですが、市川町役場付近は2車線両側歩道付、その両側歩道から片側歩道に変わったところで、これらが本来の指導、交通安全の啓蒙・啓発に繋がっているのだろうかと思います。3月の予算委員会総括で、構造的に要件を満たしていない自転車通行可の歩道についても質問をいたしました。

 そこで、適切に、県民が納得し得る交通規制と速度取締指導についてお伺いします。

3 サイバー犯罪捜査について

 今年の3月にサイバー犯罪対策課が生活安全部に設置され、先日も活動ぶりがテレビ放映されていました。適切な時期での設置だと思ったわけですが、すぐその後に、「犯罪予告メールを送信したなどとして、大阪府警と三重県警にそれぞれ威力業務妨害容疑で逮捕された男性2人のパソコンが、「遠隔操作型ウイルス」とみられるウイルスに感染していたことがわかった。」との報道がありました。

 そこで、40人態勢でのスタートということですが、人員・スタッフはもちろんのこととして、パソコンなどの機材の現段階の整備状況、これから必要なこと、さらには、サイバー空間を取り巻く犯罪状況、それらに対する対応状況についてお尋ねいたします。

4 重要凶悪事犯の未解決案件について

 私が記憶に残る事件として平成19年の加古川市における小学生女児殺人事件を思い出します。自宅の前で起きた事件ですので、それだけに親御さんをはじめ家族の方々の心中を察すれば、胸に詰まる思いがいたします。必ず事件の解決を図っていただきたいと思うところです。

 この件以外にも重要凶悪事犯の未解決事件がたくさんあるのではないかと思いますが、その状況と解決に向けた見込みと決意を聞かせてください。

5 定数および人員配置について

 定数を大きく下回っていることは承知をいたしています。また、この後自民党の伊藤さんが質問されるようですので、私は一点について、質問を言っておきたいと思います。

 県下の死亡事故やまた飲酒運転が後を絶たないこと、未解決事件がまだまだあることは、人員不足が原因となっていないか、サイバー対策もますます複雑・高度化することに対して十分に対応できるかお伺いいたします。

●農政環境部

1 営農組合の法人化について
2 担い手育成・新規就農について
3 鳥獣被害の現状認識と対策について
4 農協との連携強化と指導監督について

全文

決算特別委員会 [ 10月16日(火)農政環境部・上野議員 ]

1 営農組合の法人化について

(1) 営農組合の現状認識について

営農組合の平成23年度末の組織化は997集落でしたが、平成23年度目標1,020集落を若干に下回り、近年伸びは鈍化傾向と聞くが、その原因なりの現状認識をお尋ねします。併せて平成32年度の最終目標1,500集落の見込みについてもお願いします。

(2) 法人化数について

次に、平成23年度末の法人化された営農組合の数、及び今後法人化を目指している営農組合の数についてお尋ねいたします。

(3) 法人化された組合の特色等について

営農組合の法人化は、経営における意思決定のスピードと責任の所在の明確化により経営の安定化につながると考えますが、それ以外のメリットがあれば教えていただきたい。できれば法人化された各組合の特色と経営の現状について教えていただきたい。

2 担い手育成・新規就農について

(1) 新規就農者の継続・定着状況について

新規就農者の数は、平成21年度180人、内雇用就農者数は、60人、平成22年度は、それぞれ187人、55人、平成23年度は、193人、34人となっているが、継続・定着状況はどうなっているかお尋ねいたします。

(2) 人・農地プランの策定状況等について

新規就農者の増加要因(推測)として、①青年就農給付金の魅力による就農喚起(独立就農の前倒し)、②農の雇用事業の拡大による雇用就農の大幅増、③就農スタートアップ支援事業の創設等による就農の踏切り易さの向上。が、あげられているが、市町の「人・農地プラン」策定状況についてお尋ねします。併せて、平成24年度新規の就農スタートアップ支援事業の取組状況についてお尋ねします。

3 鳥獣被害の現状認識と対策について

(1) 鳥獣被害の現状認識について

平成23年度の被害額を動物別にみると、シカが4億3600万円で、被害額全体の49%を占め、次いでイノシシが2億5500万円(29%)、アライグマが6700万円(8%)、ヌートリアが2500万円(3%)、サルが900万円(1%)と前年度に比べて9.1%減少したと聞いていますが、各市町の担当者等に聞いてみますと「そのような実感はない」が殆どです。

被害額の算定ですが、自家消費用の菜園などは含まれていないと思うのですが、どのようになっているのかお尋ねいたします。(*)一方で、シカ及びイノシシによる被害などでは、山間部で防護柵の設置が進んだり、駆除専任班の取組等で南部に下がってきた、サルについても神河町の追い払いで生野町や朝来町に進出してきた、また、旧南光町の瑠璃寺では水害の関係で餌付けをされていたサルが餌をもらえなくなり、出没しかけた等の効果と被害の拡大がありますが、現状認識についてお尋ねします。

(2) サル被害対策の今後の方針について

サルについては、生息地域が限られており、被害額も1%と少額でありますが、その地域での被害、とりわけ精神的な被害はシカなどの比ではありません。近年は、稲にもつく等エスカレートしています。また、高齢者の生きがいづくりのための家庭菜園への被害は、栽培意欲を削ぎ、ひいては老化や認知症を進めることにもなりかねません。サル監視員の継続と追い払いの機材や有効手段の共有、意見交換などの取組についての今後の方針についてお尋ねいたします。

4.農協との連携強化と指導監督について

 
 農業の再生は、牽いては地域の再生につながると思います。そのためにも、農協との連携強化、本来の農協のあるべき姿に期待するところですが、現状は決してそうとなっていない様に思います。

 平成23年度の県産米の流通状況の内、農協取扱量の状況は23%、また農協取扱量の内、農協直売量は、33%であり残りは全農の扱いとなっています。また、平成22年度の県全農協における職員数6,805人の内、営農指導員数は302人で、4.4%でしかありません。
 また、平成21年5月に農林水産省がまとめた「農協の現状と課題について」中、担い手農家の農協に対する意識によると農協が取り組むべき事業である必要性と当該事業について農協が取り組んでいる場合の満足度は、次のようになります。

①市場を通じた販売については、必要であるとの回答が80%、満足しているとの回答が29%、②農産物直売所(農協経営)での直接販売については、必要であるとの回答が79%、満足しているとの回答が37%、量販店・生協等(農協扱い)への直接販売については、必要であるとの回答が79%、満足しているとの回答が28%となっています。

そこで、都道府県の区域を超えない区域を地区とする農協、都道府県の区域未満を地区とする農業協同組合連合会については、都道府県が行政庁としての指導・監督を行うことになっていますが、そのことに対する認識と現状、併せて中央会等との連携についてお尋ねいたします。

●県土整備部

1 合併支援道路の平成23年度末進捗状況と今後の方針について
2 社会基盤整備プログラム(平成20年度~30年度)の平成23年度末進捗状況とプログラム見直しの際の生活道路の整備方針について
3 明らかに地域間格差が生じているとみられる社会基盤整備について
4 緊急防災・減災対策事業について
5 播但連絡道路の利便性の向上について

全文

決算特別委員会 [ 10月17日(水)県土整備部・上野議員 ]

1 合併支援道路の平成23年度末進捗状況と今後の方針について

合併支援道路は、「新市町内の公共施設等の拠点を連絡する道路などについて、短期間で整備が図られるよう優先採択・重点投資を行うことにより、合併市町村の一体化の促進を図る。」ことを目的として、本県では平成17年度に合併支援道路整備事業計画を策定し、整備を進めているところですが、平成23年度末の進捗状況と今後の方針についてお尋ねいたします。また、ここからは地元ネタになりますが、合併支援道路と一体的に整備されている神河町の県道岩屋生野線の越知谷小学校以北と、加美宍粟線の山田・中村区域の今後の整備方針についてもお尋ねします。

2 社会基盤整備プログラム(平成20年度~30年度)の平成23年度末進捗状況とプログラム見直しの際の生活道路の整備方針について

 県では、投資事業評価システムとあわせて、社会基盤整備の実施過程の透明性を確保するため、各地域(県民局)ごとに「社会基盤整備の基本方針・プログラム」を平成14年3月に策定し、「地域ビジョン」に示す地域の将来像の実現に向けて、効率的・計画的な社会基盤整備を進めてきました。

そして、新行財政構造改革推進方策の下、限られた財源の中で、一層の選択と集中による効率的、効果的な社会基盤整備を進めるため、現計画内容を見直し、平成20年12月に新たな「社会基盤整備プログラム(平成20~30年度)」として改訂されました。その時の見直しは、経済情勢の変化からくる見直しと進度調整に重きがあったように私は捉えています。

道路整備に限って述べますが、私は次のプログラムの見直しは、さらに現実的な整備プログラムとする必要があるのではないかと考えます。例えば、中山間地の生活道路の役割が強い県道整備については、全線を2車線歩道付きにすることが望ましいことですが、地形的に制限がある区間や民家の移転を伴うような区間については、後に回してでも整備区間を延伸するなどの方針です。

このような具体的な整備方針等を明確にして、その上で市町や関係自治会との意見交換を図ることがこの1年半の間に必要ではないかと考えます。ついては、社会基盤整備プログラムの平成23年度末の進捗状況とプログラム見直しの際の生活道路の整備方針について、県のお考えをお尋ねいたします。

3 明らかに地域間格差が生じているとみられる社会基盤整備について

 具体的に路線名を言いますが、おそらく県下において私が指摘する路線以外でも同じようなところがあるのではないかと思います。
主要地方道西脇八千代市川線の市川町保喜から下牛尾までの区間及び県道甘地福崎線の市川町部分です。また私が言うのはおこがましいですが、一般質問で春名議員がおっしゃっていた加美宍粟線の一宮でも同じことが言えるのではないかと思います。

西脇八千代市川線は、船坂トンネルが整備されてから飾磨港から多可町、丹波市へ、木材チップを運搬する大型トラックが多く走行するのをはじめ、非常に危険を感じる道路状態です。先日も、地元区長さんをはじめとする役員さん、町会議員さん、市川町役場担当課長、県土木福崎事業所長、そして私と現地立会をしていましたが、目の前でその大型トラックと対向の車が行き交うことができず急ブレーキを踏む場面が幾度もありました。

しかし、当路線は道路の両側に民家が連坦しており、現道の拡幅整備には多額の費用を要します。もちろん地元の意思決定が必要ですが、ほ場整備と合わせたバイパス整備、岡部川東側の町道を利用したバイパス整備など、具体的な整備方針が必要です。
甘地福崎線は、JR播但線と市川に挟まれた地形的な制限があります。しかし、全線ではありませんので、制限を受けない部分をまず拡幅改良するなどの方針が必要です。
これらの路線の今後の整備方針について、県当局のお考えをお尋ねいたします。

4 緊急防災・減災対策事業について

(1)緊急防災・減災対策事業は、東日本大震災の復興増税を財源としたもので、津波対策、地震対策、風水害対策として、平成23年度の補正と24年度予算の一般会計と流域下水道事業特別会計を合わせて総事業費184億1千万円が計上されています。マスコミで連日復興財源の使途についての報道が賑わせていますが、県土整備部の事業として、緊急防災・減災対策事業の主旨に適した執行がなされているのか、まず、お伺いします。

(2)私は、特に風水害対策として実施されている「地域の河川緊急改善事業」については画期的な取り組みだと思っており、地元の人たちとともに喜んでいます。従来から中上流域における河川改修までとは言わないが、洗掘、土砂の堆積等々、事前に災害に備える小規模な対策事業ができないかと思っていました。それだけに本当に喜んでいます。そこで、県下における地域の河川緊急改善事業の実施状況と今後の取り組みについてお尋ねいたします。

5.播但連絡道路の利便性の向上について

(1)播但連絡道路は、昭和48年11月1日に砥堀・福崎間が供用開始に始まり、平成12年5月27日に姫路から和田山までの全線が供用開始いたしました。そこでまず、播但連絡道路の経営状況についてお尋ねいたします。

(2)次に、平成19年10月1日の第292回兵庫県議会の一般質問で、藤本正昭議員が播但連絡道路の利便性の向上、ETCの整備充実について質問されました。当時の井上俊廣県土整備部長の答弁は、「残る料金所への無線ETCゲートの整備につきましては、交通量が少なく設置や管理に多大な費用を要するため、今後のETCの利用状況を見ながらの検討とさせていただきたいと考えております。」でありました。

また、9月7日の中播磨地域づくり懇話会では、市川町長より知事に対して「ETCよりも無料化」の要望が出されました。
 ETC搭載車は、現在かなりの率となっています。井上部長の答弁では「今後のETCの利用状況を見ながらの検討」でありました。また、播但道沿線の住民、特に神崎郡の人間は但馬地域とのつながりも強く、北近畿豊岡自動車道や整備中の鳥取豊岡宮津自動車道の無料通行や、福崎北料金所以北のETCレーン設置がなされないこと、同じでないことに対して大きな不満を持っています。

もちろん、道路管理者が異なる、あるいは、山陰・但馬地域の振興を図ることには理解をいたしますが、管理者の違いで住民サービスの提供に差があることに対しては納得がいきません。また、現在、社会実験で通行料金が割引サービスされていますがその割引サービスの今後についても心配をするところです。
そこで、私は、現実的にはETCをどうするのか、割引サービスがどうなるのか、そのうえで無料化は実現できるのかと考えるわけですが、当局のご所見をお伺いします。

●総括審査

1 財政状況について
(1)平成23年度決算に対する評価について
(2)人件費削減に対する考え方について
2 将来負担を考慮した公共事業について
3 県民交流広場事業の成果と課題を踏まえた今後の事業のあり方について
4 少子化対策の総合的な推進について
5 日中関係の悪化に伴う本県経済への影響について
6 農業の再生と自立的経営に向けて
7 いじめ対策における教育委員会の役割について

全文

決算特別委員会 [ 10月23日(火)総括・上野委員 ]

それでは、民主党・県民連合議員団を代表して、早速、総括質問をさせていただきます。

1 財政状況について

(1)平成23年度決算に対する評価について

はじめに、平成23年度決算に対する評価についてお伺いします。
平成23年度は、行財政全般にわたる総点検を踏まえて作成した、第2次行財政構造改革推進方策(第2次行革プラン)がスタートした年でありました。本県の財政状況は、平成11年以降、数次にわたる行財政構造改革の取り組みを進め、県当局は、第2次行革プランに基づき、県政の仕組みと財政の健全化に向けて、鋭意努力されているところでございます。

国の中期財政フレームに基づき一般財源総額が平成22年度並に抑制される中、社会保障関係費の自然増に対応せざるを得ない厳しい財政環境であることに加え、収支不足が平成29年度まで続くことが見込まれるなど、今後も引き続き厳しい財政状況が続きます。

また、社会保障・税一体改革に伴う社会保障制度の見直しや地方消費税、地方交付税などの歳入歳出への影響、国家公務員の給与や退職手当の見直しに伴う地方公務員制度への波及など国の政策動向に不確定要素が多いうえ、景気低迷やデフレが長期化する現在の社会経済情勢の中では、前年度の決算に対する分析を、翌年度の予算に的確に反映させることが困難な状況になってきています。

しかしながら、このような状況下にあっても、本県が、「21世紀兵庫長期ビジョン」に掲げる「創造と共生の舞台・兵庫」を実現していくためには、自律的な財政運営を行っていくことが必要不可欠であります。その前提として、昨年度1年間でどのような事業にどのようにお金が使われたのかを明らかにする決算の役割は、今後の施策運営に向けて、極めて重要であります。加えて、県民に対してわかり易く説明責任を果たすことが同時に求められることは言うに及びません。

そこで、平成23年度決算の状況について、平成22年度の決算や平成23年度の予算を振り返り、県としてどのような成果があり、どのような点が不十分であったと考えているのか、知事として、平成23年度の決算を総括していただくとともに来年度の予算編成に向けた意気込みをお伺いします。
 

(2)人件費削減に対する考え方について

 次に、人件費削減に対する考え方についてお伺いします。
公務員の給与は、労働基本権のうち団体交渉権が制約されていることから、国家公務員においては人事院勧告制度において、県においては人事委員会勧告制度において、それぞれ勧告された後、労使の合意を経て決定するシステムとなっています。本県では、労使間で合意した給与から、新行革プランの実施にあたり、さらなる労使の合意を経て年当り1人平均5%、32万円のさらなる独自カットを行い、現在に至っています。

しかし、労働組合は新行革プランのスタートに当たって止むを得ず合意したのであって、将来にわたって永遠に認めたものではないとして、独自カット分の復元を常に求めているのも事実です。行財政構造改革を推進していく上で、県民に痛みを求めるにあたり、知事をはじめ幹部職員が率先して自らの賃金カットを行うことは一定仕方がないことだと考えますし、労働組合もスタートにおいては知事に協力したものだと思っています。

この間の県当局における財政運営には、見事なものを感じます。3年ごとの見直しに加え、国の政策動向に対しても的確に対応されており、平成30年までの行革プランの実施、本県の財政再建には揺るぎのないものだと確信しています。しかしながら、第2次行革プランの最終年度である平成30年度においても、また新たな行財政改革が始まるのではないかと危惧するのは、私だけではないと思います。

行革による人件費の削減が、年1人当り32万円で対象職員約6万人を掛け合わせて、約200億円となっており、大きなウエイトを占めています。財政健全化の成否が人件費削減に大きく依存していることや一般財源の確保において人件費削減が手っ取り早いことは間違いのない事実だろうと思います。

昨年度の経常収支比率は、99.3%となっており、平成22年度と比べ4.8ポイント上昇しています。かなり良くない数字でありますが、給与の独自カットがあってその数値であります。知事は、決算の記者発表で、「減収補填債の発行可能額が45億円あったにもかかわらず、発行しなかった」と、堅実な財政運営を行っているかのように述べられていますが、よく考えていただきたいと思います。

今春の予算委員会で我が会派の藤井委員の質問に対して、当局より「なるべく早く給与抑制措置を解除したい気持ちを持っているし、25年度の見直しにおいても、そのような気持ちを持って人件費の問題も措置していく」旨の答弁がありました。また、私は5年という年数は、労使間協議においては、一つの節目だと考えます。

そこで、これまでの職員の人件費削減の協力が、本県の財政健全化にどのように寄与してきていると認識しているのかご所見をお伺いします。また、来年度の総点検が、県行革の正念場であると考えますが、取組みに向けた基本姿勢についても併せてご所見をお伺いします。

2 将来負担を考慮した公共事業について

次に、将来負担を考慮した公共事業について、お伺いします
この決算特別委員会審査の中では、政権交代後の「コンクリートから人へ」という方針が、すべての公共投資を止めているかのような議論がありました。

しかし、投資事業全体の推移を見た場合、平成14年度の3,690億円から平成23年度で約2,331億円と、この10年間で約37%削減されています。この金額2,331億円は決算数字でありますので、災害復旧費と決算での上積分等を除けば新行革プランに示された他府県の投資水準にと近い数値です。

投資事業の規模は、現在の財政状況だけでなく、将来負担も見据えたものでなければなりません。今、私たちが考えなければならないのは、事業ごとの投資効果の測定にとどまることなく、人口減少社会を前提に、いかに将来世代の負担に耐えうるかという視点が必要であります。

さて、今後、「防災や減災」をキーワードに投資事業が行われる可能性が強まっており、兵庫県においても、現在「津波防災インフラ整備5箇年計画」が検討されており、今年度末には計画が策定され公表されることになっています。県民の命を守るために投資を行うことはもちろん重要ではありますが、計画の策定にあたっては、将来負担も見据えていくべきであると考えています。

現在、県では投資事業評価システムで費用対効果も含めて事業の必要性等についての審査が事業単位で行われるなど、限られた財源の中、優先順位の高いものに絞って事業を展開しており、また、県民局単位で社会基盤整備プログラムを策定して透明性・公平性の確保を図っています。この点については、高く評価をいたしています。

そこで、今後は公共事業への財源確保がより一層厳しくなりますが、このような中にあっても、将来世代に対して過度の負担をかけることなく、真に必要な公共事業を着実に展開し、より一層の「選択と集中」を求められることとなりますが、今後の公共事業の実施にあたっての基本的な考え方についてお伺いします。

3 県民交流広場事業の成果と課題を踏まえた今後の事業のあり方について

  
次に、県民交流広場事業の成果と課題を踏まえた今後の事業のあり方についてお伺いします。
県民交流広場事業は、各市町とも連携しながら、県として、その事業推進に力を入れて取り組んで来られました。成果として、県内各地で、多くの県民の方々が参画し、様々な取組を展開されてきています。

その中には地域によく溶け込み、NPO法人として自立し、活発な活動を展開している広場もあります。住民同士のつながりが既に定着し、活動領域をもっと広げていきたいと願っている方が多い地域にとっては、有効性の高い事業であると、私は評価をしています。

我が会派の盛委員の質問に対する答弁では、「県としては、毎年全ての県民交流広場を対象に活動状況のアンケート調査を実施しているとともに、助成期間中の広場に対しては、活動実績報告、会計書類などによる内容確認の実施、聞き取り調査などにより分析・把握・指導を行った結果、概ね所期の目的に沿った運営がなされており、コミュニティづくりの呼び水となっていると認識をしている。また、補助金が無くなったいずれの地区も、活動が継続されている」とのことですが、自立し地域に根付き努力をしているという広場は、県の調査よりかなり少ないというのが私の実感であります。

また、補助金が無くなった広場に対する活動実績調査での回答の中に、「活性化につながっていない」「住民の関心が低い」「スタッフの高齢化、人材不足」などを挙げている団体が、少数ではあるが存在するとの勇気ある回答もいただきました。
以上のことから推測するに、活動継続に対する意欲、活性化に資するための努力が見られない広場が案外多く潜在しているのではと思われます。

県では今後、活動充実を支援するためのフォローアップに取り組むとのことでありますが、先ほど、述べました「地域に溶け込み、従来の自治会活動ではなかなか成し得なかった場の提供、広場」という観点から、調査選定や中間審査などの基準精査、活動状況の実態を把握することが重要であります。

『スポーツクラブ21』や『県民交流広場』のような自発的・主体的運営による地域コミュニティづくりの支援事業を展開していくことは今後も必要ですが、目的・趣旨に沿った事業展開できない地域への対応への視点を持つとともに、真にその事業を必要とする地域に重点的に支援していくことが求められます。

そこで、以上の点を踏まえ、県民交流広場事業のこれまでの成果と今後解消すべき課題についてどのように認識されているのか、今後の地域コミュニティづくりのあり方と併せて、当局のご所見をお伺いします。

4 少子化対策の総合的な推進について

 次に、少子化対策の総合的な推進についてお伺いします。
知事は、新ひょうご子ども未来プランの中で、「少子化問題をすぐに解決する切り札はありません。」とし、「今後5年間(平成23~27年)の出生数24万人を目標とし、「子どもを産み育てる」などの6つの柱に、少子対策・子育て支援を総合的に推進します。目標の実現には、県民、事業者、団体、行政等が互いに連携しながら、それぞれの役割を担っていくことが欠かせません。」と述べられています。多種・多彩な少子化対策が、健康福祉部をはじめ、産業労働部、企画県民部など各部局に亘った総合政策となっています。 

昨年度、政府が実施した「子ども・子育てビジョンに係る点検・評価のための指標調査」によれば、「目指すべき社会の姿」の達成度について、「意欲を持って就業と自立に向かうことができる社会」に対して「そう思わない」と「あまりそう思わない」の合計が57.1%となっています。同じく「誰もが希望する幼児教育と保育サービスを受けられるような社会」が計55.6%、「仕事と家庭が両立できる職場環境の実現が可能な社会」が計51.0%と評価が低くなっています。

 子ども・子育てビジョンの取組に関して1番目から5番目に不十分だと考える項目では、「若者の自立した生活と就労に向けた支援」が上位5つの合計で37.6%、次いで「長時間労働の抑制、テレワークの活用等、働き方の見直しに向けた環境整備を図る取組」が32.8%、「育児休業制度その他の両立支援制度の普及・定着及び継続就業の支援とともに、子育て女性等の再就職支援を図る取組」が29.9%、「児童虐待を防止するとともに、社会的養護を充実する取組」が28.8%、「待機児童の解消や幼児教育と保育の質の向上等を図る取組」が26.0%となっています。

 この調査から本質的には、雇用・就労・労働環境改善が如何に求められているかだと思いますが、また、同時に結婚・出産・育児について多くの不安を持っていることがわかります。
そこで、新ひょうご子ども未来プランの2年目として、少子化の現状をどのように認識し、取り組まれたのか、その施策の推進状況と成果についてお伺いします。

5 日中関係の悪化に伴う本県経済への影響について

 次に、「日中関係の悪化に伴う本県経済への影響について」お伺いします。
 9月11日の日本政府による尖閣諸島国有化以降、中国国内において、デモ活動等が激化し、一部が暴徒化するなど、憂慮すべき事態が続きました。また、報道によれば、中国の反発を受け、日中国交正常化40周年の記念事業や交流イベントの中止や延期が、全国各地に広がっているなど、両国関係の基盤である草の根交流にも深刻な影響が出ていることがあらためて浮き彫りとなっています。

 先日の産業労働部の部局審査では、「このような時だからこそ、本県においては、11月には広東省との友好提携30周年を記念して知事が訪問し、今後とも、姉妹省である広東省・海南省を中心に、経済、観光、文化など幅広い分野で交流を積極的に進めていく」との答弁がありました。

 しかしながら、周辺諸国と領土紛争を起こしている中国では、領土をめぐる問題は深刻であるとの見方もあるうえ、来月8日からの中国共産党大会で、次期総書記に就任が有力視されている習近平国家副主席は対米・対日強硬派とする見方もあり、関係の正常化に向けては、先行き不透明な状況がしばらく続くように思います。

県内からは、多くの企業が、中国に進出しており、本県の経済にも既に、影響が出始めているとの声が聞こえてきています。中国税関当局が先日発表した9月の貿易統計では、輸入は前年比2.4%増加したが、日本からの輸入は9.6%減少したとのことであります。日中両国の政府においては、日中関係の基本でもある戦略的互恵関係を改めて確認し、関係正常化に向けて取り組んでいただきたいと願っています。

そこで、日中関係の悪化に伴う、本県経済への影響について、どのように認識し、今後どのように対応されようとしているのか、ご所見をお伺いします。

6 農業の再生と自立的経営について

 次に、農業の再生と自立的経営について、お伺いします。
日本農業の現状は、世界的な穀物需給の逼迫や甚大な被害を及ぼす自然災害の発生、続発する食をめぐる事件などにより、安全な食料の安定供給や特長ある県産農林水産物への県民の期待が高まる一方で、農林水産業の現状は、従事者の減少や高齢化が進み、生産額、生産量とも減少傾向にあります。また、農地法の改正による農地改革をはじめとする農政改革が進む中、WTO農業交渉及びEPA・FTA交渉や、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉協議の動向なども見据えた農林水産業の展開も重要になっています。

 これまでも県では自立的農業経営を目指して、営農組合の組織化や法人化、他産業企業からの農業への参入、認定農業者の育成、農地の集積・規模拡大を図ってこられました。

農政環境部の部局審査では、平成23年度末時点で営農組合は、997集落が組織化され、法人化数も37法人となっており、今後法人化することを予定している組織(188組織)と、法人化すると見込まれる組織(40組織)を加え、合計約230法人に上ると回答をいただきました。また、法人化のメリットとして、私が指摘した経営における意思決定のスピードと責任の所在の明確化に加えて、①社会的信用力の向上による必要な資金調達の有利性や②取引信用力向上による販路の拡大、③営農組合自体が認定農業者となることで補助事業等の支援制度の活用が図れると回答をいただきました。これらのメリットを生かして、農業経営の安定、兵庫の農の再生に邁進していただきたいと思っています。

補助事業等の支援制度として最大のものが平成23年度より本格的にスタートした農業者戸別所得補償制度であると思います。
平成23年度の本県の全国順位は支払額78.8億円で20位、支払対象者は、平成22年度のモデル対策に比べて1,523件減少しましたが、65,798件となり全国1位です。

支払面積は349ha増加し全国13位でした。このような状況に至った主な要因として、農政環境部では、①集落営農の組織化・法人化が進展したことにより、複数の農家がまとまった。②水田活用の所得補償交付金だけ交付を受けていた小規模農家等のリタイア等によるものとされています。また、今年度も8月末での加入申請が昨年度の実績に比べ全国で7307件増えており、本県でも、606件増えています。農林水産省では、主食用米の生産者が、菓子などの加工用や家畜の餌に使う米に転作した場合に支払う交付金の申請が増えたのが主な原因としています。

私は、水稲栽培を中心とした日本農業において、農業者戸別所得補償制度が見事に大規模化、約50%の転作、自立した農業経営につながっていると考えています。私の地元のある営農の平成23年度決算では、約30haの経営規模で、販売収入約2,000万円、交付金が約1,550万円、決算で約550万円の黒字を計上しており、良好な営農状態となっています。

また、60kgのコメの生産単価は10,556円となっており、ひょうご農林水産ビジョン2020における目標である12,000円を既に達成しています。
そこで、農業者戸別所得補償制度が、農業経営を自立的に行っていくうえでどのような役割を果たしていると考えておられるのか、ご所見をお伺いいたします。
 

7 いじめ対策における教育委員会の果たすべき役割について

最後に、いじめ対策における教育委員会の果たすべき役割についてお伺いします。
「いじめ対策」については、今定例会において、各会派の議員から、現状認識、早期発見、マニュアル作成、警察との連携など、あらゆる面から質問されており、我が会派からも教員の多忙化を解消し、情熱を持って学習指導・生徒指導など本来の担うべき業務に専念し、子供たちと向き合える環境づくりを行っていくべき旨の質問を行ったところです。

9月の川西市でも自殺した県立高校の男子生徒がいじめを受けていた問題や大津市の中学2年の男子生徒が昨年10月に自殺した問題のいずれについても、共通していえるのは、現場の学校長の対応だけでなく、教育委員会の対応のまずさであります。
校長が「『不慮の事故』として全校生徒に説明したい」と遺族に打診したことについて、常任委員会でも問題になりましが、問題が起きた時こそ、オープンにしていく姿勢が必要だと考えます。

学校とご両親とのやり取りの中での思い違いや誤解があったかもしれません。また、加茂忍委員のご指摘にもありましたように、2年続きの定員割れの問題もあったかもしれません。しかし、それだけに、学校現場を管理・監督する立場にある教育委員会は、このような事件・事故が起きた際には、県庁から指示するだけではなく、現場対応に追われる学校長や教員が、遺族や生徒への対応に専念できるよう現場に出向いて支援していくなど、現場をフォローしていくことも大きな役割であると考えます。

そこで、いじめ対策において教育委員会として果たすべき役割について、どのように認識しているのか、今後のいじめ対策に対する教育長の意気込みと併せてお伺いします。

上野 英一
神崎郡

●財政状況

1 県債残高の推移について
(1)県債残高増加の原因について
(2)県債残高の減額対策について
2 収入未済額の改善について
(1)県税に係る収入未済について
(2)悪質滞納者対策について
3 社会教育関係施設における使用料確保について

全文

決算特別委員会 [ 10月10日(水)財政状況・盛議員 ]

1 県債残高の推移について

質問の第1は、「県債残高の推移」について、2点お伺いします。

(1) 県債残高増加の原因について

1点目は、「県債残高増加の原因」についてです。
平成23年度の行財政構造改革推進方策実施状況報告書によれば、昨年3月に策定された第2次行革プランに基づき、着実に行財政構造改革の取組を推進してきた結果、平成23年度における主な財政指標については、平成30年度までの財政運営を見越してその中間目標(H23~25年度)として設定された数値を、いずれも達成しています。
しかしながら、本県財政が大きく好転したものではなく、いまだ多額の収支不足が、平成29年度まで見込まれており、この収支不足に対しては、財源対策として、今しばらく、いわゆる退職手当債や行革推進債の発行、県債管理基金の活用で対応せざるを得ない状況にあり、引き続き、行財政構造改革の着実な推進が必要だと思われます。
さて、県債残高全体の合計額について過去10年間の経年変化を見れば、平成14年度の27,716億円に対し、昨年度は38,050億円と約1.37倍となっております。
このうち、通常債は平成18年度以降に減少傾向、減収補填債の残高はほぼ同じで推移しておりますが、財源対策債については、平成14年度の770億円に対し昨年度は4,942億円と約6.42倍、臨時財政対策債に至っては、平成14年度の625億円に対し昨年度は8,276億円と、実に約13.2倍にも達している状況にあります。
このように、過去10年間における県債残高の増加の主たる要因は、財源対策債及び臨時財政対策債の大幅な増加によるところが大きいと言えます。
そこで、まず、過去10年間において、財源対策債及び臨時財政対策債が大幅に増加した原因について、当局のご所見をお伺いします。

(2) 県債残高の減額対策について

2点目は、「県債残高の減額対策」についてです。
昨年度の県債残高の合計額が、10年前の約1.37倍となっており、この10年間、残高は毎年、増加傾向にあり、少ない時で約900億円、多い時であれば約1600億円の増加が見られます。
その増加の原因の一つが臨時財政対策債の増加であることは、先ほど申し上げたとおりですが、知事は、平成23年度予算案の記者発表において、「臨時財政対策債の発行が増えていますが、これは100%交付税措置されるため、財政悪化の原因にはならないと考えています」という主旨のご発言をされております。
しかしながら、そもそも県債は、一般家庭で言うところの借金に当たるものであります。たとえ将来的に補填される見込みがあるものが含まれているとは言え、健全な家計運営、財政運営を行う視点からは、借金、つまり県債の残高は少ない方が好ましいのは当然であり、その減額へ向けて不断の努力が必要であることは、これまでから本会議や委員会の場において、繰り返し指摘されているとおりです。
とするならば、臨時財政対策債の減額へ向けて国に必要な働きかけを行うなど、県としてしっかり取り組んでいく必要があるものと考えます。
また、一方で、財源対策債の増加も、県債残高の増加を招く要因となっており、県財政における収支不足額を如何に減らし、財源対策債の増加を抑制していくかも大きな課題です。
そこで、今後、これらの課題解決へ向け、どのような対策を取って行かれるのか、改めて、当局のご所見をお伺いします。

2 収入未済額の改善について

質問の第2は、「収入未済額の改善」についてです。
今定例会に提出された監査報告書によれば、健全な財政運営の実現へ向け、収入促進対策として、多額に上る各種の収入未済額の改善が求められております。
昨年度決算の一般会計における収入未済額の合計は約228億円であり、調定額全体の1.1%にも上っています。近年、金額・割合ともに減少してきてはおりますが、まだまだ多額である状況には変わりありません。
そこで、以下、その改善について、3点お伺いします。

(1) 県税に係る収入未済について

1点目は、「県税に係る収入未済」についてです。
平成23年度の本県の決算状況によれば、県税における収入未済額は、前年度より約23億3,500万円減少し、約198億8,100万円となっており、このうち、滞納繰越額は約142億4,500万円となっています。
滞納額に占めるウェイトの高い、個人住民税(県民税及び市町民税)については、整理回収チームの活躍や市町と連携した取組が功を奏しており、一定の効果を上げているものと承知をしており、私も評価をしております。私が住んでおります相生市においても、徴収対策室を立ち上げた際に平成18年度から3年間、県から派遣をしていただき前年度の市税徴収率が87.7%に対し平成20年度には5.6ポイント改善しています。また今年度は整理回収チームに入っていただき、効果を上げ喜んでいると市職員から聞いております。
しかしながら、個人住民税に比べ、他の諸税については、どのような取組をされているのでしょうか。
例えば、不動産取得税や自動車税などは、平成23年度決算における調定額に対する収入未済額の割合が、不動産取得税は法定徴収猶予分除きで9.2%、自動車税は3.6%と高くなっておりますが、これらについての県による税収確保の取組が、今ひとつ県民の方々に十分に理解されていないように思います。
この点、過去10年間の調定額に対する収入未済額の割合の推移を見れば、不動産取得税については、法定徴収猶予分除きで、平成14年度の14.9%から昨年度は9.2%となっておりますが、一方、自動車税については、この10年間、3%台後半から5%台前半を推移しており、更なる努力が望まれます。
いずれにしろ、税の公平性という観点から考えれば、県民の方々の理解を得ながら、収入未済額を限りなくゼロに近づけていく努力が必要だと思います。
そこで、個人住民税、不動産取得税、自動車税の三つについて、23年度における収入未済額の改善へ向け、例えば調定額に対する割合などの数値的目標を含め、具体的にどのような改善目標を定めて、どのように取り組み、その成果はどうであったのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 悪質滞納者対策について

2点目は、「悪質滞納者対策」についてです。
そもそも、住民の方々に税負担を頂くにあたっては、各々の分に応じた税を負担頂くことにより、個人では出来ないこと、あるいは弱さを担っている方々への援助といったサービスの実施を行政に委ねることで、お互いの住みやすさなどを求めていくという税の公平性の理念がベースに置かれなければなりません。
この点、昨今の厳しい社会経済情勢下で、支払いたくても支払えない方や、支払猶予を受けざるを得ない方もおられることと思います。
しかし、その一方で、税を負担する能力、資力があるにもかかわらず、意図的に支払いを免れようとする者も少なからずおり、毎年、こうした悪質滞納者による収納未済も一定量発生し、このような悪質な事案に対応するための人件費をはじめ、行政としては余計な金額の支出を強いられているのも事実です。
本来、税の公平性の理念のもと、真面目に負担されている大部分の方々からすれば、こうした悪質滞納者の滞納行為は許されるべきものではなく、県としても、必要に応じて、市町をはじめ関係諸方面の協力を積極的に求め、強力かつ実効性のある対策にしっかりと取り組んでいくべきであると考えます。
例えば、神奈川県の小田原市では、10年以上前に、悪質な市税滞納者については、市公報誌や掲示板にその氏名を公表したり、23項目にわたる行政サービスの提供を停止する条例を制定・施行し、一定の成果を上げていると聞いております。
そこで、このようなより実効性が高いと考えられる対策の導入も含め、県として、今後、どのように悪質滞納者対策に取り組んで行くのか、当局のご所見をお伺いします。

3 社会教育関係施設における使用料確保について

質問の第3は、「社会教育関係施設における使用料確保」についてです。
歳入全体のうち自主財源について、平成14年度からの経年変化を見ると、歳入総額の数字にはほとんど変化がありませんが、自主財源総額は、平成14年度以降、平成19年度に向けて概ね増加、その後減少の傾向にあり、昨年度においては、平成14年度に対し1.14倍となっています。
県税が概ね同じような増減傾向を示しており、他の項目の変化も総じて考えますと、県税による影響が大きいものと考えられます。
さて、自主財源に含まれる各項目を見た場合、自助努力によって歳入を増やすことが可能と言えるものは、県税や財産収入、諸収入の一部など限られておりますが、自主財源を少しでも増やそうと思えば、ここを頑張るしかないのは、皆さんご承知の通りです。
その中でも、使用料収入について見れば、県立美術館や歴史博物館、人と自然の博物館など、社会教育関係施設の使用料収入が、過去10年の間に約30~50%の減収となっており、使用料収入を確保するための取組を積極的に進めた上での結果であるのか、私は疑問に感じます。
使用料収入の確保に真剣に取り組むのであれば、例えば、施設によっては、集客容量から回転率を求め、そこから割り出した一日の利用率を設定することで、営業目標を立てて、戦略的に取り組んでいくことも可能ではないかと考えます。
そこで、23年度中の自主財源としての使用料の確保について、これらの施設ではどのような取組を行い、また、その成果はどうであったのか、代表的な事例を具体的に示しながら、ご説明ください。

●企画県民部①

1 県民交流広場事業について
(1)各地区における事業実績の分析・把握について
(2)各地区における活動の実状について
2 兵庫陶芸美術館の運営について
(1)昨年度の収支の内訳について
(2)美術館の収入状況に係る当局の認識について
(3)より一層の収入確保と費用節約について

全文

決算特別委員会 [ 10月11日(木)企画県民部①・盛議員 ]

1 県民交流広場事業について

質問の第1は、「県民交流広場事業」について、2点お伺いします。

(1) 各地区における事業実績の分析・把握について

1点目は、「各地区における事業実績の分析・把握」についてです。
県民交流広場事業は、皆様ご存知のとおり、地域の方々が小学校区単位で、その地域に根ざした地域づくり活動に取り組めるよう、県として、活動の場の整備や活動そのものに要する経費の一部を助成する事業であります。
平成16、17年度のモデル事業に始まり、平成18年度からは法人県民税超過課税を活用して、各市町とも連携しながら、県として、その事業推進に力を入れて取り組んで来られました。その結果、県内各地において、多くの県民の方々が様々な取組を展開されるに至っておりますが、既に、実施可能であると思われる地区はほぼ出尽くしたのではないかと思われます。
この点、同事業については、昨年度1年間で新たに43地区が事業着手し、モデル事業を含め計690地区で実施されたとのことですが、補助金については当然適切に使われていなければならないため、県において、会計書類の審査など細かな部分までしっかりと確認をされ、これら各地区における取組の状況等の把握に努めておられることと思います。
そこで、県として、同事業による取組を行っている各地区が、県が支出する補助金額に見合う効果や成果を上げているかどうかをチェックしていくため、県として、どのような方法により各地区における事業実績を分析、把握しているのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 各地区における活動の実状について

2点目は、「各地区における活動の実情」についてです。
同事業については、県下の全小学校区での取組実施へ向け、市町とも連携・協力し、県が積極的に地域に働きかけて行った結果、県下のほとんどの地域・地区で取組が行われております。
しかし、聞くところによると、取組を始めた地区の中には、県の方針を受けて、当該地区での実績作りのために、止むに止まれず取組を始めたようなところもあるようです。
このような地元の方々からの自主的、自発的な取組としてスタートしたとは言い難い地区においては、同事業による取組が進められたとしても、その取組の成果が、地域が自立していく方策や住民に受け入れられる事業の展開になかなかつながっていかないのが現状ではないでしょうか。
これらの地域においては、県からの補助金が無くなれば、結局は開店休業状態になってしまうのではないかと、私は懸念しております。
そこで、昨年度の各地区における取組の状況を踏まえた場合、取組が行われている全地区のうち、地域の方々が真に必要と感じ、その日常活動の中に取り入れられているような県民交流広場はどの程度あると認識しているのか、その代表的な活動内容を交えながら、ご説明ください。
あわせて、私が懸念しているような、県からの補助金がなくなれば地域での取組が継続できないような恐れのある地域はどの程度あると考えておられるのかについても、ご説明ください。

2 兵庫陶芸美術館の運営について

質問の第2は、「兵庫陶芸美術館の運営」について、3点お伺いします。

(1) 昨年度の収支の内訳について

1点目は、「昨年度の収支の内訳」についてです。
公的施設の中には、当然のことながら、必要経費の全てを自らの収入のみで賄う運営が行いにくい、あるいはそもそも行えない施設など、民間企業による経営にはなじまないが、県民福祉の向上の観点からは必要不可欠な施設として、行政がその管理運営を担っている施設があります。
そのひとつに、陶芸文化の発信基地・交流拠点として、県がその管理運営を担っている「兵庫陶芸美術館」があります。
同美術館は、陶芸文化の振興を図るとともに、陶磁器を通した人々の交流を深めることを目的に整備され、平成17年度の開設以来、古陶磁や現代陶芸の展示、資料収集保存、調査研究といった「美術館事業」はもとより、次世代の陶芸文化を担う人材の養成、学校等との連携、陶芸ワークショップや陶芸文化講座等の「創作・学習事業」に加え、セミナー室、工房等の貸館事業や地域活性化事業といった「その他の事業」に取り組んで来られました。
さて、同美術館の昨年度の決算状況を見るに、2億4,700万円の支出に対し、収入は、5,000万円余りとなっております。
そこで、まず、この昨年度の支出額のうち、純粋に同美術館の管理に要した経費の額及び各事業の実施に要した経費の内訳について、入場者や利用者一人当たりで算定した場合の平均金額を含め、ご説明ください。
あわせて、収入についても、それぞれの事業ごとの内訳を、ご説明ください。

(2)美術館の収入状況に係る当局の認識について

2点目は、「美術館の収入状況に係る当局の認識」についてです。
ただいま答弁にあったとおり、陶芸美術館における収入は、事業実施に要した経費のわずか20%程でしかない状況にあります。
そもそも陶芸文化の振興・発展を図り、陶磁器を通して人々の交流を深めるために運営されている施設ですから、安価な料金設定で多くの人々に活用してほしいと考えるのは当然ではありますが、多額の経費に比べ、収入の割合は低く、より一層の収入確保と費用節約に努めるべきことが望まれます。
そもそも公的施設である以上、その管理運営に一定の税金が投入されることは当然であると考えます。しかし、その投入は無尽蔵に認められるべきものではなく、費用対効果の観点も考慮しながら、一定のルールなり基準を設けて、そのコントロールを行っていく必要があるのではないでしょうか。
私は、純粋に施設の管理に要する経費については、県からの持ち出しとなってもやむを得ないものとは考えますが、個々の事業実施に要する経費は、本来であれば、自らの収入を充当し、賄っていくべきものと考えます。
このように考えた場合、陶芸美術館の収入は非常に少ないと言わざるを得ず、事業実施に要する経費や入場者や利用者が得る便益等を十分に勘案した上で利用料金を設定されているのか、疑問に感じます。
そこで、昨年度における、陶芸美術館の収入の状況について、また、その改善の必要性について、県としてどのように認識しているのか、当局のご所見をお伺いします。

(3) より一層の収入確保と費用節約について

3点目は、「より一層の収入確保と費用節約」についてです。
「元気で安全安心な兵庫」の実現に向けて重点的に取り組むべき分野、課題のそれぞれに対応した施策・事業を明示し、その具体的な方向をとりまとめている「県政推進プログラム100」では、陶芸美術館について、子ども料金を無料化する一方で、平成20年度までの3年間の平均年間入館者数10万人に対して、平成21年度から25年度までの間にこれを倍増させ20万人とするという数値目標が設定されています。
同プログラムの昨年度の実績によれば、対象期間となる5年間の中間年にあたる昨年度は、目標14万人に対し、131,517人となっており、「目標を概ね達成した」とされています。
この点、同美術館の立地条件を考えれば、都市部で交通の便の良い施設に比べ、決してアクセスの良い施設ということはできず、その来館者も陶芸に興味を持った方に限られるものであり、平成25年度までに入館者を倍増する目標達成は、そう容易なこととは思われず、より一層の営業努力が必要だと考えます。
ただ、県を挙げて行財政構造改革の取組が進められ、様々なところでコスト削減がなされるとともに、高い費用対効果が要求されている中、たとえ芸術分野、美術館と言えども、単に利用者数を増やせば良いというものではなく、これを現実の収入増加につなげていくなど、より一層の収入確保と費用節約に積極的に取り組んでいく必要があるものと考えます。
そこで、「県政推進プログラム100」における入館者倍増の目標達成が、同美術館における収入確保にどの程度貢献するのかを含め、今後、陶芸美術館におけるより一層の収入確保と費用節約にどのように取り組んで行かれるのか、当局のご所見をお伺いします。

●農政環境部

1 交流を通じた農山漁村への支援について
(1)農村ボランティアの登録・育成状況等について
(2)都市と農山漁村間の双方向の交流促進について
2 卸売市場の果たすべき役割等について
3 加工・業務用野菜への対応について

全文

決算特別委員会 [ 10月16日(火)農政環境部・盛委員 ]

1 交流を通じた農山漁村への支援について

(1)農村ボランティアの登録・育成状況等について

今、地方から都市部への人口流入が激しくなり、都市部に人口が集中した結果、地方の過疎問題と都市の過密問題が併存する状況が長く続いています。都市部の住民は、農村などにおける農作業や除草作業などに、休日などを利用して継続的に従事したいと考える人々が増えてきています。これは、日々の仕事や生活で溜まった澱のようなものを汗と共に流し出し、心身ともにリフレッシュしたいと考える人が増えてきたからだと言われています。

農作物を作り提供していくというところから農業を見渡していくと、生産業・加工業・サービス業など様々な業種の集合体であるとも言えます。楽農生活推進事業の事業目的に、「収穫の喜びや自然とのふれあいを通して、ゆとりと安らぎが実感できるライフスタイルの実現を目指す。」とされているとおり、農業は、まさに都市住民に対して、「ゆとりと安らぎ」を与えるサービス業の一面を持っています。

その一方で、中山間地域の農山村集落では、過疎化・高齢化により、農作業や伝統行事など集落の共同活動を続けていくことが困難になりつつあります。集落側にとっても、農村ボランティアによる農作業の支援をはじめ都市住民との交流に対するニーズは、今後ますます高まっていくと感じています。

そこで、23年度における農村ボランティアの登録・育成状況について、活動の状況や成果とともにお伺いします。

(2)都市と農山漁村間の双方向の交流促進について

都市と農山漁村の交流といっても、従来は、一方通行でしたが、近年では、双方向となっており、「単発的な浅い交流」から特定地域に根ざした「持続的で深い交流」に移行しているといえ、私も「双方向交流」を積極的に支援していくべきであると感じています。

都市と農山漁村間の交流は、『‘農’の素材を‘都市住民’へ提供していく』のが、基本的な枠組みであり、交流の期間や深度等それぞれの状況は様々ではありますが、最終的には、都市農村交流ビジネスへと発展し、交流を通じて農山漁村や中山間地域が活性化していくことを進めていくべきであります。既に、県におかれては、都市農村交流連携促進事業による交流活動や地域直売所整備促進事業による直売活動の支援などに取り組んでこられているところです。

そこで、都市と農山漁村間の双方向の交流は、いずれもがウィンウィンの関係に立ち、各々がメリットを享受できることがその前提となりますが、これまでの都市と農山漁村間の交流促進の状況について、今後の取組みの方向性と併せてご所見をお伺いします。

2 卸売市場の果たすべき役割等について

 
卸売市場流通は、卸売業者、仲卸業者等、中間流通経路があることから、流通マージンが上乗せされ、農家は自分の商品の値段が自由に決められないという不満があるとともに、消費者側も価格にその分が上乗せされ高くなっていると感じています。その双方の思惑が一致したかのように、近年では、流通チャンネルの多元化や取引形態の多様化、あるいは情報化の進展、さらには消費者ニーズの多様化により直売所や産地直送が増えてきています。生産者自ら値付けが出来ることや、評判が良くなれば収入も目に見えて増加すること、あるいは接客の中で客から直接評価され、励みになる、ということが挙げられています。

先ほどの質問では、都市と農山漁村間の双方向の交流により、最終的には交流を通じた都市農村交流ビジネスへ展開していくという観点からお伺いしましたが、直売所の設置を促進し、卸売市場を通さない取引は拡大方向に向っていくものと推測できます。

このように、卸売市場を取り巻く環境は、大きく変化しており、市場経由率は、年々減少の一途をたどっており、卸売市場のあり方も問われているところです。しかしながら、卸売市場には、生産者に対して安定的な販路を提供するとともに、価格形成機能、品揃え機能など、直売、産地直送では、応えることが困難な役割も担っているものと考えます。県でも、「生鮮食料品の需給と価格の安定、流通の円滑化を図る」ために流通近代化推進事業を実施されているところであります。

そこで、直売、産地直送が拡大する現状を踏まえ、生産者と消費者の要望に応えることのできる卸売市場の果たすべき役割についてどのように認識しているのか、23年度の流通近代化推進事業の実施状況とともにお伺いします。

3 加工・業務用野菜への対応について

 
野菜の計画的、安定的な生産・出荷に向けては、これまでより、生産農家の経営安定と県民への安定供給を図ることを目的として、野菜振興対策事業が実施され、野菜産地の育成を進めてこられています。
こうした中、国内野菜需要は、近年の生活スタイルの変化から、食の外部化が進展し、家庭消費用から加工・業務用に変化しており、平成22年には全体需要の56%を加工・業務用が占めており、家庭消費用の需要を超え、増加傾向となっています。

さらに、加工・業務用野菜は、輸入野菜のシェア率が高く、家庭消費用が2%台であるのに対し、加工業務用では30%と高い水準となっています。

しかし、一方で、平成19年から20年にかけて発生した中国製冷凍餃子中毒事件等による輸入食品の安全性に対する消費者の不信があり、この頃から加工食品において、国産志向が高まり、原料野菜に対する国産需要は、露地野菜を中心に増加する動きが伺えます。

この様な需要の動きにおいて、長野県の農業生産法人(有)トップリバーは、キャベツやレタスなどの野菜生産で外食や量販店の業務用需要に向けに約50社と年間契約し、他の農家と連携した供給体制を作り、契約栽培により売上げを11億円へ伸ばし、全国展開を進めていることは、既によく知られているところでもあります。

そこで、本県においても、野菜の計画的、安定的な生産・出荷の一環として、この様な加工・業務用の野菜需要を対象とした生産・供給体制の構築に向けた支援策を重点に行っていく必要があると考えますが、これまでの本県の取り組み状況、さらには、今後の展望について併せてお伺いします。

●病院局

1 指定管理者による県立病院の運営について
2 患者満足度について

全文

決算特別委員会 [ 10月19日(金)病院局・盛委員〔民主党・県民連合〕 ]

まずは、2年連続で黒字達成が出来たことは、喜ばしいことであり、皆さんのご努力に感謝申し上げる。
病床利用率が前年実績より0.5ポイント減少、計画値に対し1.6ポイント低かったことなどの改善を要する箇所はあるが、当年度純利益が約9億4,600万円、加えて退職給与引当金約15億7,000万円を計上することが出来た。この数字を加えた約25億1000万円の当期純利益は23年度の計画値を上回ることになる。
一般会計繰入金があるとは言え、今後しばらくは、このようにある程度の黒字を確保できそうな状況にある今、改めて関心を払っておきたいこと2項目について、お伺いする。

1 指定管理者による県立病院の運営について

はじめに、指定管理者による県立病院の運営について、お伺いする。
指定管理者制度に疑義を唱えるものではなく、県民の命、心身の健康を預かる病院局だからこそ、運用について気に掛けていることがある。
指定管理者に管理運営を委ねるということは、人事管理を含め協定で定めた業務内容については任せることができ、その分病院局の負担を減らすことができる。
その反面、指定管理者というフィルターを通すこととなるため、患者の満足度や指定管理業務に従事する職員の仕事に対する満足度、経営上の課題などについては、設置者である病院局からは見えにくくなったということでもある。
病院局も指定管理者もお互い目指す所は、診療・治療が患者や家族に満足してもらうことであり、大きな利益は出なくても、必要な利益を確保したいと願っているところである。
一般的に、公の施設において指定管理者制度を導入した当初は、同じ思いを共有しながら始めるため、良好な関係が続くが、年数を経るにつれて、指定管理料の交渉の中で不満が残るようになる。
例えば、①設置者である病院局は厳しい財政状況であることに加え、管理料の範囲内で運営上黒字になっていれば良いと言うことで、指定管理料を少しでも減額したいと要求が出始める。②しかしながら、指定管理者は、患者数の増加が見込めないなか、収益を上げるためには、顧客単価を上げていく努力をするが、それにも限界がある。さらに医師や看護師をはじめ人件費は勤務年数の長期化などにより増えていく。③指定管理者が、必要な利益を出すために、費用抑制を行えば、医師・看護など現場側から不満が出始め、離職が増え始めるなど患者への対応にも影響が出て、良くない噂がささやかれるようになる。その結果、患者満足度が下がり、患者数がより以上に減少し、その結果収益悪化をはじめとした経営上の問題点が顕在化していく、というように悪循環に陥るようになる。
以上のように収益が悪化しているにもかかわらず、指定管理料が削減されるという事態に陥らないよう、病院現場の管理運営の実態を指定管理料に適切に反映する仕組みが必要である。他の公の施設とは異なり県民の命を預かる県立病院にあっては、なおさら重要視すべき点である。
そこで、指定管理者による県立病院の運営を安定的に行うことができるよう管理運営業務の実態を適切に把握し、指定管理料に適切に反映する仕組みが必要であると考えるが、当局のご所見をお伺いする。

2 患者満足度について

次に、患者満足度についてお伺いする。
病院局における様々な経営改善の取り組みが功を奏して、医業収益が平成14年度に比べると1.27倍に増加し、2年連続で黒字を確保することが出来た。
当然のことではあるが、高度医療を提供していくには医療機器も随時更新していくことが必要であり、費用についても平成14年度に比べると1.21倍に膨らんでいる。
一方で、患者数については県立病院のうち半数の病院の患者数が減少あるいは横這い傾向にある中、平成14年度と比べて、入院患者1日1人当たりの単価は、1.53倍、外来患者1日1人当たりの単価についても1.58倍となっており、いずれも大幅に増加している。
しかしながら、消費者物価指数が平成14年度に比べると0.99倍で、この10年間若干の減少傾向を示していることや、長引くデフレ不況の状況を鑑みると、今後、診療単価を高めていくことには一定の限界がある。
さらに、今後、人口減少していくことを踏まえると、患者数の増加も見込むことはできず、いくら県立病院が高度医療を担っているからとはいえ、経営を取り巻く環境は、今後ますます厳しい状況になっていくものと考えられる。
監査委員からの決算審査意見書には、1人1日当たりの入院収益が増加した主な要因として、平均在院日数の短縮化等による入院料の収入増等と、記されている。
患者にとって、短期間で退院できることは、仕事や家庭生活など日常への復帰が早いことに依り、再び収入確保が可能になる、入院費用が軽減される、家庭で過ごすことに依る精神的負担の軽減など、喜ばしい面がある一方で、体調面をはじめ、退院に不安を抱いている患者にとっては、退院後の通院をはじめとして身体的・精神的負担が残る場合もある。
看護・介護をはじめとする家族などへの負担増、全体の治療期間が長引くのではないかと不安を抱くなど、退院に際して、患者側の状況を把握し患者が安心して治療に望めるよう、患者の意向を把握していくことが必要である。
そこで、以上の点を踏まえ、患者満足度の把握をこれまでどのように行ってきているのか、その対応状況と併せてお伺いする。

盛 耕三
相生市

●財政状況

1 財政状況の県民への説明責任について
(1)借換債平準化について
(2)財源対策について
2 行財政改革の取り組みについて
(1)市町との役割分担の見直しと二重行政の解消について
(2)各種補助金等の見直しについて
(3)業務改善について
3 人事構成の中長期的な視野に立った改善について
4 ライフ・サイクル・コストを意識した投資事業改革について

全文

決算特別委員会 [ 10月10日(水)財政状況・越田議員 ]

財政状況に関しては、過去から議会としても積極的に取り組み、すでに多くの先輩議員によって議論をされてきたわけではありますが、私としても「次の時代につけを残してはいけない」という強い思いをもって、質問をさせていただきたいと思います。
なお、今回の財政状況の質問をするにあたって、私は「世代」というテーマを設定させていただきました。
もちろん、今日の主題は平成23年度の決算状況であり、昨年度1年間の財政状況に対する質疑、質問となるのですが、財政状況は必ずしも1年だけで見るものではなく、過去からの財政運営の一つの成果であるとともに、この1年間の財政運営は、その後何十年にもわたって影響がある問題であるという視点にたって、以下大きく4点、7項目にわたり質問を行います。

1 財政状況の県民への説明責任について

  平成23年度は、国の中期財政フレームにより地方一般財源総額が平成22年度水準に抑えられているという厳しい環境の中で県政運営が行われました。
これからの兵庫県政の展望を考えたとき、知事が委員会開催時にご挨拶をされた通り、施策の「選択と集中」が重要になってきます。
ただ、言葉でいうほど「選択と集中」ということは簡単なことではなく、「なぜこの事業が選択されたのか?」「なぜこの事業が選択されなかったのか?」 ということに対し、県民に対してより一層の説明責任が求められるからです。
「財政健全化という総論は賛成だけど、うちの事業は削減されたくない」というのは、財政議論の中でよくある話です。そのような前提条件の中、その選択に理解を得るためには、何より財政状況に対し県民の皆さんに対し、正しい認識を持っていただくことが重要であり、行政としては、いかに県民に正しい財政状況を伝えるかということが重要な要素です。
説明責任を果たす、県民の皆さんに財政状況を理解していただくということは、財政健全化の第一歩であるということです。
そのような観点から、私が平成23年度の財政状況、ならびに財政運営に対し問題意識を持っている二つの点について、「本来あるべきではないかもしれないが、現実的な対応として行っている」という認識のもと、そのことの是非を蒸し返して議論するのではなく、どのように県民に説明をし、理解を求めていくのか」という趣旨で質問を行います。

(1)借換債平準化について

ここで、決算書に目をむけてみます。
平成23年度の決算において、実質公債費比率は単年度で16.6%、健全化判断比率となる3か年平均で19.5%となっております。
この数値は、前年度に比べて単年度で3.2%、3か年平均で1.5%改善しています。財政構造改革推進方策実施状況報告書で示された単年度21.5%、三か年平均21.6%という目標数値も、ともに大幅にクリアしており、一見すると、兵庫県の財政状況が好転しているかのような印象を受けます。
確かに、実質公債費比率が数字上好転しているということは、過ちではありませんし、財政運営を考えると喜ぶべきことではありますが、決算書や監査報告書等でも指摘されている通り、今回の数値状況の改善は、あくまでも「借換債の平準化」による影響が大きいということです。
つまり、実質公債費比率の改善は、必ずしも財政状況を正しく反映しているとはいえません。
なお、当初1328億円の発行予定であった借換債が、2月議会の中で1814億円へと増えたことなど、借換債平準化のそのものの是非等については、すでに予算委員会の中でも議論されておりますし、私自身も8月に行われた総務常任委員会の中で行いましたので、あえて異議を唱えるものではありません。
ただし、私たちが県民に知らせなければならないことは、表面的な数字ではなく、あくまでの実質的に財政状況がどうであったかということです。
そこで、「借換債の平準化」による、影響について、とりわけ財政指標への影響についてそれぞれに明らかにしてください。
また、今後、県民に対し「借換債の平準化」を含めた財政状況について、どのように説明をするのか、お考えをお聞かせ下さい。

 

(2)財源対策について

平成23年度決算は、当初予算で示された855億円の財源不足が見込みより大幅に改善され、681億円まで減額されました。非常に厳しい財政状況の中予算編成を行ったうえに、さらに執行段階にあたっても経費の節減等に取り組んでいただいたことと一定の評価ができると考えています。
実質単年度収支が黒字ということなので、何か兵庫県はお金が余っているような印象を与えますが、これも財源対策を行った結果であり、財政状況が厳しいことに変わりはありません。
行政改革推進債、退職手当債の発行、県債管理基金の取り崩しによる約686億円の財源対策は、財政運営における世代間の受益と負担の関係、世代間の公平性を考えるならば本来行うべきではないのは言うまでもありません。
ただ、本県の財政状況が、この2、3年で大きなヤマを迎えることや、財源対策を行わないことで生じる県民生活等への影響を考えると、一定の財源対策は現実的な対応であり、財政当局としても、苦渋の決断の中での財政運営を行っていると推察いたします。
しかし、兵庫県の将来負担比率は350%を超えて5年連続で全国ワーストという状況です。これからの財源対策は、将来世代に対して少なからず影響を残しているということとも、向き合わないといけないと考えています。
われわれが現時点で味わっている財政運営の厳しさの原因が、必ずしも現代の責任でなかったとしても、それを受け止め、次の時代へのツケを残さずに対応するというのが私たちの世代の責任だからです。
そのうえで、財源対策を行うのであれば、少なくとも後年度に対しどのような影響を与えるのかといことを明らかにするべきだと考えています。
とりわけ、退職手当債、行革債は、発生する利子等を考えると、後年度に与える現在の負担は発行額にとどまりません。これを県としてどのように把握し、県民に対してどのように説明をしていくのか?
当局のお考えをお聞かせ下さい。

2 行財政改革の取り組みについて

本県においては、行財政構造改革推進方策に基づき、県民の皆さんや職員の皆さん一人一人のご協力により一定の成果を出してきました。
しかしながら、長期間にわたる景気の低迷、税収の伸び悩み、高齢化による社会保障関係費の増大など、当局の皆さんの歳出削減に向けた努力が、一瞬で吹き飛ばしてしまうような厳しい状況に、皆さんの中に、ある種の無力感や厭戦ムードが出てくるのではないかということを危惧しています。
しかし、地方財政を預かる現場としてこれから生まれてくる子供たちのためにも、たゆまざる努力、知事のいうところの、スクラップ・スクラップ・アンド・ビルドの精神で取り組まなければなりません。
さて、行財政改革といったときに、喫緊の課題として、目の前の財政健全化に向けた歳出削減=「量的な改革」に取り組む一方で、「持続可能な行財政体質」の構築という、いわば「質的な改革」も同時に取り組まなければなりません。

とりわけ、人口減少社会を迎えた今、何もしなくても「今年より来年のほうが何か良くなっている」ということはありえず、中長期的な視野に立ち、常に身の丈に合った財政運営を行うために、事業の見直しができる体制を構築しなければなりません。
このような視点で、中長期的に「質的な改革」を進めるために、3つの視点で質問をしていきたいと考えています。

(1)市町との役割分担の見直しと二重行政の解消について

「行財政構造改革推進方策実施報告書(平成23年度)」では、「第二次行革プランに基づき、事業の必要性、県と民間・市町との役割分担等の観点から見直しを行うなど、選択と集中を徹底することで、一般事業費及び政策的経費について、平成23年度実績としては、平成22年度から88億円(一般財源で44億円)の見直しを行った」としている。
しかしながら、県の事業の中には「本当に県がするべき事業なのか?」「二重行政ではないか?」と思われる事業も依然として散見されます。
私は、それらの事業が「県民にとって不必要な事業」や「税金の無駄遣い」ということは申し上げませんが、より効率的な税金の使い道を果たしていくためには見直しが必要であると考えています。
なぜならば、本県においては大幅に縮減されたとはいえ、1年間で686億円の財源対策を行っており、「身の丈に合った仕事なのか」「借金をしてまでする必要があるのか?」といことを考えなければならないからです。
今後の県・市町との役割分担の見直しの方針、さらには二重行政の見直しなどについて、当局の見解を求めます。

(2)各種補助金等の見直しについて

   行財政構造改革の中では、政策経費として平成23年度は対前年度比9500万円の削減がされております。
行財政構造改革の中で、補助金等の見直しに関しては、事務費相当分10%削減と同時に、「先導的な役割を果たした補助金は見直す」と書かれています。
しかし、これから持続可能な行財政体質を構築するためには、このように「補助金を個別に見直す」「見直しをしないところは、事務費相当分10%削減」という手法ではいずれ限界が出てくると考えます。
そもそも、一律減額という措置は、短期的にやむを得ない措置であったとしても、県が標榜する行革の基本的な指針である「選択と集中」と矛盾する印象さえ受けます。
そこで、補助金等の見直しについて、この一年間でどのような検討をされ、今後どのような取り組みをなされるのか?

(3)業務改善について

平成23年度において、人件費は約5691億円計上されており、歳出にしめる割合が27.4%割合を占めています。
職員人件費は、昨今の景気低迷、民間給与の引き下げの影響などから、県民の非常に厳しい目が向けられています。
本県でも、給与の削減、定員の削減などが行われており、給与に関しては、職員平均で年間に32万円の削減が行われる一方で、定員に関しても、平成30年度には、平成19年度比で定員3割削減に向けて削減が進められています。
職員の皆さんのお話をお聞きすると、「これ以上、定員を削減されたらやっていけない」というような悲鳴に似た声をお聞きもします。
しかし、残念ながら今後大幅に職員数を増やすということは考えられず、「行政サービスを低下させず、少なくなる定員の中で業務を行っていくのか?」という非常に大きな課題を解決しなければなりません。
その際必要なのは、通常の業務の中で「無駄な業務はないのか?」という視点で業務の見直しをすること、さらには職員の皆さんの一人ひとりの業務効率を向上させていくことです。 
本年3月には、総務省「地方公共団体の職場における能率向上に関する研究会」が「ワークスタイルを変革する10のワークプレイス改革」と名を打った報告書を作成しました。
おそらく、今までも業務改善には取り組んできたと思いますし、報告書の内容には「すでにやっている」というものもあるでしょう。
ただ、この中で指摘されておる中には、より取り組みを推進するべきものもあると感じています。そのような観点から、県の業務改善に取り組む方針をお聞かせください。

3 人事構成の中長期的な視野に立った改善について

人件費の削減は、給与の削減と定員の削減によってなりたっています。
先ほども指摘のとおり、給与の大幅削減が続いている一方で、採用者数を抑制することによって、定員の削減も続いています。
現在の地方公務員法の枠組み、また公務員だけではなく日本の雇用環境や慣習から考えると、現時点ではやむをえませんが、そのことにより中長期的には大きな問題点が潜んでいると考えています。
それは、職員の皆さんの年齢構成です。実際に、一般行政部門の職員の年齢構成は、平成24年4月1日現在ですが、20代で545人、30代が1373人に比べ、40代が2523人、50代が2146人となっています。
 組織の中で若い世代が少ないということは、新陳代謝が十分に行われず、組織活性化の観点から問題あるということは、組織論などの世界ではよく言われていることです。平均年齢が高い組織ほど、仕事のやり方が保守的になるという危険性も指摘されています。今後様々な問題を引き起こす危険性が潜んでいます。
短期的にはこの問題を解決することは困難ではありますが、中長期的な視野に立って年齢構造の見直しを図らなければなりません。
また、このいびつな状況を改善していくことはもとより、このいびつな人事構成を前提として、積極的なモチベーションの向上策の展開、採用の見直しなどにより、組織の活性化に図る必要性を強く感じています。今後、このようなアンバランスな組織構成が続く中、いかに中長期的な視点で組織の活性化に取り組んでいくのか?

4 ライフ・サイクル・コストを意識した投資事業改革について

厳しい財政状況下、平成23年度は平成22年度の12月補正予算と合わせた16か月予算として、投資事業全体では平成22年度なみの投資水準を確保しています。しかし、この10年の推移を見てみた場合、平成14年度の3690億円からこの10年間で2/3程度まで投資事業規模が削減されています。
そのような中、兵庫県においても、投資事業改革に関しては、「つくる」から「つかう」へと重点をシフトしているのに加え、公共工事においても様々な経費縮減に取り組んでいます。
ただ、これからの人口減少社会であることを考えたときに、これだけでは不十分でさらに一歩踏み込んだ対応が必要だと考えます。
今後、人口減少社会を見据えた中で必要なのは、事業を始めるにあたって、「つくる」ときの費用だけではなく、「つくる」際に発行した公債の利子、維持管理や更新に関する「つかう」コスト、さらには「こわす」ときのコストというまでを含んだ、広い意味でのライフ・サイクル・コストを明らかにしたうえで、事業に取り組むべきです。
とりわけ、今後も厳しい財政状況の中ですが、政権の枠組み次第では、防災などへの投資事業が行われる可能性は高まっています。
たとえ必要な事業であったとしても、一定規模を超える公共投資に関しては、ライフ・サイクル・コストと、それによる県民利益を明らかしなければ、再び未来の世代に大きなツケを残してしまうことにもなるのです。
現在、兵庫県としては総合事業等審査会などで10億円以上の事業に関しては、費用対効果も含めて事業の必要性について審査が行われています。
兵庫県として、一定規模以上の投資事業に関しては、ライフ・サイクル・コストを明らかにしたうえで、事業を実施するという取り組みが必要だと考えますがいかがでしょうか?

●企画県民部①

1 ボランタリー活動の支援について
(1)県民ボランタリー活動助成事業の成果について
(2)ボランタリー活動の支援における県の果たすべき役割について
2 生涯学習における県と市町の役割分担について
3 物品調達について
(1)電子入札システムの導入効果について
(2)リバースオークションの導入について

全文

決算特別委員会 [ 10月12日(金)企画県民部①・越田委員 ]

1 ボランタリー活動の支援について

(1)県民ボランタリー活動助成事業の成果について

ひょうごボランタリー基金を活用した県民ボランタリー活動助成事業は、県民の地域活動への主体的な参画を促し、ボランタリー活動の裾野の拡大を図るとともに、県民自らが行うボランタリー活動の支援を通じて、活動の安定的かつ継続的な発展を図ることを目的とされており、地域安全活動、子どもの健全育成を図る事業、社会教育の推進を図る活動など、特定非営利活動促進法第2条別表に掲げる活動分野のグループに対し、1団体あたり3万円を限度として全団体一律の助成をしているところです。平成23年度実績では、ボランタリー活動団体3,334団体に対して助成を行っています。
ボランタリー活動の裾野の拡大という目的には賛同するし、各団体に対して助成を出すということも全面的に否定はしませんが、目的どおり裾野が広がれば、1団体あたりの助成額が減額される現在の仕組みで、果たしてボランタリー活動の裾野が拡大し、安定的かつ継続的な発展を図ることができるのでしょうか、甚だ疑問であります。
裾野を広げるという目的と安定的かつ継続的な発展を図るという2つの目的を両立させること自体に限界が来ているのではないでしょうか、この際、2つの目的を分離し、それぞれの目的にかなった事業展開をすべきであると考えます。
そこで、県民ボランタリー活動助成事業が、県民団体の裾野拡大にどのように役に立っていると考えているのか、事業全体の効果と併せてご所見をお伺いします。

(2)ボランタリー活動の支援における県の果たすべき役割について

 たとえ、施策効果のあるボランタリー事業であったとしても、そもそも、県が行う事業であるからには、その便益が広域的でなければなりません。例えば、「活動範囲が市町の区域内にあるような団体に対する支援等は市町で担い、広域的に活動する団体や、NPOを支援する団体などへの支援は県が担う」といったような、県と市町とが適切な役割分担のもとで、実施すべきものであります。
しかしながら、先ほどの県民ボランタリー活動助成事業のように、実際に助成を受けている団体やその団体の活動を考えると、必ずしも市町の区域を越えて広域的な活動をしている団体ばかりではなく、地域に根差した活動を行っている団体も多数見受けられます。
私はそのような団体の皆さんが、地域の福祉向上のため、それこそ手弁当で活動をしていただいていることに感謝を申し上げる次第でありますが、そもそも、第一義的にそのような団体の活動は市町が支援するべきであります。 
そこで、ボランタリー活動の支援に関して県の役割として果たすべき役割はどのように考えているのか、ご所見をお伺いします。また、ボランタリー活動の支援において県と各市町との現状を点検し、役割分担を改めて確認する機会も必要であると考えますが、この点についても、併せてご所見をお伺いします。
 

2 生涯学習における県と市町の役割分担について

生涯学習は、今後ますます高齢化が進んでいく社会の中で非常に重要な政策であります。私自身も「生涯にわたって学び続けることができる社会」を構築するべきだと考えていますし、我が会派の今年度の基本活動方針にも掲げているところです。
しかし、重要な政策だからといって全て県が行うべきではなく、先ほどの、県民ボランタリー活動助成事業と同様に市町との適切な役割分担を行う中で、限られた財源を効果的に使うことが必要であります。
したがって「県が生涯学習そのものに係るべきではない」というわけではなく、県でしかできないこと、県がすべきことを県が実施するべきというのが基本的なスタンスであるべきであります。
たとえば、全県的な生涯学習情報の提供、生涯学習指導者の育成などは、より広域的、専門的な取り組みのほうが効果的であり、このような事業は県がすべきであると認識しています。
一方で、県内7地域で行われている高齢者大学といった、直接住民に学習機会を提供する事業は、県内それぞれの市町でも行われている事業であり、二重行政という印象をぬぐえません。果たして、県が直接事業を行う必要あるのでしょうか。
もちろん、高齢者大学そのものが無駄というわけではありません。しかし、直接県が高齢者大学を設置しなくても、市町によりレベルの高いカリキュラムを提供するよう、市町に対し運営費を補助するという選択肢もあるわけです。
そこで、先ほどのボランタリー活動の支援と同様、生涯学習、とりわけ高齢者学習の推進における今後の対策として、「県・市町が役割を分担、連携しながら高齢者へ学習機会を提供する」としていますが、現状における県と市町の役割分担がどのように行われ、どのような点に課題があると認識しているのか、本来県が果たすべき役割と併せてご所見をお伺いします。

3 物品調達について

(1)電子入札システムの導入効果について

 入札については、他の自治体と同様に本県においても、公共工事と物品調達の区分で実施されています。本県の公共工事における入札・契約制度については、公正な契約手続きの促進と品質の確保を図る観点から、平成19年度より入札改革が進められ、①競争性の促進、②監視の強化、③透明性の確保などに取り組まれており、全国知事会のホームページで「都道府県における公共調達改革に係る先進事例一覧」として紹介されています。
一方、物品調達等についても改革が進められており、平成16年に電子入札システムが導入されて以来、資格者登録・入札、開札の手続きの電子化など、利用者の利便性の向上のほか、行政の効率化に寄与されてきています。また、昨年度からは、県内市町により運用されていた、兵庫県電子入札共同運営システムに県が参画して運用されています。出納局管理課が行う物品調達(購入・借入れ)のうち、契約予定金額3万円以上のものについては、原則として電子入札(見積合わせ)のみとなっています。
 この電子入札は、入札コストの削減や事務の効率化、透明性の向上など県にとってメリットがあるだけではなく、受注業者にとっても、県庁の入札室に出向くことなく、応札できることやインターネットを利用し、24時間いつでも、電子申請することができるなどの効果があり、ひいては、受注機会の拡大に繋がっていくものであります。
 そこで、物品調達における電子入札システムの導入効果について、現在、抱えている課題とともにお伺いします。

(2)リバースオークションの導入について

県の厳しい財政状況を鑑みれば、より一層の歳出削減が必要であることは、今更言うまでもありません。私は、物品調達にリバースオークションを導入することにより、更なる歳出削減が可能になるのではないかと考えています。
リバースオークションとは、「買い手が調達したい物品などの条件を提示し、制限時間の範囲内で、インターネット上で、売り手同士が自社の価格を競り下げていく方式の競争制度であり、既に、国や神奈川県で試行されており、いずれも、歳出削減の効果が確認されています。
国の取組みでは、政府の行政刷新会議の「公共調達改革プログラム」に基づいて41件の競り下げを試行し、その結果17.8%削減できたとのことであります。また、神奈川県でも、本年7月より既に3回の試行を行い、平均で18.8%の削減率となっています。なかでも、2回目に実施した、半期分のコピー用紙の購入では、3者による応札があり、1時間22分で12回の応札があり、開始価格が32,045,667円であったのに対し、最終価格が、24,812,981円となり、削減額7,232,686円、率にして22.6%も削減されています。
通常の入札が、価格を互いに伏せて行うのに対し、リバースオークションは競争相手の価格を見ながら何度でも価格を提示できるため、価格競争が起きて事業費の削減が期待できるといわれています。また、落札に至る経過等をインターネット上で公開され、入札が可視化され、透明性が確保されると同時に、民間業者同士の競争を促すことで、より安い価格での物品購入が可能になります。
 また、現行法制の中では、直接「競り下げ」による契約ができないため、手法としては調達そのものを委託するという手法になると想定せざるを得ないことや全ての物品でコスト削減効果が望めるものではないとは思いますが、本県においても、リバースオークションの導入に向けた取り組みを行い、物品調達改革を進めるべきと考えますがご所見をお伺いします。

●公安委員会

1 暴力団排除条例の成果と課題について
(1)1年間の取組成果と課題について
(2)県民の安全確保について
(3)脱退した元暴力団員への支援体制について
2 被疑者取調べ監督制度を活用した適正な取調べを担保するための取組について
3 東日本大震災の被災地支援で得た経験・教訓の検証と活用について

全文

決算特別委員会 [ 10月15日(月)公安委員会・越田議員 ]

1 暴力団排除条例の成果と課題について

質問の第1は、「暴力団排除条例の成果と課題」について、3点お伺いします。

(1) 1年間の取組成果について

1点目は、「1年間の取組成果」についてです。
暴力団排除条例は、平成22年10月に成立し平成23年4月より施行されました。
この条例は「暴力団による不当な影響を排除し、もって安全で安心な県民生活の確保に資すること」を目的としており、その目的を達成するために、第5条では県民の責務を定めるなど、「警察」対「暴力団」という構図から、社会全体で暴力団を排除するという、大きな変化を促すものとなっています。
暴力団を排除し、安全で安心な生活を確保するということは、県民共通の願いであり、私たち一人ひとりの力によって、民主的な社会を守っていくという意識が何よりも大切だと感じています。同条例の施行により、すべての県民や事業者などが暴力団と関係をもったり取引をしたりしてはならないという自覚を持ち、そのことが社会の中で徹底されれば、暴力団の壊滅に向けての大きな力になると考えます。
全国の状況を見ても、昨年10月1日に東京都と沖縄県で暴力団排除条例が施行されたことにより、全都道府県において暴力団排除に関する条例が施行され、暴力団組織に対する全国的な包囲網が整いました。
このような中、本県には、国内最大である指定暴力団六代目山口組が神戸市灘区に総本部を置いており、本県警察による暴力団排除へ向けた取組は、全国的にも注目を浴びているものと考えます。
この点、条例施行初年度であった平成23年度は、本県警察の暴力団排除へ向けた強い決意を内外に示し、企業や県民の方々の自覚を促す上で重要な1年だったと考えています。
警察をはじめ、県民や事業者、関係機関など、社会全体が一体となって暴力団排除を進められるかどうか、暴力団に対する「社会の包囲網」を強固なものにしていけるかどうかが、今まさに問われているのではないでしょうか。
そこでまず、暴力団排除条例施行後1年が経過しましたが、これまでの具体的な取組とその成果についてお聞かせください。

(2) 県民の安全確保について

2点目は、「県民の安全確保」についてです。
県民が一丸となって暴力団排除に取り組むためには、何より県民が悩む前に相談できる相談体制の充実や、さらには万が一にも身に危険が及ばないような安全対策が必要と考えます。
特に、暴力団排除活動に積極的に取り組んでいる県民の方々の安全を確実に確保する対策は、重要かつ喫緊の課題だと考えます。
例えば、福岡県では、暴力団追放運動を行っている自治会長の自宅に銃弾が撃ち込まれる事件や、暴力団排除を進めている大手建設会社の事務所で暴力団員とみられる男が拳銃を発砲し、社員にけがをさせるといった事件が続発しており、このような事件が、県民の意識に影響を与え、暴力団排除の取組が萎縮してしまうのではないかと、私は危惧しています。
社会全体で暴力団排除を進めていくためには、こうした排除に取り組む人々や企業を警察が守り、保護することの徹底が不可欠であるとともに、こうした事件について、警察が犯人を逮捕し、事件を解決することが是非必要だと考えます。
本県警察としても、「県民の安全は我々がしっかり確保するから、暴力団排除に向けて、一緒に取り組んでほしい」という強いメッセージが必要かと考えます。
そこで、県民の安全確保に向けた取組の現状についてご説明いただくとともに、本県警察としての強い決意をお聞かせ下さい。

(3) 脱退した元暴力団員への支援体制について

3点目は、「脱退した元暴力団員への支援体制」についてです。
暴力団排除に取り組むためには、入り口の段階で「暴力団に入らせない」ということ、「暴力団に対し社会全体で対処していくこと」とともに、「暴力団からいかに脱退させるか」ということが重要であると認識しています。
とりわけ、暴力団から脱会した方は、「元暴力団員」ということで、その後の就職などにも大きな影響があるため、その後の生活が苦しいとお聞きします。暴力団に入ったことはともかくとして、そこから脱退して社会の一員として、新たな生活をスタートしようとしている方がいるのであれば、そこに手を差し伸べ自立を促していくことが、社会にとっても、県民生活の安全にとっても重要なことだと考えています。
私たちの社会にとって、暴力団が減る、構成員が減少することは重要なことですが、最終的な目的は、あくまでも社会全体の治安を確保、維持することであり、県民が安全で安心な暮らしを続けることができるようにすることです。
脱退した構成員への対応に関しては、県警本部においても、従来からも取り組んでいると考えますが、今後、暴力団排除の取組が成功していくと、脱退した構成員への支援の取組は、より一層、その重要性を増してくるものと考えます。
そこで、脱退した元暴力団員への支援の取組の現状と課題、今後の方向性についてお聞きします。

<2 被疑者取調べ監督制度を活用した適正な取調べを担保するための取組について> 

質問の第2は、「被疑者取調べ監督制度を活用した適正な取調べを担保するための取組」についてです。
県民の安全な生活を確保するために、警察が果たす役割が大きいのは言うまでもありません。しかし、警察がその警察力を十分に発揮するためには、県民からの信頼を得るということが何よりも必要です。やはり警察にある強力な権限の源泉、正当性の根拠は、県民の大きな支持によるべきだと考えます。

さて、県民の方々が警察への信頼を失われる一つの大きな問題といえば、やはり冤罪の問題だと考えます。幸いなことに、兵庫県では問題になるような大きな事件はありませんが、全国でたびたび冤罪事件は起こっており、その原因としては、自白に偏重した取調べがあったということが、しばしば指摘をされています。

万が一、冤罪の被害者となった場合、その方が受ける負の影響は計り知れず、仮に、その後、冤罪だと判明した場合であっても、その権利回復には膨大な時間と多大な費用が必要となるばかりか、その方が受けられた精神的苦痛についてはその回復は不可能と言っても過言ではありません。

このような現状を踏まえ、私たち、民主党としてはこれまでから取調べの全面可視化を求めてまいりました。この点、確かに、警察庁の主導のもと、全国の警察において、取調べの録音や録画など、可視化へ向けた動きは少しずつ前進してはおりますが、我々が求めている全面可視化は、いまだ実現しておりません。

ただ、現場を預かる本県警察として、冤罪の発生を防ぐためにできることは何かということを考えたときに、今ある枠組みである「被疑者取調べ監督制度」を十分に活用して、取調べの適正化を担保していくということが必要だと考えます。

そこで、本県における「被疑者取調べ監督制度」の現状を含め、適正な取調べを担保するための取組状況についてお聞かせください。

3 東日本大震災の被災地支援で得た経験・教訓の検証と活用について

質問の第3は、「東日本大震災の被災地支援で得た経験・教訓の検証と活用」についてです。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、未曽有の大災害となり、多くの人命が失われました。

本県警察では、震災発生後、わずか49分で広域緊急援助隊を出発させるなどの緊急対応を行ったほか、今月1日時点で、延べ39,420人の隊員が被災地の支援を行っています。
私は、このような現場の皆さんのご労苦に心から感謝を申し上げるとともに、現場に派遣された隊員の皆さんだけではなく、それをサポートしている隊員の皆さんや、隊員が少なくなった中で通常業務を行っていただいている皆さんの頑張りの成果でもあることを付け加えて申し上げたいと思います。

さて、東日本大震災は、地震、津波、原子力災害という複合災害であり、被災地の至るところで、予め想定できていなかった事象が多数発生したことが明らかになりました。
確かに、阪神・淡路大震災の被災地である本県における防災対策は、他の自治体に比べ、非常に先進的な取組をしてきたところではあります。

しかし、阪神・淡路大震災から、既に17年以上がたち、さらには、この8月に、国からその被害想定が公表された南海トラフ地震の可能性も高まる中、本県警察としても、被災地へ派遣された隊員の方々が現地で得て来られた経験や教訓を活かして、あらためてあらゆる角度から、大規模災害発生時を想定した本県警察の防災対策を見直さなければならないと考えます。

そこで、東日本大震災被災地へ派遣した隊員の経験と教訓について、本県警察としてどのように評価・検証し、今後の大規模災害対策への本県の取組に活用していくのか、当局のご所見をお伺いします。

●教育委員会

1 いじめ対策について
(1)昨年度の状況と対応について
(2)いじめを重大化させないための取組について
2 学校現場における自殺予防対策について
(1)児童・生徒への自殺予防教育について
(2)関係機関と連携した検証について

全文

決算特別委員会 [ 10月18日(木)教育委員会・越田議員 ]

1 いじめ対策について

質問の第1は、「いじめ対策」について、2点お伺いします。

(1) 昨年度の状況と対応について

1点目は、「昨年度の状況と対応」についてです。
「いじめ対策」については、今定例会の代表・一般質問においても、各会派の議員から、繰り返しその取組についての質疑が行われました。
これらに対して、教育長は「いじめは人権問題で決して許されることではない」と答弁されております。また、いじめを早期発見する力をつけていくために、「いじめ対応マニュアル」を改定するということです。
さて、子どもへのいじめの問題が話題になってから、様々なことを考えさせられています。
「いじめを撲滅する」ということは、キャッチフレーズとしては正しいことですし、できることであれば、そのような方向で進んでいきたい。しかしながら、現実を見たときに、そのような社会が実現するまでには非常に高い壁があり、長い時間がかかるものと考えます。
私は、高い理想を掲げ、その実現へ向けて努力することも大切ですが、それと同時に、今ある現実を真摯に受け止め、そのうえでの対策を練っていくことも、今の子供たちを守るために必要なことであると考えています。
さて、文部科学省の「平成23年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果によると、昨年度の県下の公立学校におけるいじめの認知件数は、小学校で374件、中学校で481件、高校で103件、特別支援学校で11件、全体で969件となっています。
これを児童生徒1000人当たりの件数で見ると、小学校では全国平均の4分の1、同じく中学校では約3分の1、高校では2分の1となっており、常識的な印象からすると信じがたい数字であり、認知できていないものが多数あるのではないかと、私は危惧しています。そもそも、調査対象となる県下の公立学校が1,360校であることを考えると、いじめを認知できていない公立学校があるという、少し信じられないような結果ではないでしょうか。
そこで、同調査の際にいじめの認知件数ゼロと報告した学校が、本県内でどの程度の割合で存在するのか明らかにするとともに、本県におけるいじめの現状をどのように捉え、どのように対応しているのか、県教育委員会としてのご所見をお伺いします。

(2) いじめを重大化させないための取組について

2点目は、「いじめを重大化させないための取組」についてです。
いじめがゼロにならないことを前提としたうえで、これらの被害者に対して重大な被害をいかに防いでいくのかということが大きな問題です。
「いじめは重大な人権問題」ということですが、大津市の事件の報道や多くのいじめ事象で見られるように、もはや人権問題と言って済むことではなく、大きな犯罪行為であるということを加害者に認識させることが必要ではないかということです。
殴る、蹴るという行為があった場合には傷害罪や暴行罪、物を取ったり、壊したりした場合には窃盗罪や器物損壊罪として処罰される恐れがあります。その他、名誉棄損罪、侮辱罪、強要罪、脅迫罪、恐喝罪など、単なるいじめとして済まされないものがあるのは間違いありません。
もちろん、いじめのすべてが犯罪行為ということまでは申し上げませんが、実際にこのような悪質な事例が存在しているのが現実です。
学校においては、仮にこのような事例が起きたとしても、教育上の配慮から、警察への通報が行われることは稀であり、逆に被害者の方が不登校になるもしくは泣き寝入りするということが大部分ではないでしょうか?
実際に、先ほどの文部科学省の調査結果によると、いじめられた児童生徒が、緊急避難として欠席している事案が26件ある一方で、いじめた児童生徒が退学、転学、停学、出席停止とされたものはほとんどなく、自宅学習・自宅謹慎とされた事案が53件報告されているだけです。
私は、重大ないじめへの対策として、県教育委員会として毅然とした対応をする一方、警察との連携を促進するべきだと考えます。単なる人権問題として取り組むのではなく、社会秩序の問題、ルール違反の問題、さらにはルール違反をした場合、ペナルティがあるという毅然とした態度で取り組む必要があると考えています。
そこで、この点について、教育委員会のご所見をお聞かせ下さい。

2 学校現場における自殺予防対策について

質問の第2は、「学校現場における自殺予防対策」について、2点お伺いします。

(1) 児童・生徒への自殺予防教育について

1点目は、「児童・生徒への自殺予防教育」についてです。
大津市のいじめを原因とした自殺が発生して以降、「いじめ」「自殺」という言葉を聞かない日はなくなりました。また、本県においても、私の地元である川西市の県立高校の2年生男子が、自宅で自ら命を絶つという痛ましい事件が起きています。
この件に関しては、今定例会における一般質問等でも触れられました。教育長からも謝罪の言葉やいじめ問題に対する再発防止への強い決意をいただきましたので、この場では個別の事例に関して、具体的に触れることは致しません。
しかしながら、子ども達が自ら命を絶つという状況は、ニュースで報道されなかったとしても、連日どこかで発生しています。
実際に、兵庫県内の自殺者の数は、昨年度1,300人を超えており、その2.5%が20歳未満の若者とされています。
もちろん、いじめだけが自殺の要因ではなく、いじめ以外の人間関係や学業の問題などが想定されていますし、その原因は必ずしも一つだけではありません。
ただ、どのような状況であったとしても、自ら命を絶つという不幸なできごとをなくしていくため、いじめの未然防止に取り組むことはもちろん、学校現場における自殺予防へ向けた教育が必要だと考えています。
単に「命が大切だから」という繰り返し教えるだけでは不十分です。いざという時に、本人が自殺を思い止まるような日頃の関わりや指導が必要であることはもちろんですが、本人が思い止まるためには、周りの友人達の役割も重要になってきます。すなわち、自殺につながる前兆として、どのような言動がSOSのサインとして見られるのかを子ども達に理解させること、そして、何よりもその後にどう対応すれば良いのかを教えることで救える命があると考えます。
そこで、本県における児童生徒の自殺数の状況、またこれに対する当局の認識についてお伺いするとともに、今後、児童・生徒への自殺予防教育にどのように取り組んでいくのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 関係機関と連携した検証について

2点目は、「関係機関と連携した検証」についてです。
さて、毎年不幸にも多くの若者が自ら命をたっています。先ほどの質問でも述べさせていただいたことと同じ趣旨にはなりますが、自殺はゼロにしたい。しかしながら、現時点においてそれを実現するためには、まだまだ大きな壁があり、長い道のりが必要だと考えています。
そのうえで、私達は、子ども達が自ら命を絶つということに、本当に真摯に向き合ってきたのかということを考えざるを得ません。
川西市の事案では、県教育委員会からのアドバイスにより、「不慮の事故と発表したい」と学校長が遺族の方に述べたと大きく報道されました。
また、先日、報道でもありましたが、昨年12月に自殺した中学生の事例を、県教育委員会と相談の上、文部科学省の「問題行動調査」に報告をしていなかったという事実が明らかになりました。
私は、遺族の方が「公表してほしくない」と仰る場合にまで、無理に発表するということは、遺族の方の心情や子どものプライバシーの観点から望ましくないことは十分に承知をしています。
しかし、遺族の心情、子どものプライバシーに配慮することと、その事実から目を背けるということとは大きな違いがあると考えています。
私は、このような対応方針は、国から指導されているものかと考えて調べてみましたが、文部科学省の「緊急対応の手引き」の中には、『遺族が事故死として扱うと言われればそれを尊重しますが、学校が“嘘をつく”と子どもや保護者の信頼を失いかねませんから、「家族からは○○と聞いています」という表現に留めるなど工夫してください』とされています。
にも関わらず、県教育委員会が一連の報道にあるような対応を行ったとするならば、私はここに自殺という辛い現実を直視していない体質があるように思えてなりません。
遺族の理解、亡くなった子どものプライバシーは当然守らなければなりませんが、一人の不幸な出来事を無駄にせず、将来へ向けた課題を明らかにするためにも、少なくとも県教育委員会として、知事部局や警察本部をはじめ関係機関とも連携し、「どうすれば自殺を防ぐことができたのか」ということを検証すべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

●企業庁

1 総合経営計画の進捗状況について
2 産業用地の分譲と今後の方針について
3 水道用水供給事業における建設改良積立金について

全文

決算特別委員会 [ 10月19日(金)企業庁・越田議員 ]

1 総合経営計画の進捗状況について

人口減少社会の到来や県民ニーズの変化、さらには公的部門の役割分担の見直しの必要性が高まる中、企業庁では、平成15年度に「経営ビジョンを策定」、平成16年度から平成20年度までの「企業庁総合経営計画(前期5カ年)」を定め、それに沿った事業運営を進めてきました。
その後、平成20年度に県の新行革プランにあわせ、平成20年度からの6カ年にわたる「企業庁総合経営計画(後期6カ年)」を策定するとともに、第二次行革プランの改革内容に基づき改定され、平成23年度からは後期6カ年計画の後半戦がスタートするという1年でした。
本県の財政状況が厳しいのは言うまでもなく、とかく一般会計に目が行きがちではありますが、企業庁が取り扱う事業規模は大きいことから、議会においてもしっかりとチェックをしていかなければならないと考えています。
そこで、「企業庁総合経営計画(後期6カ年)」で示した目標と、平成23年度の事業成果を合わせ、どのように評価し、総括しているのかをお示しください。

2 産業用地の分譲と今後の方針について

 私自身は、兵庫県地域整備事業の在り方に対し、問題意識を持っています。
「兵庫県地域整備事業は、阪神地域、播磨地域及び淡路地域において、土地造成、施設整備等を行い、調和のとれた県土の発展に寄与するもの」とされていますが、そもそもこの事業をいつまで兵庫県として取り組んでいくべきであるのかを議論する時期に来ていると思います。
たとえば、平成23年度1年間の事業実績をみてみると、4社に11.5haを分譲していますが、これは売却可能面積112.8haの10%であり、後期6カ年で示された平成23-25年度で41.4haを分譲するという計画に届いておらず、このままの売却ペースで果たしてこの事業が成り立つのか心配になります。
 とりわけ、この事業の大部分を占める産業用地が売れていない状況は深刻だと考えます。企業庁としては、10000社のアンケート、300社の訪問などの目標を立てて企業誘致活動にも取り組んでいるようですが、昨年度に関しては大きな成果が上がっているとは言えません。
少なくとも工場誘致に関しては、産業労働委員会への審査でも明らかになりましたが、兵庫県は全国で最も誘致に成功している自治体であることを考えれば、企業庁が主張する立地特性や魅力は、民間企業にとって必ずしも魅力的な条件となっていないのではないかと懸念しています。
 そこで、平成23年度の実績をどのように評価しているのでしょうか?
とりわけ、決算書等の資料によると、平成23年度現在で、住宅用地など産業用地以外も含めて売却可能な約176万平方メートル存在し、その中で10年間売れていない土地が、44万平方メートル、約25%を占めています。 
この大部分が産業用の用地であるということですが、10年間売れなかった土地があるということの問題は、何も売却益が入らないという問題にとどまりません。維持管理に関するコスト、営業に関するコスト、さらに、売却したことにより派生する固定資産税などの収入が失われていることなど、売れない土地を抱えていること自体が大きな損失だと考えます。
この状況をどのように分析し具体的にどのような対策を行うのか?見解をお伺いします。

3 水道用水供給事業における建設改良積立金について

 第二次行改革プランにおいて、水道用水供給事業については「料金収入の確保、工事コストの抑制により経営の健全化を維持する」とともに「料金の低減化及び施設の耐震化、アセットマネジメント推進計画に基づく老朽管路等の計画的更新を推進する」と述べられています。
 料金を低減しながら、中長期的に経営の健全化を維持するという野心的な目標ではありますが、平成23年度においては非常に皆さんの活動の成果が出ていると感じています。水道事業といいながら、直接住民に水道水を供給する事業ではないため、県民の皆さんに努力が伝わりにくいのが残念ではありますが、ここの努力が、市町の水道料金の値下げにつながったり、現時点で値下げにつながらなかったとしても、中長期的には料金の安定化に寄与するものと感じています。
 しかしながら、将来の施設の更新を考えるときに、平成36年度から55年度が更新のピークを迎えるため、現時点の経営状況に一喜一憂することはできません。とりわけ、更新費用は積み立てたとしても、人口減少社会の中、どれだけの負担がその世代に押し寄せるかわからないのが現状です。
企業庁としては、アセットマネジメント推進計画に基づき、平成22年度から建設改良積立金を設置し、将来世代の負担軽減に取り組んでいます。
そこで、建設改良積立金の現状ならびに今後の資金運用をどのように考えているのかお伺いします。

越田 謙治郎
川西市・川辺郡