議会の動き

大塚 たかひろ議員が質問(決算審査・総括審査)を実施

質問日:平成25年10月22日(火) 質問者:民主党・県民連合 大塚たかひろ委員

1 24年度決算の成果と課題について

平成24年度当初予算は、国の中期財政フレームに基づいて一般財源総額が平成23年度水準に抑制される一方、社会保障関係費の増加による歳出の自然増や実需要喚起などの経済雇用対策や少子対策など地方独自の施策に取り組むための投資的経費や行政経費が削減されており、引き続き厳しい財政環境の中で編成された。

また、長引くデフレ不況、景気低迷からの早期脱却や地域の雇用情勢の改善、需要創出発現の為、国の補正予算等に基づき、12月と2月に2度にわたり経済対策に係る補正予算を編成された。

特に2月補正予算は臨時議会を開催して、大型の補正が行われた。国会議決に先立って編成され、いち早く事業化に結びつけるなど、現状の課題認識に基づいた的確な対応が行われたと認識している。

第二次行革プランの2年目となった平成24年度も、行財政全般にわたる改革の推進など、施策の「選択と集中」に取り組みつつ、県の将来像と取組方向を示す21世紀ひょうご長期ビジョンのもと、ひょうご経済・雇用活性化プログラムやひょうご農林水産ビジョン2020など「創造と共生の舞台・兵庫」の実現に向けて県政の重点施策の推進に取り組むという、たいへん難しい施策運営を行っていると理解しているところである。

そこで、決算委員会の総括審査にあたり、まず、平成24年度の決算の状況について、県としてどのような成果があったと考えているか。

また、継続した課題があると考えているか。知事として平成24年度の決算について自己評価していただくとともに、間もなく取り組まれる平成26年度予算編成にどのような思いを持って取り組まれようとされているのかをお伺いする。

2 収入確保に向けた取り組みについて

(1) 未収金対策の充実強化について

まず、「未収金対策の充実強化」について伺う。

先日開催されました財政状況の特別審査において税収確保対策についてお伺いしたところ、「県税の徴収歩合が全国平均を上回ることを目標に、全県及び県民局に税収強化対策本部を設置し、税収確保対策に取り組んできた。その結果、平成23年度には徴収歩合が38年ぶりに全国平均を上回り、平成24年度は2年連続で目標を達成し、また全税目で徴収歩合が前年度に比べ同率か上回る結果となった。」とのご答弁をいただいた。行革による職員定数が削減される中にあっても、個人住民税特別対策官の継続設置や、悪質な滞納事案の円滑な処理促進を図るための県警OBの嘱託員配置により税収確保に向けてしっかりと取り組んでいただいていることに感謝申し上げる。

しかしながら、昨年度決算の県税も含めた収入未済額の合計は309億円余りに上り、前年度から6億円ほど減となっているが、県税以外の収入未済額については前年度から約78百万円増加し、118億円になっているとのことである。

財政状況が厳しいなかにあって、300億円を超える収入未済額は、県民負担の公平性の観点からも看過できない状況となっており、確実に収入に結び付けていくことが求められる。

未収金への対策が進んでいない理由として債権回収のノウハウが共有できていないことや庁内の支援体制が十分でないことを挙げられ、これら全庁共通課題への対応などを進めていくため債権管理推進本部を設置するとともに、平成23年度末の収入未済額が1千万円以上の債権等を特定債権に指定し、計画的に収入未済額の縮減に取り組むため、今後3か年における特定債権ごとの債権管理目標を設定したとのことであった。

しかしながら、その目標設定について、①現年分は、回収率が前年度以上となること。②繰越分は平成24年度末の収入未済額約115億円のうち、3年間で約7億5千万円を回収することとなっているが、その答弁を聞いていて、物足りなさを感じた。

滞納債権を回収していくことは、なんとかごまかして債務額を減らそうとする人、強硬に払わない人、払いたくても払えないという人など、さまざまな人に対応していかなければならず、たとえ業務といえども、非常につらい仕事であり、担当職員のモチベーションを維持していくことも困難である。

そこで、収入未済額がこのように多額になっている状況では、財政運営の安定化を図る上で大きな障壁となっていることから、未収金対策の機運を高め、他の業務に優先して、積極的に未収金対策を進めていくべきと考えますが、今後の未収金対策への取り組み姿勢について改めて伺う。

(2) 事業ごとの資金調達について

ふるさと納税の意義は素晴らしく、井戸知事はふるさと兵庫を県政推進6つの約束の1つとして掲げ、4期目再選を果たされた。

その税制上の優遇措置は大変強力なもので、寄附した額から2千円を差し引いたほぼ全額が所得税及び住民税から控除することができる。しかし、それをうまくPRできておらず、全国的にも本県の寄付実績を見ても明らかだ

確かに、国民一人あたりの寄付金額は欧米と比較しても数分の一だが、寄付の根本にある、支え合いや共生といった考えは日本国民にも当然根付いている。何が問題かといえば、集め方の問題である。集め方の改善策として、先の財政状況審査では、具体的な事業を掲げて寄付を募る方法を検討する旨答弁された。

具体的な事業で募集する。これは非常に正しい。ふるさと意識を持つ人は市町村に寄付する。昨年度のふるさと納税の額は、兵庫県は約900万円だが、神戸市は約6,500万円、淡路市約5,700万円と数字を見てもあきらかである。県は事業で訴えるべきと考える。

しかし、具体的事業を掲げて募集しても、今度は募集の方法が既存のリーフレットやふるさとひょうご応援サイトのみでは、やはり集まらない。

例えば「第2のふるさと納税」として、いくつかの具体的事業において民間のサイト等を利用したクラウドファンディングを活用し集めた金額の一定金額を担当部局の自主財源としてインセンティブを与えるなど、限られた予算の中では新たな資金調達の工夫が必要と考える。

その他にも、近年、企業においては、社会的貢献活動(CSR)の一環として森林保護・創造活動をおこなっており、県においても、企業の自主的な取り組みである企業の森づくり活動を支援している。また、兵庫県森林組合連合会等では、環境省のオフセット・クレジット(J-VER)制度を活用して、二酸化炭素排出量を相殺しようとする企業から森林整備費用を調達する橋渡し役となる取り組みを行っている。

そこで、県として今後、事業ごとに資金を調達していくことについて、どのように進めていこうとされているのか伺う。

3 県有施設並びに県内市町の公共施設の耐震化促進について

全国には、災害時に地域の拠点となる役所や学校などの公共施設で、大地震が起きると倒壊の危険性が高い建物が3,800棟近くあると指摘されている。阪神・淡路大震災後、耐震化が比較的に進んでいると思われている兵庫県であるが、全国順位では、教育施設が13位、庁舎施設が8位、医療施設が19位。耐震化率は、いずれも70~80%台で、決してトップレベルではない。むしろ警察署など全国平均を下回るケースもあり、震災を経験した被災県として、本来ならば全国の耐震化率を引っ張る存在でなければならないにもかかわらず、財政面等を理由に耐震化が進んでいないのが現状である。県内市町においては、予算不足で対策が進められない市町もある。一方、南海トラフ巨大地震で大きな被害が予測される静岡、愛知、三重県等では教育施設、県有庁舎等の耐震化率はいずれも90%を超えていると伺っている。

本県においては現在、第2次行革プランの実行中であり、県有施設の耐震化工事についても予算執行に一定の進度調整が行われている。例えば災害時に重要な活動の拠点となる警察署の耐震化一つをとっても、一つの署で数億円以上かかる事業であるが、震災から19年経つ中、県内48署のうち11署がまだ、耐震化工事が行われておりませんし、他の県有施設の耐震化工事も考えれば、そういった予算でいつ県民の命を守る耐震化工事を終えることになるのか、その目処は立っていないと言わざるを得ない。限られた財源の中、選択と集中をより徹底し、県有施設等、県内防災拠点の耐震化工事を進めることは大きな課題である。

そこで、県有施設の耐震化対策の重要性とその順位付けをどのように考えておられるのか。また、県内市町の役所をはじめ、災害時に必要な公共施設の耐震化について、県としてどのような把握をし、また、支援をしているのか伺う。

4 「無縁社会」の根絶に向けた取り組みについて

部局審査において、無縁社会での独居の高齢者や障害者への対応について質問し、答弁では「住民の異変を発見し、行政サービスに繋ぐ仕組みづくりを支援するため、各家庭を訪問し異変を発見する可能性の高い民間事業者及び兵庫県社会福祉協議会、兵庫県民生委員児童委員連合会と、兵庫県地域見守りネットワーク応援協定を締結し、推進することで、各市町における重層的な見守り体制の構築を支援して行きたいと考える。」と述べられた。

東京都監察医務院が公表しているデータによれば、23区内における一人暮らしの65歳以上の自宅での死亡者数は平成14年の1,364人から20年には2,211人と1.6倍に増加。また(独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約76万戸において、単身の居住者が誰にも看取られることなく賃貸住宅内で死亡したケースは平成11年度の発生件数207人から20年度には613人と9年間で約3倍に増加した。

独居の高齢者は相当な件数にのぼり、継続的に見守りを行う必要があるので、民間事業者等に付加サービスとして行ってもらうなら有効性があるかもしれないが、本来の業務のついでに「見守り」をするならば、実効性にかけるのではないか。事業者に過度な期待はできないのではないだろうか。マンパワーだけでは解決できないのではないかと考える。

例えば、携帯電話回線を利用した端末を活用した高齢者の見守りサービスを行っている通信事業者もある。山形県飯豊町では補助金制度を活用してこのシステムを導入している。これにより、従来は訪問による安否確認にかかっていた時間や費用の負担等が軽減されたという報告がある。実効性をあげようとしたら、機械に監視されているようになるが、実質的な見守りのための精度はあがる。一方で、無縁社会の中で社会から孤立している方々が地域とつながるということをうながす取り組みというのは必要であろう。そういった意味で難しい取り組みであるということは理解できる。

しかし、今後、社会の少子高齢化が急速に進行する中で、コストや増大する需要を考えれば、ITの活用を考えざるを得ない。ITを見守り体制構築の1つの手段として、メニューに加え、重層的な体制を構築していく視点も重要と考える。

そこで、「無縁社会」の根絶に向け、見守りの重層的な体制を実効性のあるものにするため、県はさらなる取り組みが必要と考えるが、当局の所見を伺う。また、県は、孤独死ゼロを目指すのか、それとも無縁社会化の進行防止の観点から見守り対策に取り組むのか、2つの目指すべき方向性があると思うが、県の取り組みに対する考えを併せて伺う。

5 県内中小企業に対する金融支援について

我が国の経済は、バブル経済の崩壊以後、デフレが進行し、円高による国際競争力の低下、さらには少子高齢化などの社会情勢も加わり、景気低迷を続けてきた。昨年の12月には安倍内閣が誕生し、アベノミクスの経済政策により、少し先行きの明るさが見えてきたとはいえ、リーマンショック以後、大企業が恩恵を受ける一方、中小企業者においては売上げの減少や赤字経営により引き続き厳しい資金繰りを強いられている。銀行や信金の預金に対する貸出金の比率、すなわち預貸率は、6月にいずれも過去最低を更新し、特に中小企業向けの信金預貸率の50%割れは深刻であり、産業活性化の基盤である中小企業に資金が供給されていない。

県では、これまで制度融資において、金融機関や兵庫県信用保証協会と連携し、中小企業向けに経営安定のための資金繰り資金や、開業から設備投資、新規事業のための長期かつ低利な資金融資を行うなど、多様な資金メニューを設けてきた。しかし、最近の融資実績の推移を見ると減少傾向にあり、平成24年度は、融資枠5,000億円に対して、実績1,572億円と達成率が約3割にとどまっている。

確かに最近では景気の先行きに明るさが見え始めているが、景気の効果が中小企業者まで実感できる状況になるには、まだ時間が必要である。

そこで、24年度の制度融資の利用実績が減少している原因をどのように認識しているのか。また、これからの制度融資の方向性をどのように捉えているのかについて当局の所見を伺う。

6 第2期「ひょうご教育創造プラン」の策定について

本県では、平成15年度に策定した「兵庫の教育改革プログラム」の成果と課題を踏まえ、平成21年6月に「ひょうご教育創造プラン(兵庫県教育基本計画)」を新たに策定した。プランでは、「元気兵庫へ こころ豊かな人づくり ~県民すべてがかかわる兵庫の教育の実現~」を基本理念として、「生きる力を培う」「兵庫の特色ある教育」「学校・家庭・地域が一体となった取組」「信頼される学校づくり」など6つの教育施策の重点目標を定め、「兵庫型教科担任制」の導入や兵庫型「体験教育」の展開、オープンスクールの実施など、さまざまな事業に着実に取り組まれてきた。

しかし一方で、少子高齢化や高度情報化、雇用格差の拡大といった社会経済情勢が急速に変化するとともに、いじめや体罰、さらに、インターネットやスマートフォン等を介した有害情報の氾濫や、それがきっかけとなり生徒が犯罪に巻き込まれるケースの発生、それら問題に対する学校関係者の対応、さらには、教員の過重な勤務時間等が全国的な問題となるなど、学校教育を取り巻く情勢も大きく変化している。

こういった社会情勢、教育を取り巻く情勢の変化や、国の第2期「教育振興基本計画」の内容を踏まえ、県では今年度中に第2期プランを策定されることとなっている。すでに検討委員会を立ち上げて、これまでの課題の検証等を通じて、第2期プランの策定に取り組まれている。

課題については、先の6月定例会の代表質問において、我が会派から「地域の教育力向上に向けた取り組みの推進」として、学校と地域の連携について質問をさせていただいたところである。そのほかには例えば、平成27年度入試から実施される新通学区域の県民へのさらなる周知徹底を今後どうするのか。また、いじめ・体罰問題に対し、具体的にどう取り組んでいくか。近年、家庭の教育力が低下していると言われる中にあって、学校と家庭の役割をどう明確化し、家庭とどう連携していくのか。さらには、団塊世代のベテラン教員の大量退職に伴って若手職員の資質向上・メンタルヘルスにどのような対策で臨むのかといった、本県独自の課題から全国的な課題まで多様な課題が存在する。

そこで、平成21年度のプラン策定からこれまでの課題と成果についてどのように認識し、また、それらを第2期プランにどのように反映させていくのかについて当局の所見を伺う。

7 警察組織の効率的な運用について

兵庫県の財政状況は、財政フレームを見ても極めて厳しいことは明らかである。また、介護・医療費は過去5年間で当初計画を600億円以上上振れした歳出増加となっている。

一方、兵庫県警察の人員については、ほぼ現状維持を基本としているが、これから5年後・10年後も聖域でいられるのかどうか不安も残る。そのため、将来的な人口減少や予算制約に伴う警察官の削減も視野に入れた組織の運用について、部局審査において質問を行った。

本日は、警察署の業務負担に焦点を当てて質問する。

警察庁は先月、同庁と全国の警察に本当に必要な「通達」のみ出すよう指示を出し、これによって、業務の合理化と効率化が進めていくという記事を目にした。第一線業務の肥大化に歯止めをかけ、本来の仕事に集中できるようにとの狙いがあるようだ。

また、10月12日の神戸新聞には、県警は、来春にも姫路市内の3警察署の管轄区域を再編するための検討を始める、との記事が掲載されていた。

この記事によると、全国有数の規模で管轄区域が広い姫路署において、署員数の増加により管理が行き届かなくなり、昨年以降、捜査書類への虚偽記載など署員の不祥事が増加したことや、地元から地域に密着したきめ細かな対応を求める声が寄せられたことから、市内3警察署の管轄区域を再編して、他の2署との均衡を図り、管理機能の強化と治安維持に努めるとのことであった。

現在、本県警察官一人当たりの刑法犯認知件数は約6.4件で、全国平均の約5.4件を上回っているうえ、近年、特にストーカー等の男女間のトラブルを初めとする各種相談対応には、迅速適正かつ厳格な対応が求められるほか、サイバー犯罪や振り込め詐欺など刻々と変化する犯罪等への対応など、その負担は増す一方となっていることなどからも、本県警察官の負担は大きく、署員を管理する署長にも過度な負担がかかっていることは明らかといえる。

警察組織の効率的な運用のためには、先に質問したICT活用による生産性の向上や、組織や人員配置の見直しによる体制面での効率化も一つの手法であるが、職員一人ひとりの勤務管理や事務作業の手続きの簡素化などで効率化を図ることも一つの手法と考える。

例えば、佐賀県や三重県等においては「庁内分権」と称して、人事や予算編成等の業務権限を委譲するなど業務の効率化を進めている例があるようだが、県警察においても同様に「署内分権」を進め、業務の効率化により、警察組織を効率的に運用していくべきと考えるが所見を伺う。