議会の動き

藤井 訓博議員が質問(決算審査・教育委員会)を実施

決算特別委員会  [ 10月16日(木)教育委員会・藤井 訓博委員 ]

1 高等学校等就学支援金制度の運用状況について

高等学校等就学支援金については、今年4月から運用が始まり、本年度は新1年生のみが対象ですが、再来年度には全学年まで対象が広がることから、学校現場におかれては、今後の円滑な事務処理に向け、これまでに明らかになった課題を整理する必要があります。

この支援金制度は、課税証明書等が期限までに提出がない場合には、支援が受けられないことにもなりますが、実際に、期限までに申請が出てきていないケースもあったのではないかと危惧します。

申請に当たっては、市町民税決定通知書のコピーを提出できない人については、市役所・町役場で課税証明書を取得のうえ申請しなければならないなど、親の負担が新たに生じる一方で、学校現場においても、事務職員の増員が見込めないなかで、就学支援金の申請に係る事務処理が新たに発生したことにより、事務量の増加が懸念されています。本年度、国が業務補助職員等の事務費にかかる予算をつけることになっていたと思いますが、現時点でどのような具体的な措置がされたのでしょうか。

また、今年2月の定例県議会において、受給権をもつ生徒が支給から漏れることがないようにするために、学校現場においては、生徒のプライバシーや個人情報の保護・管理に加え、未提出の家庭等への丁寧な説明、さらには中途に家計が急変した生徒への対応等が必要であることを申し上げ、当局からもこの点について、丁寧な対応をしていくとの答弁をいただいたところです。

また、生徒本人や生徒の家庭の事情を一番よく分かっているのは、担任教師であることから、担任教師と書類審査・処理を行う学校事務職員の連携が欠かせませんし、制度を円滑に運用していくためにも、毎年、新任の教職員向けの研修や保護者説明会等を開催すること、あわせて中学校側への対策も必要です。

そこで、就学支援金の運用開始以降、何%の生徒達がこの制度の対象になっているのか、また、予想された課題にどのように対応してきたのか、また、新たに見えてきた課題はあるのかについて伺います。

2 子どもの教育の役割分担について

平成24年度における本県のいじめや不登校の問題行動等に対して、県では、これまでから各学校にスクールカウンセラーやキャンパスカウンセラーを配置して、児童生徒、保護者の心の相談にあたるほか、体験教育と道徳教育による豊かな心の育成などさまざまな対応を取られてきました。

これら学校現場における児童生徒や保護者への対応により、一定の効果は上がっていますが、例えば、いじめについては学校内に限らず、地域での生活の中でも見られること、また、パソコン、携帯電話による誹謗中傷などが急増する中、それは見えにくく把握も難しい面が多いため、未然防止・早期発見という点においてまだ十分とは言えない状況です。

現場の教師におかれては問題を解決しようと生徒に向き合い懸命に努力しておられることは承知しているつもりですが、先日の本会議一般質問で我が会派の小池議員が、教師の多忙対策について質問したとおり、また、安福委員の質問にもあったように、現在の教師は、授業以外の仕事にも追われて勤務時間も長いうえに、休日も部活動の指導等でつぶれてしまうような状況下に置かれているのが現状です。これでは、いくら教師がやる気を出して頑張ろうとしても子ども一人ひとりに向き合う時間も余裕もありません。

しかしながら、一方で、いじめの問題と親のしつけ方が関連していることや親子関係をめぐる問題をきっかけとして不登校となるケースもあることを考えると、いじめや不登校という問題行動等は、学校における生活に加え、子ども達にとって、もっとも身近で長時間過ごす家庭や地域生活に起因することも多いのではないかと思います。

それだけに、これらの課題解決をともすればマスコミ報道を含め、多忙な学校現場だけの責任とし、その対応を求める傾向にあることは否めません。子どもの健全な育成には学校・家庭・地域のそれぞれが役割に応じた教育を責任を持ってやっていくことが必要です。例えば、残念ながら、私の経験からも学校が家庭や地域でやらなければならない生活習慣、しつけなど全て抱え込んでいる現状も散見されます。そこで、今一度、家庭、地域での役割はいかにあるべきか、何をなすべきかをしっかり検討する必要があります。

そこで、これまでの取組み状況を踏まえ、いじめや不登校等の問題行動の解決を含めた子どもたちの教育について、学校・家庭・地域の三者の責任ある役割分担をどのように整理し、またどのようにそれを実現させていこうとしているのかを伺います。

3 多文化共生教育の充実について

(1)日本語指導が必要な児童生徒の現状と支援状況について

本格的な人口減少社会を迎え、合わせて経済のグローバル化が急速に進むなか、今後ますます外国人労働者が増えることが予想されています。

現在、本県には約10万人の外国人県民が在住し、また、留学生数も県内の大学・短期大学、専修学校等の在籍者は、10年前に比べて2倍以上になっています。

グローバル化は子どもたちの教育現場においても確実に広がってきており、これまで以上に、民族や国籍を異にする人々と互いに自他の文化習慣、価値観を認め合い、共に生きる心を育成する多文化共生教育の充実が特に必要となってきています。そのためにも、当然、日本語指導等が必要な児童生徒も大幅に増えることが十分考えられることから、その対策は急務となっています。

折しも、今年3月に策定された第2期「ひょうご教育創造プラン」において、教育をめぐる現状と課題の中で、「グローバル化に伴い、民族や国籍を異にする人々と互いに自他の文化や習慣、価値観を認め合い共に生きる心を育成することが課題である」と記述され、基本方針においても「豊かな心」の育成の中で、「共生社会の実現に取り組む実践力を育成する人権教育に取り組む」とも記述されています。

そこで、まず、本県における昨年度の外国籍の児童生徒は何人公立学校に在籍し、そのうち日本語指導が必要な児童生徒はどの程度、在籍していたのかを伺います。

また、外国籍等の子どもが在籍する県下の小学校・中学校での日本語指導も含め、多文化共生教育の推進に当たって、どのような事業を進められ、その成果と課題について伺います。

(2)県立高校入試における日本語指導が必要な生徒への配慮について

国の統計によると、全国の高等学校の進学率は着実に上昇を続け、平成25年度で96.3%となっており、今や中学校を卒業する生徒のほぼ全員が高校へ進学をする「全入時代」、「準義務化」と言ってもいい状況です。本県においても同じような傾向がみられ、25年度で96.2%と非常に高い進学率となっています。

その一方で、様々な状況も考えられますが、昨年度の本県における日本語指導が必要でない生徒の進学率は全日制で90%、定時制・通信制を含めると約96%であるのに対して、日本語指導が必要な生徒の進学率は全日制で30%と極めて低く、定時制・通信制を含めても約87%という状況にあります。このことを見ても、日本に移住してきた外国人の生徒が高校進学を希望しても、日本語による試験が大きな壁となり、やむを得ず進学をあきらめたり、入学試験で致命的なハンディになることも容易に想像できます。

そこで、まず、本県における昨年度の県内公立中学校3年生の外国人在籍者数と高校進学希望者数・合格率を伺います。

また、先にも触れたように、更なる多文化共生教育の充実が求められているなか、国際的な幅広い視野を身につけるためにもこういった外国籍の児童生徒と一緒に学ぶことのメリットは大きく、他府県では、入学後の国際理解学習の推進などをはじめ、外国籍の生徒を生かした特色ある学習カリキュラムを設けて、大きな成果をあげているとも聞いています。

県では、日本語指導が必要な児童生徒が県立高校を受験する場合、本県における特別措置として、考査時間延長やルビ振りをしていますが、生徒達の進学への願いと比べ、進学率の低さを見れば対応は十分とは思えません。

そこで、本県において、ひょうご教育創造プランにもうたわれているように、これら外国籍の生徒と一緒に学ぶことの意義や効果をあげるためにも、県立高校入試において、彼らの思いが叶えられる受験時の更なる配慮について必要であると考えますが、当局の所見を伺います。