議会の動き

迎山 志保議員が一般質問を実施

平成25年9月 第319回定例県議会 一般質問要旨案

質 問 日:2013年9月30日(月)

質 問 者 : 迎山 志保 議員

質問形式 : 分割質問
 

1 ファミリー・サポート・センターの活用拡大について

質問の第1は、「ファミリー・サポート・センターの活用拡大について」である。
女性を活用する時代らしい。安倍政権は6月に成長戦略の第一弾として女性の活躍を中核に位置付けた。『保育所の待機児童ゼロ』『上場企業役員の一人は女性』『育児休業3年』。

3年の育児休業は少々現実味に乏しいものの、これら数字を挙げた推進は歓迎すべき意気込みである。また、成長戦略の成果目標として掲げられた『20/30』は、オリンピックイヤーとなる今から7年後の2020年に国会議員や上場企業取締役といった指導的地位にある女性の割合を30%以上にするというものである。そういう意味で県当局の状況も期待感を持って見守りたいと思っているわけだが、これだけ女性活用の効用がうたわれ、また生活安定のための就業の必要性が高まる中にあって、全国44位~45位の水準で推移している兵庫県の女性就業率の低空飛行が目につく。

働きたいと希望しているのに働けない人の半数弱が、45歳未満の配偶者のいる女性であるといわれており、女性の活躍を進める上で大きな鍵であることはいうまでもない。ここでネックとなっているのが女性側の家事・育児と仕事の両立への不安と企業側がリスクと感じる育児中の女性への雇用不安です。そこで、双方を解消する存在として、ファミリー・サポート・センター事業をさらに推進すべきと考える。

現在、県下28市町で運営されているファミリー・サポート・センターは、“育児の援助を受けたい人”と“育児の援助を行いたい人”とがお互いに会員になって、子育て中の人や働く人の家庭を地域で支えるシステムで、業務内容はセンターによって異なるが、病児預かりや保育園の送迎など子育て支援全般にわたっており、私も助けて頂いている。

現在、マザーズハローワークなどでも紹介されているが、この取り組みを企業においても福利厚生の一環として利用料補助を行うなど、活用の幅を広げてほしいと思う。そうやって需要を広げていくと、これが新しい就業の場となる。

援助を行いたい側に登録している知人は、勤務場所が近隣で、自分がやれる範囲の手伝いができ、少しのお小遣いになることで、大いに満足している。地域に顔見知りがたくさんできて、新しい横のつながりができたともいう。地縁と無縁になりがちの核家族を中心とした現在の家族形態においては、このファミリー・サポート・センター制度がその担いきれない機能を引き受ける一助になりうると考える。
そこで、本制度の推進状況と、今後の活用方策について当局の所見を伺いたい。

2 未婚のひとり親家庭の支援について

質問の第2は、「未婚のひとり親家庭の支援について」である。
厚生労働省が行った調査によると、2011年の母子世帯数は全国で123万8千世帯、その内訳をみると離婚によるものが全体の約8割を占めているが、最近では未婚のシングルマザーの数が増え、母子世帯に占める割合は2010年には12.2%と、ここ10年で2倍に急増している。

また、母子世帯の就業状況についてみると、80.6%が就業中であるがその半数がパートかアルバイトという厳しい経済状況にあり、中でも特に、就業経験もなく、若くして母親になった未婚女性の場合は、未就学児童を抱えての就職活動やフルタイム労働はもとより、生活自体に困難をきたす場合が多い。そのため、子どもを乳児院や児童養護施設に預けることになるケースもあるやに聞いている。

このように、未婚のひとり親家庭が増えている現状と経済的に自立できない厳しい状況に置かれていることを踏まえると、子どもを貧困から守るためにも、未婚のひとり親家庭に対する支援の充実が求められる。

最近になって、未婚のひとり親にも寡婦控除のみなし適用を行う自治体が出てきており、先日の新聞でも大きく報道された。税法上、寡婦控除は結婚歴のあるひとり親にしか適用されない。それをみなし適用して所得を算出することで、保育料や公営住宅の家賃などの軽減を行うもので、養育費もないひとり親にとって大きな支援といえる。

1年で約100万人の出生数に対して、中絶の数が20万件を超える今の日本で、様々な理由を抱えながらも母となる決意をした女性を応援したいし、何より子どもに幸せになってもらいたい。子育てと経済的自立を一人でこなそうと意欲の高いひとり親は多く、少しの後押しが継続的な自立を促すことにつながると考える。

折しも、最高裁は今月4日、両親の法的結婚の有無で子の相続分に倍の開きがでる民法の規定について法の下の平等を定めた憲法に反するとして違憲判決を下した。これは法律婚の意義を失うものでは決してなく、未婚を推奨するものでもなく、現代の事情に即した判決がなされた結果である。

このように、結婚歴の有無によって、適用に差を設けている各種制度の見直しをはじめ、未婚のひとり親家庭に対する支援制度を検討する自治体が増えてきている。
そこで、子どもを貧困から守るためにも、未婚のひとり親家庭に対する支援が必要であると考えるが、支援の現状及び今後の対策について当局の所見を伺いたい。

3 学校現場における食物アレルギー疾患の児童生徒への対応について

質問の第3は、「学校現場における食物アレルギー疾患の児童生徒への対応について」である。
最近は何らかの形で食物アレルギーを持つ子どもが増えている。特定の食べ物
を摂取すると、かゆみやじんましん、吐き気、呼吸困難などの症状があらわれる食物アレルギーだが、その症状は日常生活に支障のないものから死に至る場合まで幅広い。

また、その原因となる食物も様々で、現在、国では特に発症数、重篤度から勘案して卵・小麦など7品目の表示を義務付けるほか、りんご、大豆など18品目の表示を推奨している。最近ではここに新たにゴマとカシューナッツが加わった。ほとんどの患者は乳児期に発症するが、神奈川県相模原市の調査では乳児の10人の1人が食物アレルギーを持っているとの発表もあり、通常の育児に加え、制限が多く神経をすり減らす食事コントロールに疲労困憊している母親も少なくない。

そしてそんな親の心配は子どもが自分の手を離れる時に一気に高まる。保育所・幼稚園・小学校の給食は大丈夫か、何らかのルートでわが子の口に入ってしまわないか、弁当を持参すれば集団の中で浮いてしまうのではないか、など気が気ではない。実際、小中学校の給食を食べてショック症状を起こす事故は全国で毎年300件前後起こっていることが先日のニュースで報道された。

そんな中でも、小学校の中学年以降が好発期といわれるアナフィラキシーショックは命にかかわる。昨年12月、東京都調布市の小学校で起きた死亡事故は記憶に新しい。アレルギーのある5年生の女子児童が給食でチーズ入りのチヂミを食べた後、ショック症状を起こして死亡した。児童は症状を一時的に緩和するエピペンという注射薬を持っていたが、周囲はなかなかその使用にふみきれず、校長が発症14分後に打ったものの最悪の結果となってしまった。

しかし、この結果について、学校現場だけを責めるわけにはいかない。打ったこともない注射、副反応の知識もない注射を自らの手で苦しんでいる子に打てるのかといえば、ためらう気持ちも理解できる。国は、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」で、本人が打てない場合は、教職員が適切に対応することを求めているが、そのためには明確なサポート体制が不可欠だ。学校、教育委員会をあげての理解と協力体制に加え、保護者も心構えと責務を持たねばならない。

そこで、本県では、アレルギー児童生徒への対応策として、今年3月に「学校におけるアレルギー疾患対応マニュアル」を作成し県下の公立学校に配布したところであるが、このマニュアルに基づいた学校給食における事故防止や緊急時における関係各所との適切な対応など、実効性のある運用状況について当局の所見を伺いたい。

4 「兵庫型放課後児童対策」の提案について

質問の第4は、「「兵庫型放課後児童対策」の提案について」である。
核家族や一人っ子が増えたこと、また安心して遊べる環境が不足していることなどから、家庭や地域の子育て機能・教育力の低下が叫ばれて久しい。

こんな状況にあって、子どもが放課後や長期休暇中をどう過ごすのかということは大きな課題となっている。保育所の待機児童が大きな社会問題になっているが、放課後事業もまた小1の壁という言葉に表されるようにまだまだ課題が多い。保育所や幼稚園の最終年度には、子どもが放課後クラブに入れるのか、またそこがどんな場であるのか、親は情報収集に奔走する。

現在、放課後事業として、教育委員会所管の放課後子ども教室と健康福祉部所管の放課後児童クラブがある。体験活動や地域住民との交流活動を重視する教育的観点と仕事の都合で保護者不在中の生活の場を提供する福祉的観点の違いこそあれ私たち保護者からすれば同じ意味合いを持っている。

現に平成19年には、これら二つの事業の連携実施をうたって放課後子どもプラン推進事業が創設されている。その実施要綱には、総合的な放課後対策の観点から「子ども教室型」と「児童クラブ型」を連携して実施する旨が記述されている。

本県の状況を見てみると、子ども教室が全小学校区の61.5%、児童クラブが92.2%とかい離があり、全域で十分な連携がはかれているとは言い難い。運営主体が各市町であることから、現場認識や環境によりなかなか進まないといった実情もあるのかもしれない。しかしだからこそ、県としてあるべき姿を示す必要があると思う。

今年度、兵庫県は幼児教育と保育を一体的に提供する認定こども園の設置数が全国1位となった。この理念をぜひ就学児童の放課後対策にも適用して、放課後を生活の場だけでなく、子どもの社会教育の場として積極的に活用し、地域住民やボランティアによる学習教室、体験活動や交流活動など、現行の「子ども教室型」と「児童クラブ型」を現在の連携から一歩進め、一体化した「兵庫型放課後児童対策」の推進を新たに提案したい。

これまでの子どもたちの居場所であった公園や家庭内の環境が変わる中、保護者の学校という場への期待は大きく、子どもの成長にとって重要な時間である放課後を、すべての県民がかかわる社会教育の場と捉えるべきと考える。

そこで、すべての子どもを対象にした新たな観点からの兵庫型放課後児童対策の推進が必要であると考えるが、当局の所見を伺いたい。

5 知の拠点としての利用価値を高める県立図書館のあり方について

最後の質問は、「知の拠点としての利用価値を高める県立図書館のあり方について」である。
現在、図書館がにわかに注目をされている。年中無休、館内カフェの設置などでマスコミでも多く取り上げられた佐賀県武雄市の武雄市立図書館は、今年4月のオープン以来、人口5万人弱の町に、毎月9万人が押し寄せる盛況ぶりだ。

また、年間140万人を集める武蔵野プレイスは、従来の図書館のイメージを打ち破り、市民に様々な機会と場を与える快適な公共空間として人気を博している。大学図書館もまた、大きく変貌を遂げており、例えば、神戸学院大学では、図書館留学と銘打った英語力アップのサポートに特化したコーナーを設けるなど学習支援機能を強化している。これらの取り組みは、図書館という身近に当たり前にある存在を再認識し、実はもっと可能性を秘めたものであるのではと感じさせられる事例である。

さて、明石市にある県立図書館に目をむけると、子どもの頃、隣接する市立図書館にはよく行った記憶があるが、何となく敷居が高そうなイメージを持っていた県立図書館に行ったことはほとんどなかった。でも、いざ入館すると、特に震災関係資料の豊富さには目を見張るものがあり、震災当時の空気が感じられる生の資料を手に取ることができる。企画展も随時開催されているようであるし、そこに足を運べば、間違いなく知的欲求を満たしてくれる空間である。

しかしインターネットによって、いつでもどこでも膨大な情報にアクセスをすることが可能な時代、ちょっとした調べものに図書館へ、という需要はごく限定的になっている。私の観察では、市町図書館でにぎわっているのは読みきかせなど子育て交流をする絵本コーナーなどであり、県立図書館はいつも落ち着いた雰囲気で、常連さんらしき年配のかたがちらほらと見受けられる程度である。

県下の図書館の図書館、という位置づけの県立図書館であるが、近い将来、隣接する市立図書館が駅前に移転するという環境変化もある中、その機能とミッションについて改めて整理をすべきではないか。

例えば、所蔵資料のデジタル化を推進して全ての県民が享受出来る非来館型サービスを提供することや、高度なレファレンスに特化して研究機関や企業にも情報提供し課題解決支援に取り組むことや、あるいは明石公園内という豊かな環境に恵まれた立地からも、利用者サービスを徹底し、人が集う知的交流・創造の場として快適公共空間に重きをおくということも考えられる。

いずれにしても、図書館が本の番人から情報発信拠点へと存在意義が変わりつつある中、そのあるべき姿、向かうべき方向性について当局の所見を伺いたい。